ガルウィングとは

ガルウィングとは 採用するメリットとデメリットを解説 名車18車種も一挙紹介

縦開きするガルウィングドアの仕組みと、採用するメリット・デメリットを徹底解説。似ているシザードア・バタフライドアとの動作の違いも整理。市販車世界初の採用例300SLから現行テスラ モデルX、幻の名車アストンマーティン ブルドッグまで18車種を詳しく紹介します。

ガルウィングとは 採用するメリットとデメリットを解説 名車18車種も一挙紹介

ガルウィングとは?車のドア機構として採用するメリット&デメリットや搭載してきた名車を一挙に紹介

「ガルウィング」とは、ドアを真上に縦開きしたときのシルエットが、Gull(ガル:かもめ)が翼を広げた姿に似ていることから名付けられたドア機構です。横開きが主流の車のドアとは異なる独特の構造で、スポーツカーや高級車に特別感を与えてきました。

ここでは、ガルウィングを搭載するメリット・デメリットから、メルセデス・ベンツ「300SL」などの歴史的名車、テスラ「モデルX」といった現行EVまで、各車の魅力と特徴を詳しく紹介します。

「ガルウィング」は1954年のメルセデス・ベンツ「300SL」が市販車として初めて採用したドア機構

一般的な横開きドアはドアヒンジを地面に対して垂直に配置しているのに対し、ガルウィングはヒンジを地面と平行に配置することで縦開きを可能にしています。ドアを開けきったときのシルエットがかもめの翼に似ていることから「ガルウィング」と名付けられました。

市販車として初めてガルウィングを採用したのは、1954年に誕生したメルセデス・ベンツ「300SL」です。ベース車がレーシングカーであった「300SL」は、ボディ剛性を確保するためサイドシルを太く設計し、低重心走行のために車高を低く抑えていました。その結果、横開きドアではスムーズに乗り降りできないという問題が生じ、ガルウィングの採用に至りました。

その後、ガルウィングは大ヒット映画の劇中車として知られる「デロリアンDMC-12」や、マツダの軽自動車「オートザム AZ-1」などにも採用されました。近年ではテスラ「モデルX」が進化版の「ファルコンウィング」として取り入れるなど、EVとの親和性の高さから再び注目を集めています。

ガルウィングのメリットとデメリット|横開きドアとの違いを比較

ガルウィングのメリット・デメリットを、一般的な横開きドアと比較しながら整理します。

ガルウィングのメリット|乗り降りのしやすさ・存在感・狭いスペースでの利便性

ガルウィングを設置する主なメリットは以下の3点です。

ガルウィングを設置するメリット

  • 車高の低い車に設置すれば乗り降りがしやすくなる
  • 横開きするドアが圧倒的に多い中では希少性と特別感があってカッコよく目立つ
  • 横スペースが制限されている場所であってもドアを開閉できる

車高の低い車に横開きドアを設置した場合、開いたドアが邪魔になり、かがんだ姿勢で窮屈に乗り込まなければなりません。縦開きするガルウィングであれば、ルーフ部にも乗車スペースが生まれるため、低い車でも快適に乗り降りできます。また、横にスペースが少ない駐車場でも、ドアを真上に開けられるため隣の車や壁にドアをぶつける心配が少なくなります。さらに、開けきったときのフォルムの存在感は圧倒的で、スポーツカーや高級車に一層の特別感を与えます。

ガルウィングのデメリット|コスト増・車重アップ・立体駐車場での不便さ

一方で、ガルウィングには次のようなデメリットもあります。

ガルウィングを設置するデメリット

  • ドアを重力に逆らって持ち上げる機構を設置するとコストがかかって車両重量が増す
  • 事故発生時に車内に閉じ込められないような構造を採用しているために耐久性は劣る
  • 天井が低い立体駐車場では利用しづらい

重量のあるドアを真上に持ち上げる構造上、電動機構や強度補強パーツが必要となり、製造コストと車両重量の両方が増加します。また、万一の事故時に閉じ込められないよう、内側から蹴って脱出できる設計としているため、通常の横開きドアよりも耐久性がやや劣る面があります。さらに、ドアを車高より高く持ち上げる構造のため、天井の低い立体駐車場や屋内施設では開閉に支障が出ることがある点も注意が必要です。

ガルウィングと似た「シザードア」「バタフライドア」との違い

ガルウィングとよく混同されるドア機構に、ランボルギーニが採用する「シザードア」と、マクラーレンやマセラティなどが採用する「バタフライドア」があります。

シザードアの車ランボルギーニの数々のハイパーカーやアヴェンタドールにも受け継がれる「シザードア」はドアヒンジをAピラー付近に設置して、ドアを90度近く旋回させる事で乗車しやすいスペースを確保している

ガルウィングはドアヒンジをルーフ部に配置し、ドアを地面と平行になるように真上に持ち上げます。一方、ランボルギーニ・アヴェンタドールなどのシザードアはAピラー付近にヒンジを設けて、ドアを真上ではなく前方向に90度近く回転させて乗車スペースを確保します。動作の方向が異なる点が最大の違いです。

マセラティMC20の車のドア マセラティのスーパーカーであるMC20が採用する「バタフライドア」はドアを地面に対して水平に持ち上げるのではなくて、捻りを加えて前方部にも移動させているのが特徴的

マセラティ「MC20」などが採用するバタフライドアは、ガルウィングの一種として分類されることもあります。ガルウィングがドアヒンジをルーフ部のみに設けるのに対し、バタフライドアはAピラーとルーフの両方にヒンジを設ける構造を採用。上に持ち上げながら捻りを加えて前方にも移動させる独特の動作が特徴で、開けたときのシルエットが飛翔する蝶に似ていることからこの名が付いています。

ガルウィングを採用している車18選|名車・幻の名車・個性的な国産車を一挙紹介

ガルウィングを採用してきた国内外の名車を紹介します。歴史的なスーパーカーから個性的な国産軽自動車、プロトタイプのまま幕を閉じた幻の1台、現行EVまで、多彩な18車種を詳しく掘り下げます。

メルセデス・ベンツ「300SL」|市販車として世界初のガルウィングを採用した歴史的名車

メルセデスベンツ300SLのエクステリア市販車としては世界で初めてガルウィングを採用した「300SL」は、昭和の大スター石原裕次郎が愛車とするなど各界の著名人が所有していた

1954年に誕生したメルセデス・ベンツ「300SL」は、市販車として世界で初めてガルウィングを採用したヘリテージカーです。ベース車がレーシング仕様であったため高いボディ剛性と低重心を優先した設計となり、その結果として乗降性を考慮してガルウィングが選ばれました。

1950年代を代表するスーパーカーとして、石原裕次郎ら各界の著名人が愛車としたことでも知られています。また「300SL」は、燃焼効率を高める直噴エンジンを世界で初めて量産車に搭載した車でもあります。後継の300SLロードスターではコスト面などの理由からガルウィングが廃止されたため、ガルウィング仕様の「300SL」は希少性が高く、国際的なオークションでは億単位の高値で取引されています。

デ・トマソ「Mangusta(マングスタ)」|エンジンカバーにガルウィングを採用したデ・トマソ初のスーパーカー

Mangustaのエクステリア「Mangusta (マングスタ)」は人が乗り降りする際に用いるドアにではなくて、エンジンカバー部にガルウィングを設置している

1966年に誕生した「Mangusta(マングスタ)」は、フォードとの共同開発により実現したデ・トマソ社初のスーパーカーです。最大の特徴は、乗降用のドアではなくリア部に搭載する4.7L V8エンジンのカバーにガルウィングを採用している点で、独創的なエクステリアデザインとなっています。

マングスタのドア「マングスタ」のガルウィング構成パーツは上部エリアがガラス張りをしている

1972年までに約400台が生産されたマングスタのリア部ガルウィングは、上部がガラス張りで、格納された高性能エンジンを後続車や歩行者からも見える大胆な構造が特徴です。

メルクス「RS 1000」|東ドイツで生産された知る人ぞ知るガルウィング搭載の2ドアクーペ

メルクス RS 1000のエクステリアメルクス「RS 1000」は当時、共産圏に属していた東ドイツの工場で生産されていた

1969年から1979年にかけて合計101台が製造された「RS1000」は、当時の共産圏・東ドイツに拠点を構えていたメルクスが開発した2ドアクーペです。流麗なボディと低床フロア構造が評価されており、ガルウィングドアによって乗降性を向上させています。ヴァルトブルク社製992㏄の2ストロークエンジンを搭載し、最高速165km/hを記録しました。

メルセデス・ベンツ「C111」|市販化されなかったガルウィング搭載のコンセプトカー

メルセデスベンツC111のエクステリアガルウィングを採用していたメルセデス・ベンツ「C111」はオイルショックの影響を受けて市販化はされなかった

メルセデス・ベンツ「C111」は、ロータリーエンジン・ディーゼルエンジン・プラットフォームなどの技術力向上を目的に制作されたコンセプトカーです。1969年のフランクフルトモーターショーで初公開された初期モデル(C111-1)はガルウィングとロータリーエンジンを搭載し、最高速260km/hを実現。1979年に誕生した4世代目プロトタイプ「C114」では空力性能を高めたボディと4.8L V8ツインターボエンジンの組み合わせで最高速400km/hを達成しました。モーターショーでは自動車ジャーナリストから高評価を受けたものの、オイルショックの影響により市販化は実現しませんでした。

シヴァ「S160 スパイダー」|わずか12台しか生産されなかったガルウィング搭載のレアな2ドアクーペ

シヴァS160 スパイダーのエクステリア「S160 Spyder」にはデザイナーチームの意見を反映してガルウィングが採用された

1971年に誕生した「S160 Spyder」は、大衆車ベースのスポーツカー架装を得意としていたSiva Engineering社が手がけたロングノーズ・ショートデッキの2ドアクーペです。デザインチームの意見を反映してガルウィングを採用しましたが、実用性に乏しいと判断されたため合計12台のみの生産にとどまり、現在では希少価値の高い一台となっています。フォルクスワーゲン・ビートルのプラットフォームを流用することで製造コストを抑えています。

ブリックリン「SV-1」|ボタン操作でガルウィングを開閉できた電動油圧式ライトウェイトスポーツカー

ブリックリンSV-1のエクステリアブリックリン「SV-1」に搭載させるガルウィングドアは重量が40Kgほどと重くて、電動油圧式モーターで真上に持ち上げるのには10秒以上もかかった

カナダ政府の融資を受けて開発されたブリックリン「SV-1」は、コルベットをライバル視して設計されたライトウェイトスポーツカーです。フォード ウィンザーV8エンジンを搭載し最高速約178km/hを実現。電動油圧式モーターにより、ボタン操作だけでガルウィングを開閉できるシステムを採用した先駆的なモデルでしたが、当時の技術水準では約40kgのドアを持ち上げるのに10秒以上かかる点が課題として指摘されていました。

アストンマーティン「ブルドッグ」|幻の名車がレストアを経て悲願の200mph超えを達成

アストンマーティン ブルドッグのエクステリアアストンマーティンの「ブルドッグ」は台形型のボディには通常のドアでは支障をきたすという理由からガルウィングが採用された

アストンマーティン「ブルドッグ」は、直線構造を多用した台形状の楔形ボディに、乗降性を確保するためガルウィングを採用した異色の1台です。当時の社長が操縦していた戦闘機が車名の由来で、ギャレット製ツインターボを組み込んだ5.3L V8エンジンを搭載し、プロトタイプでは最高出力608PSを実現しました。コスト面から市販化は見送られ、プロトタイプ1台のみが現存しています。

その後、新オーナーが英国のクラシック・モーターカーズに依頼し、6000時間以上をかけた大規模なレストアが2021年に完了。2023年6月にはスコットランドのキャンベルタウンで、アストンマーティンのワークスドライバー・ダレン・ターナーの操縦により330.5km/h(205.4mph)を記録し、開発当初の目標であった「200mph(約322km/h)」を40年以上の時を経て達成しました。同年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスでもクラス優勝を果たすなど、幻の名車としての評価をさらに高めています。

「デロリアンDMC-12」|映画のタイムマシンとして世界的に有名なガルウィング搭載の名車

デロリアンDMC12のエクステリア「デロリアンDMC12」は無塗装・ステンレススチール製ボディを特徴としていたスポーツカー

1981年から1982年にかけて販売された「DMC-12」は、アメリカのデロリアン・モーターカンパニーが開発したスポーツカーです。2.8L V6エンジンを搭載し、ステンレススチール製ボディを無塗装のまま販売するという独特のスタイルで注目を集めました。ガルウィングを採用したスポーツカーらしい外観ながら、世界販売台数は約1万台にとどまり、デロリアンは1車種のみを販売した後に倒産しています。

デロリアン タイムマシンのエクステリア旧車ベースあるいは新生産車をベース車として開発された「デロリアン タイムマシン」モデルは高値で取引されている

倒産後に公開された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの劇中車として世界的な人気を獲得し、中古車市場ではプレミア価格が付くほどの名車となりました。その後、経営権を別会社が引き継ぐかたちで「デロリアン タイムマシン モデル」を展開し話題を集めました。

DeLorean Alpha 5のエクステリアEVモデルの「DeLorean Alpha 5」は従来モデルよりも躍動感を増しているガルウィングを採用している

DMC-12のEVモデルとして、イタルデザイン社との共同設計による「デロリアン アルファ5」が2022年に発表されました。ガルウィングを継承しつつ、0〜97km/h加速約3秒・最高速240km/h・航続距離480km以上というスペックを掲げた4人乗りEVクーペです。ただし、2024年に運営会社が本社を閉鎖し、2025年時点でも量産・発売には至っておらず、プロジェクトの行方は不透明な状況となっています。

イズデラ「コメンダトーレ 112i Silver Arrow」|ドアとトランクリッドの両方にガルウィングを採用した少量生産のハイパーカー

コメンダトーレ 112i Silver Arrowのエクステリア「コメンダトーレ 112i Silver Arrow」はドアだけではなくてトランクリジットもガルウィングを採用している

ドイツのヒルデスハイムに拠点を構えるIsdera(イズデラ)が開発した「Commendatore C112i Silver Arrow」は、乗降用ドアだけでなくトランクリッドにもガルウィングを採用した徹底的な少量生産ハイパーカーです。メルセデス・ベンツのワークスチームAMGが開発したエンジンを搭載し、大型の各ガルウィングドアを開閉するために高耐久のドアヒンジと高出力モーターを組み合わせています。

ブリストル・カーズ「Fighter(ファイター)」|航空機メーカーのノウハウを活かした高い空力性能を持つガルウィング搭載スポーツカー

Fighterのエクステリア「Fighter (ファイター)」はターボエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルも展開している

航空機メーカーをルーツとする英国ブリストル・カーズが開発した「Fighter(ファイター)」は、スチール製サイドバンパーにカーボン素材のドアとテールゲートを組み合わせた高剛性・軽量ボディが特徴です。ダッジ・バイパー由来の8.0L V10エンジンを搭載し、航空機開発で培ったエアロダイナミズムの技術を活かして最高速338km/hを実現しています。ラゲッジルームにゴルフバッグ2個を積める実用性も備えており、2007年にはターボエンジン搭載の高性能版「ファイターT」も登場しました。

グンペルト「アポロ」|アウディ出身の技術者が開発したレーシングカー風のガルウィング搭載スポーツカー

グンペルト アポロのエクステリア「Apollo(アポロ)」はアウディの技術者であったグンペルトが開発したサーキット走行も可能とするスポーツカー

アウディの元技術者ローランド・グンペルトが開発した「Apollo(アポロ)」は、カーボンなどの高剛性素材による軽量ボディに、アウディ製4.2L V8ツインターボエンジンと空力パーツを組み合わせ、サーキット走行にも対応できるポテンシャルを実現しました。外観をレーシングカー風にアレンジするために、往年のスーパーカーを象徴するガルウィングが採用されています。

パガーニ「ウアイラ」|ガルウィングドアに加えてエンジンカバーも大胆に開く限定100台のハイパーカー

パガーニ ウアイラのエクステリアパガーニ「ウアイラ」は、ベンツのワークスチームであるAMGが開発したエンジンを搭載して走行性能を引き上げている

横から見たパガーニ ウアイラパガーニ「ウアイラ」はガルウィングドアだけではなくて、エンジンカバーも高い位置に上げられる

2012年に販売を開始したパガーニの「Huayra(ウアイラ)」は、ゾンダの後継として誕生した限定ハイパーカーです。AMGが開発した6.0L V12ツインターボエンジンを搭載し、カーボンとチタンを組み合わせた新素材をモノコックフレームに採用。乗降用ドアにガルウィングを使用するだけでなく、エンジンカバーも大胆に持ち上げられる構造とすることで、圧倒的なビジュアルインパクトを実現しています。

マツダ「オートザム AZ-1」|日本の量販市販車として初めてガルウィングを採用した軽スポーツカー

マツダ オートザム AZ-1のエクステリア「オートザムAZ-1」はスズキにOEM供給されたCARA(キャラ)とともに、軽自動車では唯一ガルウィングドアを搭載している車

マツダとスズキが共同開発した「オートザムAZ-1」は、専用設計シャシーとプラスチックボディパネルによる軽量化を実現し、F6A型直列3気筒DOHCインタークーラーターボをミッドシップに搭載したことでエンジン音の臨場感を高めた軽スポーツカーです。トヨタMR2やフェラーリF40からインスピレーションを受けた設計とも言われています。1992年〜1995年の販売期間がバブル崩壊と重なったため新車時の販売は振るいませんでしたが、軽自動車唯一のガルウィングドアという希少性と高い走行性能が再評価され、現在も中古市場で高値取引が続いています。

スズキ「CARA(キャラ)」|AZ-1のOEM車として展開されたスタイリッシュなガルウィング搭載の軽スポーツカー

スズキ CARAのエクステリア「CARA(キャラ)」はマツダ・オートザムAZ-1からのOEM供給を受けてスズキブランドで販売されていた軽自動車規格のスポーツカー

スズキ「CARA(キャラ)」は、マツダ・オートザムAZ-1のOEM車としてスズキブランドで販売された軽スポーツカーです。アルトワークスに搭載されていたF6A型3気筒660㏄ DOHC 12バルブインタークーラーターボを流用し、スケルトンモノコックフレーム構造を採用。AZ-1との差別化として角形フォグランプを標準装備したスタイリッシュなフロントマスクが特徴でしたが、バブル崩壊による景気悪化の影響を受けて1995年に販売終了となりました。

三菱「スタリオン」|TVドラマの劇中車として製作されたガルウィング仕様の限定5台が市販された国産クーペ

三菱 スタリオンのエクステリア三菱「スタリオン」は1982年から1990年にかけて販売されていたクーペタイプのスポーツカー

1982年から1990年にかけて販売された三菱「スタリオン」は、2Lターボエンジンを搭載するクーペタイプのスポーツカーです。1989年から約1年間放映されたテレビ朝日系ドラマ『ゴリラ・警視庁捜査第8班』で、舘ひろし演じる刑事の愛車として特注ガルウィング仕様モデルが登場して話題を集めました。三菱の全面協力のもとで開発されたこのガルウィング仕様は、市販車として限定5台が販売されています。

ダイハツ「ミラミチート」|後部ドアをガルウィング方式とした対面販売向けの商用車

ダイハツ ミラミチートのエクステリアミラミチートは移動販売車やキッチンカーとして利用されていた商用車

1980年から2005年まで新車販売されていたダイハツ「ミラミチート」は、馬車を思わせる曲線ルーフが特徴の移動販売車・キッチンカーとして使われていた商用車です。乗降には使用しない後部ドアをガルウィング方式とすることで、対面販売の際に大きく開口できる実用的な構造を実現しています。

メルセデス・ベンツ「SLS AMG」|300SLのDNAを受け継いだAMG初の独自開発モデル

メルセデスベンツSLS AMGのエクステリア「SLS AMG」は300SLをインスパイアして開発されたAMG専用モデルでガルウィングドアを引き継いだ

2010年に日本市場でも発売されたメルセデス・ベンツ「SLS AMG」は、往年の名車300SLをインスパイアしたデザインとガルウィングドアを採用したAMG初の独自開発モデルです。軽量化と高剛性を両立するアルミニウム・スペースフレームボディを採用し、AMGが独自開発した6.3L V8エンジンにより最高速317km/h・0〜100km/h加速3.8秒を達成。徹底した軽量化を優先したため電動アシスト機構を持たないガルウィングドアを採用しています。2014年に生産を終了し、後継のAMG GTには通常のドアが採用されました。

テスラ「モデルX」|センサーと二重ヒンジで障害物を回避する進化版ガルウィング「ファルコンウィング」を採用したSUV

テスラ モデルXのエクステリアテスラが「モデルX」に装備させたファルコンウィングと呼ばれるドアを上げきったシルエットはガルウィングに近い

テスラが開発した3列シートSUV「Model X(モデルX)」は、セカンドシートとサードシートの乗降に用いる後部ドアにガルウィングを採用し、ファミリーカーとしての実用性を高めた先進的な設計が高評価を得ています。

テスラ モデルXのファルコンドアテスラはルーフとドア表面部との間にもヒンジを設け、モーターやセンサーも採用する事でドアを開けきる余裕がないと判断した場合には開閉を抑える仕組みを導入している

「ファルコンウィング」と名付けられたこのドア機構は、ルーフ部だけでなくドア表面部とルーフの間にも二重のヒンジを設け、モーターと各種センサーを内蔵しています。周囲のスペースが不十分と判断した場合にはドアの開閉量を自動で制限し、障害物との接触を回避する仕組みを備えています。伝統的なガルウィングの進化版として、EVの特性を活かした実用的なドア機構と評価されています。

EVとの親和性が高いガルウィング|今後の普及に注目

ガルウィングを実現するためには、ドアを持ち上げるモーターが必要となり、車両重量の増加や燃費悪化につながるため、内燃機関車では採用が難しい面がありました。しかしEVはそもそもモーターを動力源として搭載しており、重量増加によるランニングコストへの影響が相対的に少ないため、ガルウィングとの相性が良いと考えられています。

現行ラインナップでは、テスラ「モデルX」がファルコンウィングを採用して継続販売されています。かつて発表されたデロリアン「アルファ5」もガルウィングを採用するEVとして注目を集めましたが、運営会社の経営問題から量産・発売は実現していません。今後EV化がさらに進むなかで、ガルウィングを採用する新たな車種が登場することに期待が高まります。