1990年代の日産の車種一覧
「1990年代までに世界一の自動車技術を目指す」という日産901プロジェクトの成果は、80年代後半から90年代前半に販売された車たちに現れており、シルビアS13、180SX、フェアレディZ32、スカイラインR32GT-Rなど、今も名車として名高い車も多数存在します。
一方で、ミニバンやステーションワゴン、そしてクロスオーバーSUVといった形式の車が人気を集めていきます。
NXクーペ(1990~1994)
NXクーペ 13型
サニーをベースにスポーティー路線を目指したサニーRZ-1の後継。コンセプトを変更し「おしゃれでカジュアルな車」路線でフェアレディZ(Z32)のデザインを意識。国内ではやはりスポーティー路線が人気だったため販売は振るわなかったが、北米の若い女性にヒットしたので目的達成。
プリメーラ(1990~2008)/プリメーラカミノ(1995~1999)
プリメーラ P10型
欧州車らしいキビキビした走りを目指して開発し、20~30代の若い世代に人気のセダンに。欧州カー・オブ・ザ・イヤーで2位を獲得するなど、『日産901』の成果が表れ高く評価された。しかし、国内では乗り心地が硬いことへの不満も多く、足回り改良のマイナーチェンジを行った。
※2代目(1995年~)からサニー店で販売された双子車は「プリメーラ カミノ」。フロントグリルなどに違いがあり、1999年に再統合され、プリメーラとなる。
アベニール(1990~2005)
アベニール W10型
欧州や日本の若年層に人気だったプリメーラのワゴン版。日産の正統派ステーションワゴンで、スポーティグレードは2L直4DOHCターボエンジンを搭載。乗り心地・燃費はいまひとつと評されることが多いが、ラゲッジスペースが広く、キャンプやゴルフの相棒にはうってつけ。
プレセア(1990~2000)
プレセア R10型
車高が低く、流麗なスタイリングで女性ドライバーに人気を博した4ドアハードトップ。男性には1年後に追加されたスポーツグレード「ブラックスター」が好評。デザイン重視のため、後部座席は非常に狭く、大柄な人には辛い。カッコよさに振り切ったのでそれで良かった。
フィガロ(1991~1992)
フィガロ FK10型
フィガロ FK10型
日産パイクカーシリーズ第4弾のコンパクトオープンカー(屋根は手動開閉)。日本限定発売だったのだが、後にイギリスでは中古専門店も登場するほど人気が過熱し、エリック・クラプトンやノエル・ギャラガーも買ったらしい。『相棒』の右京さんの愛車でもある。
クエスト(1993~2017)
クエスト V40型
北米向けミニバンだが、日本でも初代のみ日本でも逆輸入され限定販売された。左ハンドル仕様のみで、かなりのレア車。初代はアメリカのフォード・モーター社との共同開発だが、フォード社とマツダの話がまとまらず、最終的に日産が入ったという経緯がある。
ミストラル(1993~2006)
ミストラル R20型
スペイン生産の欧州販売モデルだが、逆輸入の形で日本では1999年まで販売されたSUV。欧州ではテラノⅡ、アメリカのフォードにOEM提供された際には「フォード・マーベリック」という名前が与えられた。
クルー/クルーサルーン(1993~2009)
クルー K30型
クルーは主にタクシー仕様の営業車だが、1994~2002年まで個人向けの乗用車クルー・サルーンとしても販売された。FR式やMT式が存在し、エンジン性能に対して価格が廉価であるため、チューニングカーのベース車としても隠れた人気車種となっている。
ルキノ(1994~2000)
ルキノ クーペ JB14型
クーペとハッチバックが存在。長髪の江口洋介が仲間とわいわいしてるCMから、購買層として20代で初めて車を持つ若者を意識していた模様。1995年にルキノハッチ、1996年にルキノS-Rを追加するも、正直すべてマイナー車。
ラシーン(1994~2000)
ラシーン NB14型 前期型
ラシーン NB14型 後期型
見た目は本格クロカン車に見えるが、日産はあくまでクロスオーバーSUVとして開発し、悪路走破性などは不確かなのであまり無理をさせてはいけない。トヨタに先駆けてドラえもんをイメージキャラとし、「ドラえもんブルー」と呼ばれる青いボディカラーが特に人気!
ステージア(1996~2007)
ステージア WC34型
3ナンバーのステーションワゴン。当時としては珍しくバン設定がなかった。スカイラインやローレルのシャシを採用したスポーティーな走行性能が人気で愛称は「ステジ」。2代目はラゲッジルームを拡大し、より実用性が増した。
セフィーロワゴン(1997~2000)
セフィーロ ワゴン A32型
セフィーロ(セダン)をベースにした3ナンバーのステーションワゴン。ステーションワゴン最盛期に急ピッチで開発を進めた割に完成度が高く、V型6気筒エンジンを搭載したりと後発ゆえのメリットも多かった。ステージアとともに日産最高級ワゴンの仲間入りと上手くやったタイプ。
ルネッサ(1997~2000)
ルネッサ N30型
日産はステーションワゴンと言うが、少しSUV風味でもある。「アルトラEV」を日本向けに転用し、ガソリン車と電気自動車の両方を販売したが、電気格納のため床が高く、乗降性・居住性が悪く不評。最新技術と居住性の両立という課題を残す。
プレサージュ(1998~2009)
プレサージュ U30型
ホンダ・オデッセイの対抗馬として開発した高級ミニバン。しかし「SUV?」とも評されるルネッサをベースにしたため、地上高が高くて不評。高級車からの乗り換え層も狙ったためスライドドアを採用せずやっぱり不評。2代目で低床化し堅実に売ることにした。
ティーノ(1998~2003)
ティーノ V10型
サニーB15型とプラットフォームを共通する乗用車だが、後部シートは着脱でき、商用利用も可能。日産は当初はティーノに本格的なハイブリッドを導入し、官公庁への大量納車を目指したが、燃費向上が上手くいかず、結局限定仕様にとどまった。
ウィングロード(1996~2018)
ウィングロード Y10型
販売当時は室内が狭く、不評だったステーションワゴン。その後、大掛かりなマイナーチェンジやフルモデルチェンジを繰り替えし、3代目(2005~)にしてカローラフィールダーの競合車と認められるに至る。2018年3月生産中止。
バサラ(1999~2003)
バサラ JU30型
プラットフォームはプレサージュと共通。4年で販売終了の不人気車で、カルロス・ゴーン氏とともにやってきた商品企画担当者に「来る前に販売決まってたし」と言い訳された。ユーザーからは「デザインは面白いし、大きな不満点がない」と割と愛されている。
マーチBOX(1999~2001)
マーチBOX K11型
2代目マーチ(K11型)から派生したステーションワゴン。マーチに乗っていた人でも知らない激レア車。ホイールベースはそのままだが、リアを延長しラゲッジルームを拡大。ダブルフォールディングで荷室をフラットにできる。荷物をいっぱい積んでがんばるマーチはかわいい。