オートマオイルの交換

オートマオイル交換の必要性と各自動車メーカーの推奨時期

オートマオイルの役割や必要性を紹介。市販車の9割近くが採用する自動変速機で用いられる潤滑油には変速をスムーズにする・シフト制御を行うなどの効果がある。ディーラーが推奨する適切な交換時期も。

オートマオイル交換の必要性と各自動車メーカーの推奨時期

オートマオイルの役割・劣化が招くトラブル・ディーラー別の交換推奨時期

「オートマオイルを交換しませんか?」と、車検時やガソリンスタンドで燃料補給をしている際に、スタッフに言われたという経験はありませんか?

市販車の9割近くが搭載している自動変速機の内部には、オートマオイルが混入されているからでしょう。

ですが、メンテナンスを怠るとオートマオイルを交換することによって、車にトラブルを招いてしまうこともあります。普段からお世話になっているディーラーや整備工場がない場合、自分でオートマオイルの交換時期を判断しなければなりませんが、最低限の知識を心得て適切なタイミングを知りその必要性を判断するのが望ましいです。

今回は、オートマオイルの役割・劣化が招くトラブル・ディーラー別の交換推奨時期などについて取り上げていきます。

オートマオイルの役割はAT車の変速をスムーズに

オートマチックのシフト

ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)とも表記される事もあるオートマチックオイルは、市販車の9割近くが採用する自動変速機の中に混入される潤滑油です。オートマチックオイルの中には、ギアチェンジをスムーズに確実に行うために必要性の高い摩擦調整材等が混入されています。

オートマオイルが劣化していなければ、走行状況に合わせて変速が自動でスムーズに行われます。

オートマオイルの役割

  • エンジンの動力を伝達する
  • シフト制御
  • 変速機の冷却・洗浄

手動でシフトチェンジが必要ないAT車にとって、大切な役割を果たしてくれているのがオートマオイルです。

エンジンオイルと比較すると知名度が低く、その役割があまり知られていないのは交換する頻度が少なく、車のコンディションが悪くなっていてもその原因がオートマオイルの劣化によるものであると結びつかないからかもしれません。

オートマオイルの交換をしないと起こる車のトラブルの種類

故障した車

オートマオイルは、使用年数や走行距離に比例して徐々に劣化していて、変速機の金属が溶けて混じり合うなど不純物の濃度が高くなっていきます。

特にシビアコンディション(渋滞にはまる、高速走行、過積載など)が続くことで劣化スピードは早まります。

オートマオイルの状態が悪くなると、能力が低下し、ギアチェンジがスムーズに行われなくなり、エンジンの動力を伝える能力が衰えた結果、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。

オートマオイル劣化のトラブル

  • 車の発進・加速がスムーズではなくなる
  • 「D」から「R」へとシフトレバーを操作する際にガクっとなる
  • 燃費が悪化する
  • 変速機が故障してしまう(最悪のケース)

オートマオイルの交換が遅れるとオイル交換がトラブルを招いてしまう事も!

ギアチェンジが上手く行かない女性

交換のタイミングが遅れてしまえば、その分だけオートマオイルの劣化は進み不純物が多く混じり込んでしまいます。

長期間の使用により変速機の内部パーツであるギアなどの一部が溶解し、金属粉がオートマオイルに混じり込みます。金属粉はオイルよりも比重があるため、下の方に蓄積して固着していくため不具合を起こすことはあまりありません。

しかし、オートマオイルを状態の良いものと交換することで刺激され、固着していた金属粉が剥がされ流動性が増して、オイルとともに移動を開始しし、オイルに混じりこんだ大量の金属粉が変速機内のバルブを詰まらせたりするなどの不具合を起こしてしまいます。

その結果「ギアの滑りが悪くなる」「エンストが起こる」「シフトチェンジがスムーズではなくなる」「変速機が壊れる(最悪のケース)」のトラブルを招いてしまいます。オートマオイルを交換するリスクの方が高いと判断されれば、あえて交換は行わないというケースも想定されます。

各自動車メーカー推奨のオートマオイルの交換時期

オートマオイルをチェックする整備士

先に挙げたトラブルが車に起こっていれば、オートマオイルを交換する事でさらなるトラブルを招いてしまう事もあるのが、オートマオイルの交換の難しさです。

各自動車メーカーがオートマオイルの交換を推奨するタイミングにおいてもバラつきが見られます。オートマオイルを交換する際には、どのメーカーの車に乗っているかが重要となります!

メーカー オートマオイルの適切な交換時期
トヨタ シビアコンディションの走行が多ければ100,000kmごとに交換
日産 40,000kmごと
ホンダ 初回は80,000kmごと2回目以降では60,000kmごと
CVT(無段変速機):40,000kmごと
スバル 40,000kmごと
ダイハツ 100,000kmごと

ひと昔前であれば、自動車メーカー側は走行距離2~3万kmをオートマオイルの交換のタイミングとして設定していましたが、技術の進化によりメーカーが推奨する走行距離は倍以上に伸びています。

オートマオイルの交換時期はオイルレベルゲージを確認してその色から確認する事も可能です。
新品のオートマオイルでは、よどみのない鮮やかな色をしておりますが使用年数が経ち・走行距離が増えるにしたがって、くすんだ黒っぽい色に変色してしまいます。

走行距離が7万kmを超えていて、あまりにも黒ずんでいてエンジンから異音等のトラブルを抱えていれば、オートマオイルでの不純物の濃度は高くて、交換することの影響でさらなる大きなトラブルを招いてしまう事もあるため、オートマオイルの交換を断られてしまうこともあります。

オイルの交換を依頼するならディーラーがお勧め!費用の相場は3万円

オートマオイルを交換する整備士

オートマオイルの交換はディーラーに依頼する事をお勧めします。精密機器である自動変速機は、製造過程においてはゴミ・ほこりが混入しないようにデリケートに作られます。オートマオイルを交換する際には当然のように慎重さと技術力が求められます。

自動変速機というデリケートなパーツをいじるので、その車の事を熟知していて作業に慣れているディーラーに依頼した方が無難です。また、交換するオートマオイル自体もその車に最も適している純正の商品を利用した方が、故障に繋がりにくく、次回交換のタイミングを遅らせる事が可能です。

料金面ではディーラー以外に依頼した方がリーズナブルかもしれませんが、交換による不具合を誘発する可能性は高まります。オートマオイルを交換する回数は限られています。ベストな選択をしましょう。

ディーラーに依頼した時のオートマオイルの交換費用は、普通車・軽自動車により異なります。一般的に排気量が多くなるほどその費用はかさみ、性能のよいオイルの利用が価格アップに結びつきます。

各ディーラーにより金額は異なりますが、オートマオイルの料金と工賃を含めれば30,000円前後が費用の相場となります。

オートマオイルの交換は適切な時期に信頼のおける場所で行いましょう!

「オートマオイルの交換は一度もした事がない」というドライバーも多くいます。交換の必要性を知らなかったり、無理に交換すると車にトラブルを起こしてしまうことを知っていたり、交換のタイミングが訪れる前に違う車に乗り換えるのかもしれませんが、愛着のある車に状態よく乗り続けるためには、オートマオイルの交換は適切な時期に、その車の事を熟知しているスタッフが集うディーラーに相談し依頼することが大切です。