日産ナバラとは? ダットサントラックの後継として生まれた海外専売ピックアップトラック
日産が販売する「ナバラ」は、かつて日本でも馴染み深かったダットサントラックが9代目へとモデルチェンジした際に、オーストラリア・欧州向けにつけられた輸出名です。1986年の初代登場以来、累計販売台数は約50万台(日産公式発表)に達しており、オーストラリアでは仕事とレジャーの両立するワークホース(作業車)として長年支持されてきました。
現行のD23型はメルセデス・ベンツ Xクラスと主要コンポーネントを共有していましたが、Xクラスは2020年5月に生産中止となっています。また、フレームSUVの日産テラはナバラのプラットフォームをベースとして2018年に正式発表されました。
2025年11月にはフルモデルチェンジとなる次世代ナバラ(D27型)がオーストラリアで発表され、2026年3月17日に現地で正式発売されています。日本市場への導入についてはアナウンスされていません。本記事では、D27型の概要から、D23型の仕様・歴史・価格帯まで、ナバラの全体像を整理します。
新型ナバラ(D27型)が2026年3月に豪州・NZで正式発売 三菱トライトンOEM採用
Vモーショングリルとオレンジのスクエアガーニッシュでラギッド感を表現した新型日産ナバラ(D27型)
2025年11月19日、日産は5代目にあたる新型ナバラ(D27型)をオーストラリアで発表。2026年3月17日に豪州・ニュージーランドで正式発売されました。初代が豪州に上陸した1986年から数えてオーストラリア市場参入40周年という節目での世代交代です。
新型はルノー・日産・三菱アライアンスの戦略に基づき、三菱トライトンのOEM供給モデルとして位置づけられています。パワートレインや車台を共用しながら、フロントマスクには日産独自のVモーショングリルを採用し、グリル上部には初代を彷彿とさせる3スロットデザインを入れるなど、日産らしさも打ち出しています。
豪州での販売グレードはSL・ST・ST-X・PRO-4Xの4種類で、全グレードがダブルキャブ・4×4・6速ATの組み合わせのみです。価格はエントリーのSLが53,348豪ドル(約590万円)から、最上位のPRO-4Xが68,418豪ドル(約757万円)となっています(2026年3月時点の為替レートによる概算)。
豪州オフロード走行に最適化するため、現地のエンジニアリング専門企業「Premcar」との共同開発によるサスペンションを採用しており、1万8,000kmにおよぶ現地テストを経ています。牽引能力3,500kgは、ボートやキャンプトレーラーを引くアウトドアユーザーが多い豪州市場のニーズを強く意識した数値です。
| 型式 | D27型(5代目ナバラ) |
|---|---|
| 発表日 | 2025年11月19日(オーストラリア) |
| 発売日 | 2026年3月17日(オーストラリア・ニュージーランド) |
| ベース車 | 三菱トライトン(OEM供給) |
| エンジン | 2.4Lディーゼルツインターボ(最高出力204ps/最大トルク470Nm) |
| トランスミッション | 6速AT(全グレード共通) |
| 駆動方式 | 4×4(全グレード共通) |
| ボディタイプ | ダブルキャブのみ |
| ボディサイズ | 全長5,320mm×全幅1,930mm×全高1,795mm、ホイールベース3,130mm |
| 最低地上高 | 228mm(ジムニーの210mmを上回る) |
| 牽引能力 | 3,500kg |
| 豪州価格 | SL:約53,348豪ドル(約590万円)~PRO-4X:約68,418豪ドル(約757万円) |
| グレード展開 | SL・ST・ST-X・PRO-4X |
| 日本導入 | 未発表 |
D23型のマイナーチェンジ(2020年)——「頑丈」テーマの力強いフロントマスク
「頑丈」をテーマにマイナーチェンジしたナバラ(D23型・2020年)
2020年11月5日に発表されたD23型のマイナーチェンジでは、エクステリアを「頑丈」をテーマにした力強いスタイルへ刷新。Vモーショングリルを廃し、水平基調で武骨感を強調したフロントフェイスへと生まれ変わりました。安全装備には「ニッサン インテリジェント モビリティ」の技術が採用され、利便性と安全性が向上しています。
特別スタイルパッケージ「PRO-4X」も設定されました。専用バンパー・グリル・ドアハンドル・ルーフラック・ランニングボードに加え、17インチブラックホイールとオールテレーンタイヤを標準装備するなど、本格オフロード感を全面に打ち出しています。D23型は2020年12月にタイ市場から発売され、その後各国で順次展開されました。なお、欧州向けD23型は2021年12月末でバルセロナ工場での生産を終了しており、欧州市場での販売は終了しています。
| 発表日 | 2020年11月5日 |
|---|---|
| マイナーチェンジのテーマ | 「頑丈」をテーマにしたパワフルなスタイル |
| フロントマスクの特徴 | Vモーショングリルを使わず、水平基調で力強さを強調したデザイン |
| 安全装備 | ニッサン インテリジェント モビリティを採用し安全性を向上 |
| 特別仕様グレード | PRO-4X(専用バンパー・グリル・ドアハンドル・ルーフラック・ランニングボード) |
| ホイールとタイヤ | 17インチのブラックホイールとオールテレーンタイヤを標準装備 |
| タイ市場発売 | 2020年12月に発売、その後各国展開 |
| 欧州展開 | 2021年12月末でバルセロナ工場での生産終了、欧州市場での販売終了 |
特別仕様車「ナバラN-TREKスペシャルエディション」——オーストラリア向け2020年モデルの限定仕様
ナバラN-TREKスペシャルエディション(2019年発表・オーストラリア向け)
2019年8月7日、日産オーストラリアが2020年モデルとして「ナバラN-TREK Special Edition」を発表しました。ブラックのオーバーフェンダーと、フロントバンパー・サイドステップ・ミラーキャップに入るオレンジのアクセントラインが強烈な存在感を放つ特別仕様車です。
ナバラN-TREK Special Editionのエクステリア装備
- 18インチのアルミホイール(ブラック)
- オーバーフェンダー(ブラック)
- ドアハンドル(ブラック)
- ルーフレール(ブラック)
- フロントフォグランプガーニッシュ(ブラック)
- オレンジのアクセントライン付きフロントバンパー
- オレンジのアクセントライン付きサイドステップ
- オレンジのアクセントライン付きミラーキャップ
- フロントグリル
- リヤバンパー
- LEDヘッドランプベゼル
- N-TREKテールゲートバッジ
レザーを使ったナバラN-TREKスペシャルエディションのインテリア
タフな外装とは対照的に、インテリアはレザーアクセントを用いたラグジュアリーな仕上げです。当時のオーストラリア向け価格は6速MTが460万円相当、7速ATが424万円相当(発表当時のレートによる概算)となっていました。
ナバラN-TREK Special Editionのインテリア装備
- 8.0インチカラータッチスクリーン(Apple CarPlay/Android Auto対応)
- レザーアクセント付きシート
- レザー採用のセンターコンソール&フロントドアアームレスト
- オレンジのアクセントステッチ付きステアリングホイール
エンジンは2.3Lのインタークーラー付きツインターボディーゼルで、最高出力188PS・最大トルク450Nmを発生。ボディカラーはコスミックブラック・スレートグレー・ホワイトダイヤモンドの3色でした。
ナバラN-TREK Special Editionの安全装備
- リバースカメラ
- リバースセンサー
- 360度アラウンドビューモニター
- エアバッグ7つ
- ISOFIX
- ABS
- ブレーキアシスト(BA)
- ヒルスタートアシスト(HSA)
- ヒルディセントコントロール(HDC)
- 電子式リアディファレンシャルロック
- プライバシーガラス
- LEDヘッドライト
| 発表日 | 2019年8月7日(オーストラリアで発表) |
|---|---|
| エンジン | 2.3Lインタークーラー付きツインターボディーゼル(最高出力188PS/最大トルク450Nm) |
| ホイール | 18インチブラックアルミホイール+オールテレーンタイヤ |
| 外観の主な特徴 | ブラックのオーバーフェンダーとオレンジのアクセントライン |
| ボディカラー | コスミックブラック・スレートグレー・ホワイトダイヤモンドの3色 |
日産ナバラの歴史 9代目ダットサントラックからの系譜
9代目ダットサントラックのエンブレム
ナバラの名は、9代目にあたるダットサントラックがオーストラリアおよび欧州向けに採用した輸出専用名として誕生しました。日本では「ダットサントラック」「ダットサンピックアップ」として親しまれてきたモデルですが、海外では用途の幅広さからレジャーユーザーにも訴求する商用車として位置づけられています。
D21型のナバラ
D22型のナバラ
D40型のナバラ
日産ナバラの型式と販売期間
D21型:1986年~2004年
D22型:1997年~(南アフリカなど一部地域で継続販売中)
D40型:2005年~(南アフリカなど一部地域で継続販売中)
D23型:2014年~
D27型:2026年~(豪州・NZで発売)
最新モデルは2025年11月に発表・2026年3月に豪州発売となったD27型です。ライバル車には、日本市場でも販売されているトヨタ・ハイラックスや三菱・トライトンがあります。D27型は三菱トライトンのOEM供給モデルであり、両車はプラットフォームとパワートレインを共用しつつ、外観デザインで差別化しています。
2017年には上海モーターショーでD23型が発表され中国市場に投入。2018年にはナバラをベースとしたフレームSUVの「テラ」が正式発表されました。なお、北米市場では「フロンティア」の名称でD40型が展開されており、姉妹車の関係にあります。
2012年からモノコック構造となった日産パスファインダー(R52型)
フレーム構造のSUVとしての車種には、2012年R52型以降はモノコック構造のクロスオーバーSUVとなったパスファインダーがあります。ガタガタ道が多い市場や頑丈な車を求める声に応え、別途フレームSUVのテラが開発されました。
| ナバラの起源 | 9代目ダットサントラック(D21型)の輸出向けモデルとして1986年に発祥 |
|---|---|
| 主な販売地域 | オーストラリア、欧州(D23型は2021年末で生産終了)、タイ、中国、南アフリカなど |
| D21型 | 1986年~2004年 |
| D22型 | 1997年~(南アフリカなど一部地域で継続販売) |
| D40型 | 2005年~(南アフリカなど一部地域で継続販売) |
| D23型 | 2014年にタイで発表。欧州向けは2021年末で生産終了 |
| D27型 | 2025年11月発表、2026年3月に豪州・NZで発売。三菱トライトンのOEM |
| ライバル車 | トヨタ・ハイラックス、三菱・トライトン、フォード・レンジャー、いすゞ・D-MAXなど |
| 派生SUVモデル | 2018年にフレームSUV「テラ」が正式発表 |
| 北米展開 | 「フロンティア」名でD40型が展開(ナバラの姉妹車) |
D23型 ナバラのエクステリアとインテリア
大型グリルとLEDヘッドライトが存在感を出すD23型ナバラのエクステリア
D23型のエクステリアは大きなVモーショングリルとLEDヘッドライト、メッキ加飾のフォグランプが特徴です。荷台の用途によって商用向け「Chassis」とレジャー向け「Pickup」の2タイプがあり、ボディタイプは2ドアのシングルキャブ、後席スペースが備わるキングキャブ、5人乗り4ドアのダブルキャブの3種類が設定されています。
キングキャブのインテリア
ダブルキャブのインテリア
インテリアはブラックとシルバーのカラーリングで統一されたシンプルな構成です。上からハザードランプ、オーディオ、エアコンコントローラー、シフトノブと縦に配置されており、実用性を重視した素直なレイアウトです。ナバラをベースに開発されたフレームSUVのテラとインテリアデザインの共通性が高いことも、実車を見ると改めて気づく点です。
ボディサイズは、ダブルキャブで全長5,255mm・全幅1,790〜1,850mm・全高1,785〜1,845mm・ホイールベース3,150mm。駆動方式は2WD(4×2)と4WD(4×4)があり、グレードによって全幅・全高が変わります。
| 全長 | 5,255mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,850mm |
| 全高 | 1,845mm |
| ホイールベース | 3,150mm |
| 荷台フロア長 | 1,503mm |
| 荷台フロア幅 | 1,560mm |
| 荷台フロア高 | 474mm |
| 荷台タイプ | 商用向け「Chassis」とレジャー向け「Pickup」の2タイプ |
|---|---|
| ボディタイプ | シングルキャブ(2ドア)・キングキャブ(後席付き)・ダブルキャブ(4ドア5人乗り) |
| 駆動方式 | 2WD(4×2)と4WD(4×4)を設定 |
D23型ナバラのパワートレインは2.3Lディーゼルを中心に展開
2種類のターボ設定があるD23型ナバラのエンジン
オーストラリア仕様のD23型ナバラに搭載されるエンジンは2.3Lディーゼルで、ツインターボとシングルターボの2種類が設定されています。ツインターボは最大トルク450Nm、シングルターボは403Nmという違いがあり、牽引や重積載を想定するならツインターボが実用的です。
シングルターボは2WD RX・4WD RX(シャーシ・ピックアップ)に、ツインターボは2WD ST・ST-X・4WD SL・ST・ST-Xに搭載されています。タイ仕様では2.5Lディーゼル(YD25DDTi)および2.5Lガソリン(QR25DE)も設定されています。
| 型式 | YS23DDTT(ツインターボ) | YS23DDT(シングルターボ) |
|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒ツインターボ | 直列4気筒ターボ |
| 排気量 | 2,298cc | 2,298cc |
| 最高出力 | 140kW/3,750rpm | 120kW/3,750rpm |
| 最大トルク | 450Nm/1,500〜2,500rpm | 403Nm/1,500〜2,500rpm |
| シングルターボの搭載グレード | 2WD RX・4WD RX(シャーシ・ピックアップ) |
|---|---|
| ツインターボの搭載グレード | 2WD ST・ST-X・4WD SL・ST・ST-X |
| タイ仕様の特別設定 | 2.5Lディーゼル(YD25DDTi)と2.5Lガソリン(QR25DE)も設定 |
| トランスミッション | 6速マニュアルと7速オートマチックが選択可能 |
日産ナバラの販売地域と価格帯——日本未導入、タイでは約181万円から
日本ではピックアップトラックの需要が限定的なため、ナバラは海外専売モデルとなっている
ナバラは欧州・オーストラリア・タイ・南アフリカなどで販売されており、日本市場への正規導入は現在もありません。なお、欧州向けD23型は2021年12月末で生産を終了しています。
タイでのD23型販売価格(参考値:発表当時の1バーツ=3.3円換算)はシングルキャブが約181万円、キングキャブが約209万円、ダブルキャブが約228万円とされていました。ただし現在の為替レートはこれと大きく異なる可能性があります。
日産ナバラの価格帯(タイ仕様・D23型・参考値)
シングルキャブ:549,500タイバーツ(発表当時の換算で約181万円)
キングキャブ:635,000タイバーツ(発表当時の換算で約209万円)
ダブルキャブ:691,000タイバーツ(発表当時の換算で約228万円)
日本のピックアップトラック市場は世界的に見ても小さく、日産が日本国内でナバラを正規販売するには市場規模の壁があります。ただし、同プラットフォームをベースとする三菱トライトンはすでに国内正規販売されており、アウトドアブームを背景にピックアップトラックへの需要が高まっている状況は追い風となっています。日本市場への投入については、現時点では日産から正式なアナウンスは出ていません。
| 現在の主要販売地域 | オーストラリア・ニュージーランド(D27型)、タイ・南アフリカなど(D23型) |
|---|---|
| 欧州 | D23型は2021年12月末で生産終了、販売終了 |
| 日本での販売状況 | 現在も正式導入なし(並行輸入での入手は可能) |
| 競合モデル | トヨタ・ハイラックス、三菱・トライトン(日本でも正規販売中)、フォード・レンジャーなど |
日産ナバラは仕事にもアウトドアにも使えるピックアップトラック

ナバラはダットサントラックの伝統を受け継ぐ日産のグローバルピックアップトラックです。D23型は欧州・タイ・オーストラリアなど世界各地で販売されてきた実績を持ち、フレームSUV「テラ」のベース車としても知られています。そのD23型の後継として登場したD27型は、三菱トライトンのOEM供給という新たな形で2026年3月に豪州でデビューしました。
日本市場との関わりという観点では、同プラットフォームの三菱トライトンがすでに正規販売されています。ナバラ自体の日本導入は未発表ですが、ピックアップトラックというジャンルの注目度が高まっている環境の中で、今後の動向が引き続き注目されます。





























