ガソリン車とディーゼル車どっちがお得?メリット・デメリットや仕組みの違い
最近になってカーラインナップに増えてきたディーゼル車は、クリーンディーゼルエンジンと呼ばれるエンジンを搭載し、従来問題になっていた黒煙を吐きだすディーゼル車は、現存車を除き無くなりました。
新車を購入するときにクリーンディーゼルエンジン車を検討することもあるかと思いますので、ガソリン車とディーゼル車の違い、メリットやデメリット、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンを搭載している車両などを紹介します。
ガソリン車は出力が高く、車両価格が安くなるメリットがありますが、燃料は軽油に比べて高いことがデメリットです。
また、ディーゼル車はトルクがあるため加速が良く、燃料の軽油は安いですが、ターボがついているためエンジンオイル交換の頻度が高い、車両価格が高くなるなどのデメリットもあります。それぞれのメリット・デメリットがあるため、自分にピッタリのエンジンを選ぶことが大切です。
ガソリン車のメリットは車両価格がディーゼルに比べて安いこと・出力が大きいこと
ガソリンエンジンはコンパクトカーから軽自動車、大型セダンやミニバンなど色々な車に搭載されている
ガソリン車を選ぶメリットは、「ディーゼルエンジンに比べて車両価格が安いこと」「出力(馬力)が大きいこと」です。自然吸気のNA車ならば、エンジンオイル交換の頻度もターボ車に比べて低いため、維持費もかかりにくいです。
ガソリンエンジン車のメリット・デメリット
- 馬力が大きく最高速度が速い
- NA車ならオイル交換頻度が低い
- ディーゼル車に比べて車両価格が安い
- 燃料がディーゼル車に比べて20円~40円高い
ほかにも、ディーゼル車に比べてガソリン車のほうが車両価格が安い傾向にあり、マツダのMAZDA2を例に挙げると、ディーゼル車の「XD」は199万円からなのに対し、ガソリン車の「15S」は157万円の価格設定になっていて42万円も安く購入できます。
もちろんガソリン車にもデメリットがあり、燃料がレギュラーかハイオクのため軽油よりも燃料代が高くつき、さらにディーゼル車よりも燃費が悪い傾向にあります。特にV6エンジンなど性能が高いエンジンを積んでいる車は、ハイオクを燃料として使うことが多いため注意が必要です。
ガソリン車は燃料をスパークプラグで発火させエンジンを作動
ガソリンエンジンはスパークプラグと呼ばれる部品で火花を散らし燃料に点火してピストンを動かしている
ガソリンエンジンは、現在販売されている車のほとんどにラインナップしているエンジンで、レギュラーガソリンやハイオクガソリンを燃料としています。ガソリンエンジン内部では、噴射されたガソリンをスパークプラグで発生させた火花に引火させ、爆発することで絶え間なくピストンを回しエンジンを動かしています。
ガソリンエンジンには直3や直4・V6などの呼び方がありますが、それらはピストンの数や並べ方で分けられています。軽自動車やコンパクトカーには主に3気筒エンジンが、高級セダンなどには直列4気筒ターボや直列6気筒またはV6エンジンが搭載されていることが多く、スバルの車には水平対向エンジンが搭載されています。
ガソリンエンジンの主な種類
- 直列3気筒(3つのピストンが直列に並ぶ形)
- 直列4気筒(4つのピストンが直列に並ぶ形)
- V型6気筒(6つのピストンが\/のようにV型に並んでいる)
- 水平対向4気筒(縦やナナメではなく、横方向(水平)にピストンを4つ並べた形)
2019年あたりの新型車は排気量の大きなV6やV8エンジンが搭載されることは少なくなり、コンパクトカーでも直3エンジンを搭載していることが多いです。フィアットの車には、ツインエアと呼ばれる直列2気筒エンジンもあります。排気量は小さく燃費のいいエンジンです。
ディーゼル車のメリットは燃料がガソリンに比べて安いこと・トルクが大きいこと・燃費がいいこと
ランドクルーザープラドは2015年のマイナーチェンジによりディーゼルエンジンが復活した
ディーゼル車のメリットといえば、なんといっても燃料である軽油がガソリンに比べて安いことです。また、ディーゼル車のほうが燃費もいいため、ランニングコストはかかりにくいです。走行性能はほとんどの車にターボが搭載されているため、トルクがありグッとした加速を体験できるでしょう。
ディーゼル車のメリット・デメリット
- トルクが大きく加速がいい
- ガソリン車に比べて燃費がいい
- 独特のガラガラというエンジン音がする
- ディーゼル車のほうが車両価格は高い
- 燃料が軽油なため燃料代がかかりにくい
- ターボを搭載しているためエンジンオイル交換の頻度が高い
加速がよく燃費もいいディーゼル車はメリットだらけに思えますが、ガソリン車に比べてディーゼル車は車両価格が数十万円高い傾向にあります。ほかにも、ターボを搭載しているためエンジンオイルの交換頻度が高く、オイル代がガソリン車に比べて高くつきます。
ディーゼル車は軽油を自然発火させてエンジンを動作させている
ディーゼルエンジンは高温・高圧となった気筒に軽油を噴射し自然発火させピストンを動かしている
ディーゼルエンジンは乗用車やSUVを中心にラインナップしていて、最近発売されたディーゼル車は、クリーンディーゼルエンジンと呼ばれる汚い排気ガスを出しにくいエンジンです。ディーゼルエンジンといえば、従来は真っ黒な排気ガスをもくもく出して走るイメージでしたが、最近のディーゼルエンジンは、黒煙を出さないクリーンな印象となっています。
ディーゼルエンジンは、筒内に軽油を噴射し自然発火させてピストンを動かしているためスパークプラグは装備しておらず、かわりに軽油を筒内に噴射するインジェクターが備わっています。筒内へ噴射された軽油はピストンで圧縮された高温・高圧の空気に触れ自然発火し爆発します。そのエネルギーでピストンを下げ再び空気を圧縮し爆発を繰り返してエンジンを回しています。
ディーゼルエンジンの種類もガソリンエンジンと同様ですが、直列4気筒が主に作られていて一部にV型エンジンが採用されています。また、ディーゼルにはほとんどのエンジンにターボが搭載されていて、低速からのトルクがモリモリあるのが特徴です。
クリーンディーゼル車は税金の優遇措置が受けられるケースもあり!
クリーンディーゼル車は、環境性能に優れた車として税金の優遇措置を受けたり、国や自治体から新車購入時に補助金が出ることもあります。
税金の優遇措置に関しては、今後状況が変わる可能性もあるので、メリットの項目とは別に紹介します。
クリーンディーゼルは「CEV補助金」として購入金額の一部補助あり
クリーンディーゼル車は、環境性能に優れた車への優遇措置「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)」の対象となるケースがあります。対象車種は、最大15万円購入費用の補助が受けられます。
ただし、クリーンディーゼル車のCEV補助金は、かつては最大35万円でしたが、搭載車種が増えた結果、上限金額が15万円に引き下げられた経緯があります。このままいくと、クリーンディーゼル車への補助はなくなる可能性もあります。
CEV補助金は、国産車の場合、多くは1.5~3.5万円程度の補助なので、金額は大きくありません。
ですが、手続きは簡単なので、申請しておくに越したことはないでしょう。
自動車重量税や自動車取得税なども非課税
クリーンディーゼル車は、エコカー減税の対象になっているため自動車重量税は全額免除、環境性能割り(旧「自動車取得税」に相当)も非課税です。
ガソリン車とディーゼル車をラインナップしているメーカーはマツダだけじゃない!トヨタや三菱もある
トヨタのランドクルーザープラドはガソリンエンジンとディーゼルエンジンの2種類をラインナップしている
ガソリン車とディーゼル車をラインナップしているメーカーは最近だとマツダが目立っていますが、トヨタや三菱など色々なメーカーがガソリン車だけではなく、ディーゼル車もラインナップしています。さっそく、各メーカーにどのような車がラインナップしているのか、ガソリンやディーゼルの価格帯や車種をチェックしていきましょう。
マツダは乗用車からSUVまでほとんどの車種にガソリンとディーゼルの両方をラインナップ
マツダといえば、一昔前はロータリーエンジンのメーカーというイメージでしたが、最近はスカイアクティブテクノロジーを用いたディーゼルエンジンやガソリンエンジンが好調です。コンパクトカーから大型のSUVまで色々な車種にラインナップしていて、近年のディーゼルエンジンの普及に一役かっていると感じます。
車種 | ガソリン | ディーゼル |
---|---|---|
MAZDA2 | 1,529,000円~ | 1,903,000円~ |
MAZDA3 ファストバック | 2,288,000円~ | 2,868,800円~ |
MAZDA3 セダン | – | 2,868,800円~ |
MAZDA6 セダン・ワゴン | 2,962,300円~ | 3,382,500円~ |
MAZDA CX-3 | 1,925,000円~ | 2,317,000円~ |
MAZDA CX-30 | – | 2,953,500円~ |
MAZDA CX-5 | 2,766,500円~ | 3,085,500円~ |
MAZDA CX-8 | 2,994,200円~ | 3,377,000円~ |
三菱はパジェロやデリカなど昔ながらのSUVにはディーゼルを設定しているがアウトランダーなどのクロスオーバーSUVにはラインナップしていない
三菱のディーゼル車はフラッグシップSUVのパジェロと、ミニバンでもありSUVでもあるファミリーカーのデリカに搭載されています。パジェロには排気量3.2Lのパワフルなディーゼルエンジンが搭載され、デリカには2.3Lのエンジンが積まれています。
また、デリカD:5は2019年2月15日にビッグマイナーチェンジを行い、新型デリカD:5はディーゼル仕様車になり旧型デリカD:5はガソリン仕様車となりました。
車種 | ガソリン | ディーゼル |
---|---|---|
デリカD5 | – | 4,001,800円~ |
トヨタではSUVのほかにもバンやトラックにもディーゼルをラインナップしているがフラッグシップのランドクルーザーには搭載されていない
トヨタにもディーゼルエンジンを搭載している車種がラインナップしていて、SUVのランドクルーザープラドのほかに、商用バンのハイエース、仕事にも遊びにも使えるハイラックスの3車種に設定されています。すべてのディーゼルエンジンは尿素水を使った浄化システムを採用しているため、定期的なアドブルーの補充が必要です。
車種 | ガソリン | ディーゼル |
---|---|---|
ハイラックス | – | 3,527,000円~ |
ランドクルーザープラド | 3,676,000円~ | 4,330,000円~ |
ハイエース バン | 2,392,100円~ | 3,227,200円~ |
ガソリン車とディーゼル車のリセールバリューはどう考えるべきか
車を購入する際には、手放す際のリセールバリューを考慮する人も多いでしょう。高く売れるのはガソリン車か、ディーゼル車か、車種や売却時の情勢も影響するので一概にはいえませんが、知っておきたいポイントをまとめました。
なお、クリーンディーゼル車を対象としたCEV補助金を受け取っている場合は、3~4年の車両保有が義務付けられており、規定年数未満で手放す場合は補助金の一部返納が必要です。
ディーゼル車の下取りは数年先の流行や世論に左右される可能性がある
日本は、世界的に見てもガソリンより軽油が圧倒的に安い国です。「燃料代が安い」というディーゼル車のメリットは簡単には揺るぎません。
しかし、近年注目を浴びているクリーンディーゼル車は、メンテナンス費用の高さや近距離短時間の走行だと煤(スス)が溜まりやすいなどの問題も抱えています。
ガソリンに比べてシェアの小さいディーゼル車は世論や流行の影響を受けやすく、リセールバリューが変動しやすいと考えておきましょう。ネガティブな情報が拡散したらリセールバリューが影響を受ける可能性は捨てきれません。そこまで深刻なものでなくても、5年も経てば市場での評価は変わってきます。
なお、ディーゼル車は欧州で高い人気を誇りますが、CO2規制が年々厳しくなっているのは周知の事実。ディーゼル車の世界的な人気がどうなるかは不透明です。
本格オフロードSUVなら高トルクのディーゼルは根強い人気
「ディーゼル車でリセールバリューが高い車」と言われてまず思い付くのは、オフロードも走れる本格SUVです。本格SUVカテゴリでは、「ディーゼル車特有のトルクフルな走り」を愛するユーザーが多数存在しています。
もちろん「ディーゼルも人気がある」からといって、必ずしもガソリンよりディーゼルのリセールバリューが高いかどうかは車種によります。
ディーゼル購入9割など人気が集中している車種もある
「SUVミニバン」を名乗る三菱のデリカD:5は9割がディーゼルモデル購入者です。2019年には、ガソリンモデルは従来モデルを継続販売、ディーゼルモデルのみビッグマイナーチェンジと思い切った「選択と集中」を行いました。
デリカD5のようにガソリンとディーゼル両方ラインアップしているものの、ディーゼルに人気が集中している車もあります。
購入する車種の人気モデルはどれなのか、日本だけでなく海外での人気も含めて把握できれば、リセールバリューはどちらが有利なのか答えが見えてきます。
ガソリン車とディーゼル車はそれぞれ良い所と悪いところがある!予算や好みに応じて検討
ディーゼル仕様はガソリン仕様に比べて燃費もよく燃料もレギュラーに比べて20円ほど安い軽油を使っていますが、車両価格は30~40万円ほど高くなる傾向にあります。
ターボを搭載しているためエンジンオイル交換の頻度も高いので、燃費がよくて軽油が安いという理由だけで購入し、数年乗っただけで手放すと結局ガソリンモデルのほうを買ったほうが安く済んだということになりかねないため注意が必要です。しかし、試乗してみると分かりますがディーゼルエンジンが持つ加速力やトルクはガソリン車にないものがあるため、走行性能はとっても魅力的です。
ほかにも、ディーゼルエンジンには特有のガラガラ音がするためガソリン車に比べるとうるさいのが現実にあります。その音を「心地いい」と思うか「騒音だ」と思うかによっても好みが分かれるでしょう。10万km以上の長い付き合いになるなら乗った時の気持ちも考えなければなりません。
ガソリン車を購入するかディーゼル車を買うのか、それぞれのメリット・デメリットを考えながら検討してみてください。