アドブルー(AdBlue)とは?クリーンディーゼルのNOx低減に必要な高品位尿素水
アドブルー(AdBlue)とは、ディーゼルエンジンが排出する窒素酸化物(NOx)を水と窒素に変えるために使用する高品位尿素水のことで、クリーンディーゼルエンジンに搭載されている「尿素SCRシステム」に欠かせない液体です。
国産ディーゼル乗用車でアドブルーが必要な主な車種は、トヨタの「ランドクルーザープラド(生産終了・後継はランドクルーザー250)」「ハイラックス」「ハイエース」、三菱の「デリカD:5(2019年2月以降のモデル)」「エクリプスクロス」などです。
この記事では、アドブルーの仕組みとDIYでの補充方法、各車種のタンク容量、アドブルーを使用しないディーゼル車のNOx低減方法、および過去に発生した供給不足問題の現状について解説します。
尿素SCRシステムの仕組み|アドブルーで窒素酸化物を無害化
プラドのアドブルータンク。トラブルを防ぐため定期的な補充が必要です
アドブルーは、尿素SCRシステムに使われる高品位尿素水(尿素32.5%+純水67.5%)です。排気ガスにアドブルーを噴射し、複数の触媒を通すことで、有害な窒素酸化物(NOx)を最終的に水(水蒸気)・窒素・二酸化炭素に変換してマフラーから排出します。
アドブルーを使用してNOxを低減する車種は、タンクにアドブルーがない状態でエンジンを切ると再始動できないように制御されています。そのため、警告灯が点灯したタイミングで定期的に補充する必要があります。
アドブルーの補充方法|警告灯が点いたらDIYで補充しよう
アドブルーが少なくなると警告灯が表示されます。アドブルーは1,000kmで1L消費するとされています。
アドブルーの補充はDIYでも簡単に行えます。必要なものはアドブルーとジョウゴの2点のみです。補充のタイミングはアドブルー残量警告が点灯したときで、その段階から通常2,000km程度の走行猶予があるため、焦らず準備して補充できます。
①アドブルーとジョウゴを用意する
アドブルーは、保管環境によって品質が劣化しやすい液体です。温度別の目安保管期間は10℃以下で約36ヶ月、25℃以下で約18ヶ月とされています(ISO22241基準)。また、マイナス11℃以下では凍結します。使い切りを基本に、乗っている車のタンク容量に合わせた量を購入するのがおすすめです。
代表的な国産車のアドブルータンク容量
- ランドクルーザープラド(生産終了):12L
- ハイラックス:13L
- ハイエース:7.4L
- デリカD:5(2019年2月以降):16L
- エクリプスクロス:16L
ボンネット内にアドブルーの液体を落とすと白く跡になってしまうのでジョウゴは必須です。
ランドクルーザープラドの場合、アドブルーのタンクは12Lのため、残り2,000kmの警告灯が点灯したら10L補充が可能です。10Lのアドブルーは重いので、重いのが苦手な方は割高になるが5Lのアドブルーがよいでしょう。
ジョウゴは差し込み口が太すぎると補充口にはまらない場合があるため、細めのものを選んでください。タンク容量がわからない場合は、まず5L(約5,000km走行分)だけ補充し、警告が出るたびに5Lを補充する方法がおすすめです。
②エンジンを止めてボンネットを開け、補充口を探す
安全のためエンジンを切り、ボンネットを開けます。アドブルーの補充口は青いキャップが目印で、エンジンルーム内に見つからない場合は給油口付近にある車種もあります。
アドブルーの補充口はボンネットの中の青いキャップの部分です。
プラドのアドブルーの蓋の外し方はキャップの根元を回すと外れます(キャップの上は空回りします)。
上の部分を回してもカチカチとなるだけなので根元を回します
ランドクルーザープラドの場合はエンジンルーム内に補充口があります。キャップを外す際は根元を回すと外れます(上部は空回りします)。
③ジョウゴをセットしてゆっくりと補充する
アドブルーはジョウゴなしの補充は難しいためジョウゴをセットします。
アドブルーは溢れないようにゆっくり入れます。
アドブルーはゆっくり入れないとジョウゴから溢れ周辺が白く跡になります。
注入口にジョウゴを差し込み、コーヒードリップのようにゆっくりと補充してください。一気に入れると溢れてボンネット内が白く汚れる原因になります。溢れた場合はすぐに水で洗い流してください。アドブルーが皮膚に付いた場合は手荒れの原因となるため、作業後は石鹸でしっかり手を洗いましょう。
④キャップを確実に締めてボンネットを閉じ、警告灯が消えたか確認する
作業が終わったらジョウゴを外し周辺を清掃します。
蓋をしてアドブルーの補充完了です。
補充が終わったらジョウゴを外し、補充口周辺を清掃してからキャップをしっかり締めてボンネットを閉じてください。キャップが緩いと走行中に外れるトラブルにつながります。エンジンをかけてアドブルー警告灯が消えていることを確認したら作業完了です。
アドブルーはディーラー、ガソリンスタンド、カー用品店、ネット通販で購入できます。価格の目安はガソリンスタンドでリッターあたり150〜300円程度、カー用品店・ディーラーでは200〜400円程度、ネット通販では送料込みでリッターあたり150円前後です。ディーラーでの補充は事前予約不要で対応してくれることも多く、作業の手間を省きたい方はディーラーの活用もおすすめです。
アドブルー(尿素SCRシステム)を搭載する国産ディーゼル車
アドブルーを使ってNOxを低減している国産ディーゼル車の主な車種と、それぞれのタンク容量・補充サイクルの目安を紹介します。
ランドクルーザープラド(生産終了/後継:ランドクルーザー250)
プラドのディーゼルエンジンは走行距離に応じてアドブルーを消費します
ランドクルーザープラドのディーゼルモデル(1GD-FTVエンジン)には尿素SCRシステムが搭載されており、酸化触媒・DPR触媒でPMを低減した後、尿素水SCR触媒でNOxを水と窒素に還元します。1,000km走行で約1リットルを消費し、タンク容量は12リットルのため満タンから約12,000kmで空になる計算です。走行可能距離が5,000km以下になると警告灯が点灯します。
なお、ランドクルーザープラドは2023年11月に生産終了し、後継モデルとして2024年4月にランドクルーザー250が発売されました。既にプラドを所有している方は引き続きアドブルーの補充が必要です。
ハイラックス
2017年に復活したハイラックスにディーゼルモデルをラインナップ
ハイラックスは2017年9月に国内でモデルチェンジした、国産唯一のピックアップトラックです。2GD-FTVエンジンにプラドと同様の尿素SCRシステムを搭載しています。1,000km走行で1リットルを消費し、タンク容量は13リットル(約13,000kmで空になる計算)。警告は残り6,000kmから開始するため、年間走行距離が1万km以内なら年1回の補充で済みます。
ハイエース
ハイエースのディーゼルエンジンはランドクルーザー プラドと同じエンジンを採用
ハイエースのディーゼルモデルにはプラドと同じ1GD-FTVエンジンが搭載されています。タンク容量は7.4リットルと3車種の中で最も小さく、1,000kmで1リットルとすると約7,400kmで空になる計算です。他の車種よりも補充頻度が高くなるため、半年に1回を目安にこまめな補充を心がけてください。
デリカD:5、エクリプスクロス(三菱車)
三菱車では、デリカD:5(2019年2月以降のCV1W型モデル)とエクリプスクロスのディーゼルモデルに尿素SCRシステムが搭載されています。どちらもアドブルータンク容量は16リットルと比較的大きく、補充頻度は少なめです。デリカD:5の2019年1月以前のモデルはアドブルー不要(後述)ですので、自分の車の型式・年式を確認してください。
アドブルーを使用しない国産ディーゼル車
国産ディーゼル車の中にはアドブルーを使わずにNOxを低減している車種もあります。どのような方法でクリーンな排気を実現しているのか確認しておきましょう。
パジェロ(生産終了モデル)
パジェロは2008年からディーゼルモデルが復活しました
パジェロは2008年10月にディーゼルエンジンを復活させたモデルで、現在は生産終了しています。型式4M41(排気量3,200cc、最高出力190PS、最大トルク450Nm)を搭載し、排気ガスを酸化触媒→NOxトラップ触媒→DPF→酸化触媒の順に通してクリーンなガスを排出する方式のため、アドブルーは必要としません。
デリカD:5(2019年1月以前のモデル)
2019年1月までのデリカD:5もPMやNOxを低減したクリーンディーゼルエンジンなのでアドブルーは不要です
2012年にディーゼルエンジンが追加されたデリカD:5(2019年1月以前のモデル)は4N14型エンジン(排気量2,267cc、最高出力148PS、最大トルク360Nm)を搭載。DPFとNOxトラップ触媒によってPMとNOxを低減しているため、アドブルーは不要です。2019年2月以降の新型(CV1W)に乗り換えた場合はアドブルーが必要になりますのでご注意ください。
SKYACTIV-Dエンジン搭載車(マツダ車)
マツダのCXシリーズやMAZDA2・MAZDA3・MAZDA6などに搭載されている「SKYACTIV-D」は、低圧縮比による均等燃焼や2ステージターボチャージャーにより、NOxの発生そのものを抑制する設計になっています。この独自技術によって尿素SCRシステムを使わずに排ガス規制をクリアしており、アドブルーの補充は不要です。
アドブルー不足問題は解消済み|現在の供給・価格状況
アドブルーの製造には尿素が必要で、その尿素の精製にはアンモニアが使われます。2021年末、主要生産国である中国が国内の石炭不足などを背景に尿素の輸出制限を実施したことで、日本国内でもアドブルーが一時的に不足し、価格が高騰するとともに買い占めや転売が相次ぎました。
これに対し経済産業省は国内生産事業者に増産を要請し、三井化学などが増産に踏み切った結果、2022年1月中に国内供給量が平時の需要量を上回る水準に回復しました。また、中国以外からの輸入拡充も同時に進められました。
現在はアドブルーの需給は安定しており、ガソリンスタンドやカー用品店、ネット通販などで通常通り購入できる状態です。ただし、地政学的リスクや原料価格の変動によって再び供給が不安定になる可能性はゼロではないため、残量が少なくなったら早めに補充しておくと安心です。
アドブルーは警告灯が点灯してから補充しても十分間に合う
尿素SCRシステムを搭載したディーゼル車(トヨタ:ランドクルーザープラド・ハイラックス・ハイエース、三菱:デリカD:5・エクリプスクロスなど)は、アドブルーが切れた状態でエンジンを切ると再始動できなくなります。ただし、警告灯が点灯してからも約2,000kmの走行猶予があるため、慌てずに補充しても十分間に合います。
補充量の目安は1,000kmにつき約1リットル。警告灯が点灯する度にきちんと補充することで、アドブルー切れによるエンジン始動不能トラブルを防ぐことができます。補充はDIYで簡単に行えますが、ディーラーやガソリンスタンドに依頼することも可能です。コスト・手間・保管リスクなどを考慮して、自分に合った補充方法を選んでください。






















