e-BOXER(eボクサー)の仕組みや性能

フォレスターへ初搭載のe-BOXERとは?今後の搭載車種や燃費性能など

e-BOXERはスバル独自で開発されたマイルドハイブリッドシステム。搭載第一号車種は5代目となる新型フォレスターで2018年4月14日に発売。e-BOXERとはどのようなハイブリッドエンジンなのか、気になる燃費性能や今後の搭載車種、e-BOXERの進化の予想などを解説。

フォレスターへ初搭載のe-BOXERとは?今後の搭載車種や燃費性能など

フォレスターから搭載される新ハイブリッドエンジン「e-BOXER」

2018年7月19日から販売が開始される5代目の新型フォレスターですが、少し遅れた2018年9月14日から販売されるハイブリッドモデルに注目が集まっています。
そのハイブリッドモデルのパワートレインに名づけられたのが今回解説する「e-BOXER」です。
e-BOXERの性能や導入の経緯、今後追加されるe-BOXERハイブリッドエンジンを搭載する車種を予想します。

e-BOXERとはスバルが独自で開発したハイブリッド技術

新型フォレスターe-BOXERを搭載した新型フォレスター

e-BOXER(eボクサー)とはスバルが独自に開発したハイブリッドシステムで、2012年から2017年にかけて販売されたスバルXVに搭載されたハイブリッドエンジンの進化版です。
XVに搭載されたバッテリーはニッケル水素電池を採用していましたが、e-BOXERは小型軽量でより多くの大容量の電気を蓄えられるリチウムイオン充電池に変更されています。

スバルのドライブアシスト「SI-DRIVE」の制御を変更したことで、モーターならではのパワフルなアシストによりガソリンエンジンを上回る加速力を発揮します。

また、2018年4月に行われた北京モーターショーで発表された「INTELLIGENT BOXER」はe-BOXERを指すとみられ、正式名称がe-BOXERなのか、または海外での名称がINTELLIGENT BOXERになるのか、スバルから公式発表はされていません。

e-BOXERはエンジンを補助するマイルドハイブリッドを採用

ハイブリッドと言えば、プリウスやアクアなどハイブリッド専用車種を販売しているトヨタが有名ですが、e-BOXERはトヨタの採用するハイブリッドシステムとは違います。

トヨタは高電圧のモーターを採用した「ストロングハイブリッド」を採用していますが、スバルのe-BOXERは電圧の低いシンプルな「マイルドハイブリッド」になっています。
両者のハイブリッドの仕組みの違いは「モーターのみで走行ができるか」で、マイルドハイブリッドはモーターのみで走行はできず、あくまでエンジンの補助的な役割を果たします。
例外としてスズキのマイルドハイブリッド、Sエネチャージは「クリープ走行時に限り10秒間のモーター走行が可能」になっています。
新型フォレスターのAdvanceグレードで初めて採用されたe-BOXERはモーターでエンジンを「アシスト」するマイルドハイブリッドのため、モーターのみで走行することはできません

e-BOXERの燃費は?新型フォレスターを参考に紹介

e-BOXER搭載の新型フォレスターAdvanceのエクステリアe-BOXERを初採用した新型フォレスターのAdvanceグレード

気になるe-BOXERの燃費を、初めて採用される新型フォレスターの燃費を参考に紹介します。
ガソリンモデルTouringグレードとe-BOXER のハイブリッドモデルAdvanceグレードのJC08モード燃費とWLTCモード燃費の比較です。

新型フォレスター ガソリンモデルとe-BOXERの燃費
グレード Touring
(ガソリン)
Advance
(e-BOXER)
e-BOXER
燃費差
JC08モード燃費 14.6km/L 18.6km/L +4km/L
WLTCモード燃費 13.2km/L 14.0km/L +0.8km/L
市街地モード燃費(WLTC-L) 9.6km/L 11.2km/L +1.6km/L
郊外モード燃費(WLTC-M) 14.6km/L 14.2km/L -0.4km/L
高速道路モード燃費(WLTC-H) 16.4km/L 16.0km/L -0.4km/L

意外なことに郊外モードと高速道路モードはガソリンモデルの方が燃費性能は優秀になっています。
レジャーなどで遠乗りがメインの方はガソリンモデル、通勤や通学など近距離の街乗りメインの方はe-BOXER、というように使い方次第でe-BOXERを効率よく活用できるでしょう。

今後e-BOXERを搭載する車種が増える

今後e-BOXER採用の期待が高い新型XV2017年までハイブリッドエンジンを搭載していたXV 今後e-BOXERを採用することが期待される

スバルが独自開発したe-BOXERですが、今後採用車種が増えると考えられています。
現在は新型フォレスターのみですが、次の車種に選ばれるのがXVとみられています。

XVはスバルのSUVで、2012年から2017年にe-BOXERの前身となるハイブリッドシステムを搭載している実績があります。
2017年にはインプレッサに次ぐ25,705台を販売し、その人気の高さから2018年から2019年にかけて年次改良でe-BOXERが追加へ最も期待の大きいモデルです。

その他にもフラッグシップワゴンのレヴォーグや、海外で絶大な人気を持つアウトバックも年次改良でe-BOXERを追加する可能性が高いです。
スポーツモデルのWRX S4やSTI、2ドアクーペのBRZは走行性能がウリのためe-BOXERの追加は遅れる可能性が考えられます。

2020年にe-BOXERはトヨタの技術で進化

トヨタと共同開発したBRZエクステリア2012年にトヨタと共同開発したスポーツクーペBRZ フルモデルチェンジで進化したe-BOXERを搭載する可能性がある

スバルは2005年にトヨタと業務提携しています。

そのためトヨタのモーターのみで走行できるストロングハイブリッド技術(THS2)を基にした新たなハイブリッドシステムを2020年までに開発すると予想されています。

マイルドハイブリッドのe-BOXERが進化した新たなハイブリッドエンジンは、2012年にスバルとトヨタが共同で開発した2ドアクーペのBRZと86に、2021年のフルモデルチェンジのタイミングで搭載されるという見方もあるため、今後の発表に期待しましょう。

スバル新ハイブリッドシステムe-BOXERの進化に期待

e-BOXERエンジンを搭載した車

新型フォレスターのパワートレインに初採用されるe-BOXERは、1966年に誕生したスバルの水平対向エンジン「SUBARU BOXER(スバル ボクサー)」の「BOXER」の名前を受け継いでいます。

トヨタのように燃費性能を向上させるために導入したのではなく、運動性能を向上させるためにe-BOXER導入したのがスバルらしさを感じます。
伝統的な名前を受け継ぐシステムなので今後どのような進化をするのか期待されます。