マイルドハイブリッド

マイルドハイブリッドで48Vのニーズが高まっている理由とは?

マイルドハイブリッドはジュネーブモーターショー2018で、メルセデスベンツやアウディなどの自動車メーカーが積極搭載を発表した事で再注目を浴びています。スズキを中心とした日本の事情を紹介し、トヨタが得意とするストロングハイブリッドとの燃費改善効果等での比較、48Vのニーズが高まる理由も紹介。

マイルドハイブリッドで48Vのニーズが高まっている理由とは?

マイルドハイブリッドの特徴と欧州車で48Vのニーズが高まっている理由

環境へ影響を与える二酸化炭素の排出を抑えるために、二つの動力を用いるハイブリッドカーは、設計方式やモーターの活用法の違いによって「プラグインハイブリッド」「シリーズハイブリッド」などに分けられます。

今回は、ジュネーブモーターショー2018で、メルセデスベンツやアウディといった欧州の自動車メーカーが、新車への積極搭載を発表したマイルドハイブリッドを話題の中心とします。

英国のシンクタンクは、2030年の世界新車販売台数において、マイルドハイブリッドを搭載する車の割合が30%を越えると予想します。近年、注目度が高まるマイルドハイブリッドの特徴を、トヨタが得意とするストロングハイブリッド方式と比較しながら紹介します。

また、欧州車で48Vマイルドハイブリッドのニーズが高まっている理由についても取り上げます。

マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドを比較します

充電中の電気自動車

マイルドハイブリッドと比較される機会の多い、ストロングハイブリッド方式を、製造コストや燃費改善効果、グリーン税制で比べてみます。

マイルドハイブリッド方式と比較すれば、電池やモーターはワイドで高性能となるストロングハイブリッドでは、製造コストは高額となり、燃費改善効果は優れ、エコカー減税・グリーン化特例の減税率は大きくなります。

マイルドハイブリッド ストロングハイブリッド
製造コスト 低額 高額
燃費改善効果 低い 高い
EV走行 短時間 長時間
エコカー減税・グリーン化特例 減税率が小さい 減税率が大きい

ストロングハイブリッド方式の特徴とデメリット

ストロングハイブリッドTHS2の仕組み

ストロングハイブリッド方式は、4代目プリウスに搭載されたTHS2のように大容量電池を搭載し、高出力モーターをフロント及びリヤ部に設置するのが特徴です。

ストロングハイブリッド方式では、エンジンを停止させた状態であっても、電池に蓄えられる電気を動力源として利用して、モーターの力だけで長時間走行を可能とします。

ストロングハイブリッド方式では、モーターもエンジンと同様に、動力源として需要な役目を果たします。同方式では、走行シーンに合わせて、エンジンとモーターを効率的に使い分ける事で、搭載する車に大きな燃費改善効果をもたします。そのため、システムを導入する車は、自動車取得税が免除されるなどエコカー減税制度の恩恵を大きく受ける事ができます。

ストロングハイブリッド方式のデメリットは、エンジン機構とモーター機構を作動させるためシステムが複雑になり開発費用が上がるため、搭載する車の販売価格が高くなってしまう事です。また、各ユニットを構成するパーツが故障した際の交換費用が高額となる事も指摘されています。

マイルドハイブリッド方式の特徴とデメリット

マイルドハイブリッドの仕組み

マイルドハイブリッドは、日本の自動車メーカーでは、スズキがクロスビーやワゴンRなどの車種に積極的に取り入ります。

マイルドハイブリッド方式では、モーターはサポート役に徹して、エンジン効率が悪くなる、ストップ状態の車をリスタートさせる(クリープ走行)や、加速シーンにおいて、モーター出力が加えられます。モーターだけの走行も可能とする車もありますが、短時間に限られます。

マイルドハイブリッドのメカニズムはシンプルで、ストロング方式と比較すれば、ガソリン車で利用しているパワーユニットに、小型モーター1個と電池を組み込むこと低コストで完成されます。

回生ブレーキとモーターによって作られた電気は、エンジンをサポートするだけではなく、エアコンなどの電装品にも供給されます。

48Vマイルドハイブリッドのニーズが高まる理由にはEUの環境規制が関わっている

AMG GTクーペのエクステリア

AMG GTクーペ

メルセデスベンツは、ジュネーブモーターショー2018にて、AMG「GTクーペ」の48Vマイルドハイブリッドモデルを初公開しました。同社は、Cクラスのマイナーチェンジにおいても48Vマイルドハイブリッドをラインナップさせます。

5代目「A6セダン」に48Vマイルドハイブリッドを採用するアウディは、ジュネーブモーターショーの報道者向け説明会で、48Vマイルドハイブリッドを新型車に積極的に導入する事をアナウンスしました。

欧州の主要な自動車メーカーで、48Vマイルドハイブリッドのニーズが高まる理由には、数値目標をクリアできなければ、超過分に応じた罰金が科せられる2021年に導入予定のEUの環境規制が大きく関わっています。

同規制では、EU域内でビジネスを行う自動車メーカー大手に対し、二酸化炭素の排出量を、平均して1kmあたり95gまで削減するように義務付けます。

2021年に導入が見込まれるEUの環境規制では、コーポレート・アベレージ・フューエル・エコノミー(CAFE)方式を採用し、二酸化炭素の削減目標を車単位ではなく、メーカー単位の平均値で規制するルールを設けます。

クリーンディーゼルの排ガス不正問題が発覚し、ストロングハイブリッド技術では後れをとる中で、ドイツを中心とする欧州の自動車メーカーが、2021年の環境規制をクリアするためには、燃費削減効果が望まれる48Vマイルドハイブリッドを搭載する車を増やすことは現実的といえます。

48Vマイルドハイブリッドは欧州基準のハイブリッド方式

5代目 A6セダンのエクステリア

5代目 A6セダン

ベンツ「Cクラス」の新型モデルや、アウディの5代目「A6セダン」に搭載される48Vマイルドハイブリッドは、ドイツの自動車メーカーが中心となって定めた欧州基準の方式です。

従来12Vが主流であったマイルドハイブリッドの電圧を48Vへと引き上げる事で、システムの効率化とモーターの高出力化を行い、更なる低燃費を実現させます。

今後は、欧州基準の48Vマイルドハイブリッド方式がスタンダードとなれば、日本の自動車メーカーにも影響が及びます。

EV時代が到来する前にマイルドハイブリッドカーが世界を駆け巡る

日本では、マイルドハイブリッドを積極展開しているのは、軽自動車やコンパクトカーを主力とするスズキです。トヨタはストロングハイブリッドを得意とし、日産はシリーズハイブリッドのトップランナーです。

日本車最大のライバルであるフォルクスワーゲンなどのドイツ勢は、ディーゼル車の排ガス不正の影響を受けて、クリーンディーゼル戦略を見直して、48Vマイルドハイブリッドカーの開発へと舵を切り替えました。

2021年以降も欧州を中心とした各国では、二酸化炭素の排出規制は強化されます。日本のようにハイブリッド技術に強みを持たない、海外の自動車メーカーは、開発費用が安く現実的であることから、マイルドハイブリッドを搭載する車を増やし始めます。

EV(電気自動車)が、本格的に普及する前には、求められる環境基準をクリアするために開発されたマイルドハイブリッドを搭載する車がスタンダードとなる事が予想されます。