フォグランプの必要性

フォグランプとは?設置効果・ルールを知って必要性を考えよう

フォグランプとは、車で走行中に濃霧が発生した吹雪に見舞われている状況下において、視界を確保するための有効な光を照射する光源。LEDランプなどの種類別特徴、自分で設置する場合に守るべきルールを紹介。

フォグランプとは?設置効果・ルールを知って必要性を考えよう

フォグランプとは?設置効果や自分で取り付ける際のルールを知ろう

フォグランプは、濃霧や激しい降雪が発生するなど、気象条件によって運転が困難な状況下において、視界を確保する光を照射してくれる自動車用のアイテムです。お住まいの地域の地理的条件やオフロード走行の頻度によって、その必要性や取り付けを検討する効果が変わってきます。

フォグランプを後付けで購入して設置する際には、車検のルールである保安基準を満たしていなければ、取り付けたことによって車検が通らなくなってしまうことが想定されます。本記事では、フォグランプの設置効果や、車検に通るように自分で取り付ける際のルールを詳しく紹介していきます。

フォグランプとは「前部霧灯」と呼ばれ見通しの悪い濃霧のときに使う光源のこと

フォグランプが付いているスバル アウトバック

フォグランプは、道路運送車両法では「前部霧灯」と呼ばれる自動車のフロント部に設置する補助ランプです。新車購入時に標準装備している車もあれば、ディーラーオプションや、カー用品店で購入した商品を後付けで取り付けるケースもあります。主にフロントバンパー両脇に取り付ける機会が多いフォグランプは、性能面が優れているだけでなく、デザイン面も優れているためアクセサリー感覚で装着される方も増えています。

「フォグ(Fog)」という英単語がランプの前に付いているので、どんな状況下で点灯するランプかは想像がつきます。フォグランプは「濃い霧が発生している」「激しい吹雪が発生している」状況下で、安全運転につながる視界を確保するために効果的な光を照射してくれます。ヘッドライトと異なり、低い位置から広範囲に光を照射することで、悪天候時の視認性を高める効果があります。

フォグランプの光は広角・下方向なので霧や降雪には効果的

フォグランプを付けて走る男性ドライバー

ヘッドライトから放たれる光は、暗闇時には効果的な直線照射性が高いという特徴を持っています。そういった特徴の光を霧や雪によって視界が遮られている状況下で照射してしまうと、空気中にただよう水分子に光が反射してしまい、眩しさも加わり余計に運転しづらい状況を招いてしまいます。これが「乱反射」と呼ばれる現象です。

フォグランプは、悪天候時にランプの光を点灯させても反射が少なく、安全運転につながる視界の確保を可能にしてくれるアイテムです。そのために、レンズの位置を調整して光を近距離に広範囲にわたって照射できるような構造的な特徴をしています。光軸を低く抑えることで、上空の水滴による乱反射を避ける仕組みです。

濃い霧が発生している時には、フォグランプから照射される光は、自車の走行車線を確認する上で非常に効果的です。また、低い位置から光を出すため、対向車に自車の存在を早めに知らせる効果もあります。

フォグランプに使われる「ハロゲン」「HID」「LED」ぞれぞれの特徴

種類が違うフォグランプ

フォグランプにもヘッドランプ同様に「ハロゲン」「HID」「LED」の3タイプの光源が存在します。フォグランプを購入する際は、それぞれのライトがどのような特徴をもっているのかを把握することが重要です。LEDは近年急速に普及し、最も人気のある光源となっています。

ハロゲンランプは低価格だが耐用年数が短いのが特徴

ハロゲンランプが周囲を明るくする仕組みは、白熱電球と同じで、ランプ内部のフィラメントに電気を流した際に発生する高熱が光の素です。白熱電球に比べてハロゲンランプが明るいのは、窒素などの不活性ガスだけでなく、ヨウ素などのハロゲンガスを少量加えることで、フィラメントをより高温にできるからです。これがハロゲンという名前の由来です。

フィラメント素材には耐熱性を有する石英ガラスやセラミック材を用いますが、2,700℃を超える高温によるダメージを受け続けることで、「HIDランプ」や「LEDランプ」に比べると耐用年数は短くなります。メリットは、HIDやLEDと比べると低価格であるという点です。

HIDランプはハロゲンの2倍の明るさと5倍の耐用年数が特徴

HIDランプの「HID」とは High Intensity Discharge の英単語を省略した造語で、高輝度放電ランプを意味します。ディスチャージヘッドランプとも呼ばれるHIDランプは、フィラメントを使用せず、両電極間の放電現象を利用して発光するのが特徴です。発光原理は蛍光ランプと同じ仕組みです。

電極から放たれる電子が対となる極に向かう際に、内部環境が高温・高圧状態に達していれば、混入されている水銀原子などから光の素が放出される物理現象を利用しています。HIDランプはハロゲンランプに比べれば、明るさが2倍ほどで、寿命が5倍ほども長いというメリットがある反面、価格は3倍ほどであるというデメリットもあります。

LEDランプはHIDより耐用年数が長く消費電力が少ないのが特徴

LEDランプの「LED」は Light Emitting Diode を省略した造語で、日本では発光ダイオードを意味します。LEDランプは、HIDランプよりも寿命が長く、消費電力も少なくて済むのが特徴です。そのため、現在では新型車に次々と採用されており、フォグランプとしても主流になっています。取り付けが比較的簡単で、瞬時に点灯するのもメリットです。

LEDランプから照射される光は、HIDよりもさらに直進性が高く光量も優れているなど、ランプとして利便性の高さからHIDランプよりも価格は高いです。ただし、技術革新により、近年は価格が下がり購入しやすくなりました。LEDの普及により、フォグランプの明るさと寿命は大きく向上しました。

フォグランプを設置することで車検が通らなくなることもある

フォグランプの検査をする整備士

純正のフォグランプ以外を後付けで設置した際には、道路運送車両法の保安基準を満たしていなければ、車検が通らなくなってしまいます。フォグランプを後付けで取り付ける際は、この保安基準に適合させるためのルールを厳守することが重要です。カー用品でフォグランプを選ぶ際や、自分で取り付ける際に意識すべきルールは、「ランプの明るさ」「設置場所と個数」「光の色」です。

フォグランプのライトが青過ぎると車検が通らない

フォグランプの明るさについては、保安基準によって具体的な数値は規定されてはいませんが、点灯することにより対向車の運転を妨げてしまうような光を照射してしまうようであれば車検には通らなくなります。これは他のドライバーの視界を奪う危険性があるためです。明る過ぎる製品や、光軸がずれた取り付けは避けるべきです。

ランプの色味を示している数値は「ケルビン(K)」です。一般的に8,000Kを超えると、白色ではなくて青色の光を放出します。青色の光を照射するランプを設置していると、検査官の判断により車検が通らなくなってしまうことが想定されます。保安基準で定められた光の色のルールを満たさなくなるためです。フォグランプを選ぶ際には、色味の数値が6,000K以下の白色、または淡黄色のアイテムから選びましょう!

フォグランプの設置位置は左右対称で3個以上はNG

フォグランプの取り付け位置と個数は、道路運送車両の保安基準、第三十三条(前部霧灯)の3項で細かくルールが規定されています。「前部霧灯は、その性質を損なわないように、かつ、取付位置、取付方法等に関し告示で定める基準に適合するように取り付けられなければならない」と定められています。このルールはフォグランプの取り付けの際の基本となります。

その告示で定める基準とは具体的には以下の通りで、車検に通るために必ず守るべきルールです。

  • 他の車の交通を妨げてはならない
  • フォグランプは左右対称に設置する
  • 同時に3個以上取り付けることは出来ません。
  • 上縁の高さが80cm以下で、下縁の高さは25cm以上
  • 照明部の外縁は車の最も外側から40cm以内の範囲に設置する
  • 白色または淡黄色で、全ての光の色が同一であること

フォグランプの取り付けを自分で行う際は、これらのルールを一つ一つ確認しましょう。

フォグランプの光の色では白や黄色はOKで赤色はNG

白色のフォグランプを装備する車

赤色の光は水分によって反射されにくく、濃霧・吹雪の状況下で映える色なので視認効果は高いですが、保安基準で、赤色光の点灯は尾灯や警告灯など認可されたパーツでしか認められないため、フォグランプの光の色に用いることはできません。フォグランプの色は、白色または淡黄色というルールが定められています。

以前はフォグランプの光の色に黄色もよく利用されていましたが、現在は白色光がほとんどです。光のスペクトルによる物理現象で、波長の長い光ほど水の反射にされにくくなります。白色よりも黄色の方が波長は長く反射されにくい特徴を持っていたため、黄色はフォグランプで利用するには有効な光の色でした。

しかし、最近ではランプの性能が向上したことや、色付きのランプで距離感を把握しにくくなってしまうことが影響して、白色光が増えていきました。その他には、ランプの設置が不安定なもの、ランプが点滅する状態にあれば車検には通りません。自分で取り付ける際は、色や取り付けの安定性もルール通りにしましょう。

フォグランプで安全性を確保するには、相手の車の事も考えよう

フォグランプ

フォグランプは、年間を通じて霧が発生する機会の多い地域や、冬には吹雪いてしまう機会の多い地域に暮らすドライバーにとっては、運転の安全性を確保するために必要なアイテムです。適切なフォグランプの取り付けは、悪天候時の安全に直結します。

購入した車に標準装備されているフォグランプや、純正のフォグランプをディーラーに取り付けてもらうケースでは車検のルールの心配はありませんが、自分で商品を購入して設置するケースでは注意が必要です。特に明るさや色、取り付け位置のルールを再三確認しましょう。

フォグランプは光量がありすぎてしまうと、対向車にとってはさらに運転しにくい状況を招いてしまいます。対向車が運転しにくい状況であるということは、自分の車にとっても危険な状況です。フォグランプを選ぶ際には、自車の視界確保だけでなく、相手の車の視界のことも考えて選ぶことが大切です。