パジェロのモデルチェンジ

パジェロのモデルチェンジ情報:新型5代目は4グレード+ボディカラー11色、10月29日発表・12月17日発売

新型パジェロのモデルチェンジ情報を整理。S-AWCとスーパーセレクト4WD-Ⅱ、7つのドライブモード、車両重量2,460kgといった判明済みスペックに加え、2030年までのハイブリッド投入計画やランクル300・250との比較も掲載しています。

パジェロのモデルチェンジ情報:新型5代目は4グレード+ボディカラー11色、10月29日発表・12月17日発売

新型パジェロ(5代目)のモデルチェンジ情報 ボディカラーは全11パターン、価格は619万3,000円から

7年ぶりに日本へ戻ってくるパジェロについて、ボディカラーとグレードごとの装備の中身が分かってきました。5代目となる新型は4グレード構成で、車両本体価格は619万3,000円〜795万800円。2026年10月1日に予約受付が始まり、10月29日(木)の正式発表を経て、12月17日に店頭へ並ぶ予定です。

9月2日の世界初披露から約3週間。パワートレインやボディサイズに加えて、選べる色とその追加費用、シート素材やホイールのグレード差、そしてデザイン部門が語った開発の考え方まで、判断材料はかなり出そろってきました。この記事では、買うかどうかを考えるうえで押さえておきたい情報を、価格→装備→色→クルマの中身→ライバル比較→歴史の順に整理します。

新型パジェロ まず押さえたい6つのポイント

  • グレードはGLS/GSR/EXCEED/SUPER EXCEEDの4種類、全車3列7人乗り
  • 価格は619万3,000円〜795万800円(消費税込み)
  • エンジンは2.4Lディーゼル(204PS/480N・m)+8速ATの1種類のみ、駆動方式は4WD
  • ラダーフレームにS-AWCとスーパーセレクト4WD-Ⅱを組み合わせた足まわり
  • ボディカラーは単色7色+ルーフ2トーン4種類の全11パターン、追加費用なしで選べるのは3色
  • 予約開始10月1日、正式発表10月29日、発売12月17日(予定)

※新型は型式指定を取得する前の段階です。本記事の仕様・数値は、今後変更される場合があります。

グレード別価格 GLSとSUPER EXCEEDの差は約176万円

最初に、判明している日本仕様の価格を確認しておきましょう。

新型パジェロ(5代目)の価格・グレード一覧
グレード シート/乗車定員 駆動方式 エンジン 車両本体価格(消費税込み)
SUPER EXCEED 3列7人乗り 4WD 2.4L クリーンディーゼル 7,950,800円
EXCEED 3列7人乗り 4WD 2.4L クリーンディーゼル 6,930,000円
GSR 3列7人乗り 4WD 2.4L クリーンディーゼル 6,765,000円
GLS 3列7人乗り 4WD 2.4L クリーンディーゼル 6,193,000円

エンジン、駆動方式、定員はすべてのグレードで共通です。つまり新型パジェロのグレード選びは、「どのパワートレインにするか」ではなく「装備と雰囲気をどこまで求めるか」の一点に絞られます。ガソリン車、2WD、5人乗りは、現時点の日本仕様には見当たりません。

価格の刻み方を見ると、下の3グレードは74万円ほどの幅に収まっています。GLSからGSRで約57万円、GSRからEXCEEDで16万5,000円。ここまでは比較的なだらかです。ところがEXCEEDからSUPER EXCEEDへ上がると、差額は約102万円に跳ね上がります。SUPER EXCEEDは「上位グレード」というより、ほかの3つとは別に用意された特別な1台と考えたほうが実態に近いでしょう。

グレードごとの中身 4台は「上下」ではなく「性格分け」

各グレードの内容も見えてきました。シート素材とホイール、それに主な装備を並べると、価格順に一列で並んでいるわけではないことが分かります。

新型パジェロ グレード別の主な装備
グレード シート素材 ホイール 性格づけと主な装備
GLS ファブリック(ブラック) 18インチアルミ(ダークグレー) S-AWC、スーパーセレクト4WD-Ⅱ、7つのドライブモードを備えた基本形。走る力そのものは削っていないベーシックモデル
GSR 本革(ブラック) 18インチアルミ(ダークグレー) GLSの装備を底上げしたうえで、ルーフレールとリヤデフロックを追加。外で使い倒す人に向けたタフネスモデル
EXCEED 本革(ブラック) 20インチアルミ(ブラック+切削光輝) 大径ホイールとアンビエントライトで見た目と室内の雰囲気を格上げしたプレミアムモデル
SUPER EXCEED セミアニリン本革(キャメル) 20インチアルミ(ブラック+切削スモーク) Dynamic Sound Yamaha Ultimateやセミアニリン本革を備えたハイエンドモデル

ここで注目したいのが、GSRの立ち位置です。オーストラリアではGSRがラインアップの頂点でしたが、日本ではEXCEEDより安い価格が付けられました。理由は中身を見ると腑に落ちます。GSRはホイールが18インチのままで、内装の華やかさではEXCEEDに譲ります。その代わりにルーフレールとリヤデフロックという、悪路や積載で効いてくる装備を持っています。装備の多さで順位をつけたのではなく、価格の上下と使い道の方向性を別々に設計した、と読むのが自然です。

18インチと20インチの差も、見た目の好みだけの話ではありません。タイヤは20インチが255/55R20、18インチが255/65R18で、扁平率の低い20インチは舗装路での落ち着きと見栄えに、厚みのある18インチは岩や段差に対する余裕に向きます。林道や雪道を本気で走る予定があるなら、下から2番目のGSRが実質的な本命になる可能性は十分にあります。

内装色については、SUPER EXCEEDのキャメル×ブラックが特別扱いです。ほかの3グレードはブラックを基調としており、記事後半で触れる手仕事仕上げのパネルやキャメルの内装をそのまま味わえるのは最上級グレードだけ、ということになります。ヤマハと共同開発したオーディオもSUPER EXCEEDの特徴として挙げられており、音にこだわる人の選択肢は実質1つに絞られそうです。

※上記は2026年9月時点で判明している内容です。装備の細かな線引きや、グレードごとのオプション設定は、10月29日の発表を待つ必要があります。

発売までのスケジュールと、先行展示会

日本での導入スケジュールは次のとおりです。

新型パジェロ 日本導入スケジュール(予定)

  • 2026年9月2日:世界初披露。全国の販売店で実車の先行展示会がスタート
  • 2026年10月1日:予約注文の受付開始
  • 2026年10月29日(木):日本での正式発表
  • 2026年12月17日:発売

予約開始から正式発表まで約1カ月あるため、オプション設定の全容が分からないまま予約を入れる、という順番になります。とはいえ価格、グレードの中身、ボディカラーと追加費用まで見えてきた今、予算の組み立て自体は先に進められる状況です。気になる人は、先行展示会で実車を見ておくのがいちばんの近道でしょう。燃費や燃料タンク容量は依然として未公表なので、このあたりは10月29日の発表で真っ先に確認したい項目です。

なぜ今パジェロなのか 三菱が託した役割

新型パジェロ(5代目)のエクステリア5代目として生まれ変わった新型パジェロ

パジェロが最初に世に出たのは1982年のことです。以来、ダカールラリーでの通算12勝と、90年代のRVブームをけん引した人気で、日本を代表するクロカン四駆の座を築いてきました。4代目までに生産された台数は329万台以上、販売された国と地域は170を超えます。国内向けの生産は2019年に途切れましたが、三菱はこの名前を捨てませんでした。

新型の役割について、取締役代表執行役社長 兼 COOの岸浦恵介氏は明確に語っています。2030年代を見据えた中長期ビジョンでは「尖った商品・ブランドの強化」を掲げており、その最初の具体例が新型パジェロだというのです。さらに、この先に続く「パジェロ」シリーズを含め、三菱のラインアップ全体を引っ張る存在になると位置づけました。社長が口にした「上質に進化した、あらゆるシーンで頼れるプレステージなクロスカントリーSUV」という言葉は、値ごろ感ではなく価値の高さで選ばれるクルマを目指していることの表れです。

商品の方向性は、3つのキーワードで示されています。歴代が守ってきた悪路での頼もしさ[Confidence]と、長く乗っても疲れない快適さ[Comfort]。この2つを土台に、フラッグシップとしての上質さ[Prestige]を新たに積み上げました。4代目の登場から20年が過ぎ、その間にライバルは電子制御も内装品質も大きく磨いてきました。名前だけを復活させても勝負にならない、という判断があったのは想像に難くありません。

生産はタイへ 約100カ国に広がる計画

製造を担うのはタイの工場です。2026年度にまずタイで発売し、続いて日本とオーストラリアへ。翌年度からはアセアン、中南米、中東へと市場を増やし、最終的には約100カ国での販売を見込んでいます。

岐阜県のパジェロ製造で作られてきた歴史を思えば、これは大きな方向転換です。ベース車のトライトンと同じ生産ラインを使うことでコスト面の効果は期待できますが、日本製であることに愛着を持つファンにとっては、複雑な気持ちになるポイントかもしれません。

デザインと設計を貫く「機能から形を決める」考え方

新型パジェロの内外装を見ていくと、ひとつの共通したルールが浮かび上がります。それは「理由のない形はつくらない」ということです。事前説明会でデザイン部門が語った内容を手がかりに、その背景を整理してみます。

部門の垣根を越えたチームづくり

クルマの開発では、デザイナーが描いた理想像と、設計や生産の現実とがぶつかることが珍しくありません。新型パジェロでは、この衝突を減らす進め方が取られました。デザインだけでなく、パッケージング、商品企画、設計、走りを仕上げるチューニングの担当者まで、全員が同じ熱意と同じ完成像を共有して開発を進めたといいます。誰かに命じられたからではなく、それぞれが自分ごととしてパジェロに向き合った結果、自然とチームの足並みがそろったというのです。

この進め方があったからこそ、見た目の決め手になる部分にまで機能上の理由を持たせることができた、と見ることができます。

ラリーの経験を「未来のための財産」として扱う

ダカールラリーの話になると、どうしても過去の栄光に目が向きがちです。しかし開発陣は、ラリーから受け継いだものを「砂漠を速く走る技術」だけだとは考えていません。極限の環境で限界まで作り込んだ、その姿勢こそが三菱のモノづくりの根幹であり、懐かしむためではなく次へ進むために使うべきものだ、という捉え方です。

そこには、日本発の本格クロカンとしての誇りもあります。英国や米国にそれぞれの国を代表するオフローダーがあるように、日本にはパジェロがある。この意識が、新型のフラッグシップらしい作り込みの原動力になっています。

エクステリアの見どころ 形のひとつひとつに役割がある

新型パジェロのフロントグリル・テールランプ・フェンダーガーニッシュランプ、グリル、フェンダーなど細部の造形にも機能的な意味が込められている

外観のテーマは「グランドカリスマ-泰然自若-」。どっしりと落ち着いた構えの中に、旗艦としての威厳を漂わせることを狙った言葉です。このテーマは、スペインや韓国、フランスなど多様な国籍のデザイナーが意見を交わすなかで固まっていったといいます。20年ぶりの新型として、パジェロらしさを保ちながらどう新しさを出すか。その答えを、国を越えた議論で探ったわけです。

高い視点とワイドな足元が生む「厚み」

水平に伸びるラインと分厚いボディという歴代の特徴は、新型にもしっかり受け継がれています。肩の部分は高い位置で外側へ張り出し、その線が車体の前から後ろまで途切れずに続いたあと、リヤフェンダーのところでぐっと持ち上がります。形そのものは四角く、室内の広さを最大限に取れるシルエットです。

このどっしりした佇まいは、実は運転のしやすさと表裏一体です。新型はトライトンに比べて運転席の座面を30mm高くしており、ハンドルの角度も合わせて調整しました。視点が上がれば前方の見通しが良くなり、同時にボディの厚みも自然と表現できます。トレッドも広げたことで、横から見たときの安定感と、悪路での踏ん張りが同時に高まりました。「形態は機能に従う」という言葉がありますが、まさにその実践例といえます。

顔つきは剣道の面がヒント

フロントのデザインには、剣道の面という意外なモチーフが使われました。狙ったのは、怒りをむき出しにした迫力ではなく、冷静さの奥からにじみ出る凄み。押しの強い顔つきを競い合う最近のSUVの中で、あえて「静かな強さ」を選んだところに、新型の性格がよく表れています。

三菱車でおなじみの「ダイナミックシールド」も、表現の仕方が変わりました。以前はグリルの周囲に加飾パーツを重ねることでこの意匠を形づくっていましたが、新型ではボディの面そのものに組み込んでいます。飾りとしてではなく、車体を守る盾という本来の意味を形で語るための変更です。

グリルは性格の異なる2タイプから選べます。横方向の桟を重ねた端正な「ガードバーグリル」と、蜂の巣状の網目でスポーティさを強調した「ハニカムパフォーマンスグリル」です。前者はきっちりとした日本の工業製品らしさ、後者はタフで機能的な雰囲気が持ち味で、街で乗るかアウトドアで乗るか、使い方のイメージで選び分けられます。ボンネットには王冠を思わせる盛り上がりが与えられ、張り出したフェンダーとともに、S-AWCやスーパーセレクト4WD-Ⅱが生む走りの力強さを見た目でも感じさせます。

ランプを「奥に隠す」理由

新型のライトは、前後ともアルファベットのTを思わせる形で統一されました。キーでロックやアンロックをすると光が流れるように動く演出も入っています。

ただ、このランプで注目すべきは見た目より配置です。メインの光源は、ボディの内側の奥まった場所に収められています。林道で枝が当たったり、岩をかすめたりしても壊れにくくするためです。一方、昼間に点灯するライトやウインカーは、外側の高い位置に置かれました。周囲の歩行者やクルマから見えやすくし、自分の動きを確実に伝えるためです。守るべきものは奥へ、見せるべきものは外へ。この考え方は初代パジェロから受け継がれてきたもので、新型ではそれを最新の技術で実現しています。

遠目でも分かる4つの記号

新型パジェロには、ひと目でそれと分かるデザイン上の目印が4つあります。前後で形をそろえたT字のランプ、シュノーケルを付けたときに空気の取り入れ口として使える新形状のフェンダーアイコン、初代のロールバーをモチーフにしたCピラー、そしてかつての背面スペアタイヤを連想させる六角形のテールゲートです。

面白いのは、これらが単なる懐古趣味で終わっていないことです。フェンダーのアイコンにはシュノーケル用の開口という役目があり、Cピラーの形は後で触れるように3列目の頭上空間づくりにも生かされています。昔の意匠を借りてくるのではなく、今の役割を与えてから記号として再構成している。ここにも「機能ありき」の姿勢が見て取れます。

ボディカラーは全11パターン 追加費用ゼロで選べるのは3色

色の選択肢も具体的になりました。単色が7色、ルーフをジェットブラックマイカで塗り分ける2トーンが4種類で、合わせて11パターンです。

まず押さえておきたいのは、追加費用なしで選べる色が3つある点です。グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカ、そしてブレードシルバーメタリック。いずれも落ち着いた無彩色系で、下取りを気にする人や、社用・実用の色味を求める人には現実的な選択肢になります。残りはすべて有料色で、金額は9万9,000円から16万5,000円まで幅があります。

新型パジェロ(5代目)のボディカラーと追加費用
ボディカラー タイプ 追加費用(消費税込み)
グラファイトグレーメタリック 単色 なし
ジェットブラックマイカ 単色 なし
ブレードシルバーメタリック 単色 なし
アーマーカッパーメタリック 単色 99,000円
ファントムブルーメタリック 単色 99,000円
ホワイトダイヤモンド 単色 110,000円
ブラックダイヤモンド 単色 110,000円
グラファイトグレーメタリック × ジェットブラックマイカルーフ 2トーン 110,000円
アーマーカッパーメタリック × ジェットブラックマイカルーフ 2トーン 154,000円
ファントムブルーメタリック × ジェットブラックマイカルーフ 2トーン 154,000円
ホワイトダイヤモンド × ジェットブラックマイカルーフ 2トーン 165,000円

2トーンにいくら払うのか

金額の並びを見ていくと、屋根を塗り分けるための費用の考え方が読み取れます。有料の単色をベースにした3パターンは、単色の価格にちょうど5万5,000円を足した額です。アーマーカッパーとファントムブルーは9万9,000円から15万4,000円へ、ホワイトダイヤモンドは11万円から16万5,000円へ。いずれも差額は同じ5万5,000円でそろっています。

例外はグラファイトグレーの2トーンです。単色なら無料なのに、屋根を黒くすると11万円かかります。塗り分けの工程だけで5万5,000円という単純な計算にはなっていないわけで、ここは実際の見積もりで確かめておきたいところです。

ちなみに最も安く2トーンにできるのがグラファイトグレーの11万円、最も高いのがホワイトダイヤモンドの16万5,000円。上下の差は5万5,000円で、悩んでも予算全体を揺るがすほどではありません。

テーマカラー2色の見え方

色の主役は、アーマーカッパーメタリックとファントムブルーメタリックの2つです。前者は重い金属の塊を思わせる銅系の色で、ボディの厚みを強調し、上質な雰囲気を漂わせます。後者はグレーがかった落ち着いたブルーを基調に、角度によって金色の光がのぞく色で、タフさと品の良さを両立しています。都会でも山でも浮かない、使い勝手のいい色です。

この2色は単色でも2トーンでも選べるので、印象の作り分けがしやすいのも利点でしょう。黒い屋根を組み合わせると全高が低く見え、水平基調のデザインがより引き締まります。反対に単色を選べば、ボディの塊感をストレートに味わえます。銅色のような主張のある色ほど、単色と2トーンで表情が変わるので、展示会では両方を見比べておきたいところです。

白と黒は「2種類」ある

見落としやすいのが、白と黒がそれぞれ複数用意されていることです。黒はジェットブラックマイカが無料、ブラックダイヤモンドが11万円。白系はホワイトダイヤモンドが11万円で、ブレードシルバーメタリックが無料の明るい色として置かれています。定番色を狙う人でも、費用をかけるかどうかで選択肢が分かれる構成です。

ジェットブラックマイカは2トーンのルーフ色にも使われており、屋根と車体の関係を含めて考えると、この色がラインアップの土台になっていることが分かります。

なお、グレードによって選べない色があるかどうかは、まだ明らかになっていません。先行して価格が発表されたオーストラリアでは、グレードごとに選択できる色が変わる仕組みになっているため、日本でも同様の制限が入る可能性は残ります。とくに黒い屋根の2トーンは、上位グレード寄りの設定になりやすい装備です。SUPER EXCEEDのホイールがブラック+切削スモークで統一されていることを考えると、2トーンとの相性で選ぶ楽しみもありそうです。

インテリアの見どころ 手仕事と「疲れさせない」設計

新型パジェロのインテリアとモノリスディスプレイキャメルとブラックを組み合わせた新型パジェロの室内

ラリーの勝者が教えてくれたこと

室内づくりの方向性を決めたのは、パリ・ダカールラリーでパジェロを駆って活躍した増岡浩氏の言葉でした。増岡氏は「ダカールラリーで勝つために本当に必要なのは、ドライビングスキル以上に『疲れずに楽にゴールへ到達すること』だ」と語っています。

この話を聞いた開発陣は、パジェロの室内を「悪路に挑むための硬派な仕事場」ではなく「どんな道でも乗る人を疲れさせない空間」と定義し直しました。本格クロカンに求められるのは我慢ではなく、安心して身を預けられるゆとりだ、という発想の転換です。

「純」の思想を受け継ぐダッシュボード

インテリアのデザインを手がけたのは、スペイン人デザイナーのホセ氏です。自身も大のパジェロファンで、「初代パジェロこそがデザイナーとしての発想の原点であり、デザインフィロソフィーである『純(Simplicity)』が色濃く表れている」と語っています。

新型のダッシュボードは、その考え方をさらに押し広げたものです。上部は左右に大きく伸びる水平なラインで構成され、視界の広がりが室内を開放的に見せます。水平の基準線は、悪路でクルマがどれだけ傾いているかを感覚的につかむ助けにもなります。ダッシュボードの両端には、手すりとしても使えるグリップとカップホルダーを一体で組み込みました。揺れる道で体を支えるときにも、ふだん飲み物を置くときにも役立つ、一石二鳥の設計です。手が触れやすい部分は広くソフトな素材で覆われ、触ったときの印象も上質に仕上げられています。

4WDやドライブモードを切り替えるスイッチは、センターコンソールにまとめて配置されました。悪路で急いで操作したいときに、あちこち探さなくても済むようにするためです。

シートは4グレードで3段階

座り心地に直結するシート素材は、価格順にきれいに分かれました。最も安いGLSがブラックのファブリック、GSRとEXCEEDがブラックの本革、そしてSUPER EXCEEDだけがキャメルのセミアニリン本革です。

ここで面白いのは、GSRとEXCEEDでシート素材が同じだという点です。約16万5,000円の価格差は、ホイールのサイズやアンビエントライトといった別の部分に振り分けられていることになります。逆にいえば、本革シートが欲しいだけなら下から2番目のGSRで足りる、という読み方もできます。

アウトランダーで好評のセミアニリンレザーは、キャメルという内装色とセットでSUPER EXCEEDの専用装備です。約102万円という大きな価格差の理由の一端は、この室内の色と質感にあると考えていいでしょう。

工場の職人が1枚ずつ仕上げるパネル

「開発、生産、デザインが最も苦労し、最も自信を持っている」と語られたのが、内装の仕上げです。ダッシュボードのアクセントパネルは、京都の伝統工芸「木目込み」と竹の美しさをヒントにした造形で、平らになりがちな面に陰影と奥行きを与えています。

驚かされるのは、この仕上げが人の手に委ねられていることです。厚みのある特殊なフィルムを、工場の職人がひとつずつ手で貼り込んでいく方法が採られています。量産車でここまで手作業を取り入れた例は多くありません。ドアの内張りに入るS字形のステッチも、機械で均一に縫うのが極めて難しい意匠で、製造現場とデザイナーが何度も試しながら品質を詰めていきました。

デザイナーが思い描いたものを、生産側が「無理だ」で終わらせずに実現方法を探す。前述した部門横断のチームづくりが、最も目に見える形で結実したのがこの内装だといえるでしょう。

画面とメーターは「情報を伝える道具」

先進装備についても、見せびらかすための派手さは求めていません。目指したのは、ドライバーが必要な情報を迷わず受け取れることです。ダッシュボード中央には、14.3インチの横長画面を用いた「モノリスディスプレイ」を配置しました(一部仕様は12.3インチ)。起動時のアニメーションや、時間とともに背景が変わる演出も用意されています。海外ではエントリーグレードが12.3インチ、上位グレードが14.3インチと分けられているため、日本でもGLSとそれ以外で差がつく可能性があります。

運転席正面のメーターには、初代と2代目で親しまれた3連メーターを現代風に描き直した「マルチメーター(トリプルメーター)」が入りました。表示できるのは、高度、方位、温度、車体の前後左右の傾き、AYCの制御量など。どの情報をどこに出すかは、使い方に応じて自分で決められます。情報が多すぎると感じるときのために、最小限の表示に切り替えるシンプルなモードも備わっています。背景のビジュアルは時間に応じて16パターンに変化し、ドライブモードごとに専用の演出も入るなど、所有する楽しさにもしっかり配慮されています。

室内の雰囲気づくりという点では、アンビエントライトがEXCEEDの特徴として挙げられているのも見どころです。夜の車内の印象は、この間接照明の有無でかなり変わります。GSRとEXCEEDで迷ったときの、分かりやすい判断材料になりそうです。

静かさと音へのこだわり

新型は、高速道路を走っていても、3列目の乗員まで含めて普通の声で会話できる静かさを目標にしました。遮音ガラスはフロントだけでなく前後のドアにも使われ、ボディのあちこちに防音対策が施されています。風の音やエンジンの音を室内に入れにくくする取り組みで、「疲れさせない」という考え方を音の面から支えるものです。

オーディオでは、ヤマハと共同で作り上げた「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を用意。12個のスピーカーと2つのアンプで構成され、走行スピードに合わせて音量や音質を自動で整え、ロードノイズに音楽がかき消されるのを防ぎます。スマートフォンとケーブルなしでつながるディスプレイオーディオも搭載しています。

このヤマハ製システムは、日本ではSUPER EXCEEDの目玉装備として挙げられています。海外では中位グレードから設定されていたことを思うと、日本では上級グレードに集約された可能性が高く、音にこだわる人の選択肢は795万800円の1台に絞られそうです。

3列シートと快適装備 3列目を「本物の座席」に

未舗装路を走行する新型パジェロのプロトタイプ7人がそれぞれ快適に過ごせる室内レイアウトを目指した

日本仕様は全グレード3列7人乗りです。オーストラリアではエントリーグレードに5人乗りがあり、7人乗りは1,500豪ドル高いオプションでしたが、日本では3列シートを当たり前の装備として扱うことにしました。

運転席と助手席は、長時間座っても体の一部に負担が集中しないよう、圧力を分散させる設計です。体を包み込むような形状で、長距離での疲れを抑えます。運転席は着座位置が高めで、車体の四隅をつかみやすいのも特徴です。Aピラーの角度やフロントドアの構造を見直したことで、力強い外観と室内の広さが両立しています。

2列目は前後に150mm動かせるうえ、タンブル機構も付いているので、3列目への出入りや荷物の積み込みに合わせて柔軟に形を変えられます。前席の背もたれの裏側はミリ単位で削り込まれており、スライドと組み合わせると2列目の足元にはかなりのゆとりが生まれます。

3列シート車で最も差がつくのが3列目です。新型では、ロールバーを思わせるCピラーの内部をエアコンの通り道として活用しました。ダクトを天井に張り出させずに済むため、3列目の頭の上に余裕が生まれています。デザインの目印が、そのまま居住性の改善にもつながっているわけです。さらに床の高さと座面の関係を調整し、膝が持ち上がる窮屈な姿勢を解消。つま先を前席の下に入れられるよう足元の形状にも工夫が凝らされています。「非常用」の域を超え、大人が長距離でも座っていられる席を目指しました。

全席の快適性を高める装備としては、座面と背もたれから風を送るシートベンチレーションと、1列目・2列目・3列目で温度を個別に設定できる3ゾーンのフルオートエアコンが挙げられます。これらがどのグレードから付くのかは、10月29日に確認したい項目のひとつです。

エンジンとトランスミッション ディーゼル一本で勝負

新型パジェロのラダーフレームとクリーンディーゼルエンジンラダーフレームに2.4Lクリーンディーゼルを組み合わせる

パワートレインの選択肢は1つだけ。2.4Lのクリーンディーゼルターボと8速ATの組み合わせです。

エンジンはトライトンの4N16型が土台ですが、パジェロ向けに作り直されています。トライトンが2つのターボを使っていたのに対し、新型はワイドレンジのシングルVGターボに変更。水冷式のインタークーラーも採用されました。三菱が「専用開発」とうたうのはこのためです。

数値は最高出力150kW(204PS)/3,500rpm、最大トルク480N・m/1,750〜2,500rpm(一部仕様は470N・m)。トルクはトライトンを10N・m上回り、4代目の3.2Lディーゼルよりも力強くなりました。低い回転から太いトルクが出るため、発進から高速巡航までストレスなく加速できる特性です。

組み合わされる8速ATは新たに開発されたもので、スポーツモードも備えています。ギヤの数が多いぶん、変速ごとの回転の落ち込みが小さく、舗装路ではなめらかに、悪路ではアクセルの微妙な踏み加減に忠実に反応します。発表前には6速ATになるとの予想もありましたが、それを上回る内容でした。

気をつけたいのは車重です。2,460kgという重さに対して出力は204PSなので、1トンあたりに換算すると約83PS。俊敏さを楽しむタイプではなく、厚いトルクで重い車体を悠然と運ぶ、大人びた走りになるはずです。

電動化は2030年までに

ハイブリッドの計画も見えてきました。オーストラリアの現地法人が、2030年までにハイブリッド仕様を追加する方針を明らかにしています。まずはディーゼルで発売し、電動仕様は後から加わるという流れです。

アウトランダーPHEVで培った技術がどう使われるのか、日本にいつ、どの方式で入ってくるのかはまだ分かりません。ただ、少なくともディーゼルだけで終わるクルマではないことははっきりしました。電動モデルを待ちたい人は、発売直後に飛びつかず様子を見るのもひとつの選択です。

骨格・4WD・電子制御 悪路でも「疲れない」ための仕掛け

悪路を走行する新型パジェロのプロトタイプラリーで鍛えた知見を生かしたラダーフレームを採用

強さを増したラダーフレーム

車体の土台はラダーフレームです。ラリーや過酷な環境での走行テストで得た知見を注ぎ込み、高張力鋼板を使う範囲を広げて重さを抑えながら、フレームの断面を大きくして、ねじれや曲げに対する強さを大きく高めました。フレームがしっかりしていれば、サスペンションが本来の仕事をしやすくなり、ハンドリングと乗り心地の両方が良くなります。長く使っても性能が落ちにくい耐久性も、この骨格が支えています。

新設計のリヤサスペンション

サスペンションは、前が左右独立して動くダブルウィッシュボーン式、後ろが新たに設計した5リンク式のリジッドです。ラダーフレームに後輪リジッドという組み合わせは本格クロカンの定番ですが、リンクの配置をわざわざ新しく作り直したところに、乗り心地への本気度がうかがえます。路面の凹凸に素直に追従させることで、手応えの自然なステアリングと、上下動の少ない落ち着いた乗り味を目指しました。

4つの4WDモードとS-AWC 全グレードが同じ土俵に立つ

砂丘を走行する新型パジェロのプロトタイプ路面に合わせて選べる7つのドライブモードを用意

4WDの仕組みには、三菱おなじみの「スーパーセレクト4WD-Ⅱ(SS4-Ⅱ)」が引き続き使われています。選べるのは、後輪だけで走る2H、前後の回転差を吸収しながら4輪で走る4H、前後を直結する4HLc、さらに低いギヤを使う4LLcの4つ。舗装路では燃費と軽快さを、悪路では確実なけん引力を、と場面に応じて切り替えられます。

そこに組み合わされるのが、車両運動統合制御「S-AWC(Super-All Wheel Control)」です。前輪のブレーキを使って左右の駆動力に差をつけ、曲がりやすくするAYC(アクティブヨーコントロール)、滑りやすい路面で駆動力の配分を最適にするASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)、ブレーキ時のタイヤのロックや横滑りを防ぐABS。この3つをひとまとめに管理し、ドライバーの操作と路面の状態に応じて、4つのタイヤの駆動力とブレーキ力を常に調整し続けます。

注目したいのは、この走りの中核が最廉価のGLSにも載っていることです。GLSの紹介には、S-AWC、スーパーセレクト4WD-Ⅱ、7つのドライブモードが備わる旨がはっきり書かれています。安いグレードは走破性を削る、という作り方をしていないわけで、悪路を走ることが目的なら619万3,000円のGLSで機能的には足りる、という見方もできます。

そのうえでGSRにはリヤデフロックが加わります。左右のタイヤの回転を強制的に結びつける装置で、片輪が浮くような場面での脱出力が段違いに高まる装備です。電子制御で賢く逃げるS-AWCに、機械的な最後の切り札を足した格好といえます。

ドライブモードは、NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW/MUD/SAND/ROCKの7種類。砂、岩、泥をそれぞれ別のモードとして用意しているのは、本格的な使い方を想定している証拠です。ブレーキには18インチの大きなローターと電動ブースターを使い、踏んだ量に応じて素直に効くフィーリングを狙いました。

「悪路快適性」という新しい物差し

泥濘路を走破する新型パジェロのプロトタイプ荒れた路面でも乗員が疲れにくいことを重視した

新型の開発では、悪路を「走れるか」だけでなく、悪路を走っても「快適か」が重要な評価基準に置かれました。三菱はこの考え方を「悪路快適性」と呼んでいます。

そのための具体策のひとつが、ボディとフレームをつなぐマウント部分の強化です。でこぼこ道や砂利道で室内に伝わってくる細かな揺れを抑えることで、乗り心地だけでなく操縦性も底上げしています。増岡氏が語った「疲れずに楽にゴールへ到達すること」という考え方は、内装だけでなく、こうした足まわりの設計目標にもそのまま生きているのです。

ボディサイズと主要諸元 全幅1,925mmが日本向きのポイント

砂地を駆け抜ける新型パジェロのプロトタイプ最低地上高は230mm、前後の重量バランスは52:48

サイズは全長4,920mm、全幅1,925mm、全高1,910mm、ホイールベース2,870mm。トレッドは前後とも1,630mmです。機械式駐車場に入れるのは難しい大きさですが、ライバルの多くが1,980mm前後の幅を持つなかで、1,925mmに抑えた点は日本の道では小さくない利点です。

悪路での走りやすさを示す数値は、最低地上高230mm、アプローチアングル30.4度、ランプブレークオーバーアングル22.6度、デパーチャーアングル25.8度。前後の重量配分は52:48です(いずれも20インチタイヤ装着車)。タイヤは20インチが255/55R20、18インチが255/65R18で、20インチはEXCEEDとSUPER EXCEED、18インチはGLSとGSRに割り当てられています。海外仕様にはどちらもM+S(マッド&スノー)タイヤが標準で付いていますが、日本仕様でどうなるかは正式発表での確認事項です。

新型パジェロ(5代目)の主要諸元
項目 数値・内容
全長 4,920mm
全幅 1,925mm
全高 1,910mm
ホイールベース 2,870mm
トレッド(前/後) 1,630mm/1,630mm
車両重量 2,460kg
最低地上高 230mm
アプローチアングル 30.4度
ランプブレークオーバーアングル 22.6度
デパーチャーアングル 25.8度
前後重量配分 52:48
乗車定員 7名(3列シート)※海外仕様には5名も設定
グレード SUPER EXCEED/EXCEED/GSR/GLS
車両本体価格 6,193,000円〜7,950,800円(消費税込み)
ボディカラー 単色7色+ルーフ2トーン4種類の全11パターン(無料色3色/有料色は99,000〜165,000円)
シート素材 ファブリック(GLS)/本革(GSR・EXCEED)/セミアニリン本革(SUPER EXCEED)
ホイール 18インチアルミ(GLS・GSR)/20インチアルミ(EXCEED・SUPER EXCEED)
エンジン 4N16型ベース 直列4気筒2.4L クリーンディーゼル(ワイドレンジ シングルVGターボ)
最高出力 150kW(204PS)/3,500rpm
最大トルク 480N・m/1,750-2,500rpm(一部仕様は470N・m)
トランスミッション スポーツモード付8速AT(新開発)
駆動方式 4WD
4WDシステム スーパーセレクト4WD-Ⅱ(2H/4H/4HLc/4LLc)
車両運動統合制御 S-AWC(AYC+ASTC+ABS統合制御)
ドライブモード NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOW/MUD/SAND/ROCK
サスペンション(前/後) ダブルウィッシュボーン式独立懸架/5リンク式リジッド(新開発)
タイヤサイズ 255/55R20(20インチ車)/255/65R18(18インチ車)
ブレーキ 18インチ大径ローター+電動ブースター

※寸法・角度・重量配分は20インチタイヤ装着車の数値です。
※型式指定の取得前につき、商品情報やスペックは変更となる場合があります。
※燃費および燃料タンク容量は未公表です。

安全装備と運転支援 床下まで映すカメラが悪路で効く

水たまりを走行する新型パジェロのプロトタイプ予防安全と運転支援の装備も充実している

ぶつからないための装備は、ひととおり以上にそろっています。歩行者や自転車、バイクまで見分けて交差点でも作動する衝突被害軽減ブレーキ[FCM]、前を走るクルマのさらに先の動きを予測して知らせる前方衝突予測警報[PFCW]、ペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ踏み間違い衝突防止アシスト[EAPM]などです。

三菱として初めて採用されたのが、緊急時車線維持支援機能[ELA]。カメラとレーダーで車線と周りのクルマを見張り、車線からはみ出して危険な状況になりそうなときには、警告を出したうえでハンドル操作に介入します。交差点で左右から来るクルマを知らせる前進時交差車両検知警報システム[FCTA]も付きました。

高速道路では「マイパイロット(MI-PILOT)」が運転を手助けします。前のクルマとの距離を保つレーダークルーズコントロール[ACC]と、車線の中央を保つ車線維持支援機能[LKA]を連動させるもので、長距離移動の疲れを減らしてくれます。

エアバッグは計8個。運転席と助手席の間でふくらむSRSセンターエアバッグは三菱初の採用で、衝突時に前席の2人がぶつかり合うのを防ぎます。カーテンエアバッグは3列目までをカバーします。海外では、これらの安全装備がグレードを問わず標準です。日本でも同じ方針なら、いちばん安いGLSでも安全面で妥協しなくて済みます。

悪路で心強いのが3Dマルチアラウンドモニターです。4台のカメラ映像と車両の立体モデルを合成し、毎秒約30コマで周囲を映し出します。中でも便利なのが「フロントアンダーフロアビュー」で、急な上り坂や岩場で運転席から見えないクルマの前や床下の地面を画面で確認できます。4HLcか4LLcに切り替えると自動で表示され、必要なときに手動で呼び出すことも可能です。どこにタイヤを置けばいいか迷う場面で、大きな助けになるでしょう。

コネクテッドサービス「MITSUBISHI CONNECT」にも対応。スマートフォンでエアコンを操作したり、クルマの状態を確認したりできるほか、緊急時にはオペレーターにつながるSOSコールも使えます。

海外価格から読む新型パジェロの「格」

オーストラリアでは、日本より先に価格とグレードが公表されています。並べてみると、日本仕様の性格がよりはっきりします。

現地のラインアップはGLS・EXCEED・GSRの3つです。GLSは5人乗りが68,490豪ドル(約680万円前後)、7人乗りが69,990豪ドル。EXCEEDは79,990豪ドル、GSRは84,990豪ドルです(いずれも現地諸費用別)。日本はこれにSUPER EXCEEDを加えた4グレード体制で、GSRは最上位ではなくなりました。

現地仕様の装備を見ると、グレードごとの役割分担が分かります。GLSは撥水ファブリックシート、18インチアルミ、12.3インチ画面という実用本位の内容。EXCEEDでは20インチアルミ、黒のレザー調シート、前後席のシートヒーター、ヤマハ製12スピーカー、2列目のサンシェード、冷やせるセンターコンソールボックスなどが追加されます。GSRになると、2トーンのレザー内装、前席のベンチレーションとメモリー、パノラマサンルーフ、デジタルルームミラー、アダプティブハイビーム、ブラックルーフと黒の20インチアルミが加わります。

日本仕様と比べると、並べ替えが行われたことが分かります。現地で最上位だったGSRの豪華装備は、日本ではSUPER EXCEEDへ移されたと見るのが自然です。日本のGSRは18インチのままで、代わりにルーフレールとリヤデフロックという実用装備を持つ、いわばアウトドア寄りの1台に組み替えられました。ヤマハ製オーディオの位置づけも同様で、現地では中位のEXCEEDから付いていたものが、日本では最上級に集約されたかたちです。日本市場では、豪華さと悪路装備を1本の階段に並べず、2つの方向に枝分かれさせたことになります。

価格の位置づけも興味深いところです。現地のトヨタ・プラド(日本のランドクルーザー250にあたる)は73,200豪ドルからで、パジェロの最上位GSRでもプラドの最上級グレードには届きません。その一方で、2025年まで売られていたパジェロスポーツと比べると、最上位同士で約20,000豪ドル、率にして約30%も高くなっています。新型は旧パジェロとパジェロスポーツの両方の後を継ぐモデルであり、それだけ格上げされたと捉えるべきでしょう。現地では発売前から3,000件以上の事前登録が集まったと伝えられています。

日本については、発表前にベーシックグレードで530万円前後、上級グレードで700万円前後と予想する声がありました。実際にはどちらもそれを上回っています。タイ生産による値ごろ感に期待していた人には、少々肩透かしだったかもしれません。

結局いくらになるのか 支払い総額のイメージ

色の追加費用まで出そろったので、支払いのイメージも組み立てられるようになりました。車両本体だけで考えると、最も安い組み合わせはGLSに無料の3色のいずれかを選んだ619万3,000円。最も高い組み合わせは、SUPER EXCEEDにホワイトダイヤモンドの2トーンを合わせた811万5,800円です。その差は約192万円にのぼります。

車両本体+ボディカラーの目安(消費税込み)

  • GLS+無料色:6,193,000円
  • GSR+アーマーカッパーメタリック:6,864,000円
  • EXCEED+ファントムブルーメタリック2トーン:7,084,000円
  • SUPER EXCEED+ホワイトダイヤモンド2トーン:8,115,800円

ここに諸費用やオプション、ディーラーで付ける装備が乗ってきます。2トーンを選ぶかどうかで15万円前後動くとはいえ、グレード間の差のほうがはるかに大きいのは間違いありません。色で悩んで予算を削るより、まずどのグレードの性格が自分の使い方に合うかを決めるほうが、後悔の少ない選び方になりそうです。

ランドクルーザー300・250と比べてどうか

国産の本格クロカンを検討するなら、トヨタのランドクルーザーとの比較は避けて通れません。候補になるのは、頂点に立つランドクルーザー300と、中核を担うランドクルーザー250です。

ランクル300とは土俵が違う

ランクル300は、3.5L V6ツインターボガソリンか3.3L V6ディーゼルを搭載し、全長4,950mm・全幅1,980mm・全高1,925mmの大柄なボディを持ちます。力強さ、内装の仕立て、静かさのどれを取っても国産SUVの最高峰です。さらに2026年9月16日のマイナーチェンジでガソリン車がハイブリッドに置き換わるとされ、価格は630万円台〜1,020万円台へと大きく上がる見込みです。

2.4Lディーゼル(204PS/480N・m)のパジェロは、排気量でも出力でも300には及びません。両者は競い合う関係というより、パジェロが「大きさと価格を現実的な範囲に収めた本格クロカン」として別の場所に立っている、と見るべきでしょう。300の値上がりで、その違いはますます鮮明になりました。

本命のライバルはランクル250

真正面からぶつかるのはランクル250です。価格は約520万〜785万円、ボディは全長4,925mm・全幅1,980mmで、悪路性能と日常の使いやすさのバランスで高い評価を得ています。

パジェロの619万3,000円〜795万800円と重ねると、両車の価格帯はほぼ重なります。入門グレード同士ではパジェロGLSのほうが約100万円高く、最上級同士ではSUPER EXCEEDが約10万円上回ります。パジェロは全車が3列7人乗り・ディーゼル・4WDで、しかも最廉価のGLSからS-AWCとスーパーセレクト4WD-Ⅱが標準なので、装備を考えれば割高とはいえません。ただ、「安さ」が選ぶ理由にならなくなったのは確かです。

サイズで見ると、全長はほぼ同じで、全幅はパジェロが55mm狭くなっています。狭い道や駐車場が多い日本では、この差は数字以上に効いてきます。250については、納期の長さ、ディーゼルの振動、価格の割に内装が物足りないといった声がユーザーレビューで見られることも、パジェロにとっては追い風です。

パジェロを選ぶ理由はどこにあるか

新型パジェロならではの強みは、大きく3つです。ひとつは、ランサーエボリューションやアウトランダーPHEVで磨かれてきたS-AWCによる緻密な制御。2つ目は、3連メーターを受け継ぐマルチメーターや、ヤマハと組んだDynamic Sound Yamaha Ultimateといった三菱独自の装備。3つ目は、扱いやすい車幅です。これに加えて、職人の手仕事を取り入れた内装や、デザインのひとつひとつに機能の裏付けを持たせた作り込みも、実車を見比べたときの差になりえます。ただ、タイ生産による価格の優位性は、実際の価格を見る限り大きな武器にはなっていません。

走りの考え方にも違いがあります。ランドクルーザーは、副変速機、デフロック、マルチテレインセレクトなど、機械の仕組みを重ねて悪路を越える方向で進化してきました。パジェロは、ラダーフレームとSS4-Ⅱという機械の土台に、4輪の駆動とブレーキをまとめて制御するS-AWCを重ねています。そのうえでGSRにはリヤデフロックも用意されるので、機械式の備えが欲しい人にも受け皿はあります。どちらが優れているというより、力で越えるか、制御で賢く越えるかという好みの問題です。

背負っている物語も異なります。ランドクルーザーは「世界のどこへ行っても壊れずに帰ってこられる」実用車としての信頼で評価されてきました。対してパジェロは、ダカールラリー通算12勝という競技の実績で名を上げたクルマです。新型も、挑戦する気持ちや冒険心を前面に出したキャラクターで売り出されています。

まとめると、予算を気にせず、余裕ある動力性能と最高水準の質感、高い下取り価格を求めるならランクル300。実績十分の中核モデルをバランス重視で選ぶならランクル250。そして、扱いやすい幅の本格クロカンがほしい人、3列目まで実用的に使いたい人、三菱の電子制御四駆に魅力を感じる人、パジェロという名前に特別な思い入れがある人には、新型パジェロがいちばんの候補になるでしょう。

※ランクル300・250の価格とスペックは2026年9月時点の情報です。新型パジェロについても、燃費は未発表で、型式指定の取得前のため諸元が変わる可能性があります。最終判断は10月29日の正式発表後がおすすめです。

発表前の予想はどこまで当たったか

新型パジェロは、2026年5月29日に車名が公表されてから、ほぼ月に1度のペースで少しずつ中身が明かされてきました。その流れと、世間の予想の当たり外れをまとめて振り返ります。

ティザー期に明かされた3つの情報

5月29日、三菱は開発中の新型クロカンの名前を「パジェロ」に決め、秋に世界初公開すると発表しました。この時点で、ラダーフレームを使うこと、悪路の走破性と快適な乗り心地の両方を追求することが示されています。

新型パジェロのマルチメーターイメージ3連メーターの系譜を受け継ぐ「マルチメーター」

6月29日には、インテリアの目玉として「マルチメーター」の存在が明らかになりました。ラリー車に付いていた補助メーターから生まれた3連メーターの流れをくみ、デジタル表示に置き換えたものです。高度・方位・温度・車体の傾きなどを表示するという予告内容は、9月2日の発表でそのまま確認されました。

新型パジェロのラダーフレームイメージラダーフレームとS-AWCの組み合わせが予告された

8月4日に公開されたのは足まわりの情報です。頑丈なラダーフレーム、路面によく追従するサスペンション、そしてS-AWCを組み合わせて、走破性と快適性を一段高いレベルで両立するという内容で、これも正式発表と一致しています。

予想の当たりと外れ

事前の予想のうち、ラダーフレーム、2.4Lクラスのディーゼルターボ、タイ生産、トライトンの4N16型がベースという4点は、ほぼ予想どおりでした。

予想を裏切ったのは、まずトランスミッションです。6速ATという見方が多かったなか、実際には新開発の8速ATでした。トルクも報道で出回っていた数値より高い480N・mで、エンジンもツインターボからシングルターボへ変えるなど、単純な流用にはなっていません。価格はベーシックで530万円前後という予想に対し、619万3,000円からと、こちらは悪い意味で予想を超えました。

グレード構成についても、意外だったのはGSRの扱いです。海外での最上位という前例から、日本でも上級グレードになると見られていましたが、実際には18インチとリヤデフロックを備えた「外向き」の1台として、EXCEEDより下に置かれました。価格の順番と豪華さの順番が一致しない構成は、日本のSUV市場では珍しい部類に入ります。

プラグインハイブリッドは今回の発表では触れられていませんが、オーストラリア法人が2030年までのハイブリッド追加を明言しているので、電動化自体は既定路線です。日本に来る時期と、HEVかPHEVかという方式は、まだ分かっていません。

「パジェロ」シリーズは3モデル体制へ 弟分の復活はあるか

パジェロミニ・パジェロイオ・パジェロジュニアの復活の可能性パジェロミニやパジェロイオの系譜は復活するのか

新型パジェロは、1台で終わる話ではありません。三菱は2026年5月29日の中長期ビジョンで、「パジェロ」の名前を冠したモデルを3つ出す方針を示しています。公開されたシルエットには、旗艦の新型パジェロのほかに、サイズや形の違うモデルが描かれていました。資料にはSmall SUV、Compact SUVという言葉も見られ、かつての「パジェロミニ」「パジェロイオ」「パジェロジュニア」のような小さなパジェロが戻ってくるのでは、と期待が高まっています。

世界初披露の場でも、コンパクトSUVや軽SUVの追加をほのめかす発言があったと伝えられています。旗艦が619万円からという価格になったことを考えれば、もっと気軽に買える弟分は、シリーズとして欠かせない存在になるはずです。

新型ミニバンの登場(新型デリカD:6か?)新型ミニバン(デリカD:6か)の存在もほのめかされた

別のシルエットでは新しいミニバンの存在も示されており、こちらは新型デリカD:6ではないかと見られています。

ここで、かつての小さなパジェロたちを振り返っておきましょう。

パジェロミニ(1994〜2012年)は、軽自動車の枠の中にラダーフレームと副変速機付き4WDを収めた、他に類のないモデルでした。見た目はかわいらしくても悪路での実力は本格派で、雪道や山道を気軽に走れることから多くの人に愛されました。軽SUVが再び注目を集める今、最新の安全・環境基準を満たした形での復活は十分ありえます。

パジェロジュニア(1995〜1998年)は、パジェロミニをベースに車幅を広げ、新開発の1.1L直列4気筒エンジンを載せた登録車のSUVです。オーバーフェンダーや大きなバンパーで力強い外観をまとい、走りながら切り替えられるイージーセレクト4WDを備えていました。軽の手軽さと本格SUVの走破性の中間を埋める存在で、ミニとイオをつなぐ役目を果たしました。

パジェロイオ(1998〜2007年)は、ジュニアの後を継いだコンパクトSUVです。専用のボディにスーパーセレクト4WD-iを組み合わせ、走りも使い勝手も一段と進化させました。街で扱いやすい大きさと、休日のアウトドアをこなせる力を兼ね備え、家族連れからも支持されています。コンパクトSUVが売れ筋となった今、電動化と組み合わせた新世代モデルとして戻ってくれば、三菱の新たな主力になる可能性があります。

販売面の準備も進んでいます。2026年6月12日には、パジェロの投入をにらんだ販売特化型店舗「関内店」が、約2年ぶりの新規店舗として開業しました。パジェロの名前をシリーズとして育てる取り組みは、三菱というブランドそのものを組み立て直す挑戦だといえます。

編集部のまとめ 新型パジェロは「理由のある作り込み」で勝負する

山の稜線を走る新型パジェロのプロトタイプ機械の土台に電子制御を重ねる、三菱らしい設計

新型パジェロの全体像を眺めると、狙いははっきりしています。車幅は1,925mmに抑え、エンジンは2.4Lと控えめ、そして全車が3列7人乗り。スペックの数字で一番を取りに行くのではなく、本格クロカンとしての実力を備えたうえで、日本の毎日の暮らしにも無理なくなじむことを優先したクルマです。

グレードの中身と色が見えてきたことで、選び方の輪郭もはっきりしました。走破性の中核は最も安いGLSにも入っており、GSRは本革とルーフレール、リヤデフロックで外遊びに寄せた1台。EXCEEDは20インチとアンビエントライトで見た目と雰囲気を、SUPER EXCEEDはキャメルのセミアニリン本革とヤマハ製オーディオで所有する満足感を担当します。上から順に良くなる階段ではなく、性格の違う4台が並んでいると考えたほうが選びやすいはずです。色も、費用をかけずに済ませる道と、テーマカラーの2トーンで16万円前後を上乗せする道の両方が用意されました。

一方で、価格は多くの人の予想より高くなりました。この価格を納得してもらえるかどうかは、カタログでは伝わりにくい部分にかかっています。視点を上げて見晴らしを良くしたプロポーション、壊れにくい場所に収めたランプ、シュノーケルの入り口を兼ねたフェンダー、3列目に頭上空間をもたらしたCピラー、そして職人が1枚ずつ仕上げる内装。どれも「なぜこうなっているのか」に答えられる作り込みです。実車に触れたときにその理由が伝わるかどうかが、新型パジェロの評価を決めることになるでしょう。

岩場を登坂する新型パジェロのプロトタイプSS4-ⅡとS-AWCの組み合わせで岩場も安定して走破する

走りの面では、ラダーフレームとSS4-Ⅱという機械の土台に、S-AWCの電子制御を重ねた構成が最大の個性です。そして、傾きやAYCの制御量まで映し出すマルチメーターのように、機能としても意味があり、同時に「パジェロに乗っている」という実感をくれる装備が随所に用意されています。理屈だけでは語れないこうした魅力こそ、長い歴史を持つ名前を受け継ぐクルマに求められるものです。

スペシャルサイトで開発の背景をのぞく

砂地でドリフト走行する新型パジェロのプロトタイプダカールで得た知見が「PAJERO DNA」として受け継がれている

開発の背景をもっと知りたい人には、公式スペシャルサイトがおすすめです。「PAJERO DNA」のコーナーでは、パジェロがダカール・ラリーに挑み続けたのは勝利のためではなく、確かな安心と走る楽しさを極めるためだったと説明されています。ほかにも、44年の歩みをたどる「PAJERO HISTORY」、企画・開発・デザインの担当者へのインタビュー、アウトドアイベント「STAR CAMP」での世界最速体験会のレポートなどが公開されています。

正式発表では、燃料タンクの容量にも注目です。ランドクルーザー250と同じく80L前後になるとの見方があり、そうであればディーゼルの燃費と合わせて、長距離ドライブでの給油回数を大きく減らせます。シフトノブのデザインが2種類あるとの情報もあり、グレードによる作り分けがどこまで及ぶのかも気になるところです。ボディカラーについても、グレードごとに選べる色が制限されるのかどうかは、10月29日にはっきりするはずです。

砂地を走り去る新型パジェロのプロトタイプ10月1日に予約開始、装備の詳細は10月29日に判明する見込み

歴代パジェロの歩み

パジェロはRVブームで大ヒットし、三菱の顔となったSUVです。製造拠点のパジェロ製造があった岐阜県加茂郡の町は「パジェロの町」として知られ、町の公式サイトでパジェロを特産品として紹介していたこともあります。初代は日本の自動車の歴史に大きな足跡を残したとして、日本自動車殿堂の「2023年度 歴史遺産車」に選ばれました。ここからは、世代ごとの主な出来事をたどります。

パジェロ 初代 L044・049GV/141・GW/144G・GW/146GW/149GWG・GW型:1982年~1991年

三菱は1973年から1981年にかけて、「ジープパジェロ」「パジェロⅡ」「パジェロ」と名前を変えながら、モーターショーにコンセプトカーを出展していました。市販車としてデビューしたのは1982年5月で、さまざまな用途に使えるオフロード車という位置づけ。ディーゼル、ディーゼルターボ、4ナンバーのガソリン車でスタートしています。

翌1983年は大きな動きが続きました。3月に4D55型ディーゼルターボとG63B型ガソリンターボを積んだ5ナンバーの乗用モデルが登場し、7月にはボディを大きくしたハイルーフの4ドアが仲間入り。5ナンバーのエステートワゴンと4ナンバーのエステートバンが用意されました。

1984年6月にはワゴンのディーゼルに最上級の「XL」が加わり、翌年にはクラスで初めての4速AT車が登場。1986年5月には4ドアのミッドルーフが追加されています。1989年6月の一部改良ではオーバーフェンダーと太いタイヤを持つワイドシリーズが設定され、装備を充実させた「GLグレード」は「JX」に改名。1990年6月には特別仕様車「スーパーロイヤルエクシード」が発売されました。

パジェロ 2代目 V14・24・34・46V/21・23 – 26・43 – 46W/24・26・44・46・47WG/23 – 26C型:1991年~1999年

1991年1月に2代目へ移行しました。ある程度の水の中なら走り抜けられる実力を持ち、RVブームの主役として新車の月間販売台数でトップに立ったこともあります。

1993年7月のマイナーチェンジでは、V型6気筒3,500ccの6G74型と、直列4気筒2,800ccインタークーラーターボディーゼルの4M40型が追加され、走行性能と安全性能が向上しました。1997年5月のマイナーチェンジでは、3,500ccのGDI版6G74型エンジンを採用。パリ・ダカールラリーの規則変更に対応した「パジェロエボリューション」も台数を限って販売されています。

この世代は特別仕様車の多さも特徴です。1994年には2月にパリ・ダカールラリー出場記念の「リミテッドエディション」、5月に「ホワイトパジェロ」、10月に一部改良とあわせて「ブルームーン」が登場。1995年は2月の「リミテッドエディション」、5月の「グリーンフィールド」「スーパーグリーンフィールド」に加え、ミッドルーフワゴンに2人乗りの「Gシリーズ」が設定されました。1996年は1月にグラナダ・ダカールラリー出場記念車「フィールドマスター」、9月に「スノーアスリート」、1997年1月には「フィールドマスター」と「フィールドマスターリミテッドエディション」が発売されています。1998年2月には一部改良とともにミッドルーフワイドへ「エクシードジオ」「ジオマスター」、1999年2月には「エクシードリミテッド」が加わりました。

パジェロ 3代目 V63・65・68・73・75・77・78W型:1999年~2006年

3代目への切り替えは1999年2月。2000年1月に特別仕様車「EXCEED-S」「EXCEED-L」が登場し、同年8月の一部改良で「EXCEED」は「EXCEED-Ⅰ」と「EXCEED-Ⅱ」に分割されました。

誕生20周年を迎えた2002年には、1月に記念モデル「20thアニバーサリープレミアムパッケージ」を限定販売し、9月のマイナーチェンジで外観を刷新。その後も2003年10月に「HDDナビエディション」、2004年1月に「アクティブフィールドエディション」と限定車が続き、同年12月の一部改良でスポーティな装いに変わりました。2005年11月にはマイナーチェンジとともに、上級志向の「アクティブフィールドエディションSE」が追加されています。

パジェロ 4代目 V83・87・88・93・97・98W型:2006年~2021年

2006年10月に登場した4代目は、長年の三菱ファンがすんなり受け入れられる要素を数多く盛り込んだモデルでした。同年12月には、ロングボディの特別仕様車「Limited Edition」、ショートボディの「SUPER EXCEED Edition」、ショートボディ「VR-I」専用のメーカーオプション「カラードパッケージ」を発表し、翌年1月から販売しています。

2007年は、2月にショートボディの特別仕様車「ラリーレプリカ」を3月末までの期間限定で受注し、6月に「EXCEED Premium Edition」を発売。10月の一部改良では最上級グレード「SUPER EXCEED」が設定されました。2008年10月には4年ぶりにディーゼル車が復活し、「ZR」「VR」は廃止。2009年3月にはショートボディの「VR-Ⅱ」にもディーゼルが加わり、11月の一部改良でエンジンに手が入って燃費が改善されました。このときロングボディの「EXCEED-X」がなくなり、特別仕様車「EXCEED Premium Edition」が発売されています。

2010年代に入っても改良は続きます。2010年9月に環境性能を強化し、2011年10月には「ZRパッケージ」の追加とフロントデザインの刷新を実施。2012年10月にはグレード構成を整理して「GR」「VR-Ⅰ」の5速MTを廃止しました。2013年7月のマイナーチェンジではGRの価格を見直し、2014年7月のマイナーチェンジで顔つきを新しくするとともに、静粛性と内装の質感を高めています。2015年7月には一部改良で安全性能を強化しました。

終わりの時期が近づいたのは2018年です。2月に国内向けショートボディの生産を終え、7月にマイナーチェンジ、10月に一部改良を実施。2019年4月の「パジェロ・ファイナルエディション」発売を経て、同年8月に国内向けの生産を終了しました。2021年には海外向けも含めて生産が終わり、4代目は幕を閉じています。海外で販売が続いていたトライトンベースの「パジェロスポーツ」も2025年に販売を終えており、新型パジェロはその後継の役目も背負っています。

パジェロ・ファイナルエディション:2019年4月

国内向けの生産終了にあわせて、2019年4月に700台限定で発売された特別仕様車です。「FINAL EDITION」のロゴとシリアルナンバー入りの光るスカッフプレートを装備し、成約者にはシリアルナンバー入りのオリジナルウォッチとステッカーが贈られました。

パジェロ 5代目(新型):2026年9月2日 世界初披露

2026年9月2日に世界初披露された最新世代です。強化されたラダーフレーム、S-AWCとスーパーセレクト4WD-Ⅱ、専用開発の2.4Lクリーンディーゼル(204PS/480N・m)と新開発8速AT、3連メーターの流れをくむマルチメーターという構成に、機能から形を決めるデザインと職人の手仕事を取り入れた内装が加わりました。グレードは4種類で、価格は619万3,000円〜795万800円。ボディカラーは単色7色と2トーン4種類の全11パターンで、追加費用なしで選べるのは3色です。歴代で初めてタイで生産され、2026年度中にタイ、日本、オーストラリアの順に導入されます。日本では10月1日に予約開始、10月29日に正式発表、12月17日に発売の予定です。

パジェロのモデルチェンジ遍歴
パジェロのモデル 販売年表
初代 L044・049GV/141・GW/144G・GW/146GW/149GWG・GW型 1982年~1991年
2代目 V14・24・34・46V/21・23 – 26・43 – 46W/24・26・44・46・47WG/23 – 26C型 1991年~1999年
3代目 V63・65・68・73・75・77・78W型 1999年~2006年
4代目 V83・87・88・93・97・98W型 2006年~2021年
パジェロ・ファイナルエディション 2019年4月
5代目(新型) 2026年~(9月2日世界初披露、日本発売は12月17日予定)