VW ジェッタのモデルチェンジ

VWジェッタ 現行7代目は日本未導入のまま 北米で2022年に商品改良 次期型の存続は不透明

VWジェッタは日本で買える?結論として現行7代目は日本未導入で、5代目が日本最後のジェッタです。北米での価格や2022年の商品改良、次期型が不透明になっている背景を解説し、ゴルフのセダン版と呼ばれたジェッタの現在地を明らかにします。

VWジェッタ 現行7代目は日本未導入のまま 北米で2022年に商品改良 次期型の存続は不透明

VWジェッタは日本再導入されず 北米では次期型の行方が不透明に

展示されているVWジェッタ

ゴルフのセダン版として知られるフォルクスワーゲン「ジェッタ」は、2018年に北米で7代目へとフルモデルチェンジしました。当時は日本への再導入も期待されましたが、結果として日本市場には投入されませんでした。日本で正規販売された最後のジェッタは5代目で、6代目・7代目はいずれも日本未導入のまま、事実上の北米専売モデルとして販売が続いています。

ここでは、日本導入をめぐる顛末と北米モデルのその後、7代目のエクステリアやインテリア、搭載エンジンや装備、発売日や価格帯までを、現在の視点で整理します。なお、初代・2代目は「ジェッタ」、3代目は「ヴェント」、4代目は「ボーラ」として日本で販売された経緯があります。

日本再導入は実現せず 北米でも次期型の存続が不透明に

この記事がかつて期待した「日本再導入」は、現在に至るまで実現していません。国内では輸入車を含めてセダン人気が退潮しており、コンパクト帯にはポロやゴルフがあることから、ジェッタをあえて投入する余地は乏しいのが実情です。どうしても新しいジェッタに乗りたい場合は、並行輸入という選択肢が中心となります。

本国・北米でも、ジェッタを取り巻く状況は楽観できません。北米では長らくVWの最量販セダンとして機能してきましたが、近年は販売の落ち込みが目立ち、2025年は前年から2割超のマイナス、2026年に入っても減少が続いているとみられます。VWの北米で最も手頃な1台(米国で約23,995ドルから)という価値は健在で、経営陣も当面はラインアップに残す姿勢を示していますが、次期型を開発するかどうかは見通せません。パサートやアルテオンといったセダンの整理が進んだ流れもあり、ジェッタも次世代へは繋がらないのではないか、との見方も出ています。一方で、後継セダンとみられるプロトタイプが目撃されたこともあり、行方は流動的です。※次期型の存廃はいずれも正式発表前の観測であり、確定情報ではありません。

2027年モデルでGLIのMTが廃止 北米VW唯一の手動変速機が消滅

スポーティな上級モデル「ジェッタGLI」に設定されていた6速マニュアルは、2026年モデルを最後に姿を消します。これによりVWは、北米で手動変速機を積む車を持たないことになります。すでにゴルフGTIやゴルフRでもマニュアルは廃止されており、市場全体でMT設定が縮小するなか、ジェッタGLIはVWにおける最後の砦でした。運転の楽しさを重んじる層にとっては惜しまれる整理ですが、需要が細り、供給側の事情も相まっての判断とみられます。

2022年モデルで商品改良 内外装とエンジンを刷新

7代目ジェッタは、登場から数年を経た2022年モデルで商品改良を受けました。フロントとリヤの意匠変更、新色や新デザインホイールの採用によって表情を一新し、価格を抑えつつ質感を高めるトリム構成へと見直されています。インテリアには「フォルクスワーゲン・デジタル・コックピット」やコネクテッド機能を標準化し、フロントアシスト、ブラインドスポットモニター、リヤトラフィックアラートなどの安全装備も充実させました。パワートレインも刷新され、従来の1.4Lターボから排気量を高めたガソリンターボへと切り替わっています。GLIには引き続き2.0Lターボが搭載され、走りを重視する性格を保っています。

中国で「ジェッタ」がブランド化 コンパクトSUV「VS5」を投入

新型ジェッタのエクステリア中国生まれのジェッタに新型SUVが登場

新型ジェッタのリヤエクステリア中国ジェッタは新デザインのエンブレムで登場

「ジェッタ」の名は、中国では車種名ではなくブランド名としても使われています。VWは中国第一汽車との合弁である一汽大衆(FAW-VW)を通じて、2019年に廉価ブランド「ジェッタ(捷達/JETTA)」を立ち上げました。その第一弾のひとつとして、コンパクトSUV「VS5」が上海モーターショー2019で世界初公開されています。

ゴルフのセダン版というイメージが強いジェッタですが、このブランドのセダンは「VA3」を名乗り、VS5はそれとはまったく別のSUVです。プラットフォームとパワートレインはVWグループのセアト由来のものを共有し、専用の新しいロゴを掲げる点も特徴でした。その後、ブランド傘下にはSUVの「VS7」なども加わり、独自の展開を続けています。

2018年に北米で登場した7代目ジェッタの詳細

ここからは、7代目ジェッタがデビューした当時の内容を振り返ります。7代目はデトロイトモーターショー2018で初公開され、VWの最新モジュラープラットフォーム「MQB」を採用したモデルです。日本には導入されませんでしたが、北米ではパサートの下位に位置する重要なセダンとして展開されました。

7代目ジェッタのエクステリア

道路を走るフォルクスワーゲン ジェッタ

7代目ジェッタのエクステリアは、6代目のイメージを受け継ぐキープコンセプトとしつつ、グリルの大型化や新世代のヘッドライトデザインの採用などで刷新されています。

駐車している6代目ジェッタ6代目ジェッタ

VWジェッタのサイドとリヤビュー

サイドからリヤにかけては、テールランプのデザインが改められています。クリアな部分はトランク側がバックランプ、ボディ側がウインカーとされ、ハイマウントストップランプを含めてLED光源が採用されています。

ボディサイズは全長4,700mm、全幅1,800mm、全高1,460mm、ホイールベース2,685mmで、6代目より全長が40mm、全幅が22mm拡大し、ホイールベースも延長されました。

ジェッタのボディサイズ比較
7代目 6代目
全長 4,700mm 4,660mm
全幅 1,800mm 1,778mm
全高 1,460mm 1,460mm
ホイールベース 2,685mm 2,650mm

7代目ジェッタのインテリア

モデルチェンジしたVWジェッタのインテリア

7代目ジェッタのインテリアは、センターコンソールから伸びるフロアシフトが調和した、まとまりの良いデザインです。シフトには質感のあるブーツが備わり、上段にインフォメーションディスプレイ、下段にハザードスイッチやエアコンコントローラーが配置されています。

VWジェッタの運転席

ドライバー正面にはデジタルコックピットが備わり、ティグアンなどのデジタルメータークラスターをさらに進化させた仕立てとなっています。AppleのCarPlayやGoogleのAndroid Autoにも対応し、スマートフォンとの連携が強化されています。

VWジェッタ室内の青色イルミネーション青色イルミネーション

VWジェッタ室内の赤色イルミネーション赤色イルミネーション

アンビエントLEDイルミネーションを設定でき、青や赤などから室内の雰囲気を選べます。USBポートや電源ソケットも備わり、スマートフォンやタブレットの充電にも対応します。

7代目ジェッタの搭載エンジン

モデルチェンジ後のVWジェッタに搭載されるエンジン

7代目ジェッタが搭載するのは、直列4気筒ターボの「TSI」エンジンです。デビュー当初は排気量1.4L、最高出力110kW、最大トルク250N・mというスペックでした。組み合わされるトランスミッションは8速のトルコン式ATで、北米ではベースグレードに6速マニュアルも用意されていました。

7代目ジェッタ(デビュー時)の搭載エンジン
種類 直列4気筒ターボ
排気量 1,394cc
最高出力 110kW/5,000-6,000rpm
最大トルク 250Nm/1,500-3,500rpm
トランスミッション 8速AT(トルコン式)/一部6速MT

ハイウェイ燃費に優れる点が北米での支持につながっており、扱いやすさと経済性を両立していました。なお前述のとおり、2022年モデルの商品改良で排気量を高めたガソリンターボへと切り替わっています。

7代目ジェッタの搭載装備

新型ジェッタのコックピット

7代目ジェッタには、車線をはみ出しそうになるとステアリングを補正しながら警告する「Lane Keep」、全車速追従機能付きクルーズコントロールの「ACC」といった運転支援が用意されています。

7代目ジェッタに搭載される主な安全装備

  • Traffic Assist
  • Front Assist
  • プロアクティブ・オキュパント・プロテクション
  • ポストコリジョンブレーキシステム

渋滞時追従支援の「Traffic Assist」は、車線維持の「Lane Keep」と全車速追従の「ACC」を組み合わせることで、低速の混雑時でも車線を保ちながら前走車に追従します。エアバッグは運転席・助手席に加え、サイド、カーテン、ニーと合わせて9つを備え、追突時に自動でブレーキをかけて二次被害を抑える「ポストコリジョンブレーキシステム」も採用しています。

7代目ジェッタの発売日・価格帯

展示会で紹介されているVWジェッタ

7代目ジェッタは2018年に北米で発売され、当時の価格は18,545〜18,645ドル前後(当時のレートで約196万円)でした。北米ではゴルフより手頃な価格に設定されるのが通例です。仮に日本へ導入された場合の価格を当時は230万円程度と見込んでいましたが、実際には導入自体が見送られたため、この想定価格が適用されることはありませんでした。

ゴルフ・ジェッタの参考価格(当時)
北米 日本
ゴルフ 20,910ドル 2,539,000円
ジェッタ 18,645ドル 2,300,000円(当時の想定・未導入)

ゴルフとジェッタの北米価格差は当時約2,265ドルで、日本円ではおよそ24万円に相当しました。輸入コストなどを踏まえた導入時の想定価格は230万円程度でしたが、繰り返しの通り、日本での正規導入は実現していません。

ジェッタの日本導入は見送りに 北米でも先行きは慎重に見極めたい

フォルクスワーゲンジェッタ

北米ではセダンとして根強い存在だったジェッタですが、日本ではコンパクト帯にポロやゴルフがあり、セダン人気そのものも縮小していることから、かつて指摘したとおり導入は見送られました。新しいジェッタに乗るには、北米仕様などを並行輸入する方法が中心となります。左ハンドルのジェッタは、街なかでもひときわ目を引く1台といえるでしょう。

7代目は最新の運転支援や9つのエアバッグを備え、安全性の面でも安心感のあるセダンに仕上がっていました。2022年の商品改良で内外装とエンジンを刷新し、中国では「ジェッタ」がブランドとして独自の道を歩むなど、名前そのものは多方面で生き続けています。もっとも、北米では販売の減少が続き、GLIの手動変速機が2026年モデルで姿を消すなど、逆風も強まっています。次期型の存廃はまだ見通せず、ジェッタという息の長い名前が今後どのような形で受け継がれていくのか、慎重に見守りたいところです。