日産IDxとは?エクステリア・インテリア・パワートレインなど
「IDx(アイディーエックス)」とは、2013年の東京モーターショーで発表された2ドアFRクーペのコンセプトモデルです。2017年には映画「ワイルドスピード アイスブレイク」に登場したことでも話題となりました。
当時の東京モーターショーに出展されたのは、ベーシックなカジュアルスタイルの「IDx Freeflow(アイディーエックス フリーフロー)」と、レーシーなスポーティーモデル「IDx Nismo(アイディーエックス ニスモ)」の2台。車名の由来となっているのは、アイデンティティの略語「ID」と未知の変数「x」による造語です。
東京モーターショー2013で発表されたコンセプトモデル「IDx」は新型シルビアとして登場するのではないかと期待されていた
IDx Nismoは3代目ブルーバード(510系)のデザインを踏襲したとされています。また、フロントマスクが初代シルビアをイメージさせるデザインだったことから、近い将来IDxをベースとした次期シルビアが登場するのではないかと多くのファンが沸き立ちました。
それに対し、当時のチーフクリエイティブデザイナーである中村史郎氏が「現時点でIDxを市販する計画はない」と発言したため、小型FRクーペ復活の噂は一旦収束しました。しかし、その後もIDx市販化の噂は浮かんでは消え、を繰り返している状況です。
IDxが発表されて数年が経過した現在、本当に市販化の可能性はないのか、IDxのエクステリアやインテリア、スペック等に触れながら考察します。
IDxフリーフローとIDx Nismoのエクステリアは若者の心に響く「フレキシブルな箱」を表現
IDxフリーフローとIDx Nismo は、1990年代以降に誕生したジェネレーションXのユーザー、デジタルネイティブに向けて開発されました。サイドとトップを分割するパーティングラインを採用し、メリハリのある箱型シルエットを実現。また、ドアパネルやフェンダーによりキャビンを挟み込む「サンドイッチ構造」とし、デザイン性の自由度を高めているのが特徴です。
シンプルで角ばったボディシルエットが印象的なIDxフリーフローのエクステリア。ボディサイズは全長が約4.1m、全幅が約1.7m、全高が約1.3mというコンパクトサイズに納めています。亜麻色をベースにホワイトを組み合わせたナチュラルなボディカラーで、ユーザーの日常に優しく溶け込みます。
ホイールサイズは18インチで、高級感のあるクロームホイールを装着。先進的でありながら、どこかレトロな雰囲気のデザインです。
IDx NismoはBREカラーに逆スラントノーズを採用したレーシーなスタイリング。ボディサイズは全長約4.1m、全幅約1.7m、全高約1.8mと、フリーフローよりもワイドandローなスポーティースタイルです。
また、IDx Nismoには225/40タイヤと軽量性を追求した19インチホイールを用意。ホイールの奥川には、ボディに合わせたレッドのブレーキキャリパーも確認できます。
また、官能的なサウンドを響かせる2本出しサイドマフラーをそれぞれ左右両側に搭載。過激な見た目でもユーザーの心を満たします。
IDxフリーフローはベージュカラーでモダンな車内に IDx Nismoのインテリアはレーシーで特別感のあるデザイン
それぞれ異なるテイストに仕上がっているIDxフリーフローとIDx Nismo。どちらのインテリアもシンプルですが、実用性とデザイン性を備えた機能美を追求しています。
亜麻色のボディカラーに合わせ、IDxフリーフローの室内にはベージュのインテリアカラーを採用。メッキ調のガーニッシュを散りばめ、上質で高級感のあるスタイルとしています。
操作性に優れた真円形のステアリングを搭載し、ダッシュボードは水平基調で整頓されています。アナログ時計風のセンターモニターと時計のようなデザインのメーターは視認性が高く、運転に集中しながら走行情報を確認できます。
IDxフリーフローのシートには洗いざらし感のあるデニム生地を採用しており、アクセントとしてベージュのステッチが丁寧にあしらわれています。カジュアルで若者に親しみやすさを感じさせるスタイルながらも安っぽさを感じさせない、センスの光るデザインです。
IDx Nismoのインテリアは、レーシーなレッドのインテリアカラーに精悍さを与えるカーボン調パーツを組み合わせるほか、メカニックな計器類を搭載。走りへの期待感を高めるヘリテイジデザインとなっています。シートやインパネ、センターコンソールにはnismoのロゴが散りばめられていて、運転席の足元には、銀色に鈍く光るスポーツペダルが確認できます。
IDx Nismoには鮮やかなレッドのアルカンターラ生地を使用したスポーツシートを搭載。本物志向のユーザーを満足させる高い質感と居住性の高さを備えます。
IDxフリーフローとIDx Nismoのパワートレインをチェック
日産IDxフリーフローのパワートレインには、1.2~1.5LのガソリンエンジンにトランスミッションCVTを設定。優れた燃費性能と力強い加速性能を両立しています。
IDx Nismoは1.6L直噴ターボエンジンを心臓部に置き、シンクロレブコントロールつき6速マニュアルモード搭載CVTを組み合わせます。車を自分の手で自在に操る楽しさを体感できる一台です。
日産IDxの市販化がなかなか進まない理由は?
IDxが市販化された場合、トヨタ・86やスバル・BRZ、マツダ・ロードスターなどのFR小型スポーツクーペのセグメントに該当します。
市販化が実現すれば話題を呼ぶことは間違いありませんが、スモールスポーツの市場は小規模なため、長い目で見て販売台数を伸ばせるかと言えばなかなか難しいところ。また、コンパクトサイズのFRプラットフォームを展開すれば大きなコストがかかるということも、日産がIDxの市販化を進めない理由のひとつであると推測されます。
IDxの今後の市販化の可能性は?e-POWERを搭載し次世代FRとして登場するとの噂も!
IDxの市販化について、現時点では公式からのアナウンスはありませんが、日産自動車は2022年までに電気自動車やe-POWER搭載車などの電動車両を年間で100万台販売すると発表しています。
IDxについても、「日産セレナやノートに採用されているe-POWERを導入すれば、エンジンをフロントに、モーターをリヤシート下にレイアウトしてFRを成立させることが可能になる」との見方もあります。
また、年々、車の騒音や燃費の規制が厳しくなっていることからも、燃費性能と静粛性を両立したe-POWERをスポーツカーにも採用するというのはごく自然な流れと言えるでしょう。e-POWERの搭載で、2013年登場時よりもパワーアップした進化版IDxの市販化が数年のうちに現実のものとなるかもしれません。あくまで推測の域を出ませんが、もし登場する場合、2025年頃までには何らかの情報が解禁される可能性が高いでしょう。