逆開きボンネットと前開きボンネットの違い

逆開きボンネットと前開きボンネットの違いとは?メリットやデメリットを解説

逆開きボンネットは逆アリゲータータイプやチルトボンネットと呼ばれスポーツカーやマッスルカー、スーパーカーに採用されていました。現在主流の前開きボンネットへ2ロック機構が採用されてからは逆開きボンネットは廃れました。ボンネット構造の違いやメリットとデメリットを解説。

逆開きボンネットと前開きボンネットの違いとは?メリットやデメリットを解説

逆開きボンネットと前開きボンネットの違いは?メリットやデメリット

逆開きボンネットはチルトボンネットや、逆アリゲーターボンネットとも呼ばれ、一般的な前開きボンネットとヒンジが逆についているボンネットのことを指し、現在でもスポーツカーなどに採用され、カスタムカーのボンネットとしても人気です。

逆開きボンネットと前開きボンネットの違いを具体的に説明し、それぞれのメリットやデメリットも紹介します。

逆開きボンネットと前開きボンネットの違いは開き方

逆開きボンネットと前開きボンネットの違いは、ドアとボディを繋げるヒンジの位置です。

逆開きボンネットのクラシックカー運転席側からボンネットを開く

逆開きボンネットとは

逆開きボンネットはフロントバンパー側にヒンジが付いているボンネットで、後ろから前へボンネットを開きます。

ヒンジが運転席型にある車ヒンジが運転席側にあるのでフロントバンパー側からボンネットを開く

前開きボンネットとは

前開きボンネットは運転席型にヒンジがついているボンネットで、フロントバンパー側からボンネットを開きます。

現在は前開きボンネットが主流ですが、かつてはスカイラインGT-RなどのスポーツカーやBMWの車などに採用実績があります。

逆開きボンネットは運転席側から開くボンネット

チルトボンネットに改造した車逆開きボンネットは70年代から80年代のスポーツカーに採用されている

逆開きボンネットはチルトボンネットや逆アリゲータータイプと呼ばれています。前開きボンネットでは万が一走行中にボンネットが上がった場合、視界を遮られ事故に繋がる危険性があったため開発されました。

かつてはBMWなど有名な自動車ブランドでも採用され、日本のスカイラインGT-Rにも採用されたことで有名です。

1990年代に入り「車内でロックを解除し、ボンネット自体のロックを解除する、2ロック方式」が開発されたため逆開きボンネットを採用する車種は殆どなくなりましたが、マッスルカーと呼ばれるGMのシボレーコルベットやジャガー Fタイプは今でも逆開きボンネットを採用しています。

メリットは走行中にボンネットが跳ね上がる事故を防ぐこと

逆開きボンネットのメリットは、前開きボンネットで懸念されていた「走行中にボンネットが開くことが原因になる事故を防ぐ」ことです。

しかし、前開きボンネットに2ロック方式が採用されたことで、この可能性が無くなり、殆どの車種に整備がし易い前開きボンネットが採用されることになりました。今ではカッコ良さを追求するカスタムカーに多く採用され人気になっています

逆開きボンネットのデメリットは可動域の狭さが原因のメンテナンス性の悪さ

前開きボンネットと比較すると、構造的に可動域が狭くなるためメンテナンス性が悪く、整備のし難さがデメリットです。

このボンネットを採用している車は年代が古めの旧車や輸入車が殆どなので、メンテナンス性は重要です。何かを点検・交換するにも後ろに回り込む必要があるため、大変な思いをするかもしれません。

前開きボンネットはフロントバンパー側から開くボンネット

ボンネットのヒンジが運転席側に付いている車フロントバンパー側から開けるためワニの口のように見える

一般的な車のボンネットは前開きボンネットで、ワニの口のように見えるためアリゲータータイプとも呼ばれています。ヒンジが運転席側についているためフロントバンパー側からロックを解除して上に向かって開けます。

ボンネットを開けるレバーボンネットを開けるには車内からロックを解除

ボディとボンネットを繋ぐヒンジ車内のロックを解除したらボディに繋がったボンネットのロックを解除

走行中にボンネットが開く事故を防ぐため、特に走行性能の高いスポーツカーには逆開きボンネットが多く採用されましたが、2ロック方式が開発されたことでボンネットが開く可能性が無くなり、以降のボンネットの構造は前開きボンネットが主流になりました。

前開きボンネットのメリットは可動域が広いためメンテナンス性に優れること

前開きボンネットは可動域が広い前開きボンネットは可動域が広いためエンジンオイルなどのメンテナンスチェックをしやすい

前開きボンネットの最大のメリットは整備のし易さにあります。
可動域が広いため、逆開きボンネットより多くの作業スペースを確保できるのでメンテナンス性抜群です。

2ロック方式を採用してボンネットが走行中に跳ね上がるデメリットを克服

一昔前はボンネットをボディ型のキャッチで固定していたこともあり、万が一キャッチ部分が壊れた時はボンネットが走行中の風圧で上に跳ね上がり、ドライバーの視界を遮ることで大事故に繋がる危険性が指摘されていました。

そのためスピードがでるスポーツカーやスーパーカーにはチルトボンネットと呼ばれる逆開きボンネットが採用されていました。しかし2ロック方式を採用することで、このデメリットは無くなりました

逆開きボンネットは個性を表現するカスタムカーに人気

両側で開くカスタムカーカスタムカーには観音開きに開く珍しいタイプもある

メンテナンス性の高い前開きボンネットが主流になり、逆開きボンネットを採用する車は殆どなくなりましたが、そのかっこ良さからカスタムカーに取り入れられることが多く、再び注目を浴びています。

カスタムカーには逆開きボンネットの逆アリゲータータイプ、前開きボンネットのアリゲータータイプ、他にも横に開くボンネットや両側に開くタイプの珍しいボンネットもあります

東京オートサロンや大阪オートメッセなど、日本で行われるカスタムカーショーではボンネットの開き方に注目するのも楽しいかもしれません。

逆開きボンネットは前開きボンネットにはない特別感がある

逆開きボンネットと前開きボンネット

機能性は前開きボンネットに敵いませんが、逆開きボンネットは数多くのスポーツカーやスーパーカーに採用された実績があるため、憧れている方も多いのではないでしょうか。しかし今では珍しい存在で、殆ど見かけることもなくなりました。

中古車市場でもお目にかかることは難しいため、前開きボンネットを逆開きボンネットに変更するためのチルトアップキットを取り付け再現する方もいます。逆開きボンネットには前開きボンネットにはない魅力があります。