トヨタFT-4Xコンセプト

FT-4Xは市販された?4アクティブ構想の顛末とランクルFJへの系譜|スペックも解説

「FT-4Xはいつ発売?FJクルーザーの後継?」という疑問に決着。4ACTIVEの商標失効、コンパクトクルーザーEV、そして2026年5月発売・450万円のランクルFJまで、FT-4Xの行方を時系列で整理。GoPro搭載やX字デザインなどコンセプトの見どころも解説します。

FT-4XはFJクルーザーの後継だったのか|「4ACTIVE」構想は消滅、コンパクトクルーザーEVの系譜は新型「ランドクルーザーFJ」として結実|FT-4Xのスペックと現在地

2017年4月14日~23日に開催された『2017ニューヨークオートショー』で世界初公開され、各メディアを大いに賑わせたのがトヨタFT-4Xです。
北米では生産終了後も根強い支持を集めていたFJクルーザーの後継ではないか――そんな噂も飛び交い、当時の注目を一身に集めた一台でした。あれから約9年が経った今、その行方には一定の答えが出ています。

世界初披露されたFT-4XはFJクルーザーと比べるとコンパクトサイズのSUVだった点も驚きをもって迎えられ、デザインテーマに掲げたRugged Charm(無骨な魅力)に加え、前から見ても横から見てもアルファベットの「X」が浮かび上がるデフォルメが大きな話題を呼びました。

のちに市販名として取り沙汰される「4ACTIVE(4アクティブ)」が北米で商標登録されたのは2019年12月のこと。
なお、FT-4XのFTは「Future TOYOTA」の頭文字で、車名にはトヨタの意気込みがにじんでいました。この「4ACTIVE」がどうなったのかも含め、以下で現在地を整理していきます。

FT-4Xの系譜はどこへ? 「4アクティブ」構想は白紙に、コンパクトクルーザーEVは新型「ランドクルーザーFJ」として市販化された

FT-4Xは2017年の発表当初こそFJクルーザーの後継と噂されましたが、ボディサイズがFJクルーザーよりひと回り小ぶりだったことから、「後継というより、まったく別の新型」という受け止めが広がりました。

その後、2019年12月にトヨタが北米で「4ACTIVE(4アクティブ)」を商標登録したことで、FT-4Xがこの名で市販化されるのでは、との観測が一気に高まります。しかし詳細が公表されないまま商標は失効し、この構想は実を結びませんでした。当時「FT-4Xの市販モデルでは」と有力視されたアラバマのマツダ・トヨタ合弁工場の新型SUVも、蓋を開ければ2021年9月に生産が始まったカローラクロスで、4アクティブとは無関係だったのです。

流れが変わったのは2021年12月のBEV戦略説明会でした。ここで披露された「コンパクトクルーザーEV」は、角張ったボディに大径タイヤという“ベイビー・ランクル”然としたスタイルで大反響を呼び、FT-4Xが打ち出したRugged Charmの方向性を受け継ぐモデルとして期待を集めます。

そして、その“小さなランクル”はついに現実になりました。トヨタは2025年10月21日、ジャパンモビリティショー2025で新型「ランドクルーザーFJ」を世界初公開し、2026年5月14日に日本で発売。価格は450万100円(VXの1グレード)です。デザインの源流はまさにコンパクトクルーザーEVですが、パワートレインは車名の印象に反してBEVではなく2.7L直4ガソリンで、ラダーフレーム構造・パートタイム4WD、生産はタイという現実解に落とし込まれました。FT-4Xそのものが市販されることは結局なく、その精神はランドクルーザーFJへと間接的に受け継がれた、というのが現時点の結論です。

幻に終わった市販名「4アクティブ」 FT-4Xはコンセプトのまま役目を終えた

FT-4Xは登場時からFJクルーザーの後継と目されつつも、両車のサイズ差ゆえに「後継とは呼びにくい」という声も少なくありませんでした。

市販化への最大のヒントとされたのが、2019年12月にトヨタがアメリカ特許商標庁へ登録した「4ACTIVE(4アクティブ)」です。新世代SUVの車名になるとの見方が強まりましたが、具体的な製品情報が示されることはなく、商標も更新されないまま失効しました。

2019年には、トヨタが米アラバマ州のマツダとの合弁新工場で作る車種を「カローラ」から「新型SUV」へ変更すると伝えられ、一部メディアはこれをFT-4Xの市販型「4アクティブ」と予想していました。しかし実際にこのラインで2021年9月から生産が始まったのはカローラクロスであり、「4アクティブ」という名のモデルは最後まで登場しませんでした。

FT-4Xは、アウトドア志向の強い若者に向けたコンセプトカー

FT-4Xは、平日は都市部で暮らし、休日は思い切りアウトドアを満喫したいというアクティブな若年層に向けて開発されたコンセプトカーです。トヨタが主なユーザー像として描いたのは、夏はキャンプ、冬はウィンタースポーツと、一年を通じて仲間や自然と触れ合って遊びたい35歳以下の層でした。

そうしたユーザーを楽しませる仕掛けが、FT-4Xには数多く盛り込まれていました。たとえばサイドミラーに組み込まれたGoProカメラは、走行の安全に寄与するだけでなく、思い出のワンシーンを記録することもできます。さらにオーディオやヘッドライトが取り外せる設計で、遊びの幅を広げてくれます。
走行中も、アウトドアの現場でも、多彩な楽しみを提供してくれる一台でした。

FT-4XとFJクルーザーの関係 後継の役目は結果的に新型「ランドクルーザーFJ」が担った

FJクルーザーは、本来の主戦場だった北米では2014年モデルを最後に販売を終了し、日本向けは2018年1月末まで生産が続きました(サウジアラビアなど一部市場向けはさらに2022年12月まで継続)。トヨタが「FT-4X」を商標登録したことから、往年の名車FJの復活を期待する声が広がったのが、この物語の出発点です。結果的にその“後継の器”を満たしたのは、FT-4Xでも4アクティブでもなく、2026年に登場した新型ランドクルーザーFJでした。

2017年のニューヨークモーターショーで世界初公開された車体は、大柄で人気を博したFJクルーザーと比べると明らかにコンパクトで、そのギャップ自体が強い話題性を生みました。

ホワイトルーフに映えるボディカラーやフロントグリルの水平基調のデザインには、確かにFJクルーザーに通じる意匠も見て取れます。

【エクステリア】オレンジカラーに[X]のデザインが特徴的

公開されたFT-4Xは、フロントとサイドのオレンジ、ルーフのホワイトという配色の妙が絶妙で、見る者にアクティブな印象を残しました。バックドアのガラス面に配された大きなダイヤルも、強烈なインパクトを放っていました。

デザインには立体的に視覚効果を高めるアルファベット「X」がモチーフとして取り入れられ、フロントやサイドには[X]が浮かび上がって見えます。
FT-4Xという車名に[X]が入っているのには、こうした狙いも込められていたわけです。

タイヤはメタリックな質感で、耐久性の高さも感じさせる仕上がりでした。オレンジ×ホワイトという鮮烈な組み合わせは、コンセプトカーならではの遊び心にあふれていました。

【インテリア】くつろぎの安心空間が解放的な気分にさせてくれる

FT-4Xの車内装備はいずれも丸みを帯びた造形で、写真を眺めているだけでも気持ちが和みます。内装にもあしらわれたオレンジが映える空間は、座っているだけでアウトドアへ出かけたくなるような高揚感を与えてくれます。

FT-4Xのインストルメントパネルはドライバーが必要な情報を瞬時に表示

走行時の情報を映すインストルメントパネルは、FT-4Xではハンドル越しに視認できる配置が特徴でした。スピードメーターやナビは、運転中に必要な情報をコンパクトかつ直感的に表示します。

オーディオやルームライトは取り外し可で便利

ドライブの楽しみのひとつといえば車内で聴く音楽ですが、FT-4Xのオーディオの魅力はそれだけではありません。取り外して持ち運べるため、テントやコテージの中でも音楽を楽しめます。ルームライトも同様に取り外せるので、テント内を明るく照らすことができます。
オーディオやルームライトを持ち出せることで、アウトドアの楽しみがぐっと広がる仕掛けでした。

THE NORTH FACEのロゴが付いたアームレストの中には?

ノースフェイスといえば、アウトドア好き、とりわけ登山を愛する人たちから支持を集める世界有数のアウトドアブランドです。

FT-4Xの車内には、THE NORTH FACEのロゴが入ったアームレストが備わっていました。その内部は収納スペースになっているだけでなく、ファンにはたまらない特注シュラフ(寝袋)まで収められていました。

ラゲッジルームは広々空間の多目的スペース

テントやクーラーボックス、グリルなどを積み込めるラゲッジルームは、目的地で荷物を下ろせば、2列目シートを倒すことで広々とした多目的スペースへと様変わりします。

バックドアは横にも縦にも開く。白く大きなダイヤルは回してみたくなる!

FT-4Xのエクステリア最大の見どころは、ブラックのリアガラスに映えるホワイトのTOYOTAロゴと、大きなダイヤルかもしれません。この白く大きなダイヤルは、思わず自分の手で回してみたくなる存在感でした。

バックドアのダイヤルは、デザインのアクセントであると同時に、状況に応じてドアを横開きにするか縦開きにするかを切り替えるモードチェンジのスイッチという実用的な役割も担っていました。

サイドミラーにGoPro「HERO5 Session」を搭載

車載の小型カメラといえば、死角をカバーして安全性を高める用途を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしFT-4Xがサイドミラーに搭載していたのはGoProでした。ロードレースやサーフィン、スノーボードといったアクティブなスポーツで、体やヘルメットに装着して臨場感あふれる映像を届けてきた、あのGoProです。

トヨタによれば、GoProを組み込んだ狙いは、ドライブやアウトドアの思い出を映像として記録することにあったといいます。FT-4Xに搭載されたカメラがどんな一瞬を切り取るのか、当時は多くの人がワクワクさせられたものです。

FT-4XはTNGAプラットフォームを採用して小型4気筒エンジンを搭載

FT-4Xは、トヨタの新プラットフォーム「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を土台に、走行性能の向上とコスト抑制を同時に狙って構想されていました。

搭載が想定された小型4気筒エンジンは、低燃費と、街乗り・オフロードの双方で安定した走りを両立させる性格づけとされていました。

FT-4Xは全長が短く取り回しやすいサイズ感

FT-4Xのボディサイズは、以下の表のとおりです。

全長 167.3in(約4,250mm)
全幅 71.7in(約1,820mm)
全高 63.9in(約1,620mm)
ホイールベース 103.9in(約2,640mm)

※1in(インチ)=25.4(mm)
※ホイールベース:前のタイヤの軸と、後ろのタイヤの軸との距離

FT-4XはFJクルーザーの後継と何かと噂されていただけに、公開された車体がFJクルーザーよりコンパクトだった点は意外性があり、話題を集めました。

FT-4Xが仮に市販されていたら、ライバルはホンダCR-Vだった

もしFT-4Xが市販化されていれば、北米で累計400万台超を売り上げた人気車ホンダCR-Vあたりが比較対象になっていたはずです。とはいえ、FT-4Xはアウトドア志向の35歳未満をメインに据えたコンセプトカーで、性格づけはCR-Vとかなり異なります。実際にはFT-4Xが市販に至らなかったため、この“対決”はあくまで仮の話にとどまりました。CR-Vはその後も世代を重ねていますが、日本市場での取り扱いには変遷があるため、本稿では深追いしません。

FT-4X自体は市販されず その方向性は新型「ランドクルーザーFJ」へ受け継がれた

結論として、FT-4Xがそのままの姿で市販されることはありませんでした。「4アクティブ」という車名構想も立ち消えとなり、この一台はあくまでコンセプトカーとして役目を終えています。

ただ、FT-4Xが提示した「都市でも遊べるコンパクトな無骨SUV」という発想は消えませんでした。2021年のコンパクトクルーザーEVがその意匠を引き継ぎ、最終的に2026年5月発売の新型ランドクルーザーFJという“現実に買えるモデル”へと着地したからです。サイドミラーのGoProや取り外し式オーディオといったFT-4Xならではのギミックはさすがに量産車には持ち込まれませんでしたが、あの角張ったスタイルとアウトドア志向のDNAは、形を変えて今も生き続けています。振り返れば、FT-4Xは“売れなかったが確かに種をまいた一台”だったといえるでしょう。