ハブリングの設置効果

ハブリングとは?必要性・サイズの選び方・取り付け方法と注意点

ハブリングは必要なのか不要なのかを判断基準から整理。車種専用設計ホイールや輸入車での扱いの違い、センター出しの手順と締め付けトルクの管理、純正ホイールに戻す際の注意点を具体的に解説します。

ハブリングとは?必要性・サイズの選び方・取り付け方法と注意点

ハブリングは必要?役割・取り付け効果・サイズの選び方を解説

純正ホイールから社外ホイールに交換する際、「必要か不要か」が議論されるパーツの一つがハブリングです。

結論からいえば、ハブリングはなくても社外ホイールを装着できますが、あったほうが安全性と安定性が高まるアイテムです。テーパーナットを正確に締め込むことでセンター出しは可能ですが、ハブリングを使うことでより確実にセンターが決まり、高速走行時の振動やナットの緩みを防止しやすくなります。

この記事では、ハブリングの仕組みと設置効果、不要と判断できるケース、サイズ表記の読み方、メーカー・車種別のハブ径一覧、材質とツバの選び方、固着を防ぐ取り付け方法と注意点を解説します。

ハブリングとは?社外ホイールとハブの隙間を埋めるパーツ

ハブリングを取り付ける男性ハブリングはホイールとハブの隙間を埋めるパーツです

ハブリング(ハブセントリックリング)とは、社外ホイールをハブに装着する際にできる隙間を埋めるために用いるリング状のアイテムです。アルミなどの金属製と樹脂製があり、価格は1個あたり500円程度から販売されています。

車両のハブ径(ハブ中心の突起部分の直径)は、国産車と欧州車の違いだけでなく、同一メーカーでも車種によって異なります。例えば、ホンダのヴェゼルのハブ径は64mm、フィットは56mmです。

社外ホイールメーカーは、多種多様なハブ径に対応するためホイール側のセンターホール径を大きめに設計しています(社外ホイールの主流は73mm)。そのため、社外ホイールを装着すると車両ハブとの間にミリ単位の隙間が生じます。ハブ径54mmの軽自動車やコンパクトカーであれば、直径で19mmほどの差が生まれる計算です。

社外ホイールの多くにはテーパー座ナット(取り付け座面に60度の角度を持たせたナット)が採用されており、均等に締め込めば自動的にセンターが出る構造ですが、ナットの締め込み方が不均一な場合やホイールの種類によっては芯がわずかにずれることがあります。ハブリングを使うことで、ホイールをハブの中心近くに仮位置決めでき、より精度の高いセンター出しが可能になります。

実際に手に取ってみると、ハブリングは厚みが数ミリしかない薄いリングで、指先で押し込むと適合サイズならわずかな抵抗とともにぴたりと収まります。この「手で入る程度の嵌め合い」が正常な状態で、工具で叩き込まないと入らない場合はサイズが合っていません。

ハブリングの設置効果|センター出し・振動抑制・ボルト負担の軽減

ハブリングを装着することで得られる主な効果をまとめます。

ハブリングの設置効果

  • センター出しの精度向上:ホイールをハブの中心に正確にセットしやすくなり、純正ホイール同等の精度を確保しやすくなる
  • シミー現象の抑制:高速走行中のハンドルの振れやブレを引き起こすシミー現象を防ぎやすくなる
  • ナットの緩み防止:回転軸と重心が安定するため、走行中のナットの緩みが起きにくくなる
  • ホイールバランスの安定:ホイールバランスが乱れにくくなり、タイヤの偏摩耗を防ぎやすくなる
  • スタッドボルトへの負担軽減:路面からの入力の一部をハブ側で受けられるようになり、スタッドボルトに集中する負荷を分散しやすくなる

最後の項目については、効果の大きさに幅があります。社外ホイールはテーパーナットの締結力で生まれる摩擦によって保持する設計(ラグセントリック)が基本で、荷重のすべてをハブが受け持つわけではありません。ハブリングが効いてくるのは、段差を乗り越えたときなど瞬間的に大きな入力が加わる場面です。

ただし、ハブリングを使っていても最終的なセンター出しはナットの締め込みで決まります。ナットは対角線上に均等に締め込み、規定トルクで管理することが重要です。ハブリングはあくまでも補助的な位置決めの役割と理解しておきましょう。また、ハブリングは車検の検査項目に含まれておらず、装着したまま車検に出しても問題ありません。

ハブリングが不要なケースもある|必要かどうかの判断基準

社外ホイールだから一律に必要というわけではありません。要否はハブ径とセンターホール径の関係で決まります。

ハブリングの要否の判断基準
不要 純正ホイール(センターホールがハブ径に合わせて設計されている)
不要 車種専用設計の社外ホイールで、センターホール径がハブ径と一致しているもの
不要 ホイールにハブリングが同梱されていて、すでに組み込まれているもの
推奨 汎用設計の社外ホイール(センターホール径73mm前後)で、ハブ径との差が大きいもの
特に推奨 ボルト固定式の輸入車に社外ホイールを装着する場合

最後の項目は見落とされやすいポイントです。欧州車の多くはナットではなくボルトでホイールを固定する方式で、ハブの突起でセンターを出す設計(ハブセントリック)を前提にしています。ボルトを差し込むときにホイールを手で支える必要があるため、隙間が大きいと位置決め自体が難しくなります。ハブリングがあればホイールが仮固定されるので、作業の確実性という面でも差が出ます。

一方で、BMWの旧型モデル(ハブ径72.6mm)のように、もともと社外ホイールの主流である73mmとの差が1mmに満たない車もあります。この場合は適合するハブリングの設定自体が少なく、実質的に不要なケースが生まれます。

ハブリングのサイズ表記の読み方|「73/64」などの数字の意味

ハブリングの商品パッケージには「73/56」「73/64」「73/67」「67/54」などの数字が記載されています。左側(大きい数字)=ホイールのセンターホール径、右側(小さい数字)=車両のハブ径を表します。

例えば、車両ハブ径が54mm(トヨタ・アクアなど)に対してセンターホール径が73mmの社外ホイールを装着する場合は「73/54」のハブリングを選びます。購入前に自分の車両のハブ径を確認してから選んでください。

メーカー別・車種別ハブ径
ハブ径
(mm)
メーカー 車種
72.6 BMW PCD120を採用する旧型モデル(F30系3シリーズ、E系各車など)
ランドローバー レンジローバー、レンジローバースポーツ、ディスカバリーなど
71.6 ポルシェ 911、ケイマン、カイエンなど
67 マツダ CX‐3、CX‐5、アクセラ(MAZDA3)、アテンザ(MAZDA6)など
三菱 デリカD5、アウトランダーなど
トヨタ クラウン(130系・140系)、ハイラックス(2WD)
66.5
〜66.6
メルセデスベンツ Aクラス、Cクラス、Eクラス、Sクラスなど
アウディ A5、S5、A6、A7、S4、S6など
BMW PCD112を採用する新しい世代(G系3シリーズ、X1、X3など)
66 日産 スカイライン、GT-R、セレナ、リーフ、エクストレイルなど
65 ボルボ S60、V70、S70、C70、V90など
シトロエン C2、C3、CAピカソ、エグザンティアなど
64 ホンダ ヴェゼル、オデッセイ、ステップワゴンなど
60 レクサス GS、SC、RX、HS、RC、NXなど
トヨタ アルファード、ハリアー、C-HR、プリウスα、プリウス(60系)など
日産 ノート、オーラ、キューブ、ティーダなど
スズキ スイフトスポーツ、エスクード、エブリィなど
ルノー カングー、トゥインゴ、メガーヌ、ルテーシアなど
57 VW ポロ、ゴルフ、ティグアン、ニュービートルなど
アウディ A3、S3、RS4、A6、A8、S8など
56 ホンダ フィット、N‐BOX、グレイス、S660など
スバル フォレスター、XV、レヴォーグ、インプレッサなど
トヨタ GR86(ZN8)
54 ダイハツ タント、ウエイク、ムーヴ、ハイゼットカーゴなど
マツダ MAZDA2(デミオ)、ロードスター(NA・NB・ND)など
スズキ スイフト、アルト、スペーシア、ハスラー、イグニスなど
トヨタ アクア、ヤリス(旧ヴィッツ)、プリウス(30系・50系)、カローラ、シエンタなど

上記の情報は車種・年式・グレードによって異なる場合があります。同じ車名でも世代が変わるとハブ径が変更される例は珍しくなく、プリウスのように30系・50系が54mm、60系が60mmと分かれるケースもあります。ホイール交換前に必ず取扱説明書またはディーラー・カー用品店で自車のハブ径を確認してください。

サイズ以外の選び方|材質・ツバの有無・厚みを確認する

径が合っていても装着できない、あるいは機能しないことがあります。確認したいのは次の3点です。

材質はアルミ製と樹脂製の2種類

金属製はアルミやジュラルミンが主流で、精度と強度に優れます。表面をアルマイト処理したカラータイプもあり、ブラックやシルバーのほかブルーやレッドの製品もありますが、色は性能には影響しません。

樹脂製はサビによる固着が起きないことが最大の利点です。ただし金属製と比べると耐久性では劣り、繰り返しの脱着で変形するケースがあります。

ツバ付きとツバなしの違いを確認する

ハブリングには、外周の片側にフランジ状の縁が付いた「ツバ付き」と、縁のない「ツバなし(ストレート)」があります。ツバは、ハブリングがホイールのセンターホールの奥まで入り込むのを防ぐストッパーの役割を果たします。装着した状態で手を当てると、ツバ付きはホイールの座面から数ミリだけ縁が顔を出しているのが分かります。

ツバが必要な形状のホイールにツバなしを使うと、ハブリングが奥へ入り込んでハブとの間に収まらず、位置決めの役割を果たさなくなります。さらに、入り込んだまま取り出せなくなるおそれもあります。どちらが必要かはホイールのセンターホール形状で決まるため、ホイールメーカーの適合情報で確認してください。

厚みとハブの突起の高さを見比べる

ハブリングは、車両ハブの突起部分に差し込んで使います。リングの高さが突起より大きく飛び出していると、ホイールの取り付け面が浮いてしまい、ナットを締めても密着しません。ハブの突起が低い車では、薄型のハブリングを選ぶ必要があります。

ワイドトレッドスペーサーを併用する場合は、スペーサー側にもハブの突起が設けられているかを確認してください。ハブリングとスペーサーの機能を兼ね備えた製品もあります。

ハブリングの取り付け方法と固着を防ぐメンテナンス

ハブリングの隙間のサビハブリングを付ける金属面を綺麗にして固着を防ぎます

金属製ハブリングを取り付ける前に、ハブの取り付け面をブラシなどで清掃し、グリスを薄く塗布してサビ止め加工を施してください。この処理をしないと、長期間使用後に金属表面のサビが原因でハブリングが固着し、外れなくなります。また年1回を目安に取り外してメンテナンスすることを推奨します。

ホイールを外したハブ面を間近で見ると、突起の根元には茶色いサビが浮いていることがほとんどです。ここに砂やブレーキダストが残ったままハブリングを押し込むと、わずかな厚みの異物でも位置がずれる原因になります。清掃はサビ対策と精度確保の両方を兼ねた作業です。

固着してしまった場合は、マイナスドライバーや薄いレバーをハブリングとハブの間に少しずつ差し込み、少しずつ回しながら均等に力をかけて外します。錆がひどい場合は防錆剤や浸透潤滑剤を先に吹き付けてから作業すると外しやすくなります。一点に集中して力をかけると破損の原因となるため注意が必要です。

センター出しの手順と締め付けトルクの管理

ハブリングを装着したあとの締め込み方で、最終的なセンター精度が決まります。手順は次のとおりです。

ナットの締め込み手順

1.ハブリングをハブの突起に装着し、ホイールをセットする
2.すべてのナットを手締めで軽く仮留めする
3.対角線の順にトルクレンチで規定トルクの半分程度まで締める
4.同じ順で3分の2程度まで締める
5.同じ順で規定トルクまで本締めする

締め付けトルクは車種ごとに指定されています。国産乗用車では103N・m(10.5kgf・m)前後の設定が多く、軽自動車では85〜108N・mと車種によって幅があります。ハイエースやランドクルーザーのように131N・mが指定される車もあるため、取扱説明書の数値を確認してください。

トルクレンチを使わず十字レンチで体重をかけて締めると、150N・mを超えることがあります。締めすぎはボルトを伸ばし、次の脱着時にナットが固着する原因になります。逆に弱すぎれば走行中に緩みます。

そして見落とされやすいのが増し締めです。装着後50〜100km走行した時点で、もう一度規定トルクを確認してください。ホイールの座面とナットが馴染むことで、初期にわずかな緩みが出ます。スタッドレスタイヤへの履き替え直後なども同様です。

メンテナンスが面倒な方には樹脂製ハブリングがおすすめ

取り付け前のサビ対策や固着のリスクを避けたい場合には、樹脂製ハブリングが有効です。樹脂タイプは金属タイプより耐久性で劣りますが、サビによる固着が起きません。シーズンごとにスタッドレスタイヤへ履き替える場合など、脱着の頻度が高い場合は樹脂製が扱いやすいでしょう。

反対に、ホイールを年単位で付けっぱなしにする使い方であれば、精度と強度で有利な金属製を選び、年1回の点検時に外して清掃するという運用が向いています。

純正ホイールに戻す際は必ずハブリングを外すこと

純正ホイール(テンパータイヤを含む)はセンターホールがハブとぴったり合う設計のため、ハブリングが残っていると装着できません。ハブリングを付けたまま無理に純正ホイールを取り付けると、ホイールやナットへのダメージ、最悪の場合は走行中のホイール脱落という重大なトラブルにつながります。社外ホイールから純正ホイールへ交換する際は、ハブリングが残っていないか必ず確認してください。

特に注意したいのが、パンクして路肩でテンパータイヤに交換する場面です。暗がりで慌てて作業すると、薄いハブリングは見落とされがちです。ハブ面を手で一周なぞって、段差がないことを確かめてから取り付ける習慣をつけておくと確実です。

ハブリングを付けても振動が収まらないときに疑うこと

ハブリングを装着したのにハンドルの振れが残る場合、原因は別にあります。ハブリングはセンター出しを補助する部品であって、回転系の不具合をすべて解決するものではありません。

振動が残るときに確認したい箇所
ホイールバランス バランスウェイトが外れている、または組み替え後に調整されていない。高速域で出る振動の原因として最も多い
ハブ面の異物・サビ ホイールの取り付け面とハブの間に砂やサビが挟まり、わずかに傾いた状態で固定されている
ホイールの歪み 縁石へのヒットや段差での衝撃によるリムの変形。歪みがある場合は交換が必要
タイヤの偏摩耗 フラットスポットや片減りによる真円度の低下
ブレーキローターの歪み ブレーキを踏んだときにだけ振動が出る場合は、こちらが原因になりやすい
ハブベアリング 速度に比例して「ゴー」という音が大きくなる場合に疑う。走行距離が伸びた車で起きやすい

原因の切り分けとしては、まずホイールバランスの再調整から試すのが現実的です。それでも改善しない場合は、ホイールを前後で入れ替えて症状が移動するかを確認すると、ホイール側か車体側かを判別できます。

ハブリングで社外ホイールを安全・確実に取り付けましょう

ハブリングは、社外ホイールのセンターホールと車両ハブの隙間を埋めることで、センター出しの精度を高め、走行中の振動やナットの緩みを防ぐ効果的なパーツです。価格もリーズナブルで、社外ホイール交換時にセットで用意しておくことをおすすめします。

取り付けの際は正しいサイズ(ホイールのセンターホール径/車両ハブ径)を選び、ツバの有無と厚みまで確認したうえで、グリス塗布によるサビ対策を行うことが大切です。締め込みは対角線の順に段階的に行い、規定トルクで管理したうえで、走行後の増し締めまでをセットで考えてください。

また、純正ホイールに戻す際のハブリング外し忘れは重大事故につながるリスクがあるため、ホイール交換のたびに必ず確認する習慣をつけましょう。