テンロクとは?1.6Lクラスのエンジンを搭載しモーターレースで大活躍し若者達を走りで魅了した車両一覧と衰退してしまった原因も紹介
通称テンロクの1.6Lクラスのエンジンを搭載する車両をピックアップしました。車好き達を熱狂させた全日本ツーリングカー選手権や、全日本ラリー選手権などのレースに設けられていた総排気量1.6L以下のクラスで好成績を収め知名度を上げ、走りのポテンシャルをアピールして、1980年~1990年代の若者達を魅了したシビックや、カローラレビンなどの車両が揃います。
ミラージュやファミリアなどのテンロクを搭載する車両を一覧で紹介するだけではなくて、テンロク車がヒットした理由や、衰退してしまった原因についても解説していきます。
テンロク車は競技車両が全日本ラリー選手権などで活躍したことが話題を集め、当時の若者達にも購入しやすい価格設定であった事も評価され幅広い世代から支持を集めてヒットした
1980年代~1990年代にかけて、1,600㏄クラスのエンジンを搭載したスポーツ走行性能を備えたクルマが、コンパクトクラスに属する車両の中では最も売れて、各自動車メーカーが車好き達の間で、テンロクと通称されていた1600㏄クラスのエンジンを搭載する車両を積極的に展開する時代がありました。
テンロク車(テンロクを搭載する車両)が流行った理由には、1985年に始まった全日本ツーリングカー選手権(JTC)のグループAで、1,600㏄以下のクラスが設けられていた事が影響を与えています。JTCで好成績を収めるために各メーカーは、制限値に近い1,600㏄クラスの高性能エンジンを開発して、市販車へと流用させました。
ホンダのシビックやトヨタのカローラレビンなどの車両は、ライバル車としてモータースポーツで競い合うだけではなくて、当時の若者達や車好き達を走りで魅了して、市販車としても激しいシェア争いを繰り広げていました。
エンジンは、燃焼効率や構造的な面において、1気筒あたりの排気量は400㏄前後が理想とされ、400㏄の倍数の総排気量が好まれる傾向にあり、ハイパフォーマンスを実現させるためには、4気筒構造では1,600㏄クラスが、開発費に余裕があった時期には選択されていました。
当時は排ガス規制や環境性能が強く求められる時代ではなくて、走行性能の高いスポーツティーな車が人気を集め、中でも若い世代でも購入しやすい車両価格に設定されていたテンロクモデルは幅広い世代から支持されて好セールスを記録しました。
テンロクを搭載する車両は環境性能の高さが求められるようになり、開発技術が進化して税制面での恩恵を受けられる1500㏄クラスでも同等のスペックを期待できるようになったので減少していった
自動車に対して環境性能の高さが求められるようになり、エンジンのダウンサイジングが世界的なトレンドとなると、コンパクトカーの主流は1.5L以下のエンジンを搭載し、ハイブリッドシステムを搭載させて低燃費を実現させている車両となりました。
テンロク車が2024年時点において新車販売を実施している車両から姿を消してしまった理由には、エンジンの技術革新が進み1500㏄クラスのエンジンでも、テンロクと同等の高出力化を行えるようになった事も影響を与えています。
その他に、テンロク車が衰退してしまった原因には、日本の自動車税がエンジンの総排気量が500㏄刻みで税額を加算する体系を構築している理由も関わっています。テンロク車が搭載する総排気量が1600㏄クラスのエンジンは、1.5L超~2.0L以下の税区分に分類され、1.0L超~1.5L以下の車両と比較すれば税金が割り増しとなってしまいます。
エンジン開発技術が進化して1500㏄クラスの車両でもテンロクと同等の走行性能が確保され、尚且つ税制面での恩恵を受けられるので、コンパクトカーでは1.5Lクラスのエンジンを搭載する車両が主流となりました。
区分 | 総排気量 | 新車登録時期別で掛かる税額 | |
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2019年9月30日以前 | 2019年10月1日以降 | ||
軽自動車(自家用) | 一律 | 10,800円~ | 10,800円~ |
乗用車(自家用) | 1L以下 | 29,500円~ | 25,000円~ |
1L超~1.5L以下 | 34,500円~ | 30,500円~ | |
1.5L超~2.0L以下 | 39,500円~ | 36,000円~ | |
2.0L超~2.5L以下 | 45,000円~ | 43,500円~ | |
2.5L超~3.0L以下 | 51,000円~ | 50,000円~ | |
3.0L超~3.5L以下 | 58,000円~ | 57,000円~ |
テンロク車一覧~1600㏄クラスのエンジンを搭載し若者たちを走りで魅了した名車をピックアップ
1980年~1990年代を中心にトヨタやホンダなどの各自動車メーカーが、走りに刺激を求める若者たちなどのニーズを満たすために展開していた1600㏄クラスのエンジンを搭載していたテンロクカーをピックアップして一覧で紹介します。
「シビック」のテンロクカーは全日本ツーリングカー選手権などで好成績を収めてホンダのエンジン開発技術の高さを世界にアピールした
1972年に初代モデルが誕生し2024年時点においても車歴を積み重ね続けている「CIVIC(シビック)」は、3代目(AG/AH/AJ/AK/AT型)・4代目(EF型)・5代目(EG型)・6代目(EK型)・欧州仕様の9代目(FK5/6型)が、ZC型 / B16A型 / B16A型 / B16B型 などの1.6Lエンジンを搭載するテンロクカーをグレード展開していた。
初代モデルでは1.2L エンジンと1.5Lを搭載する車両のみをラインナップしていた「シビック」は、1983年にフルモデルチェンジを実施して、従来モデルよりもボディサイズを拡大させるなどの改良を加えた3代目で、ZC型1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載したスポーティグレードSiを追加設定した。
同型シビックのテンロクモデルの競技車両は全日本ツーリングカー選手権などのモーターレースに参戦して、走りのポテンシャルを知らしめた。
1987年にフルモデルチェンジが実施されて誕生した4代目「シビック」は、インテグラに搭載されていたテンロクを軽量化させるなどの改良を加える事で、自然吸気ながら1.6Lで160馬力をクリアしたB16A型エンジンを搭載するグレード「SiR」をラインナップしていた。
SiRの競技車両は、全日本ツーリングカー選手権で圧倒的な好成績を収めて1.6Lクラスのスポーティモデルの車両としての絶対的な地位を確立させた。
1991年に誕生しホンダのホットハッチモデルとしての国内外での知名度が高い5代目「シビック」は、B16A型エンジンに改良を加えて、マニュアル車では170PSをクリアさせたテンロクカーをラインナップさせていた。
同型シビックは、サスペンションのストローク幅を広く設計させた四輪ダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用する効果で、乗り心地の良さと運動性能を引きあげて、エンジンの吸気機構に関与するVTEC-Eを新開発して環境性能を向上させた。
エンジン | B16A 1.6L水冷直列4気筒横置DOHC VTEC+PGM-FI |
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総排気量 | 1,595cc |
最高出力 | 170PS / 7,800rpm |
最大トルク | 16.0kgm / 7,300rpm |
最小回転半径 | 5.4m |
「シビックタイプR」は専用チューニングを行ったエンジンを搭載するなどしてサーキット走行も可能とするテンロク最強モデルとの呼び声が高いホンダのハイパフォーマンスモデル
1997年に誕生した「シビックタイプR」は、6代目シビックがマイナーチェンジを実施する際に追加設定されたハイパフォーマンスモデル。
2024年時点において車歴を刻み続けているシビックタイプRでは、レカロ製のパケットシートを設置し、チャンピオンシップホワイトなどの専用のボディカラーを採用する初代(EK9型)のみがテンロクカーをリリースしていた。
同型シビックタイプRは、B16A型をベースとして改良を加えたB16B型エンジンを搭載させて、当時のテンロクスポーツカーの最高出力である185PSを実現。
同車は搭載する高性能エンジンが達成するハイポテンシャルな走りを実現させる為に、足回りを構成するパーツやボディ剛性を強化させて、サーキット走行も可能とするテンロク最強モデルとの呼び声も高い。
エンジン | B16 B 1.6L DOHC VTEC +PGM-FI |
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総排気量 | 1,595 cc |
最高出力 | 185PS/8,200rpm |
最大トルク | 16.3/7,500rpm |
最小回転半径 | 5.4m |
ホンダ「INTEGRA(インテグラ)」は実用性と燃費性能を備えながらもスポーティな走りを可能とするテンロク車もリリースしていた
1985年に初代モデル(AV/DA1/2型)が誕生した「INTEGRA(インテグラ)」は、日本市場では2007年に4代目(DC5型)で販売終了となるまでの車歴の中で、展開する3ドアクーペや4ドアセダンなどのボディタイプの中で、数多くのテンロクカーを販売してきた。
インテグラは初代モデルから3代目までの期間中に、テンロクをパワーユニットとするグレードを展開。3代目インテグラの2000年終了モデルの4ドアタイプは、5人乗車できる実用性を備え、当時の車としては高い燃費性能をクリアしながらも、ZC型水冷直列4気筒エンジンを搭載する事で、期待されるスポーティな走りも可能としていた。
エンジン | ZC型水冷直列4気筒横置 |
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総排気量 | 1,590㏄ |
最高出力 | 120PS / 6,400rpm |
最大トルク | 14.7kg・m / 5,000rpm |
最小回転半径 | 5.4m |
ホンダの「CR-X」は3ドアファストバッククーペや2ドアオープンといったボディタイプのテンロクモデルを販売していた
シビックの姉妹車であるバラードの派生車として誕生したショートホイールベースのFFスポーツカー「CR-X」は、1983年から1999年にかけての車歴を誇り、初代(AE/AF/AS型)の正式名称はBALLADE SPORT CR-X、2代目(EF6/7/8型)はCR-X、3代目(EG1/2/EJ4型)はCR-X delsolと世代毎に異なってはいるが、各世代ではテンロクを搭載するグレードをリリースしていた。
フルモデルチェンジが実施されて1992年3月にリリースされた3代目「CR-X delsol」は、従来モデルが後部座席を設けた4人乗りであったのに対し、スイッチ操作でルーフ部をトランクルームへと格納できる2人乗りのオープンカーへと刷新。
同型CR-Vは5代目EG型シビックをベース車とし、上級グレードであるSiRはB16A型エンジンを搭載させて最高出力は170PSをクリア。歴代CR-Xのテンロクモデルの中では、競技車両がモータースポーツで活躍し世界的な人気車種となった2代目が、中古車市場で人気を得ている。
エンジン | B16A水冷直列4気筒横置 |
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総排気量 | 1,595㏄ |
最高出力 | 170PS/7,800rpm |
最大トルク | 16.0kgm/7,300rpm |
大衆車カローラのスポーティモデルとして誕生した「カローラレビン」はライバル車であるシビックと競い合いながらテンロクを進化させていった
『カローラレビン』は、トヨタの大衆車であるカローラの2代目モデルに追加設定されたスポーティグレード。同車の姉妹車であるスプリンタートレノは、大ヒット漫画「イニシャルD」の主人公である藤原拓海の愛車であった事から知名度は高い。
カローラレビンは、初代モデル(TE27型)・4代目(AE85/AE86型)・5代目(AE91/AE型)・6代目(AE100/AE101型)・7代目(AE110/AE111型)が、2T-G型 / 2T-GR型 / 2T-B型 / 2T-BR型 / 4A-GEU型 / 4A-FE型などの1.6Lクラスのテンロクを搭載するグレードを展開していた。
競技車両がラリーなどのモータースポーツに参戦して、ライバル車であるシビックと競い合いながら進化を続けた「カローラレビン」は、ハチロクの通称も定着している4代目(AE86型)が、2T-G型から新開発の4A‐G型へとエンジン機構を刷新させ、各気筒に4バルブを配置させた16バルブ化を実現させたテンロクを搭載。
1991年にスプリンタートレノと共にフルモデルチェンジが実施されて誕生した6代目「カローラレビン(AE101型)」は、従来モデルよりもボディサイズを大系化させて、各隅に丸みを持たせたフォルムを採用。
型式がAE101であったことからヒャクイチとのサブネームで、車好き達の間で親しまれている同型「カローラレビン」は、4A-GZE型にスーパーチャージャドシステムを組み込んで、圧縮した空気を送る事でパイパワーを実現させる上級グレードの「GT-Z」を展開していた。
漫画や映画の劇中車として登場して再注目され、クラッシックカー的な希少性も加味されている「カローラレビン」と「スプリンタートレノ」は、状態が良い車両であれば中古市場で数百万円を超える価格で取引されている。
エンジン | 4A-GZE水冷直列4気筒DOHCスーパーチャージャド |
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総排気量 | 1,587㏄ |
最高出力 | 145PS / 6,400rpm |
車両重量 | 1,070kg |
トヨタ「MR2」はミッドシップレイアウト構造を採用する数少ない国産車でテンロクを搭載するモデルは中古車市場で希少性が高まっている
1984年に初代モデル(AW10/11型)がリリースされたトヨタ「MR2」は、国産車では初となるエンジンを車体中央部に配置するミッドシップレイアウト構造で採用して開発されたクルマ。製造コストを抑えるために、E80 型カローラの足回りやトランスミッション等のユニットを流用させた同車では、初代モデルのみがテンロクカーを展開。
初代「MR2」は1986年にビッグマイナーチェンジを実施して、パンパーやサイドモールの塗装色をボディ全域と統一化させてスポーティな外観に仕上げ、更なる高出力化を実現させた4A-GZE型1.6Lスーパーチャージャー付エンジンを搭載する上級グレードを追加設定した。
「MR2」は国産車では数少ないエンジンをミッドシップ部に設置する、MR車ならではの走りやハンドリング性能を体感できるレアな車として、中古車市場において根強い人気を保ち続けていて、テンロクモデルは希少性が高まっている。
エンジン | 4A-GELU 直列4気筒DOHC |
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総排気量 | 1,587㏄ |
最高出力 | 130PS/6600rpm |
車両重量 | 980Kg |
「サニーRZ-1ツインカム NISMO」は日産のテンロクCA16DEを搭載して専用装備を充実させた特別仕様車
日産のCA16DE型エンジンを搭載する「サニーRZ‐1 ツインカム NISMO」は、6代目サニー(B12型)の派生車として追加設定されたクーペモデルに、サスペンションやエアロパーツを専用化させて走りの質を引き上げて、シート等の内装パーツでも上質感を演出させている特別仕様車。
NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の名称を付与されている同車は、カムシャフトを2本配置させる4バルブDOHCエンジンを高性能化させる事で、走りのポテンシャルを存分に引き上げたテンロク車。
エンジン | CA16DE型(直4・4バルブDOHC) |
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総排気量 | 1,598㏄ |
最高出力 | 120PS / 6,400rpm |
最大トルク | 14.0Kgm / 5,200rpm |
車両重量 | 1,050kg |
「パルサーセリエ VZ-R N1 Version2」は日産のレーシング技術を還元させたテンロク・SR16VEを搭載して最高出力は200PSをクリアした限定生産車
5代目(N15系)パルサーのハイパフォーマンスモデルとしてリリースされたVR-Zは、1998年10月に、専用のフジツボ技研製のメインマフラーや、モノフォルムバケットシートを設置し、MONO製の本革巻スポーツステアリングを装備させた「パルサーセリエVZ-R Vesion2」を限定生産した。
当時の日産の先端的なレーシング技術を流用させて開発を進めた「パルサーセリエ VZ-R N1 Version2」は、バルブの開閉タイミングを最適化させて、2種類のカムを効率的に制御する内部ユニットを配置させる事で、200PSもの高出力を発揮させるSR16VE(NEO VVL)エンジンを搭載していた。
エンジン | SR16VE DOHC 水冷直列4気筒 |
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総排気量 | 1,596㏄ |
最高出力 | 200PS/7,800rpm |
最大トルク | 18.5Kgm/7,800rpm |
最小回転半径 | 5.2m |
「ノート NISMO S」は専用チューニングを行ったテンロクを搭載し5速MTによってマシンを操作する喜びを堪能させていた日産のコンパクトカー
日産を代表するコンパクトカーであるノートは、2020年11月にフルモデルチェンジを実施して、全車が搭載する1.2Lエンジンは発電用に利用して、モーターで走行するe-POWERをパワーユニットとする3代目(E13型)へと移行した。
3代目で大刷新を実施したノートでは初代モデル(E11型)と2代目(E12型)で、テンロク車もラインナップ。2014年に2代目ノート追加設定された「ノートNISMOS」は、専用チューニングが施されたHR16DE型エンジンに、5速MTを組み合わせて、高性能マシンを自身のテクニックで操作する臨場感を求めるユーザーの期待に応えた。
テンロク車である「ノートNISMO S」は、エンジン系統を強化させるだけではなくて、専用のエアロダイナミズムを取り入れた空力効果の高いパーツを装備させて、走行時の車体の安定感を向上させ、リアブレーキシステムはドラム式からディスク方式へと変更を行って、飛躍した走行性能に見合う制動力を与えた。
エンジン | HR16DE DOHC水冷直列4気筒 |
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総排気量 | 1.597L |
最高出力 | 140PS/6,400rpm |
最大トルク | 16.6kgf・m/4,800rpm |
最小回転半径 | 5.2m |
マツダの主力車として人気を博していた「ファミリア」は1.6Lターボエンジンに国産車では初めてフルタイム4WDを組み合わせるハイパフォーマンスモデルを展開していた
マツダの主力車として活躍し2004年に販売終了となるまで、40年にも達する車歴を刻んできた「FAMILIA (ファミリア)」は、6代目~8代目がB6型やB6-DE型といった1.6Lクラスのエンジンを搭載するテンロクモデルを展開していた。
低価格路線のファミリカーとしても支持されていた「ファミリカー」は、競技車両がWRCラリー・モンテカルロで優勝を果たす、6代目(BF型)では1.6L直列4気筒DOHC16バルブターボエンジンに、国産車では初めてフルタイム4WDを組み合わせるグレードも展開させて、走りの魅力でもオーナらの顧客満足度を高めていた。
エンジン | B6-DE 直列4気筒DOHC16バルブ |
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総排気量 | 1,597㏄ |
最高出力 | 115PS / 6,000rpm |
最大トルク | 14.5kg・m / 3,500rpm |
最小回転半径 | 5.4m |
「ロードスター」はテンロクでパワーではなくて操作性の良さを追求した戦略も評価され世界市場で大ヒットを記録したマツダのライトウェイトオープンカー
世界的なヒットを記録したマツダのライトウェイト2シーターのオープンカー「ROADSTER(ロードスター)」は、リトラクタブルヘッドライトを設置して、時代性を感じさせないお洒落な外観を特徴とする初代モデル(NA系)と、各国の排出ガス・騒音規制をクリアした環境性能を備えた2代目(NB系)でテンロク車を展開。
マツダはテンロク車に搭載させる1.6L B6-ZE水冷直列4気筒エンジンは、パワーを追求するのではなくて、ライトウェイトスポーツカーとしての操作性の良さや、運転する際の心地良さを引き上げる為に開発を進めた。
高水準化された操舵性を魅力とするテンロク車もラインナップに加えた「ロードスター」のマーケット戦略は功を奏して、同車はライトウェイトスポーツカーでは世界市場で異例のセールスを記録した。
エンジン | B6-ZE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
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総排気量 | 1,597㏄ |
最高出力 | 125PS / 6,500rpm |
最大トルク | 14.5kg・m / 5,000rpm |
最小回転半径 | 4.6m |
三菱「ミラージュ」はワンメイクレースで磨いた技術力を還元させて走行性能を引き上げたテンロクカーを販売していた
1978年に初代モデルが誕生した三菱の世界戦略車「ミラージュ」は、2023年に日本市場での販売を終了するまでの車歴の中で、3代目がギャランGTOのMRモデルで途絶えていたDOHC16バルブ機構を搭載する4G61型1.6Lエンジン機構で復活させ、4代目では世界最小の1.6LのV6エンジン6A10型を搭載させるなどテンロクカーを数多くリリースしてきた。
ミラージュは1985年から1998年にかけて開催していた「ミラージュカップ」で技術力を磨いて、三菱が独自開発した可変バルブタイミングリフト機構であるMIVECを搭載させるエンジンを導入して、低回転域においての操舵性を引き上げるタイプや、ターボエンジンを搭載して更なる高出力化を実現するモデル、スポーティグレードの「CYBORG(サイボーグ)」でも、テンロクカーを展開していた。
エンジン | 4G92 直列4気筒DOHC |
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総排気量 | 1,597cc |
最高出力 | 145ps |
最大トルク | 15.2kg・m/5,500rpm |
最小回転半径 | 5.0m |
「ランサー」は4G32型や6A10型などのテンロクを搭載する車両をラインナップしていた三菱のコンパクトセダン
三菱のコンパクトセダン「ランサー」は2010年までに日本市場で販売されていた世界戦略車。ランサーは初代モデル(A70/A140系)が誕生し車歴を刻んでいく過程の中で4G32型 / G32B型 / 6A10型 / 4G92などのテンロクを搭載する数多くの車両を販売してきた。
1995年にフルモデルチェンジが実施されて誕生した5代目「ランサー(CK0/CM0系)」は、Total Evolutionをコンセプトに掲げて車両開発を進め、トランクルームと車内空間を拡大化させ、パワーユニットでは新開発の1.5Lエンジンや、1.8L V6エンジンの他に、スポーティグレードのMRでは1.6L MIVECエンジンを搭載させるテンロク車もラインナップしていた。
エンジン | 4G92 直列4気筒DOHC16バルブ |
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総排気量 | 1,597㏄ |
最高出力 | 175PS/7,500rpm |
最大トルク | 17.0Kg・m/7,000rpm |
最小回転半径 | 5.1m |
「スイフトスポーツ(ZC32型)」は厳格化された排出ガスをクリアしながらも高出力を維持させたテンロクを搭載していたスズキのコンパクトハッチバック
スズキのコンパクトハッチバック「スイフトスポーツ」は、2017年9月にフルモデルチェンジを実施して、K14C型1.4L直列4気筒直噴ターボエンジンへとダウンサイジングを行う、車線逸脱抑制機能等がパッケージングされるセーフティサポートを装備するなどの改良を加えて4代目(ZC33S型 )へと刷新させた。
「スイフトスポーツ」では、エンジンが1,400㏄クラスへとダウンサイジングされる4代目以前の2代目(ZC31型)と、3代目(ZC32型)ではテンロクを搭載するグレードも展開していた。
The Sporty flagshipをコンセプトに掲げ、スズキのスポーツカーのフラッグシップモデルとしての存在感を引き上げる目標を掲げて開発された3代目「スイフトスポーツ」は、従来型よりM16Aエンジンを受け継いで、可変吸気システムを導入させて、冷却効率を高めた効果によって、当時課されていた排出ガス規制をクリアしながら、高出力を維持させたテンロク車を販売していた。
エンジン | M16A水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
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総排気量 | 1,586㏄ |
最高出力 | 136PS/6,900rpm |
最大トルク | 16.3Kg・m / 4,400rpm |
最小回転半径 | 5.2m |
「ジェミニイルムシャーR」は各国の自動車メーカーと共同開発を行うことでテンロクカーの走りのポテンシャルを引き上げてダートレースで好成績を収めたいすゞブランドの乗用車
いすゞは、業務提携を結ぶGMグループとワールドカー構想を計画・実施し、連携する各メーカーで基本設計を共通化させた車両を、日本市場に適合化させるために、独自技術を導入して、人気のジェミニシリーズを誕生させた。
ジェミニシリーズでは「ジェミニ1600LTクーペ」などのテンロク車をラインナップしていた。特にドイツのイルムシャーがチューニングアップを行った『ジェミニイルムシャーR』は、4XE型1.6L 4気筒DOHCエンジンを搭載し、ホンダのシビックタイプR(EK9型)が登場するまでには、テンロクスポーツカーでは、最高の出力180psを誇っていた。
『ジェミニイルムシャーR』の競技車両は、未舗装の路面をパワフルに推進可能とする走りの特性を活かして、参戦したダートトライアル選手権では、ミラージュサイボーグターボなどのライバル車と熾烈な競争を繰り広げながらも好成績を収めた。
エンジン | 4XE1 水冷直列4気筒DOHC16バルブICターボ |
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総排気量 | 1588㏄ |
最高出力 | 180PS/6,600rpm |
最大トルク | 21.2Kg・m/4800rpm |
最小回転半径 | 4.8m |
1980年代~1990年代の若者たちを走りで魅了して一時代を築いたテンロクカーは中古車市場で根強い人気を保ち続けている
「テンロクカー」はバブル景気で開発費が十分に確保されていた時代に誕生し、燃費や安全性よりも走行性能を追求し、全日本ツーリングカー選手権のグループAなどのレースで磨いた技術力を、積極的に市販車へと還元させて進化を続けていきました。
若い世代でも購入できるような価格設定としていた事もセールス面に影響を与えて一時代を築いた「テンロクカー」は、環境性能の高さが強く求められるような車社会が到来すると、かつての勢いを失ってしまいましたが、漫画や映画などの作品も影響を与えて、当時を知る方達や車好き達の間では、中古車市場を中心に根強い人気を保ち続けています。