グランドランサーは台湾で生産終了 日本導入は実現せず スペックまとめ
三菱自動車が台湾で販売していたセダン「グランドランサー」。日本では2015年まで「ギャランフォルティス」として売られていたモデルの流れを汲み、三菱の顔であるダイナミックシールドを取り入れて若返りを図った一台です。
そのグランドランサーは、すでに生産・販売ともに終了しています。日本導入が実現することはなく、1973年から続いた「ランサー」という車名も、これをもって完全に消滅しました。ここでは、その顛末を振り返りつつ、グランドランサーのエクステリアやインテリア、搭載エンジン、発売当時の価格帯を紹介します。
グランドランサーが生産終了 ランサーの名は52年の歴史に幕
グランドランサーの製造を担っていたのは、三菱の台湾法人である中華汽車です。同社は2024年3月末、グランドランサーの生産終了を発表。台湾で生産されたランサーシリーズの累計台数は約39万台に達していました。そして中華汽車は、後継車種の計画は当面ないという姿勢を示しています。
生産終了後は在庫販売へと移行し、2025年に販売も終了。最終盤には60万2000台湾ドル(日本円でおよそ286万円)という特別価格のキャンペーンが実施され、これが最後の売り場となりました。1973年に初代が登場してから数えて52年。「ランサー」というネームプレートは、ここで完全に途絶えたことになります。
振り返れば、日本国内ではランサーセディア系のセダンが2010年に、4WDスポーツセダンの代名詞だったランサーエボリューションXが2016年に、そして日産ADのOEM車だったランサーカーゴが2019年に、それぞれ姿を消していました。最後に残ったのが台湾のグランドランサーであり、その終了は「ランサーの最終章」そのものでした。ラリーで世界と戦った名前が、セダン市場の縮小とともに静かに幕を下ろした格好です。
グランドランサーのエクステリア

グランドランサーのエクステリアは、ダイナミックシールドを採用した迫力あるフロントマスクが特徴で、細身のLEDヘッドライトを装備していました。ヘッドライトからバンパーまで繋がるメッキパーツが美しく、丸型のハロゲンフォグランプを備えます。

リアビューもガッシリとしたスタイリングで、LEDテールランプが逆L字型にデザインされています。バンパーにはスポーティなメッシュ加工が施され、リフレクターと一体化したレンズはバックランプと見られます。
ボディタイプはセダンで、全長4,570mm、全幅1,760mm、全高1,490mm、ホイールベース2,635mm。ギャランフォルティスのセダンも全長4,570mm、全幅1,760mm、全高1,490mm、ホイールベース2,635mmで、寸法はまったく同一です。グランドランサーが、ギャランフォルティス(7代目ランサー)の大幅改良版という成り立ちであることが、この数字からも読み取れます。
| 全長 | 4,570mm |
| 全幅 | 1,760mm |
| 全高 | 1,490mm |
| ホイールベース | 2,635mm |
ボディカラーはホワイト・レッド・シルバー・ブラック・グレー・ブルーの全6色設定でした。
晶玉白(WG)
霓光紅(UA)
冰鑽銀(KS)
尊爵黒(DA)
星空灰(EU)
晶曜藍(JL)
日本車では見かけないカラーネームですが、これは中国語表記によるもので、色そのものはベーシックな構成です。仮に日本へ導入されていれば、馴染みのある名称に置き換えられていたはずです。
グランドランサーのインテリア

グランドランサーのインテリアは、ブラックを基調とした落ち着いた仕立てで、ゲート式のフロアシフトとハンドパーキングブレーキを採用しています。センタークラスターには、スマートフォン連携に対応するとみられるタッチ式インフォメーションディスプレイ、ハザードスイッチや通話ボタン、フルオートエアコンのパネルが並びます。

ステアリングには、左側にオーディオコントロールスイッチ、右側にクルーズコントロールのスイッチを配置。最上級モデルにはパドルシフトも備わり、ハンドルから手を離さずにシフト操作が行えました。

乗車定員は5名。運転席と助手席はサイドサポートが張り出した形状で、後席中央にはセンターアームレストを装備し、4人乗車時の快適性を高めています。

メーターはアナログとデジタルを組み合わせたもので、表示は3種類を用意。タコメーターとシフトポジションを左、スピードメーターを右に置くレイアウト、速度・回転・燃料・水温を1つにまとめたレイアウト、タコメーターとスピードメーターを立体的に見せるレイアウトから選べました。
グランドランサーの搭載エンジン

グランドランサーが搭載していたのは「4J10型」、1,800ccの直列4気筒MIVECエンジンです。駆動方式はFFのみで、燃費は15.7km/Lとされていました。
| 型式 | 4J10 |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒MIVEC |
| 排気量 | 1,798cc |
| 最高出力 | 139PS/6,000rpm |
| 最大トルク | 172Nm/4,200rpm |
このエンジンは、日本では2015年に販売を終えたギャランフォルティスや、RVRにも積まれていたユニットです。トランスミッションはジャトコ製の8速スポーツモード付CVTで、マニュアルモードでの変速に対応。最上級グレードにはパドルシフトが備わりました。ターボも4WDも持たない1.8L・FFという構成は、ランエボの記憶からすると穏やかですが、実用セダンとしては過不足のない中身です。
グランドランサーの発売日・価格帯

グランドランサーの発売は2017年4月。これに伴い、それまで併売されていた「ランサーフォルティス」と「ランサーiO」が統合されました。開発は中華汽車が主導しており、台湾市場の需要に応える形で送り出されたモデルです。
価格はベースモデルが699,000台湾ドル、最上級グレードが799,000台湾ドル。発売当時のレート(1台湾ドル=3.7円)で換算すると、およそ258万円~295万円という水準でした。
グランドランサーの日本導入は実現しなかった

登場当時、グランドランサーの日本導入は未定とされ、セダン人気が落ち込んでいた日本市場の状況からも「可能性は低い」と見られていました。結果として、その見立てのとおり日本で発売されることはありませんでした。ギャランフォルティスの後継として国内へ戻ってくることもなく、現在の三菱の国内ラインナップにセダンは1台も残っていません。
一方、当時「日本に導入されるのはグランドランサーではなくSUVだろう」と書いた見立ては当たりました。エクリプスクロスは2018年3月に日本で発売され、2021年12月の大幅改良ではPHEVも加わっています。ただし、同じく期待されていたパジェロスポーツは、2026年7月時点でも日本導入が発表されていません。三菱の国内戦略がSUVと軽・ミニバンへ大きく舵を切ったことだけは、はっきりと示された形です。
グランドランサーが最後に見せた「ランサーらしさ」

グランドランサーは、LEDヘッドライトやクリアランスランプで安全性を高めつつ、ダイナミックシールドの迫力あるグリルとスポーティなエクステリアをまとったセダンでした。中身はギャランフォルティスの延長線上にありながら、顔つきと内装を現代化することで、最後まで商品として通用させた一台と言えます。

そのグランドランサーも2024年に生産を終え、2025年には販売も終了。ギャランフォルティスとして日本に戻ってくることはなく、1973年に始まったランサーの歴史は52年で幕を閉じました。台湾で約39万台を送り出したこの実直なセダンが、ランサーという名前の最後の担い手だったことは、記憶に留めておきたいところです。



















