Tクロス(T-Cross)の現在地 限定車「プレミアムサウンドエディション」登場と後継EV「ID. Cross」
フォルクスワーゲンのコンパクトクロスオーバーSUV「Tクロス(T-Cross)」は、ポロと同じMQB A0プラットフォームを土台とするブランド最小のSUVです。欧州では2018年12月6日に受注が始まり、日本市場には2019年11月27日に導入が発表され、2020年1月末から販売が開始されました。
その後、日本仕様は2024年10月1日にマイナーチェンジ版へと切り替わり、2026年1月1日には価格改定を受けています。直近では2026年8月4日に限定300台の「Premium Sound Edition」が432万4,000円で登場。一方、電動の後継にあたる「ID. Cross」が2026年秋に欧州で発売される見込みです。ここでは最新の動きから順に、エクステリアやパワートレイン、装備、モデルチェンジ遍歴までを整理します。
Tクロスに限定300台の「プレミアムサウンドエディション」が2026年8月4日に登場 432万4,000円
フォルクスワーゲン ジャパンは2026年8月4日、Tクロスを含む4モデルに限定車「Premium Sound Edition(プレミアムサウンドエディション)」を設定し、同日発売しました。対象はT-Cross、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアント、パサートの4車種です。
T-Cross プレミアムサウンドエディションの価格は432万4,000円で、限定台数は300台。ほかはゴルフが499万9,000円/500台、ゴルフ ヴァリアントが513万9,000円/300台、パサートが599万9,000円/160台という設定です。
名前のとおり最大の特徴はプレミアムサウンドシステムの標準装備で、車内をより上質な音響空間へと引き上げる狙いがあります。加えて専用ホイールとブラックパーツ(パサートを除く)を採用し、エクステリアにも特別感と精悍さを加えました。Tクロスのベースは最上級の「TSI R-Line」です。
フォルクスワーゲンによれば、各モデルの量販グレードに限定車を設定するのは今回が初めてとのこと。コンパクトSUVからハッチバック、ステーションワゴンまで幅広いボディタイプに同じ価値を横断的に載せる形です。Tクロスにとっては、2025年9月の一部仕様変更で追加された300Wの新サウンドシステムに続く「音」の強化策であり、オーディオ環境の充実がこのクルマの訴求軸のひとつになりつつあることがうかがえます。
ただし価格は432万4,000円と、カタログモデルの上限(約400万円台)をさらに上回る水準です。2019年の日本上陸時に299万9,000円から始まったTクロスとしては、装備を積み上げた限定車とはいえ、かなり遠くまで来た印象があります。限定300台のため、気になる場合は早めに販売店へ確認するのが確実でしょう。
| モデル | 価格(税込) | 限定台数 |
|---|---|---|
| T-Cross プレミアムサウンドエディション | 4,324,000円 | 300台 |
| ゴルフ プレミアムサウンドエディション | 4,999,000円 | 500台 |
| ゴルフ ヴァリアント プレミアムサウンドエディション | 5,139,000円 | 300台 |
| パサート プレミアムサウンドエディション | 5,999,000円 | 160台 |
後継となる電動SUV「ID. Cross」が2026年秋に欧州発売へ 価格は約28,000ユーロから
Tクロスにとって最大のトピックは、電動版の後継モデルにあたる「ID. Cross(IDクロス)」の登場です。フォルクスワーゲンは2025年9月8日、ミュンヘンで開催されたIAA Mobilityで「ID. Cross Concept」を世界初公開しました。同社はこのモデルをTクロスの電動版に相当する存在と位置づけています。
コンセプトのスペックは、駆動方式が前輪駆動、駆動用モーターの最高出力が155kW(211PS)、WLTPモードの航続距離が約420kmと公表されました。ボディサイズは全長4,161mm×全幅1,839mm×全高1,588mm、ホイールベース2,601mmで、全長はTクロスとほぼ同等ながら全幅は80mmほど広く、荷室容量は450Lを確保します。プラットフォームはMEBを発展させた「MEB+」で、生産はスペインのパンプローナ工場。ID. Polo(ID.2allの市販版)やシュコダ・エピック、クプラ・ラバルと兄弟関係にあります。
フォルクスワーゲンは公式に、ID. Crossを2026年秋から欧州市場へ投入し、価格は約28,000ユーロからと announced しています。量産版のワールドプレミアは2026年夏に予定されており、2026年春にはアムステルダムでカモフラージュラッピングを施した市販版が公開されました。バッテリーは37kWh級のLFPと52kWh級のNMCの2種類が用意され、航続距離は最大436kmに達するという情報も出ていますが、こちらは公式確定値ではありません。
気になるのは「Tクロスはどうなるのか」という点です。フォルクスワーゲンはID. Crossを後継と位置づけていますが、内燃機関のTクロスが即座に消えるという公式発表は現時点でありません。同社は2026年、Euro 7規制の最終案を踏まえて1.0 TSI(3気筒ターボ)をポロやTクロスといった小型車で継続使用する方針を示しており、ID. Poloがポロと併売されるのと同様に、当面はTクロスとID. Crossが並走すると見られます。日本市場は2024年のマイナーチェンジから日が浅く、商品サイクル的にも数年は現行型が続く可能性が高いでしょう。なお、ID. Crossの日本導入についてフォルクスワーゲン ジャパンからの発表はまだありません。
Tクロスが2026年1月1日に価格改定 現在の価格帯は約340万円から
フォルクスワーゲン ジャパンは2025年12月19日、2026年1月1日からの価格改定を発表しました。対象はポロ、Tクロス、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアント、ティグアン、パサートの6モデルで、原材料費の高騰などを理由に平均約1.5%の引き上げとなっています。
これにより、2024年10月の発売時に329万9,000円~389万5,000円だったTクロスの価格帯は、現在およそ340万円台~400万円台へと移行しました。輸入コンパクトSUVとしての価格競争力は依然として高いものの、日本上陸当初の「300万円を切る導入記念モデル(TSI 1st:299万9,000円)」と比べると、5年あまりで水準が大きく変わったことになります。
Tクロスが2025年9月9日に一部仕様変更 新サウンドシステムを設定
フォルクスワーゲン ジャパンは2025年9月9日、Tクロスの一部仕様変更を発表しました。「TSI Style」と「TSI R-Line」に、総出力300W・8チャンネル・6スピーカーの新サウンドシステムを追加。TSI Styleでは“デザインパッケージ”および“セーフティ/Discover Pro/サウンドシステムパッケージ”として、TSI R-Lineでは“セーフティ/Discover Pro/サウンドシステムパッケージ”としてオプション設定されます。
あわせてボディカラーの扱いも見直され、クリアブルーメタリックが有償オプションへ変更されました。派手な変更ではありませんが、後述するbeats sound systemの終了を埋める形でオーディオ環境が立て直された点は、内装の質感を重視する層にとって実質的な改善と言えます。
Tクロスが2024年10月1日にマイナーチェンジ版として発売 3グレードで329万9,000円から
フォルクスワーゲン ジャパンは2024年7月3日にマイナーチェンジを実施した新しいTクロスを発表し、7月6日から予約注文の受け付けを開始。正式発売は2024年10月1日でした。グレードは「TSI Active」「TSI Style」「TSI R-Line」の3本立てで、発売時の全国希望小売価格(税込)は329万9,000円~389万5,000円です。
変更点は多岐にわたります。灯火類とバンパーを中心にエクステリアデザインを刷新し、グリルを横切るLEDシグネチャーランプを採用。インテリアはダッシュボードにソフトパッドを用い、独立配置のセンターディスプレイを組み合わせて質感を大幅に引き上げました。運転支援系ではTravel AssistやLane Assistを強化しています。ボディカラーは新色のグレープイエロー、クリアブルーメタリック、キングズレッドメタリックを含む全8色。TSI Styleにはグレー基調の落ち着いたデザインパッケージ<ミストラル>がオプション設定され、ポップな印象のTクロスにシックな選択肢が加わりました。
パワートレインは1.0L直列3気筒ターボ(1.0TSI)と7速DSGの組み合わせを継続し、最高出力85kW(116PS)、最大トルク200N・m、WLTCモード燃費は17.0km/Lです。フォルクスワーゲン ジャパンによれば、Tクロスは2019年の欧州デビューからわずか5年で世界累計販売120万台を突破。日本でも発売初年度の2020年から2022年まで、3年連続で輸入SUVの登録台数第1位を獲得した実績を持ちます。
| グレード | TSI Active/TSI Style/TSI R-Line |
|---|---|
| 全長×全幅×全高 | 4,140×1,760×1,580mm(R-Lineは4,135×1,785×1,580mm) |
| ホイールベース | 2,550mm |
| 車両重量 | 1,260kg |
| エンジン | 1.0L 直列3気筒ターボ(1.0TSI) |
| 最高出力 | 85kW(116PS) |
| 最大トルク | 200N・m |
| トランスミッション | 7速DSG |
| 駆動方式 | 2WD(FF) |
| WLTCモード燃費 | 17.0km/L |
| 発売時価格 | 3,299,000円~3,895,000円(2024年10月1日時点) |
VW コンパクトSUVのTクロスに設定された特別仕様車「T-Cross Copper Style」
人気オプションを多数標準化した特別仕様車Tクロス カッパースタイル(マイナーチェンジ前のモデル)
フォルクスワーゲンは2023年9月25日、銅色(カッパー)の専用アルミホイールやドアミラーを与えた特別仕様車「T-Cross Copper Style(Tクロス カッパースタイル)」を発表し、翌26日から全国の正規ディーラーで販売しました。
カッパーカラーがもたらす都会的な雰囲気が持ち味で、内外装をドレスアップしたTSI Styleをベースに、人気オプションの「Discover Proパッケージ」「テクノロジーパッケージ」「セーフティパッケージ」を標準装備。これらを個別に選ぶより6万6,000円安い価格設定とした、コストパフォーマンス重視のモデルでした。
Tクロス カッパースタイルの販売価格は3,870,000円です。なお本仕様はマイナーチェンジ前のボディをベースとするため、2024年10月に登場した現行型への切り替えに伴い、すでにカタログからは外れています。
フォルクスワーゲンTクロスが日本に上陸 導入記念の特別仕様車から始まった
フォルクスワーゲンTクロスのエクステリア(日本導入時)
フォルクスワーゲンの小型SUV「T-Cross(Tクロス)」が日本に上陸したのは2019年のことです。2019年11月27日から導入記念特別仕様車「T-Cross TSI 1st」と「T-Cross TSI 1st Plus」の受注をスタートし、2020年1月末以降より順次納車が始まりました。
価格は「T-Cross TSI 1st」が2,999,000円、上級モデルの「T-Cross TSI 1st Plus」が3,359,000円でした。
Tクロスのパワートレインは1.0L直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンで、トランスミッションはシームレスな加速感が持ち味の7速DSGです。最高出力は85kW(116PS)/5,000-5,500rpm、最大トルクは200N・m(20.4kgm)/2,000-3,500rpm。アイドリングストップ機能やブレーキエネルギー回生システムにより、優れた燃費性能を実現していました。
生産モジュールMQBを採用し、広々とした車内空間を確保した導入時のTクロスは全長4,115mm、全幅1,760mm、全高1,580mmと、コンパクトサイズながら実用性に長けています。後部座席のスライド幅は最大14cmで、455Lの広い荷室スペースも確保しました。
歩行者検知対応シティエマージェンシーブレーキ機能付きプリクラッシュブレーキシステム"Front Assist"、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール"ACC"、車線変更時などの死角チェックをサポートするブラインドスポットディテクション、駐車支援システム"Park Assist"などの多彩な機能を標準装備。インフォテインメントシステムにはフォルクスワーゲン純正の"Discover Pro"を採用し、ワイヤレス充電なども備えていました。
ピュアホワイト
ディープブラックパールエフェクト
マケナターコイズメタリック
フラッシュレッド
エナジェティックオレンジメタリック
リーフブルーメタリック
ライムストーングレーメタリック
ダークペトロール
ボディカラーやインテリアカラーの組み合わせが豊富なのもTクロスの魅力です。日本導入当初のボディカラーは以下の全8色でした(現行型ではグレープイエロー、クリアブルーメタリック、キングズレッドメタリックなどを含む新しい8色構成へ変更されています)。
Tクロス(日本導入当初)のボディカラー一覧
- ピュアホワイト
- ディープブラックパールエフェクト
- マケナターコイズメタリック
- フラッシュレッド
- エナジェティックオレンジメタリック
- リーフブルーメタリック
- ライムストーングレーメタリック
- ダークペトロール

シートカラーは「T-Cross TSI 1st」の場合、チタンブラック/グレーが標準設定。「T-Cross TSI 1st Plus」には「ブラック」「オレンジ」「グリーン」の3タイプのデザインパッケージが用意されていました。
フォルクスワーゲンがTクロスを虎ノ門ヒルズのクリスマスイベントで展示
日本上陸に合わせ、フォルクスワーゲンは2019年11月18日から新虎ヴィレッジのクリスマスイベントとコラボレーションしました。
新虎ヴィレッジがクリスマスフォトスポットとなり、虎ノ門ヒルズ 森タワー2階アトリウムの「TORANOMON HILLS CHRISTMAS 2019」では車両展示を実施。新虎ヴィレッジのアートボード前にはTクロスを2019年12月24日まで展示するなど、虎ノ門をフォルクスワーゲン色に染めるプロモーションが行われました。
Tクロスのティザーサイトが公開され日本上陸記念の特別仕様車が明らかに
「T-Cross TSI 1st」と「T-Cross TSI 1st Plus」のエクステリア
日本発売に先立ってフォルクスワーゲンTクロスのティザーサイトがオープンし、日本仕様の詳細が明らかになりました。
日本仕様のTクロスは「T-Cross TSI 1st」と「T-Cross TSI 1st Plus」の2モデルからスタート。パワートレインには直列3気筒1.0TSIエンジンを搭載し、フォルクスワーゲン独自の「MQB」アーキテクチャによって、コンパクトなボディにゆとりあるキャビンと積載性に優れた荷室を両立しました。
ボディカラーは全8タイプ、アルミホイールやドアミラーにアクセントカラーを取り入れた「Design Package」も設定されました。
日本仕様Tクロスのインテリア
前方視界がクリアで運転しやすいTクロスのコックピット。シートデザインは3タイプ用意され、特別仕様車TSI 1st Plusには遊び心のあるアクセントカラーが採用されました。
そのほか、パークアシスト機能やナビゲーション「ディスカバープロ」、置くだけ充電といった先進装備も選べました。
Tクロス(T-Cross)はコンパクトSUVでフォルクスワーゲンらしい洗練されたエクステリアが特徴

Tクロスの原型となったのは、オープンボディのクロスオーバーとして披露されたコンセプトモデル「T-Cross Breeze」です。市販型は屋根のついた一般的な5ドアクロスオーバーSUVとなり、当時は「いずれオープンタイプのカブリオレが追加されるのでは」との期待もありました。結論から言えば、この予想は外れています。Tクロスにカブリオレ版が設定されたことは一度もなく、フォルクスワーゲンは派生モデルとしてクーペ風のSUV「タイゴ(Taigo)」を欧州へ投入する道を選びました。SUVカブリオはT-Rocカブリオレが担ったこと、そしてブランド全体が電動化投資へ舵を切ったことが、その背景にあると見ています。

コンセプトモデルにはソフトトップの幌が備わり、突然の雨にも幌を閉めて対応できる仕立てでした。大きく四角いLEDフォグランプと同様のデザインがリヤバンパーにも配され、ストップランプやウインカー、リヤフォグランプの役割を担っています。
下表は市販化前に伝えられていた欧州仕様のボディサイズです。実際の日本仕様は導入当初が全長4,115mm×全幅1,760mm×全高1,580mm、2024年のマイナーチェンジ後は全長4,140mm(R-Lineは4,135mm)×全幅1,760mm(同1,785mm)×全高1,580mm、ホイールベースは2,550mmとなっており、いずれも取り回しの良い3ナンバーサイズに収まっています。日本車ではマツダCX-3が近いサイズ感で、コンパクトクロスオーバーSUVらしい扱いやすさが魅力です。
| 全長 | 4,108mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,760mm |
| 全高 | 1,584mm |
| ホイールベース | 2,551mm |
| 駆動方式 | 2WD(FF) |
| エンジン | 1.0L 直列3気筒ターボ |
| 最高出力 | 85kW(115PS) |
| トランスミッション | デュアルクラッチ式7速DSG |
| 使用燃料 | プレミアムガソリン(ハイオク) |
Tクロス(T-Cross)の内装はポップなデザインと先進性が両立しているのが特徴

公開当初のTクロスのインテリアは、イエローをふんだんに使ったポップなデザインでした。センターインストルメントパネルには再生中のメディア情報や小さなマップが表示され、ドライバー正面のメーターにもメディア情報が映し出されます。
センターコンソールはダッシュボードへ向かって立ち上がるデザインで、上からハザードスイッチ、シフトポジション、ドライブモード切り替えやオートホールドなどのスイッチが並びます。
運転席側の足元に赤いロゴが見えることから、当時はオーディオに米国のオーディオメーカー「beats」のスピーカーが使われていると推測しました。実際に日本仕様でも“beats sound system”が用意されましたが、同システムは生産終了となり、2024年12月20日発表・2025年1月1日実施の価格改定に合わせてTSI Styleのデザインパッケージ内容が変更されています。その穴を埋める形で、2025年9月の一部仕様変更で総出力300Wの新サウンドシステムが設定されました。
T-Crossに搭載されるエンジン

Tクロスの主力エンジンは1.0Lのターボ(1.0TSI)で、登場前に伝えられていたスペックは最高出力115PS、最大トルク174N・mというものでした。実際に日本へ導入された1.0TSIは最高出力85kW(116PS)、最大トルク200N・mで、7速DSGとの組み合わせは現行型にも引き継がれています。小排気量ゆえ自動車税が抑えられる点も、日本市場で支持を集めた理由のひとつでしょう。
| 型式 | – |
|---|---|
| 種類 | 直列3気筒ターボ |
| 排気量 | 1.0L |
| 最高出力 | 115ps |
| 最大トルク | 174Nm |
| 駆動方式 | FF |
| トランスミッション | 7速DSG |
ディーゼルについても当初は下表のような1.5L・90PS級のユニットが取り沙汰されていました。ただし実際に欧州で設定されたのは1.6L直列4気筒ディーゼルターボ(1.6 TDI)で、最高出力は95PS。2019年6月に追加されたものの販売は伸びず、その後ラインナップから外れています。欧州では2020年に150PSの1.5 TSIが追加され、パワートレインはガソリンへ収れんしました。「日本にもディーゼルが遅れて導入される」という当時の見立ては実現せず、日本仕様は一貫して1.0TSIのみという結果になっています。
| 型式 | – |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒ディーゼルターボ |
| 排気量 | 1.5L |
| 最高出力 | 90PS |
| 最高トルク | 230Nm |
| 駆動方式 | FF |
| トランスミッション | 7DSG |
VW Tクロス(T-Cross)の欧州受注開始は2018年12月6日・価格帯は17,975ユーロ~26,640ユーロ

Tクロスは2018年12月6日から欧州で受注が始まりました。当時の価格帯は17,975ユーロ~26,640ユーロで、日本円にしておよそ226万円~335万円です。
この時点では「ポロが199万円から、ティグアンが363万円から」という日本での価格構成を踏まえ、Tクロスは250万円前後で登場すると予想していました。実際の導入記念モデルは299万9,000円からで、予想はやや外れた形です。装備を絞った廉価グレードを設けず、安全装備とインフォテインメントを充実させた仕様で導入されたことが主因と見ています。その後も円安と原材料費の高騰による複数回の価格改定が重なり、現在の価格帯は約340万円台からへと上昇しました。
T-Rocの下に位置するコンパクトクロスオーバーSUV Tクロスのモデルチェンジ遍歴
Tクロスはドイツのフォルクスワーゲンが展開するサブコンパクトクロスオーバーSUVで、登場時点ではブランドで最も小さいSUVでした。ポロと同じMQB A0プラットフォームを使い、T-Rocの下、ティグアンよりさらに下のクラスを埋める存在として企画されています。ここでは初代の歩みを古い順に整理します。
T-Cross 初代/2019年~(日本は2020年~)
2018年10月、世界3都市で同時にTクロスがワールドプレミア。欧州では2018年12月6日に受注が始まり、2019年春から本格的にデリバリーが開始されました。欧州では2019年6月に1.6 TDI(95PS)、2020年には1.5 TSI(150PS)が追加されています。
日本では2019年11月27日に発表・受注開始。導入記念の特別仕様車「TSI 1st」(299万9,000円)と「TSI 1st Plus」(335万9,000円)が設定され、2020年1月末から販売が始まりました。
2020年12月、日本仕様に一部仕様変更を実施。日本のフォルクスワーゲン車として初採用となる常時コネクティッド対応の新世代インフォテインメントシステム“Discover Media”を搭載し、デジタルメータークラスター“Active Info Display”を特別装備に追加。あわせてエンブレムの意匠が変更され、ボディカラーにマケナターコイズメタリックがオプション設定されました。
2021年3月、日本仕様のカタログモデルの販売をスタート。「TSI Active」「TSI Style」の2グレードが用意され、5月には「TSI R-Line」を追加。9月の一部仕様変更では、テクノロジーパッケージに同一車線内全車速運転支援システム“Travel Assist”が加わり、安全装備が強化されました。
2022年には4月と8月に仕様・価格の変更が実施されています。
2023年9月25日、日本仕様の特別仕様車「Copper Style」(387万円)を発表し、翌26日から発売しました。
2024年7月3日、マイナーチェンジを発表(7月6日から予約受付、10月1日発売)。灯火類とバンパーを中心に外観を刷新し、内装の質感と運転支援機能を強化。グレードはTSI Active/TSI Style/TSI R-Lineの3本立てで、価格は329万9,000円~389万5,000円となりました。区分としては「マイナーチェンジ」ですが、内外装の作り込みは実質的に大がかりな刷新に近い内容です。
2024年12月20日、価格改定を発表(2025年1月1日実施)。beats sound systemの生産終了に伴い、TSI Styleのデザインパッケージ内容が見直されました。
2025年9月9日、一部仕様変更を発表。TSI Style/TSI R-Lineに総出力300W・8チャンネル・6スピーカーの新サウンドシステムをオプション設定し、ボディカラーの構成も変更しています。
2025年12月19日、価格改定を発表(2026年1月1日実施)。原材料費高騰などを背景に、ポロやゴルフなどと合わせて平均約1.5%引き上げられました。
2026年8月4日、限定車「Premium Sound Edition」を発売。TSI R-Lineをベースにプレミアムサウンドシステムと専用ホイール、ブラックパーツを備え、価格は432万4,000円、限定300台です。
2026年7月現在、Tクロスは初代(2024年マイナーチェンジ後)が現行モデルとして販売中です。フルモデルチェンジは実施されておらず、電動の後継にあたるID. Crossが2026年秋に欧州発売を控えています。
| T-Crossのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代(前期) | 2019年~(日本は2020年1月~) |
| 初代(後期・マイナーチェンジ) | 2024年~(日本は2024年10月1日~) |
| 後継EV「ID. Cross」 | 2026年秋 欧州発売予定 |
気軽に選べるVWのSUV Tクロス(T-Cross)はどこへ向かうのか

コンパクトクロスオーバーSUVといえば、国内ではヴェゼルやヤリスクロス、キックスなどがひしめき、輸入車ではアウディQ2(すでに生産終了)やBMW X1、MINIカントリーマンなどが競合します。かつてフォルクスワーゲンのSUVはティグアンからしか選べませんでしたが、2020年のTクロス上陸によって「もっとも身近なVWのSUV」という選択肢が生まれ、日本上陸から3年連続で輸入SUV登録台数1位という結果につながりました。
パワートレインは現在も1.0Lの3気筒ターボで、WLTCモード燃費17.0km/Lと自動車税の安さから維持費は抑えやすい部類です。一方で、当初「250万円前後」と見込んでいた価格は、円安と原材料費高騰による度重なる改定を経て、現在は約340万円台からという水準になりました。エントリーSUVとしての性格は保ちつつ、価格の立ち位置は確実に上がっています。
そして視線の先にあるのが、2026年秋に欧州発売を控える電動の後継「ID. Cross」です。約28,000ユーロからという価格設定は、フォルクスワーゲンが「安価なEV」の本丸をこのクラスに置いていることの表れでしょう。内燃機関のTクロスがいつまで併売されるかは公式に示されていませんが、ポロとID. Poloが並走している構図を踏まえると、少なくとも数年は現行Tクロスが選べる状態が続くと見ています。日本市場にID. Crossが入るかどうかは、今後の注目点です。





























