軽量ホイールを装着するメリットやデメリットと鍛造法と鋳造法の違い
車を軽量化すると、走行性能がアップして、燃費が改善されるなどのメリットがあります。軽量化するためのスタンダードな方法の一つが「軽量ホイール」の装着です。左右前後のホイールの種類を変えることで、車の軽量化が行えます。
ここでは、軽量ホイールを装着した場合のメリットやデメリット、軽量ホイールを製造するメーカーの多くが採用する鍛造(たんぞう)法と、鋳造(ちゅうぞう)法の違いについても紹介します。
ホイールの軽量化は「ばね下重量」に影響
軽量ホイールを履くとサスペンション(ばね)から下の重量が軽くなる
例えば、10kgの純正ホイールを8kgの社外ホイールへ交換すると、サスペンション周りに設置されるブレーキローターやキャリパー、タイヤやホイールなどを含めたエリアの重さの合計値である「ばね下重量」に影響を与えます。
軽量ホイールを装着して、ばね下重量が軽くなった影響が、メリットとデメリットに結びつきます。
軽量ホイールのメリットは「燃費改善」「操舵性・加速力のアップ」
ホイールを軽くすることで抵抗が減り加速・減速性能が高くなります。また車両重量が軽くなることで燃費も改善するメリットがあります。軽量ホイールにすることでどのようなメリットがあるのか解説します。
バネ下重量が軽くなることで加速性能や減速性能がアップ
軽量ホイールを装着するメリットの一つ目は、加速性能や減速性能がアップすることです。
車の重量が増えるほど、車は動かしにくくなります。ホイールの重量が減れば、その分慣性モーメント(回転運動のしやすさを表す数値)が減り、タイヤは動きやすくなり、車の加速力がアップします。
ホイールは軽い方が回転運動を続けようとする力が弱くなるので、ブレーキペダルを同じ力で踏み込んだ場合、軽量ホイールの方が車は止まりやすくなります。
ステアリング操作がしやすくなる
軽量ホイールを利用して、ばね下重量が減る事でステアリング操作がしやすくなります。
重いものほど、動かしにくいのはステアリングを回すときも同じです。車を移動したい方向へステアリング操作を行うと、連結パーツを通じてつながっているホイールは軽くなるほどステアリングを回しやすくなります。
エネルギーが少なくなるため燃費が改善
重いものを動かすには相応のエネルギーが必要です。車の動力源は燃料です。同一車種・同じ速度という条件下であれば、軽い車の方がエネルギー消費を最小に抑えられるため燃費が良くなります。そのため、軽量ホイールを装着すれば、燃費は改善します。
軽量ホイール装着のデメリットは「ロードノイズ」と「乗り心地」
軽量ホイールを履くことはメリットばかりではありません。バネ下重量のセッティングが甘ければ乗り心地が悪くなり、ロードノイズも増えてしまいます。軽量ホイールを履くことで起こるデメリットを紹介します。
乗り心地が悪くなる
デメリットの一つ目は、乗り心地が悪くなることです。自動車メーカーは、純正あるいはメーカーオプションのホイールを含めた足回りで、最適な乗り心地を体感できるように調整しています。
軽量ホイールを装着して、ばね下重量が変化すれば、セッティングバランスが乱れ、サスペンション等へ影響が及ぶため、車は振動しやすくなります。
ロードロイズが増える
ロードノイズとは、路面とタイヤが摩擦・衝突する事で発生する騒音です。軽量ホイールを装着すれば、重量によって吸収されていた衝撃力が増えるため、地面からのダメージをダイレクトに受けやすくなります。その影響を受けて、タイヤと路面とが接触する音も吸収されにくくなるため、ロードノイズは増えてしまいます。
インチアップを行うときは軽量ホイールがおすすめ
加速・減速性能がアップするなどのメリットは、サーキット走行のような状況下ほど体感しやすくなります。そのため、一般道で走行していると、軽量ホイールのメリットをさほど実感できない事も多々あるでしょう。
軽量ホイールを装着したときのメリットが大きくなるのは、インチアップを行ったときです。14インチから15インチへ、17インチから18インチへインチアップを行えば、使用するタイヤとホイールの重量が増すため、バネ下重量は大きく増加します。
そのため、インチアップをする場合は軽量ホイールで今までのバネ下重量をできるだけ変えないように調整することで、燃費や乗り心地の悪化を最小限にすることが可能です。
軽量ホイールは素材や製造方法にこだわる商品が多い
BBSは軽量な鍛造ホイールにこだわるホイールブランド
純正ホイールよりも軽い軽量ホイールは、素材や製造方法にこだわっている商品が多いです。
純正ホイールの多くは、溶かした金属を型に流し込んで作る鋳造法であるのに対し、軽量ホイールは、金属を高圧プレスしてより手間とコストをかけて成型する鍛造法を採用します。
各社外ホイールメーカーは、「軽量ホイール」の高強度や高性能化を実現するために、航空機に使われる素材を用いたり、モータースポーツで導入する最先端技術を取り入れるなどして、商品づくりにこだわります。そういった付加価値が加わるため、鋳造ホイールと比較すれば、軽量ホイールの販売価格は高額となります。
軽量ホイールの材質はコスパの高い「アルミ」がもっともおすすめ
ホイールに用いられる金属には、鉄、アルミ、マグネシウムなどが存在します。純正ホイールの多くは鉄(スチール)製で、メーカーオプションとしてアルミホイールが設定されているケースが多いです。
軽量ホイールに交換したい場合、1番のおすすめ素材はアルミです。もっとも軽いのはマグネシウムホイールですが、非常に高価ですし、腐食しやすいので、あくまでレーシングカー向きです。
アルミは、鉄よりも強度は劣りますが、軽量で加工しやすい素材のため、コストパフォーマンスに優れています。
一般的に発売されている社外ホイールの多くはアルミ製ですから、価格やデザインなど選択肢も豊富。アルミの加工のしやすさを活かして、鋳造でありながら鍛造並みの軽さを実現している軽量ホイールも存在します。
軽量ホイールで車をカッコ良くカスタマイズ
軽量ホイールは、素材やデザインで徹底的にこだわっている商品が多く、ドレスアップ効果は抜群です。一般道の走行では体感しにくいかもしれませんが、モーターレースに参戦する車と同様の性能を誇る軽量ホイールもラインナップされています。
軽量ホイールは、ただ軽いだけではありません。高強度でデザイン性も優れています。そんな、軽量ホイールで車をカッコ良くカスタマイズしましょう。