キャシュカイのモデルチェンジ

キャシュカイのモデルチェンジ情報:第3世代e-POWERが実燃費約36km/Lで無給油1,980kmのギネス世界記録

現行3代目キャシュカイのモデルチェンジ情報を時系列で整理。2024年4月のフェイスリフト、2025年9月の第3世代e-POWER搭載車の欧州発売、そして2026年8月に判明した約36km/L・無給油1,980kmのギネス世界記録までを網羅します。

キャシュカイのモデルチェンジ情報:第3世代e-POWERが実燃費約36km/Lで無給油1,980kmのギネス世界記録

キャシュカイは3代目が現行 第3世代e-POWERが平均2.78L/100km(約36km/L)で無給油1,980kmを走破しギネス世界記録、日本への正規導入はなし

日産キャシュカイは、2021年2月に登場した3代目(J12型)が現行モデルです。2024年4月にフェイスリフトを受け、2025年9月からは第3世代e-POWERを積んだ改良版が英国サンダーランド工場製で欧州市場に投入されています。そして2026年8月5日、この第3世代e-POWER搭載車がコロンビアで無給油1,980kmを走り切り、「非プラグイン式エクステンデッドレンジ電動SUVによる最長走行距離」としてギネス世界記録™に認定されたと公表されました。55Lのタンクで1,980kmという走行距離は、平均燃料消費率にすると2.78L/100km、日本式の表記でおよそ36km/Lにあたります。距離もさることながら、この燃費のほうが驚きに値する数字でしょう。

ただし、日本の読者にとっての結論は変わっていません。キャシュカイの日本への正規導入は、2026年8月時点で発表されていません。初代がデュアリスとして販売されていたころとは違い、現行モデルは英国生産で日本国内では作られておらず、国内にはエクストレイルとキックスというSUVがすでに並んでいます。もっとも、記録を打ち立てた第3世代e-POWERそのものは、2026年7月16日に発表された新型エルグランドというかたちで日本に上陸します。車両は来ないが、心臓部は来る。それが現在のキャシュカイと日本市場の距離感です。

ここでは、まず現在のキャシュカイに起きている動きを新しい順に押さえたうえで、記事の後半では日本でも馴染みの深い2代目J11型の内容と、初代からの歩みを振り返ります。

2026年8月5日発表 キャシュカイ e-POWERが平均約36km/Lで無給油1,980kmを走破しギネス世界記録に認定

ギネス世界記録を達成したキャシュカイ e-POWERコロンビアで無給油1,980kmを走り切り、ギネス世界記録に認定されたキャシュカイ e-POWER

日産は2026年8月5日、第3世代e-POWERを積んだキャシュカイ e-POWERが1回の給油だけで1,980kmを走破し、「非プラグイン式エクステンデッドレンジ電動SUVによる最長走行距離」というカテゴリーでギネス世界記録に認定されたと明らかにしました。本発表は現地時間8月3日に中南米で出された告知を日本向けにまとめたものです。プラグを持たないシリーズハイブリッドが、外部充電に頼らないまま2,000km近くを走り切ったことになります。

タンク容量55Lで1,980km 平均2.78L/100km=約36km/Lという数字の意味

ニュースの見出しは走行距離に集まりましたが、内容を分解すると、より驚かされるのは燃費のほうです。キャシュカイの燃料タンクは55L。ここから1,980kmを走ったとすると、平均燃料消費率は2.78L/100kmという計算になります。日本でなじみのあるkm/L表記に直せば、おおよそ36km/Lです。

比較対象を並べると異様さがはっきりします。第3世代e-POWER搭載キャシュカイのWLTP値は4.5L/100km(約22km/L)。今回の実走行値はそれを4割近く下回っています。車重1.6t級のCセグメントSUVが、軽量なコンパクトハイブリッドのカタログ燃費に匹敵する数字を、しかも実走行で出したことになります。エンジンを発電専用に割り切り、常に効率の良い回転域だけを使うというe-POWERの設計思想が、条件がそろえばここまで効くという実例です。

キャシュカイ e-POWERのギネス世界記録達成の概要
記録カテゴリー 非プラグイン式エクステンデッドレンジ電動SUVによる最長走行距離
走行距離 1,980km(無給油・無充電)
燃料タンク容量 55L
平均燃料消費率 約2.78L/100km(約36km/L)※タンク容量からの換算値
参考:WLTP値 4.5L/100km(約22km/L)
実施期間 2026年7月14日〜17日
実施地域 コロンビア(ボゴタ〜カリブ海沿岸)
認定日 2026年7月29日(ボヤカ県パイパで審査員が認定)
使用車両 第3世代e-POWER搭載のキャシュカイ e-POWER
発表日 2026年8月5日(現地発表は同年8月3日)

もっとも、この2.78L/100kmという数値は日産が公表したものではなく、55Lというタンク容量から逆算した参考値です。ゴール時点でタンクが空だったのか、まだ余裕を残していたのかは公表されていないため、実際の消費量はこれより少なかった可能性もあります。また日産自身、今回の数字は特定の条件下で得られたものであり、実際に走れる距離は路面や天候、運転の仕方で変わると断りを入れています。記録狙いの走行は速度を抑え、加減速を減らす走り方になるのが常です。そのままの数字を自分の通勤路に当てはめられるものではない、という前提は押さえておきたいところです。

コロンビアのボゴタからカリブ海沿岸へ 標高差と気温差の大きいルートを4日間で

走行が行われたのは2026年7月14日から17日にかけて。舞台は南米コロンビアで、標高2,600m級の首都ボゴタを起点にカリブ海沿岸地域までを結ぶルートが選ばれました。市街地の渋滞、高速道路、山岳路が入り混じり、標高も気温も湿度も大きく振れる行程です。その全過程をギネス世界記録の審査員が確認し、規定にもとづく検証を経て、7月29日にボヤカ県パイパで正式に認定書が手渡されました。

平坦なテストコースを一定速度で周回すれば数字はもっと伸びたはずです。あえて条件の荒れる実路を選んだうえで36km/L相当を叩き出した点に、日産側の自信がうかがえます。ちなみに標高2,600mからの長い下りは回生に有利に働くため、この地形選択自体が計算のうちだった可能性は高いでしょう。

英国・豪州に続く3回目の長距離検証 「充電しなくていい電動車」を数字で押し出す

日産にとってこの手の長距離チャレンジは初めてではありません。英国での長距離走行、オーストラリア・タスマニアでの走行と、e-POWERの効率を実地で見せる取り組みを重ねてきており、今回のコロンビアで3回目にあたります。

同社のコーポレートエグゼクティブでプラットフォームグループ・商品ラインナップ・コンポーネント戦略を担当するリチャード カンドラー氏は、この結果を最新世代のe-POWERの実力を裏づけるものと位置づけ、電動走行の良さを広く体験してもらううえでe-POWERが電動化戦略の要になると語っています。BEVの需要が世界的に踊り場を迎えるなか、日産が「充電しなくていい電動車」に軸足を戻しつつある流れを、燃費という誰にでも伝わる指標で示した格好です。充電インフラが十分でない市場ほど、この訴求は効きます。記録の舞台にコロンビアが選ばれた理由も、そこに重なります。

ラテンアメリカではキックスとエクストレイルが主役 日本ではエルグランドが受け皿に

今回の舞台となったラテンアメリカでe-POWER搭載車として展開されているのは、キックス e-POWERとエクストレイル e-POWERが中心です。キャシュカイもコロンビアでは販売されていますが、地域全体で見れば主力ではなく、技術力を示すための走行だったと見るのが自然でしょう。e-POWER搭載モデルは複数の市場に広がっており、地域ごとに車種を替えながら電動化の入り口を用意する戦略が取られています。

そして日本です。キャシュカイの国内導入は依然として予定されていませんが、記録を出した第3世代e-POWERは、2026年7月16日に発表された新型エルグランドに搭載されます。1,980kmという数字も約36km/Lという数字も、Cセグメントの2WD SUVでの結果であり、車格も重量も違うミニバンにそのまま置き換えられるものではありません。それでも、給油だけで長距離をこなせるという第3世代e-POWERの素性は、高速道路を長く走る使い方が多いエルグランドとの相性が良いはずです。キャシュカイの記録は、日本のユーザーにとっても他人事ではない話といえます。

2026年6月にキャシュカイEVの開発凍結が明らかに サンダーランド工場の今後が焦点に

キャシュカイをめぐるもう一つの大きな話題は、電気自動車(BEV)モデルの行方です。日産は2023年、英国サンダーランド工場でキャシュカイのEVモデルを生産する計画を公表し、英国政府も同工場がEV生産の主力拠点になることへ期待を示していました。日産は当時、欧州で販売する乗用車を2030年までにすべてEVにする方針を掲げていました。

しかし2026年6月23日、そのEVモデルの開発が2025年初めに中断され、凍結された状態にあることが明らかになりました。業績立て直しを急ぐなかで、需要の鈍化しているEVの車種を絞り込み、コストを削減する判断とみられます。サンダーランド工場は約6,000人を雇用する英国最大の自動車工場であり、英国政府との資金支援協議も進んでいるとされ、工場とキャシュカイの今後の方針は数か月以内に示される見込みです。

この記事がかつて「2026年からピュアEVを設定か」「ジャパンモビリティショーで展示したハイパーアーバンがベースに」と書いていた見立ては、少なくとも当初の予定どおりには進んでいません。日産はこの件について正式な発表をしておらず、2026年8月時点でも、計画が完全に消えたのか時期を後ろへずらしただけなのかは確定していません。当面のキャシュカイは、ガソリンのマイルドハイブリッドとe-POWERの二本立てで販売が続く見込みです。BEVではなくe-POWERで燃費の記録を取りにいったこと自体が、この二本立てをしばらく続ける構えの表れと読めます。

2025年6月に第3世代e-POWERへ刷新 WLTP燃費4.5L/100km・最大航続1,200kmを達成し9月から欧州発売

2025年6月26日、日産は第3世代e-POWERを搭載したキャシュカイを欧州で発表しました。第3世代e-POWERを最初に積む量産車がこのキャシュカイであり、2025年9月から欧州で発売されています。その後はアフリカ、オセアニア市場にも順次展開される計画です。

技術面の変更は小さくありません。発電用エンジンは「STARC燃焼コンセプト」を採用した新開発の1.5L直列3気筒ターボへ刷新され、従来の1.5L可変圧縮比VCターボから置き換わりました。さらに、モーター・インバーター・発電機・減速機・増速機を一体化した「5-in-1 e-POWERパワートレーンユニット」を採用し、小型軽量化と効率向上を同時に進めています。

第3世代e-POWER搭載キャシュカイの主な性能
燃費(WLTP) 4.5L/100km(約22km/L)
最大航続距離 約1,200km
燃料タンク容量 55L
CO₂排出量 116g/km → 102g/km(12%削減)
静粛性 第2世代比で最大5.6dB低減
その他 スポーツモード選択時に出力を10kW上乗せ
生産拠点 英国サンダーランド工場

カタログ値だけの改善ではありません。ドイツ自動車連盟(ADAC)による独立試験では、従来型キャシュカイとの比較で実走行時に最大16%、高速道路では14%の燃費向上が確認されています。シリーズハイブリッドは高速巡航が苦手とされてきただけに、高速側で二桁の改善を出してきた点は素直に評価できるところでしょう。2026年7月のコロンビアで記録された約2.78L/100kmという実燃費は、このADACの結果を別の角度から裏づけたものと受け止められます。

この第3世代e-POWERは、日本市場では2026年7月16日に発表された新型エルグランドに、北米市場では新型ローグに搭載される計画です。つまり日本の読者は、キャシュカイそのものではなくエルグランドを通じて、この技術に触れることになります。

2024年4月17日のフェイスリフトで内外装を刷新 甲冑の鱗をモチーフにした新グリルを採用

2024年フェイスリフト後のキャシュカイのエクステリア2024年4月17日に発表されたキャシュカイのフェイスリフトモデル

3代目キャシュカイは登場から3年を経た2024年4月17日、初のフェイスリフトを受けました。最も目を引くのがフロントグリルで、ハイグロスブラックで塗装された数十個の立体的な勾玉状パーツを並べた構成に改められています。日産はこのデザインについて、日本古来の甲冑の鱗模様から着想を得たと説明しています。従来のVモーショングリルとは印象が大きく変わり、欧州車然としていた顔つきに日本的なモチーフが持ち込まれたかたちです。

ヘッドライトにはアダプティブ・ハイビーム・モジュールを採用し、リアランプも新デザインへ変更。内装ではアルカンターラを使った上級仕様が設定され、インフォテインメントにはGoogleのサービスが組み込まれました。一方でパワートレインは従来型から変更されておらず、この時点では1.3Lガソリンのマイルドハイブリッドと1.5L VCターボのe-POWERという構成が維持されています。

欧州での価格は、ベースグレードのアセントが34,290ユーロから、190psの「1.5 VC-T e-POWER」搭載車が39,930ユーロからという設定でした。3代目は発売から3年あまりで欧州だけで35万台以上を販売しており、フェイスリフト前の時点ですでにセグメントの基準となる存在になっていたことがわかります。

新型キャシュカイに1.5LのVCターボe-POWER追加 新型エクストレイルにも採用するパワートレイン

  • 斜め前から見た欧州仕様のキャシュカイ欧州仕様のキャシュカイ
  • 欧州仕様のキャシュカイの説明欧州仕様のキャシュカイの説明
  • 斜め後ろから見た欧州仕様のキャシュカイ欧州仕様のキャシュカイ
  • 正面から見た欧州仕様のキャシュカイ欧州仕様のキャシュカイ
  • 横から見た欧州仕様のキャシュカイ欧州仕様のキャシュカイ

3代目キャシュカイは登場時、1.3Lガソリンのマイルドハイブリッドのみでスタートしました。そこへ2022年3月、欧州で初となるe-POWER搭載車が発表され、同年夏に発売されています。日本市場への導入予定は、この時点でもその後も示されていません。

採用されたのは、1.5Lの可変圧縮比VCターボエンジンを発電に使うe-POWERです。同じ考え方のパワートレインは、2022年に日本で発売された4代目エクストレイルにも積まれました。システム最高出力は190psで、アクセルペダルの操作だけで減速力を加減できる「e-Pedal Step」が新たに採用されています。

エンジンで発電し、駆動はモーターのみで行うため、変速ショックがなく出力の遅れも生じません。それでいて充電は不要で、給油だけで走り続けられます。ディーゼルが急速に力を失った欧州のCセグメントSUV市場において、この「充電しなくていい電動車」という立ち位置が支持を集めたことが、キャシュカイの販売を下支えしました。

「次期型は2020年9月に発表、PHEVも設定」という見立てはどうなったか 3代目は2021年2月に登場

かつて本記事では、次期型キャシュカイについて「2020年9月頃に発表され、2種類のハイブリッドが用意される」「プラットフォームは最新世代のCMF」「e-POWERと三菱のプラグインハイブリッドを設定する見込み」「新型ジュークに似たシャープなLEDヘッドライトとProPILOTを搭載する可能性が高い」と書いていました。答え合わせをしておきます。

まず発表時期は外れました。3代目キャシュカイが世界初公開されたのは2020年9月ではなく、2021年2月18日です。新型コロナ禍による開発・生産計画の遅れが重なった時期であり、多くのメーカーが発表を後ろ倒しにしていました。

パワートレインについては半分当たり、半分外れです。CMF系のプラットフォーム(CMF-C)が使われた点、e-POWERが設定された点は的中しましたが、三菱由来のプラグインハイブリッドは設定されませんでした。日産が欧州のCセグメントで選んだのは、充電インフラに依存しないe-POWERであり、PHEVは価格と重量の面で見送られたと考えられます。一方、シャープなLEDヘッドライトとProPILOTの搭載はいずれも実現しています。

3代目キャシュカイ(J12型)の主要諸元
全長 4,425mm
全幅 1,835mm
全高 1,625mm
ホイールベース 2,665mm
プラットフォーム CMF-C
パワートレイン 1.3Lガソリンマイルドハイブリッド/e-POWER
燃料タンク容量 55L(e-POWER)
生産拠点 英国サンダーランド工場

2代目と比べると全長は45mm、全幅は30mm、全高は30mm拡大し、ホイールベースも20mm延ばされました。数字だけ見ればわずかですが、後席の居住性と乗降性は明確に改善されています。全長4.4m級というサイズは、日本で人気のカローラクロスに近く、「日本に入れても戦えるのでは」という声が繰り返し上がる理由にもなっています。

日産のキャシュカイは欧州戦略車のミドルサイズSUV 初代は日本市場でもデュアリスとして販売されたモデル

日産が販売するキャシュカイは、欧州戦略車として位置づけられたモデルで、初代はデュアリスとして日本市場でも販売されていました。2007年から2014年までの販売期間でエクストレイルの弟分として売上を伸ばしていましたが、世界的にSUVがブームとなる直前の時期に惜しくも販売を終えています。

キャシュカイは、欧州だけではなくオーストラリア・中国・トルコ・香港などグローバルに展開しているモデルです。ここからは、日本では発売されていない2代目J11型(2014〜2021年)を中心に、エクステリアやインテリア、搭載エンジンを見ていきます。以下で挙げる数値は2代目のものです。現行の3代目とは異なる点にご注意ください。

キャシュカイのエクステリアはヨーロッパデザインがおしゃれで、2代目はエクストレイルに似たデザインとなった

キャシュカイのサイドビューエクストレイルよりもひと回り小さいボディサイズでリアハッチは傾斜しているためクーペのようなスタイリングになっている

2代目キャシュカイのエクステリアは、同時期のエクストレイル(T32型)と似たデザインでしたが、リアのテールランプデザインが異なっていて、バックドアの形状もエクストレイルより斜めに寝ており、クーペのようなスタイリングに見えます。

キャシュカイのフロントビュー2代目キャシュカイはエクストレイルやローグと同じテーマでデザインされているがバンパーデザインが異なる

2代目キャシュカイのボディサイズは全長4,380mm・全幅1,805mm・全高1,595mmで、当時のエクストレイルよりひと回り小さいサイズ感でした。プラットフォームはCMFで共通ですが、ホイールベースはキャシュカイのほうが短く設定されています。

2代目キャシュカイと3代目エクストレイル(T32型)のボディサイズ比較
キャシュカイ(2代目) エクストレイル(T32型)
全長 4,380mm 4,690mm
全幅 1,805mm 1,820mm
全高 1,595mm 1,730mm
ホイールベース 2,645mm 2,705mm

キャシュカイのリヤビューキャシュカイのリアテールランプはエクストレイルと異なりシャープなデザイン

2代目キャシュカイのリアコンビネーションランプは、レンズ外周の内側がブーメラン型に発光するシャープなデザインです。レンズがクリアになっている部分がウインカーとバックランプで、バックドア側がバックランプ、ボディ側がウインカーという配置になっています。

バンパーはエクストレイルよりも黒い樹脂の面積が大きく、マフラー付近にはシルバーの加飾が施されています。リフレクターはバンパーと一体で、ボディとの境目に小さく組み込まれています。

駐車場に止まるキャシュカイ丸いフォグランプを装備しているのが前期型のキャシュカイで、2017年にはフェイスリフトを実施している

2014年に発売された2代目の前期型は丸いフォグランプを装備していましたが、2017年に大幅な改良が入って後期型になった際、Vモーショングリルの大型化やフォグランプの角型化が行われました。フロントまわりを世代の途中で大きく作り替える手法は、2024年のフェイスリフトでも同じように使われています。

キャシュカイのインテリアはブラック基調でシックかつシンプルなデザインが魅力的

キャシュカイのインテリアキャシュカイのインテリアはブラック基調のシルバー加飾がカッコよく、シートのデザインも立体的になっている

2代目キャシュカイのインテリアはブラックがメインの内装色で、シフトベゼルやインナードアハンドルにはシルバー加飾やメッキ加飾が施されています。シート素材はファブリックのほかに合皮やナッパレザーが用意されました。エクストレイルのような防水シートの設定はなく、アウトドアよりも都会的なSUVという位置づけがはっきり出ています。

キャシュカイのシートマテリアル

  • CHARCOAL / GRAPHITE CLOTH
  • ANTHRACITE CLOTH INTERIOR, MONOFORM STYLE SEATS
  • GRAPHITE PART LEATHER, PART CLOTH INTERIOR, MONOFORM STYLE SEATS
  • BLACK PREMIUM NAPPA LEATHER, MONOFORM STYLE SEATS
  • PLUM PREMIUM NAPPA LEATHER, MONOFORM STYLE SEATS

キャシュカイのパノラミックルーフ上位グレードにはパノラミックルーフが装備され開放感のあるドライブが楽しめる

キャシュカイにはルーフがガラスになったパノラミックルーフが上位グレードに採用されています。日本でも発売されていた初代デュアリスにも装備されていた装備で、電動で内側のシェードが動くため、暑いときには閉めることもできます。この上質志向は3代目でさらに強められ、2024年のフェイスリフトではアルカンターラを使った内装まで設定されました。

日産キャシュカイに搭載されているエンジンはガソリンとディーゼルがラインナップ!エクストレイルに比べてダウンサイジングされたエンジンを積んでいる

キャシュカイのエンジンルームイギリス仕様のキャシュカイにはガソリンエンジンとディーゼルエンジンがラインナップしていて、駆動方式は2WDのみが設定されている

2代目キャシュカイのイギリス仕様には、1.3Lガソリンエンジンと1.5Lディーゼルエンジンの2種類が用意されていました。ドライブトレーンは2WDのみで、市街地やオンロードを中心とした使い方を想定した構成です。

2代目キャシュカイ搭載のエンジン(イギリス仕様)
型式 DIG-T140 DIG-T160 DCI115
種類 直列4気筒 直列4気筒 直列4気筒
燃料 ガソリン ガソリン 軽油
排気量 1,332cc 1,332cc 1,461cc
最高出力 140PS/5,000rpm 160PS/5,500rpm 115PS/3,750rpm
最大トルク 240Nm/1,600-3,500rpm 260Nm/1,600-3,500rpm 285Nm/2,000rpm

ガソリンエンジンには排気量が同じ1.3Lながら出力違いの2種類が用意され、160PSのエンジンは上位グレードに設定されていました。トランスミッションは6速マニュアルとDCTが用意され、DIG-T140エンジンはマニュアルのみの設定です。

中国市場では1.2Lガソリンターボと2.0Lガソリン、オーストラリアでは2.0Lガソリンと1.6Lディーゼル、韓国では1.6Lディーゼルのみと、各市場のニーズに合わせてエンジンを作り分けてきたのがキャシュカイの特徴です。もっとも、この作り分けは3代目で大きく整理されました。欧州の排出ガス規制強化を受けてディーゼルは姿を消し、現在は1.3Lガソリンのマイルドハイブリッドとe-POWERの二本立てに絞られています。ダウンサイジングターボで刻んでいた時代から、電動化で応える時代へ切り替わったわけです。

キャシュカイの歴史は2007年から始まり日本市場でも活躍したが2代目以降は海外専売車種となった

初代キャシュカイのエクステリア海外市場で販売されていた初代キャシュカイ。日本仕様とは若干バンパーの形が違っているのが分かる

日産のキャシュカイは2007年から販売されているクロスオーバーSUVで、初代は日本でも発売された世界戦略車です。主に欧州を中心に販売され、のちに中国や韓国などのアジア、北米、オーストラリアでも展開されました。

初代キャシュカイ(デュアリス)は、ゴルフやプジョー307をライバルに見据えて開発され、2007年から発売。兄貴分のエクストレイルとCプラットフォームを共有していました。駆動方式はFFの2WDとオールモード4×4を使った4WDが設定されましたが、欧州での売上は7割ほどが2WDで、都市型のアーバンSUVとして受け入れられていたことがわかります。なお、日本仕様のデュアリスは当初こそ英国サンダーランド工場からの輸入車でしたが、のちに日産自動車九州で生産されたものへ切り替わりました。国内生産が行われていたのはこの初代だけで、2代目以降は一貫して英国製です。

キャシュカイ(デュアリス)のモデルチェンジ歴
2004年3月 ジュネーブモーターショーでコンセプトモデルの発表
2007年3月 初代キャシュカイを欧州市場で発売
2007年5月 デュアリスを日本市場で発売
2008年3月 キャシュカイを中国市場で発売
2010年8月 マイナーチェンジを実施
2013年12月 日本市場での生産終了(エクストレイルへ統合)
2014年2月 イギリス市場で2代目(J11型)へモデルチェンジ
2014年6月 オーストラリア市場でモデルチェンジ
2014年7月 ニュージーランド市場で発売開始
2014年11月 韓国市場で2代目キャシュカイを発売
2015年10月 中国市場でキャシュカイを発売
2017年1月 北米市場でローグスポーツとして販売開始
2017年 2代目のフェイスリフトを実施(Vモーショングリル大型化、角型フォグランプ)
2018年後半 米国ローグスポーツ、カナダ仕様キャシュカイにプロパイロットを搭載
2021年2月18日 3代目(J12型)を発表。同年夏より欧州発売
2022年3月 欧州初のe-POWER搭載車を発表(同年夏発売、190ps)
2022年 北米のローグスポーツが2022年モデルで終了(生産は同年12月まで)
2024年4月17日 3代目のフェイスリフトを実施(新グリル、アルカンターラ内装ほか)
2025年6月26日 第3世代e-POWER搭載車を欧州発表。同年9月に発売
2026年6月 キャシュカイEVの開発が凍結状態にあることが判明
2026年8月5日 キャシュカイ e-POWERが無給油1,980km(約2.78L/100km)でギネス世界記録に認定されたと発表

日本市場ではジュークの登場とエクストレイルのモデルチェンジによってデュアリスが統合されましたが、欧州では変わらず主力を張り続けています。北米ではエクストレイルの兄弟分であるローグの弟分として、2代目ベースの「ローグスポーツ」が2017年から販売されました。ただし小型のキックスと大型のローグに挟まれて立ち位置を確立できず、2022年モデルをもって終了しています。かつては欧州・北米・アジアと広く展開していたキャシュカイですが、現在は欧州を軸に、アフリカやオセアニアへ広げていく構図に絞り込まれました。

キャシュカイは日本での販売はなくなってしまったが、世界中の市場で活躍するアーバンSUVの決定版

キャシュカイ

キャシュカイはデュアリスというモデル名で日本市場にて2014年まで販売されていましたが、エクストレイルのモデルチェンジで統合されました。その後もメイン市場の欧州では世代を重ね、2021年に3代目へ移行。エクストレイルよりひと回り小さいアーバンSUVとして、日産の欧州事業を支える存在であり続けています。

欧州市場ではエクストレイルが4WDのオフロード志向、キャシュカイが2WD中心のオンロード志向と受け止められており、実際に2WDのキャシュカイのほうが販売台数も多くなっています。ディーゼルが退場したあとも、充電を必要としないe-POWERという答えを用意できたことが、この立ち位置を守る決め手になりました。実走行で約2.78L/100km、約36km/Lという数字を出せたことは、その答えが正しかったことを対外的に示す材料になったと言えるでしょう。

日本への再導入については、現実的なハードルがはっきりしています。2代目以降のキャシュカイは英国サンダーランド工場製で、国内には生産拠点がありません。輸入すれば為替と輸送コストがそのまま価格に乗り、国内にはすでにエクストレイルとキックスが並んでいます。2026年8月時点で、日産から日本導入に関する発表はありません。第3世代e-POWERは2026年7月16日に発表された新型エルグランドというかたちで日本に上陸しており、技術だけが先に届くことになりました。デュアリスの名が戻ってくるかどうかは、サンダーランド工場の今後の方針が示される段階で、あらためて見えてくるでしょう。