V型エンジンとは?気筒数の違いと搭載された日本車まとめ
V型エンジンとは、シリンダー(気筒)をV字型に配置したエンジンのことです。気筒数によってV6・V8・V10・V12などと呼ばれ、一般的な市販車にはV6が多く採用されてきました。スポーツカーや高級車ではV8やV10・V12も使われており、その希少性とパワーは多くのファンを惹きつけています。
ただし、近年は環境規制強化とハイブリッド・電動化の進展により、V6・V8搭載車種は急速に減少しています。現行モデルでV型エンジンを搭載する日本車はかなり限られてきました。この記事では、V型エンジンの特徴・メリット・デメリットと、気筒数ごとに日本車への搭載事例をまとめて解説します。
V型エンジンの特徴:コンパクトな多気筒エンジンを実現
アルファベットのVに見えるためV型エンジンと呼ばれる 直列エンジンよりもサイズがコンパクト
V型エンジンは、シリンダーを左右に振り分けてV字型に配置することで、横並びに気筒が並ぶ直列エンジンよりも全長を短くできます。この特性のおかげで、6気筒・8気筒・10気筒・12気筒といった多気筒エンジンをコンパクトに収められるのが最大のメリットです。
一方、バルブや排気系などのパーツが2列分必要になるため、直列エンジンより総重量が増し、構造が複雑になるのがデメリットです。メンテナンスコストも高くなりがちです。日本車では直列3・4気筒が主流ですが、かつてアメリカ車ではV8・V10が多く採用されてきました。
V型6気筒(V6エンジン)
V6エンジンは、スポーツカーから高級セダン・ミニバンまで幅広い車種に採用されてきた多気筒エンジンの代表格です。しかし近年のモデルチェンジではV6を廃止して直4ターボやハイブリッドへ置き換える車種が増えており、新車でV6を選べる機会は少なくなっています。
JNC型のV6エンジンを搭載したNSX(販売終了)/ホンダ
JNC型水冷V型エンジンを採用 NSXは燃費性能も高いスーパーカー
2017年から2022年に販売された2代目NSXには「JNC」型のV6ツインターボ+3モーターハイブリッドシステムが搭載されていました。排気量は3,492cc、最高出力は373kW、最大トルクは550Nmで、スーパーカーとしては燃費12.4km/Lを実現していました。2022年12月に生産終了となり、現在は中古車でのみ入手可能です。
| 型式 | JNC |
|---|---|
| 種類 | 水冷V型6気筒縦置 |
| 排気量 | 3,492cc |
| 最高出力 | 373kW/6,500~7,500rpm |
| 最大トルク | 550Nm/2,000~6,000rpm |
| 燃費 | 12.4km/L |
JNB型のV6エンジンを搭載したレジェンド(販売終了)/ホンダ
2022年1月に販売終了となったレジェンドは水冷V型6気筒エンジンを採用していた
ホンダのフラッグシップセダンだったレジェンドは、2022年1月に販売を終了しました。5代目(2015年〜2022年)に搭載されていた「JNB」型V6エンジンの排気量は3,471cc、最高出力は231kW、最大トルクは371Nmでした。現在は中古車でのみ入手できます。
| 型式 | JNB |
|---|---|
| 種類 | 水冷V型6気筒横置 |
| 排気量 | 3,471cc |
| 最高出力 | 231kW/6,500rpm |
| 最大トルク | 371Nm/4,700rpm |
| 燃費 | 16.4km/L |
2GR-FKS型のV6エンジンを搭載したアルファード・ヴェルファイア 30系(販売終了)/トヨタ
30系アルファードはV6エンジンを搭載していたが、現行40系ではV6は廃止された
30系ヴェルファイアもアルファードと同じV6パワートレインを搭載
2015年から2023年まで販売された30系アルファード・ヴェルファイアには「2GR-FKS」型V6エンジンが搭載されていました。排気量3,456cc、最高出力221kW、最大トルク361Nmでした。2023年6月に発売された現行40系ではV6エンジンは廃止され、アルファードは2.5L直4(NAまたはHV)、ヴェルファイアは2.5L直4ハイブリッドと2.4L直4ターボに変更されています。
| 型式 | 2GR-FKS |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 221kW/6,600rpm |
| 最大トルク | 361Nm/4,600~4,700rpm |
| 燃費 | 10.6km/L |
クラウン 15代目以前に搭載されたV6エンジン(販売終了)/トヨタ
15代目以前のクラウンシリーズにV型エンジンがラインナップされていた
14代目(2012〜2018年)のクラウン(マジェスタ・ロイヤル・アスリート)にはV6エンジンが搭載されていました。マジェスタでは2WDのみ、ロイヤルは2.5Lのみ、アスリートには2WDに3.5L・4WDに2.5LのV6が設定されていました。2018年発売の現行クラウンクロスオーバー(16代目)以降はV6ガソリンエンジンのラインナップはなく、2.5Lターボハイブリッドなどに移行しています。
| 型式 | 2GR-FSE | 4GR-FSE |
|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc | 2,499cc |
| 最高出力 | 232kW/6,400rpm | 149kW/6,400rpm |
| 最大トルク | 377Nm/4,800rpm | 243Nm/4,800rpm |
| 燃費 | 9.6km/L | 10.2km/L |
クラウンと同じV6エンジンを搭載したマークX(販売終了)/トヨタ
マークXはクラウンと同じV型エンジンを採用していた
トヨタのスポーツセダン マークXは2019年12月に販売を終了しました。クラウンと同じ2GR-FSE(3.5L)および4GR-FSE(2.5L)のV6エンジンが搭載されていました。現在は中古車でのみ入手可能です。
| 型式 | 2GR-FSE | 4GR-FSE |
|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc | 2,499cc |
| 最高出力 | 234kW/6,400rpm | 149kW/6,400rpm |
| 最大トルク | 380Nm/4,800rpm | 243Nm/4,800rpm |
| 燃費 | 10.0km/L | 11.8km/L |
VQ35DEのV6エンジンを搭載したエルグランド/日産
V型エンジンはスポーツカーに採用されることが多いがミニバンのエルグランドにも採用されている
日産の高級ミニバン エルグランドは、2010年に3代目へとフルモデルチェンジしました。搭載されているV6エンジンは「VQ35DE」型で、排気量3,498cc、最高出力206kW、最大トルク344Nm、燃費は9.4km/Lです。
| 型式 | VQ35DE |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,498cc |
| 最高出力 | 206kW/6,400rpm |
| 最大トルク | 344Nm/4,400rpm |
| 燃費 | 9.4km/L |
VR38DETT型のV6エンジンを搭載したGT-R/日産
プレミアムスポーツのGT-Rは専用のV型エンジンを採用
日産のフラッグシップスポーツカー「GT-R」(R35型)は2007年のデビュー以来、毎年熟成を重ねながら販売が続いています。搭載エンジンは「VR38DETT」型で、排気量3,799cc、最高出力419kW、最大トルク637Nmを発揮します。
| 型式 | VR38DETT |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,799cc |
| 最高出力 | 419kW/6,800rpm |
| 最大トルク | 637Nm/3,300~5,800rpm |
| 燃費 | 8.8km/L |
VR30DDTT型のV6エンジンを搭載したフェアレディZ(Z35型)/日産
現行フェアレディZ(Z35型)はVR30DDTTのV6ツインターボエンジンを採用
先代Z34型に搭載されていたVQ37VHR型のV型エンジン
2022年にZ35型へフルモデルチェンジした現行フェアレディZには、「VR30DDTT」型V6ツインターボエンジンが搭載されています。排気量は3,000cc、最高出力は298kW(405ps)、最大トルクは475Nmです。先代Z34型(2008〜2021年)に搭載されていたVQ37VHR型(3.7L自然吸気)からターボ化で大幅にパワーアップしています。
| 型式 | VR30DDTT |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒ツインターボ |
| 排気量 | 2,997cc |
| 最高出力 | 298kW/6,400rpm |
| 最大トルク | 475Nm/1,600~5,600rpm |
フーガ(販売終了)/日産
フェアレディZと同じV型エンジンを採用していたフーガは現在販売終了
日産のフラッグシップセダンだったフーガは現在販売終了しています。搭載されていたエンジンは「VQ37VHR」型で、フェアレディZ34と同様の自然吸気V6でした。排気量は3,696cc、最高出力は245kW、最大トルクは363Nmでした。
| 型式 | VQ37VHR |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,696cc |
| 最高出力 | 245kW/7,000rpm |
| 最大トルク | 363Nm/5,200rpm |
| 燃費 | 9.4km/L |
3.5LのV6エンジンを採用するスカイライン/日産
日産を代表するスポーツセダン 3.5LのV型6エンジンを採用
V37スカイライン 400R
V37スカイライン 400R
2014年に発売された13代目のV37スカイラインには「VQ35HR」型V6エンジンが搭載されています。排気量3,498cc、最高出力225kW、最大トルク350Nm、燃費17.8km/Lを記録しています。
| 型式 | VQ35HR |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,498cc |
| 最高出力 | 225kW/6,800rpm |
| 最大トルク | 350Nm/5,000rpm |
| 燃費 | 17.8km/L |
シーマ(販売終了)/日産
フラッグシップセダンとして2012年に復活したシーマは現在販売終了
2012年に復活し、スカイラインと同じ「VQ35HR」型V6エンジンを搭載していた日産シーマは、現在販売終了しています。排気量3,498cc、最高出力225kW、最大トルク350Nm、燃費15.6km/Lでした。
| 型式 | VQ35HR |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,498cc |
| 最高出力 | 225kW/6,800rpm |
| 最大トルク | 350Nm/5,000rpm |
| 燃費 | 15.6km/L |
6G72型V6エンジンを搭載したパジェロ(販売終了)/三菱
パジェロのガソリンモデルはV型エンジンを搭載していた
三菱のフラッグシップ4WD パジェロは2019年に国内販売を終了しました。ガソリンモデルには「6G72」型V6エンジン(排気量2,972cc、最高出力131kW、最大トルク261Nm)が搭載されていました。現在は中古車でのみ入手可能です。
| 型式 | 6G72 |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 2,972cc |
| 最高出力 | 131kW/5,250rpm |
| 最大トルク | 261Nm/4,000rpm |
| 燃費 | 8.0km/L |
8GR-FXS型のV6エンジンを搭載するレクサスLS
レクサスのフラッグシップセダン 運動性能の高い8GR-FXSのV型エンジンを搭載
2017年にフルモデルチェンジした5代目レクサスLSには「8GR-FXS」型V6ハイブリッドエンジンが搭載されています。排気量は3,456cc、最高出力220kW、最大トルク356Nm、燃費16.4km/Lです。
| 型式 | 8GR-FXS |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 220kW |
| 最大トルク | 356Nm |
| 燃費 | 16.4km/L |
レクサスGS(販売終了)
2020年7月に販売終了となったレクサスGS
レクサスGSは2020年7月に販売を終了しました。「2GR-FXE」型V6ハイブリッドエンジン(排気量3,456cc、最高出力217kW、最大トルク356Nm、燃費18.2km/L)が搭載されていました。現在は中古車でのみ入手可能です。
| 型式 | 2GR-FXE |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 217kW/6,000rpm |
| 最大トルク | 356Nm/4,500rpm |
| 燃費 | 18.2km/L |
IS350にV6エンジンを搭載するレクサスIS
IS350に2GR-FKSエンジンを搭載するレクサスIS
2013年にフルモデルチェンジした3代目レクサスISのIS350には「2GR-FKS」型V6エンジンが搭載されています。排気量3,456cc、最高出力234kW、最大トルク380Nm、燃費10.4km/Lです。
| 型式 | 2GR-FKS |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 234kW/6,600rpm |
| 最大トルク | 380Nm/4,800rpm |
| 燃費 | 10.4km/L |
V6ハイブリッドを搭載するレクサスLC 500h
LCはレクサスのフラッグシップセダンと同じV型エンジンを採用
2017年3月に発売されたレクサスLCのハイブリッドモデル「LC 500h」には「8GR-FXS」型V6ハイブリッドエンジンが搭載されています。LSと同型で、排気量3,456cc、最高出力220kW、最大トルク356Nm、燃費15.8km/Lです。
| 型式 | 8GR-FXS |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 220kW/6,600rpm |
| 最大トルク | 356Nm/5,100rpm |
| 燃費 | 15.8km/L |
RC 350にV6エンジンを搭載するレクサスRC
最高出力234kW 最大トルク380NmのV型エンジンを採用
2014年発売のレクサスRC 350には「2GR-FKS」型V6エンジンが搭載されています。IS350と同型で、排気量3,456cc、最高出力234kW、最大トルク380Nm、燃費10.2km/Lです。
| 型式 | 2GR-FKS |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 234kW/6,600rpm |
| 最大トルク | 380Nm/4,800rpm |
| 燃費 | 10.2km/L |
V6ハイブリッドを搭載するレクサスRX(旧型)
旧型RX450hはV6ハイブリッドエンジンを搭載していた
2015年発売の4代目レクサスRXには「RX450h/450hL」グレードにV6ハイブリッドエンジン(2GR-FXS型)が搭載されていました。なお2022年に発売された現行5代目RXでは、このV6エンジン搭載グレードは廃止され、2.4Lターボハイブリッドなど直4系エンジンに統一されています。以下は旧型(4代目)のスペックです。
| 型式 | 2GR-FXS |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc |
| 最高出力 | 192kW/6,000rpm |
| 最大トルク | 335Nm/4,600rpm |
| 燃費 | 17.8km/L |
V型8気筒(V8エンジン)
V8エンジンは、フルサイズSUVや大型高級車など、大排気量パワーが求められる車両に搭載されてきました。日本では現在、新型ランドクルーザー(2021年〜)ではV8を廃止して3.5Lツインターボ(V6)に変更しており、V8搭載の現行国産車はかなり限られています。
V8エンジンを搭載していたランドクルーザー200系/トヨタ(2021年生産終了)
200系ランドクルーザーに搭載されていた1UR-FE型V8エンジン
2007年から2021年まで販売されたランドクルーザー200系には「1UR-FE」型V8エンジンが搭載されていました。排気量4,608cc、最高出力234kW、最大トルク460Nmで、圧倒的な悪路走破力と牽引性能を誇りました。2021年発売の現行300系ではV8は廃止され、3.5Lツインターボ(V35A-FTS)に変更されています。
| 型式 | 1UR-FE |
|---|---|
| 種類 | V型8気筒 |
| 排気量 | 4,608cc |
| 最高出力 | 234kW/5,600rpm |
| 最大トルク | 460Nm/3,400rpm |
| 燃費 | 6.9km/L |
3UR-FE型V8エンジンを搭載するレクサスLX
5,662ccのV8エンジンを搭載する現行レクサスLX
レクサスLXはランドクルーザーの兄弟車で、現在もV8エンジン搭載グレードを継続しています。「3UR-FE」型V8エンジンを搭載し、排気量5,662cc、最高出力277kW、最大トルク534Nm、燃費6.5km/Lです。現行LXには3.5Lツインターボ(V6)モデルも追加されていますが、V8搭載グレードも継続販売中です。
| 型式 | 3UR-FE |
|---|---|
| 種類 | V型8気筒 |
| 排気量 | 5,662cc |
| 最高出力 | 277kW/5,600rpm |
| 最大トルク | 534Nm/3,200rpm |
| 燃費 | 6.5km/L |
2UR-GSE型V8エンジンを搭載するレクサスGS F・RC F・LC 500
名機と呼ばれる2UR-GSEエンジンを採用
RC FはGS Fと同じV型エンジンを搭載
フラッグシップクーペのLCはV型エンジンを搭載するモデルをラインナップ
レクサスのFシリーズを代表する「2UR-GSE」型V8エンジンは、GS F・RC F・LC 500の3モデルに搭載されています。排気量4,968cc、最高出力351kWという高回転型自然吸気エンジンで、レクサス Fの名に恥じないサウンドとパフォーマンスを持ちます。なお、GS FはベースとなるレクサスGSの販売終了(2020年)にともない現在は注文が難しい状況ですが、RC FとLC 500は継続販売中です。
| 型式 | 2UR-GSE |
|---|---|
| 種類 | V型8気筒 |
| 排気量 | 4,968cc |
| 最高出力 | 351kW/7,100rpm |
| 最大トルク | 530~540Nm/4,800~5,600rpm |
| 燃費 | 7.8~8.2km/L |
V型10気筒(V10エンジン)
V10エンジンはレクサスLFAのために開発された専用エンジンで、量産日本車にV10を搭載したのはLFAが唯一の例です。
レクサスLFA(販売終了):日本車唯一のV10エンジン
レクサス唯一のV10エンジンを搭載
レクサスLFAは2010年から2012年にかけて500台限定で販売されたFシリーズのフラッグシップです。エンジン型式は「1LR-GUE」、排気量4,805cc、最高出力412kW(8,700rpm)、最大トルク480Nmで、8,700rpmという超高回転域に最高出力を発生するレーシングエンジンに近い特性を持ちます。現在は中古車市場でのみ取引されており、価格は数千万円台に達する個体も多くあります。
| 型式 | 1LR-GUE |
|---|---|
| 種類 | V型10気筒 |
| 排気量 | 4,805cc |
| 最高出力 | 412kW/8,700rpm |
| 最大トルク | 480Nm/7,000rpm |
V型12気筒(V12エンジン)
V12エンジンはロールス・ロイスやベントレーなど世界最高峰の高級車に用いられる究極の多気筒エンジンです。日本車では2代目(1967〜2017年)のトヨタ センチュリーがV12を搭載していましたが、2018年発売の3代目ではV8(5.0L)ハイブリッドに変更されており、現在V12搭載の現行日本車は存在しません。
日本車唯一のV12エンジンを搭載したセンチュリー 2代目(販売終了)/トヨタ
V型12気筒エンジンを搭載した2代目センチュリー
2017年まで販売された2代目トヨタ センチュリーは、日本車唯一のV12エンジン搭載車でした。エンジン型式「1GZ-FNE」はセンチュリー専用設計で、排気量4,996cc、最高出力206kW、最大トルク460Nm、燃費7.6km/Lを記録していました。2018年発売の3代目は5.0L V8ハイブリッドに変更されており、日本車のV12は幕を下ろしました。
| 型式 | 1GZ-FNE |
|---|---|
| 種類 | V型12気筒 |
| 排気量 | 4,996cc |
| 最高出力 | 206kW/5,200rpm |
| 最大トルク | 460Nm/4,000rpm |
| 燃費 | 7.6km/L |
V8・V12エンジン=うるさいは誤解:静粛性に優れた高級車に採用されてきた歴史
V8やV12と聞くと「大排気量でうるさい」というイメージを持つ人もいます。1960〜70年代のアメリカン マッスルカーに搭載されたV8エンジンが派手なサウンドで有名だったことが影響しているのかもしれません。
高級車の静粛性を支えてきたV型多気筒エンジン
「V8・V12=うるさい」は大きな誤解です。たとえばトヨタのセンチュリーは初代(1967年)からV8エンジンを搭載してきましたが、その静粛性は最高水準として知られています。世界的な高級車ブランドのロールス・ロイスもV12エンジンを搭載しながら極限の静寂性を誇ります。
初代センチュリー
V型エンジンは気筒数が多いほど燃焼の間隔が均等になり、振動が小さくなる特性を持つため、静粛性が求められる高級車に好んで採用されてきた歴史があります。
エンジン音の大小はマフラー(消音器)の仕様次第
走行音が大きいかどうかは、基本的にマフラー(サイレンサー)の設計と消音性能の問題です。V12エンジンを積んでいても、適切なマフラー設計によって十分な静粛性を実現することは可能です。スーパーカーは迫力あるサウンドを演出し、高級セダンは静粛性を最優先とする。どちらもエンジン特性ではなく、車の個性に合わせたサウンドチューニングの結果にすぎません。
電動化・ダウンサイジングによりV型エンジン搭載日本車は減少傾向に

かつてV6搭載が当たり前だった高級ミニバン(アルファード・ヴェルファイア)は現行型でV6を廃止し、V8搭載のランドクルーザーも現行型300系ではV6ツインターボへ移行しました。レクサスGSはすでに販売を終え、ホンダのレジェンドやNSXも製造を終了しています。
現在新車で選べるV6搭載の国産車は、日産GT-R・スカイライン・フェアレディZ(V6ターボ)、レクサスLS・IS・RC・LCなど限られたモデルになっています。V8はレクサスRC F・LC 500・LXなどに残存しています。V10・V12の現行国産車は存在せず、いずれも中古車市場でのみ入手可能です。排気量とシリンダー数を競う時代から、電動化・ダウンサイジングターボが主流となった現在、V型多気筒エンジンの系譜を継ぐ車種は貴重な存在となっています。




























