フェアレディZの歴代モデルの特徴とは?源流となったダットサン・フェアレディも紹介
フェアレディZは、1969年から現在まで日産が開発・製造を続けるスポーツカーです。世界的にも高い知名度と人気を誇り、「DATSUN Z(ダッツンズィー)」「Z-Car(ズィーカー)」などの愛称で呼ばれています。現行モデルはRZ34型で、日本国外では「NISSAN Z」の名で販売されています。
初代S30型・2代目S130型・3代目Z31型はロングノーズ&ショートデッキの特徴的なスタイリングで、今なおクラシックカーとして根強い人気を誇ります。日産の経営危機からゴーン体制で復活を遂げたZ33型、円熟のスポーツカーとなったZ34型、そしてZ34型を踏襲しつつ洗練・磨き上げを意味する「R(リファイン)」を冠した現行RZ34型まで、すべてのモデルにそれぞれ異なる魅力があります。
本記事では、フェアレディZの全歴代モデルをスペック表と画像つきで解説するとともに、その源流となったダットサン・フェアレディ、車名の由来、歴代車を展示する博物館情報もまとめて紹介します。
フェアレディZの歴代モデルをスペック表と画像つきで解説
フェアレディZは50年以上にわたって6気筒エンジンを搭載し続け(直列6気筒→V型6気筒)、駆動方式は一貫してFRを採用してきたスポーツカーです。各世代の個性と進化の系譜を追いましょう。
初代フェアレディZ S30型(1969~1978年)世界的な大ヒットを記録したZ-Car
初代フェアレディZ S30型 世界的に人気のクラシックカー
S30 ダットサン240Z
S30型 ダットサン260Z
ダットサン・フェアレディの後継として誕生した初の「Z」。ロングノーズ&ショートデッキの美しいシルエットで世界総販売台数55万台を記録し、特に米国で爆発的なヒットを収めて「Z-Car」の愛称がつきました。廉価版Zが84万円・標準車Z-Lが105万円という当時の手頃な価格設定も普及を後押し。漫画・アニメ『湾岸ミッドナイト』の劇中車としても知られています。
| 全長 | 4,115mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,630mm |
| 全高 | 1,290mm |
| ホイールベース | 2,305mm |
| 車両重量 | 1,040kg |
| エンジン型式 | S20 |
| エンジン種類 | 水冷直列6気筒DOHC |
| 総排気量 | 1989cc |
| 最高出力 | 160PS/7000rpm |
| 最大トルク | 18.0kgm/5600rpm |
| サスペンション | 前:ストラット/コイル 後:ストラット/コイル |
| ブレーキ | 前:ディスク 後:LTドラム |
2代目フェアレディZ S130型(1978~1983年)西部警察のスーパーZとして大活躍
S130型 2代目フェアレディZ
S130型ダットサン280ZX Tバールーフを採用
空力改善のため初代より全長を約300mm拡大した2代目Z。国産車初となるTバールーフを採用し、ガルウィング改造車が『西部警察』の劇中車として登場したことで広く知られています。海外では2.8Lターボ「280ZX」が大ヒットし、国内向けには2.0Lターボ「200Z-T」を追加。超ワイドタイヤを装着した迫力あるスタイルも話題を集めました。
| 全長 | 4,620mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,690mm |
| 全高 | 1,305mm |
| ホイールベース | 2,520mm |
| 車両重量 | 1,305kg |
| エンジン型式 | L28E型 |
| エンジン種類 | 水冷直列6気筒SOHC |
| 総排気量 | 2753cc |
| 最高出力 | 145PS/5200rpm |
| 最大トルク | 23.0kgm/4000rpm |
| サスペンション | 前:ストラット/コイル 後:セミトレーリングアーム/コイル |
| ブレーキ | 前:Vディスク 後:ディスク |
3代目フェアレディZ Z31型(1983~1989年)230馬力のパワースペックで他車を圧倒
Z31型 リトラクタブル(パラレルライズアップ)ヘッドランプを採用
Z31型フェアレディZ リアビュー
直列6気筒からV型6気筒エンジンへと変更した初のモデル。3.0LターボモデルでもあるZ31型の「300ZX」は230馬力を発生し、当時のスポーツカー市場で他車を圧倒しました。挑発的なキャッチコピー「較べることの無意味さを教えてあげよう」は、当時ライバルとされた175馬力のトヨタ・セリカXX 2.8GT(5M-G型)を暗に指したものとして有名です。リトラクタブルヘッドランプ(パラレルライズアップ式)を採用した精悍なフロントフェイスも印象的でした。
| 全長 | 4,335mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,725mm |
| 全高 | 1,295mm |
| ホイールベース | 2,320mm |
| 車両重量 | 1,305kg |
| エンジン型式 | VG30ET型 |
| エンジン種類 | V型6気筒SOHCターボ |
| 総排気量 | 2960cc |
| 最高出力 | 230PS/5200rpm |
| 最大トルク | 34.0kgm/3600rpm |
| サスペンション | 前:ストラット/コイル 後:セミトレーリングアーム/コイル |
| ブレーキ | 前:Vディスク 後:ディスク |
4代目フェアレディZ Z32型(1989~2000年)国産車280PS自主規制の礎を作った名スポーツカー
ワイド&ローのスタイルに変更されたZ32型フェアレディZ
Z32型フェアレディZ 10年以上生産が続いた長寿モデル
伝統のロングノーズ&ショートデッキを捨て、ワイド&ローのスタイルへ大幅刷新。3.0LのV6ツインターボエンジンは当初300馬力を予定していましたが、運輸省の指導により280PSに変更されました(輸出仕様は300PS)。これが国産車の馬力自主規制「280PS上限」のきっかけとなりました。四輪マルチリンクサスペンションやSuper-HICASも採用し、走行性能も大幅に向上。10年以上にわたって生産が続いた長寿モデルです。
| 全長 | 4,520mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,800mm |
| 全高 | 1,255mm |
| ホイールベース | 2,570mm |
| 車両重量 | 1,560kg |
| エンジン型式 | VG30DETT |
| エンジン種類 | V型6気筒DOHCターボ |
| 総排気量 | 2960cc |
| 最高出力 | 280PS/6400rpm |
| 最大トルク | 39.6kgm/3600rpm |
| サスペンション | 前:マルチリンク式 後:マルチリンク式 |
| ブレーキ | 前:Vディスク 後:Vディスク |
5代目フェアレディZ Z33型(2002~2008年)空白2年の末に復活したZの再出発
コンプリートカー フェアレディZ Version NISMO
Z33 日産350Z
2003年にロードスターも追加
Z32生産終了から2年のブランクを経て復活したZ33型。日産の経営再建を指揮したゴーン体制のもとで開発された復活モデルです。国内では4人乗り仕様を廃止し、純粋な2シータースポーツカーへ回帰。3.5LのV6エンジン(VQ35DE型)を搭載して最高出力280PSでデビューし、後に馬力自主規制の撤廃とエンジンのVQ35HR型への変更により313PSへと向上しました。空力性能も大幅に改善され、Cd値0.30を達成。2003年にはロードスターも追加されました。
| 全長 | 4,315mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,840mm |
| 全高 | 1,315mm |
| ホイールベース | 2,650mm |
| 車両重量 | 1,510kg |
| エンジン型式 | VQ35HR型 |
| エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
| 総排気量 | 3498cc |
| 最高出力 | 313PS/6800rpm |
| 最大トルク | 36.5kgm/4800rpm |
| サスペンション | 前:マルチリンク式 後:マルチリンク式 |
| ブレーキ | 前:Vディスク 後:Vディスク |
6代目フェアレディZ 前期型 Z34型(2008~2020年)ホイールベースを短縮し伝統のロングノーズを再現
Z34型 6代目 前期型フェアレディZ
Z34型フェアレディZ リアビュー
フェアレディZ 50th Anniversary
Z33からホイールベースを100mm短縮することで、歴代Zの象徴であるロングノーズを表現。3.7LのV6自然吸気エンジン(VQ37VHR型)を搭載し、最高出力は336馬力(NISMOは355馬力)。2019年にはZ誕生50周年を記念した特別モデル「50th Anniversary」が発売され(価格466万円)、歴代カラーを纏ったボディが話題を呼びました。Z34型は後継のRZ34型へと引き継がれ、現在は生産終了しています。
6代目フェアレディZに搭載されているVQ37VHR型エンジン
| 全長 | 4,260mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,845mm |
| 全高 | 1,315mm |
| ホイールベース | 2,550mm |
| 車両重量 | 1,500kg |
| エンジン型式 | VQ37VHR型 |
| エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
| 総排気量 | 3696cc |
| 最高出力 | 336PS/7000rpm |
| 最大トルク | 37.2kgm/5200rpm |
| サスペンション | 前:ダブルウィッシュボーン 後:マルチリンク式 |
| ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク式 後:ベンチレーテッドディスク式 |
6代目フェアレディZ 後期型 RZ34型(2022年~)歴代フェアレディZへのオマージュが凝縮された現行モデル
Z34型 6代目 後期型フェアレディZ
6代目 後期型フェアレディZのサイド
6代目 後期型フェアレディZのリヤ
6代目 後期型フェアレディZのホイール
フェアレディZ NISMO(2024年モデルとして設定)
初代S30型のロングノーズ&ショートデッキを継承しつつ、LEDのリアコンビネーションランプは2重リング発光でZ32型を想起させるデザインを採用。リアゲート右側の「Fairlady Z」バッジは初代と同じ書体が使われるなど、歴代フェアレディZへの深いオマージュが随所に込められています。エンジンはZ34型の3.7L自然吸気から、3.0L V6ツインターボ(VR30DDTT型)へと刷新され、最高出力は405PSと先代を大幅に上回ります。トランスミッションは6速MTと9速ATを設定(NISMOは9速ATのみ)。
2024年4月には最上級グレード「NISMO」が追加設定されました。専用チューニングにより420PS/53.0kgmを発揮し、レカロ製スポーツシートや専用エアロパーツなどが奢られた仕上がりで、価格は約920万円です。また、2025年モデルではボディカラーが刷新され全11色となり、SOSコールが全グレードに標準装備されています。
| 全長 | 4,380mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,845mm |
| 全高 | 1,315mm |
| ホイールベース | 2,550mm |
| 車両重量 | 1,590kg |
| エンジン型式 | VR30DDTT |
| エンジン種類 | V型6気筒DOHCツインターボ |
| 総排気量 | 2997cc |
| 最高出力 | 405PS(298kW)/6400rpm |
| 最大トルク | 48.4kgf・m(475N・m)/1600〜5600rpm |
| サスペンション | 前:ダブルウィッシュボーン式 後:マルチリンク式 |
| ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク式 後:ベンチレーテッドディスク式 |
フェアレディZの源流「ダットサン・フェアレディ」とはどんな車?
フェアレディZの源流は、1952年登場の「ダットサン・スポーツ」まで遡ることができます。1952年にダットサン・スポーツが発売され、その後継モデルに「フェアレディ(当時の表記はフェアレデー)」と命名。この車が「フェアレディZ」へと繋がっていきます。
ダットサン・スポーツ DC-3(1952~1954年)国産車で初めて「スポーツ」を名乗った車
国産スポーツカーの元祖ダットサン・スポーツ DC-3
フェアレディZの源流であり、元祖国産スポーツカー。860cc直列4気筒エンジンを搭載した4人乗りコンバーチブルで、イギリスの名門スポーツカーブランド「MG」のTシリーズを目標に開発されましたが、総生産台数は50台程度と極めて少数でした。最高速度は80km/h。
ダットサン・スポーツ1000 S211型(1959年)改良により性能アップ
4人乗りコンバーチブル ダットサン・スポーツ1000
ダットサン・スポーツ1000の内装
ダットサン・スポーツ DC-3の後継モデル。4人乗りのオープンカーで、1.0Lの直列4気筒OHVエンジンを搭載。最高出力34馬力・最高速度115km/hと、先代から大幅に性能が向上しました。シャシはダットサン・トラック220型系を流用しています。
ダットサン・フェアレディ(1960~1970年)フェアレディZの前身となった名クラシックスポーツカー
ダットサン・フェアレデー1200
SP310型ダットサン・フェアレディ
SR311型ダットサン・フェアレディ2000
1960年にSPL212型「フェアレデー1200」として発表されたクラシックスポーツカー。車名はミュージカル『マイ・フェア・レディ』に由来しており、国内最速記録を樹立するほどのパフォーマンスを誇りました。その後フェアレディ1500・1600・2000と進化を遂げ、1969年に後継の「フェアレディZ」が誕生しました。
余談ですが、日産の直営ショールームには1963年より「ミス・フェアレディ」と呼ばれる広報部員が存在しています。その名前の由来はもちろん「フェアレディ」から。「フェアレディ」「フェアレディZ」が昔から日産の看板車種であり続けていることの証です。
フェアレディZの車名の由来 フェアレディはミュージカル、Zは究極を意味
フェアレディZの「フェアレディ」は、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』に由来しています。当時の日産社長だった川又克二氏がブロードウェイでの公演に感激したことから、1960年発売のスポーツカーに洗練された美を追求してほしいという願いを込めて「ダットサン・フェアレディ」と命名しました。
その「ダットサン・フェアレディ」が後継モデル「フェアレディZ」へと発展します。この「Z」とは、アルファベットの最後の文字であることから「それ以上ない=究極」を意味すると日産は説明しています。つまり、「フェアレディZ」には「究極の美を追求するスポーツカー」という意味が込められているわけです。
フェアレディZの歴代モデルを実車で見られる日産ヘリテージコレクション
フェアレディZの歴代モデルを実車で見たいなら、神奈川県座間市にある日産ヘリテージコレクションがおすすめです。完全予約制ですが入場無料で、常時約300台の名車が並ぶ壮観な展示は圧巻のひとことです。フェアレディZ・ダットサン・フェアレディをはじめ、スカイライン・シルビア・セドリックなど、1960〜90年代の名車が数多く展示されています。Zのファンなら一度は訪れたい場所です。
半世紀以上続くフェアレディZは日本国内外で支持される大人気の名車

フェアレディZは日本国内にとどまらず、海外でも高く支持されるスポーツカーです。現行モデルはRZ34型(6代目後期型)で、3.0L V6ツインターボが生み出す405PSのパワーと歴代Zへのオマージュを凝縮したデザインが大きな魅力です。
リアゲート右側の「Fairlady Z」バッジは初代S30型と同じ書体を踏襲し、横長のテールランプはZ32型を想起させるなど、エクステリア・インテリアともに歴代フェアレディZへのリスペクトが随所に見られます。2024年にはRZ34型をベースにしたNISMOも設定され、今後もファンの注目を集め続けることは間違いないでしょう。




























