オイルフィルターのメーカー別の交換時期とカー用品店などに作業を依頼した際にかかる費用の目安
「オイルフィルター」のメーカー別の交換時期と、カー用品店などに作業を依頼した場合にかかる費用の目安額を紹介します。
トヨタやホンダなどの各メーカーが推奨するオイルフィルターの交換時期を把握すれば、エンジントラブルを未然に防ぐ事ができます。オイルフィルターの交換をご自身で行う場合には、特殊工具でエンジンオイルを抜く取る作業や、オイルフィルター適合表を確認するなどの面倒が伴います。そのため、オイルフィルターの交換をカー用品店などに依頼される方は少なくはありません。
エンジンのロングライフ化に貢献するオイルフィルターの役割と構造
燃費や出力を維持させる・ロングライフ化に貢献するオイルフィルターのエンジン機構内での役割を紹介します。また、オイルフィルターはどのようなパーツによって構成されているのかについても取り上げます。
オイルフィルターはエンジンオイルに混じった不純物をろ過して潤滑作用等を高水準化させる役割を担うパーツ
オイルパンに溜まった汚れたオイルをフィルターでろ過して循環させる
エンジンルーム内に取り付けられるオイルフィルターは、エンジンオイルに混じった、金属粉・煤(すす)・スラッジ等の不純物をろ過するために設置します。
摩擦によって発生した金属粉・燃料が燃えた際に発生する煤・酸化によって形成されるスラッジ等が、エンジンオイルに混じったままで循環してしまえば、エンジンの不調や故障を招いてしまいます。
エンジン機構内に、オイルに混じった不純物をろ過する能力が備わる「オイルフィルター」を設置すれば、エンジンオイルの「冷却作用」「密封作用」等は高水準化させるため、エンジンのロングライフ化が実現され、出力などのスペックは維持されます。
オイルフィルターは円筒ケースの中に織り込む「ろ過紙」などによってエンジンオイルの不純物を取り除く
オイルフィルターの内部構造
オイルフィルターは、直径10cmほどの円筒ケースの中に全長数mにも及ぶ「ろ過紙(フィルタエレメント)」を織り込ませて、複雑なひだ折り構造を形成して、エンジンオイルに混じり込んだ不純物を取り除きます。磁力を用いてエンジンオイルに混じり込む金属片を吸着させて、取り除く方法を同時に採用しているオイルフィルターもあります。
オイルフィルターは、フィルタエレメントが走行中の振動が大きくなっても動かぬように固定する「サポートスプリング」、フィルターに異常な油圧がかからぬように調整する「圧力調整弁」、オイルの粘度が高いスタート時・フィルタエレメントが目詰まりを起こしたときに、オイルの流量をキープさせる「リリーフバルブ」等のパーツによって形成されています。
お風呂の排水口が髪の毛等で詰まってしまうとお湯が流れにくくなるように、オイルフィルターのエレメントにスラッジ等の汚れが堆積して、目詰まりが起きていればオイルは通過しにくくなります。ろ紙に目詰まりが起きていれば、エンジンオイルは「リリーフバルブ」を通過していきますが、同ユニットには不純物を除去する能力は期待できません。
劣化している状態のエンジンオイルが機構内を循環する期間が長引くほど、エンジンへのダメージが蓄積していくため、故障のリスクも高まります。そのため、エンジンオイルの湿潤作用等を高水準化させて、エンジン出力等を維持させるためには、定期的にオイルフィルターを新品へと交換する必要があります。
オイルフィルターに目詰まりが起きていれば油圧警告灯は点灯
油圧警告灯の点灯はフィルター詰まりの可能性大
オイルフィルターのエレメント(ろ紙)に堆積した汚れが一定レベル以上となり、目詰まりが起きていれば「油圧警告灯」が点灯します。
油圧警告灯が点灯する原因としては、エンジンオイルの不足やポンプ部分が損傷している場合も考えられますが、メンテナンスチェックをして、エンジンオイルの量が十分であるにもかかわらず、点滅が続く場合には、オイルフィルターのエレメント部に目詰まりが起きている可能性が高いです。
オイルフィルターを交換するタイミングが遅れればエンジン焼き付きのリスクが高まる
オイルフィルターを交換するタイミングが遅れてしまえば、燃費悪化や出力低下を招いてしまうだけではなくて、「エンジン焼き付き」のリスクが高まります。
エンジン自体には不純物を排気するシステムはありません。そのため、エンジンオイルに混じるスラッジ等の不純物を除去するオイルフィルターに目詰まりが生じていれば、「密封作用」「冷却作用」等の能力が低下した、状態の悪いエンジンオイルが機構内を循環する事になります。
エンジンのパワーは、シリンダーとピストンが密着することによって生み出され、密着時の隙間は狭い方が高い出力は得られます。エンジンオイルの密封作用が弱まっていれば、シリンダーとピストンが密着する際には隙間が広がりやすいため、十分なパワーは発揮されなくなってしまいます。
「エンジン焼き付き」とは、シリンダーやピストンに傷が入る現象です。エンジン焼き付きが起これば、一部箇所の修理であっても数十万円の費用が掛かります。オイルフィルターを交換するタイミングが遅れると、エンジンオイルの劣化が進みます。エンジンオイルの冷却作用が低下してしまえば、エンジン内部の高温状態は常態化します。
エンジン内部の高温状態が続けば、熱エネルギーなどによってシリンダーやピストンに傷が入りやすくなるため、エンジン焼き付きの発生リスクは高まります。
トヨタやホンダなどの国産メーカーが推奨するオイルフィルターの交換時期の目安
真っ黒になったフィルターエレメント
適切なタイミングでの交換が大切
このセクションでは、トヨタやホンダなどの国産自動車メーカーが販売する車両のオイルフィルターを、新品へと交換する適切なタイミングを個別に紹介していきます。
尚、ここで紹介するオイルフィルターの交換時期は、各メーカーが開発した純正オイルフィルターを装着している場合を想定します。中に詰められている「ろ過紙」の折り曲げ数などが異なる、社外製品を利用している場合には、純正パーツよりも交換のタイミングが早まってしまう可能性が十分にあります。
トヨタが推奨するオイルフィルターの交換時期はガソリン車が15,000km・ディーゼル車は10,000km~20,000km
トヨタは、エンジンオイル内に混じる金属粉などの汚れを綺麗に取り除く役割を果たす「オイルフィルター」の交換は、エンジントラブルを未然に防ぐためにも、ガソリン車(ターボ車除く)であれば15,000km、シビアコンディションでの利用であれば7,500km走行毎に行うのが適切であると推奨しています。
車種 | 標準交換時期 | シビアコンディション時 |
---|---|---|
ガソリン車 | 15,000km | 7,500km |
ガソリンターボ車 | 10,000km | 5,000km |
ディーゼル車 | 10,000km~20,000km | 5,000km~10,000km |
※シビアコンディン:悪路走行が多い・山道を頻繁に走行するなど
純正オイルを使用しているホンダ車のオイルフィルターの交換周期は2年
ホンダは、走行距離が増えるにつれて汚れが蓄積していくオイルフィルターの適切な交換時期は、純正エンジンオイル「ウルトラGreen」または、「ウルトラLEO」を利用している車両であれば、24ヶ月に一度、シビアコンディションジ時であれば12ヶ月ごとと設定しています。
車種 | 標準交換時期 | シビアコンディション時 |
---|---|---|
ウルトラGreenまたは ウルトラLEO推奨車 |
30,000kmまたは 24ヶ月ごと |
15,000kmまたは 12ヶ月ごと |
ターボ車 | 10,000kmまたは12ヶ月ごと | |
上記以外の車 | 20,000kmまたは24ヶ月ごと | 10,000kmまたは12ヶ月ごと |
日産はオイルフィルターの交換はターボ車・ディーゼル車であればオイル交換と同時に実施すべきと推奨
日産はろ過機能を維持して、エンジンの加速性能等をキープするために、オイルフィルターの交換は、ガソリン車であればオイル交換2回に1回のタイミングで、ターボ車・ディーゼル車であればオイル交換と同時に行うべきであると推奨しています。
車種 | 交換時期 |
---|---|
ガソリン車 | オイル交換2回に1回 |
ターボ車・ディーゼル車 | オイル交換と同時 |
マツダはDISIターボを搭載する車両の「オイルフィルター」の交換はノーマルコンディションでの利用であれば半年に1回のタイミング
マツダは、エンジンオイルに含まれる金属粉・カーボン・スラッジをろ過するオイルフィルターの交換時期の目安は、ディーゼルエンジンを搭載する車両であれば10,000km走行毎に、シビアコンディション時では5,000km走行毎に1回のタイミングとしています。
車両タイプ | ノーマルコンディション | シビアコンディション時 |
---|---|---|
軽自動車 | 10,000km | 5,000km |
乗用車 | 15,000kmあるいは12ヶ月 | 7,500kmあるはい6ヶ月 |
乗用車DISIターボ | 10,000kmあるいは6ヶ月 | 5,000kmあるいは3ヶ月 |
乗用車ロータリーエンジン | 20,000kmあるいは12ヶ月 | 10,000kmあるいは6ヶ月 |
乗用車ディーゼルエンジン | 10,000kmあるいは12ヶ月 | 5,000kmあるいは6ヶ月 |
※シビアコンディション:短距離走行を繰り返す、低速走行やアイドリング状態が多い
スバルはBOXERエンジンの状態を維持するためにはオイルフィルターの交換は10,000kmに一度のタイミングで実施すべきと推奨
スバルはBOXERエンジンの状態を良好に保つためには、同社が製造する車両のオイルフィルターの交換時期は約10,000kmごとに1回のタイミングで行うできである推奨しています。雪道走行・登降坂路・悪路走行等が多い場合には、約5,000kmごとに点検あるいは交換を行うのが適切であるとしています。
三菱自動車はエンジンのロングライフ化にも貢献するオイルフィルターの交換は1年周期で行うべきと呼び掛けている
三菱自動車は、ろ紙の目詰まりを防いで、エンジンへのダメージを与えないためにも、自社で製造する車両のオイルフィルターを交換するのに望ましいタイミングは、1年周期あるいは10,000km走行ごととしています。
ダイハツはシビアコンディションでの利用機会の多い車両の交換時期の目安は5,000km走行ごとに1回のタイミング
ダイハツは、エンジンオイルに混じる不純物を除去する役割を果たすオイルフィルターの適切な交換時期は、ノーマルコンディションであれば10,000kmごと、悪路走行が多いなどの過酷な条件下での利用機会が常態化していれば、5,000kmごとに1回のタイミングとしています。
オイルフィルターの交換作業をオートバックスなどに依頼した場合にかかる費用の目安
フィルター交換はエンジンオイル交換時に実施されることが多い
オイルフィルターの交換作業は、ディーラーだけではなくて、ガソリンスタンドやカー用品店などにも依頼可能です。オイルフィルターの交換は、エンジンエイルの交換と同時に実施されるケースがほとんどです。
オイルフィルターの交換費用は、依頼場所だけではなくて、交換するエンジンオイルの種類や総量、エレメント代などによっても金額は変動してしまいますが、平均すると7,000円程度(エンジンオイルの交換費も含む)の費用がかかります。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
オイル代 | 3,000円~5,000円 |
エレメント代 | 1,000円~3,000円 |
このセクションでは、オイルフィルターの交換作業をオートバックスやイエローハットなどに依頼した場合にかかる目安となる工賃を紹介します。
オートバックスの工賃の最低価格は540円・作業の目安時間は15分
大手カー用品店のオートバックスは、エンジンオイルに混じり込んだ不純物をろ過するオイルフィルターの交換は、1年周期で実施すべきと推奨しています。オートバックに作業を依頼した場合には、交換を希望するオイルフィルターの価格に、工賃として540円が上乗せされます。目安作業時間は15分です。
※540円の工賃は最低価格
※オートバックスのオイル会員は工賃無料
カーコンビニ倶楽部の工賃の最低価格は500円
カーメンテナンスを総合的に行うカーコンビニ俱楽部に、オイルフィルターの交換作業を依頼した際にかかる費用は、部品代に工賃として500円を加算した額となります。
※500円の工賃は最低価格
イエローハットの工賃の最低価格は700円+税、会員特典で工賃は無料
全国で事業を展開するイエローハットに、オイルフィルターの交換作業を依頼した場合にかかる費用は、部品代に作業工賃として700円+税が加算された金額となります。作業が終了するまでの時間は約15分です。
※700円+税の工賃は最低価格
※イエローハットの会員であれば工賃は無料
「エンジン焼き付き」を防ぐためにもオイルフィルターは定期的に交換
湿潤・冷却作用等が備わるエンジンオイルに混じる不純物をろ過するオイルフィルターを定期的に交換すれば、燃費や出力が維持されるだけではなくて、状態によっては交換も必要となり多額の修理代がかかる「エンジン焼き付き」を防ぐことが出来ます。
油圧警告灯が点灯している・ターボ車を利用している・シビアコンディションでの運転が多いという方は、より早いタイミングでのオイルフィルターの交換を意識して、ドライブを快適に経済的に楽しみましょう。