トヨタの新型パワートレイン

トヨタの新型パワートレイン(TNGA)まとめ|搭載車種・技術特長・普及状況を解説

トヨタTNGAパワートレインの技術特長から搭載車種の広がりまでを網羅。2024年現在ほぼ全車種に普及し、2026年には次世代EVプラットフォームへの移行も発表済み。最新の展開状況もあわせて確認できます。

トヨタTNGA新型パワートレインの特長まとめ|CVT・エンジン・ハイブリッド・AWD

トヨタは2018年2月、プラットフォーム「TNGA(Toyota New Global Architecture)」のもとで開発した新型パワートレイン群を発表しました。CVT・6速MT・2.0L直噴エンジン・ハイブリッドシステム・新型4WDと、複数のユニットを一斉に刷新し、燃費・走行性能・環境性能の大幅な向上を目指しています。

この記事では、各パワートレインの技術的な特長・スペック・搭載予定車種を詳しく解説します。

新型CVT「ダイレクトシフト-CVT」|世界初の発進用ギヤを搭載

新型無段変速機「Direct Shift-CVT」は、従来CVTの課題だった発進時の伝達ロスを解消するため、乗用車向けCVTとして世界初となる発進用ギヤを採用しました。発進時はギヤ駆動を使い、速度が上がった段階でベルト駆動へ切り替えることで、スムーズな加速と低燃費を両立します。

主な技術改良のポイントは以下の3つです。

  • 発進用ギヤの採用:ベルト効率の低いロー側使用時の伝達力を向上。ギヤとベルトの切り替えには、AT開発で培った高応答変速制御技術を使用。
  • ベルト狭角化:ベルトの角度を従来の11度から9度に縮小し、動力伝達ロスを低減。変速速度も向上。
  • プーリー小型化:発進用ギヤの採用により入力時の負荷が軽減され、プーリーのサイズダウンが可能に。変速応答性が向上。

これらを組み合わせることで、現行モデルと比較して燃費性能が向上し、より力強い加速フィーリングを実現します。

新型6速マニュアルトランスミッション(6MT)|世界トップレベルのコンパクト設計

欧州などMT需要の高い市場に向けて開発された新型6速MTは、従来モデルと比べて全長24mm短縮・質量7kg軽量化を達成し、世界トップレベルのコンパクトサイズを実現しました。トランスミッションの軽量化は車両全体の燃費改善にも直結します。

また、シフトチェンジ時にエンジン回転数を自動で合わせる「iMT(インテリジェントMT)制御」を採用し、不快なショックなくスムーズなシフト操作を可能にしています。

新型6速マニュアルトランスミッションの主要スペック
許容トルク 280Nm
質量 40kg
コントロールタイプ ケーブル式
シンクロ設定 前進段・後進段フルシンクロ

新型2.0L直噴エンジン「ダイナミックフォースエンジン」|最大熱効率40%を実現

新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」は、最大熱効率40%という世界トップレベルの数値を達成した高効率エンジンです。バルブ挟み角の拡大による高度燃焼技術と、電動ウォーターポンプを活用した可変冷却システムの組み合わせで実現しています。

噴射システムには高回転域では直噴のみ、低・中回転域では直噴+ポート噴射を併用する「D-4S」方式を採用。全回転域でのトルク向上と低燃費領域の拡大を両立しています。また、ピストンスカート表面にレーザーでクロスハッチ溝を刻む「レーザーピットスカートピストン」技術により、低フリクション化と耐久性向上も達成しています。

ダイナミックフォースエンジン2.0Lの主要諸元
コンベンショナル用 ハイブリッド用
排気量 1,986cc 1,986cc
内径×行程 80.5mm×97.6mm 80.5mm×97.6mm
圧縮比 13 14
燃料噴射システム D-4S D-4S
最高出力 126kW/6,600rpm 107kW/6,000rpm
最大トルク 205Nm/4,800rpm 108Nm/4,400rpm
排出ガス規制 ULEV50対応 ULEV50対応

新型ハイブリッドシステム「2.0L THS II」|小型化でより軽快な走りを実現

新型「2.0L トヨタハイブリッドシステム(THS II)」は、4代目プリウスで培った軽量化・省エネ技術をベースに、走行性能をさらに高めたシステムです。モーター・ジェネレーター・パワーコントロールユニット(PCU)のすべてを小型化・高効率化しています。

PCUはトランスアクスル上部に搭載するコンパクトレイアウトを採用。新構造のモーターはコイル線量の削減・電磁鋼板の改良・リダクションギヤの平行軸歯車化によって作動中のエネルギーロスを低減しています。また、ハイブリッドシステムの小型化はタイヤの可動域拡大にもつながり、小回り性能の向上にも貢献します。

新型モーター(THS II)の性能
トランスアクスルタイプ 2モーター機械分配式
モータータイプ 交流同期
モーター最高出力 80kW
モーター最大トルク 202Nm

バッテリーは新型Ni-MH(ニッケル水素)バッテリーを採用。従来の1.8Lモデルと比較してセル数を168個から180個に増やし、総電圧も201.6Vから216.0Vに向上しています。電池パックの設計見直しと冷却システムのコンパクト化により、THS II全体の小型化に貢献しています。

従来型と新型バッテリーの比較
従来1.8Lモデル 新型2.0L専用モデル
総電圧 201.6V 216.0V
容量 6.5Ah 6.5Ah
セル数 168個 180個

新型4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」「新型E-Four」|RAV4にも搭載

トヨタは操縦安定性・走破性・低燃費を高次元で両立するため、エンジン車向けとハイブリッド車向けそれぞれに新型4WDシステムを開発しました。

エンジン車向け「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、走行状況に応じて後輪の左右トルクを独立制御するトルクベクタリング機構を採用。前後輪の車輪軸には世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」を装備し、2WD走行時には後輪への動力伝達を切り離す「ディスコネクト機構」によってエネルギーロスを大幅に削減します。

ハイブリッド車向け「新型E-Four」は、後輪を電気モーターで駆動し、そのトルクを従来モデル比1.3倍に増大。走行状況に応じたより精細な後輪制御を実現します。

両システムとも、エンジン・トランスミッション・ブレーキを統合制御する「AWD Integrated Management(AIM)」を採用することで、あらゆる路面でのスムーズな走行を可能にしています。新型RAV4(2019年4月日本発売)にもこの新型AWDシステムが搭載されています。

TNGAパワートレインの普及状況と今後の展開

2018年の発表時点では、エンジン9機種・トランスミッション4機種・ハイブリッドシステム6機種を2021年までに投入する計画でした。その後、計画通りに搭載車種を拡大し、2024年現在は海外モデルを含めるとほぼすべてのトヨタ車がTNGAを採用するまでに普及が進んでいます。発表時に掲げていた「2023年に主要4市場(日本・米国・欧州・中国)での販売比率80%超・CO₂排出量18%以上削減」という目標も、実質的に達成されたと見られています。

電動化の分野でも進化が続いており、EV向けプラットフォーム「e-TNGA」の後継となる次世代EVプラットフォームを2026年から採用することが2023年2月に発表されています。ガソリン車・ハイブリッド車で培ったTNGAの技術思想は、EV・PHV・FCVといった次世代電動車にも継承・発展されており、トヨタの「もっといいクルマづくり」は今後も進化を続けています。