フェアレディZの歴代モデルの特徴とは?源流となったダットサン・フェアレディも紹介
フェアレディZは、1969年から現在まで日産が開発・製造を続けるスポーツカーです。世界的にも高い知名度と人気を誇り、「DATSUN Z(ダッツンズィー)」「Z-Car(ズィーカー)」などの愛称で呼ばれています。2022年の現行モデル、6代目後期型RZ34型は、日本国外で「NISSAN Z」の海外名で販売されています。
初代S30型、2代目S130型、3代目Z31型はロングノーズ・ショートデッキの特徴的なスタイリングで今なおクラシックカーとして高い人気。そのスタイリングを継承しつつ、躍動感ある現代風なフォルムを追求したZ34型も、バブル期の華やかなスポーツカー文化とともに記憶に残る1台です。
日産の経営危機からゴーン体制で復活を遂げたZ33型、そして円熟のスポーツカーとなったZ34型、Z34型を踏襲し、洗練や磨き上げられたという意味をもつ「R(リファイン)」を冠したRZ34型など、全モデルそれぞれに異なった魅力があるフェアレディZ。歴代モデルの特徴と歴史を振り返りましょう!
フェアレディZの歴代モデルを画像とスペック表つきで解説
フェアレディZの歴代モデルを紹介します。
フェアレディZは直列6気筒から、V型6気筒エンジンへの変更はありましたが、50年以上6気筒エンジンを搭載し、駆動方式は変わらずFRです。
初代フェアレディZ S30型(1969~1978年)世界的な大ヒットを記録したZ-CAR
初代フェレディZ S30型 世界的に人気のクラシックカー
S30 ダットサン240Z
S30型 ダットサン260Z
ダットサン・フェアレディに替わって発売された初の「Z」。世界総販売台数55万台、特に米国で大ヒットし「Z-Car」の愛称がつく。廉価版Z84万円、標準車Z-L105万円は当時としても安価。『湾岸ミッドナイト』劇中車。
全長 | 4,115mm |
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全幅 | 1,630mm |
全高 | 1,290mm |
ホイールベース | 2,305mm |
車両重量 | 1,040kg |
エンジン型式 | S20 |
エンジン種類 | 水冷直列6気筒DOHC |
総排気量 | 1989cc |
最高出力 | 160PS/7000rpm |
最大トルク | 18.0kgm/5600rpm |
サスペンション | 前:ストラット/コイル 後:ストラット/コイル |
ブレーキ | 前:ディスク 後:LTドラム |
2代目フェアレディZ S130型(1978~1983年)西部警察のスーパーZとして大活躍
S130型 2代目フェアレディZ
S130型ダットサン280ZX Tバールーフを採用
空力改善のため初代より全長300mm拡大された2代目Z。国産車初Tバールーフが存在&ガルウィング改造車が『西部警察』劇中車に。海外では2.8Lターボ「280ZX」が大ヒット。国内向けには2.0Lターボ「200Z-T」を追加し、超ワイドタイヤを装着。
全長 | 4,620mm |
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全幅 | 1,690mm |
全高 | 1,305mm |
ホイールベース | 2,520mm |
車両重量 | 1,305kg |
エンジン型式 | L28E型 |
エンジン種類 | 水冷直列6気筒SOHC |
総排気量 | 2753cc |
最高出力 | 145PS/5200rpm |
最大トルク | 23.0kgm/4000rpm |
サスペンション | 前:ストラット/コイル 後:セミトレーリングアーム/コイル |
ブレーキ | 前:Vディスク 後:ディスク |
3代目フェアレディZ Z31型(1983~1989年)230馬力のパワースペックで他車を圧倒!
Z31型 リトラクタブル(パラレルライズアップ)ヘッドランプを採用
Z31型フェアレディZ リアビュー
直6からV6エンジンへ変更。3.0Lターボモデル「300ZX」は230馬力を発生。挑発的なキャッチコピー『較べることの無意味さを教えてあげよう』は、当時ライバルとされた175馬力の「トヨタ・セリカXX2.8GTの5M-G」を暗に指している。
全長 | 4,335mm |
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全幅 | 1,725mm |
全高 | 1,295mm |
ホイールベース | 2,320mm |
車両重量 | 1,305kg |
エンジン型式 | VG30ET型 |
エンジン種類 | V型6気筒SOHCターボ |
総排気量 | 2960cc |
最高出力 | 230PS/5200rpm |
最大トルク | 34.0kgm/3600rpm |
サスペンション | 前:ストラット/コイル 後:セミトレーリングアーム/コイル |
ブレーキ | 前:Vディスク 後:ディスク |
4代目フェアレディZ Z32型(1989~2000年)280PS自主規制を作った名スポーツカー
ワイド&ローのスタイルに変更されたZ32型フェアレディZ
Z32型フェアレディZ 10年以上生産が続いた長寿モデル
伝統のロングノーズ&ショートデッキではなく、ワイド&ローに大幅変更。3.0リッターV6ツインターボは当初300馬力の予定だったが、運輸省の指導で280PSに変更。輸出仕様は300PS。四輪マルチリンクサスペンションやSuper-HICASも採用。
全長 | 4,520mm |
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全幅 | 1,800mm |
全高 | 1,255mm |
ホイールベース | 2,570mm |
車両重量 | 1,560kg |
エンジン型式 | VG30DETT |
エンジン種類 | V型6気筒DOHCターボ |
総排気量 | 2960cc |
最高出力 | 280PS/6400rpm |
最大トルク | 39.6kgm/3600rpm |
サスペンション | 前:マルチリンク式 後:マルチリンク式 |
ブレーキ | 前:Vディスク 後:Vディスク |
5代目フェアレディZ Z33型(2002~2008年)…空白2年の末の復活モデル
コンプリートカー フェアレディZ Version NISMO
Z33 日産350Z
2003年にロードスターも追加
Z32から2年の時を経て復活。国内では4人乗り仕様を廃止。当初は 3.5LのV6エンジンVQ35DE型を搭載し、最高出力は280PS。後に自主規制枠撤廃&VQ35HR型エンジンへの変更により313PS。空力性能は大幅に向上し、Cd値0.30を記録。
全長 | 4,315mm |
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全幅 | 1,840mm |
全高 | 1,315mm |
ホイールベース | 2,650mm |
車両重量 | 1,510kg |
エンジン型式 | VQ35HR型 |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
総排気量 | 3498cc |
最高出力 | 313PS/6800rpm |
最大トルク | 36.5kgm/4800rpm |
サスペンション | 前:マルチリンク式 後:マルチリンク式 |
ブレーキ | 前:Vディスク 後:Vディスク |
6代目フェアレディZ 前期型 Z34型(2008~2020年)…ホイールベースを短縮し伝統のロングノーズを再現!
Z34型 6代目 前期型フェアレディZ
Z34型フェアレディZ リアビュー
フェアレディZ 50th Anniversary
6代目フェアレディZ。Z33からホイールベースを100mm短縮し、伝統のロングノーズを表現。排気量3.7LのV6エンジン搭載し、最高出力は336馬力(NISMOは355馬力)。2019年Z誕生50周年記念モデル「50th Anniversary」を発表。価格466万円。
6代目フェアレディZに搭載されているVQ37VHR型エンジン
全長 | 4,260mm |
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全幅 | 1,845mm |
全高 | 1,315mm |
ホイールベース | 2,550mm |
車両重量 | 1,500kg |
エンジン型式 | VQ37VHR型 |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
総排気量 | 3696cc |
最高出力 | 336PS/7000rpm |
最大トルク | 37.2kgm/5200rpm |
サスペンション | 前:ダブルウィッシュボーン 後:マルチリンク式 |
ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク式 後:ベンチレーテッドディスク式 |
6代目フェアレディZ 後期型 RZ34型(2022年~)…歴代フェアレディZへの敬意と賛辞が込められたシルエットに!
Z34型 6代目 後期型フェアレディZ
フェアレディZの2024年モデルで追加したフェアレディZ NISMO
初代フェアレディZ S30型のロングノーズとショートデッキを継承し、LEDのリヤコンビネーションランプは2重リング発光で、4代目のZ32型を思わせる。歴代フェアレディZへのオマージュが込められて生まれた美しいスタイリングが特徴。
また、2024年モデルとしてRZ34型をベースとした「NISMO」が復活設定された。
全長 | 4,380mm |
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全幅 | 1,845mm |
全高 | 1,315mm |
ホイールベース | 2,550mm |
車両重量 | 1,590kg |
エンジン形式 | VR30DDTT |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
総排気量 | 2,997L |
最高出力 | 298kw/6400rpm |
最大トルク | 48.4kgf・m/1600-5600rpm |
サスペンション | 前:ダブルウィッシュボーン式 後:マルチリンク式 |
ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク式 後:ベンチレーッテッドディスク式 |
フェアレディZの源流「ダットサン・フェアレディ」とはどんな車?
フェアレディZの源流は、1952年登場の「ダットサン・スポーツ」まで遡ることができます。
1952年にダットサン・スポーツが発売され、その後継モデルに「フェアレディ(当時の表記はフェアレデー)」と命名。この車が「フェアレディZ」へと繋がっていきます。
ダットサン・スポーツ DC-3(1952~1954年)国産車で初めて「スポーツ」を名乗った車
国産スポーツカーの元祖ダットサン・スポーツ DC-3
フェアレディZの源流かつ元祖国産スポーツカー。860cc直列4気筒エンジンを搭載、4人乗りのコンバーチブル。イギリスのスポーツカーブランド「MG」のTシリーズを目標にしたが、総生産台数は50台程度。最高速度は80km/h。
ダットサン・スポーツ1000 S211型(1959年)改良により性能アップ!
4人乗りコンバーチブル ダットサン・スポーツ1000
ダットサン・スポーツ1000の内装
国産スポーツカーの源流ダットサン・スポーツ DC-3の後継。4人乗りのオープンカーであり、1.0Lの直列4気筒OHVエンジンを搭載。最高出力34馬力、最高速度は115km/h。シャシはダットサン・トラック 220型系の流用。
ダットサン・フェアレディ(1960~1970年)フェアレディZの前身、名車クラシックスポーツカー
ダットサン・フェアレデー1200
SP310型ダットサン・フェアレディ
SR311型ダットサン・フェアレディ2000
国内最速記録を樹立したクラシックスポーツカー。1960年SPL212型「フェアレデー1200」を発表。車名はミュージカル『マイ・フェア・レディ』に由来。その後フェアレディ1500、1600、2000と進化を遂げ、69年に後継「フェアレディZ」が誕生。
余談ではありますが、日産の直営ショールームには1963年より「ミス・フェアレディ」と呼ばれる広報部員が存在します。名前の由来は、当然この「フェアレディ」から。
現代ではスポーツカーのニーズが低く、売上も好調とは言えませんが、「フェアレディ」「フェアレディZ」が昔から日産の看板車種だということがよくわかります。
フェアレディZ車名の由来 フェアレディはミュージカル、Zは究極を意味
先述した通り、フェアレディZのフェアレディは、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』に由来しています。当時の日産社長だった川又克二氏がブロードウェイで公演を見て感激したことから、1960年発売のスポーツカーに、洗練された美を追求してほしいと「ダットサン・フェアレディ」と命名しました。
その後「ダットサン・フェアレディ」は、後継モデル「フェアレディZ」となるのですが、このZとは、アルファベットの最後であることから、それ以上ないこと、つまり「究極」を意味すると日産は語っています。
つまり、「フェアレディZ」には、究極の美を追求するスポーツカーという意味が込められているのです。
フェアレディZの歴代モデルを見られる日産ヘリテージコレクション
フェアレディZの歴代モデルの実物をみたいなら、日産神奈川県座間工場内にある日産ヘリテージコレクションがおすすめです。完全予約制ではありますが、料金は無料で、常時300台の名車が並ぶ光景はまさに圧巻!
フェアレディZ、ダットサン・フェアレディだけでなく、スカイライン、シルビア、セドリックなど、60~90年代の名車が数多く展示されています。
半世紀以上続くフェアレディZは日本国内外で支持される大人気の名車
フェアレディZは日本国内にとどまらず、海外でも高く支持される大人気のスポーツカーです。6代目Z34型を前期とし、6代目後期型RZ34型が現行型となります。
初代S30型のアイデンティティともいえるロングノーズや長方形型グリルのスタイルを踏襲しており、リアゲート右側に装着されている「Fairlady Z」のバッジは、S30型と同じ書体で、初代フェアレディZに対するリスペクトが感じられます。その他にも横長のテールランプはZ32型に似ており、インテリアもモダンで機能的になっています。エクステリアとインテリア、共に歴代のフェアレディZへのオマージュが込められているのが見て取れます。
また、2024年にはRZ34型をベースとしたNISMOの復活設定もあり、すでに伝説となること間違いなしのフェアレディZから目が離せません。