3ナンバーと5ナンバーの違いとは?税金や保険料とは無関係?
ミニバンやセダンなどを購入したいと思うと、「税金のことを考えて5ナンバーのものを選ぶのが良い」「3ナンバーは大きいから運転がたいへん」といったアドバイスをもらうことがあります。
3ナンバーか5ナンバーかを見分けるのは簡単で、車のナンバープレートの右上にある「登録自動車の分類番号」の数字をみます。3から始まれば「3ナンバー=普通乗用車」、5からはじまれば「5ナンバー=小型乗用車」という訳です。
しかし、3ナンバーの車はボディ大きくて、税金や保険料が高い。5ナンバーはコンパクトな車で、維持費も安い。これらはハッキリ言って誤解です。
3ナンバーと5ナンバーの違いを税金・保険料などの費用面を中心に解説します。
3ナンバーか5ナンバーかは車のサイズと排気量によって決まる
3ナンバーか5ナンバーかは、車の大きさと排気量の両方で決まります(ディーゼル車の場合はボディサイズのみで分類)。
5ナンバーの条件は車長4.7m×車幅1.7m×車高2.0m以下のサイズで、排気量は2L以下
トヨタのヴォクシーには5ナンバーと3ナンバーの設定がある。画像は5ナンバーのヴォクシー
以下の条件をすべて満たしていれば5ナンバーですが、車長車・車幅・車高・排気量のうち、どれか1つでも超えていると3ナンバーとなります。
「5ナンバー」登録になる車の条件
- 全長:4700mm以下
- 全幅:1700mm以下
- 全高:2000mm以下
- 排気量(ガソリン車):2000cc以下(※ディーゼル車は制限なし)
- トヨタ…ヴォクシー&ヴォクシーHV(ZSグレードを除く)、ノア&ノアHV(G/X)、エスクァイア、エスクァイアHV、シエンタ、シエンタHV
- 日産…セレナ
- ホンダ…ステップワゴン・フリード、フリードHV
などが5ナンバーのミニバンの代表車種です。
3ナンバーの条件は4.7m×1.7m×2.0m、排気量は2Lをどれか一つでも上回ること
名前はMINIだが車幅が広いので3ナンバー
「3ナンバー」登録になる車の条件
- 全長:4701mm以上
- 全幅:1701mm以上
- 全高:2001mm以上
- 排気量(ガソリン車):2001cc以上(※ディーゼル車は制限なし)
ミニバンを例に挙げると、
- トヨタ…ヴェルファイア、ヴェルファイアHV、アルファード、アルファードHV、エスティマ、エスティマHV、ノア(Si / HYBRID Si / Si GR SPORT)、ヴォクシーZSグレード
- 日産…エルグランド、セレナハイウェスター
- ホンダ…オデッセイ、オデッセイHV、ステップワゴンスパーダ、ステップワゴンHV
- 三菱……デリカD:5
などが3ナンバーのミニバンの代表車種です。
グレードによって3ナンバーと5ナンバー両方にラインナップしている車種もあります。
5ナンバーか3ナンバーかは、車の大きさだけでなく、排気量も基準なのがポイント!
一般的な傾向としては、車両が小さいと排気量も少なくなりますが、例外も多々あります。小型スポーツカーやコンパクトSUVなどはこの部類で、例えボディが小さくても排気量が2000ccを超えるため3ナンバーとなっている車種は少なくありません。
ちなみに4ナンバーは、「小型貨物車」を指し、ボディサイズや排気量は5ナンバーと同じ条件です。また、最近では5ナンバーだけでは桁が足りずに、5ナンバーと同じ規格の自動車は「7ナンバー」と分類している地域もあります。
3ナンバーと5ナンバーは税金が違うの?「5ナンバー=維持費が安い」とは限らない
本題である「5ナンバーだと税金や保険料などの維持費が安く済むか」という話ですが、「そうした傾向が多い。ただし、例外もあるので車種ごとに判断するしかない」というのが結論です。
自動車にかかる税金には以下の3つがあります。
- 自動車取得税:新車・中古車購入時に支払う(2019年10月以降は廃止)。
- 自動車税:毎年払う。4月1日時点の所有者に課税。
- 自動車重量税:購入時と車検時にかかる。
これらの税金が3ナンバーと5ナンバーでどう違うのか、どう関係するのか、解説していきます。現代では3ナンバーや5ナンバーにこだわる必要性がほとんどないことがわかるでしょう。
「自動車取得税」は3ナンバーも5ナンバーも一切関係なく2019年10月に廃止された
自動車の取得税額は車両価格によって決まる
2019年9月までは新車・中古車の購入時には、自動車取得税がかかりました。
しかし、2019年10月の消費税10%引き上げと同時に、自動車取得税は廃止されています。
既に廃止された自動車所得税ですが、これは「車両購入額に対して最大3%」の税金が課される制度です。3ナンバーも5ナンバーもまった関係なかったことを押さえておきましょう。
毎年支払う「自動車税」は排気量によって決まり、3ナンバーだが5ナンバーと同じ納税額の車もある
毎年4月1日時点の自動車保有者が支払う必要がある自動車税。クルマにかかる維持費として真っ先に思い浮かぶ方も多いでしょう。
自動車税は、排気量500cc刻みで納税額が変わってきます。現在は、以下のように区分されています。
総排気量 | 2019年9月30日以前の新規登録車 | 2019年10月1日以降の新規登録車 |
---|---|---|
1,000cc以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1,000cc超~1,500cc以下 | 34,500円 | 30,500円 |
1,500cc超~2,000cc以下 | 39,500円 | 36,000円 |
2,000cc超~2,500cc以下 | 45,000円 | 43,500円 |
2,500cc超~3,000cc以下 | 51,000円 | 50,000円 |
3,000cc超~3,500cc以下 | 58,000円 | 57,000円 |
3,500cc超~4,000cc以下 | 66,500円 | 65,500円 |
4,000cc超~4,500cc以下 | 76,500円 | 75,500円 |
4,500cc超~6,000cc以下 | 88,000円 | 87,000円 |
6,000cc超 | 111,000円 | 87,000円 |
※軽自動車は一律10,800円のため表から除外。
3ナンバーと5ナンバーの違いは、車の大きさと、排気量によって決まります。
そのため、5ナンバーの条件である全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下のどれか1つをオーバーしているため3ナンバーとなっているけれど、「排気量は2000cc以下」の車は、他の5ナンバー車と同じ額の納税額となります。
車検時の「自動車重量税」はクルマの重さで決まるので、3ナンバーか5ナンバーかは直接関係ない
新車・中古車の購入時や車検時には「自動車重量税」を支払う必要があります。
「重量税」は次の車検まで(新車登録の場合は3年分)の金額をまとめて支払い、その後は普通乗用車の場合2年ごとの車検時に払うことになります。
自動車重量税は、その名前の通り「車の重さ」によって税額が変わり、0.5トンごとに増額されています。更に新車登録時からガソリン車は13年以上経過すると支払い払額が大きくなり、18年以上経過すると更に課税されます。
車両重量 | 13年未満 | 13年以上経過 | 18年以上経過 |
---|---|---|---|
0.5トン以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
0.5トン超~1トン以下 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
1トン超~1.5トン以下 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
1.5トン超~2トン以下 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
2.0トン超~2.5トン以下 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
2.5トン超~3.0トン以下 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
3ナンバーかと5ナンバーの違いは、車長・車幅・車高と排気量によるものであり、車両重量は両者の区分には無関係。サイズが大きいと確かに車両重量も増す傾向はあるかもしれませんが、3ナンバーか5ナンバーかは重量税には直接関係していないのです。
3ナンバーと5ナンバーの保険料の違いは?「3ナンバー=保険料が高い」ではない
自動車保険も、税金と同様、3ナンバーか5ナンバーかは関係ありません。自動車の任意保険は、車種(型式)によってランク付けをしているのであり、車のサイズや排気量、ナンバー等で分けている訳ではないのです。
例えば、一般的にはスポーツカーはセダンよりも事故率が高いので、保険料が高くなります。また、盗難率が高い車は、車両保険が高くなる傾向にあります。
3ナンバーと5ナンバーの高速料金は同じ!安く済むのは「軽自動車」だけ
3ナンバーも5ナンバーも高速料金は同じです。
3ナンバーは普通乗用車、5ナンバーは小型自動車に区分されますが、どちらも「普通車」料金として一律。高速道路の通行料金が安くなるのは、軽自動車や二輪自動車のみです。
3ナンバーに「維持費がかかる高級車」のイメージがある理由
3ナンバーは高級で維持費が高い。こう語るのは比較的年配の方が多い印象です。なぜなら昭和の頃は、3ナンバー車には高額な税金が課せられていたため、そうしたイメージが出来上がってしまっているのです。
昭和の自動車税は5ナンバーか3ナンバーかで税額が2倍以上違った
現行の自動車税は1989年(平成元年)に改定されたもので、排気量のみで税額を決定している点が特徴です。
しかし、それ以前は、排気量はもちろんボディサイズも含めて、5ナンバーか3ナンバーかで大きく税額が異なり、3ナンバーの自動車税は高額でした。
排気量 | 税額 | |
---|---|---|
5ナンバー(小型自動車) | 1000cc以下 | 29,500円 |
1000cc超~1500cc以下 | 34,500円 | |
1500cc超~2000cc以下 | 39,500円 | |
3ナンバー(普通乗用車) | 2000cc超~3000cc以下 | 81,500円 |
3000cc超~6000cc以下 | 88,500円 | |
6000cc超 | 148,500円 |
現行の自動車税が排気量2リットルで39,500円、2リットル以上2.5リットル以下で45,000円と年間5,500円程度の差過ぎないのに対し、1989年以前の自動車税では5ナンバー規格か3ナンバー規格かで4万2000円と2倍以上の差があります!
平成元年の自動車税の改定で5ナンバーか3ナンバーかは税額とは無関係に!「憧れの3ナンバー車」が市場に急増!
自動車税の課税額から、昭和時代は3ナンバー車がいかに高級車であり、贅沢品と考えられていたのかが分かります。3ナンバー車は「社長が乗る車」と言われるほど、豊かさを象徴する存在だった訳です。
1989年(平成元年)の自動車税の改定以降、そしてちょうどバブル期だったこともあって、日本では急激に3ナンバー車が普及しました。日産の高級車である3ナンバー車のシーマが飛ぶように売れ、「シーマ現象」という言葉も生まれたほどです。
シーマの初代は1988~1991年販売なので、初期に購入した人は関係ありませんが、1989年(平成元年)以降は、自動車税法の改定も購入の後押しとなったことが想像できます。
自動車税がエンジン排気量のみで計算されるようになり、クルマのデザインはより自由に!
3ナンバーか5ナンバーかで税額が変わっていた昭和の頃は、自動車メーカーは大衆車を作ろうと思ったら車長4.7m×車幅1.7m×車高2.0m以下を厳守する必要がありました。
現代はエンジンは2000cc以下だけど、車幅が1.7mより広いクロスオーバーSUVなども販売されています。自動車税の改定によって日本車のデザインはより自由を得たといっても良いでしょう。
3ナンバーか5ナンバーかより「エコカー減税」や「環境性能割」を気にした方が良い
現代は「3ナンバーだから維持費が高い」「5ナンバーだから税金が安い」とはいえず、こうした分類そのものに昔ほどの意味はありません。車所持によるランニングコストが気になるのなら「エコカー減税」や「環境性能割」について調べた上で、購入を検討した方が有益です。
エコカー減税とは、環境性能の優れたクルマは、自動車取得税、自動車重量税、自動車税を軽減する優遇措置です。記事上で自動車税や自動車重量税の課税表を紹介しましたが、エコカー減税適用車はこれよりも課税額が減額されます。
現行のエコカー減税は2019年3月末で終了し、2019年10月1日の消費税増税にあわせて「環境性能割」という新制度に移行する予定です。既に欧州では、CO2排出量によって自動車税の税額が決められており、こうした流れはますます加速するでしょう。
税金とクルマは切っても切り離せぬ関係で、税法の改定によってクルマも変わってきます。買い時を見逃さないようにしましょう。