eペダルとは

eペダルの仕組みとは?ワンペダルの使い方とe-Pedal Stepとの違い

ワンペダルで運転できるeペダルのメリットと注意点を整理。踏み替えが減ることで得られる効果、駐車時に戸惑いやすい場面、同乗者の乗り心地への影響に加え、ペダル踏み間違い時加速抑制装置の義務化という法規の動きまで紹介します。

eペダルの仕組みとは?ワンペダルの使い方とe-Pedal Stepとの違い

ワンペダルで加速・減速・停止可能!ストレスのないワンペダル操作

アクセルペダルから足を離すだけで強く減速し、そのまま停止まで持ち込む。日産が電気自動車(EV)のリーフに搭載した「eペダル」は、アクセルとブレーキの操作を一つのペダルに集約した仕組みで、ワンペダル操作という言葉を世に広めた機能です。

ただし、現在の日産車に搭載されているのは同じ機能ではありません。完全停止と停止保持まで行う初代の仕様と、停止直前でクリープ走行に切り替わる現行の仕様では、使い勝手も慣れ方も変わります。仕組み、両者の違い、他メーカーの同種機能との比較まで押さえておくと、試乗時に確認すべき点がはっきりします。

ワンペダルで運転できるeペダルの仕組み

eペダルの仕組み

eペダルは、強力なモーターをコンピューターで精確に制御することにより、ワンペダルでの運転を実現しています。この仕組みの核となるのが、EV特有の「回生ブレーキ」の制御です。回生ブレーキとは、減速するときにモーターを発電機として働かせ、運動エネルギーを電気に変えながら制動力を得る仕組みで、その強さを緻密に調整することで減速の度合いを作り出します。

回生ブレーキだけでは停止まで持ち込めないため、初代の仕様では油圧ブレーキを協調させていました。アクセルを戻した量に応じて回生ブレーキを立ち上げ、速度が落ちてきたところで油圧ブレーキが引き継ぐという役割分担です。この切り替わりをドライバーに意識させないよう制御するところが、この技術の難所でした。

ワンペダル操作で懸念されるトラブルの一つに、予期せぬ制動や停止があります。回生ブレーキによる減速が始まると、後続車に注意を促すためにブレーキランプが自動的に点灯します。また、雨や雪など滑りやすい路面状況を検知すると、コンピューターが回生ブレーキと油圧ブレーキを併用し、四輪の制御を安定させます。こうした制御をすべて自動で行うため、ドライバーはアクセルペダルの操作に集中できます。

しかし、緊急性のある急ブレーキを要する場面も想定されるため、車間距離をしっかりとり、eペダルに頼り過ぎない運転を心がけるのも大切なことです。追従する前車が急制動をかけた場面や、交差点で自転車が飛び出した場面では、アクセルを戻すだけでは減速が足りません。フットブレーキを使う準備は常に必要です。

eペダルとe-Pedal Stepの違い。現在の日産車に搭載されているのはどちらか

ワンペダルに関心を持った段階で最初に確認したいのが、この2つの名称の違いです。呼び方が似ているため混同されやすいものの、止まり方が決定的に異なります。

eペダルとe-Pedal Stepの違い

  • eペダル:アクセルを戻すだけで完全停止し、停止状態も保持する。クリープ機能なし
  • e-Pedal Step:強く減速するが、極低速域ではクリープ走行に切り替わる。停車にはブレーキ操作が必要

日産の技術情報では、2020年以降の新型車に搭載されたe-Pedal Stepについて、従来のe-Pedalと異なり、減速後の停止および停止保持機能の代わりにアクセルオフの減速後にクリープ走行が発生するため、停車時には必ずブレーキを踏む必要があると説明されています。公式FAQでも、e-Pedal Stepの設定車種として、2026年1月にフルモデルチェンジしたリーフ(ZE2型)が案内されています。

e-Pedal Stepは単に機能を削ったものではありません。車速変動の大きい低中速域ではしっかり減速させる一方、高速域では減速を小さく抑え、高速道路の巡航でアクセル操作に神経を使わずに済むようにしています。極低速域で回生ブレーキを作動させずクリープを残したのは、駐車時に停車位置をコントロールしやすくするためです。

アクセル操作だけで完全停止まで行う仕様は、初代リーフ(ZE1型)と第1世代e-POWERを搭載したノートの世代に限られます。中古車でその操作感を求める場合は、年式と型式の確認が必須です。

eペダルは3つの動作「加速」「減速」「停止」をワンペダルで操作

eペダルが登場する前にも、ワンペダル操作に近い機能は存在していました。先に登場したノートe-POWERの「e-POWER Drive」は、電気を回収するための回生ブレーキを強くするシステムで、アクセルを踏むと加速し、離すと強い回生ブレーキで減速するという2つの動作でワンペダル操作に近づけたものでした。

リーフに搭載されたeペダルは、このシステムをさらに進化させ、加速、減速、さらに停止と停止状態の保持という3つの動作までワンペダルでできる技術でした。日産は、このeペダルによって普段の運転操作の約90%をカバーできるとしていました。

eペダルのワンペダル操作

1.ペダルを踏むと加速

ペダルを踏むと車が加速します。これは普通の車の操作と同じです。静かなモーター音と、EVならではの力強いトルク(回転させる力)を持つ加速を体感できます。

2.ペダルを戻すと減速

アクセルペダルを戻す操作により、最大0.2Gの減速力を発生させます。一般的なエンジン車のエンジンブレーキがおよそ0.05Gから0.1G程度であることを踏まえると、その数倍の制動力です。下り坂でもフットブレーキに持ち替えずに速度を保てます。

3.ペダルを完全に戻すと停止・停止状態を保持

ペダルから完全に足を離すことにより、車体が完全に停止します。停止後は自動的に油圧ブレーキが作動し、ドライバーが操作しなくても停止状態を保持します。坂道の勾配が30%までであれば、安定して停止状態を保持できる仕組みです。

3つの動作をワンペダルで操作できるため、ブレーキとアクセルの踏み替え回数が大幅に減少します。信号の多い市街地では1kmあたり数回の踏み替えが発生しますが、これが半分以下に減るだけで、右足にかかる負担の感じ方は変わります。渋滞の多い街中での使い方で、そのメリットを強く実感できます。

なお、現行のe-Pedal Stepでは3つ目の停止と停止保持の部分がクリープ走行に置き換わっています。停止保持の役割は、停車後にブレーキから足を離してもブレーキ力を保つオートブレーキホールドが担っており、新型リーフでは全車標準装備です。

緊急性がある時はフットブレーキを使う

急ブレーキをするドライバー

車の運転中は、刻々と状況が変化するため、ドライバーは常に状況を見極めながら運転する必要があります。例えば、歩行者や車がいきなり飛び出してくる可能性があるとき、ワンペダル操作だけで瞬時に急ブレーキをかけることができるのかは、多くのドライバーが気になる点です。

日産は運転の90%をeペダルで操作できるとしていましたが、残りの10%は緊急性のあるブレーキ操作を想定したものです。0.2Gという減速度は日常の減速には十分でも、緊急制動で必要になる0.8Gを超える領域には遠く届きません。ワンペダル操作が可能な車にも、通常の自動車と同様にブレーキペダルは装備されています。

注意したいのは、アクセルから足を離した状態ではブレーキペダルの上に足が乗っていないという事実です。踏み替えに要する時間は0.2秒前後とされる研究がありますが、その間に時速60kmで走る車は約3m進みます。危険を感じた時点でブレーキペダルの上に足を移しておく「カバーリングブレーキ」の習慣は、ワンペダル車でこそ意味を持ちます。

回生ブレーキが弱まる場面。満充電時と冬の低温時に起きること

ワンペダル機能で見落とされやすいのが、常に同じ減速力が得られるわけではないという点です。回生ブレーキは発電してバッテリーに電気を戻す仕組みのため、バッテリー側が電気を受け入れられない状態では働きが制限されます。

回生ブレーキが弱まる主な条件

  • 満充電に近いとき。受け入れる余地がないため回生量が絞られる
  • 冬の低温時。バッテリーが冷えていると充電を受け付けにくくなる
  • バッテリー温度が高くなりすぎたとき

実際に起きやすいのが、満充電にした翌朝、自宅が高台にあって下り坂から走り出す場面です。いつもの感覚でアクセルを戻しても減速が足りず、速度が乗ってしまいます。長い下り坂が続く峠道でも同じことが起こり、下り始めは効いていた回生が途中から弱くなるという変化が生じます。

対策は単純で、減速が足りないと感じたらブレーキペダルを使うことに尽きます。山間部への遠出では満充電にせず8割程度に留めておくと、下り坂で回生を活かしやすくなり、下りながら充電量を回復させる走り方もできます。長く乗っているオーナーからは、冬場の朝一番は回生の効きが鈍いという指摘がよく聞かれます。

電気自動車の普及がeペダル普及のカギを握る

高速道路を走る新型リーフ

eペダルが初めて搭載されたリーフは、日産の技術を結集して作られた電気自動車であり、ワンペダル操作をアピールするには最適な搭載車でした。その後、ワンペダル機能はEV専用の装備にとどまらず広がっています。

日産ではe-Pedal Stepとして、リーフやサクラ、アリアといったEVに加え、エンジンで発電してモーターで走るe-POWER搭載のノート、オーラ、キックス、エクストレイル、セレナにも展開されています。エンジンを積む車でもモーターが駆動を担う方式であれば、ワンペダル操作は成立します。

一方、エンジンが直接タイヤを駆動するガソリン車では、同じ制御は実現できません。アクセルを戻したときに発生するのはエンジンブレーキだけで、油圧ブレーキを自動で立ち上げる仕組みを持たないためです。ワンペダル機能の普及は、電動化の進み方とそのまま重なっています。

リーフ自体も2025年10月に3代目へフルモデルチェンジし、2026年1月から販売されています。78kWhのバッテリーを積むB7グレードはWLTCモードで最大702kmの一充電走行距離を実現し、価格は518万8,700円からです。ボディタイプはクロスオーバーSUVへ変わり、初代から数えて15年の蓄積が注ぎ込まれています。

他メーカーのワンペダル機能との違いを比較

ワンペダル機能はメーカーごとに名称も仕様も異なります。同じ「アクセルだけで減速できる」という説明でも、止まるところまで行くのか、どこまで減速できるのかに差があります。

メーカー 名称 主な搭載車 停止までの扱い
日産 e-Pedal Step リーフ、サクラ、アリア、ノート、エクストレイル 極低速でクリープに移行。停車はブレーキ操作
トヨタ 回生ブースト bZ4X 停止前に回生が切れ、停車はブレーキ操作
スバル S PEDAL DRIVE ソルテラ 停車はブレーキ操作
三菱 イノベーティブペダル オペレーションモード eKクロス EV、アウトランダー 停車はブレーキ操作
ホンダ シングルペダルコントロール Honda e 完全停止と停止保持まで対応

ホンダのシングルペダルコントロールは、パドルで回生の強さを3段階に切り替えられ、最大減速度は約0.18Gでした。eペダルの0.2Gよりやや穏やかな設定で、走りに積極的に使えるよう作り込まれていた点が特徴です。搭載車のHonda eは2024年1月に生産を終了しています。

トヨタはハイブリッド車で回生の違和感に向き合ってきた経緯から採用に慎重でしたが、bZ4Xでは回生ブーストという形で導入し、停止までは行わない設定としています。完全停止させるか、クリープを残すかという判断は、各社が安全性と操作の自然さをどう天秤にかけたかの表れです。

eペダルが普及した場合の問題点(デメリット)

夜道を走る新型リーフのリアビュー

ワンペダルで運転できるeペダルは、ドライブのストレスを軽減してくれる技術ですが、その使い方には注意点もあります。多くの車に搭載された場合に起こりうる、潜在的なトラブルやデメリットを整理します。

急ブレーキのタイミングがわからなくなる

ワンペダルの操作に慣れ過ぎてしまうと、従来の車を運転する際に、ブレーキペダルを使う急ブレーキのタイミングが分からなくなることが考えられます。アクセルから足を離すだけで強力なブレーキがかかるため、普段から片足でアクセルと減速を使い分けているドライバーは比較的順応しやすいです。

しかし、普段両足を使いアクセルとブレーキを操作している方、あるいはワンペダル搭載車から通常のAT車に乗り換えた方は、とっさの時にブレーキペダルを踏み遅れるなどパニックになる可能性があります。レンタカーや代車でエンジン車に乗る機会がある場合は、走り出す前に駐車場内でブレーキを数回踏んで感覚を取り戻しておくと違いが小さくなります。

駐停車する時の誤操作

完全停止するタイプのワンペダルには、通常のAT車にあるクリープ機能(アクセルを踏まなくても徐々に車が動くこと)がありません。クリープを使って繊細な間隔調整をしていた方は、従来の車ではブレーキペダルに足を置き、踏み加減で速度を調整します。

しかし、ワンペダルで駐停車する場合、ペダルを離すとブレーキがきくため、従来の車とはペダル操作が逆になります。この操作が逆になるという特性のため、慣れるまでは慌ててしまい加速と減速を誤操作する可能性があります。車庫入れで壁に寄せる最後の数十センチは、ごくわずかなアクセルの踏み加減で速度を作ることになり、狭い場所ほど神経を使います。

e-Pedal Stepでクリープが残されたのは、まさにこの課題への回答です。極低速域ではエンジン車と同じ感覚で寄せられるため、乗り換え直後の戸惑いは小さくなります。

同乗者が酔いやすくなることがある

見落とされやすいのが後席の乗り心地です。アクセルの戻し方が雑だと、減速のたびに体が前に振られる動きが生じます。運転者は自分の操作を予測できるため気になりませんが、後席の同乗者には予測できない揺れとして伝わります。

子どもを後席に乗せる機会が多い使い方では、アクセルを一気に戻さず、戻し切る手前でいったん止める操作を挟むだけで揺れがなめらかになります。日産の説明でも、アクセルペダルを完全に離さずゆっくり緩めることでなめらかに減速できるとされており、この操作が乗り心地に直結します。

ペダル踏み間違い事故とワンペダル。加速抑制装置の義務化が決まった

ワンペダル機能を語るとき、必ず話題に上がるのがアクセルとブレーキの踏み間違いとの関係です。踏み替え回数が減ることで誤操作の機会そのものが減るという見方がある一方、とっさの場面でブレーキペダルの位置を見失うリスクを指摘する声もあります。

この議論と並行して、法規制の側が動きました。国土交通省は2025年6月17日、道路運送車両の保安基準等を改正し、2028年9月1日以降の新型乗用車(輸入車は2029年9月1日)を対象に、ペダル踏み間違い時加速抑制装置の搭載を義務付けると発表しています。対象はクラッチ操作を必要としない乗車定員10人未満の乗用車で、電気自動車も含まれます。

この装置は日本発の安全技術で、2024年11月に国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)で国際基準とすることが合意されました。基準では、障害物の手前1.0mおよび1.5mで停止状態からアクセルを全開まで踏み込んだ場合に、障害物へ衝突しないこと、または衝突時の速度が時速8kmを超えないことなどが求められます。

さらに2026年1月には対象が貨物自動車へ拡大され、車両総重量3.5t以下のAT車について新型車は2030年から適用されます。あわせて、停止状態だけでなくクリープ走行時の踏み間違いも検知対象とし、障害物に歩行者を加える方向で要件が強化されました。ワンペダルで踏み替えを減らすという車両側の工夫と、踏み間違いが起きても被害を抑える装置の両輪で、この問題への対応が進んでいます。

ワンペダル運転を上手に使うコツ

ワンペダルは、エンジン車と同じアクセルワークのまま使うと扱いにくく感じる機能です。慣れるまでに押さえておきたい使い方を整理します。

ワンペダルを使いこなすポイント

  • アクセルを一気に戻さず、戻す量で減速の強さを作る
  • 減速を始めるタイミングを、エンジン車より早めに取る
  • 駐車場や狭い場所では機能をオフにする選択肢も持つ
  • 満充電時や寒い朝は減速が弱まる前提で車間を広げる

最も効果が大きいのが1つ目です。エンジン車では加速後にアクセルを戻して惰性で走る癖がつきやすく、その操作をそのまま持ち込むと強い回生がかかって急減速になります。アクセルを「戻し切る」のではなく「緩める」操作に切り替えると、減速は一気になめらかになります。

活きる場面がはっきりしているのも特徴です。信号の多い幹線道路、渋滞の高速道路、長い下り坂が続く峠道では、踏み替えが減るぶん右足の疲労が目に見えて軽くなります。逆に、立体駐車場の入出庫やバック駐車では、クリープがないほうがかえって扱いにくい場面があり、機能をオフにして使い分けるオーナーは少なくありません。

ワンペダルはEVの標準的な操作として定着するのか

eペダル

eペダルが初めて搭載されたリーフは、2010年の初代登場以来、日本のEV市場を牽引してきたモデルです。3代目となる現行型は航続距離を大きく伸ばし、高速道路でのハンズオフ走行に対応するプロパイロット2.0や、駐車操作を支援するプロパイロット パーキングといった運転支援技術とともに進化を続けています。

ワンペダル機能そのものは、完全停止させる方式から、クリープを残して停車はブレーキに委ねる方式へと各社の設計が収れんしました。踏み替えを減らして負担を軽くするという目的は保ちつつ、エンジン車から乗り換えた人が違和感なく扱えることを優先した結果です。

試乗時に確認したいのは、アクセルを戻したときの減速の強さが自分の感覚に合うか、駐車時にクリープの有無が気にならないか、そして機能のオンとオフを切り替えやすいかの3点です。カタログの名称だけでは分からない差が、実際にペダルを操作した瞬間にはっきりします。