ワイスピに登場する車を画像と共に解説!日本車・外車の名車揃い!
映画『ワイルドスピード』シリーズでは、日本車、アメリカ車、欧州車など世界各国の車が劇中車として登場し、スポーツカーやマッスルカー、既にヴィンテージカーの域に達した旧車も次から次へと映画の中で映し出されます。
登場人物の愛車の選択に「イメージぴったり!」と感心することも多く、ちょっとしたシーンに数千万円のスーパーカーが登場したりと、劇中車について少しでも知識があると映画をより楽しめます。シリーズ1作目から最新作までに登場する車を画像付きで、ひとくち批評します!
ワイスピの劇中車を語るうえで押さえておきたいのが、公開順と物語の時系列が一致していない点です。3作目『X3 TOKYO DRIFT』は劇中の時系列では6作目『EURO MISSION』の後に位置しており、ハンというキャラクターの生死をめぐる描写がその理由になっています。搭乗車の変遷も、公開順で追うと「スポコン→マッスルカー→スーパーカー」、時系列で追うと「若者のストリートレース→世界規模のミッション」という別の景色が見えてきます。なお、シリーズを彩った劇中車の大半はすでに新車では手に入らず、現在は中古車市場でしか出会えない車種です。
ワイルドスピードに登場した車種一覧
シリーズの原点「ワイルド・スピード」の公開は2001年でした。原題は「The Fast and The Furious」です。
車の停止状態から直線コースを加速し、スピードを競う「ドラッグレース」に情熱を傾ける若者たちが描かれており、劇中車の多くは日本のコンパクト・スポーツ(通称スポコン)です。
90年代のアメリカでは、実際に若者が安価で高性能な日本車を改造したカスタムカーで、レースを行っていました。当時のスポコン文化を支えたのは「フェラーリやポルシェの半分以下の価格で、チューニング次第では互角に走れる」というコストパフォーマンスです。ターボやNOS(亜酸化窒素噴射システム)で手軽に出力を上げられ、社外パーツの選択肢も豊富でした。ワイスピの中でもっとも日本車が目立っていたのが、この1作目の「The Fast and The Furious」といえるでしょう。
トヨタ スープラ A80型
「ワイルド・スピード1」といえばオレンジ色のスープラ
スープラはアメリカの「90年代の名車ランキング」でも常に上位にランキングする人気車種
スープラはワイスピ1作目を象徴する車。ドラッグレースに負けた後、ブライアンがドミニクのガレージへ持ってきたのは1994年式オレンジ色のスープラだった。最初はオンボロ扱いで周囲の失笑を買うも、2JZエンジン搭載がわかると「無敵のマシンになる」と評される。
この2JZ-GTEこそがスープラ神話の中身で、鋳鉄ブロックの3.0L直列6気筒ツインターボは、国内仕様280馬力・海外仕様320馬力という数字以上に頑丈。腰下に手を入れずに500馬力前後まで引き上げられる耐久性が、世界中のチューナーに支持された理由。実際に触れてみると全長4,520mmのボディは想像より低く長く、大型リアウイングを目の前にすると「これで公道を走っていたのか」と驚く。長期使用で指摘されやすいのは、ターボ配管まわりのゴム類やイグナイターといった熱の入る部品の劣化。オーナーから一般的に聞かれるのは「車両価格より維持費と部品代のほうが読めない」という声で、現在は程度の良い個体が数百万円台後半から取引される高値安定の絶版車になっている。
三菱 エクリプスD32型
劇中仕様車である三菱・エクリプス D32型(D32A)
エクリプスはワイルド・スピード登場以降、スポーツコンパクトとして世界中で大人気!(写真は劇中車ではないE-D38A)
1作目序盤にネオグリーン色の車両がブライアンの愛車として登場(潜入捜査のために8万ドルかけて改造車にした)。劇中車となったのは1999年まで発売された2代目。物語序盤でハデに爆破されるが、レースシーンで魅了されたファンも多く、エクリプスの中古価格が高騰。
エクリプスは三菱とクライスラーの合弁会社DSMが米イリノイ州で生産していた、いわば「アメリカ生まれの日本車」。日本ではマイナーな存在でも、北米では手が届くスポーツコンパクトの代表格として定着していた。8万ドルという改造費は当時のレートで1,000万円近く、ベース車が200万円前後だったことを考えると、劇中の潜入捜査がいかに本気だったかがわかる金額設定。車名は18世紀の名競走馬エクリプスに由来する。日本国内での流通は極端に少なく、当時から探して買う車という位置づけだった。
マツダ RX-7 FD3S
劇中車のカスタムに似ているRX-7 FD3S
RX-7 FD3S(1991-2002年)
ロータリーエンジン搭載ピュアスポーツカー。ハンのオレンジ色の車両(日本のカーチューニングショップVeilSide製フォーチュンモデル)が有名だが、1作目にドミニクの愛車としても赤いRX-7が登場。復活を望むファンが多く、米国ではよくポルシェと比較される。
13B-REW型は排気量654cc×2ローターというコンパクトさで255〜280馬力を発生し、車両重量1,250kg前後という軽さと合わせてハンドリングの評価が高い。VeilSideのフォーチュンモデルは純正の面影がほとんど残らないフルワイドボディで、間近で見るとリアフェンダーの張り出しがノーマルより10cm以上大きく、別の車に見えるほど。実用面では、シーケンシャルツインターボの制御系とアペックスシールの摩耗が定番の弱点で、走行距離が伸びてくると圧縮低下によるエンジン不調が起きやすい。ロータリー専門の整備先を確保できるかどうかで維持のしやすさが大きく変わる一台で、「憧れだけで手を出すと後悔しやすい」と言われるのはこの点。
ダッジ・チャージャー B-Body 1970年式
ワイスピ1作目から登場するドミニクの愛車チャージャー
ダッジ・チャージャー B-Body 1970年式
ダッジ・チャージャー7作目劇中車
V8エンジン搭載のタフでワイルドなマッスルカー。1作目でドミニクが父親の形見だと明かし、シリーズを通して登場。劇中車のボンネット上にはスーパーチャージャーという空気を取り込む過給システムが配置され、米車らしいカスタム。劇中では900馬力と語られるが、これはあくまで映画の設定。
ベースとなる1970年式チャージャーは全長5.2m・全幅1.9m級のB-Bodyで、目の前にすると日本の立体駐車場はまず入らないサイズ感。ドミニクがこの車を「怖い」と言って乗らずにいた序盤の描写があるからこそ、終盤で乗り込む場面が効いてくる。ボンネットを突き抜けるスーパーチャージャーは実際に走行すると視界を大きく遮るため、撮影用には吸気系をダミー化した個体も用意された。シリーズを通して破壊された台数が最も多い車種のひとつで、1作目の時点で複数のレプリカが製作されている。
日産 240SX(シルビアS14型)
劇中でレティが乗車していたのは赤紫色の240SX
240SX(1994~1998年)日本ではシルビアS14型
ドミニクの恋人レティの1作目の愛車はピンクパープルの240SX。日本式にいうとシルビアS14型後期モデル。劇中車はViS Racing製のボディキットを装着。ドラッグレースで男相手に大差をつけて勝利するシーンが印象的。
北米向けの240SXは車名のとおり2.4リッターのKA24DE型を積む自然吸気仕様で、日本のシルビアが積むSR20DETターボとは中身が別物。北米のチューナーが「SRスワップ」と呼ぶエンジン載せ替えを好んで行うのはこのため。国内ではS14後期の中古流通が年々細り、ドリフト用途で消費されてきた分だけ無事故・無修復の個体が希少になっている。
フォルクスワーゲン ジェッタ 1995年型
1作目主要キャラ唯一のドイツ車だったVolkswagenジェッタ
1作目に、気弱だが車については天才的な頭脳を発揮するドミニクの仲間ジェシーの愛車として登場したゴルフをベースにした4ドアセダン。劇中車はWings West製のホワイト/アクアストライプスのボディがかっこよく、真似するオーナーも多い。
ベースは3代目ゴルフ(A3)で、ジェッタはトランクを持つノッチバックセダン版。ドラッグレースの舞台に4ドアの実用セダンが並ぶ違和感こそが、当時のスポコン文化のリアルなところ。安く手に入るベース車を仲間内で仕上げるという文化を、この一台が静かに物語っている。
日産 マキシマ A32
日産マキシマA32(1994~1999年)
セフィーロA32型(1994~2000年)
ドミニクの幼友達ヴィンスが乗っていたのはブルーのマキシマ(日本ではセフィーロA32型)。レースでの見せ場は少なかったが、劇中車はNOSシステムとスーパーチャージャーを搭載。北米では初代1981年から現在まで高い人気を誇る車種。
心臓部は日産の名機VQ30DE型3.0リッターV6で、ワーズオート誌の「10ベストエンジン」に長年選出された実績を持つ。FFセダンにスーパーチャージャーとNOSを積むという構成は、決して速さの最短経路ではない。それでも仲間内で目立つ一台に仕上げてしまうところに、90年代スポコンの空気が出ている。
日産 スカイラインGT-R BCNR 33型
スカイラインGT-R BCNR 33型(1995~1998年)
レオンの愛車として登場したイエローのスカイラインGT-R BCNR 33型
ブライアンの愛車としてお馴染みのGT-Rだが、実は1作目にもドミニクの仲間レオンの愛車としてイエローの33型ベースのチューニングカーが登場。日本仕様車しか存在しないため、警察無線を傍受するシーンでは右ハンドルなのがわかる。
RB26DETT型2.6リッター直列6気筒ツインターボにアテーサE-TSやスーパーHICASを組み合わせた四駆スポーツで、当時の自主規制どおりカタログ値は280馬力。北米は生産から25年を経た車両の輸入を認める「25年ルール」があり、R33世代が正規に持ち込めるようになったのは2020年代に入ってから。劇中の個体が並行輸入車という設定になっていたのは、こうした事情が背景にある。
ホンダ S2000 AP1型
ピンクのカスタムカーがインパクト大!2作目スーキー搭乗のS2000
ホンダS2000 AP1型(1999~2005年)
ホンダ創立50周年を記念して1999年に発売されたFR式オープンスポーツ。F20C型2.0リッター直4は250馬力を8,300rpmで発生し、レブリミットは9,000rpm。リッターあたり125馬力という自然吸気の密度は当時世界最高水準だった。1作目ではドミニクと敵対するギャングのトランが黒のVeilSide仕様に搭乗。2作目では女レーサーのスーキーの真っピンクなカスタム車両がインパクト抜群!
実際に運転席へ収まると、リアタイヤの直前に座るような着座位置と、エンジンをフロントミッドに寄せた前後重量配分50:50の設計が体感でわかる。ピークパワーが8,000rpm以上に置かれているため、街乗りの常用域では驚くほど平凡というのが多くのユーザーが指摘するところ。回して初めて本領を発揮するタイプで、低回転のトルクを期待して買うと肩透かしを食らいやすい。
ホンダ(アキュラ) インテグラ DB8
劇中車インテグラ DB8のモデルにしたレプリカ
インテグラ3代目 米国仕様(1993~2001)
ドミニクの妹ミアの愛車。夜のロサンゼルスをターコイズの3代目インテグラ(4ドアモデル)が自由自在に走っているシーンが印象的。ViS Racing製のボディキットを装着。
北米ではアキュラブランドから販売され、B18型VTECエンジンを積む3代目はホンダのFFスポーツを代表する存在。丸目4灯のフロントフェイスは賛否が分かれ、日本仕様の異形ヘッドライトに換装するカスタムが北米で流行した。劇中車も同様の顔つきに仕上げられている。
ホンダ シビッククーペ EJ1型
ホンダ・シビッククーペ EJ1型(1992-1996年)
ワイスピ1作目で輸送トラック襲撃に用いられたのは黒いシビッククーペの改造車3台だった。小型だが高出力、チューニングしやすい、アメリカのホンダで製造されている大衆車、これらの条件から犯行に使われた。トラックの下を走るシーンが印象的!
この襲撃用シビックは同一仕様で3台用意され、レティ車はトレーラーの体当たりで横転、ドミニク車はエンジンを銃撃されて走行不能になる。ターボ化に加えてアンダーグローまで装備した仕上がりは、当時のカスタムシーンの流行そのもの。オークションでも「HEIST Civic」の通称で扱われるほどファンの記憶に残った一台。
フェラーリ F355GTS
フェラーリ・F355GTS(1994-1999年)
排気量3,496ccのタルガトップモデル。1気筒あたり5バルブという凝った設計のV8を積み、380馬力を8,250rpmで発生する。1作目で改造スープラの試走中に「お前たちには買えないフェラーリだぜ!」と皮肉った男の愛車。ゼロヨン勝負で負ける引き立て役だが、実はワイスピのプロデューサーの愛車。
スープラがフェラーリを食うというこの一幕こそ、90年代スポコン文化の価値観を最も端的に表した場面。数千万円の跳ね馬より、数百万円の日本車をチューニングしたほうが速い場面がある、という当時の実感が下敷きになっている。
ワイルド・スピードX2に登場した車種一覧
2作目『ワイルド・スピードX2(原題『2 Fast 2 Furious』)の公開は、2003年で1作目のロサンゼルスから舞台をマイアミに移します。2作目も日本車の登場が多く、特に主人公の1人であるブライアン(ポール・ウォーカー)は、日産GT-Rなど、日本車を愛車とするキャラクターとして定着していきます。
ワイルド・スピード公式が東京オートサロンで実施したファン投票では、総投票数約2,900票のうち1位に輝いたのがこのX2に登場したブライアン仕様のスカイラインGT-R R34でした。シリーズ全体で見ても、キャラクターと車の結びつきが最も強く印象づけられた作品といえます。
三菱 ランサーエボリューションVII CT9A
ブライアンが搭乗したライム・ゴールドのランエボ
国内外のラリーで活躍した三菱が誇る名車。VII はACD(Active Center Differential=前後の駆動配分を電子制御する仕組み)が初採用されたモデル。X2でおとり捜査のためにブライアンがライム・ゴールドの車両に搭乗。通称「ランエボ」だが、劇中では「EVO」と呼ばれた。
4G63型2.0リッター直4ターボは当時の自主規制どおり280馬力。ACDとAYCの組み合わせにより、雨のマイアミでも4輪が路面をつかんで前に出るという設定が説得力を持つ。劇中車はDAMD製のボディキットとHKS製パーツで仕上げられており、日本のアフターパーツメーカーがハリウッド作品に採用された象徴的な例。ランエボは2016年のファイナルエディションでシリーズの歴史を終えており、程度の良いCT9A系は年々見つけにくくなっている。
三菱 エクリプス 3代目スパイダー
ローマンは紫色のエクリプス スパイダーを選択。ブライアンは「色が好みじゃない」と拒否
三菱・エクリプス 3代目スパイダー欧州仕様(1999~2006年)
2作目でローマンが搭乗した囮捜査用のオープンカー(色はパープル)。全長4,455mm×1,760mmの小型ボディのため、劇中ではマッスルカー乗りの男たちに「おもちゃ」扱いされるも、ドライビングテクニックでやり返す展開がベタで良い。
3代目エクリプスは初代・2代目のターボ四駆路線から離れ、3.0リッターV6のFFグランドツアラー的な性格に振られたモデル。全長4.4m級のオープンカーが5m超のマッスルカーに囲まれる画づくりは、体格差をそのまま笑いに変えている。エクリプスの名は2011年で一度途切れ、現在はSUVのエクリプス クロスに引き継がれている。
ダッジ チャレンジャー R/T 426 HEMI
2作目でローマンはオレンジ色のチャレンジャーに搭乗
ダッジ・チャレンジャーR/T(1970年式)
フォード・マスタングやシボレー・カマロとともに70年代アメリカで「ポニーカー」として人気を博した車種。ポニーカーはマッスルカーよりも小型なモデルを指す。X2でローマンが搭乗。
426HEMIは半球形燃焼室を持つ7.0リッターV8で、公称425馬力。実際にはそれ以上を発生していたと語り継がれる伝説のエンジンで、搭載車は現存数が少なく、オークションでは数千万円規模で取引される。エンジン始動時に地面を叩くような低周波が伝わってくるのが、この年代のアメリカ車に共通する感覚。
シボレー カマロ 1969年式
劇中車のシボレー・カマロは人気の高い1969年式
初代シボレー・カマロ (1967~1969年)
1967年にデビューした初代カマロだが、1969年式は特に人気が高い。エンジンは直6と各種V8を用意したFR車で、アルミブロックの427を積む最強仕様「ZL1」はわずか69台しか作られなかった。フォードのマスタングと今なお人気を二分する車。X2でブライアンが搭乗。
1969年式が別格に扱われるのは、初代カマロの中で最もマッチョなプレス面を持つ最終年式だから。間近で見るとフェンダー上部の折り返しが深く、前後フェンダーが左右に張り出しているのがわかる。旧車としては社外パーツの供給が非常に安定しており、レストア済み個体も含めて流通量が多いのがマスタングと並ぶ強み。
日産 スカイラインGT-R BNR34
X2に登場したブライアンのスカイラインGT-R BNR34
4作目MAXでは青のBNR34にブライアンは搭乗
スカイラインGT-R 5代目BNR34(1999~2002)
主人公ブライアンの愛車としてお馴染みの日本が誇る名車。34型はスカイラインの名を冠する最後のGT-Rで、以降はスカイラインの名が外れて「日産GT-R」となる。テーマは「原点回帰」であり、33型よりホイールベースを短縮してボディをコンパクト化した。日産の名機RB26DETTを搭載。
X2で登場するシルバーに青のストライプという配色は、ファン投票で堂々の1位に選ばれた組み合わせ。世界中のオーナーがレプリカを製作し、カーイベントで見かける機会が今も多い。BNR34は北米の25年ルールに前期型がかかったことで海外需要が一気に高まり、日本国内の中古相場も連動して跳ね上がった。程度の良い個体は2,000万円を超える取引も珍しくなく、「映画で憧れて探し始めたが価格を見て断念した」という声が多い車種の筆頭になっている。
フェラーリ360モデナ
当時の最多販売台数を塗り替えたフェラーリ360モデナ(1999~2005)
F355の後継として1999-2005年まで発売されたV8エンジンのMR式で、近代フェラーリの源流とも言われるスーパーカー。当時の日本での販売価格は最低1800万円~。X2の敵役ベーロンの愛車で警察に押収されたが、本人は「車は別に惜しくない」とのこと。
360モデナはアルミスペースフレームを本格採用した最初のフェラーリで、先代F355より車体剛性を高めつつ軽量化を達成している。現在は跳ね馬の中では比較的手が届く価格帯に落ち着いた一台だが、定期的なベルト交換をはじめとする維持費は車両価格とは別枠で考える必要がある。
ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFTに登場した車種一覧
3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(原題The Fast and the Furious: Tokyo Drift)の公開は2006年。ワイスピ物語中の時系列としては6作目『EURO MISSION』の後となりますが、公開順としては3番目です。
タイトルの通り、舞台は東京。カーアクションシーンではドリフト走行などが多く描かれています。日本のカーチューニングショップも撮影に協力しており、日本のファンは色々と発見があるでしょう。ドリフトの監修にはD1グランプリで活躍したドライバーが参加しており、シリーズの中で最も「走らせ方」に焦点が当たった一作といえます。
日産 フェアレディZ Z33(350Z)
オークションに出品された劇中仕様車フェアレディZ Z33型(海外では「350Z」として販売)
フェアレディZ Z33(2002~2008)
VQ35DE型3.5リッターV6を積むFRスポーツで、国内仕様の最高出力は280〜313馬力。日産の経営危機により一度は開発が止まっていたが、米国のZファンの強い要望を受けてゴーン体制下で復活を遂げたモデル。TOKYO DRIFTでドリフトキングの異名を持つタカシがVeilSide仕様車に搭乗。
Z32型が5ナンバー枠を意識した設計だったのに対し、Z33は全幅1,815mmとワイド化して踏ん張りの効くスタンスを得た。実際に運転席に座ると、フロントタイヤより後ろに寄せられたエンジンとロングノーズの組み合わせで、ボンネットの見切りが独特。中古市場では200万円前後から探せる個体もあり、劇中車の中では現実的に手が届くほうに入る。
日産 シルビア S15
最後のシルビアとなったS15型(1999~2002年)
TOKYO DRIFT劇中車に近いカスタムのシルビアS15
シルビアは日本でも走り屋に大人気のFR式スポーツクーペだが、海外のカーマニアにとっても「日本のドリフト車=シルビア」というぐらい浸透しており、映画の中では「ドリフト界のモナリザ」と評される。ショーン搭乗車は紺とオレンジのC-WEST仕様車。
SR20DET型2.0リッター直4ターボはスペックRで250馬力。全長4,445mm・車重1,240kg前後という数字は、現代のスポーツカーと比べると一回り小さく軽い。ドリフト競技で消費された台数が多いため、無事故で内外装が整った個体は年々枯渇しており、価格は上昇を続けている。日産はシルビアの名の復活に意欲を示す発言をしているものの、市販化は現時点で発表されていない。
マツダ RX-8 SE3P
劇中車は水色のRX-8
観音開きのドアが特徴のRX-8(2003~2012)
ロータリーエンジンを積む量産車としては最後のモデルとなったスポーツカー。「4ドアの実用性とスポーツカーの走りを両立させる」という難題に対し、センターピラーを廃した観音開きの4ドアで応えたところにマツダの意地を感じる。TOKYO DRIFTのニーラの車として登場。
13B-MSP型は自然吸気ながら最高出力250馬力を8,200rpmで発生し、レブリミットは9,000rpm。ロータリー特有の軽い吹け上がりが持ち味である一方、走行距離が伸びてくると圧縮低下やオイル消費が起きやすく、エンジン本体のリフレッシュを前提に選ぶ車という認識が広まっている。「4ドアだからファミリーカーとして使える」と考えて買うと、実燃費と維持コストで想定が狂いやすい。
三菱 ランサーエボリューションIX CT9A
3作目でハンがドリフト練習用にショーンに与えたランエボIX
三菱 ランサーエボリューションIX(2005年発売)
マグネシウム合金製のタービンホイールと吸気側MIVEC(可変バルブタイミング機構)を採用し、最大トルクの発生回転数をエボVIIIより低い3,000rpmへ引き下げた改良型。低い回転から力が出るぶん、先代以上に扱いやすく安定した走りが可能。本来4WD車だが、TOKYO DRIFT劇中ではドリフト用にFRへ改造している。
4WDのランエボをわざわざ後輪駆動に作り替えるという設定は、ドリフトという競技が「速さ」ではなく「姿勢の作り方」を競うものだと観客に説明する役割も担っている。ハンが練習用にこの車を渡す流れは、シリーズ屈指の教育的なシーン。
フォード マスタング 初代
3作目劇中車として登場したマスタングだが、エンジンがなく、当初はガラクタ同然だった
フォード・マスタング初代(1964~1968年)
フォードのスペシャリティカーとして世界的にヒット。「フルチョイスシステム」により本体価格が比較的安い、社外品パーツも豊富と、米国ではカスタムカーのベースとしても人気が高い。3作目の主人公ショーンの父親の車としてエンジンがない状態で登場。
この一台がシリーズ屈指の名アイデアなのは、空だったエンジンルームにハンが用意したランエボのRB26ならぬ4G63ではなく、日産RB26DETTを積んでしまう点。アメリカン・マッスルのボディに日本製直6ツインターボを載せ、日米の車文化を1台で握手させるという演出になっている。旧車のマスタングは社外パーツの供給が豊富で、エンジンスワップの土台としても選ばれやすい実情がある。
プリムス ロードランナー 初代(1970年式)
ドミニクがチャージャーの次に搭乗することが多いプリムス・ロードランナー1970年式
プリムス・ロードランナー1970年式
V8エンジンを積みゼロヨン14秒台をマークしたマッスルカー。徹底したコスト削減で標準装備は最低限。本体価格が抑えられたため、当時の若者に絶大な人気を誇った。ドミニクやレティが何度か搭乗。日本では所ジョージが愛好家として有名。
ロードランナーの企画意図は「内装を削ってでも安く速い車を若者に売る」というもので、90年代のスポコン文化と発想が驚くほど近い。年代も国も違う2つのムーブメントが同じ動機で動いていたという点が、ワイスピという作品が日本車とアメ車を同じ土俵に並べられる理由になっている。
メルセデス・ベンツ Sクラス W140
メルセデス・ベンツ SクラスW140(1991~1998)
標準仕様で全長5,120mmの大型ボディに、直6・V8・V12をラインナップしたフラッグシップ。「最後の質実剛健なベンツ」として日本での人気は高い。威圧感抜群のルックス。黒塗りの車両にヤクザのカマタ組長が搭乗。
W140は開発時にコストの制約をほとんど設けなかったと語られる世代で、二重ガラスによる静粛性やドアの閉まり方に当時の物量が表れている。目の前にすると全高もボディ面も分厚く、東京の街で「黒塗りのW140」がどういう記号として機能するかを、この配役は完全に理解している。
ワイルド・スピードMAXに登場した車種一覧
シリーズ4作目『ワイルド・スピードMAX(原題Fast & Furious)』の公開は2009年。ブライアン(ポール・ウォーカー)とドミニク(ヴィン・ディーゼル)という2人の主人公が再びシリーズに復帰する重要な作品です。
ストリートレース中心だった前3作に対し、MAXからは麻薬組織の運び屋オーディションや国境地下トンネルといった犯罪劇の色が濃くなります。劇中車の傾向も、スポコン一辺倒から渋いアメリカ車とスーパーカーが混ざる構成へと移り変わっていきます。
ビュイック グランドナショナル
ビュイック・グランドナショナル(1982-1987)
4作目でドミニクがガソリン強奪に使用した車両。一般的にマッスルカーのカテゴリに入れられるが、この車の真価は3.8リッターV6ターボにある。当時のV8勢を加速で置き去りにしたことで「黒い悪魔」の異名を取った。最終型の高性能版GNXは547台のみ製造された。
大排気量V8が正義とされた時代に、ターボ付きV6で速さを取りに行った異端児という立ち位置。V8を積むコルベットより速いという事実が当時のアメリカ車ファンに衝撃を与え、現在も相場が下がらない理由になっている。ガソリン強奪という荒っぽい仕事に、あえて渋いV6ターボを選ぶドミニクのセンスが光る配役。
シボレー シェベル SS 1970年式
ドミニクが4作目MAXで運転したシボレー・シェベル SS
シボレー・シェベル SS 1970年式ハードトップ
全長5m級だが、アメリカではミドルサイズ扱いの大衆車。4作目でドミニクが搭乗したのは2代目シェベルで、スポーツグレードの「SS」の頂点にあたるLS6は7.4リッターV8で450馬力を公称。排ガス規制と保険料高騰でマッスルカー時代が終わる直前に生まれた伝説のモデル。
450馬力という数字は、当時の一般的なファミリーカーが100馬力台だったことを踏まえると異様な出力。しかもブレーキとタイヤは現代基準では明らかに非力で、止まる・曲がるが追いついていない。実際に旧いマッスルカーに触れると、直線の暴力性と足まわりの心もとなさの落差に驚かされる。
ハマー H1
ハマーH1(1992~2006)
4作目劇中車。ベース車両は軍用車M998ハンヴィー(一般発売なし)。実はアーノルド・シュワルツェネッガーが「ハンヴィーを売ってほしい」と希望したので、民生版SUVとしてH1を作ったという経緯がある。
全幅は2.1mを超え、日本の一般的な機械式駐車場はもちろん、住宅街の路地でもすれ違いに気を遣うサイズ。左右のタイヤの間に駆動系を通すため床が高く持ち上げられており、乗り込むと運転席と助手席の間に巨大なセンタートンネルがそびえる独特のパッケージ。悪路走破性と引き換えに、日常での使い勝手はほぼ捨てている一台。
スバル インプレッサWRX STI
4作目には銀と黒のボディのインプレッサWRX STIが登場
スバル・インプレッサWRX STI 3代目(2007年 ~2014年)
4作目劇中車。3代目の2009年式で、WRX STIとして初めて専用のワイドボディが与えられたモデル。水平対向4気筒ターボを搭載し、日本仕様は2.0LのEJ20型、北米仕様は2.5LのEJ25型と排気量が異なる。巻き添えを食らう形でドムにGT-R34型を爆破されたブライアンが代わりの車を頼むのだが、「速いのだな?」とドムが調達したのがコレ。
GT-Rを失った直後に渡される車が、価格帯で言えば数分の一のインプレッサというのが実に良い。派手さはないが四駆のトラクションで確実に前に出るという性格は、潜入捜査で目立たず速く動きたいブライアンの状況とも噛み合っている。低重心の水平対向エンジンとシンメトリカルAWDの組み合わせは雨や雪でも扱いやすく、実用車としての完成度も高い。
ホンダ NSX 初代
初代NSX(1990~2005)
「ポルシェやフェラーリのような国産スポーツカー」という理想を掲げて1990年に発売したスーパーカー。世界初の量産オールアルミモノコックボディを採用し、アイルトン・セナも開発に関わって剛性への指摘を残したことで知られる。ドム奪還時のミアの搭乗車(黒)やテズの愛車。テズ役のリュダクリスはホンダ好きで、2代目NC1型をプライベートでも購入。
初代NSXが評価されたのは速さより「毎日乗れるスーパーカー」という設計思想。前方視界を確保するために戦闘機のキャノピーを参考にした低いカウルは、実際に運転席に座ると先端まで見通せて、車幅感覚がつかみやすいことに驚く。生産は2005年12月に終了しており、現在は当時の新車価格を大きく上回る相場で取引される。
ポルシェ・ケイマン
ジゼルの愛車ポルシェ・ケイマン テックアート・GTスポーツ
ポルシェ・ケイマン初代987c型
ケイマンはポルシェのオープンカーであるボクスターから派生した高級クーペ。水平対向6気筒エンジンのMR。4作目ジゼル搭乗車は2007年式の初代ポルシェ・ケイマンをベースに、ポルシェ専門のチューニングショップであるテックアートが手がけた車両。
ミッドシップならではの回頭性の良さから、サーキットでは911を食う場面もあると評されてきたモデル。911との序列を守るため出力面で意図的に抑えられていたという見方は今も根強い。派手なスーパーカーが並ぶシリーズの中で、玄人好みの一台を選んでくるジゼルの趣味が渋い。
フォード トリノ
初代トリノの中でも1972~1976年製造の車は「グラン・トリノ」と呼ばれる。写真は1972年式
1968~76年販売の米国ミドルサイズの大衆車。当時からマッスルカーと認知されていたもののマスタングやシボレー・シェベルほどの人気はなかった。ワイスピやクリント・イーストウッド監督『グラン・トリノ』の公開により旧車人気が高騰。
映画一本で相場が動くというのは旧車の世界ではよくある話で、トリノはその代表例。長く「安く買えるアメ車」の位置にいた車が、2000年代後半以降は探して買う車に変わった。劇中車は429コブラジェットを積むグリーンの個体で、渋い脇役ながら車好きの記憶に残る一台になっている。
ランボルギーニ LM002
ランボルギーニ LM002(1986~1993年)。劇中車は黒
1986~1993年発売の本格4WD車。軍用車「チーター」の市販化モデルで総生産台数328台。砂漠もぐいぐい走れるオフロード性能、パンクしても走行できる特注タイヤ、大型トラック並みの290Lの燃料タンクでどこへでも行ける。内装は本革シートの高級路線。
心臓部はカウンタックと同じ5.2リッターV12という反則級の構成。290Lという燃料タンクは、軽自動車6台分以上を積んで走る計算で、航続距離のためというより燃費の悪さを飲み込むための容量というのが実情。現在のウルスに至る「ランボルギーニのSUV」という系譜の出発点にあたる希少車で、専用タイヤの入手性の低さがオーナーを悩ませるポイントになっている。
ワイルド・スピード MEGA MAXに登場した車種一覧
シリーズ5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(原題Fast Five)の公開は2011年。日本車はもちろん、アメ車のマッスルカー、伝説的な旧車などが登場し、カーアクションがとにかく派手。
ブラジルのリオデジャネイロを舞台に1~4作目までの登場人物が勢ぞろいするため、シリーズの中でも特に人気の高い作品です。
この5作目からシリーズの性格が明確に変わり、ストリートレース映画から強盗アクション映画へと軸足を移します。金庫を鎖で引きずり回すクライマックスに象徴されるように、車は「速さを競う道具」から「作戦を成立させる装備」へと役割を変えていきました。
日産 スカイラインGT-R KPGC10型
5作目で逃亡中のブライアンとミアが搭乗していたのが第一世代のスカイラインGT-R(KPGC10)
日産 スカイラインGT-R KPGC10型(1970~1972)
レース通算50勝の伝説を築いた初代GT-R。通称ハコスカGT-R。搭載するS20型はレーシングエンジン直系の2.0L直6DOHCで160馬力。5作目MEGA MAXに登場した劇中車は1972年式で、フロントガラスに日本の古い車検シールが貼られるなど細かい演出がされていた。超希少車のため撮影はレプリカ車の可能性が高い。
ブラジルのスラム街を走らせる車として、シリーズ最古の日本製GT-Rを選ぶセンスが渋い。GT-Rの名は1973年に一度途絶え、1989年のR32で復活するという断絶の歴史を持つ。現存するKPGC10のGT-Rは極めて少なく、国内オークションでは数千万円規模の取引になる。
シボレー コルベット C2型 グランドスポーツ
シボレー コルベット C2型 グランドスポーツ(1963~1967)。劇中車はシルバーのレプリカ
グランドスポーツはコルベットC2型(1963~1967)をスポーツ走行に特化したもの。メカニックが秘密裏に開発していたらしく、GM上層部にバレて開発が中止されたという逸話がある。5作目の列車脱出時にドムとブライアンが搭乗。
計画では125台の生産が予定されていたが、実際に完成したのはわずか5台。本物は博物館級の存在で、市場に出れば数億円規模になるため、映画に使われるのは基本的にレプリカ。旧車として憧れる価値は高いが、そもそも買える車ではないという典型例。
フォード GT40
オークションに出品されたフォードGT40の劇中車レプリカ
フォード GT40 (1964~1969年)
5作目で列車から盗難し、チップが搭載されていた車。フェラーリの買収に失敗したフォードが、イギリスのローラ・カーズの技術を取り込んで開発したクルマ。1966年から1969年までル・マン24時間レースで4年連続優勝という金字塔を打ち立てた。2005年にGT40のオマージュモデル「フォードGT」が限定発売。
車名の40は全高40インチ(約1,016mm)に由来し、セダンのドアミラーより低いという極端な数字。目の前にすると、成人男性が立てば腰のあたりまでしか高さがないことに驚く。フェラーリへの意趣返しから生まれた車が伝説になるという顛末は、後年『フォードvsフェラーリ』として映画化された。
デ・トマソ パンテーラ
デ・トマソ パンテーラ(1972年式)
イタリアの自動車メーカーであるデ・トマソが1971~1994に販売。米フォードのV8エンジンをイタリア製のボディに搭載し、最盛期には2700台以上を販売。劇中車は最も人気の高い72年式。5作目で麻薬取締局が列車で移送中だったクラシックカー。
イタリアンデザインにアメリカ製大排気量V8という組み合わせは、部品の入手性という点で意外なメリットがある。エンジン本体はフォードの量産ユニットなので、消耗品や補修部品が今も比較的探しやすい。一方で電装系と冷却系は年式相応の弱点を抱えており、夏場の渋滞で水温が上がりやすいのはこの世代のミッドシップに共通する傾向。
ポルシェ911 996型 GT3 RS
ポルシェ911 996型GT3
ポルシェのフラッグシップにあたる911。5作目の賭けレースで入手したのは996型で、911の歴史上はじめてエンジンを空冷から水冷に切り替えた世代にあたる。GT3はモータースポーツ直系の自然吸気フラット6を積むホットモデルで、後期型は3.6リッターで381馬力を発生。
996は登場当時、涙目と呼ばれる異形ヘッドライトと水冷化で保守的なファンから叩かれた不遇の世代。しかし現在は「手が届く911GT3」として再評価が進み、相場は上昇局面にある。空冷から水冷への転換点という歴史的な位置づけが、後追いで価値を押し上げた形。
アーメット アーマードビーグル・グルカLAPV
アーメット・アーマードビーグル・グルカLAPV
5作目でホブス捜査官用にアメリカから輸送されてきた装甲車。ボディは爆発などの衝撃に耐えるために保護剤で覆われており、フロントガラスは2重加工の防弾仕様。重さ約9トン。これでも装甲車としては「ライトモデル」である。
ベースはフォードのF-550という商用トラックのシャシで、市販車の骨格に装甲を被せる構成。9トンという重量は大型バスに匹敵し、この巨体がリオの狭い路地に突っ込んでくる画作りが、ホブスというキャラクターの暴力性をそのまま表している。
ダッジ チャージャー 警察車両
ダッジ・チャージャー 警察車両
5作目でドミニクたちが調達したダッジ・チャージャーの警察車両。実際に米国の警察車両はクライスラー社のダッジ・チャージャー、GM社のシボレー・カプリス、フォード社のクラウンビクトリアなどビッグ3の車両が用いられることが多い。
ドミニクの愛車と同じ車名のパトカーで金庫を引きずるという構図が、この作品の遊び心。パトカー用のポリスパッケージは、強化サスペンションや大容量の冷却系、耐久性を高めた電装系など、市販モデルとは中身が別物に仕上げられている。
ダッジ チャージャー SRT8
ダッジ・チャージャーLX型 SRT8(2005~2010年)
ダッジ・チャージャーLX型SRT8のリアビュー
5作目MEGA MAXラストで、ドミニクとブライアンが1台ずつ搭乗。ドミニクの愛車としてお馴染みのチャージャーだが、SRT8は2005年に復活した現代版チャージャーのトップグレード。6.1リッターHEMI V8で425馬力を発生し、現代に蘇ったアメリカンマッスルの代表格。
1970年式チャージャーが2ドアクーペだったのに対し、この世代は4ドアセダン。往年の名前を実用的なセダンで復活させたことに当初は批判もあったが、大排気量V8を積んだ4ドアという構成が支持され定着した。ダッジは電動化への移行に伴いV8搭載チャージャーの生産を終えており、この路線の車は年々希少になっている。
レクサス LFA LFA10型
レクサス・LFA LFA10型(2010~2012)
レクサスLFA10型のリアビュー
レクサスLFAは5作目ラストで恋人同士になったハンとジゼルが乗っていた車種で、2010年~2012年に世界500台限定で発売した、ボディやV型10気筒エンジン搭載を新設計した3750万円のスーパーカー。予約数を上回る注文のため抽選となり、ほぼハンドメイドのため2年かけて納車された。
4.8リッターV10は9,000rpmまで回り、回転計の針が追いつかないためデジタル表示のメーターが採用されたという逸話を持つ。ヤマハが関与した排気音の設計も含め、数値では測れない部分に費用を投じた一台。カーボン製ボディを自社開発の織機で内製したことも含め、採算度外視の実験車という側面が強い。中古市場では発売時の価格を大きく超える取引が続いている。
ケーニグセグ CCXRエディション
ケーニグセグ・CCXRエディション(2008年にジュネーブのモーターショーに登場)
ケーニグセグが2006~2010年に販売したスーパーカーCCX。「CCXRエディション」はCCXのハイパフォーマンス版で、バイオエタノール燃料に対応することで1,000馬力超を発生する。劇中で「世界に4台しかない」と語られた超希少車だが、オーナーから借りて撮影した本物。
スウェーデンの少量生産メーカーが、ブガッティやパガーニと同じ土俵で戦っているという事実そのものが驚異。エタノール燃料は同じ排気量でも高い圧縮比を取れるため、環境対応と出力向上を同時に成立させるという発想でこの数字が生まれている。
日産 GT-R R35型
GT-R R35型 劇中仕様
日産・GT-R R35型(2007~2025)。写真は2016年7月マイナーチェンジ後
スカイラインの名前が外れて「GT-R」となっても、ブライアンの搭乗車であり続けた。VR38DETT型3.8リッターV6ツインターボは最終モデルで570馬力。初めて左ハンドル仕様車が公式に販売されたため、海外の車好きもこぞって購入。2025年8月26日に栃木工場で最後の1台がラインオフし、18年におよぶ生産に幕を下ろした。
R35が特異だったのは、フルモデルチェンジを一度も行わず毎年改良を重ねるという手法で18年を走り切った点。総生産台数は約4万8,000台で、うち国内向けは約1万7,000台にとどまる。VR38DETTは専任の匠がひとりで1基を組み上げる手法が採られ、エンジンには組んだ職人のネームプレートが貼られている。生産終了以降は中古相場が上昇しており、日産は次世代GT-Rの開発意向を示しているものの、登場時期は公表されていない。
ダッジ チャレンジャー SRT8
ダッジ・チャレンジャー SRT8(2011年式)
5作目ラストでブライアンのGT-Rと勝負したドミニクの愛車。初代は1970~1974年に発売されたポニーカーと呼ばれるマッスルカーよりもややコンパクトな車。劇中車は2008年に復活販売した3代目チャレンジャーで、ボディデザインは初代に近い。
570馬力の四駆ハイテクスポーツと、大排気量V8の後輪駆動マッスルカーが真正面から勝負するという構図は、シリーズの主義そのもの。数値では圧倒的にGT-Rが有利だが、この作品はそこに勝敗をつけない演出を選んでいる。
ワイルド・スピード EURO MISSIONに登場した車種一覧
6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』(原題Fast & Furious 6)の公開は2013年。ヨーロッパを舞台にしているため、イギリスやイタリアなどの欧州の自動車メーカーの車が多く登場するのが特徴です。
この作品で初登場するのが、敵組織が操る「フリップカー」と呼ばれる特殊車両。車体前部をくさび形にして相手の車を跳ね上げるという発想の兵器で、劇中車を単なる移動手段ではなく武器として扱う演出がここで完成しました。
ダッジ チャージャー・デイトナ 1969年式
ダッジ・チャージャー・デイトナ(劇中車と同じ1969年式)
「デイトナ」はダッジ・チャージャー第一世代の高性能モデル。NASCARで勝つために巨大なリアウイングと尖ったノーズコーンを与えた空力仕様で、1969年に503台のみが限定製造された。多くはレース用にされたので、現存する個体が極端に少ない米国のヴィンテージカー。EURO MISSIONドミニク搭乗車。
リアウイングの高さは約60cmもあり、間近で見ると装飾ではなく本気の空力パーツだとわかる。この形状はトランクを開けられるようにするための高さという説明が定着している。市販車をレースに出すためのホモロゲーション用モデルという成り立ちは、日本でいえばスカイラインGT-Rやランエボと同じ発想。
フォード エスコートRS2000
フォード・エスコート(1968~1978)
エスコートは、フォードの欧州部門が1968~2000年まで製造した大衆車。主にイギリスで販売され、アメ車テイスト控えめなデザイン。6作目でブライアンが搭乗し、劇中車は初代エスコートMK1型に2.0Lエンジンを搭載したRS2000。
初代エスコートはラリーの世界で圧倒的な戦績を残した車で、イギリスでは今も競技車のベースとして根強い需要がある。車重は900kg台と軽く、100馬力前後でも十分に速いという典型的な旧世代のラリーカー。スーパーカーが飛び交う作品の中で、あえてこの一台をブライアンに与える配役が渋い。
ルクラ LC470
ルクラ・LC470 劇中仕様
米国カリフォルニアのスーパーカーブランド「ルクラ」が販売したほぼハンドメイドのオープンカー。重さ900kgの車体に対し、608馬力のV8エンジンを搭載と驚きのスペック。6作目 EURO MISSIONでテズが搭乗。
900kgに608馬力というのは、パワーウェイトレシオで言えばブガッティ・ヴェイロンを上回る水準。屋根もエアコンも快適装備も持たない代わりに、加速だけを追求した構成になっている。「速さ以外を全部捨てた車」という点で、ワイスピらしい一台。
フォード マスタング(アンヴィル社チューニング仕様)
フォード・マスタング 1969年式 劇中仕様車
マスタング(1969年式) Boss 429
6作目でローマンが搭乗した白のマスタングは、1969年モデルをアンヴィル社が仕上げたチューニングカー。1969年式は初代マスタングの後期にあたり、ボディが大型化された年式。最強仕様のBoss 429はカタログ上375馬力とされるが、実際はもっと出ていたという見方が定着している。
カタログ値を意図的に低く公表していたのは、当時のアメリカで保険料が馬力に応じて跳ね上がったため。数字を抑えて申告するのがメーカー側の常套手段だった。Boss 429は857台程度しか作られておらず、現在はオークションで数千万円級の値がつく。
BMW M5 E60型
BMW M5 E60型(2005~2010年)
M5 E60型 2006年式リア
高性能仕様を示すBMWのMシリーズ。E60型は歴代M5で唯一のV10エンジン搭載車で、最高出力507馬力を7,750rpmで発生する。通常は250km/hでリミッターがかかるが、解除仕様では300km/h前後まで伸びる。6作目でホブス捜査官がドミニクらに用意した車両のうちの1台。
V10という選択はF1参戦で培った技術を市販車に持ち込むという当時のBMWの主張そのもの。一方で長期使用ではロッドベアリングの摩耗やSMGと呼ばれるシングルクラッチ変速機のトラブルが指摘されやすく、中古価格の安さに惹かれて手を出すと維持費で驚くことになりやすい一台としても知られている。
フェラーリ FXX
フェラーリ・FXX(2005~2007)
6作目でテズが欲しがった一台。FXXはエンツォ・フェラーリをベースに2005年から30台前後のみ製造されたV12搭載のサーキット専用車で、購入者はフェラーリの開発プログラムに参加する会員という扱いになる。本来は公道走行が認められていないため、映画ならではの演出としてレプリカが制作された。
「金を払って買っても、自分の好きなときに乗れるわけではない」という異例の販売形態が特徴で、車両はフェラーリが管理し、指定されたサーキットイベントでのみ走らせる仕組み。所有の概念そのものが普通の車と違う。
ジェンセン インターセプター
6作目レティ搭乗車ジェンセン・インターセプター
ジェンセン・インターセプター(1966~1976)
イギリスの自動車メーカーであるジェンセン・モーターズが1966~76年まで製造したクーペ&コンバーチブル。イタリアのボディデザインに、米国クライスラー製のV8エンジン、イギリス車らしい洗練された内装といいとこどり。6作目レティ搭乗車。
派生モデルのFFは、量産車として世界に先駆けて四輪駆動とアンチロックブレーキを組み合わせた先進的な一台だった。技術的には正しかったが価格が高すぎて売れず、メーカーごと消えていったという苦い歴史を持つ。ガラスハッチを持つ独特のリアデザインは、間近で見ると想像以上に大きく、ガラスの曲面がそのまま室内を覆っている。
アストンマーティン DB9
アストンマーティンDB9(2004~2016年)
『007』劇中車も多く手掛けるイギリスのアストンマーティン。DB9は2004~2016年に販売。洗練されたエレガントな佇まいだが、軽量ボディにV12エンジンを搭載し、0-100km/h加速は4.5秒とその速さは本物。EURO MISSION敵役オーウェン・ショウの愛車。
アルミ接着構造のVHプラットフォームを初採用したモデルで、以降のアストンマーティンの基礎になった。敵役に上品なグランドツアラーを与える配役が効いていて、暴力的なマッスルカーを操るドミニク側との対比が視覚的に成立している。
メルセデス・ベンツ Gクラス W460型
メルセデス・ベンツ・Gクラス W460型(1979~1990年)
メルセデス・ベンツの高級SUVとして人気のGクラス。460型は1979~1990年製造の初代モデル。軍用車として開発された車両を民生化したのが初代Gクラスであるため、高い悪路走破性を持ち、オフローダーとしての性能も本物。
Gクラスが40年以上ほぼ同じ形を保っているのは、ラダーフレームと3つのデフロックという中身が最初から完成していたから。実際に触れてみると、ドアの閉まり方や外に露出したヒンジ、直角に切り立ったガラス面など、乗用車の作法から意図的に外れているのがわかる。
アルファロメオ ジュリエッタ 第三世代
アルファロメオ・ジュリエッタ(2010~2020年)
おしゃれでスポーティーな走りが魅力的なイタリア車。1954年に発売された初代ジュリエッタは非常に人気の高いクラシックカーだが、EURO MISSION劇中車は2010年発売の第三世代で名前以外の繋がりは薄い。第三世代は2020年に生産を終えている。
ロンドンの街中を走るシーンで、コンパクトなイタリア車を選ぶあたりに舞台設定への配慮がうかがえる。ドアハンドルをリアピラーに隠して3ドアクーペのように見せる手法は、実際に間近で見ないと5ドアだと気づきにくい。
ランドローバー・レンジローバー
レンジローバー(1994~2001年)
EURO MISSIONで敵役の組織員がよく乗っていた4WD車。イギリスの自動車メーカー「ランドローバー」のフラグシップモデルにあたる高級SUV。劇中車は1994~2002年販売の2代目だが、初代モデルはイギリス王室にも愛用された伝統を持つ。
2代目はエアサスペンションを本格採用し、悪路では車高を上げ、高速では下げるという使い分けを可能にした。長期使用ではこのエアサスのトラブルが定番の悩みで、コイルスプリングへ変更する対策が中古オーナーの間で選択肢になっている。
ワイルド・スピード SKY MISSIONに登場した車種一覧
7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』(原題Furious 7)の公開は2015年。クランクアップを前に、ブライアン役のポール・ウォーカー氏が交通事故で亡くなり、遺作となった本作はワイスピファンにとって特別な意味を持っています。事故は2013年11月30日、慈善イベントからの帰路にポルシェ・カレラGTの助手席に同乗中の出来事でした。撮影は弟のケイレブ氏とコディ氏が代役を務め、CG技術を併用して完成しています。
ポール・ウォーカー氏は、プライベートでも大の車好きで知られています。愛車としてトヨタ・スープラや日産フェアレディZ、スカイラインGT-Rを所有していました。役柄を超えて本当に日本車を愛してくれていたのでしょう。
アウディ R8
アウディ R8 初代(2006~2015)
アウディ R8 前期型リア
ル・マン24時間レースで2000年代に5度の総合優勝を飾ったレーシングカーR8の名を受け継ぎ、その技術を市販化したスーパースポーツ。アウディ初のミッドシップスポーツカーで、製造の多くを手作業に頼るため生産台数は限られる。7作目のドラッグレースでレティの対戦相手が搭乗。
ランボルギーニ・ガヤルドと基本骨格やV10エンジンを共有しながら、日常使いできるスーパーカーとして仕上げられている点が最大の特徴。実際に運転席に収まると、視界も操作系も普通のアウディに近く、跳ね上がるようなクセがない。四駆のクワトロを組み合わせた安定志向は、扱いやすさを重視する層に刺さる。
ジャガー Fタイプ Rクーペ
ジャガー・Fタイプ Rクーペ(クーペは2014年~)
Fタイプは2013年発売のピュアスポーツカー。Rクーペは最高級グレードに位置し、スーパーチャージャー付5リッターV8を搭載して550馬力を発生。0-100km/h加速は4.2秒、最高速度は300km/hでリミッターがかかる。パワフルなエンジン音も魅惑的。7、8作目でデッカード・ショウが搭乗。
この車の真骨頂は排気音で、スポーツモードにするとバルブが開いて発砲音のようなアフターファイアが鳴る。過激すぎて一部地域では音量規制に引っかかったという逸話まである。伝説のEタイプの正統な後継として企画された経緯があり、ジャガーがブランドの原点に戻ろうとした一台。
プリムス クーダ
7作目でレティが搭乗したプリムス・クーダ
プリムス・クーダ(1970~1974)
1970~1974年に販売された3代目プリムス・バラクーダの高性能グレードを「クーダ」と呼ぶ。兄弟車であるダッジ・チャレンジャーとともに70年代マッスルカーを代表する人気の高いレア車。6作目、7作目でレティやドミニクが搭乗している。
426HEMIを積むHEMIクーダのコンバーチブルは、現存わずか十数台とされ、オークションで数億円規模の値をつけた記録を持つ。世界で最も高価なアメリカ車の一角で、レティの荒々しい運転で振り回される画は、価値を知っている人ほど肝が冷える。
クライスラー タウンアンドカントリー
タウンアンドカントリー(2008~2016)
7作目でブライアンが運転していたファミリーカー(劇中車は青)。元祖アメリカのミニバン。シャシはダッジ・グランドキャラバンと共通だがやや高級志向。2016年に販売を終了し、現在は3列シート仕様も設定される「パシフィカ」が後継車種。
スーパーカーが並ぶシリーズの中で、この車が担う役割は「ブライアンが父親になった」という一点。ミニバンを運転する彼が満たされない顔をするという描写があるからこそ、終盤の別れが効いてくる。シートを床下に格納するスタウ・アンド・ゴー機構は、当時のミニバン市場で大きな武器だった。
マセラティ ギブリ M157
ギブリ M157(2013~)
7作目で敵役デッカード・ショウが搭乗したのは3代目ギブリ。初代は60~70年代に最高速度265km/hを誇り世界最速とも言われた名車。劇中車のM157は高級スポーツセダンという位置づけで、メルセデス・ベンツ Eクラスやアウディ A6のライバル車。
3代目ギブリはフェラーリが手がけたV6ツインターボを積むという成り立ちで、排気音の演出にもマセラティらしいこだわりがある。一方で内装の一部にグループ内共通部品が使われている点は当時から指摘されていた。
スバル インプレッサWRX STI GRB型
7作目劇中車のうちの1台インプレッサWRX STI GRB型
3代目インプレッサWRX STIの5ドアハッチバックがGRB。7作目でブライアンが2011年式の青いボディの個体に搭乗。当時の日本の自主規制値280馬力を超える308馬力を実現。米国では衝突安全性の評価も高く、人気を集めた。
ハッチバック化された3代目は発表当初「セダンでないと認めない」という声が強かったが、後席の実用性とリアハッチの使い勝手で評価を取り戻した。四駆のスポーツセダンとして雪道での安心感が高く、日本の寒冷地でも通年で使える一台。
ジープ ラングラー JK型アンリミテッド
ラングラー 3代目 JK アンリミテッド(2007~2017)
本格クロスカントリー車として日本ではランドクルーザープラドと比較されることが多い。ラムジー救出の際にテズが搭乗(ボディは灰色)。現行モデルは2018年に日本導入された4代目のJL型。
ラングラーは屋根とドアを工具で取り外し、フロントガラスも前に倒せるという他にない構造を維持している。アンリミテッドはホイールベースを延ばした4ドア版で、後席と荷室の実用性が段違い。オンロードでの乗り心地と燃費は割り切りが必要で、そこを許せるかどうかで評価が分かれる。
シボレー カマロ Z28
シボレー・カマロ Z28 初代(1967~1969)
7作目ラムジー救出の際にローマンが搭乗した車両。60年代~70年代のポニーカーとして有名なカマロだが、初代カマロが生産されたのは1967~1969年の3年間のみ。Z28は初代からあるグレード名で、レースへの参戦を前提に開発した超スポーツグレード。
Z28はもともと社内のオプションコード名で、これがそのまま最強グレードの代名詞になった珍しい例。排気量を5.0Lに抑えているのは、当時のトランザムシリーズが5.0L以下という参戦規定を設けていたため。大排気量を積まないという選択が、逆にこのグレードを特別なものにしている。
マクラーレン MP4-12Cスパイダー
MP4-12Cスパイダー(2012~2014)
F1マシンの型式名であるMP4を受け継いだ市販スーパーカー。2011~2014年販売(スパイダーは2012年~)。最高速度330km/h、0-100km/h加速3.1秒のハイスペックマシンだが、扱いやすく、公道でのドライブも楽しみやすい。7作目ブライアン搭乗車。
カーボンモノコックを量産スーパーカーに持ち込んだ点が革新的で、スパイダーでも屋根を落としたことによる剛性低下がほぼない。油圧でロールを制御する独自のサスペンションにより、スタビライザーを持たないという構成も異例。乗り心地が驚くほど良いのはこのため。
ダッジ バイパー SRT-10
ダッジ バイパー SRT-10(2002~2010年)。劇中車は黒だった
クライスラー社がGMのシボレー・コルベットに対抗するために開発したスポーツカー。歴代モデルすべてにV10エンジン搭載。7作目レティ搭乗車は2002~2010年発売の2代目で、8.3リッターV10から500馬力を発生する。日本人デザイナーの鹿戸治が手掛けたモデルである。
バイパーは初期モデルに横滑り防止装置もABSも与えられておらず、電子制御に頼らず乗り手の腕で御する車として恐れられた。排気管がサイドシルを通るため、乗り降りで足を火傷しやすいという実用面の欠点も語り草。速さより「怖さ」で記憶される稀有な一台。
フェラーリ・458イタリア
フェラーリ・458イタリア(2009~2015)
車名は「排気量4.5L・8気筒エンジン」からつけられた。ボディやシャシにはアルミが多く使われ、全長4,527mm×全幅1,937mm、乾燥重量1,380kgとかなり軽量。7作目テズが黄色の個体に搭乗。2009~2015年に販売され、当時の新車価格は日本で2,830万円~。
4.5リッターV8は自然吸気で570馬力を9,000rpmで発生し、フェラーリのV8モデルとしては最後の自然吸気世代にあたる。後継の488以降はターボ化されたため、「吸気音と高回転の伸びを味わえる最後の8気筒」として近年評価が上がっている。
ブガッティ ヴェイロン
ローマンの搭乗車ブガッティ ヴェイロン
フランスの自動車メーカーであるブガッティ・オトモビル作のスーパーカー。スーパースポーツグレードは最高速度431km/hとギネス記録に認定。1台1億7000万円~、450台の限定車で2005~2015年の10年をかけて完売した。7作目ローマン搭乗。
8.0リッターW16気筒に4基のターボを組み合わせて1,001馬力を発生し、それを冷やすために10基のラジエーターを備える。最高速モードではタイヤが15分ほどで限界を迎えるという設計で、燃料もほぼ同時に尽きる計算になる。タイヤ交換だけで数百万円規模、点検も同様に桁が違うという維持費の逸話が多い一台。
Wモーターズ ライカンハイパースポーツ
ワイスピで描かれた車でもっとも高額な車両ライカンハイパースポーツ
ライカンハイパースポーツ(2013~)
ドバイに本社を持つWモーターズが製造した世界に7台しかないスーパーカーで、価格は日本円で3億円を超える。ヘッドライトには宝石が埋め込まれ、内装にも貴金属が使われる。7作目劇中車はポルシェをベースにしたレプリカだが、制作費は1台あたり数千万円規模。
アブダビ警察がパトカーとして導入したことでも知られる一台。高層ビルからビルへ飛び移るというシリーズ屈指の場面に使われたことで、車名の知名度が一気に世界へ広がった。実車は中東の富裕層向けに企画された性格が強く、日本で見かける機会はほぼない。
ランボルギーニ アヴェンタドールLP700-4
アヴェンタドール(2011~2022年)LP700-4
ランボルギーニの伝統にのっとり闘牛の名前にちなんで命名されたスーパーカー。カーボンモノコックに6.5リッターV12を積み、0-100km/h加速は2.9秒。車名のLP700-4は縦置きエンジン・700馬力・四輪駆動を意味している。
跳ね上がるシザードアと、走行速度に応じて自動で角度を変えるリアウイングが特徴。実際に目の前にすると全高わずか1.1m台という低さに驚かされ、乗り込むには一度腰を落として滑り込む必要がある。後継のレヴエルトはハイブリッド化されており、V12単体で走る最後の世代という位置づけになった。

シボレー カプリス
劇中車と同じ1987年式カプリス
1965~96年まで製造。米国ではタクシー、パトカー、公用車として定番の車種であり、ボディサイズは歴代モデルすべておおよそ全長5.5m×全幅2mのサイズ。2011年に警察向け専用モデルとして復活したが、こちらも2017年に生産を終えている。7作目テズ・ローマン搭乗車。
後輪駆動・フレーム構造・大排気量V8という組み合わせは、酷使される公用車として理にかなった設計。ボックス型の80年代カプリスは、後にローライダー文化の定番ベース車としても支持された。
トヨタ スープラ JZA80型
撮影にはポール・ウォーカー所有のスープラ(JZA80型95年式)が用いられた
スープラJZA80型(1993~2002年)の人気はワイスピの影響も非常に大きい
ポール・ウォーカーが交通事故で亡くなるという悲劇に見舞われた7作目。撮影はポールの弟が代役を務めた。ラストでは1作目を象徴するブライアンのスープラと、ドミニクのチャージャーが並走した後、わかれ道となる。撮影車両はポールの所有車。
この白いスープラは後にオークションへ出品され、日本円で約6,000万円という水準で落札されている。ベース車の相場を大きく超える金額がついたのは、車そのものの価値に加えて、シリーズが積み上げてきた物語が値段に乗ったから。エンドロールで流れる「See You Again」とともに、多くのファンにとってワイスピという作品の意味を決定づけた一台になった。
ワイルド・スピード ICE BREAKに登場した車種一覧
8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK』(原題The Fate of the Furious)は2017年に公開。最終決戦は「雪上・氷上」という特殊な環境でのカーバトルとなり、4WD車などが多く登場しました。
一方で、物語冒頭の舞台はキューバで、50年代のアメリカ車が多く見られるのも8作目の特徴。キューバは1961年にアメリカと国交を断絶(2015年にオバマ政権により国交が回復)。新車販売が制限されていたため、「旧車・クラシックカーの天国」と呼ばれるほど、古い車が普通に街を走っているのです。
キューバの旧車は観光名所であると同時に、部品が手に入らない環境で半世紀以上も現役を続けてきた整備技術の産物でもあります。ソ連製トラクターのディーゼルエンジンを載せ替えるなど、原形をとどめない改造で走り続けている個体も珍しくありません。
シボレー インパラ スポーツクーペ
劇中車は赤のインパラ スポーツクーペ(1961年式)
シボレー・インパラ 「キャッツアイ」と呼ばれた猫の目テールランプ
1959年式インパラ 全長5,357mmのボディサイズ
1958年から10世代にわたって作られたシボレーの大型乗用車で、2020年2月に生産を終えている。8作目でドムがキューバで乗っていた劇中車は1961年式で古き良きアメ車デザインの王道。カスタム車のベースとしても人気が高い。
インパラは米国で最も売れた乗用車のひとつで、1965年には単一車種として年間100万台を超える記録を残している。ローライダー文化の中心にあった車でもあり、油圧やエアで車高を上下させるカスタムのベースといえばこの車。走行中に燃えるという劇中の展開も、状態の悪い個体を無理に走らせるキューバの実情を踏まえた描写になっている。
シボレー フリートライン
シボレー フリートライン スポーツマスター
劇中に登場したフリートライン(1950年式)はかなりボロボロの状態
フリートラインは8作目キューバにいるドミニクの従兄弟フェルナンドの車。「キューバで1番遅い」と言われていたが1940~50年代当時のフリートラインは高級車だった。1961年に米国との国交を断絶したキューバは、新しい車が国に入ってこないためアメ車の旧車天国と言われているので、それゆえの劇中車チョイス。
劇中では錆だらけの状態からエンジンを載せ替えて勝負に挑み、最終的には炎上しながらバックで走り切るという無茶をやってのける。整備性の観点では、この年代のアメリカ車は構造が単純で工具さえあれば手を入れやすく、専門的な診断機を必要としない。だからこそ半世紀を超えて現役でいられるという事情が、この一台の背景にある。
フォード カスタムライン
フォード カスタムライン(1956年モデル)
劇中に登場したカスタムライン(1956年式)
8作目、キューバでのレース相手ラルドの車。ドミニクが乗るシボレー・フリートラインに比べれば手入れがされており状態は良かったが1952~1956年製造の戦後まもない世代のフォードで、クラシックカーであることには変わりない。
この世代のフォードには、後に「フラットヘッドV8」の系譜を継ぐY型V8が用意されており、当時のシボレー勢との性能競争がそのままキューバの路上に持ち込まれた形。半世紀以上前のライバル関係が、そのまま劇中のレースの構図になっている。
トヨタ ランドクルーザー J40系
ランドクルーザーJ40(1960~1984年)劇中車は赤
1960~1984年まで24年間製造されたロングセラー。「フォーティー」の愛称で世界中に愛好家がおり、中古車価格が下がらない人気モデル。FJクルーザーのデザインにも影響を与えている。8作目敵役サイファーがドミニク待ち伏せ時に利用。
ランドクルーザーが世界中で信頼される決定的な理由は、砂漠でも極寒地でも壊れないという実績にある。部品供給が長期にわたって続くこと、途上国でも修理できる構造であることが評価につながっており、旧型でも相場が落ちない。実際に触れてみると、鉄板の厚みとドアの重さが現代のSUVとは別次元で、乗用車ではなく道具として作られたことが伝わってくる。
ランドローバー ディフェンダー90
ディフェンダー90(1990~2016年)
「90」はホイールベース2,360 mm =90インチから命名
8作目 ICE BREAKホブス搭乗車(カラーは銀色)。ホイールベースの長さ(単位はインチ)により90、110、130と3モデルが存在。フルタイム4WD、ラダーフレーム、アルミニウムボディで、警察&消防車両での採用が多い。
旧型ディフェンダーは2016年に生産を終え、2020年に完全新設計のディフェンダーとして復活している。旧型は角ばった軍用車然としたスタイルが支持され、生産終了後にかえって相場が上がった。アルミボディゆえに錆に強い一方、フレームや足まわりの腐食は年式相応に出やすい。
ダッジ チャレンジャーSRTデーモン
チャレンジャーSRTデーモン(2017~)。劇中車はシルバー
ウィリー走行のギネス記録を持つチャレンジャーSRTデーモン
チャレンジャーの高性能モデル。V型8気筒スーパーチャージャーエンジンを搭載し、ハイオク使用時840馬力を発生。ゼロヨン9.65秒というまさに悪魔級のマッスルカー。ウィリー走行約88センチという記録もギネス認定。8作目でファミリーが1台ずつ搭乗。
デーモンは工場出荷時からドラッグレース用の装備を持つという極端な車で、助手席と後席を取り外して軽量化した状態で納車され、専用タイヤを履き、専用の燃料コントローラーを使うと840馬力に到達する。市販車でありながら米国のドラッグレース公認団体が「速すぎる」として車検を通さないという珍事も起きた。ここまで割り切った車が量産されたのは、大排気量V8の時代が終わりに近づいていたからでもある。
プリムス GTX
ドミニクが搭乗したプリムスGTX(1971年式)
8作目でNYでドミニクがGTXに搭乗(ボディは黒)。ワイルド&タフなイメージの強いドミニクの愛車ダッジ・チャージャーの兄弟車だが、GTXは「紳士のマッスルカー」として売り出された。1973年前後のオイルショックと排ガス規制の強化で人気が低迷し、車名も姿を消した。
GTXが紳士的と呼ばれたのは、廉価に振ったロードランナーとは逆に、内装や装備を充実させたうえで440や426HEMIといった最強クラスのエンジンを積んだから。同じ骨格から質素な速さと豪華な速さを作り分けるという発想が、当時のアメリカ車らしいところ。
シボレー・コルベット C2型 スティングレイ
シボレー・コルベット C2型(1963~1967) 写真は1963年モデル
エンジンは5.3リッターV8 最高出力250馬力
シボレー・コルベット C2型(1963~1967)
コルベットの中でも人気が高い1963~1967年製造のC2型。日本語でアカエイを意味する「スティングレイ(Sting Ray)」サブネームを持つ。C5まで続くリトラクタブルヘッドライトを初採用。8作目レティ搭乗車。
初年度の1963年式クーペには「スプリットウインドウ」と呼ばれる、リアウインドウが中央で二分されたモデルが存在する。後方視界が悪いという理由でわずか1年で廃止されたため、現在は最も価値の高いコルベットのひとつになっている。C2はボディがFRP製で、鋼板の錆とは別の意味で経年管理が必要な旧車。
ベントレー・コンチネンタルGT
ベントレー・コンチネンタルGT BR9 Edition(2010年型)
内装は木や本革を使ってとってもラグジュアリー。8作目でローマンが白と茶のツートンカラーの車両に搭乗するが、横転させられる。車両約2000万円+改造費のため「やめろ!ベントレーだぞ!」という必死の主張はもっともなところ。
初代コンチネンタルGTは6.0リッターW12ツインターボを積む四輪駆動のグランドツアラーで、車重は2.3トンを超える。この重量級が氷上で振り回されるという場面の絵面が、ローマンというキャラクターの持ち味そのもの。内装のウッドパネルは1本の木から左右対称に切り出す手法が採られており、間近で見ると左右で木目が鏡合わせになっているのがわかる。
メルセデスAMG・GT S
メルセデスAMG・GT S(初代は2015年登場)
メルセデスのレース系ブランドであるメルセデスAMGが製造するスポーツカー。F1世界選手権でセーフティーカーとしても用いられている。車格や価格帯からポルシェ・911と比較されることが多い。8作目テズとラムジー搭乗車(シルバーの車両)。
4.0リッターV8ツインターボは、ターボをシリンダーバンクの内側に配置する「ホットインサイドV」という構成を採り、レスポンスの向上と搭載性の両立を図っている。AMGは1基のエンジンを1人の職人が組み上げる方式を貫いており、カバーには組んだ職人の署名プレートが付く。初代の後を継ぐ2代目は2023年に登場している。
スバル BRZ ZC6型
劇中車と同じラピスブルー・パールのBRZ(2016年式)
トヨタとスバル共同開発のスポーツカー(トヨタ86が兄弟車)。8作目でリトル・ノーバディがNYで搭乗している。劇中車のボディカラーはラピスブルー・パール。TRA KYOTOロケットバニー製のワイドボディキットを装着。
ロケットバニーは日本のカスタムブランドで、リベット留めのオーバーフェンダーで一気にワイド化する手法が海外で爆発的に支持された。3作目のカーチューニングショップ協力に続き、日本発のカスタム文化がシリーズに登場した例。BRZは2021年に2代目のZD8型へ移行し、排気量を2.4リッターへ拡大している。
メルセデス・ベンツ W221
要人警護車として採用されるメルセデス・ベンツ W221ガード
8作目ICE BREAKでロシア国防大臣が乗っていたSクラス5代目(2005~2013年)W221型のリムジン。防弾車仕様の「W221ガード」は、各国の政府要人や企業経営者の警護車として採用されている。日本でも要人警護の現場でSクラスが使われる例がある。
ガードモデルは装甲を後付けするのではなく、生産ラインの段階で防弾鋼板を骨格に組み込む方式が採られている。車重が通常モデルより1トン近く増えるため、ブレーキ、サスペンション、タイヤまですべて専用設計。パンクしても走り続けられるランフラット構造も標準となる。
日産IDxニスモ
本格派FRスポーツとして注目された日産IDxニスモはコンセプトカー
東京モーターショー2013で登場した日産のコンセプトカー。発表当時は「シルビアの後継」と噂された箱型のFRクーペ。NISMO仕様はダットサン240Z BREをモチーフにしたカラーリング。8作目アイスブレイクの倉庫での車両調達のシーンに登場。
反響の大きさとは裏腹に、IDxは市販化されないまま10年以上が経過している。手頃な価格のFRクーペを求める声は今も根強く、日産はシルビアの名の復活に意欲を示す発言をしているが、市販化の発表には至っていない。市販されなかった車が映画に出るというのは、コンセプトカーとしては異例の扱い。
ランボルギーニ ムルシエラゴLP640
ムルシエラゴLP640(ムルシエラゴは2001~2010年)。4WDだが当然氷上向きではない
氷上で目立つため敵の集中砲火を浴びたオレンジ色のムルシエラゴLP640
6.5リッターV12を積み640馬力を発生するスーパーカー。8作目でローマンが一目惚れし、最終的にロシアで搭乗した車(色はオレンジ)。燃費の悪さでは米国のランキング常連だが、気にするオーナーはいない。
ムルシエラゴはアウディ傘下となって最初に開発されたランボルギーニで、それまでの気難しさを残しつつ品質と信頼性が大きく改善された世代。走行速度に応じて自動で開閉するサイドのエアインテークは、間近で見ると閉じているときと開いているときでシルエットが変わる。オレンジのスーパーカーで氷原に出るという選択の間抜けさが、そのままローマンのキャラクター描写になっている。
ハウ&ハウテクノロジーズ リップソー
一般用としても限定発売されているハウ&ハウテクノロジーズ リップソー
8作目でテズがロシアで搭乗した戦車。最高時速153km/h、「世界最速の戦車」の異名を持つ。どう見ても軍用車両だが、民間用モデルも限定販売しており、価格は日本円で2000万円台から。
もともとは軍や消防など特殊用途向けに開発された高速装軌車で、履帯を持ちながらこの速度域で走れる点が最大の特徴。民間向けモデルは公道走行を前提としておらず、私有地やイベントでの使用が想定されている。
アイス・ラム(ダッジ・ラム 第4世代)
ワイスピ用に制作した特別車両アイス・ラム
ベースとなったのは米国の人気ピックアップトラックであるダッジ・ラムの第四世代(2008~)
8作目ICE BREAK用の特別車両。ホブス搭乗車。大型ピックアップトラック4代目ダッジ・ラム(2008~)に可動式ブレードを装着、キャタピラーを履かせて雪上仕様に改造。本来のラムはフロントマスクがかっこよく、若者に人気の車。
ベースのラム1500系はフォードFシリーズと並ぶ米国の定番ピックアップで、現地では乗用車代わりに使われる存在。コイルスプリングのリアサスペンションを採用して乗り心地を高めた世代で、荷物を積まない街乗りでの快適性が同クラスより優れる。市販の実用車を改造して特殊車両に仕立てるという工程は、シリーズの特殊車両制作でよく採られる手法。
ローカルモーターズ ラリーファイター
ラリーファイター(2010~2016)
米国のベンチャー企業が製造。米軍戦闘機「P-51マスタング」のデザインにヒントを得たオフローダーだが、0-100km/h加速6.0秒とスポーツカー並の性能を持つ。8作目でレティとラムジーが搭乗。トランスフォーマー4にも登場。
ラリーファイターの特異な点は、デザインをインターネット上の公募で決めるという開発手法。購入者が工場に出向いて自分の車の組み立てに参加する仕組みも用意されていた。少量生産だからこそ成立した実験的なビジネスモデル。
スバル・WRX STI
WRX STI(2014~)
8作目雪上でリトルが白の車両を運転。北米仕様車なので2.5LターボのEJ25型を搭載。スパイクタイヤとラリー仕様パーツを装着。ロケでは雪上でも安定して走行できたと製作陣からも好印象。
氷上という舞台でスバルの四駆が選ばれたのは、ラリーで培った実績からくる説得力による。実際に雪道で乗ると、前後の重量配分が整った水平対向エンジンと機械式のセンターデフの組み合わせで、滑り始めてからの挙動が読みやすい。EJ20搭載のWRX STIは2019年のファイナルエディションで区切りを迎えており、EJ型ターボを積む最後の世代として中古市場での注目度が高まっている。
アイス・チャージャー(ダッジ・チャージャー)
ワイスピICE BREAK用に制作した特別車両アイス・チャージャー
8作目 ICE BREAK用でドミニクが搭乗した特別車両。68年式ダッジ・チャージャーを雪上仕様にフルカスタマイズしたモンスターマシン。「ワイスピカー全国ツアー」として撮影車両が展示された。
雪上仕様のために四輪駆動化され、リフトアップして極太のオフロードタイヤを履かせた構成。1970年式のチャージャーが「父の形見」として神聖に扱われてきたのに対し、この個体は使い倒すための道具として作られている。同じ車名でありながら性格が正反対という対比が面白い。
スピンオフ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』に登場する車一覧
2019年8月2日、ワイルド・スピードシリーズの公式スピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』が日米同時公開されました。
原題は『Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw』で、タイトルの通りドウェイン・ジョンソン演じるホブス捜査官とジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウが主役です。『スーパーコンボ』に登場する車をまとめました。
マクラーレン720S
マクラーレン720S(2017年3月~)
デッカード・ショウの愛車。スーパーコンボ予告ポスターにも登場。車名の「720」とはズバリ馬力のこと!マクラーレン・スーパーシリーズ初の第2世代として2017年に登場。0-100km/h加速2.9秒。
MP4-12Cから続くカーボンモノコックを刷新し、ドア部分まで一体成型としたことで乗り降りのしやすさが大きく改善された。ヘッドライトの周囲にあるくぼみは装飾ではなく冷却用の空気を導く通路で、間近で見ると顔つきの奇抜さがすべて機能から来ていることがわかる。
フォード ブロンコ
フォード・ブロンコ第三世代(1980~1986年)
スーパーコンボでホブスの自宅ガレージにあったクルマ。おそらく第三世代1981年式のフォード・ブロンコ。1966年から1996年まで製造されたフォードのSUVだが、2021年に6代目の新型ブロンコとして復活し、現在も販売が続いている。
復活した現行ブロンコはジープ・ラングラーを明確に意識した設計で、ドアと屋根を工具なしで外せる構造を持つ。旧型ブロンコは近年のネオクラシックSUV人気で相場が上昇しており、状態の良い個体は北米でも探しにくくなっている。
ピータービルド セミトラック

スーパーコンボでデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)が乗り回していたトラック。ピータービルトは1939年創業の米国の大手トラック製造会社であり、トランスフォーマーシリーズでも有名。
米国のセミトラックは、日本の大型トラックと違ってエンジンをキャビンの前に置くボンネット型が主流。長距離輸送が中心のため運転席後方に寝台を備える仕様が一般的で、居住空間としての快適性が重視される。クライマックスでヘリコプターを引きずるという無茶な使われ方をするが、牽引力という点では最も理にかなった選択。
ローバー・ミニ
1999年式ローバー・ミニ 日本での人気の小型車
スーパーコンボ登場。イギリス人が愛した小型大衆車で、映画『ミニミニ大作戦(原題:The Italian Job)』劇中車。ショウ(ジェイソン・ステイサム)がガレージで「仕事で使った」と説明するが、この映画にステイサムが出演しているがゆえの演出。
全長3m級のボディにエンジンを横置きし、前輪駆動で室内空間を最大化するという構成は、その後の小型車の設計思想を決定づけた。実際に触れてみると、外から見た小ささに対して室内が想像以上に広く、この配置の効果が体感できる。旧ミニは2000年に生産を終え、現在のMINIはBMW傘下で作られる別系統のモデル。
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』に登場する車種一覧
2021年8月6日に日本公開されたワイルド・スピード9作目(スピンオフ作品『スーパーコンボ』除く)にあたる『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の登場車種を紹介します。
この作品では3作目で死亡したはずのハンが復活し、さらにドミニクの弟ジェイコブが登場するなど、物語の面でも大きく動きます。ラストシーンでは青いBNR34型のスカイラインGT-Rが姿を見せ、ブライアンの存在を示唆する演出が用意されました。
トヨタ スープラ DB型
5代目スープラ 通称GRスープラ
名車A80型から17年ぶりに復活した5代目スープラ。BMW・Z4との共同開発で「直列6気筒+FR」の組み合わせを実現。ワイスピ9ジェットブレイクでは1作目のブライアンのスープラを思わせるオレンジ色の車両が登場する。
上級グレードRZは3.0リッター直6ターボで387馬力を発生し、6速MTと8速ATを選べる。生産はBMW Z4と同じオーストリアの工場で行われており、そのZ4が生産を終えるのに合わせる形で、GRスープラも2026年3月をもって生産を終了した。最終モデルとして300台限定の「A90ファイナルエディション」が用意され、日本仕様は最高出力435馬力まで引き上げられている。オレンジのスープラが劇中に戻ってきたタイミングと、5代目が幕を下ろすタイミングが重なったことになる。
ノーブルM600
ノーブルは少量生産のスーパーカー専門ブランド
2009年発表、イギリス生まれのスーパーカー。ヤマハが関与した4.4LのV8ツインターボを積むMR。横滑り防止装置などの電子制御デバイスを持たず、変速機は6速MTのみで、半端な気持ちでは乗れない。ブースト圧の切り替えで最大650馬力まで引き上げられる。0-100km加速は約3秒。
電子制御を意図的に排したのは、ドライバーの操作がそのまま挙動になる感覚を残すため。ダッシュボードにブースト圧を三段階で切り替えるスイッチがあり、乗り手が自分の腕に合わせて出力を選ぶという構成になっている。安全装備の充実が当たり前になった時代に、あえて逆を行った稀有な一台。
ダッジ・チャージャー SRTヘルキャット ワイドボディ
ダッジ・チャージャーSRTヘルキャットワイドボディ 2020年モデル
ワイスピ・ジェットブレイクでドミニクが搭乗。SRTヘルキャットのボディに、スーパーカー並の極太タイヤを装着し、大迫力フェンダーを装備。6.2LのV8スーパーチャージャーエンジンを搭載し、700馬力越えの超ハイパワーを発揮。
ワイドボディ仕様は標準車より全幅を約9cm広げ、より太いタイヤを収めることで加速時のトラクションを稼いでいる。700馬力超を後輪だけで受け止めるという構成上、タイヤの消耗が極端に早いのがこの手の車の宿命。ダッジはV8搭載チャージャーの生産を終え、次世代は電動化されたモデルへ移行している。
フォード マスタング
フォード・マスタング(2018~)
ワイスピ9でドムの弟ジェイコブ・トレット搭乗車両として出演。なお、ジェイコブ役のジョン・シナは「フォードGT」の転売規約を破ったとしてフォード社から訴えられた過去があるが後和解、ワイスピで本格的な雪どけの模様。
ジェイコブが乗るのは1980年代のフォックスボディと呼ばれる世代をベースにした個体で、兄ドミニクが1970年式チャージャーに執着するのと対になる配役。安価なベース車を仲間内で仕上げるフォックスボディは、北米のドラッグレース文化を支えてきた存在でもある。
ポンティアック フィエロ
ポンティアック・フィエロ 最上級グレードGT(1985年)
ワイスピ9・ジェットブレイクで「レトロな小型車」と呼ばれていたのは、かつてのGMブランド「ポンティアック」のミッドシップ車フィエロ(1984~1988)。部品の使いまわしでコストを抑え、スーパーカーのレプリカベースとしても人気。
樹脂製の外板パネルをスペースフレームに貼り付ける構造のため、外装を丸ごと別のスーパーカー風に作り替えやすいという特性がある。フェラーリやランボルギーニ風のキットカーのベースとして定番になったのはこのため。ポンティアックというブランド自体は2010年に廃止されている。
ジープ グラディエーター
グラディエーターJT型 ダブルキャブ仕様のピックアップトラック
ロサンゼルスモーターショー2018で発表されたグラディエーターJT型で、ベースは4代目ラングラー。タフなエクステリアだが、死角をカバーするための運転支援システムを多数搭載しており、内装はメカニカルな雰囲気。
ラングラーの4ドアをベースに荷台を追加した構成で、屋根とドアを外せるという特性はそのまま受け継いでいる。オープンにできるピックアップトラックという成り立ちは、量産車では他に例がない。ホイールベースが伸びたぶん最小回転半径が大きく、日本の狭い駐車場では扱いに気を遣う。
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』に登場する車種一覧
10作目『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(原題Fast X)は2023年に公開されました。ローマ、リオデジャネイロ、ロンドン、南極と舞台を移しながら、5作目MEGA MAXの出来事を発端とした復讐劇が描かれます。
この作品ではハンの愛車がRX-7からイタリア車へ、レティやドミニクの搭乗車も現代のマッスルカーへと更新されており、シリーズの車選びが一段と国際色を強めています。
ダッジ・チャージャー SRTヘルキャット レッドアイ
ドミニクが物語序盤、ローマの街を駆るのが2022年式のチャージャーSRTヘルキャット レッドアイ。6.2リッターHEMI V8スーパーチャージャーで797馬力を発生する、現代版チャージャーの最上位に位置する仕様。
レッドアイはデーモンの技術を4ドアセダンに移植したモデルで、ヘルキャットより過給圧を高めた強化版。古都ローマの石畳を800馬力級のアメリカンセダンが暴れ回るという絵面が、この作品の派手さを象徴している。V8を積むチャージャーはすでに生産を終えており、この世代が一区切りとなった。
アルファロメオ 2000GTV
柿の種を好んで食べる姿でおなじみのハンが搭乗するのが、オレンジと黒に塗り分けられたアルファロメオ 2000GTV。1970年代のモデルで、彼のテーマカラーをそのまま受け継いだ配色になっている。
3作目でハンが乗っていたRX-7 VeilSide仕様と同じオレンジ×黒という配色を、まったく別の国の旧車で再現しているのがこの一台の面白いところ。GTVはベルトーネがデザインした軽量クーペで、2.0リッター直4ツインカムを積み、当時としては最高速度200km/hに迫る性能を持っていた。
日産 フェアレディZ ダットサン240Z仕様
今作の日本車枠にあたるのが、S30型フェアレディZ(北米名240Z)をベースにPandemのワイドボディキットで仕上げた一台。ハンが搭乗し、ロンドンの市街地を走る。
S30型は北米で「Zカー」として大ヒットし、日本車が高性能スポーツカーとして認められる転換点になったモデル。Pandemは日本のカスタムブランドで、リベット留めのオーバーフェンダーを旧車に組み合わせるスタイルが海外で高い支持を得ている。日本の旧車と日本のカスタム文化がセットで登場する形になっている。
フォード マスタング フォックスボディ
ジェイコブが乗り継ぐのが、9作目に続くフォックスボディ世代のマスタング。1979年から1993年まで作られた第3世代で、北米では最も手頃に速さを手に入れられるベース車として親しまれてきた。
軽量なボディに5.0リッターV8を積むという構成が支持され、ドラッグレース用のパーツが今も潤沢に流通している。ドミニクが1970年式チャージャーで過去を背負うのに対し、ジェイコブは80年代の量産車を仕上げて乗るという対比が続いており、兄弟の関係性が車選びに表れている。
シボレー エルカミーノ
今作で最も特殊な使われ方をするのがシボレー・エルカミーノ。乗用車のボディ後半を荷台にした「クーペユーティリティ」と呼ばれる形式で、劇中では荷台に大型の砲を積んだキャノンカー仕様として登場する。
エルカミーノは実用車でありながらSSグレードにはマッスルカー顔負けのV8が用意されており、荷物も積めて速いという独特の立ち位置にあった。荷台を持つという構造が、そのまま特殊装備を積むという劇中の使い方につながっている。
ポルシェ 911(997)GT3
ローマのシーンで登場する997型GT3は、シリーズ初期のレースバトルを思い起こさせる場面で使われる。3.6~3.8リッターの自然吸気フラット6を積み、911の中でも最もサーキット寄りの性格を持つグレード。
997型はGT3にモータースポーツ直系の「メッツガーエンジン」と呼ばれるユニットを積んだ最後の世代で、この点から中古市場でも別格の扱いを受けている。回して楽しむ自然吸気の911を求めるなら、この世代が最後の選択肢になる。
シリーズ完結編『Fast Forever』は2028年公開予定

ワイスピはシリーズが進むにつれて、人気は右肩上がりに。制作費も増えて、物語のスケールも拡大。スーパーカーが多数登場するようになりました。スピンオフを含めた全世界興行収入は70億ドルを超え、カーアクション映画としては前例のない規模のフランチャイズへと成長しています。
2017年公開の8作目『ワイルド・スピードICE BREAK』は世界興行収入12億ドル超という、シリーズ最大のヒットを記録しました。2019年にスピンオフ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』、2021年に9作目『ジェットブレイク』、2023年に10作目『ファイヤーブースト』が公開されています。
そしてメインシリーズの完結編にあたる11作目は、『Fast Forever(原題)』のタイトルで2028年3月17日に全米公開されることが発表されました。監督は前作から続投するルイ・レテリエ。当初は2025年春の公開が予定されていましたが、脚本・予算をめぐる調整で複数回の延期を経て、シリーズ史上最長となる約5年の間隔を空けての公開となります。
ヴィン・ディーゼルは完結編の条件として「舞台をロサンゼルスに戻すこと」「カーカルチャーとストリートレースに立ち返ること」「ドミニクとブライアン・オコナーを再会させること」の3点を挙げており、故ポール・ウォーカー氏が演じたブライアンが何らかの形で再登場することが示唆されています。1作目のスープラとチャージャーから始まった物語が、原点であるストリートレースの舞台に戻って幕を閉じるという構図です。
ワイスピ劇中車は今も買えるのか
シリーズを彩ってきた日本車の多くは、すでに新車では手に入りません。スープラA80型は2002年、RX-7 FD3Sは2002年、シルビアS15は2002年、RX-8は2012年、ランサーエボリューションは2016年に生産を終えています。さらに近年では、日産GT-R(R35型)が2025年8月26日に約18年の生産を終え、GRスープラも2026年3月で生産を終了しました。
これらの絶版スポーツカーに共通するのは、映画による知名度と北米の「25年ルール」による輸出需要が重なり、中古相場が長期的に上昇していること。特にスカイラインGT-R BNR34は状態の良い個体が2,000万円を超える取引になり、A80型スープラも数百万円台後半からという水準に達しています。「映画で憧れて探し始めたが、10年前の相場感覚のままだと予算が合わない」という状況が起きやすい領域です。
一方で、現実的に手が届く劇中車も存在します。フェアレディZ Z33(350Z)、スバル インプレッサWRX STI GRB型、スバル BRZ ZC6型あたりは、まだ200万円前後から探せる価格帯にあります。乗り出しやすさで選ぶなら、こうした2000年代以降のモデルから入るのが現実的です。
ロータリー勢を狙う場合は、車両価格とは別にエンジン本体のリフレッシュ費用を見込んでおく必要があります。RX-7・RX-8ともに走行距離が伸びると圧縮低下が起きやすく、ロータリーを扱える整備先を確保できるかどうかで維持のしやすさが大きく変わります。旧いアメリカ車を狙う場合は、全幅1.9m超・全長5m超という寸法が日本の駐車環境に収まるかを、契約前に実測しておきたいところ。憧れだけで選ぶと、置き場所と維持費の2点で後悔しやすいのがワイスピ劇中車の共通点です。



























