日産アルティマは北米を中心に販売されてきたミドルサイズセダン 現行6代目は終息局面へ
日産が海外で展開してきたミドルサイズセダンがアルティマです。セントラの上、かつてはマキシマの下に位置していたモデルで、1993年に北米で誕生しました(マキシマ自体は2023年モデルを最後に生産を終えています)。2代目からは海外専売となり、2012年の5代目(L33型)からは、日本で販売されていた3代目ティアナと兄弟車の関係にありました。もっとも、そのティアナは2020年7月に日本での販売を終えており、現在日本にアルティマ/ティアナ系のFFセダンは存在しません。
ここでは、2018年のニューヨークオートショーで公開された現行6代目アルティマを軸に、エクステリアやインテリア、搭載エンジンや価格帯を振り返りつつ、その後の改良・パワートレイン変更・グレード整理、そして北米での終息観測までを、現在の視点で整理していきます。
アルティマは生産終了へ向かうのか 2026年式はSV・SRの2グレードに集約
結論から整理すると、現行6代目アルティマは登場から8年目に入り、北米では終息局面にあると見られます。日産は同一セグメントでマキシマを2023年モデルで、ヴァーサを2025年モデルで整理しており、新しく生まれ変わったセントラに主力セダンの座を譲る流れのなかで、アルティマも縮小されつつあります。
一度は「2025年モデルが最終」との観測が広がりましたが、日産はこれを覆して2026年モデルの継続を発表しました。2026年式では、エントリーの「S」と上級の「SL」が姿を消し、ラインナップは「SV」と「SR」の2グレードに集約。SRには12.3インチのタッチスクリーンとワイヤレス充電が標準化され、内外装をブラック基調でまとめたSRミッドナイトエディションも加わりました。価格はSV(FWD)が28,825ドル(諸費用込み)から、SR(FWD)が30,325ドルからで、四輪駆動は各1,400ドル高です。
その2026年式が実質的な最終モデルになるという見方は根強く残っています。一方で日産は「アルティマは今後もラインナップにとどまり、2027年モデルを投入する」とも表明しており、先行きは流動的です。少なくとも次期型(7代目)への刷新計画は伝わっておらず、かつて予告された米国生産のEVセダンも需要見通しから白紙化されました。現時点での立ち位置は、「フルモデルチェンジの予定はなく、6代目のまま北米で細々と延命されつつ、終息の時期が探られている」とまとめられます。
2025年モデルでVCターボを廃止 2.5L一本のシンプルな構成へ
パワートレインにも大きな変化がありました。6代目の目玉だった量産世界初の可変圧縮比エンジン「2.0L VCターボ」は、2024年モデルを最後に姿を消し、2025年モデルからは2.5L直列4気筒(188馬力/180lb-ft)1本に整理されています。組み合わせるミッションはエクストロニックCVTで、駆動方式はFFと四輪駆動が選べます。走りに寄せた248馬力のターボが選べなくなったことで、現行アルティマはより実用・快適志向のシンプルなセダンへと性格を変えました。
アルティマ2024年モデルを発表 日産コネクト延長や安全装備標準化で車両価格上昇
アルティマ2024年モデルは車両価格の上昇 日産コネクトの無料利用期間が3年間に延長
日産が北米市場で販売するセダンのアルティマに、2024年モデルが登場しました。
安全装備の標準化に加え、日産コネクトの無償利用期間が半年間から3年間へ延長され、車両本体価格も100ドル引き上げられています。
エクステリアやインテリアの変更はなく、機能面のアップデートにとどまった年次改良でした。
2023年モデルで大幅改良 Vモーショングリルを刷新し12.3インチ画面を採用
2023年モデルでは、6代目にとって中間の大がかりな改良(ビッグマイナーチェンジ)が行われました。最大の変化はフロントまわりで、鼻先を二分していたクロームのV字を取り払い、Vモーショングリルを再解釈した新しい表情へと刷新。中央には日産の新ロゴが据えられ、SR系にはブラッククローム仕上げの専用グリルが与えられました。
ヘッドライトはLEDが全車標準となり、デイタイムランニングライトにウインカーを内蔵。ホイールは4種の新デザインが用意され、グレイスカイパールなど新色も追加されています。
インテリアでは、最大12.3インチのHDタッチスクリーンを新設定し、ワイヤレスApple CarPlayやワイヤレス充電にも対応しました。エンジンは2.5L自然吸気と2.0L VCターボの2本立てが継続され、グレード体系はS/SV/SR/SL(駆動方式違いを含め計8構成)が用意されていました。走りの骨格は変えず、見た目と使い勝手を今風に引き上げた改良といえます。
日産の米国部門が「アルティマ」の2020年モデルを発表 セダン初のプロパイロット搭載
「アルティマ」の2020年モデルが米国日産から発表された
日産の米国部門は、主力ミドルセダンであるアルティマの2020年モデルを発表しました。日本では長らく「ティアナ」として展開してきた系譜の車種です。当時の現地ベース価格は24,100ドル、日本円で約260万円とされていました。
「アルティマ」の2020年モデルには最新の先進運転支援システムが搭載された
2020年モデルには、最新の先進運転支援システム(ADAS)が搭載されました。ベースグレードを除いたモデルには、6種の機能で構成される日産「セーフティシールド360」が標準装備されます。
日産セーフティシールド360
- 歩行者検出機能付自動緊急ブレーキ
- ブラインドスポットアラート
- リアクロストラフィックアラート
- リア自動ブレーキ
- 車線逸脱警告
- ハイビームアシスト
さらに2020年モデルの中級グレード以上には、日産のセダンとしては初となる「プロパイロット」が標準装備されました。
「アルティマ」の2020年モデルには日産のセダン初のプロパイロットを標準装備
プロパイロットは高速道路などの単一車線での運転支援技術で、渋滞時や巡航時にアクセル・ブレーキ・ステアリング操作を自動で制御します。ステアリングのスイッチで起動・設定でき、人が運転しているような自然な走行を実現。ほかの安全技術と相まって、運転の負担やストレスを和らげてくれます。
2020年モデルに搭載された安全技術
- リアオートマチックブレーキ(RR-AB)
- トラフィックサインレコグニション
- アドバンストドライブアシストディスプレイ
- オートマチックエマージェンシーブレーキ(AEB)
- インテリジェントFCW
- 後側方車両検知警報(BSW)
- インテリジェントクルーズコントロール(ICC)
- 後退時車両検知警報(RCTA)
- 歩行者検知機能付エマージェンシーブレーキ
- 車線逸脱警報(LDW)
- ハイビームアシスト(HBA)
- インテリジェントアラウンドビューモニター(I-AVM)
「アルティマ」の2020年モデルに搭載されたVCターボエンジン
2020年モデルのパワートレインは、量産エンジンとして世界初の可変圧縮比を採用した直噴2.0L直列4気筒ガソリン「VCターボ」で、最高出力248hp、最大トルク37.7kgmを発揮しました。
可変圧縮比技術によって燃費向上や排出ガス低減だけでなく、騒音・振動の抑制といった効果も得られます。V6ガソリンさながらの動力性能と低燃費を両立するエンジンだと、米国日産は説明していました。なお前述のとおり、この目玉エンジンは2024年モデルを最後に廃止されています。
日産アルティマのエクステリア・インテリア
日本ではかつて「ティアナ」として販売されていたアルティマ
兄弟関係にあったのは5代目アルティマと3代目ティアナ
6代目アルティマのエクステリアは、グリルに沿って配されたVモーショングリルが印象的で、2段に切り込みが入ったヘッドライトが特徴です。サイドから見ると、流線的で立体的な造形が美しく仕上げられています。
存在感のあるアルティマのリヤビュー
テールランプはボディ側とトランク側に分かれた構成で、ボディ側にウインカー、トランク側にバックランプが備わると考えられます。
センターコンソールからドアトリムまで統一された内装
インテリアはベージュとブラックのシートカラーが用意され、本革のほかクロス生地も選べました。センターコンソールには上からハザードスイッチ、ナビゲーション、エアコンコントローラーが並び、ステアリングには本革が巻かれています。
参考までに、日本のティアナと兄弟関係にあった5代目(L33型)のボディサイズは、全長191.9インチ、全幅72インチ、全高57.8インチ、ホイールベース109.3インチ。ミリに換算すると全長約4,874mm、全幅約1,829mm、全高約1,468mm、ホイールベース約2,776mmでした。下表のとおり、当時のティアナとほぼ同寸だったことが分かります(現行6代目はこれよりわずかに大柄です)。
| アルティマ | ティアナ | |
|---|---|---|
| 全長 | 4,874mm | 4,880mm |
| 全幅 | 1,829mm | 1,830mm |
| 全高 | 1,468mm | 1,470mm |
| ホイールベース | 2,776mm | 2,775mm |
日産アルティマの搭載エンジン(世代による違い)
エンジンは世代によって構成が大きく異なります。まず、下表は日本のティアナと兄弟関係にあった5代目(L33型)当時の内容で、直列4気筒とV型6気筒の2種類が用意され、最上級のSLグレードにV型6気筒が搭載されていました。
| 種類 | 直列4気筒 | V型6気筒 |
|---|---|---|
| 排気量 | 2.5L | 3.5L |
| 最高出力 | 179HP/6,000rpm | 270HP/6,400rpm |
| 最大トルク | 177lb-ft/4,000rpm | 251lb-ft/4,400rpm |
一方、現行の6代目(L34型)ではV型6気筒が廃止され、当初は2.5L自然吸気(約188hp)と、可変圧縮比の2.0L VCターボ(248hp)という直列4気筒2本立てに切り替わりました。さらに前述のとおり、そのVCターボも2024年モデルを最後に姿を消し、現在は2.5L直列4気筒の一本構成となっています。世代をまたいで数値を比べる際は、この違いに注意が必要です。
日産アルティマの発売日・価格帯
アルティマは初代が1993年に登場し、4〜5年ごとにモデルチェンジを重ねてきました。5代目のL33型は2012年から北米で発売され、2014年にはティアナとして日本にも上陸しています。
歴代アルティマの販売期間
初代(U13型):1993年~1997年
2代目(L30型):1997年~2001年
3代目(L31型):2001年~2006年
4代目(L32型):2006年~2012年(セダン)
4代目(U32型):2007年~2013年(クーペ)
5代目(L33型):2012年~2018年
6代目(L34型):2018年~(北米では終息局面)
下表は、5代目(L33型)当時の北米価格帯です。3.5 SLを含むV6グレードが存在したのはこの世代までで、現行6代目の最新価格(2026年式:SV FWD 28,825ドル〜、SR FWD 30,325ドル〜)は本記事冒頭の最新ブロックにまとめています。
| グレード | 価格 |
|---|---|
| 2.5 S | 23,260USドル(日本円で約2,545,000円) |
| 2.5 SR | 24,320USドル(日本円で約2,661,000円) |
| SR Special Edition | 25,230USドル(日本円で約2,761,000円) |
| SR Midnight Edition | 25,415USドル(日本円で約2,781,000円) |
| 2.5 SV | 25,910USドル(日本円で約2,781,200円) |
| 2.5 SL | 29,110USドル(日本円で約3,186,000円) |
| 3.5 SL | 33,630USドル(日本円で約3,680,000円) |
日産アルティマはNYモーターショー2018で6代目を世界初公開した
6代目アルティマがニューヨークモーターショー2018でワールドプレミア
アルティマは2018年のニューヨークオートショーで6代目が世界初公開され、VCターボの導入や、インテリジェント4×4を組み合わせた4WDモデルの設定など、さまざまな機能が加わりました。
一目で日産車とわかるVモーショングリル
フロントマスクはグリルとVモーショングリルがさらに大型化し、目尻の上がったヘッドライトを装備。フォグランプ上にウインカーが置かれ、5代目とは配置が変わっている点が見て取れます。
流麗なスタイリングが特徴
サイドから見ると、のびやかなアルティマのスタイリングが際立ちます。ホイールはダブルスポークを5本配したデザインで、中央には日産エンブレムのオーナメントが確認できます。
前モデルより大型化したリヤコンビネーションランプ
リアビューは、大型化したテールランプが存在感を放ちます。トランク側にバックランプを備え、羽のように広がるレッドのテールがボディ側面へと伸びていきます。
アルティマに搭載されたプロパイロットのスイッチ
ほかにも、運転支援技術のプロパイロットを搭載し、インテリジェント4×4の4WDモデルをラインナップするなど、装備も大幅にグレードアップされました。
日産が北米で展開してきたアルティマのモデルチェンジ遍歴
アルティマは日産が北米を中心に販売してきたミドルサイズセダンで、初代はU13型ブルーバードSSSの北米版でした。2代目からは海外専売車種となります。
アルティマ 初代 U13型(1993年~1997年)
1993年、「スタンザ・アルティマ」として初代が登場します。日本ではU13型ブルーバードSSSの北米モデルにあたります。当初は運転席サイドエアバッグのみでしたが、1994年モデルからパッセンジャーエアバッグへ変更。
1995年にはフロントグリルとテールライトのデザインを変更、翌1996年にはホイールカバーを変更しました。
1997年には特別仕様車「Limited Edition」を発売しています。
アルティマ 2代目 L30型(1997年~2001年)
1997年、2代目アルティマは北米専用車種になりました。
1999年モデルでは一部グレードで合金ホイールが標準化され、カセット・CDステレオが改良されます。2000年にはマイナーチェンジを実施。
2001年には特別仕様車「Limited Edition」を発売しました。
アルティマ 3代目 L31型(2001年~2006年)
2001年8月、V型6気筒DOHC VQ35DE型と直列4気筒DOHC QR25DE型を得て3代目となりました。
2004年2月にはスポーツモデル「アルティマSE-R」を発表、6月にはハイブリッドの試作車を米国で公開。
2005年にはマイナーチェンジを実施し、フロントグリルとヘッドライトのデザインを変更、新型のDVDナビゲーションシステムも搭載しました。
アルティマ 4代目 L32型/U32型(2006年~2013年)
2006年4月、ニューヨークオートショーで4代目が披露されます。プッシュエンジンスターターやBluetoothハンズフリーフォンを搭載。10月にはハイブリッドを、11月には2007年モデルを発売しました。
2007年5月には2008年モデルのクーペを発売。全車にインテリジェントキーシステムや6スピーカーサウンドを標準装備しています。
2009年10月、フロントグリルやボンネット、バンパーを変更した2010年モデルを発売。
2013年にはクーペモデルが廃止されました。
アルティマ 5代目 L33型(2012年~2018年)
2012年6月、5代目が米国で販売を開始します。8月にカナダ、11月に韓国、翌2013年3月に中国、11月にはオーストラリアへと展開しました。
日本には2014年2月に「3代目ティアナ」として上陸。2017年4月にはオーストラリアでの販売を終了しました。北米では2018年モデルまで販売され、6代目(2019年モデル)へと引き継がれます。
アルティマ 6代目 L34型(2018年~)
2018年4月、ニューヨーク国際自動車ショーで6代目が発表されました。グレード体系は「S」「SR」「SV」「SL」「プラチナム」で、目玉は2.0L VCターボとインテリジェント4×4の4WDです。
2019年には中国で発売(中国ではティアナ名を廃してアルティマへ改称)。なお、この6代目は日本には導入されず、日本のティアナは6代目化されないまま2020年7月に販売を終えています。
2023年モデルでフロントフェイスを刷新する大幅改良を実施し、12.3インチ画面などを採用。2025年モデルで2.0L VCターボを廃止して2.5L一本とし、2026年モデルではグレードをSV・SRの2本へ集約しました。北米では終息が取り沙汰される段階にあります。
| アルティマのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 U13型 | 1993年~1997年 |
| 2代目 L30型 | 1997年~2001年 |
| 3代目 L31型 | 2001年~2006年 |
| 4代目 L32型/U32型 | 2006年~2013年 |
| 5代目 L33型 | 2012年~2018年 |
| 6代目 L34型 | 2018年~(北米で終息局面) |
日産アルティマと日本の兄弟車ティアナ 「次期ティアナ」予想の結末

本記事はもともと、「日本の3代目ティアナ(L33型)は5代目アルティマの兄弟車であり、次期ティアナは6代目アルティマと車体を共有する兄弟車になるのでは」と予想していました。しかし、この見立ては実現しませんでした。日本仕様のティアナは2019年末に生産を終え、2020年7月に販売を終了。後継を持たないまま姿を消し、6代目アルティマが日本にティアナとして導入されることはありませんでした。
予想が外れた背景には、国内でのセダン需要の縮小と、日産が国内ラインナップを整理していった流れがあります。結果として、日本における大型FFセダンの系譜はここで途切れ、後輪駆動のV37型スカイラインが実質的な受け皿となっています。なお、ティアナという名称自体は2025年に中国市場で別途復活していますが、これは中国専用の動きで、日本導入は伝えられていません。兄弟車ティアナのより詳しい歩みは、ティアナ単独の記事にゆずります。
アルティマ側も、前述のとおり北米で終息が取り沙汰される段階にあり、かつて「プロパイロットや洗練されたデザインを備えたアルティマがティアナとして日本へ」という期待は、現実には結ばれませんでした。日産のセダン戦略が大きく縮んだことを象徴する一台といえそうです。





























