東京モーターショー2017 出展車一覧

第45回 東京モーターショー2017で発表された国内メーカー出展車一覧

東京モーターショーはなぜ名前が変わったのか。2019年の第46回で130万人を集めた後、2021年は史上初の中止、2023年にジャパンモビリティショーへ改称。次回は2027年開催の見込みです。2017年の出展車がその後どうなったかも車種ごとに解説します。

東京モーターショーはジャパンモビリティショーへ 次回は2027年開催の見込み

1954年から続いた「東京モーターショー」という名称は、2019年秋の第46回をもって幕を下ろしました。2021年の第47回は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2023年からはジャパンモビリティショー(JAPAN MOBILITY SHOW)と名を改めて再出発しています。直近の一般向け開催は2025年10月30日から11月9日までのジャパンモビリティショー2025で、来場者は101万人。2026年は裏年にあたるため、ビジネス向けの「Japan Mobility Show Bizweek 2026」が10月13日から16日まで幕張メッセで開かれる予定で、一般向けの次回開催は2027年秋が見込まれます。

まずは、第45回東京モーターショー2017のあとにショー本体がたどった道のりを、新しい順に整理します。

Japan Mobility Show Bizweek 2026は10月13日から幕張メッセで開催

2026年は一般公開型のショーがない年にあたり、代わりにビジネスイベントの「Japan Mobility Show Bizweek 2026」が開かれます。会期は2026年10月13日から16日までの4日間、会場は幕張メッセ国際展示場で、入場は無料(全来場者事前登録制)です。日本自動車工業会は2026年4月15日に開催概要を公表し、出展募集を5月31日で締め切りました。

スローガンは「あなたが動けば、世界が動く。(Your move moves the world.)」。共創テーマとして「7つのMOVE」を掲げ、自動車産業の枠を超えてIT・情報通信・エレクトロニクス・エネルギー・エンターテインメントまで出展対象を広げています。前回に続きデジタル総合展「CEATEC 2026」との併催で、1社対1社のマッチングにとどまらない複数社での共創や、事業フェーズに応じたアクセラレーションプログラムの導入も検討されています。ショー=新車のお披露目という枠組みから、産業間の商談の場へ役割を分化させた形です。

ジャパンモビリティショー2025は101万人が来場 センチュリーがブランドとして独立

2度目のジャパンモビリティショーとなる2025年は、10月30日から11月9日までの11日間、東京ビッグサイトで開催されました。参加は過去最多の522企業・団体、来場者数は101万人で、前回の111万2000人からは1割ほど減ったものの、主催者目標の100万人は超えています。企画展示「Tokyo Future Tour 2035」に31万1235人、「Mobility Culture Program」に34万6151人が集まりました。

会場で最も話題を集めたのがセンチュリーです。トヨタは2025年10月13日にセンチュリーをブランドとして独立させることを発表し、会場でもトヨタ・レクサス・ダイハツとは別のエリアを構えて「センチュリークーペ」を世界初公開しました。助手席を置かない前1名・後席左右独立2名の3人乗りで、シート素材には西陣織を採用。フォーマルセダン、SUVに続く3つ目のボディタイプとして、GRMN仕様やテーラーメイド仕様も並びました。

レクサスはフラッグシップを白紙から考え直したという「LSコンセプト」を初公開。セダンでもSUVでもない6輪のプレミアム3列シートという提案で、リア4輪はフロント2輪より小径とされ、室内空間の最大化を狙っています。ホンダは次世代EVシリーズのプロトタイプに加え、軽量プラットフォームを用いた小型EV「Super-ONE Prototype」を披露しました。仮想7段変速とアクティブサウンド制御による「BOOSTモード」を備え、市販モデルは2026年に日本を皮切りとして投入される見込みです。マツダはロータリーを積む次世代フラッグシップ「VISION X-COUPE」、ダイハツは28年ぶりに名前が戻った軽EVコンセプト「ミゼットX」を出展しています。

ジャパンモビリティショービズウィーク2024で「裏年」の枠組みが誕生

2024年10月15日から18日まで、幕張メッセで「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」が初開催されました。一般公開型のショーが2年に1度であることを踏まえ、開催のない年をビジネスイベントに充てる狙いで、203の企業・団体が出展。内訳はスタートアップ145社、事業会社および日本自動車部品工業会・日本自動車工業会会員が58社です。

マッチング支援プラットフォーム「Meet-up Box」には1891社が登録し、会期中に848件のビジネスマッチングが成立しました。CEATEC 2024と併催され、両イベント合わせて参加企業は約1000社規模となっています。この場で、翌2025年の一般向けショー開催概要も併せて発表されました。

2023年に「ジャパンモビリティショー」へ改称 来場者111万2000人

約70年続いた東京モーターショーは、2023年に名称とコンセプトを刷新して「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」となりました。会期は2023年10月26日から11月5日まで(一般公開は10月28日から)、会場は東京ビッグサイト。テーマは「乗りたい未来を、探しに行こう!」で、自動車業界の枠を超えて他産業やスタートアップまで含む475企業・団体が参加し、出展者数は2019年の約2.5倍に膨らみました。

来場者数は目標の100万人を上回る111万2000人。2019年の130万900人には15%届かなかったものの、4年ぶりの開催としては十分な集客でした。主催者プログラム「Tokyo Future Tour」に約50万人、「Japan Future Session」に4万2000人以上が参加し、スタートアップ116社が集まった「Startup Future Factory」からは430件以上の商談継続が生まれています。マツダがロータリーを発電機として使うコンパクトスポーツ「ICONIC SP」を世界初公開したのもこの回です。

東京モーターショー2021は史上初の中止

2021年秋に予定されていた第47回東京モーターショーは、2021年4月22日、日本自動車工業会の豊田章男会長(当時)が記者会見で中止を発表しました。1954年の第1回以来、2年に1度の開催が定着してからも途切れることのなかったショーにとって、半世紀以上の歴史で初めての中止です。

豊田会長はオンラインを含む企画を検討したものの、多くの来場者に安全な環境でモビリティの魅力を体験してもらうメインプログラムの提供が難しいと判断した、と説明しました。同時に「次回はさらに進化した東京モビリティショーとしてお届けしたい」とも述べており、この発言が2023年の改称を先取りする形になりました。開催半年前という早い段階での発表だった点も、当時は評価と落胆の双方を呼んでいます。

第46回東京モーターショー2019は130万900人が来場

「東京モーターショー」名義で最後となったのが、2019年10月24日から11月4日までの12日間開催された第46回です。開催概要は2018年10月9日に発表され、一般公開日を祝日の11月4日まで延長する会期が組まれました。

テーマは「OPEN FUTURE」。総勢192企業・団体が参加し、有料エリアの東京ビッグサイト(青海・西・南展示棟)に加えて、無料エリアのMEGA WEBやシンボルプロムナード公園、屋外のDRIVE PARKまで会場を広げました。総来場者数は130万900人で、14歳以下の来場者比率は前回比で約7割増加しています。前回の反省から体験型コンテンツを大幅に拡充した回であり、ここで示された「クルマ以外にも領域を広げる」方向性が、そのままジャパンモビリティショーへの改称につながりました。日産はこの会場で、IMx系の流れを汲む「ニッサン アリア コンセプト」を世界初公開しています。

第45回東京モーターショー2017 国内出展車一覧

2017年で45回を迎えた東京モーターショー(TMS)は、国内外の自動車メーカーが一堂に会し、注目の市販車やコンセプトカーを披露する自動車展示会でした。当時はドイツのフランクフルトモーターショー、フランスのパリサロン、スイスのジュネーヴモーターショー、アメリカの北米国際オートショーと並ぶ世界5大モーターショーに数えられていました。

もっとも、この「5大」の顔ぶれはその後大きく変わっています。フランクフルトモーターショーは2021年から開催地をミュンヘンに移して「IAA MOBILITY」となり、ジュネーヴモーターショーは主催財団が2024年5月31日に無期限の開催中止と組織の解散を表明しました。欧州メーカーが自国のパリやミュンヘンを優先するようになったことが背景にあり、大規模モーターショーの重心が中東やアジアへ移りつつある流れは、東京がジャパンモビリティショーへ舵を切った理由とも重なります。

東京モーターショーは「全日本自動車ショウ」として1954年に初開催され、当時は商用車が中心で乗用車の展示はわずか17台でした。その後は回を重ねるごとに参加メーカーも増え、2017年の第45回では国内外から24の自動車メーカーが参加し、合計211台の乗用車が並んでいます。1975年からは2年に1度の奇数年開催となり、会期は10月下旬から11月上旬の約10日間が定番でした。

2017年は10月25日から26日がプレスデー、10月27日が開会式などの式典を行うオフィシャルデー、10月28日から11月5日が一般公開で、計12日間の会期でした。以下では、この回に出展された国内自動車メーカーの市販前乗用車やコンセプトカーを一覧で紹介するとともに、それぞれがその後どうなったのかを併せて整理します。

トヨタの出展車一覧

トヨタブースで注目を集めたのは、パワートレインにFCVを採用した車種でした。世界的にはディーゼルエンジンやガソリンエンジンを削り、新たなパワートレインにEVを据える「EVシフト」が進むなかで、トヨタはEVに対応しつつFCV(燃料電池)にも力を注ぐ姿勢を打ち出しています。この二正面戦略は、その後も「マルチパスウェイ」として同社の基本方針であり続けました。

Fine-Comfort Ride

トヨタが「プレミアムサルーンの新しいかたち」として提案したFCV(燃料電池)のミニバンコンセプトカーがFine-Comfort Rideです。中央が絞り込まれたダイヤモンド型のエクステリア、前席と2列目を自由にレイアウトできるインテリアが魅力でした。

ホイールにモーターを組み込んだインホイールモーターを採用し、水素充填時間約3分で航続距離1,000kmを達成するという使い勝手の良さで、FCVの可能性を広げる1台として注目され、次期エスティマのコンセプトカーとも語られていました。

その後、Fine-Comfort Rideが市販化されることはありませんでした。エスティマは3代目のまま2019年10月に生産を終了し、後継モデルは設定されないまま約29年5か月の歴史を閉じています。一方で、3列シートのプレミアムという発想そのものは残り、2025年のジャパンモビリティショーではレクサスが6輪の「LSコンセプト」という形で、まったく別の解答を提示しました。

Tjクルーザー

VANの積載力とSUVの力強さを融合したのがTjクルーザーです。TOOL-BOXとJoyの頭文字を取って名付けられ、トヨタのFJクルーザーの後継車種とも言われました。オフローダー感を強く押し出し、ダイナミックな走りを予感させるスタイリングが特徴です。

ボディサイズは全長4,300mm×全幅1,775mm×全高1,620mm、ホイールベースは2,750mmでコンパクトSUVのジャンルに収まりますが、助手席までフルフラットになるためロングサイズのサーフボードも積み込めます。車中泊も楽々こなせる、次世代の遊べる車を提案したコンセプトカーでした。

公開直後は2020年前後の市販化が取り沙汰されたものの、2026年時点でトヨタから市販化の発表は行われていません。開発中止の公式アナウンスも出ておらず、宙に浮いたままの状態が続いています。この間にRAV4、ヤリスクロス、カローラクロスとコンパクト〜ミドルSUVのラインナップが一気に厚みを増したため、社内での優先度が下がったとみるのが自然です。同じホイールベースを持つシエンタには、2025年8月5日の一部改良で荷室重視の商用4ナンバー仕様「JUNO」が設定されましたが、こちらは2列目・3列目を廃した構成で、4人乗り2列シートを想定していたTjクルーザーとは性格が異なります。

Concept-愛i

人工知能を搭載した「人を理解する車」がConcept-愛iです。ドライバーの感情認識や嗜好推定を行う「Learn」、自動運転技術で安心と安全を提供する「Protect」、移動の楽しさを感じる新しいFun to Driveを実現する「Inspire」を掲げた未来の車でした。

Concept-愛iは人を理解しパートナーとなるように開発され、ヘッドライトを使った感情表現も備えていました。車を単なる移動手段とせず、信頼できる新しい関係を提案しています。第45回東京モーターショー2017ではConcept-愛iシリーズとして、ステアリングに替えてジョイスティックを採用し車いすでも乗り降りしやすいConcept-愛i RIDE、観光地での利用も視野に入れた気軽に使えるConcept-愛i WALKも登場しました。

3台とも市販化はされていません。ただしAIによる音声対話や感情推定といった要素は、その後のコネクティッド機能やエージェント機能として量産車へ分解して取り込まれており、コンセプトカーが車名を残さずに技術だけを引き継いだ典型例といえます。

SORA

FCバスのSORAは2020年の東京オリンピック・パラリンピックを想定した次世代バスです。バスのコンセプトカーはトヨタ初ということもあり、大きな注目を集めました。

トヨタが推進するFCV(燃料電池)を採用したSORAは走行時に二酸化炭素を排出せず、大容量外部給電システムによって災害時には電源としても機能します。8つの高精細カメラで安全を確保し、バス停への正着制御も備えるなど、日本初の技術が詰め込まれた次世代バスでした。

SORAは2018年3月7日に発売され、FCバスとして国内で初めて型式認証を取得しています。ボディサイズは全長10,525mm×全幅2,490mm×全高3,350mm、定員は座席22人・立席56人・乗務員1人の79人。車両価格は1台約1億円で、国が約5000万円を補助する枠組みが組まれました。東京都を中心に100台以上という当初の導入目標は達成され、国内のFCバスは2023年2月時点で124台まで増えています。導入は大阪、名古屋、横浜、神戸、豊田などにも広がりましたが、2030年に1200台という国の目標には距離があり、東京都以外は1台から数台規模にとどまっているのが実情です。

JPN TAXI

日本の「おもてなしの心」を表現したのが、2017年10月23日に発売されたJPN TAXI(ジャパンタクシー)です。海外からの観光客や車いす使用者、高齢者を想定した、観光立国への貢献を示す車でした。バリアフリーを備えた低床フラットフロアや、乗り降りしやすい大開口スライドドアなどユニバーサルデザインを採用しています。トヨタ車として初めて、国土交通省が定める「ユニバーサルデザインタクシー」の要件を満たす車種に認定されました。

クラウンセダンやコンフォート、クラウンコンフォートといったタクシー専用車の後継として登場したJPN TAXIは、その後も改良を重ねながら販売が続いています。直近では2025年6月2日に一部改良モデルが発売され、安全装備や装備内容が拡充されました。国産のタクシー専用車が事実上この1車種のみとなったこともあり、街の風景を塗り替えた1台として定着しています。

GR HV SPORTS concept

TOYOTA GAZOO Racingが手がけるスポーツブランドGRから、次世代のハイブリッドスポーツが世界初公開されました。GR HV SPORTS conceptはトヨタスポーツ800やスープラにも採用されたタルガトップを備える本格的なスポーツモデルで、環境性能に配慮したハイブリッドと組み合わせた点が新機軸でした。シフトノブにパワースイッチを配置するなど、遊び心も盛り込まれています。

この車がそのまま市販化されることはありませんでした。GRのスポーツモデルは、2019年に登場したGRスープラ、2020年のGRヤリス、2022年のGRカローラといった内燃機関中心の展開で骨格が固まり、ハイブリッドスポーツという路線は当面表に出ていません。ただしGR自体はブランドとして定着し、2025年にトヨタがトヨタ・レクサス・ダイハツ・日野・センチュリーへとブランド体系を再構築した際にも、その一角を占め続けています。

クラウン コンセプト

トヨタのフラッグシップセダンの次期モデルとして登場したのがクラウン コンセプトです。1955年に誕生し自動車市場へ大旋風を巻き起こした大ヒットモデルの新型として、大きな注目を浴びました。次世代の共通プラットフォーム「TNGA」を採用し、高剛性で安定感のある走りを掲げています。

売りは走りだけではなく、コネクティッド機能の強化でした。ビッグデータを活用する次世代クラウンは2018年6月にトヨタ初のコネクティッドカーとして市販化されています(15代目)。

クラウンはその後、2022年7月15日に16代目として全面刷新され、セダン一本という前提そのものを捨てました。クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートの4タイプ構成へ拡大し、第1弾のクラウン(クロスオーバー)が2022年9月1日、クラウン(スポーツ)が2023年10月、クラウン(セダン)が2023年11月、そして最後のクラウン(エステート)が2025年3月13日に発売されて4タイプが出揃いました。1台の名跡を車種群へ広げる手法は、のちのセンチュリーのブランド化にもつながる発想です。

新型センチュリー

日本を代表するプレミアムセダン センチュリーが、約21年ぶりのフルモデルチェンジを控えて登場しました。レクサスのフラッグシップセダンLSに搭載される5.0リッターV8ハイブリッドを積み、静粛性と滑らかな走りをさらに高めています。

センチュリー専用にチューニングしたサスペンション、乗り心地を追求した新開発タイヤなど、最高峰のセダンにふさわしい究極のショーファーカーとして仕立てられました。3代目センチュリーは2018年6月に発売されています。

センチュリーはその後、2023年にSUVタイプを追加してショーファーカー一辺倒のイメージを崩し、オーナー自身がステアリングを握る使い方も想定するようになりました。そして2025年10月13日、トヨタはセンチュリーをブランドとして独立させると発表。同月末のジャパンモビリティショー2025では、トヨタブースとは別に構えたセンチュリー専用ブースで3人乗りの「センチュリークーペ」が世界初公開され、フォーマルセダン・SUV・クーペの3ボディで展開していく方針が示されました。会場にはGRMNの名を冠したフルチューン仕様や、ビスポークの「テーラーメイド」も並んでいます。

レクサスの出展車一覧

トヨタの高級車ブランドであるレクサスからは、フラッグシップセダンの未来を示すLS+が登場しました。自動車の次の形である「自動運転」の技術を垣間見ることができるコンセプトカーです。

LS+ Concept

レクサスLSをベースにしたLS+ Conceptは、将来のLSを示唆したコンセプトカーです。フラッグシップセダンとしてレクサスの技術の粋を集めたLSのコンセプトカーだけに、最先端が随所に見られました。

公開時点では、2020年にレベル3相当の高速道路自動運転技術「Highway Teammate」を、2020年代前半にはレベル4の一般道自動運転技術「Urban Teammate」を搭載するとされていました。エクステリアには新しい大型スピンドルグリルを採用し、エンジンを冷やす冷却効果と走行安定性を左右する空力性能を両立するシャッター機能を新たに備えています。

実際には、高速道路での手放し走行を可能にする運転支援技術は2021年にLSへ搭載され、レクサスでは「Lexus Teammate Advanced Drive」の名で実用化されました。一方、一般道でのレベル4は市販車には降りてきていません。LSという車名の位置づけそのものも、2025年のジャパンモビリティショー2025で公開された「LSコンセプト」で大きく揺さぶられました。前2輪・後4輪という6輪パッケージのプレミアム3列シートで、セダンでもSUVでもミニバンでもない新しいショーファーカーを提案する内容です。後輪はフロントより小径で、インホイールモーターを含むBEV化をうかがわせる構成となっており、開発は継続していると説明されています。

日産の出展車一覧

日産の目玉は、SUVで初めてEVを採用したコンセプトカーNISSAN IMxでした。この後も改良版が国際的なショーで公開され、市販化も視野に入れられていた注目車種です。

NISSAN IMx

「クルマとドライバーがより繋がり、もっとクルマで移動したくなる」をコンセプトに開発されたのがNISSAN IMxです。日産ではリーフに次ぐ100%EV(電気自動車)で、リーフのSUV版としてかねてから噂されていたコンセプトカーでした。

クロスオーバーSUVに分類されるNISSAN IMxは、日産の自動運転技術「プロパイロット」を進化させたレベル5の完全自動運転を掲げています。プロパイロット ドライブモードではステアリングが格納され、シートが深く沈み込むなど、近未来の自動運転を体感させる演出が組み込まれていました。

特徴的な大型Vモーショングリルを持つNISSAN IMxは、フロントからリヤにかけて流れるような一体感を持つスタイリングで空力性能に特化したデザインを採用し、インテリアには和を取り入れ、日本家屋のような広々した空間、組木デザインのヘッドレスト、大胆な木目を用いたインパネやドアトリムが特徴でした。

IMxは2018年に「IMx KURO」として市販版に近づいた姿で再公開され、2019年の第46回東京モーターショーでは「ニッサン アリア コンセプト」へと進化します。そして2020年7月15日に市販モデルのアリアが発表され、日本では2022年から納車が始まりました。市販版はコンセプトの21インチから19インチへホイールを縮め、全幅も1,920mmから1,850mmへ抑えられていますが、顔つきをはじめとするデザインはほぼそのまま残されています。レベル5の完全自動運転は実現していないものの、プロパイロット2.0とプロパイロット リモートパーキングが搭載されました。

セレナ e-POWER ハイウェイスター

2016年11月に登場したノートe-POWERは爆発的なヒットとなり、2017年1月から6月の上半期販売台数ランキングではトヨタのプリウスに次ぐ2位となりました。e-POWERとはガソリンで電気を発生させ、電気のみで走る日産が開発した技術です。モーターのみで走るため静粛性が高く、力強いトルクが楽しめる点が特徴でした。

東京モーターショー2017では、人気のミニバン セレナへe-POWERを搭載した「セレナ e-POWER」を公開。クラストップレベルの燃費性能を持つセレナに待望のe-POWERモデルを追加し、ミニバン市場の販売台数トップを狙う布陣です。

セレナ e-POWERは2018年3月1日に発売されました。エンジン、モーター、駆動用リチウムイオン電池はノートe-POWERから幅広く強化されています。このC27型セレナ e-POWERは2022年11月に販売を終え、同年登場の6代目セレナへバトンを渡しました。6代目では排気量を拡大した第2世代のe-POWERとプロパイロット2.0が採用され、e-POWERはいまや日産の国内ラインナップの主軸となっています。

リーフ NISMO コンセプト

2017年10月2日にフルモデルチェンジして発売された新型リーフに、NISMOモデルが登場しました。専用サスペンション、専用タイヤを装備し、車の頭脳であるコンピューターも専用にチューニングされています。

エクステリアにはレッドの加飾、インテリアにはブラックの加飾を施し、スポーティモデルのリーフNISMOを彩ります。ベースのリーフと同様に高速道路単一車線自動運転機能「プロパイロット」や、アクセルペダルの操作のみで発進・減速・停止ができる「e-Pedal」を搭載していました。

市販版のリーフNISMOは2018年7月に設定され、コンセプトの狙いはほぼそのまま量産へ落とし込まれています。リーフ本体は2025年6月17日に3代目が世界初公開され、日本仕様は2025年10月8日に発表、2026年1月から納車が始まりました。ハッチバックからクロスオーバーEVへ姿を変え、78kWhバッテリーを積む「B7」は518万8700円、一充電走行距離はWLTCモードで702kmに達します。2026年1月29日には55kWhの「B5」が438万9000円で追加され、そして2026年7月22日にはリーフNISMOが660万1100円から発売されました。2018年に始まったEVスポーツの系譜は、2世代目へと引き継がれています。

新型スカイライン

日産を代表するプレミアムスポーツセダン スカイラインの改良モデルです。全方位安全支援システムを全グレードに採用して安全性能を強化し、高出力のハイブリッドを搭載、アルミホイールなどのエクステリアデザインも刷新されました。室内空間もより上質に仕上げられ、2017年12月下旬から販売されています。

V37型スカイラインはその後、2019年7月に大幅な改良を受け、エンブレムがインフィニティから日産へ戻るとともに、同一車線内での手放し運転を可能にするプロパイロット2.0を世界で初めて搭載しました。405馬力の3.0リッターV6ツインターボを積む「400R」が加わったのもこのときです。2025年11月には集大成となる限定車「400R Limited」が400台・693万5500円で受付を開始し、通常モデルにもボディカラー「ワンガンブルー」が追加されました。

そして2026年3月、現行型の生産終了が販売現場へ通達されています。次期V38型については2026年4月の長期ビジョン発表会で丸型4灯テールを備えた姿の一部が初公開されており、登場は2027年前半が有力とみられます。現行型の生産終了と次期型の投入には間が空く見込みで、しばらくは在庫車のみの販売が続く見通しです。

ホンダの出展車一覧

ホンダの出展車はEVが主力でした。コンセプトカーの段階ながら、注目度の高いホンダ アーバンEVコンセプトは市販化が明言されており、次のショーで市販モデルが姿を見せることが期待されていました。

Honda Sports EV Concept

EVとAIを組み合わせたスポーツカーを提案したのがHonda Sports EV Conceptです。新たに開発したEV専用プラットフォームを採用し、「車を操る喜び」の実現に向けたコンセプトカーでした。AI技術を使ったHonda Automated Network Assistantと組み合わせることで、人と車が一つになるコミュニケーションも研究されています。

エクステリアは低い地上高と広い全幅という伝統的なスポーツカーのフォルムで、愛嬌のあるヘッドライトも印象的でした。

このモデルが市販化されることはありませんでした。ただし小型EVに走りの楽しさを持ち込むという発想は生き残っており、2025年のジャパンモビリティショー2025では軽快な走りを追求した小型EV「Super-ONE Prototype」が世界初披露されています。仮想7段トランスミッションとアクティブサウンド制御による「BOOSTモード」を備え、生産モデルは2026年に日本を皮切りとして英国やアジア各国へ展開される見込みです。

ホンダアーバンEVコンセプト

フランクフルトモーターショーでワールドプレミアされたスモールEVがホンダ アーバンEVコンセプトです。人や暮らしに寄り添う先進技術を目的に開発され、Honda Sports EV ConceptともEV専用プラットフォームを共有していました。親しみやすいキュートなエクステリアと、大型ディスプレイを備えたリビングのような室内が、コンセプトどおりの生活密着型スモールカーを体現しています。

市販版は「Honda e」として結実しました。2020年8月27日に発表、同年10月30日に発売され、3ドアだったコンセプトは5ドアへ改められています。35.5kWhのリチウムイオンバッテリーを積み、一充電走行距離はWLTCモードで259.0km、乗車定員4名、駆動方式はRRという徹底したこだわりの1台でした。

ただし販売は伸びず、国内登録は2021年の721台をピークに減少。ホンダは2024年1月をもってHonda eの生産を終了し、在庫が売り切れ次第の販売終了となりました。欧州発売から数えても3年強という短命で、ホンダ初の量産BEVは役目を終えています。

Honda NeuV

「ココロ」を持った自動運転EVの可能性を示すのがHonda NeuVです。ホンダのAI技術「Honda Automated Network Assistant」を搭載し、ドライバーの表情や声からストレス状況を判断してAIが安全運転をサポートします。ドライバーのライフスタイルを学習して状況に応じたコミュニケーションを行う、自動運転とAIの次世代提案でした。

NeuVは市販化されていません。ホンダの自動運転はレジェンドへのレベル3搭載という別のルートで結実し、AIエージェント的な機能はコネクティッドサービスへ吸収されていきました。

新型CR-V

2016年に日本での販売が終了したクロスオーバーSUV CR-Vが、2018年に復活して販売を再開しました。全世界160か国以上で販売され絶大な人気を誇るCR-Vですが、日本にはヴェゼルがあるため販売が伸び悩んでいました。復活にあたってはヴェゼルにはない3列シートを設定し、歴代初の2モーターハイブリッド「SPORT HYBRID i-MMD」を搭載しています。ハイブリッドモデルに2WDと4WDを揃えた点も特徴でした。

5代目CR-Vは2018年8月に発売されたものの、ZR-Vの投入もあって2022年12月に再び国内販売を終了します。6代目は2024年7月、日本初となる外部充電可能なプラグイン機能付き燃料電池車「CR-V e:FCEV」(809万4900円)として復活し、2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーではテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。そして2026年2月27日には本命のハイブリッド「CR-V e:HEV RS」が512万2700円から577万9400円で発売され、ようやく量販できる価格帯に戻っています。日本市場から2度消えて3度戻ってきた、稀有な経歴の持ち主です。

クラリティ PHEV

FCV(燃料電池車)のクラリティがPHEVとなり、2018年に販売されました。日本国内では水素ステーションの普及が進みにくい状況にあるなか、PHEVの需要を見込んで投入されたモデルです。

高出力・高容量のバッテリーを搭載し、100km超のEV走行を可能にしています。大人5人が悠々と座れる広い居住空間が魅力で、トヨタのプリウスPHVの対抗馬と位置づけられました。

クラリティPHEVは2018年7月に発売されましたが、販売は振るわず、レジェンド・オデッセイとともに2021年内で国内生産を終了しています。ホンダの国内セダン・上級モデルの整理が一気に進んだ年で、プリウスPHVの強力なライバルという当初の構図は形にならないまま終わりました。

新型レジェンド

ホンダのフラッグシップセダン レジェンドの改良モデルです。ヘッドライトにジュエルアイ、グリルにヘキサゴングリルを採用し、最新の技術を投入したプレミアムカーとして仕上げられました。「SPORT HYBRID SH-AWD」による走りにさらに磨きをかけた最上級のドライバーズカーです。なお、この改良は5代目レジェンドに対する2018年2月のマイナーチェンジであり、世代交代を伴うフルモデルチェンジではありません。

レジェンドはその後、自動車史に残る役割を担います。2020年11月11日に自動運転レベル3に求められる国土交通省の型式指定を取得し、2021年3月5日、自動運行装置「トラフィックジャムパイロット」を含む「Honda SENSING Elite」搭載車を100台限定・1100万円でリース販売しました。レベル3の量産車として世界初の事例です。もっともその直後、レジェンドは2021年内で生産終了となり、レベル3を積む後続車種も現時点では登場していません。技術の頂点と車種の終焉が同じ年に重なった、皮肉な結末でした。

新型オデッセイ

ホンダの最上級ミニバンのオデッセイが2017年11月にマイナーチェンジしました。先進の安全装備とスタイリッシュなエクステリアをまとい、ハイブリッドモデルには渋滞追従機能付きACCを装備。電動パーキングブレーキやHondaスマートパーキングアシストシステムなど、フラッグシップミニバンらしい装備が充実しています。

オデッセイは2020年11月にも大幅な改良を受けましたが、狭山工場の完成車生産終了に伴い2021年12月に国内生産を終了し、在庫販売も2022年9月で尽きました。ところが販売店や顧客からの復活要望が強く、ホンダは中国・広汽本田の増城工場で生産する輸入車として2023年12月8日に国内販売を再開します。価格は480万400円から516万4500円、パワートレインは2.0リッターのe:HEVのみで、日本仕様専用にフロントグリルを新作した点が中国仕様との違いでした。

ただし2025年度の販売は前年度比35%減の7339台にとどまり、8万台超のアルファードとの差は開く一方でした。2026年6月には2026年度内に国内販売を終了する方向が伝えられています。ホンダは公式にアナウンスしていないと説明していますが、複数の販売現場で同趣旨の通達が確認されており、終了は濃厚とみられます。実現すれば、ホンダの国内向けミニバンはステップワゴンとフリードの2車種となる見込みです。

スバルの出展車一覧

スバルは「走る愉しさ」を表現したヴィジヴ パフォーマンス コンセプトで注目を集めました。次世代のスバル像を見られた貴重なコンセプトカーであり、最新技術だけでなく走りの進化もしっかりと打ち出しています。

ヴィジヴ パフォーマンス コンセプト

次期WRXの方向性を示したのがヴィジヴ パフォーマンス コンセプトです。「走る愉しさ」をコンセプトにしたエクステリアは、スバルがこだわる水平対向エンジンの低重心と、安定した走りを生むシンメトリカルAWDの運動性能を造形で表現しています。次世代プラットフォーム「SGP(スバル グローバル プラットフォーム)」や、進化したアイサイト ツーリングアシストの採用も見込まれていました。翌2018年の東京オートサロンでは、STIがチューニングを手がけた「VIZIVパフォーマンスSTIコンセプト」も公開されています。

このコンセプトは2代目WRX S4として2021年11月25日に発表され、市販へ到達しました。エンジンは従来の2.0リッターから2.4リッターのFA24型直噴ターボへ拡大され、最高出力275ps/最大トルク375Nmを発生。トランスミッションには8速マニュアルモードを備える「スバルパフォーマンストランスミッション(SPT)」が組み合わされました。

そのWRX S4も節目を迎えています。スバルは2026年3月、2026年5月18日をもって新規受注を終了すること、および現行モデルをもってWRX S4 STI Sportの展開を終えることを明らかにしました。一方で2026年4月には、現行WRXの日本仕様として初めて6速MTを採用した「WRX STI Sport♯」を600台限定で設定しています。

インプレッサ FUTURE スポーツ コンセプト

インプレッサ スポーツをベースに、気軽に運転を愉しむというコンセプトのもとで生まれた車です。ボディは低重心を強調し、ダイナミックで動きのあるバンパーや存在感のあるマフラーを備えていました。ボディカラーのイエローパールは、ステアリングホイールやセンターメーター、シフトノブなど内装の各所にも配され、アクティブな印象を与えます。

この仕様がそのまま市販化されることはなく、インプレッサはその後2023年に現行世代へフルモデルチェンジしました。派手な差し色でスポーティさを演出するという発想は、以後スバルではSTI SportやRSといったグレード側の役割に整理されています。

SUBARU XV ファン アドベンチャー コンセプト

SUBARU XVのタフなイメージを強調したオフロード仕様のコンセプトカーです。ブラックホイールとオフロードタイヤがアウトドアに似合うエクステリアを形づくり、大自然の中でも目立つイエローメタリックのボディがXVの魅力を高めていました。

XVはその後、日本市場でも海外名と統一する形で車名をクロストレックへ改め、後継モデルに引き継がれています。オフロードテイストを強めた仕様という提案自体は、北米で展開されるWildernessなどに形を変えて残りました。

SUBARU BRZ STI スポーツ

BRZのポテンシャルを最大限まで高めた最上級グレード BRZ STI スポーツは、操縦安定性と乗り心地のレベルを引き上げ、ボディ剛性や足回りを強化したモデルです。当時のBRZラインナップの最上級モデルとして販売されました。あわせて特別外装色をまとう「SUBARU BRZ STI SportクールグレーカーキEdition」が100台限定で2017年10月25日に発売されています。

初代BRZはその後生産を終え、2代目BRZが2021年8月に発売されました。エンジンは2.0リッターから2.4リッターのFA24型自然吸気へ拡大され、最高出力は235psへ向上しています。トヨタGR86との兄弟関係も継続し、内燃機関の後輪駆動スポーツとして現在も生き残る数少ない存在です。

S208

S208はハイパフォーマンスモデルWRX STIをベースにした「Sシリーズ史上最高の性能と質感を実現した究極のドライビングカー」として登場しました。スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル)が足回りを専用に開発し、内外装にも専用パーツが追加されています。先代にあたるS207から出力・加速性能を向上させ、スポーツ性能を極限まで高めた1台でした。2017年10月25日に販売が始まり、450台の限定販売となっています。

ベースとなったWRX STI(VAB型)は、EJ20型エンジンの生産終了に伴って2019年12月23日に日本向けの注文受付を終了しました。最後には555台限定の「WRX STI EJ20 Final Edition」が設定され、S208は事実上、国内向けSシリーズの掉尾を飾るモデルとなっています。以降、日本仕様のWRXにSTIの名を冠したコンプリートカーは登場しておらず、STI Sportというグレード名としての展開に置き換わりました。

マツダの出展車一覧

最新技術を次々と投入していたマツダは、次世代のクーペモデルをコンセプトカーで出展しました。新たなガソリンエンジンやプラットフォームも同時にお披露目し、大きな注目を集めています。

マツダ VISION COUPE

「エレガントで上質なスタイル」を描いたマツダの次世代デザインを提案したコンセプトカーがマツダ VISION COUPEです。「引き算の美学」を体現したシンプルながらも流麗なデザインは、ボディの陰影を美しく際立たせます。自然な生命感を表現し、魂動デザインの深化が感じられる1台でした。大型化が進む車内ディスプレイを壁と捉え、必要なときだけ機能するシースルースクリーン技術も開発・採用しています。マツダのロータリースポーツRX-7のコンセプトモデルとも語られました。

VISION COUPEそのものは市販化されていませんが、造形言語はその後の量産車デザインへ広く反映されました。ロータリースポーツの系譜は、2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開された「MAZDA ICONIC SP」が引き継いでいます。2ローターのロータリーを発電機として使うEVシステムを積む2シーターで、全長約4,180mm、システム出力約370ps、後輪駆動という構成が示されました。市販化については公式発表がなく、EV投資の負担が最大の障壁とされる一方、開発現場の熱意を示す発言も出ており、実現の可能性は残っているとみられます。2025年のジャパンモビリティショー2025では、CO2回収技術とロータリーを組み合わせた次世代フラッグシップ「VISION X-COUPE」が公開されました。

魁 コンセプト

マツダの次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を搭載したコンセプトモデルです。次世代プラットフォーム「SKYACTIV-Vehicle Architecture(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー)」を採用し、深化した魂動デザインをまとっています。理想のコンパクトハッチを目指して作られ、次期マツダ3(アクセラ)のコンセプトカーとして知られるようになりました。

魁 コンセプトは2019年にMAZDA3として市販化され、車名もアクセラからMAZDA3へ改められました。予告どおりSKYACTIV-Xも設定され、圧縮着火を実用化した希少なガソリンエンジンとして送り出されています。もっとも価格と実燃費の兼ね合いからSKYACTIV-Xの販売比率は伸び悩み、その後は2.5リッターの追加など、通常のガソリンエンジンを軸にした構成へ揺り戻しが進みました。

新型CX-8

従来のファミリーミニバンに替わるSUVとして登場したのがCX-8です。3列シートを持つ6〜7人乗り仕様で、2列目にはSUVとしては珍しい独立したキャプテンシートを装備。マツダの国内向けラインナップでは最上級モデルにあたり、高級感も申し分ありませんでした。当初はクリーンディーゼルモデルのみの設定で、2017年12月14日に発売されています。

CX-8はその後ガソリンエンジンも加えて販売を伸ばし、目標の2倍以上を売る成功作となりました。2022年11月には大幅な商品改良と特別仕様車「グランドジャーニー」「スポーツアピアランス」の設定を実施しています。しかしマツダが進めるラージ商品群への世代交代に伴い、2023年10月31日に生産終了が告知され、同年12月下旬で生産を終了。後継となる3列シートSUVCX-80は2024年10月10日に394万円から発売され、FRプラットフォームと直列6気筒を得て、より上級側へ位置づけを移しました。

三菱の出展車一覧

三菱の名車ランサーエボリューションがSUVになったと話題をさらったのが、イーエボリューションコンセプトです。新たなパワートレインにEVを採用し、走破性とエコを武器に市販化を目指すと表明していました。

MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT

三菱の名車ランサーエボリューションが、セダンではなくクロスオーバーSUVとして生まれ変わる姿を示したのがMITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPTです。SUVとEV開発に注力すると発表した三菱の覚悟の表れでもありました。

フロントに1基、リヤに2基のデュアルモーターAYCを配した合計3モーターの「トリプルモーター方式」による4WDシステムを搭載し、大容量・高出力のバッテリーで航続を確保しています。コンセプトカーにとどまらず本気で開発する先行公開車と位置づけられており、どこまで市販車へ落とし込めるかが注目されました。

結果として、e-EVOLUTION CONCEPTの市販版は登場していません。ランサーエボリューションの名も復活していないままです。三菱の電動化はアウトランダーPHEVの進化と、2022年に発売された軽EVのeKクロスEVという2本柱で進み、高性能SUVという方向へは向かいませんでした。

新型エクリプスクロス

スタイリッシュなクーペフォルムを持つ新型コンパクトSUVがエクリプスクロスです。SUVの力強さを表現するダイナミックシールド、上部に薄くシャープなLEDヘッドライト、下部にターンランプとフォグランプを配した精悍な顔つきが魅力で、三菱の新世代クーペSUVらしいデザインをまとって2018年3月に市販されました。

エクリプスクロスは2020年12月の大幅改良でPHEVを追加し、ガソリンターボとの2本立てになりました。しかし国内ではPHEVが2025年8月に生産終了となり、仕様を選べる最終注文日は2025年5月11日に設定されています。ボディサイズの近いRVRも2024年4月に国内向け生産を終えており、三菱の国内コンパクトSUVは薄くなりました。

一方、2025年9月には欧州向けの新型エクリプスクロスが発表されています。こちらはルノー セニックE-Techの基盤を用いたEV専用モデルで、フランスのドゥエー工場で生産される欧州専売車です。日本への導入は未発表で、国内のEV需要を踏まえると当面は見送られる可能性が高いとみられます。

アクティブギアシリーズ

オレンジカラーが美しい三菱のアクティブギアシリーズが「eKカスタム」「eKスペース カスタム」「デリカD:5」「アウトランダー」「RVR」の5車種登場しました。「eKカスタム」「eKスペース カスタム」はサプライズカーとして初披露され、会場を沸かせています。内外装に配されたオレンジは、アクティブギアの名のとおり乗る人を前向きな気持ちにさせてくれました。

ベースとなった車種は大きく入れ替わりました。eKカスタムとeKスペース カスタムは2019年以降の新型eKシリーズへ、アウトランダーは2021年の新型でPHEV専売へ、RVRは2024年4月に国内向け生産を終了しています。デリカD:5だけがディーゼル専用車として長寿を保ち、内外装を色で差別化する手法自体は、その後のブラック基調の特別仕様車へ引き継がれました。

ダイハツの出展車一覧

ダイハツは女性や年配者も使いやすいコンセプトカーや、レトロな雰囲気のクーペモデルを出展しました。勢いのある東南アジア市場でも存在感を見せていたダイハツだけに、アジア発の逆輸入モデルが将来誕生する可能性も語られていました。

DN PRO CARGO

女性や年配者でも使いやすい低床フラットフロアにより、室内を最大限に活用できる商用軽自動車の新しい形がDN PRO CARGOです。1957年に発売された「ミゼット」の使い勝手の良さと拡張性を受け継ぐマルチユースバンとして提案されました。

このままの姿での市販はありませんでしたが、商用軽バンの刷新は2021年12月に登場した新型ハイゼットカーゴという形で実現しています。なお「ミゼット」の名は2025年のジャパンモビリティショー2025で、3人乗りの軽EVコンセプト「ミゼットX」として28年ぶりに復活しました。

DN COMPAGNO

レトロな雰囲気を残しつつ表情のあるスタイルを見せるのがDN COMPAGNOです。大人2人がゆったり過ごせる室内空間で、シニア世代のセカンドライフを彩る提案でした。1963年に登場したコンパーノからインスパイアされたスタイリッシュなデザインが特徴で、パワートレインには日常使いに十分な1,000ccターボを搭載しています。

市販化はされていません。過去の名車の名前を現代に呼び戻す手法は、のちに軽SUVのタフトやコペンの特別仕様といった別の車種で試みられることになりました。

DN U-SPACE

子育て世代に向けて、使い勝手の良さをさらに高めた軽自動車の提案です。従来の軽自動車にはない前後両面スライドドアや、運転しやすさが大きく向上する前席パノラマビューを備えるなど、「モアスペース」を重視した次世代の軽自動車でした。

前後両面スライドドアという構成は量産化されていません。ただし後席の使い勝手と視界の良さを軸にする考え方はDNGA世代の軽へ受け継がれ、2019年のタントを皮切りに、ピラーレスのミラクルオープンドアや広い視界といった形で商品化されています。

DN TREC

日常と趣味を両立するためのコンパクトSUVがDN TRECです。アクティブ、ファン、タフをテーマに開発され、大径タイヤや前後左右に配置された樹脂パーツが走破性の高さを予感させます。パワートレインには1,200ccのハイブリッドを掲げつつ、1,000ccターボも搭載可能な汎用性の高さも魅力でした。

DN TRECはロッキーとして2019年11月5日に発売され、市販化にたどり着いた数少ない1台となりました。DNGA採用車の第2弾にあたり、約20年ぶりに車名が復活。5ナンバーサイズながら17インチホイールを履き、最小回転半径5.0mを実現しています。トヨタへはライズとしてOEM供給され、両車あわせてコンパクトSUV市場を一気に活性化させました。一方で、コンセプトが見せた白基調の室内や観音開きのドアは市販版には採り入れられていません。

DN MULTISIX

ダイハツのプレミアムミニバンとして提案されたのがDN MULTISIXです。コンパクトなボディに最大6人乗車可能な室内の広さが最大の魅力で、2列目シートはウォークスルー可能、3列目へのアクセスも容易でした。パワートレインは1,500ccで、最大乗車時でも十分なパワーを発揮します。

この小型ミニバンは市販化されていません。ダイハツの登録車ミニバンはトール系のトールワゴンが担う構成のまま推移し、3列シートの小型ミニバンという領域には踏み込みませんでした。なお同社は2023年12月に発覚した認証申請での不正により、2024年にかけて出荷停止と再開を経験しています。2025年のジャパンモビリティショー2025では単独ブースを構えず、トヨタグループの一角として一体で展示する形に変わりました。

スズキの出展車一覧

ジムニーの市販版と目されたe-SURVIVORが注目を集めたスズキです。実際にはジムニーのフルモデルチェンジした姿ではありませんでしたが、存在感は抜群で、将来の市販化に期待が集まるモデルでした。

e-SURVIVOR

スズキが提案する次の100年へ向けた新世代SUVがe-SURVIVORです。ジムニーの未来の姿とも語られたe-SURVIVORは、梯子型のフレーム「ラダーフレーム」を採用した走破性の高い1台でした。自動運転技術や4モーターによる四輪独立駆動、左右のタイヤを逆回転させてその場で旋回する「定置旋回モード」も見どころです。軽量でコンパクトなボディでスズキ伝統の走りを継承し、EV4WDの可能性を示しました。

e-SURVIVORは市販化されていません。ジムニーは翌2018年7月に4代目へフルモデルチェンジし、ラダーフレームとパートタイム4WDという伝統的な構成を守ったまま登場しています。その後2025年には5ドアの「ジムニーノマド」が加わり、ジムニーの領域はEVではなく実用性の側へ広がりました。

クロスビー

東京モーターショー2017の発表前から噂となっていた、ハスラーワイドの市販車がクロスビーです。軽自動車のハスラーとよく似た見た目のコンパクトカーですが、流用パーツをほとんど使わないオリジナル車両として開発されました。1.0リッター直噴ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせ、2WDと4WDを揃えています。会場にはベースとなる「クロスビー」、自然に溶け込むアウトドアモデル「クロスビー アウトドア アドベンチャー」、都会派の「クロスビー ストリート アドベンチャー」の3台が並びました。

クロスビーは2017年12月に発売され、その後は安全装備の強化や法規対応を中心とした小規模な改良を重ねながら、2026年時点でも販売が続いています。フルモデルチェンジについてスズキからの発表はありませんが、登場から8年を超えたモデルサイクルと、フロンクスやジムニーノマドの投入によるラインナップの重複を踏まえると、次期型の設定は流動的とみられます。

スペーシア コンセプト

わくわくと楽しさを詰め込んだ新しいスタイルの軽ハイトワゴンがスペーシア コンセプトです。次期スペーシアとして、低床で乗り降りしやすい広い室内、後席両側のスライドドアが新たな可能性を示しました。同時に発表されたスペーシア カスタム コンセプトは、迫力ある大型メッキフロントグリルが特徴で、使い勝手とラグジュアリーを組み合わせた軽自動車です。

2代目スペーシアは2017年12月に発売され、2023年11月には3代目へフルモデルチェンジしました。3代目は後席オットマン(マルチユースフラップ)や電動パーキングブレーキ、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールを備え、投入後は販売を大きく伸ばしています。2024年・2025年はいずれもN-BOXに次ぐ軽自動車販売2位に定着し、月間ではN-BOXを上回る場面もありました。2024年9月20日には丸目ヘッドライトのスペーシアギアが新型として復活し、195万2500円から設定されています。

キャリイ軽トラいちコンセプト

「軽トラ市」に出店することをイメージしたのがキャリイ軽トラいちコンセプトです。キャビンスペースを後方に拡大してスペースを確保し、太陽電池を備えた荷台には日よけタープを装備して使い勝手を高めています。キャリイより120mm高くすることで使える空間を広げた、商用車の枠を越えた提案でした。バックカメラ内蔵ルームミラーなど、日常使いで便利な機能も盛り込まれています。

このコンセプトそのものは市販化されていませんが、軽トラ市というカルチャーは根づきました。ジャパンモビリティショー2025では、全国の特産品を軽トラで運んで集う「軽トラ市in ジャパンモビリティショー2025」が公式プログラムとして実施されています。ベース車のキャリイも改良が続き、2026年1月には内外装を一新する仕様変更モデルが投入されました。

東京モーターショー2017が残したもの ジャパンモビリティショーは2027年へ

世界中の自動車メーカーの最新鋭の技術をまとめて見られる機会はそうそうありません。特に日本で行われるショーは国内メーカーの気合の入り方も違うだけに、一見の価値がある催しです。2017年の一般公開日のチケットは、最安価格で一般900円、高校生300円、中学生以下無料(日曜を除く16時以降に入場できるチケットの料金で、全日入場できるチケットは一般1,800円、高校生600円、中学生以下無料)でした。

こうして振り返ると、第45回の出展車がたどった道筋ははっきり二つに分かれます。DN TRECはロッキーへ、アーバンEVコンセプトはHonda eへ、IMxはアリアへ、ヴィジヴ パフォーマンス コンセプトはWRX S4へと市販にたどり着いた一方、Tjクルーザー、Concept-愛i、Honda NeuV、e-EVOLUTION CONCEPT、e-SURVIVORは、いずれも量産の形を得ないまま8年が過ぎました。市販に届いた側でさえ、Honda eは3年強で生産を終え、CX-8とエクリプスクロスPHEVは世代交代とともに姿を消しています。「未来のクルマ」として並んだ展示が、そのまま未来になったわけではないことがよく分かります。

ショー自体も、2019年の第46回を最後に東京モーターショーの名を手放しました。2021年は史上初の中止、2023年からはジャパンモビリティショーとして他産業やスタートアップまで巻き込む共創の場へ姿を変え、開催のない年にはビジネスイベントのBizweekを置く二本立てが定着しています。純粋な車の展示だけでなく、人工知能や新しい移動手段と人が共存する社会を体感できる場という性格は、むしろ強まったといえます。開催は引き続き2年に1度で、一般向けの次回は2027年が見込まれ、その前段として2026年10月13日から16日まで幕張メッセでJapan Mobility Show Bizweek 2026が開かれます。