マツダの次世代ガソリンエンジン「スカイアクティブX」の仕組みや特長
マツダの次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブX)」は、2018 エジソン賞の金賞受賞やQ Global Tech Awardを受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。
スカイアクティブXは、ガソリンエンジンならではの伸びやかな走りのフットワークに、ディーゼルエンジンの優れた特性を融合させた画期的なエンジンです。そんな、凄みを持ったエンジンの特長を紹介します。
2018年11月のロサンゼルスモーターショーで「スカイアクティブX(SKYACTIV-X)」搭載車を初公開
量産エンジンで初めて実用化される予混合圧縮着火方式「HCCI(マツダではSPCCIと呼称)」を採用するマツダのスカイアクティブX搭載車両が11月に開催されるロサンゼルスモーターショー2018で世界初公開(ワールドプレミア)しました。
出展車両は2019年にフルモデルチェンジする新型セダン・ハッチバックの「Mazda3(アクセラ)」で、世界中から注目されました。
世界で初めて市販化される技術を採用したスカイアクティブXはマツダの理想を体現するエンジンで、第二弾のスカイアクティブX採用車種は、ジュネーブモーターショー2019で世界初公開されたCX-30です。
スカイアクティブX「2018エジソンアワード(エンジン賞)」金賞を受賞
「スカイアクティブX」が、ニューヨークで行われた2018エジソンアワードの表彰式で、エンジンエンハンスメント(Engine Enhancements)部門で金賞を受賞しました。
エジソンアワードは、1987年にアメリカ・マーケティング協会によって成立された、革新的な製品・サービスなどを称える国際的な賞です。
スカイアクティブXは、マツダ独自の燃焼方式であるSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)によって、ガソリンエンジンにおける圧縮着火(CI)の実用化に世界で初めてめどを付けた事などが高い評価を受けて事が受賞理由です。
マツダのスカイアクティブXは、2018年2月、世界的に有名なイタリアの自動車専門誌「Quattroruote(クアトロルオーテ)」が主催する、将来が期待される自動車技術に与えられるQ Global Tech Awardも受賞しました。
スカイアクティブXの特長である、ガソリンエンジンの伸びのある走行性に、ディーゼルエンジンの低燃費性やパワフルさ、ハイレスポンスを融合した技術力は、世界中から高い評価を受けています。
スカイアクティブXは低燃費・高出力を実現するガソリンエンジン
スカイアクティブXと、現行のガソリンエンジン「SKYACTIV‐G(スカイアクティブG)」を比較すれば、燃費率は最大で20%~30%ほど、トルクは全域で10%以上、最大で30%の改善が見込まれます。
スカイアクティブXによって飛躍する環境性能と走る歓びは、SPCCI(火花点火圧縮着火)などの技術力によって実現します。
スカイアクティブXは世界初の圧縮着火技術を実用化した革命的なエンジン
スカイアクティブXでは、ガソリンと空気との混合気をピストンの圧縮によって自己着火させる圧縮着火を世界で初めて実用化させました。
他の自動車メーカーも、火花点火(SI)だけではなく、ディーゼルエンジンのように圧縮着火をガソリンエンジンでも安定的に行えれば、燃費の改善・トルクがアップするなどのメリットが多いため、実現化を目指しましたが、クリアすべき課題が多く断念せざるを得ませんでした。
マツダは、独自の燃焼方式SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)によって、燃焼室内においての安定的な圧縮着火を実現させます。
スカイアクティブXになくてはならないSPCCIの特長
スカイアクティブXの主軸になるSPCCI
スカイアクティブXになくてはならないSPCCIは「筒内圧センサ」「高応答エアサプライ」などのパーツで構成しています。
SPCCIを介して行われるマツダ独自の燃焼方式は、従来のガソリンエンジンで課題となっていた圧縮着火の成立範囲を拡大させて、火花点火と圧縮着火のスマートな切り替えを実現します。
SPCCIは、スパークプラグの作動時に発生する膨張火球にエアピストンのような役割を与え、点火時期をコントロールすることで燃焼成立範囲を拡大させます。
SPCCI方式では、スパークプラグの火花点火による燃焼で、混合気の圧縮着火を行います。マツダ独自の燃焼方式では、圧縮着火に影響を与える軽負荷・高回転・低外気などの諸条件を考慮して、ベストなタイミングで点火できる制御システムを構築しました。
SPCCIでは、「圧縮着火燃焼」ではNOx(窒素酸化物)が発生しにくい濃度の薄い混合気を、「火炎伝播燃焼」ではNOxが発生しにくい濃度の濃い混合気を利用しやすい分布バランスとするために、最初はごく薄い混合気を吹かせます。
次に濃い濃度の混合気を吹かせてスワール渦を形成します。そして、燃料噴射弁を進化させるという手段もとります。
スカイアクティブXは今後、騒音やノッキング現象をクリア
圧縮着火では、スーパーリーン燃焼(火花点火では行えない燃料を希薄化した状態での燃焼)が可能であるため、安定的に行えれば、ディーゼルエンジンに匹敵する低燃費を実現します。
スカイアクティブXは2019年に実用化されるまでに、静穏性を上げノッキング現象を抑えた更なる高性能エンジンを目指しています。
マツダだから実現できた「スカイアクティブX」は2019年に導入
マツダは、エンジンにこだわる自動車メーカーです。車に求められる環境性能を実現するために、ライバル企業が、ハイブリッドカーやEV(電気自動車)へかじを切る中、マツダはガソリンエンジンの可能性を追求します。
「スカイアクティブG」でガソリンエンジンの技術力を磨き、「スカイアクティブD」でディーゼルエンジンの技術力を磨き続けるマツダだからこそ、双方の特長や魅力を合わせ持つ次世代型エンジン「スカイアクティブX」を2019年に完成する事ができます。
2019年にフルモデルチェンジする新型マツダ3(アクセラ)がスカイアクティブXを採用する第一弾になります。第二弾はCX-3とCX-5の中間に位置するCX-30へ搭載することが決定しています。その後一部改良やマイナーチェンジ、モデルチェンジなどのタイミングで既存車種へスカイアクティブXを搭載する予定です。
マツダは、技術開発の長期ビジョンとして「サスティナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を掲げます。
自社の技術力によって、地球・社会・人とクルマが共存・共栄できる世界の実現を目指し、走る歓びであふれたカーライフを通じて、人生をより豊かにする。そんな長期ビジョンを現実化するため、スカイアクティブX搭載車種を今後も増やすでしょう。