トヨタのスポーツカー

トヨタのスポーツカー車種を紹介 現行GRシリーズのスペックと歴代名車まとめ

GRスープラは2026年3月に生産終了、GR86は2代目ZN8型が現役と、激変するトヨタスポーツカーラインナップを最新情報で解説。現行GRシリーズのスペック表と歴代名車の詳細データをまとめています。

トヨタのスポーツカー車種を紹介 現行GRシリーズのスペックと歴代名車まとめ

トヨタのスポーツカーといえばどの車?現行モデルのスペックと歴代名車を紹介

トヨタは一時的にラインアップからスポーツカーが消えた時代もありましたが、1965年のスポーツ800(通称ヨタハチ)誕生から現在まで、50年以上にわたりスポーツカーを作り続けてきました。
時代を彩ったかつての名車スポーツカーから、GRシリーズも含めてトヨタの歴代スポーツカーを紹介します。なぜ近年のトヨタはスポーツカー開発に熱心なのか、その背景もあわせて考察します。

トヨタはスポーツカーの開発に積極的でGRシリーズを中心に展開

トヨタがラインアップするピュアスポーツカーは、2019年に復活し2026年3月で生産終了となるGRスープラ、2021年にGRシリーズとしてモデルチェンジしたGR86、コンパクトホットハッチとしてモータースポーツにも参戦するGRヤリス、スーパー耐久に水素燃料エンジン搭載車でエントリーし話題になったGRカローラの4車種です(トヨタがラインアップするGRスポーツシリーズは除外)。

GRカローラはモータースポーツの技術を搭載するプレミアムモデル

GRカローラのエクステリアGRカローラは抽選方式の販売方法をとるプレミアムスポーツ

GRカローラはカローラスポーツベースの4ドアスポーツハッチで、モータースポーツのスーパー耐久では水素燃料エンジン搭載車で参加するなど、トヨタの先進技術を投入したモデルです。
RZグレードのほか、限定生産のモリゾウエディションという特別なグレードも設定されており、GRシリーズの中でもプレミアムな位置づけです。抽選方式での販売が話題を集め、発売当初から高い人気を誇ります。

GRカローラ RZ スペック表
駆動方式 4WD
全長 4,410mm
全幅 1,850mm
全高 1,480mm
エンジン 直列3気筒インタークーラーターボ
排気量 1.618L
エンジン最高出力 224kW(304PS)/6,500rpm
エンジン最大トルク 370Nm(37.7kgm)/3,000rpm〜5,550rpm
ミッション 6速MT(iMT)
車両重量 1,470kg
WLTCモード燃費 12.4km/L
ホイールベース 2,640mm
乗車定員 5名

GRヤリスは新開発8速ATを設定するコンパクトホットハッチ

GRヤリスのエクステリア新開発トランスミッションGR-DATを採用するGRヤリス

GRヤリスは2020年の東京オートサロンで発表されたコンパクトホットハッチです。トヨタの4WD市販スポーツカーとしてはセリカ以来の復活となり、英国のベストパフォーマンスカーにも選出されました。2024年のマイナーチェンジでは新開発の8速AT(GR-DAT)を搭載するグレードが追加され、サーキットエリアに入ると自動でサーキットモードを選択できる機能も備えるなど、走りを徹底的に追求した本格モデルに進化しています。

GRヤリス RZ ハイパフォーマンス スペック表
駆動方式 4WD
全長 3,995mm
全幅 1,805mm
全高 1,455mm
エンジン 直列3気筒インタークーラーターボ
排気量 1.618L
エンジン最高出力 224kW(304PS)/6,500rpm
エンジン最大トルク 400Nm(40.8kgm)/3,250rpm〜4,600rpm
ミッション 8速AT(GR-DAT)
車両重量 1,300kg
WLTCモード燃費 10.8km/L
ホイールベース 2,560mm
乗車定員 4名

GRスープラは17年ぶりに復活した名車も2026年3月で生産終了

GRスープラのエクステリア映画ワイルドスピードで世界的に有名になったスープラが17年振りにGRスープラとして復活

2019年5月に日本で発売されたGRスープラ(A90型)。かつて「スープラ」といえば90年代のトヨタ・スポーツカーのフラグシップとして君臨した名車であり、A80型は世界的な人気車として知られています。A80型は2002年に販売終了となっていましたが、17年の空白を経てBMWとの共同開発によりA90型として復活しました。

歴代スープラの伝統である「直列6気筒エンジン」と「FR」はしっかりと踏襲。2019年の日本割当分は予約だけで完売となるほどの反響を集めました。その後、2025年3月には最終限定モデル「A90ファイナルエディション」(国内抽選150台・1,500万円)が発売され、2025年10月24日にトヨタが2026年3月での生産終了を正式発表しました。兄弟車のBMW Z4も同時期に生産終了となります。次世代スープラの登場時期は未定ですが、トヨタ北米の幹部は次期型の開発が論理的な流れであると述べており、後継モデルへの期待が高まっています。

  • 2台の黄色いスープラ札幌モビリティショー2024で展示されたスープラとLEGOスープラ
  • 横から見たLEGOスープラLEGOスープラ
  • 斜め後ろから見たスープラスープラ
  • 後ろから見たLEGOスープラLEGOスープラ
  • 正面から見たスープラスープラ
  • スープラのタイヤスープラ
GRスープラ RZ スペック表
駆動方式 FR
全長 4,380mm
全幅 1,865mm
全高 1,295mm
エンジン 直列6気筒直噴ターボ
排気量 2.998L
エンジン最高出力 250kW(340PS)/5,000〜6,500rpm
エンジン最大トルク 500Nm(51.0kgm)/1,600〜4,500rpm
ミッション 8速スポーツAT
車両重量 1,520kg
WLTCモード燃費 12.2km/L
ホイールベース 2,470mm
乗車定員 2名

GR86はスポーツカー初心者から上級者まで楽しめるFRスポーツ

86のエクステリア86はスバルと共同開発されたためパワートレインはスバル製のボクサーエンジン(水平対向エンジン)を採用している

トヨタとスバルが共同開発したFRスポーツカー「86(ハチロク)」は、2007年にMR-Sが終売してからおよそ5年の歳月を経て2012年3月に発売されたスポーツカーです。スバルは姉妹車「BRZ」を同時展開しました。かつてスプリンタートリノ/カローラレビンAE86型に憧れた40〜50代をメインターゲットとしながらも、若年層へのPRも熱心に行われたのが特徴で、スポーツカー初心者でも扱いやすい素直なハンドリングが評価されました。

この初代86(ZN6型)は販売終了となっており、現在はフルモデルチェンジした2代目GR86(ZN8型)が2021年10月より販売されています。エンジンは先代のFA20(2.0L)からFA24(2.4L)へ排気量がアップし、最高出力235PS・最大トルク250Nmに向上。0〜100km/h加速も7.4秒から6.3秒へと大幅に短縮されています。スバルのアイサイトを搭載した安全装備も充実しており、スポーツ性と安全性を両立したモデルに進化しました。以下のスペックは初代86のものです。

86 GT “Limited”スペック表(初代ZN6型・販売終了)
駆動方式 FR(後輪駆動)
全長 4,240mm
全幅 1,775mm
全高 1,320mm
エンジン FA20
排気量 1.998L
エンジン最高出力 152kW(207ps)/7,000rpm
エンジン最大トルク 212Nm(21.6kgm)/6,400〜6,800rpm
ミッション 6速マニュアル
車両重量 1,240kg
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
ホイールベース 2,570mm
室内長 1,615mm
室内幅 1,490mm
室内高 1,060mm
最小回転半径 5.4m
最低地上高 130mm
JC08モード燃費 12.8km/L
乗車定員 4名

GRカローラ登場でスポーツカー3本柱構想が形に、MR2後継モデルへの期待も

MR2のエクステリアトヨタのスポーツカー3本柱構想によりMR2が復活するという噂がある

かつて86とスープラのチーフエンジニアを務めた多田哲也氏や豊田章男氏(現名誉会長)が「トヨタに大中小のスポーツカーを揃えたい」と発言し、「トヨタ・スポーツカー3本柱構想」として注目されていました。スープラ(大)・86(中)・小型スポーツの3本柱で、小型ミッドシップカーとしてMR2やMR-Sの後継モデルを期待する声がありました。

その後、GRカローラが登場しGRシリーズのラインナップは大きく広がりました。ミッドシップ系の小型スポーツカーについては正式な発表はありませんが、トヨタはGRブランドを継続的に拡充しており、スポーツカー好きの期待は引き続き高まっています。また、2023年のジャパンモビリティショーではGRブランドの次世代BEVスポーツコンセプト「FT-Se」が披露されており、GRシリーズの電動化モデルへの布石とも見られています。

トヨタ「GRシリーズ」のスポーツモデル

トヨタGRとは、走る楽しさをユーザーに提供することを目的としたトヨタのスポーツ仕様車専門ブランドです。

ガズーレーシング(TOYOTA GAZOO Racing)がモータースポーツで培った技術をもとに、現行トヨタ車のエンジンや足回りをチューニング。台数限定生産でサーキット走行もOKなスポーツモデルGRMN、日常的に楽しむ本格スポーツモデルGR、ライトチューニングのエントリーモデルGRSPORTの3種類を展開しています。

なお、2019年5月発売のGRスープラは、GRブランド初の専売車種であり、初のグローバルモデルです。正式車名は「スープラ」ですが、トヨタはマーケティング活動における名称として「GRスープラ」の呼称を用いています。

マークX GRMNは2019年販売の「歴代最速マークX」として中古市場で今も注目される

マークX GRMNのエクステリアマークX GRMNはGAZOOレーシングが制作した究極のFRスポーツセダン

GRシリーズの頂点に位置する究極のスポーツモデルGRMNのマークXは、国産スポーツセダンの最高峰と呼べる存在でした。ベースモデルのマークXは2019年に販売終了しており、このGRMNモデルも現在は販売されていません。

2019年発売のGRMNは、2代目マークX(GRX130)の最上級モデル350RDSをベースに専用の6速マニュアルトランスミッションを採用。エンジンにも専用チューニングを施し、4本の専用マフラーなどエクステリアも大きく変更しています。「歴代最速マークX」として中古車市場では希少性から高い評価を受けており、入手困難な状況が続いています。

マークX GRMNのスペック(販売終了)
ベースモデル マークX 350RDS
駆動方式 FR(後輪駆動)
全長 4,795mm
全幅 1,795mm
全高 1,420mm
エンジン 2GR-FSE
排気量 3.456L
エンジン最高出力 234kW(318ps)/6,400rpm
エンジン最大トルク 380Nm(38.7kgm)/4,800rpm
ミッション 6速マニュアル
車両重量 1,560kg
使用燃料 プレミアムガソリン(ハイオク)
ホイールベース 2,850mm
室内長 1,975mm
室内幅 1,500mm
室内高 1,170mm
最小回転半径 5.2m
最低地上高 130mm
JC08モード燃費
乗車定員 5名

ヴィッツGRMNは限定150台で発売された本格ホットハッチ(販売終了)

ヴィッツGRMNのエクステリアヴィッツGRMNはホンダのシビックタイプRやルノーのメガーヌRSなど欧州で人気のホットハッチに分類される

2018年4月に限定150台で発売されたヴィッツGRMNは、現在は販売終了しています。日本では販売されていない3ドアモデル(欧州版ヤリス)をベースにチューニングを施したホットハッチで、ボディ剛性強化と軽量化のために3ドアボディを採用。1.8Lの直列4気筒DOHCエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力212ps・最大トルク250Nmを発生させました。GRMNのコンセプト「コンビニからサーキットまで」を体現した一台として、今も中古市場で根強い人気があります。

ヴィッツ GRMNのスペック(販売終了)
ベースモデル ヴィッツ
駆動方式 FF(前輪駆動)
全長 3,975mm
全幅 1,695mm
全高 1,510mm
エンジン 2ZR-FE
排気量 1.797L
エンジン最高出力 156kW(212ps)/6,800rpm
エンジン最大トルク 250Nm(25.5kgm)/4,800rpm
ミッション 6速マニュアル
車両重量 1,415kg
使用燃料 レギュラーガソリン
ホイールベース 2,510mm
室内長 1,920mm
室内幅 1,390mm
室内高 1,250mm
最小回転半径 5.6m
最低地上高 115mm
乗車定員 5名

86GRは専用パーツを装備し初代86の魅力をより高めたトップモデル(販売終了)

86GRのエクステリア86GRは専用パーツを装備した満足感の高い2ドアスポーツ

86GRは2016年に限定100台が発売された86GRMNをベースに開発された量産型モデルです。現在は初代86とともに販売終了しています。エンジンのチューニングはありませんが、フロントステアリングラックブレースやリヤサスペンションメンバーブレースなどの専用剛性アップパーツを追加。専用チューニングサスペンションも装備し、乗り心地と操縦安定性を両立させています。また、赤い「GR」ロゴの入ったレカロ製フロントシートが採用されており、標準モデルの86との内装の差別化も魅力でした。

86GRのスペック(販売終了)
ベースモデル 86
駆動方式 FR(後輪駆動)
全長 4,290mm
全幅 1,790mm
全高 1,320mm
エンジン FA20
排気量 1.998L
エンジン最高出力 152kW(207ps)/7,000rpm
エンジン最大トルク 212Nm(21.6kgm)/6,400〜6,800rpm
ミッション 6速マニュアル
車両重量 1,240kg
使用燃料 プレミアムガソリン(ハイオク)
ホイールベース 2,570mm
室内長 1,615mm
室内幅 1,490mm
室内高 1,060mm
最小回転半径 5.4m
最低地上高 120mm
乗車定員 4名

86GRスポーツは街乗りもしやすいスタイリッシュなスポーツカー(販売終了)

86GRスポーツのエクステリア86GRスポーツは車とドライバーの一体感を楽しめるライトスポーツのコンプリートカー

GRシリーズのエントリーモデルに位置するGRスポーツの初代86版です。現在は初代86とともに販売終了しています。ノーマルより車高を下げており、専用リヤスポイラーを装備することでよりスポーティーな外観になっていました。トップモデルの86GRがボディカラーをクリスタルホワイトパール1色に限定していたのに対し、86GRスポーツはクリスタルホワイトパール、クリスタルブラックシリカ、ピュアレッドの3色から選択できたのが特徴です。

86 GRスポーツのスペック(販売終了)
ベースモデル 86
駆動方式 FR(後輪駆動)
全長 4,280mm
全幅 1,775mm
全高 1,320mm
エンジン FA20
排気量 1.998L
エンジン最高出力 MT:152kW(207ps)/7,000rpm
AT:147kW(200ps)/7,000rpm
エンジン最大トルク MT:212Nm(21.6kgm)/6,400〜6,800rpm
AT:205Nm(20.9kgm)/6,400〜6,600rpm
ミッション 6速マニュアル/6スピードSPDS(オートマチック)
車両重量 MT:1,270kg
AT:1,250kg
使用燃料 プレミアムガソリン(ハイオク)
ホイールベース 2,570mm
室内長 1,615mm
室内幅 1,490mm
室内高 1,060mm
最小回転半径 5.4m
最低地上高 130mm
乗車定員 4名

中古車の狙い目&旧車の名車として知られるトヨタの歴代スポーツカー

トヨタ初のスポーツカー「スポーツ800」(通称ヨタハチ)が誕生したのは1965年のことでした。それから50年以上にわたり、日本自動車史に名を刻むトヨタ2000GTのようなスーパーカーや、公道で走る楽しさを味わえるスポーツモデルまで、トヨタは多様なスポーツカーを作り続けてきました。トヨタの歴代スポーツカーを振り返ってみましょう。

スポーツ800はヨタハチの愛称がついた「軽さ命」のライトウェイトスポーツ

スポーツ800のエクステリア580kgの軽量ボディと可愛い丸目が特徴のヨタハチは今でもプレミアム価格が付く人気車種

スポーツ800(通称ヨタハチ)は1965年に登場した小型スポーツカーです。1960年代は国産ライトウェイトスポーツカーの黎明期であり、スポーツ800はホンダS600やS800と名勝負を繰り広げていました。

エンジンは総排気量790ccの空冷2気筒水平対向式ツイン・キャブ。当時としても非力なエンジンでしたが、現代の軽自動車よりも軽い580kgの車両重量と航空機のように徹底した空気抵抗の少なさで、長距離耐久レースで強さを発揮しました。当時のカタログ数値では最高速度155km/h、0→400m加速は18.4秒。1965〜1969年の4年間で製造された3,131台は現在でも中古市場でプレミアが付く希少車です。

トヨタ2000GTは日本の自動車史に名前を刻んだ伝説のスーパーカー

トヨタ2000GTのエクステリア世界中にファンがいるトヨタ2000GTは総生産数337台の幻のスーパーカー

1967年に発売されたトヨタ2000GTは、トヨタとヤマハ発動機が共同開発したスポーツクーペです。自動車博物館でのメイン展示も多く、日本自動車史において絶対に欠かせないスーパーカーといえるでしょう。

カタログ数値では最高速220km/h、0→400m加速は15.9秒と、当時の国産車としてはまさに異次元の高性能を誇りました。日本初のリトラクタブル・ヘッドライト採用ボディに4輪ディスクブレーキを搭載し、映画『007は2度死ぬ』の劇中車として世界中にその姿を披露したことでも知られています。発売期間3年3ヶ月、総生産台数はわずか337台。1960年代後半ならクラウンが2台、カローラが6台買える価格でしたが、「どれだけ売ってもトヨタは赤字」と言われるほど採算を度外視した車でもありました。

スープラは90年代に一世を風靡したトヨタのフラグシップスポーツカー

80スープラのエクステリアオークションでは1,000万円以上の値が付くこともあるA80スープラ

スープラはもともと日本では「セリカXX」として販売されていた車ですが、北米では初代A40型/50型、2代目A60型も「スープラ」の名前で販売されていました。1986年のA70型から日本でもセリカから独立し、北米と同じ「スープラ」の名前が採用されました。

歴代スープラで1番人気を誇るのは1993〜2002年まで発売されたA80型でしょう。キャッチコピーは「THE SPORTS OF TOYOTA」で、トヨタ・スポーツカーの頂点に君臨したフラグシップモデルです。A80型は海外でも根強い人気があり、中古でも高値で取引されています。最高出力は日本の自主規制値いっぱいの280PS、0-100km/h加速は4.6秒、日本の乗用車としてはじめて6速MTを採用しました。

セリカは「トヨタらしさ」を詰め込んで時代の最先端を走り抜いた名車

6代目セリカのエクステリア横に連なる丸目のヘッドライトが個性的な6代目セリカ

「スペシャリティカー」というカテゴリを築いたセリカですが、歴代の上級グレードやスポーツモデルのなかにはスポーツカーといって差し障りのない車も存在します。1970年登場の初代セリカの最上級モデル1600GTはヤマハ製のDOHCエンジンを搭載しており、フォード・マスタング風のデザインも注目の的でした。

2代目セリカもDOHCエンジンを搭載しましたが、1979年のマイナーチェンジ時には「名ばかりのGT達は、道を開ける」と暗にSOHCエンジン搭載の日産スカイラインを皮肉っています。3代目セリカの上級グレードGT-Tにはツインカムターボを搭載するなど、セリカはトヨタにとって自社の技術・クルマ作りをわかりやすく大衆にPRできる車でもありました。

セリカ GT-Four ST165型セリカ GT-Four ST165型 1990年サファリラリー優勝車

セリカ GT-Four ST165型セリカ GT-Four ST165型はトヨタ初のフルタイム4WDのラリーカー

セリカ GT-Four ST165型WECで活躍したセリカ GT-Four ST165型

1986年に4代目セリカT160型に追加されたセリカGT-FOUR(ST165型)は、トヨタ初のセンターデフを持つフルタイム4WDとしてWRCにも出場。モデルチェンジしたGT-FOUR(ST185)は1993年のWRCでドライバーズタイトルと日本勢初のマニュファクチャラーズタイトルを獲得しています。

MR2は日本初のミッドシップを採用した名スポーツカー

復活の噂があるMR2のエクステリアGRスープラに続き復活の噂があるライトスポーツのMR2

MR2は、初代AW10/AW11型が1984〜1989年、2代目SW20型が1989〜1999年まで発売された80〜90年代のトヨタを代表する2ドアクーペのピュアスポーツカーです。

最大の特徴は国産市販車としてはじめてミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)を採用したこと。MRといえばフェラーリやランボルギーニなどのスポーツカーブランドの定番ですが、日本ではMR2によってミッドシップをはじめて体験し魅了されたスポーツカー好きが多くいます。GRブランドが充実した現在も、ミッドシップ系の小型スポーツカーの復活を望む声は根強く残っています。

MR-Sは軽快なハンドリングでドライブが楽しい小型オープン

MR-SのエクステリアMR-Sは天井が開くオープンタイプの貴重なスポーツカー

MR-SはMR2の後継として1999〜2007年まで発売されたオープンカーです。最高出力140PSとパワーは控えめですが、車両重量は1,000kg前後と2代目MR2に比べて大幅に軽量化されました。総生産台数は77,840台と販売的にはいまひとつでしたが、「運転していて楽しい車」として中古市場では安定した人気があります。

カローラレビン/スプリンタートレノは走り屋に愛されたFRスポーツコンパクト

AE86スプリンタートレノのエクステリア頭文字Dがきっかけで爆発的な人気を博したAE86スプリンタートレノ

1970年代に登場以降、トヨタの1600CCクラスの小型スポーツクーペとして根強い人気を誇ったカローラレビンとスプリンタートレノ。レビン&トレノとして知られるトヨタでもっとも有名な姉妹車コンビといっても過言ではないでしょう。

レビンとトレノでもっとも人気が高いのが1983〜1987年に販売された4代目AE86型、通称ハチロクと呼ばれるモデルです。AE86はレビン&トレノ最後のFR車で、当時の新車価格は154.8万円とチューニングカーとして比較的手ごろな価格でした。漫画『頭文字D』の影響で後に中古市場でカルト的な人気車となり、主人公・藤原拓海が乗ったAE86トレノの白黒カラーは「パンダトレノ」の愛称で広く知られています。

ソアラは国産最強スペックを誇ったハイソカー

4代目ソアラのエクステリア3代目ソアラ 後期型 2.5 GT-T

「元祖ハイソカー」と知られているソアラですが、当時の最先端技術を盛り込んだだけあって、その速さもかなりのものでした。1981年に登場した初代ソアラ2800GTは2.8Lの直列6気筒エンジンを搭載し、最高速度はほぼ200kmを記録できる稀有な国産車でした。

1986年に発売された2代目ソアラのトップグレード3.0GTリミテッドは最高時速238.41km/hと、この数値も当時の国産車としてトップクラス。大ヒットするも、3代目以降はバブル崩壊などの影響もあり、2005年に終売となりました。

マーク2は走行性能を高めてバブル期に人気を博したハイソカー

6代目マーク2のエクステリア今では考えられない月販30,000台を超える販売台数を記録していた6代目マーク2

マーク2はバブル期にチェイサー・クレスタとともに「マーク2三兄弟」として人気を博したハイソカーとして高い知名度を誇りますが、元々はコロナの上級派生車であり、初代の正式車名は「トヨペット・コロナマーク2」でした。正式車名が「トヨタ・マークⅡ」に変更されるのは5代目X70型からです。

もっとも大ヒットしたのは1988〜1992年の6代目X80型。ガソリン車はすべてDOHCとし、足回り強化のために新設計のサスペンションを採用。月間販売台数3万台超えとカローラすら上回り、一時代を築きました。

チェイサー/クレスタはマーク2の兄弟車として大ヒット

4代目チェイサーのエクステリア高級感を高めて大ヒットした4代目チェイサー

マーク2の兄弟車として、バブル期に人気を博したチェイサーとクレスタ。チェイサーは1977年にトヨタオート店からデビューし、クレスタは1980年にトヨタビスタ店から販売されました。チェイサーは3代目X70系(マーク2・5代目)以降は4ドアハードトップのみのラインアップとなり、マーク2世代よりやや若い20〜30代をターゲットにしていました。クレスタは年齢層の高い世代を意識したセダンとして販売されていましたが、実際に70系・80系はチューニングカーやドリ車としての人気も高く、幅広い層に愛されていた印象です。

マークXは2019年に販売を終了した手頃なFRスポーツセダン

マークXのエクステリアコストパフォーマンスの高さも魅力だったFRスポーツセダンのマークX

2019年4月24日に特別仕様車250Sファイナルエディションを発売し、2019年にモデル廃止となったマークX。マーク2の後継として2004年にデビューし、2009年からは2代目GRX130型を発売。マーク2から数えると11代、51年の歴史に幕を下ろしました。FRのスポーツセダンとしては世界的に見てもかなり価格が安いという魅力があり、マークX廃止後の現在、国内では手頃なFRスポーツセダンの選択肢がますます少なくなっています。

スターレットは「かっとび」「韋駄天ターボ」の異名をとったスポーツコンパクト

3代目スターレットのエクステリアボンネットのエアインテークがかっこいい3代目スターレット

1973年にパブリカのスポーティーな派生車種として登場したパブリカ・スターレット。2代目以降はパブリカの名前が外れ、車名がスターレットに変更されます。1978〜1984年まで発売された2代目スターレットは当時数が減っていたFR駆動を維持しており、競技用のベース車やチューニングカーとして人気を博しました。1984〜1989年発売の3代目スターレットは駆動方式をFFに変更し、1986年にターボモデルを追加。「韋駄天ターボ」「かっとびスターレット」などの異名で知られるスポーツコンパクトとなりました。

カリーナは「足のいいやつ」のキャッチコピーがついた俊足自慢

カリーナ1600GTのエクステリア「俊足」が持ち味のスポーツグレード1600GTを設定する初代カリーナ

1970年に発売された初代カリーナ。千葉真一が出演するCMでは「足のいいやつ」のキャッチフレーズが印象的で人気車の仲間入りを果たしました。シャーシは3代目まではセリカと共用で、前輪駆動車となってからはコロナと共通化されました。1971年に追加された1600GTはセリカ1600GTと同じツインカム(DOHC)エンジンを搭載した俊足セダンです。

トヨタ1600GTは見た目と走りのギャップが魅力のコロナのスポーツモデル

トヨタ1600GTのエクステリア見た目以上に速く国内レースでも数々の記録を残したトヨタ1600GT

トヨタ1600GTは1967〜1969年まで発売された2ドアハードトップで、大衆車コロナのスポーツモデルとして「コロG」の愛称で知られていました。外観は3代目コロナそのものですが、ヤマハがチューンした直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、当時としては珍しい5速MT。「意外に速い!」と見た目とのギャップも魅力のひとつでした。わずか1年2か月、総生産台数2,222台の短命モデルでしたが、スカイライン2000GTRとも互角の勝負を繰り広げるなど国内レースで活躍した印象深い1台です。

トヨタはなぜスポーツカー開発に熱心なのか?自社で作れないは本当?

スポーツカーが売れない、儲からないといわれているなか、なぜ近年のトヨタはスポーツカーを開発・販売するのか。スバルやBMWとの共同開発にはどのような意味があるのか考察します。

国際的なブランド戦略を意識すると「スポーツカー」は重要なジャンル

現在ではスポーツカーを購入する層は限られていますが、「車文化」全体をみると、スポーツカーは非常に重要なジャンルであることは今も昔も変わっていません。自分が乗る・乗らないに限らず欧米は「スポーツカーは美しい作品」として捉える文化があり、新興国の人々にとってはスポーツカーは成功の象徴であり、憧れの存在です。

購買者数が少なくても、スポーツカーがブランドイメージに及ぼす影響は大きい。トヨタに限らず、多くの日本の自動車メーカーがグローバル展開する現代では、スポーツカーの重要性が見直されています。

最後に生き残るのは楽しい車!豊田章男氏の「Fun to Drive」発言

今後ますます社会は「車はシェアで良い。自動運転が早く実用化してほしい」と考える人と、「運転は人生の喜びのひとつ。走っていて楽しいクルマが欲しい」と考える層が二極化していくとみられます。日本の自動車業界トップシェアのトヨタは、両方に適応していかなくてはなりません。

現名誉会長の豊田章男氏は、「人はかつて馬で移動した。それが自動車に替わったが、競走馬など趣味の馬は残っている」と例えたうえで、「必ず残るクルマはFun to Drive」と述べています。トヨタのスポーツカー開発は、こうした未来に向けての布石とも考えられます。

「トヨタはスポーツカーを作れない」は誤解、共同開発はコスト減のために不可避

トヨタは初代86をスバルと共同開発、GRスープラをBMWと共同開発しています。「技術的に自社だけでスポーツカーを作れないのでは?」という声もありますが、それは間違いです。トヨタがスポーツカーを他社と共同開発する最大の理由は、「開発コストを下げられるから」です。スポーツカーは専用プラットフォームが必要なため莫大な開発費がかかり、走行テストも数をこなさなくてはなりません。

開発コストがかかりすぎると誰も買えない価格になってしまう。そこでトヨタが行き着いたのが「共同開発のノウハウを確立する」という試みです。日本の自動車メーカーとして単独で開発してほしい気持ちも理解できますが、最も大切なのは、完成した車に魅力があるかなのではないでしょうか。なお、次期スープラについては現行のBMWとの協業を再開しない方向との報道があり、独自開発への期待も高まっています。

トヨタのスポーツカーはモータースポーツの経験を取り入れたGRシリーズに注目

トヨタのスポーツカー

トヨタはスポーツカーの開発に積極的で、GRヤリス・GRカローラ・GR86などGRシリーズを中心に展開しています。WRC(世界ラリー選手権)やスーパー耐久など各種モータースポーツにも積極参戦しており、競技で得た技術を市販車にフィードバックする姿勢を貫いています。GRスープラが2026年3月に生産終了となる一方、次世代のGRシリーズやEVスポーツカーへの期待は高まっており、今後のトヨタのスポーツカー展開から目が離せません。