三菱のクロスオーバーMPV「エクスパンダー」の特徴に迫る
三菱自動車は、2016年のインドネシア国際オートショーで世界初披露した「XMコンセプト」をベースに、2017年のインドネシア国際オートショーで市販化モデル「エクスパンダー」を世界初公開し、2017年10月から販売を開始しました。
エクスパンダーは、MPV(Multi-Purpose Vehicle)の名のとおり、多彩な使い方ができるよう7人乗りかつSUVのスタイルを備えています。普段の買い物やドライブに加え、アウトドアやウィンター・サマースポーツにも使える1台です。
子どものいる家庭をターゲットとし、最低地上高は205mmと高め。郊外の未舗装路や突然のスコールにも対応できます。雪の降る地域が多い日本でも、その地上高の高さは活きるはずですが、後述のとおり、日本では正規販売されていません。ここでは、エクスパンダーのエクステリアやインテリア、搭載エンジンなどを紹介します。
エクスパンダーは2024年にHEVを追加、2025年には改良モデルも ただし日本導入は実現せず(2026年時点)
三菱のクロスオーバーMPV「エクスパンダー」は、2017年のインドネシア発売以来、アセアンを中心に中南米・中東などへと販売地域を広げてきました。2024年2月にはタイで、シリーズ初のハイブリッド「エクスパンダーHEV」「エクスパンダークロスHEV」を発売。2025年6月にはインドネシアで改良モデルも発表され、進化を続けています。三菱によれば、エクスパンダーシリーズはトライトン、アウトランダーに次ぐ規模を売る世界戦略車へと成長しました。
一方、日本市場への導入は、記事執筆当時から「可能性が高い」と期待されてきましたが、2026年7月時点でも実現していません。三菱は日本でエクスパンダーを正規販売しておらず、あくまでアセアン地域を主戦場とするモデルにとどまっています。それでも、日本の自動車ファンや一部メディアからは、依然として導入を望む声が上がっています。
三菱初のストロングHEVを搭載 新開発1.6Lエンジン+モーターで税制面でも有利
2024年2月にタイで世界初披露されたエクスパンダーHEV/エクスパンダークロスHEVは、三菱として初のストロングハイブリッドです。アウトランダーPHEV由来のシステムをベースに、新開発の1.6L直列4気筒エンジンとモーター、容量1.1kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、前輪駆動ながらAYC(アクティブヨーコントロール)を初採用しました。任意でEV走行を選べる点や、天候・路面に応じた7つのドライブモードも特徴です。ハイブリッド優遇税制のあるタイでは、ガソリン上級モデルに近い価格を実現し、発売以来、月1,000台以上と好調に推移しています。
デザインを一新したエクスパンダークロスを2022年8月12日にインドネシア国際オートショーで発表し、同国で販売を開始
デザインを一新したエクスパンダークロス
2022年8月12日、三菱自動車はインドネシア国際オートショーで、デザインを新たにしたエクスパンダークロスを発表し、同国での販売を開始しました。デザインの一新とともに、アクティブヨーコントロールなどの安全性能も採用し、走行性能も高めています。
エクスパンダークロスは、エクスパンダーをベースとするクロスオーバー型MPVで、SUVらしさと乗り心地を両立したモデルです。販売はインドネシアを皮切りに、アセアン地域へ展開されました。そして2024年2月には、三菱が独自開発した1.6Lエンジンとモーターによる新型HEV(ハイブリッド)モデルが追加されています。
エクスパンダークロスの日本導入は未定のままですが、右ハンドル仕様で家族使いにも向くことから、日本でも一定の需要が見込めるとの声は根強くあります。
三菱エクスパンダークロスがタイ・フィリピン・ベトナムで販売スタート
東南アジアで人気のエクスパンダーに、SUVルックなエクスパンダークロスを追加
三菱自動車は、エクスパンダークロスの販売をタイやフィリピンで開始し、2020年7月にはベトナムでも販売をスタートしました。エクスパンダークロスは、エクスパンダーをベースとするクロスオーバーSUVで、ダイナミックシールドを備えた力強いエクステリアと、実用性と広さを両立したインテリアが特徴です。
2020年2月時点で、エクスパンダーシリーズの累計販売台数は約25万台を突破。三菱自動車はその後もASEANを中心に輸出を拡大していきました。
ジャカルタでエクスパンダークロスがワールドプレミア
エクスパンダークロスのフロント・リア
エクスパンダーシリーズの新ラインナップとして、「エクスパンダークロス」が発表されました。ワールドプレミアはインドネシア・ジャカルタで行われ、2019年11月13日より発売。以降、アセアン地域を中心に投入されていきました。パワートレインはエクスパンダーと共通の1.5リッターガソリン(4A91型)で、トランスミッションは4速ATと5速MTを設定します。
7人乗りのクロスオーバーMPVとして登場したエクスパンダークロスは、エクスパンダーをベースとし、SUVらしい堅牢なエクステリアに三菱のアイコンであるダイナミックシールドを装備。ブラックのホイールアーチやテールゲートフィニッシャーで、引き締まった印象を強めています。
ランプはLEDを採用し、明るく運転しやすい視界を確保。ボディカラーには新色「サンライズオレンジメタリック」「グラファイトグレーメタリック」を追加し、サンライズオレンジメタリックはエクスパンダークロス専用カラーとされました。
エクスパンダークロスのコックピット
インテリアはブラウンとブラックを基調とし、シックで高級感のある仕上がりに。クルーズコントロールやチルト・テレスコピック機構付きステアリング、視認性に優れたハイコントラストメーター、高効率エアコンを搭載し、各シートにスマホやタブレット充電に便利なUSB端子を設けています。
エクスパンダークロスのシート
セカンドシートは60:40分割、サードシートは50:50分割で、多彩なアレンジが可能です。セカンドシート中央席を倒せばアームレストとして使え、長さのある荷物もスマートに積載可能。7人フル乗車でも十分な荷室を確保します。
新型クロスオーバーMPVが2019年11月12日にジャカルタでワールドプレミア ベースはエクスパンダーか
三菱から公開された新型クロスオーバーMPVのティーザーイメージ
2019年11月5日、三菱の新型クロスオーバーMPVのティーザー画像が公式サイトで公開されました。この新型は、2019年11月12日にインドネシア・ジャカルタでワールドプレミアを迎えました。
新型クロスオーバーMPVは、インドネシアの人気車エクスパンダーを意識したスタイリングになる、と当時から見られていました。
エネルギッシュなSUVらしいデザインと、実用的で居住性の高い車内を両立したモデルで、価格は200万円以下に抑えられる、と当時は予想されていました。これがのちのエクスパンダークロスとなります。
2020年よりクロスオーバーMPV三菱エクスパンダーがベトナムでの生産をスタート
三菱エクスパンダーが2020年からベトナムで生産を開始
クロスオーバーMPVの三菱エクスパンダーが、ベトナム市場での生産を開始しました。エクスパンダーは2017年秋からインドネシアでの生産・販売をスタートし、数々の賞を受賞。ベトナム市場へは2018年10月に投入されました。ミツビシ・モーターズ・ベトナム(MMV)は、生産開始とともに生産能力の向上を図りました。
エクスパンダーがインドネシアで大ヒット 増産を重ねて世界へデリバリー
三菱は、2017年10月からインドネシアで販売しているエクスパンダーの生産拡大を発表しました。2017年8月の受注開始からわずか10か月ほどの2018年6月までに8万台以上を受注する異例の大ヒットとなり、2018年4月からはフィリピン・タイ・ベトナムなど東南アジアの10地域へデリバリーを開始しました。
インドネシアのカー・オブ・ザ・イヤー2018も受賞し、2018年3月には販売台数ランキングで1位を獲得。当時、東南アジアでNo.1級の人気車種となりました。
受注増に対応するため、三菱は生産計画を段階的に引き上げ、2018年に計画した10万台を上回る12万台へ増産すると発表。2019年は15万台、2020年までに22万台まで生産力を強化する方針を示しました。
東南アジアには、同カテゴリーのスズキ・エルティガやホンダBR-Vといったライバルがいますが、エクスパンダーはこれらを抑えて人気を確立しました。
エクスパンダーの日本導入について、三菱は2017年10月18日の中期経営計画で、アセアンや米国・中国など各地域への投入可能性を示唆していました。日本には同種のモデルがないため期待も高まりましたが、結果として2026年7月時点でも日本での正規販売は実現していません。
エクスパンダーのエクステリアは三菱のダイナミックシールドを採用した大胆なデザイン

エクスパンダーのフロントマスクは、グリルデザインこそXMコンセプトから変わりませんが、ウィンカーデザインの変更やフォグランプの追加など、細かな手が加えられています。

リアビューはL字型のテールランプで、どっしりとした頼もしい雰囲気。マフラー付近の樹脂パーツがSUVらしさを添え、XMコンセプトにはなかったリフレクターが2枚装着されています。

ポジションランプ点灯時は、エンブレムから伸びるライトが「ポジションランプ」、フロントバンパー内の2つのライトが「ヘッドライト」と「ウィンカー」になります。XMコンセプトにあった大きめのルーフレールが見当たらないことから、これはオプション設定と考えられます。
| 全長 | 4,475mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,750mm |
| 全高 | 1,700mm |
| 最低地上高 | 205mm |
| エンジン | MIVEC 1,500ccエンジン |
| トランスミッション | 5速MT/4速AT |
| 駆動方式 | 2WD(FF) |
| ホイールサイズ | 16インチ |
エクスパンダーのインテリアは3列シートを備えた家族みんなが楽しめる仕様

エクスパンダーのインテリアは3列シート7人乗りで、ワイドボディのおかげで、窮屈になりがちな3列目でも比較的快適に過ごせます。
大きめのステアリングがSUVらしい力強さを演出し、パーキングブレーキも大きめサイズ。シフトノブはフロアに配置され、PからDまで一直線のストレートタイプです。
キーレスエントリーを装備し、携帯した状態でドアのスイッチを押すだけで施解錠が可能。プッシュスタートボタンも備わります。リモコンで解錠するとポジションランプが30秒間点灯するウェルカム機能もうれしいポイントです。

XMコンセプトモデルでは2:3:2の7人乗り配列で、ルーフが傾斜しないデザインのため、3列目の頭上空間も十分に確保されていました。
エクスパンダーのパワートレインは1.5LのMIVEC 4気筒ガソリンエンジンを搭載

エクスパンダーに搭載されるのは、MIVEC機構付きの1.5Lガソリンエンジンで、トランスミッションは5速MTと4速ATの2種類です(のちの改良で、一部市場ではCVT化されています)。なお、当時は「日本仕様が出るとすればエクリプスクロスの1.5Lダウンサイジング直噴ターボを積むのでは」との予想もありましたが、日本導入自体が実現していません。
燃費は非公表ながら、当時は1.8L搭載のRVR(14.4〜15.4km/L)を多少上回る20.0km/L程度になるのでは、と見られていました。
エクスパンダーの販売価格は登場当時で日本円換算約153万円から

エクスパンダーは、SUVで見ればRVRより大きくアウトランダーより小さいボディサイズで、7人乗りのミニバンも兼ねます。FFのみ・1.5Lエンジン搭載ということもあり、アウトランダーやデリカD:5より下の価格帯に位置していました。登場当時のインドネシア価格を日本円に換算すると、約1,535,077円からでした(為替や仕様により変動し、現在の各国価格とは異なります)。
東南アジアで展開されているエクスパンダーのモデルチェンジ遍歴
エクスパンダーは、2017年のインドネシア国際オートショーでワールドプレミアされた市販モデルで、三菱がアセアンで展開するクロスオーバーMPVです。インドネシアなどでは、日産の2代目「リヴィナ」としてOEM供給されています。
エクスパンダー NC1W型(2017年~)
2017年10月、インドネシアで販売を開始しました。
2018年3月にインドネシアでカー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、10月にはベトナムでの販売を開始。
2021年9月、ベトナムでの5万台販売達成を記念した特別仕様車「スペシャルエディション」を発売。11月にはインドネシアでマイナーチェンジを実施し、燃費性能を高めました。
2022年3月、タイでマイナーチェンジモデルを発表。
2024年2月、タイで「エクスパンダーHEV」を発売(新開発の1.6L+モーターによる三菱初のストロングHEV)。
2025年6月、インドネシアで改良モデルを発表しました。
エクスパンダークロス(2019年~)
2019年11月、最上位モデルの「エクスパンダークロス」を発売。
2020年7月、ベトナムで販売を開始。
2022年6月には、タイでも販売を開始。同年8月にはインドネシアでデザインを一新した改良モデルを発表しました。
2024年2月、タイで「エクスパンダークロスHEV」を発売。
2025年6月、インドネシアで改良モデルを発表しました。
| エクスパンダーのモデル | 販売期間 |
|---|---|
| NC1W型 | 2017年~ |
| エクスパンダークロス | 2019年~ |
スモールSUVとミニバンが融合した市場は今後も広がる可能性がある

世界的に人気のSUVの中でも、特に売れてきたのが小型SUVです。日本でも三菱のエクリプスクロスが2018年に発売され、各社がこのジャンルを強化してきました。
エクスパンダーは、小型SUVに近いサイズながら、7人乗りで居住・荷室空間を広くとり、突然のスコールにも対応できる205mmの最低地上高を備えたクロスオーバーMPVで、インドネシアをはじめアセアンで高い人気を得ています。
日本にはエクスパンダーのようなクルマが少ないため、かつては「デリカD:5の弟分として、7人乗りのエントリーモデルになるのでは」と、日本導入を期待する声もありました。しかし2026年7月時点でも、三菱はエクスパンダーを日本で正規販売していません。一方でエクスパンダークロスHEVなどは日本の道路事情にも合うサイズ感で、日本のメディアや愛好家からは導入を望む声が続いています。今後の三菱の動きに注目したいところです。





























