映画に登場する有名になった車

映画に登場して有名になった車をジャンル別に厳選紹介!劇中車と名シーンを振り返る

バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンから頭文字DのAE86、あぶない刑事のレパードまで、映画で有名になった車を一挙紹介。各車のエピソード、当時の販売事情、現在の中古市場の動向もわかります。

映画に登場して有名になった車をジャンル別に厳選紹介!劇中車と名シーンを振り返る

映画に登場して有名になった車50選:ジャンル別に名作の劇中車と名シーンを振り返る

バックトゥザフューチャーのデロリアンや、あぶない刑事のレパードのように映画に登場したことがきっかけで有名になった車をピックアップし、アクション、SF、アニメ、恋愛などジャンル別に分類してみました。

気になるジャンルの映画に登場する劇中車を、作品のエピソードや名シーンとあわせてチェックしてみましょう。

SF映画の有名な車:タイムトラベルや戦闘ロボに変身して夢を与えてくれた劇中車

『バックトゥザフューチャー』シリーズでタイムマシンのベース車となったことで、マイナーな車から一躍世界的な知名度を得たデロリアンなど、各車がどのようなシーンで登場したのかを名シーンとあわせて紹介します。

デロリアン・DMC-12:『バックトゥザフューチャー』のタイムマシンとして登場した世界的に有名な車

  • デロリアンDMC12のエクステリア「デロリアン」は主人公マーティと親友の科学者であるドクがタイムトラベルに用いる劇中車として登場した事がきっかけとなり一躍有名となった車
  • デロリアンDMC12デロリアンDMC12

1985年に第一作目が公開された『Back to the Future(バック・トゥ・ザ・フューチャー)』は、スティーブン・スピルバーグが制作総指揮を務め、ロック好きで冴えない高校生マーティと、親友の科学者ドクが繰り広げるSF冒険活劇です。PART3まで続編が制作された本作は、SF映画の枠を超えて史上最高の映画の一つとして高い評価を受け続けています。

制作総指揮 スティーブン・スピルバーグ
監督 ロバート・ゼメキス
出演 マイケル・J・フォックス / クリストファー・ロイド / トーマス・F・ウィルソン

シリーズを通じて劇中車として登場したデロリアン・DMC-12は、科学者ドクが次元転移装置や発電装置を搭載させ、未来や過去へのタイムトラベルを可能とするために改造に用いたベース車でした。間近で見ると、無塗装ステンレスのボディは指紋が残るほど繊細な仕上げで、ガルウィングを開けたときのスケール感は写真以上の存在感を放ちます。

同車はメーカーがすでに倒産して生産を終えたマイナーモデルでしたが、世界的な大ヒット作のタイムトラベルシーンに度々登場したことで脚光を浴び、一躍有名な車となりました。

世界でも数少ないガルウィングを採用するデロリアンDMC-12は、作品の影響を受けて、旧型や新生産車をベースに架装を施した「映画仕様タイムマシンモデル」が複数リリースされ、近年はEVモデルとしての復活販売プロジェクトも進められています。マイナー車ならではの専門整備の難しさは長期使用で指摘されやすく、部品供給は一部の専門ショップに依存するケースが見られます。コレクター向けに価格は上昇傾向にあり、当時の販売価格を大きく上回って取引される事例も珍しくありません。

シボレー・カマロ:『トランスフォーマー』でバンブルビーが擬人化する車として若者にも有名になった

シボレーカマロのエクステリアChevrolet Camaro「シボレーカマロ」は、シリーズ1作目~5作目までの監督を務めたマイケル・ベイが同車のファンであったという理由から、主人公を守るロボット・バンブルビーとして選ばれた

2007年に第1作目が公開された『トランスフォーマー』は、タカラトミーがアメリカのハズブロ社と業務提携して販売していた変形玩具ロボット・トランスフォーマーをルーツとし、アニメ化もされていた作品をベースに制作した、若年層を中心に支持されているSF映画の人気シリーズです。

監督 マイケル・ベイ
原作 タカラトミー・ハズブロ『トランスフォーマー』

『トランスフォーマー』シリーズで、超ロボット生命体・トランスフォーマーの総司令官コンボイの命令を受けて、地球を観測する任務を果たすためにバンブルビーが擬態する車として選ばれたシボレー・カマロは、1作目の主人公サムたちを守るために大活躍したことで有名となりました。

1作目から5作目までの監督を務めたマイケル・ベイ氏が同車のファンであったことから選ばれたカマロは、劇中車のコンセプトモデルを市販化させて日本にも輸出を行い、作品の魅力を通じて若年層にクルマへの興味を抱かせるきっかけを与えた一台でもあります。スピンオフ作品『バンブルビー』(2018年)では一転して1967年式VWビートルが擬態モデルとして起用されており、ファンの間ではどちらの世代が好みかで議論が分かれます。

フォード・ファルコンXB:『マッドマックス』のインターセプターのベース車として有名になった

ファルコンXBのエクステリアフォード・ファルコンXBは『マッドマックス』の第1作目で、メル・ギブソン演じる主人公マックスが乗車するインターセプターのベース車であった事から知名度をあげた

1979年に公開された『MADMAX(マッドマックス)』は、主演俳優メル・ギブソンと、監督を務めたジョージ・ミラーを国際的なスターへと押し上げた、オーストラリア発のSFアクション映画です。

オーストラリアの荒廃した近未来都市で、犯罪を繰り返し凶悪化する暴走族と、取り締まりを強化する特殊警察M.F.Pが繰り広げる壮絶なアクションシーンは各国で話題を集め、世界的なヒットを記録しました。その後シリーズ化され、多数の劇中車が登場したことでも話題を集めています。

監督 ジョージ・ミラー
出演者 メル・ギブソン / ジョアン・サミュエル / ティム・バーンズ

『マッドマックス』とその続編にあたる『マッドマックス2』の主演俳優メル・ギブソンが演じる、親友や妻子を暴走族に殺害されたM.F.P所属のマックスが、暴走族と激しいカーチェイスを繰り広げる際に登場するインターセプターのベース車であった「Ford Falcon XB(フォード・ファルコンXB)」は、オーストラリア以外の国々でも有名になった車です。

フォード・オーストラリア社が生産・販売を行っていたファルコンXBは、作品の影響を受けたコアなファンが、同車を購入して劇中車のように改造を施す事例も多く、専用パーツを供給するレストアショップが世界各国に存在します。新作『マッドマックス:フュリオサ』(2024年)公開も追い風となり、ファルコンXBの相場はじわじわと上昇している傾向があります。

アクション映画の有名な車:派手なカーチェイスを繰り広げた劇中車

劇中で臨場感のあるド派手なカーチェイスを繰り広げ、敵対する悪人らを退治して気持ちをスカッとさせてくれるアクション映画。そんな作品に登場して有名になった車を紹介します。

トヨタ「スープラ」:『ワイルド・スピード』でブライアンがフェラーリF355GTSに勝利するシーンに登場

スープラのエクステリア劇中に登場した1994年製のオレンジメタリックカラーの「Supra(スープラ)」は、搭載されていたNAエンジンをターボ化させて、日本から取り寄せてチューニングを施してハイパフォーマンスを実現

2001年公開の『ワイルド・スピード』は、ロサンゼルスの街中でゼロヨンに熱中する魅力的な登場人物たちと、実際のストリート・レースで競い合っていた多数の四輪自動車やバイクが登場し、スリリングで臨場感のあるレースシーンが評価されているカーアクション映画です。

リブート版やスピンオフ作品も含めれば多数のシリーズ作品を展開している『ワイルド・スピード』シリーズには、三菱ランサーエボリューション、マツダRX-7、日産スカイラインGT-R、ホンダNSX、シボレー・コルベット、フォードGT40、ポルシェ・ケイマン、ダッジ・チャージャーなど、数多くの車が劇中車として登場します。本シリーズは2026年現在で世界興行収入累計70億ドルを超える大ヒットシリーズに成長しました。

監督 ロブ・コーエン
出演 ポール・ウォーカー/ ヴィン・ディーゼル / ジョダーナ・ブリュースター

1994年製のオレンジメタリックカラーのトヨタ「Supra(スープラ)」は、シリーズ1作目で廃車寸前であった車両に対して、ポール・ウォーカー演じるブライアンがエンジンをターボ化して出力を引き上げ、TRD製のボンネットへと変更し、APR Performance製のリアウイングを装着して空気抗力を低減化させる改良を施しています。ゼロヨンでフェラーリF355GTSに勝利するシーンなど物語の重要な場面に登場し、有名になった車として記憶されています。

劇中のスープラはオレンジに2 FASTとレタリングされた仕様で、目の前にすると派手なデカールにもかかわらず90年代国産スポーツらしい低く構えたフォルムが際立つ印象を受けます。長期使用で見えてくるのは、A80型スープラは2JZ-GTEエンジンの耐久性とチューニング耐性の高さが圧倒的で、海外オーナーから一般的に聞かれるのは「適切な整備さえ続ければ走行20万kmを超えても元気に走る」という声です。

フォード・マスタングGT:『Bullitt(ブリット)』でマックイーン自身が運転するカーチェイスに登場

マスタングGTのエクステリア劇中でマックイーン自身が運転する1968年型「マスタングGT390」は、ヒットマンが乗る1968年型ダッチ・チャージャーとサンフランシスコの街中で激しいカーチェイスを繰り広げた

1968年に公開された『Bullitt(ブリット)』は、スタントマンに頼ることなく自身でアクションシーンも演じたスティーブ・マックイーンが主演を務め、アメリカ国立フィルム登録簿協会が文化的・歴史的・芸術的に極めて完成度の高い価値を備えている作品として認定した、見応えのあるカーアクションも繰り広げられる映画です。

監督 ピーター・イェーツ
出演 スティーブ・マックイーン / ジャクリーン・ビセット / ロバート・ヴォーン
上映時間 113分

1968年型のフォード「MUSTANG GT390(マスタング GT390)」は、マックイーン演じるサンフランシスコ市警勤務のブリット警部補と、彼の命を狙うヒットマンが運転する1968年型ダッジ・チャージャーが、サンフランシスコの街並みでスリリングなカーチェイスを繰り広げるシーンに登場して有名になった車です。

劇中のマスタングはハイランドグリーンと呼ばれる落ち着いた深緑のボディカラーで、ホイールも装飾を抑えたシンプルなマグネシウムタイプを履きます。間近で見ると、当時のアメ車らしい大柄なボディに対し装飾を絞った仕様が際立ち、サンフランシスコの坂道を飛び跳ねながら駆け抜けるシーンの説得力に繋がっている印象を受けます。

フォード「マスタング」は、1960年代から1970年代にトップ俳優の地位を確立していたマックイーンの影響力も加味して好調なセールスを続け、アメリカを代表するスポーツカーとして定着しました。劇中の個体は2020年に米国の競売で約3.7億円という記録的な価格で落札され、映画史を語る上で外せない1台として再注目を集めています。

スバル「インプレッサWRX」:『ベイビー・ドライバー』冒頭6分のカーチェイスに登場

インプレッサWRXのエクステリアレッドのボディカラーが目立つ2006年製のSUBARU「IMPREZA WRX (インプレッサ WRX)」は作品の冒頭で展開される6分間のカーチェイスに登場して話題を集めた

2017年に公開された『Baby Driver(ベイビー・ドライバー)』は、第90回アカデミー賞で3部門にノミネートされたアクション映画です。天才的な運転技術が銀行強盗などを行う犯罪組織に認められ、犯行現場から犯人を逃がす「逃がし屋」の仕事をしていたベイビーが、幼少期の事故の後遺症で起きる激しい耳鳴りをかき消すために流す劇中歌も話題を集めました。

監督 エドガー・ライト
出演 アンセル・エルゴード / ケヴィン・スペイシー / ジョン・バーンサル
上映時間 113分

上映時間113分のなかで、激しいカーアクションシーンが全編に渡って展開される本作には、アメリカの街中で普通に見かけるフォード・トーラス、シボレー・アバランチ、ダッジ・チャレンジャーなど多数の車が劇中車として登場しています。

レッドのボディカラーがスクリーンに映える2006年製のスバル「インプレッサWRX」は、物語の冒頭6分間で、犯罪者を現場から逃がすために追跡してくる警察車両と繰り広げる激しいカーチェイスのシーンに登場し、スバリスト以外にも有名になった車です。同モデルは作品の影響もあって中古車市場での価格が上昇する傾向が見られました。

多くのオーナーが指摘するのは、ハッチバック型のインプレッサは荷物の積載性と走行性能のバランスが良く、日常の足としても扱いやすいという点です。週末の山道では水平対向エンジンと4WDによる安定したコーナリングが本領を発揮します。

日産「レパード」:『あぶない刑事』シリーズでタカ&ユージのカーチェイスに登場

レパードのエクステリアレパードはドラマシリーズや映画シリーズ通じて、タカ&ユージが犯人らを追跡する際に乗車する機会が多いので有名になった車

1986年に第1期テレビドラマが開始された『あぶない刑事』は、舘ひろし演じるダンディー鷹山ことタカと、柴田恭兵演じるセクシー大下ことユージの名コンビが繰り広げる、ユーモラスでコミカルな会話や、トレンディドラマのようなスタイリッシュなファッション性を取り入れた演出が評価され、従来の硬派なイメージが強い刑事ドラマを苦手としていた若年層の支持を得て社会現象を巻き起こした大ヒットシリーズです。

2024年5月には横浜港警察署を退職して探偵となったタカ&ユージが活躍する『帰ってきた あぶない刑事』が公開され、シリーズ8作目の劇場版として話題を集めました。前作『さらば あぶない刑事』(2016年)から8年ぶりの新作です。

同シリーズは、スペシャルドラマや全8作の映画のなかで、セドリックやスカイライン、フェアレディZなどの日産車を中心に、マセラティ・クアトロポルテやフォード・マスタングなど国内外の有名なクルマが劇中車として数多く登場しています。

制作 日本テレビ
出演 舘ひろし / 柴田恭兵 / 浅野温子 / 仲村トオル

昭和に開始され、令和の時代に新作が公開される『あぶない刑事』に登場する数多くの劇中車のなかでも日産「レパード」は、タカ&ユージが横浜に拠点を構える暴力団組織・銀星会の構成員らと激しいカーチェイスを繰り広げるアクションシーンなどに登場する機会の多い、あぶデカファンから最も支持されて有名になった車です。最新作『帰ってきた あぶない刑事』にも前期型レパードが登場し、初代の劇用車「港303」と異なりサンルーフが装着されるなど、当時の仕様との違いも注目されました。

あぶない刑事のドラマや映画がスタートする以前、レパードはトヨタのクーペフォルム高級車であるソアラと比較するとマイナーな存在でしたが、作品の大ヒットを受けて知名度を上げ、日産を代表する人気車種となりました。生産は1999年で終了しており、現在は中古車市場でしか入手できない希少車種です。実際に旧車として維持しているオーナーから一般的に聞かれるのは、走行距離が伸びてくると電装系のトラブルが起きやすい点と、年式相応にゴム類の劣化が進む点です。

シェルビーマスタングGT:『60セカンズ』でメンフィスが最後に盗む特別な車「エレノア」

シェルビーマスタングGTのエクステリア1967年製「SHELBY Mustang GT (シェルビーマスタングGT)」はニコラス・ケイジ率いる車の窃盗グループがエレノアと名付け最後に盗む特別な一台として登場した

2000年に公開された『Gone in Sixty Seconds(60セカンズ)』は、どんな車も60秒以内で盗むという窃盗団をテーマにした『バニシングin60』のリメイク版にあたるカーアクション映画です。窃盗グループのレジェンド的存在であるニコラス・ケイジ演じる主人公・メンフィスの恋人で仕事仲間でもあるスウェイ役を演じたアンジェリーナ・ジョリーは、本作がきっかけで国際的なムービースターへと駆け上がりました。

監督 ドミニク・セナ
出演 ニコラス・ケイジ / アンジェリーナ・ジョリー
上映時間 117分

闇の組織に監禁された弟の命を救うために、高級車を4日以内に50台集める取引を交わし、メンフィスがかつての仲間を集めて犯行を繰り返すというストーリーが軸となる本作には、ベントレー・コンチネンタル、ダッジ・デイトナ、フェラーリ・テスタロッサ、レクサスLS400、メルセデス・ベンツ300SL、ポルシェ911、ロールス・ロイス・ストレッチリムジンなどが劇中車として登場します。

エレノアと名付けられ最後に盗む車として選ばれた1967年製「SHELBY Mustang GT500(シェルビーマスタングGT500)」は、メンフィスにとって特別な思い入れのある車として登場し、パトカーとの壮絶なカーチェイスを繰り広げる場面、途中でエンストしてしまうシーン、キャリアカーの荷台を利用して大ジャンプを行うシーンなど物語の重要な局面に登場し、最も注目を集めて有名になった車です。間近で見ると、シルバーボディに2本の黒いセンターストライプ、レーシーな張り出したフェンダーが印象的で、ファストバックスタイルの伸びやかなルーフラインがこの個体の魅力を決定づけています。

アストンマーティン「DB5」:『007 ゴールドフィンガー』でゴールドフィンガーを追跡するシーンに登場

アストンマーティンDB5のエクステリアアストンマーティンDB5は劇中で大富豪のゴールドフィンガーが搭乗するユナイテッド航空のATL-98カーベアを追跡するシーンなどに登場して話題を集めた

1964年に公開された『Goldfinger(007 ゴールドフィンガー)』は、イアン・フレミングの小説を原作とし、架空の秘密情報部に所属する諜報員ジェームズ・ボンドが活躍するスパイアクション映画シリーズの第3弾です。

監督 ガイ・ハミルトン
出演 ショーン・コネリー / オナー・ブラックマン / ロイス・マクスウェル
上映時間 112分

Aston Martin(アストンマーティン)の「DB5」は、本作のタイトルにもなっている金の密輸を行っているゴールドフィンガーが乗車する航空機ATL-98カーベアを、搭載する総排気量3,995ccの直列6気筒DOHCエンジンのハイパフォーマンスを発揮して、ハイスピードで追跡するシーンなどに登場して有名になった車です。

アストンマーティン「DB5」は、本作以外にも『サンダーボール作戦』や『ゴールデンアイ』といった作品でもボンドカーとして選ばれ、ボンドシリーズを代表する車として認知されました。シルバーバーチと呼ばれる独特のメタリックシルバーが純正カラーで、目の前にすると控えめな塗装の輝きと丸みを帯びたフェンダーラインが、現代のスーパーカーとは異なる気品を漂わせます。劇中車の個体はサザビーズなどのオークションでたびたび出品されており、過去には20億円超の落札価格を記録した例もあります。

トヨタ「2000GT」:『007は二度死ぬ』でボンドカーに選ばれて日本車のイメージを変えた一台

トヨタ2000GTのエクステリアトヨタ「2000GT」はジェームズ・ボンドが乗車するボンドカーとして選ばれ、劇中ではオープンカー仕様車に改造されて登場していた

1967年に公開された『You Only Live Twice(007は二度死ぬ)』は、スパイアクション映画の金字塔ジェームズ・ボンドシリーズの第5作目にあたる劇場作品です。

本作では、イギリスの情報機関MI6からの命を受けて、アメリカが打ち上げた宇宙船ジュピター16号を捉えた謎の飛行物体の正体を探るべく、ジェームズ・ボンドが日本に派遣されました。若林映子と浜美枝が日本人として初めてボンドガールに選ばれ、姫路城など日本各地でロケが行われたことも話題を集めました。

監督 ルイス・ギルバート
出演 ショーン・コネリー / 若林映子 / 丹波哲郎 / 島田テル
上映時間 117分

本作でボンドカーとして選ばれたトヨタ「2000GT」は、主演を務めたショーン・コネリーが高身長であったため、作中ではオープンカー仕様車として改造され、丹波哲郎演じる諜報機関員タイガー田中の秘書アキ(若林映子)が、ボンドの命を救うために運転するシーンなどに登場し、日本以外の国においても有名な車となりました。

本作には2000GT以外にもクラウンなどのトヨタ車が劇中車として登場し、作品を通じて「日本車=小型で経済的な実用車」というイメージを覆すきっかけを与えました。2000GTはわずか337台の生産にとどまった希少車で、現存個体は世界的に1〜2億円規模で取引される国産旧車の最高峰の1台として知られています。

ミニクーパー:『ミニミニ大作戦』で地下鉄を疾走する印象的なシーンに登場

ミニクーパーのエクステリア本作で「ミニクーパー」は小さいボディの特徴を活かして金塊を取り戻すための作戦を実行するために、地下鉄のホームや排水溝を走るインパクトのあるシーンに登場して話題を集めた

2003年公開の『ミニミニ大作戦』は、1969年に公開された同名作品のリメイク版です。本作は金庫破りの窃盗グループに内紛が起きて、仲間を裏切って金塊を奪われてしまったチャーリーらが再びチームを結成し、元同僚から金塊を取り戻して復讐を行うのがストーリーの軸となるアクション映画です。

監督 F・ゲイリー・グレイ
出演 マーク・ウォールバーグ / シャーリーズ・セロン / エドワード・ノートン
上映時間 111分

本作のキャストの一員とも紹介されているミニクーパーは、奪われた金塊を取り戻す作戦を実行するために、小さい車体の特徴や機敏性を活かして市街地を疾走し、地下鉄の階段を下りホームを走り、排水溝から大ジャンプを披露するなどインパクトのあるシーンに登場して有名になった車です。劇中車はBMW傘下となった初代New MINI(R50系)のクーパーSをベースとし、ボディカラーは赤・白・青の3台で、これは1969年版オリジナルへのオマージュとして選定されています。

カーマニアから一般的に聞かれるのは、BMW MINIになって以降は走行性能と内装の質感が大幅に高まり、初代クラシック・ミニの愛らしさを残しつつ実用性が現代水準に引き上げられたという声です。狭い路地でも取り回しやすいサイズは、都市部の日常用途に向いています。

BMW「735i(E38)」:『トランスポーター』でフランクの愛車として登場した7シリーズ

BMW735iのエクステリアBMW735i(E38)は『トランスポーター』の第1作目で、プロの運び屋である主人公のフランクが愛車として目的地まで依頼品を届ける車として登場した事がきっかけともなり若者達にも有名になった車

2002年に公開された『トランスポーター』は、TAXiシリーズを手掛けたリュック・ベッソンがプロデューサーを務め、依頼者の名前は聞かない、依頼品は開けないなどの3つのルールを設けるプロの運び屋フランク・マーティンが、依頼者と敵対する組織との間で激しいカーチェイスを繰り広げるシーンも評価されている大ヒット映画です。

2015年には新キャストを迎えて第4作品目を公開した『トランスポーター』シリーズには、2と3でマーティンの愛車となるアウディA8や、ランボルギーニ・ムルシエラゴなど欧州メーカーの高級車が劇中車として多数登場しています。

監督 ルイ・レテリエ / コリー・ユン
制作・脚本 リュック・ベッソン
出演 ジェイソン・ステイサム / スー・チー / マット・シュルツ
上映時間 93分

BMW735i(E38)は『トランスポーター』シリーズに登場した劇中車のなかでも、特殊部隊で運転技術を磨いた経歴を持つフランクが圧巻のドライビングテクニックを披露し、物語の中盤で爆破されるシーンが印象深く、作品を通じて最も有名になった車として知られています。E38型の7シリーズは1994年から2001年まで生産された3代目で、品のある角ばったフロントマスクとロングノーズが特徴的なBMWの大型セダンです。

『トランスポーター』が公開される以前、BMWの大型セダンである7シリーズは年配の方が乗る車としてのイメージが強かったものの、作品の影響で若い世代からも注目される車となりました。E38型は現在では「ヤングタイマー」として人気が再燃しており、状態の良い個体は中古車市場で価格が底打ちから上昇に転じる傾向が見られます。

ロードムービー・スリラー・ヒューマン映画の有名な車:スリリングなストーリーと旅の名場面を彩った劇中車

主人公たちが車で旅に出るロードムービーや、ハリウッドで実際に起きた事件を題材としてスリリングなストーリー展開で話題を集めた作品などに登場し、有名になった車を紹介します。

ダッジ「チャレンジャー」:『バニシング・ポイント』で陸送ドライバーが1200マイルを走破する車として登場

ダッジ・チャレンジャーのエクステリア「ダッジ・チャレンジャー」は劇中の主人公である新車の陸送を仕事としていたコワロスキーが、15時間以内で目的地まで送り届ける賭けをした車として登場する

1971年に公開された『Vanishing Point(バニシング・ポイント)』は、興行的には成功しなかったものの、台詞を極力少なくして車を目的地まで走らせるロードムービー的な側面、謎めいた主人公の過去と現在を巧みにフラッシュバックさせる編集手法が評価され、後にTVドラマとしてリメイクされたり、クエンティン・タランティーノが同作をオマージュした映画を作るなど、各界に影響を与えた作品です。

監督 リチャード・C・サラフィアン
出演 バリー・ニューマン / クリーヴォン・リトル
上映時間 106分

「Dodge Challenger(ダッジ・チャレンジャー)」は、作品の主人公コワロスキーが、15時間以内にコロラド州から1200マイル離れたサンフランシスコまで送り届ける賭けをする車として登場します。スピード違反で検挙しようとする白バイやパトカーを、最高速250km/hが出る同車の性能で、ブレーキを踏むことなく猛スピードで振り切るシーンに登場して、有名となった車です。劇中車はアルパイン・ホワイトのボディに440ciエンジンを積んだ1970年型で、マッスルカー文化の象徴的存在となりました。

アメ車のクラシック・マッスルカーに惹かれて手を出すユーザーから一般的に聞かれるのは、燃費の悪さ(リッター3〜4km台が一般的)と、左ハンドル車に慣れるまでに時間がかかる点です。普段使いより週末のロングドライブに用途を絞ると満足度が高まります。

シボレー「ベルエア」:『Two-Lane Blacktop(断絶)』で日銭を稼ぐドラッグレース車として登場

シボレー・ベルエアのエクステリア1955年製「シボレー・ベルエア」の下級モデルの150は、作品内で、ドラックレースで地元住民たちと賭けをしてお金を稼いで、旅を続ける主人公たちの愛車であった

1971年に公開された『Two-Lane Blacktop(断絶)』は、テンポの良いストーリー展開と、当時のアメリカ文化がリアルに反映された偉大なアメリカ映画として、国内外での評価が高いロードムービーです。

監督 モンテ・ヘルマン
出演 ジェームズ・テイラー / ウォーレン・オーツ / デニス・ウィルソン
上映時間 102分

「シボレー・ベルエア」の下級モデル「150」は、主人公の運転手と、旅を共にする整備工の友人の愛車であり、ドライブで訪れた地元住民とドラッグレースで勝負して日銭を稼ぐために運転テクニックを披露するシーンで度々登場したことから、流行に敏感な当時の若者たちから支持を集めて有名になった車です。劇中の個体はマットグレーの飾り気のないボディに、レース仕様の極太タイヤとシンプルな鉄チンホイールという組み合わせで、目の前にすると質実剛健なホットロッド文化の原点を感じさせる仕上がりです。

フォード「サンダーバード」:『テルマ&ルイーズ』で大自然を疾走する印象的なシーンに登場

フォード・サンダーバードのエクステリア1966年製の4代目フォード「Thunderbird(サンダーバード)」は親友同士のテルマとルイーズが、日々の生活のストレスを発散するためにドライブ旅行に出かける車として劇中に登場する

1991年に公開された『テルマ&ルイーズ』は、第64回アカデミー賞で6部門にノミネートされた傑作で、監督リドリー・スコットの名声を引き上げ、当時は無名であったブラッド・ピットが世界的なムービースターとなるきっかけを与えた作品でもあります。

監督 リドリー・スコット
出演 スーザン・サランドン / ジーナ・デイヴィス / ブラッド・ピット
上映時間 129分

T-Bird(ティーバード)の愛称で親しまれていた歴代「Thunderbird(サンダーバード)」のなかでも、4代目(1964~1966)モデルは、親友同士のテルマとルイーズが、日常のストレスや平凡な毎日の退屈さを発散し、自由を求めるためにドライブ旅行へと向かう際に2人が乗車する車として登場し、風光明媚な自然のなかを疾走するシーンや、犯罪者となりパトカーに追われ、グランド・キャニオンの絶壁からジャンプする印象的な場面にも利用されたことから有名になった車です。劇中のサンダーバードはターコイズブルーのコンバーチブル仕様で、目の前にすると鋭く尖ったテールフィンとロングフードが60年代アメ車らしい雄大な存在感を放ちます。

初代モデルが1955年に誕生し、11代目の2005年まで車歴を刻んでいたフォード「サンダーバード」は、スポーティな走りを可能としながらも、車内の快適性や居住性を高水準化させているアメ車を代表するスペシャリティカーとして認知されています。

キャデラック「ドゥビル」:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でディカプリオとブラピが乗る黄金期の象徴

ドゥビルのエクステリア1966年製キャデラック「DEVILLE(ドゥビル)」のクリームカラーモデルは、劇中でハリウッドの2大スターであるレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが乗車して有名となった

2019年に公開された『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、豪華出演者の競演が話題を集めた作品で、第92回アカデミー賞で10部門にノミネートされました。1966年に実際に起きたハリウッドで将来を有望視されていた俳優シャロン・テートが、カルト教団に殺害された事件を題材とし、ハリウッド映画の黄金期の裏側も描いたスリラー作品です。

監督 クエンティン・タランティーノ
出演 レオナルド・ディカプリオ / ブラッド・ピット / カート・ラッセル
上映時間 161分

1966年製の3代目キャデラック「DEVILLE(ドゥビル)」は、レオナルド・ディカプリオ演じる西部劇を中心としたTVスターのリック・ダルトンを、ブラッド・ピット演じる親友で専属のスタントマンを務めるクリフ・ブースが、撮影現場などへと移動する際に利用する車として登場して有名になりました。劇中車はクリーム色とイエローの2色を中心に配色された個体で、間近で見ると4mを超えるロングノーズと張り出したクロームメッキバンパーが60年代ハリウッドの空気感そのものを体現しています。

当時のハリウッド関係者には、GMが展開する高級ブランドであるキャデラックの車が人気であり、なかでもアメ車らしい外観を備えていた「ドゥビル」が選ばれるケースも多くありました。タランティーノ作品の劇中車選びは時代考証が徹底されていることで知られ、本作のドゥビルは黄金期ハリウッドのリアリティを再現する重要なアイテムとなっています。

フェラーリ「モンディアルTカブリオレ」:『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』でニューヨークを疾走するシーンに登場

モンディアルTカブリオレのエクステリアフェラーリ「モンディアルTカブリオレ」は、アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人であるフランク中佐と、身の回りの世話をする苦学生のチャーリーが、NYの街中を猛スピードで疾走するシーンに登場する

1992年に公開された『Scent of a Woman(セント・オブ・ウーマン 夢の香り)』は、主演を演じたアル・パチーノがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品です。イタリア映画のリメイク版にあたる本作は、人生を悲観している盲目の退役軍人フランク中佐と、学費を稼ぐために彼の身の回りの世話をする苦学生チャーリーとの数日間の心温まる交流を描く感動のヒューマンドラマです。

監督 マーティン・ブレスト
出演 アル・パチーノ / クリス・オドネル
上映時間 157分

真っ赤なボディカラーが印象的なフェラーリ「モンディアルTカブリオレ」は、フランク中佐がチャーリーを強引に連れて向かった旅行先、ニューヨークの街中の高級車ディーラーに展示されていた車両です。

大金を払うことで同車の試乗運転を許可された二人が、大都会ニューヨークの街中を、3.4L V8エンジンを搭載することで実現するハイポテンシャルを発揮して猛スピードで疾走するシーンに登場した「モンディアルTカブリオレ」は、作品を通じて有名になった車でもあります。盲目の退役軍人がフェラーリのオープンを駆るというギャップが本作の名場面を成立させ、フェラーリのなかでも比較的影が薄かったモンディアルに改めて光を当てたエピソードとして語り継がれています。

恋愛映画の有名な車:胸キュンするデートシーンを彩った劇中車

恋愛映画の定番であるデートシーンなどに登場し、作品の影響力もあって有名になった国内外の車を紹介します。

フィアット500:恋愛映画の名作『ローマの休日』でアン王女がローマを散策するシーンに登場

フィアット500のエクステリアフィアット500はローマの休日だけではなくて、ルパン3世の劇場映画「カリオストロの城」の劇中車としても登場

1953年に公開された『ローマの休日』は、後世に語り継がれる恋愛映画の不朽の名作です。イタリアのローマを親善訪問していたヨーロッパ某国のアン王女(オードリー・ヘップバーン)が、自由のない公務に耐えきれず滞在していた大使館から抜け出した後に、主治医から投与された鎮静剤の影響もあって道端のベンチで寝ている姿を、アメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)に見つけられ、介抱のために彼が自宅のアパートに連れ込むことでストーリーは進んでいきます。

監督 ウィリアム・ワイラー
出演 グレゴリー・ペック / オードリー・ヘップバーン / エディ・アルバート
上映時間 118分

イタリアの自動車メーカーが開発・製造した「フィアット500」の初代モデルは、作品内でアン王女とジョーがローマの美しい街中を散策する際に用いられたことで知名度を上げて有名となった車です。後部座席に着座したジョーが車体ルーフ部を開放して身を乗り出し、アン王女のために車のドアを開けてあげるシーンは話題を集めました。

『ローマの休日』の劇中車として登場し、作品の影響もあって有名となったフィアット500は、世界の愛好家から可愛い車として支持され続け、2020年にはヨーロッパ市場で電気自動車専用モデルの4代目として復活しました。日本にも正規導入されており、初代500のオマージュとして丸みを帯びたフォルムを受け継いでいます。新生フィアット500eはコンパクトEVのなかでもデザイン性の評価が高く、街中の取り回しと個性を両立したい用途で選ばれています。

アルファロメオ「スパイダー・デュエット」:『卒業』で主人公が父親からプレゼントされた車

アルファロメオ・スパイダーデュエットのエクステリアアルファロメオ スパイダーはアメリカの大ヒット映画『卒業』で、主人公のベンジャミンが大学の卒業記念として父親からプレゼントされた車として登場する

1967年に公開された『卒業』は、主人公ベンジャミンを演じる名優ダスティン・ホフマンの出世作で、主題歌であるサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」とともに世界的な大ヒットを記録した青春恋愛映画です。

監督 マイク・ニコルズ
出演 ダスティン・ホフマン / アン・バンクロフト / キャサリン・ロス
上映時間 105分

アルファロメオを代表する車・ジュリア(105系)のオープンモデルとして開発された「スパイダー デュエット」は、花嫁を結婚式が行われている教会から連れ出すシーンが話題となった同作で、ベンジャミンが大学の卒業記念として父親からプレゼントされた車として登場し、ホームパーティーで出会った年上の魅力的な女性ミセス・ロビンソンを送迎するシーンなどに登場して有名となった車です。劇中の個体はレッドのボディカラーで、目の前にすると流麗な「コーダ・ロンガ(長い尾)」と呼ばれるリアエンドが、伝説的工業デザイナー・ピニンファリーナによる造形美を感じさせます。

スパイダー・デュエットは1966年から1969年まで生産された初期型で、現在も国内外のクラシックカーイベントで人気を集めます。アルファロメオのオープンスポーツに惹かれて手を出すユーザーから一般的に聞かれるのは、夏のロングドライブで風を浴びる体験が他に代えがたいという声と、旧車ゆえに電装系の整備に手間がかかる点です。

トヨタ「セリカGT-FOUR」:『私をスキーに連れてって』でゲレンデへの道中に登場し雪道の代名詞に

セリカGT-FOURのエクステリア「セリカ」の競技車両は各国のモータースポーツで活躍し、4代目の4WD(165型)は『私をスキーに連れてって』の劇中車に採用され、ゲレンドに向かうシーンで登場した

1987年に公開された『私をスキーに連れてって』は、スキーブームを巻き起こすきっかけを作った大ヒット映画です。主演の原田知世が演じるスキー初心者の池上優が、雪のなかで埋もれて困っているところに、恋には奥手でスキーの腕前はプロ級の三上博史が演じる商社マン矢野文男が助けに現れ、優が文男に一目惚れしてしまうところからストーリーは展開していきます。

監督 馬場康夫
出演 原田知世 / 三上博史 / 原田貴和子/ 高橋ひとみ / 布施明
上映時間 98分

主人公の一人である矢野文男がゲレンデに向かう際に乗用していた愛車はトヨタ「カローラⅡ リトラGPターボ」でしたが、劇中で矢野の中学時代からの幼馴染である佐藤真理子と、スキー仲間で広告代理店に勤める羽田ヒロコが、ゲレンデに向かう途中で、互いが乗車する「セリカGT-FOUR」で雪道のテクニックを披露し合う激しい運転バトルが話題を集めました。

セリカGT-FOUR(ST165型)は、作品の影響もあって雪道でも安定して走行できる車として認知され、スキー場へ向かう車として定着しました。WRC(世界ラリー選手権)での活躍と相まって「雪道に強いトヨタの4WDクーペ」というイメージを確立した1台で、当時のバブル世代の憧れの象徴的存在として記憶されています。生産は1999年で終了しており、現在は中古車市場でしか入手できません。

アニメ映画の有名な車:人気キャラクターが運転する劇中車

日本が得意とするアニメ映画のジャンルでは、各地の走り屋たちとのバトルを繰り広げる『頭文字D』などの作品に登場して、有名になった車を紹介します。

トヨタ「スプリンタートレノAE86」:『頭文字D / Third Stage』で3D CG化されて話題を集めた

スプリンタートレノ(AE86)のエクステリア藤原拓海が作品内で各地の走り屋とバトルを繰り広げる際に乗車した実家の豆腐屋で配達用に使っていたスプリンタートレノ(AE86)は作品の影響を受けて有名になった

2001年に劇場公開された『頭文字D / Third Stage』は、1995年から2013年にかけて週刊ヤングマガジンで連載されていた、走り屋たちのバトルをメインテーマとして扱い、TVアニメ化もされた大ヒット漫画を3D CG化した映画です。

『頭文字D』は20年近い連載期間中に全719話が展開され、多数の名車を登場させて車好きを魅了した作品でもあります。

監督 山口史嗣
原作 しげの秀一
キャスト 藤原拓海:三木眞一郎 / 藤原文太:石塚運昇 / 高橋涼介:子安武人
上映時間 103分

物語の主人公である公道の最速ドライバーを目指す藤原拓海が、各地の走り屋たちとカーバトルを繰り広げる際に乗車していた「スプリンタートレノ(AE86)」は、漫画連載時にはすでに販売終了していたものの、同作がきっかけで中古車市場での販売価格が上昇するきっかけを作り、トヨタがFRスポーツカー86を開発するきっかけを与えるなど、多方面で影響を及ぼしました。

映画版の『頭文字D / Third Stage』では、拓海の父親である文太とライバル関係にあった小柏健の息子カイと、いろは坂を舞台にカーバトルを繰り広げる際にも登場し、3D CG化で迫力を増したことでも話題を集めました。劇中車はパンダトレノと呼ばれる白×黒のツートーンカラーで、「藤原とうふ店(自家用)」とサイドにレタリングされた実用車然とした外観が、走り屋の戦闘マシンとなるギャップで本作の魅力を支えています。AE86は希少価値が年々高まり、状態の良い個体は中古車市場で当時の新車価格の数倍で取引される傾向が顕著です。

ポルシェ「911カレラ」:『カーズ』のヒロイン サリー・カレラの擬人化モデル

ポルシェ911カレラのエクステリア「911カレラ(2002年製)」はカーズのヒロインであるサリー・カレラの擬人化モデルとなって劇中に登場した事がきっかけとなり知名度を更に上げた

2006年に公開された『Cars(カーズ)』は、自動車などの乗り物を擬人化させた姿で登場する個性的なキャラクターが繰り広げるユーモラスな会話や、各々のキャラが職業に従事して社会生活を営むコミカルな世界観が大人にも受け、シリーズ化もされている人気アニメ映画です。

『カーズ』シリーズには、主人公ライトニング・マックィーンのモデル車の一つともされるフォードGT40や、ボディアート店を経営するラモーンのモデル車であるシボレー・インパラなど、擬人化された多数の劇中車が登場します。

監督 ジョン・ラセター
上映時間 116分

『カーズ』シリーズのなかでも、車体背面に縞模様のタトゥーを施した映画のヒロイン、サリー・カレラの擬人化モデルとなった「911カレラ」は、レースで勝つことのみに集中していたライトニング・マックィーンに走る本当の楽しさを教えるシーンが話題を集めて有名になった車です。サリーのモデルは996型911カレラ(2002年式)で、ライトブルーのボディに白いストライプ模様が特徴的な仕様です。

世界でも数少ない水平対向エンジンを搭載するRR駆動の本格的スポーツカーである「911カレラ」が可能とする走りのポテンシャルは、作品をきっかけにファミリー層にも認知されました。911オーナーから一般的に聞かれるのは、後輪荷重の独特なハンドリングは慣れが必要ながら、慣れてしまうと他のスポーツカーでは得られない接地感を味わえるという声です。

アルピーヌ「A310」:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』で葛城ミサトの愛車として登場

アルピーヌA310のエクステリア「アルピーヌA310」はヱヴァンゲリヲンの作中で、使徒と対峙する特殊機関NERV(ネルフ)に所属する葛城ミサトの愛車であった事から知名度を上げた

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は、セカンドインパクトという大災害発生後の第3新東京市に襲来する謎の生命体・使徒に対峙する、特殊機関NERV(ネルフ)に所属する大人と、人型兵器エヴァンゲリオンのパイロットとなる少年・少女たちを軸としてストーリーを繰り広げる大ヒットTVアニメに、新たな設定を加えてストーリーを再構成した劇場版アニメです。

監督・脚本 庵野秀明
出演者 緒方恵美 / 林原めぐみ / 三石琴乃

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでは、全4作が公開され、主人公である碇シンジとヒロインの一人惣流(式波)・アスカ・ラングレーを保護する任務も担うNERV(ネルフ)所属の葛城ミサトが劇中で、シンジらを颯爽と迎えに行くシーンで登場する、右ハンドルに改造した青い「アルピーヌA310」は、TVアニメや映画の影響を受けて有名になった車です。

「Alpine A310(アルピーヌA310)」は、アルピーヌの親会社ルノーが開発したエンジンを流用して搭載した1971年から1984年にかけて生産されたスポーツカーです。ライバルとしていたポルシェ911と比較すればマイナーな存在でしたが、エヴァンゲリオンの劇中車として登場したことで知名度を上げました。リアエンジン・リアドライブを採用するフランス車のスポーツカーは数少なく、現在もコアな旧車ファンに支持されています。

コメディ映画の有名な車:思わず笑えて元気になれる劇中車

思わず笑わせてくれて、元気にしてくれる要素満載のコメディ映画の劇中車として登場し、国際的な知名度を上げて有名になった車をセレクトしました。

VWタイプ2:『リトル・ミス・サンシャイン』で個性的な家族の珍道中に登場

VWタイプ2のエクステリアフォルクスワーゲンタイプ2は作中で全米美少女コンテストの地区予選で選ばれた7歳のオリーブを、癖が強くて個性的な家族がみんなで乗車して、本選会場まで移動するためのクルマとして登場する

低予算で制作された『リトル・ミス・サンシャイン』は、初週はアメリカの7つの劇場での公開であったものの、口コミで面白さが広がり、北米市場では最大1602館まで上映規模を拡大し、ドイツやイギリスなど海外市場でもヒットを記録した作品です。

個性的で癖の強い家族が美少女コンテストの地区予選を通過した7歳のオリーブを本選会場まで連れて行く道中で起こる珍道中を楽しめる、ロードムービー的な要素も取り入れたコメディ映画です。

監督 ジョナサン・デイトン / ヴァレリー・ファリス
出演 グレッグ・キニア / スティーヴ・カレル / アラン・アーキン
上映時間 100分

黄色いボディカラーが目立つVWタイプ2(T2マイクロバス)は、美少女コンテストの予選を通過した7歳のオリーブを、本選が行われるカリフォルニア州レドンドビーチまで家族で移動するために利用する車として作品に登場したことで再脚光を浴び、映画好きの間でも有名になった車です。劇中車はサンフラワーイエローの2型タイプ2で、目の前にすると丸みを帯びたボディと大型のVWエンブレム、車内に並ぶシンプルなベンチシートが、60〜70年代のヒッピー文化の象徴そのものに見えます。

本作に登場するタイプ2が老朽化により道中でクラッチが故障してしまい、修理依頼するもパーツの交換は不可能と言われ、同車を後ろから押して時速20マイルに達したら車内に乗り込むシーンというコミカルな場面は話題を集めました。

正式名称はTransporter(トランスポーター)とするVWタイプ2は、1950年に初代モデルT1が誕生したお洒落でポップな外観を魅力とする商用車としてリリースされ、欧州市場では環境要請をクリアするためEV化モデル「ID. Buzz」もラインナップしています。日本にもID. Buzzが2025年に正規導入され、伝統のフォルムを継承した現代仕様として注目を集めています。

プジョー「406」:『TAXi』でフランスの街を激しいカーチェイスで疾走

プジョー406のエクステリア「TAXi」の主人公であるダニエルの愛車であり、改造を施すベース車として利用されたプジョー406はヒット作の影響を受けて知名度を上げた

『TAXi(タクシー)』は、日本での知名度も高い監督リュック・ベッソンが脚本も務めヒットを記録し、シリーズ化もされた、コメディ色も強いフランスのカーアクション映画です。

作品内には、主人公であるスピード狂のタクシー運転手ダニエルが、車体を持ち上げるなどの機能を与えるために改造を施したプジョー406を始め、多数の劇中車が登場してクルマ好きを魅了しました。

監督 リュック・ベッソン
出演 サミー・ナセリ / フレデリック・ディーファンタル / リチャード・サメル

フランスの大手自動車メーカー、プジョーが製造・開発するDセグメントに属する「406」は、シリーズ1作目で、フランス国内で連続銀行強盗を行う実行犯のリーダー、アインシュタインが乗車するメルセデス・ベンツ500Eと、ダニエルが406をベース車に改造したモデルが激しいカーチェイスを繰り広げるなど、シリーズを通じて劇中車として登場する機会が多かったことから、フランス以外の国々でも有名となった車です。マルセイユの旧市街地をかすめながら駆け抜けるシーンの軽快さは、フランス車らしいシャシーの軽さと相まって独特のテンポを生み出しています。

フェラーリ「250GT SWB カリフォルニア・スパイダー」:『フェリスはある朝突然に』のシカゴ観光シーンに登場

フェラーリ250GT SWB カリフォルニア・スパイダーのエクステリアフェラーリ250GT SWB カリフォルニア・スパイダーは、『フェリスはある朝突然に』の主人公であるフェリスらがシカゴの街へと繰り出すシーンで登場して知名度を上げた

1986年に公開され、アメリカ国内で大ヒットを記録した『フェリスはある朝突然に』は、シカゴ・カブスの本拠地であるリグレー・フィールドや、シカゴ美術館などシカゴを代表する観光名所が劇中に登場することでも話題を集めた青春コメディ映画です。

監督 ジョン・ヒューズ
出演 マシュー・ブロデリック / ミア・サラ / アラン・ラック

「フェラーリ250GT SWB カリフォルニア・スパイダー」は、物語の主人公フェリスの親友で、体調不良で学校を休んでいたキャメロンのカーマニアである父親がコレクションしていた一台です。

フェリス、キャメロン、フェリスの彼女の3人組が、キャメロンの父親から車を借りて学校を休み、シカゴを代表する観光名所をドライブして巡るシーンに度々登場したことで、フェラーリ250GT SWB カリフォルニア・スパイダーは知名度を上げて有名となりました。

本作で劇中車として登場したフェラーリ250GT SWB カリフォルニア・スパイダーは、レーシングシーンで構築した技術力を還元させたGTカーのハイパフォーマンスモデルであり、作品の影響力も加味してコレクター心理を刺激し続ける名車でもあります。本物の250GT SWB カリフォルニア・スパイダーは世界で56台しか生産されておらず、現存個体は数十億円規模で取引される国際的な投資対象の旧車です。なお劇中で派手にクラッシュするシーンに用いられたのはレプリカで、製作チームが本物に手を出さなかった逸話は映画ファンの間で語り継がれています。

映画に登場してカーアクションで視聴者を魅了し有名になる車は今後も生まれ続けていく

映画などの作品内には、映像にインパクトを与え、視聴者を引き付けるために、タイムトラベルする、市街地でカーアクションを繰り広げる、戦闘ロボに変身する車などが登場します。

物語を巧みに演出し、ストーリーや映像にインパクトを与える劇中車は、時として作品にとって重要な意味合いを持ちます。

映画は劇場公開を前提とするだけでなく、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの動画ストリーミングサービスを行う企業が、利用者を増やすためのキーコンテンツとしてオリジナル作品を制作する流れも加速しています。

そういったスタイルを採用している映画のなかからも、新たに有名になる車が増えていくと見込まれます。