インタークーラーとは?

インタークーラーとは?役割・空冷式と水冷式の違い・搭載車種をわかりやすく解説

空冷式インタークーラーを採用するスバル、水冷式を採用するVWゴルフ・トヨタC-HRなど、代表的な採用車種ごとの仕組みと理由を比較しながら解説。ターボ車の冷却システムを深く理解できます。

インタークーラーとは?役割・空冷式と水冷式の違い・搭載車種をわかりやすく解説

インタークーラーの役割と「水冷」「空冷」方式の仕組み・違いを解説

ターボチャージャーとセットでエンジンルームに組み込まれることが多いインタークーラーは、過給器が圧縮した高温の空気を冷やし、エンジン出力を最大限に引き出すための部品です。この記事では、インタークーラーの役割と仕組み、空冷式・水冷式それぞれの特徴と違い、採用している代表的な車種、そしてラジエーターとの違いまでわかりやすく解説します。

インタークーラーの役割:高温になった空気を冷やしてエンジン出力を高める

ボンネットをあけた車インタークーラーは過給機により熱くなった空気を冷やす役目をする

インタークーラーを日本語に訳すと「中間冷却器」です。ターボチャージャー(過給機)とエンジンの間に設置し、圧縮されて高温になった空気を冷却します。

エンジン出力を高めるには大量の空気が必要です。ターボチャージャーは排気ガスを利用してタービンを回し、コンプレッサーで空気を強制的に圧縮してエンジンに送り込みます。しかし、空気は圧縮されると分子運動が活発になり高温になります。

高温のまま空気がエンジンへ送られると、ノッキング(異常燃焼)が起こりやすくなりエンジン出力が低下します。インタークーラーはこの高温の空気を冷やして密度を高め、より多くの酸素をエンジンへ送り込む役割を担います。

つまり、インタークーラーを設置することで、ターボチャージャー本来の効果が最大限に発揮され、エンジン出力が大幅にアップします。

インタークーラーの種類:「空冷式」と「水冷式」の仕組みと違い

インタークーラーには、空冷式と水冷式の2タイプがあります。それぞれが異なる仕組みで高温の空気を冷やします。

空冷式:走行中の走行風を使って冷却する

空冷式は走行中に車が受ける走行風(走行気流)を利用して、圧縮されて高温になった空気を冷やします。構造がシンプルで製造コストが低く、速度が上がるほど冷却効果が増すという特徴があります。一方、十分な冷却効果を得るためにはある程度のサイズが必要で、エンジンルーム内の設置場所が限られるのがデメリットです。

スバルはボンネット上からインタークーラーへ冷気を取り込む

スバル インプレッサのエアインテークスバルはボンネット上にエアインテークを設けて冷たい空気を送り込む

スバルは、インタークーラーをエンジン上部に配置するレイアウトを採用しています。これはスバルが長年こだわる水平対向エンジンの特性によるものです。水平対向エンジンは縦方向よりも横方向の寸法が大きいため、エンジン上部にインタークーラーを置くのに適したスペースが生まれます。

WRXやレヴォーグなどのスバル車は、ボンネットに大きなエアインテーク(エアスクープ)を設けて、インタークーラーへ走行風を直接送り込む冷却システムを採用しています。現行レヴォーグ(2代目・VN系)も1.8Lおよび2.4L直噴ターボを搭載し、ボンネット上のエアスクープはスバルターボ車のアイデンティティとして継承されています。

レヴォーグ 2.0 STI Sport EyeSightのスペック(初代モデル・参考)
全長 4,690mm
全幅 1,780mm
全高 1,490mm
ホイールベース 2,650mm
エンジン FA20 DOHC16バルブデュアルAVCS直噴ターボDIT
総排気量 1.998L
最高出力 221kW/5,600rpm
最大トルク 400Nm/2,000~4,800rpm
燃費 13.2km/L
メルセデスベンツ・Aクラスはエンジン前方に空冷式インタークーラーを配置

メルセデスベンツ・AクラスのエクステリアAクラスはフロントグリルからインタークーラーへ送る空気を取り込む

メルセデスベンツ・Aクラスでは、エンジン前方部に空冷式インタークーラーを配置しています。前方配置の空冷式インタークーラーは、フロントグリルから走行風を直接取り込んで冷却します。エンジンへの配管距離が長くなりますが、走行時の冷却効率は高く、スポーティなターボ車に多く見られるレイアウトです。

メルセデスベンツ「A180 AMG スタイル」スペック(参考)
全長 4,355mm
全幅 1,780mm
全高 1,420mm
ホイールベース 2,700mm
エンジン DOHC直列4気筒ターボチャージャー付
総排気量 1.595L
最高出力 90kW/5,000rpm
最大トルク 200Nm/1,250~4,000rpm
燃費 17.8km/L

水冷式:エンジン冷却水(または専用クーラント)を利用して冷却する

水冷式は、冷却水を循環させることで圧縮された高温の空気を冷やす方式です。トヨタのC‐HR(2016〜2023年・国内販売終了)や、フォルクスワーゲン(VW)のTSIエンジンなどで採用されてきました。

水冷式の特徴は、低速走行時や停車中でも冷却能力を発揮できること、サイズをコンパクトにまとめられることです。一方、冷却水の温度以下には吸気温度を下げられないこと、製造コストが高いことがデメリットです。このデメリットは、エンジン冷却系統から独立したインタークーラー専用のラジエーターを設けることで解決できます。

トヨタC‐HRは水冷式インタークーラーをコンパクトカーに採用

C-HRC-HRのようなスペースが限られるコンパクトカーは水冷式インタークーラーを採用

水冷式インタークーラーは、空冷式よりもサイズがコンパクトなため、エンジンルームスペースが限られるコンパクトカーや横置きエンジン車に適しています。トヨタC-HRのガソリンターボモデル(1.2L、8NR-FTSエンジン)は水冷式インタークーラーを採用し、コンパクトなボディでもクラストップレベルの出力を実現しました。なお、C-HRは2023年7月に国内での生産を終了しており、現在は中古車でのみ入手可能です。

C-HR G-Tグレードのスペック(参考・国内販売終了モデル)
全長 4,360mm
全幅 1,795mm
全高 1,565mm
ホイールベース 2,640mm
エンジン 8NR‐FTS 直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ
総排気量 1.196L
最高出力 85kW/5,200~5,600rpm
最大トルク 185Nm/1,500~4,000rpm
燃費 15.4km/L
フォルクスワーゲン ゴルフはTSIエンジンに水冷式インタークーラーを採用

フォルクスワーゲンの主力車種ゴルフ走行性能の高いゴルフは安定して冷却できる水冷式インタークーラーを搭載

フォルクスワーゲンの主力車種ゴルフは、「直噴+過給」を組み合わせたTSIエンジンを搭載し、優れた環境性能とスポーティな走行性能を両立しています。TSIエンジンの特徴である低回転域からのパワフルな加速と素早いレスポンスを安定して引き出すために、水冷式インタークーラーが採用されています。以下のスペックは当時の参考値です。

ゴルフ TSI Trendlineのスペック(参考)
全長 4,265mm
全幅 1,800mm
全高 1,480mm
ホイールベース 2,635mm
エンジン CJZ 直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ(4バルブ)
総排気量 1.197L
最高出力 77kW/5,200~5,600rpm
最大トルク 175Nm/1,400~4,000rpm
燃費 19.1km/L

インタークーラーとラジエーターの違い:構造は似ているが冷やす対象が異なる

インタークーラーとラジエーターは外観や構造が似ていますが、冷やす対象が根本的に異なります。インタークーラーが「ターボで圧縮された高温の吸気(空気)」を冷やすのに対し、ラジエーターは「エンジン本体を冷やした後の冷却水」を冷やす役割を担います。

インタークーラーはターボ車専用の部品ですが、ラジエーターはターボ車に限らず水冷エンジンを搭載するほぼすべての車に必要不可欠です。ラジエーターがなければエンジンは熱を逃がせずオーバーヒートしてしまいます。

ダウンサイジングターボの普及でインタークーラーへの注目が高まっている

車とインタークーラー

国内外の自動車メーカーは、燃費規制への対応と動力性能の確保を両立するために「ダウンサイジングターボ」を積極的に採用しています。エンジン排気量を小さくしつつターボで過給し、大排気量エンジンに近い走りと低燃費を実現する技術です。

ターボを搭載するすべての車にインタークーラーが必須というわけではありませんが、ターボ本来の性能を最大限に引き出すためにはインタークーラーの搭載が有効です。低排気量ターボエンジンが主流となるなかで、空冷・水冷それぞれの特性を生かしたインタークーラーの設計技術はますます重要性を増しています。