トヨタコンセプト愛iシリーズ

トヨタ Concept-愛iシリーズの特徴と3台のAI搭載モビリティを徹底解説

ドライバーの感情を理解するAIを搭載したトヨタのConcept-愛iシリーズ。自動運転との連携や感情認識技術の仕組みから、車いすユーザー対応のRIDE、立ち乗り3輪のWALKまで全3台の技術と設計思想を詳しく紹介。

トヨタ Concept-愛iシリーズの特徴とAI技術

トヨタは第45回東京モーターショー2017に「TOYOTA Concept-愛i」シリーズを出展しました。出展車両は3台で、2017年1月に米ラスベガスで開催された2017 International CESにて世界初公開した四輪モデル「TOYOTA Concept-愛i」、高齢化社会を見据えたユニバーサルモビリティ「TOYOTA Concept-愛i RIDE」、行楽地での散策などに向けた近距離移動用乗り物「TOYOTA Concept-愛i WALK」です。

「TOYOTA Concept-愛i」シリーズには、人を理解できる人工知能(AI)が搭載されており、ドライバーの感情認識や嗜好推定を実現しています。この技術によってドライバーが次にとろうとする運転行動をAIが先読みし、サポートすることで安全性を確保します。

Concept-愛iシリーズが提示した「新しいFun to Drive」という思想はその後も引き継がれ、2019年の東京モーターショーでは後継コンセプトカー「LQ」として進化した形で発表されています。本記事では、2017年に公開されたConcept-愛iシリーズ全3台の特徴と搭載技術を詳しく紹介します。

トヨタ Concept-愛iシリーズが目指す「人を理解する車」

Concept-愛iシリーズに共通するコア技術は、各センサーから収集した情報をもとにドライバーの感情認識や嗜好推定を行う「人を理解する」技術(Learn)です。この技術は自動運転技術と組み合わせることでドライバーを「安全・安心」(Protect)に導き、エージェント技術と組み合わせることでドライバーの気持ちを先回りした提案を可能にし、「新しいFun to Drive」(Inspire)をもたらします。

シリーズ共通のコンセプトは「more than a machine, a partner」。AIがドライバーの感情や好みを理解し、人とクルマが協調しながら互いに成長していくという未来の車のあるべき姿を提示するモデルです。シリーズ内の3台のモビリティ間をAIエージェントがシームレスに連携することで、乗り物を乗り換えても一貫したパーソナライズ体験が継続される設計になっています。

車種 トヨタ Concept-愛iシリーズ(全3台)
コア技術 感情認識・嗜好推定を行うAI(Learn)
提供価値 安全・安心(Protect)+新しいFun to Drive(Inspire)
コンセプト 「more than a machine, a partner」
後継モデル 2019年東京モーターショーで「LQ」として発展・公開

Concept-愛iのデザインと感情認識技術

シリーズを代表する四輪モデルのConcept-愛iは、2017 International CESで世界初公開されました。ホワイトカラーを基調とした滑らかなボディラインが特徴的なエクステリアで、まるでパソコンのマウスを連想させる有機的な造形です。

インテリアはステアリングホイールやシートすべてがスタイリッシュな仕上がりで、フロアや各パネルに配置されたLEDの発色が室内空間に鮮やかな彩りを加えています。

Concept-愛iはドライバーの表情・動作・声のトーンなどの生体情報から感情や覚醒度を推測するだけでなく、SNSへの投稿内容・位置情報・車内での会話履歴といった個人の蓄積情報も分析することで、ドライバーの嗜好を多角的に読み解き「ヒトとクルマのコミュニケーション」の充実化を図っています。

トヨタの自動運転に対する考え方は「Mobility Teammate Concept」です。AIがドライバーのストレス・疲労・眠気を検知すると、自動運転モードを発動してドライバーをサポートします。また、ドライバーの趣味・嗜好をビッグデータと組み合わせることで、ドライバーがより楽しめるルートをクルマ側から能動的に提案するシステムの構築も想定されています。

Concept-愛i スペック
全長 4,510mm
全幅 1,830mm
全高 1,475mm
ホイールベース 2,700mm
パワートレーン EV
航続距離 約300km
乗車定員 4名
出展イベント 2017 International CES(世界初公開)、東京モーターショー2017
ボディデザイン ホワイトカラー基調、滑らかな有機的ボディライン
インテリア LED照明によるスタイリッシュな室内空間
感情認識 表情・動作・声のトーン・SNS・位置情報・会話履歴を複合的に分析
自動運転サポート ストレス・疲労・眠気をAIが検知し自動運転モードへ切り替え
ルート提案 ビッグデータ×嗜好分析で楽しめるルートをクルマ側が提示

ユニバーサル設計のConcept-愛i RIDE(小型モビリティ)

Concept-愛i RIDEは「人にやさしい都市モビリティ」をコンセプトに、高齢者や車いすユーザーも含めた誰もが自由に移動できるユニバーサル性を重視した小型モビリティです。フロントフェイスには「HELLO!」「GOODBYE!」などのメッセージを表示できるディスプレイを搭載し、車外の人とのコミュニケーションも可能にしています。

室内空間はホワイトとブルーの爽やかで清潔感ある配色が印象的です。手足に障害のある方も運転できるよう、ステアリングやアクセル・ブレーキペダルの代わりにジョイスティック操作方式を採用しています。

シートは電動でレイアウトを変えられるため、外出目的や利用シーンに合わせた柔軟な使い方が可能です。

車いすユーザーがスムーズに乗り降りできるよう、ドアはガルウィング方式を採用しています。折りたたんだ車いすは後部スペースに格納でき、ユニバーサル性をさらに高めています。自動駐車や自動パレットパーキング機能も搭載し、運転操作の負担を最小限に抑えています。また、個人所有ではなく複数人でシェアするモビリティサービスとしての活用も想定されています。

Concept-愛i RIDE スペック
全長 2,500mm
全幅 1,300mm
全高 1,500mm
ホイールベース 1,800mm
パワートレーン EV
航続距離 約100〜150km
コンセプト 「人にやさしい都市モビリティ」、ユニバーサル性を重視
対象ユーザー 高齢者・車いすユーザーを含む誰もが利用可能
操作方式 ジョイスティック操作(手足に障害のある方でも運転可能)
ドア ガルウィング式。車いすは後部スペースに格納可能
運転サポート 自動駐車・自動パレットパーキング機能を搭載
ビジネスモデル シェアリングサービスとしての利用を想定

歩行者と並走できるConcept-愛i WALK(歩行領域モビリティ)

Concept-愛i WALKは立ち乗りタイプの3輪モビリティです。その日の服装や履物を選ばずに気軽に乗れる設計で、体重移動ではなくステア操舵機能で操作するため、誰でも直感的に扱えます。

全長は人の歩幅以下、全幅は肩幅以下というコンパクトな設計により、歩行者と並走していても邪魔になりません。また、ステップ高を低く抑えているため、高齢者やスカートを履いた女性でも乗り降りしやすい設計になっています。

航続距離は最大20kmで、単体での長距離移動には向きませんが、電車やバスなど他の交通手段と組み合わせることで行動範囲を大きく広げられます。観光地での周遊や近距離の「ラストワンマイル」移動手段として特に有効なモビリティです。

ハンドル部のセンサーや周囲との会話履歴からドライバーの個性を読み解き、危険を察知した場合には警告または自動回避システムが発動します。また、AIとネットワーク技術を活用することで観光地でのおすすめスポット案内や他の交通機関との連携もサポートします。

Concept-愛i WALK スペック
全長 500〜700mm
全幅 400mm
全高 1,130mm(ステップ高140mm)
回転半径 全長未満(その場で回転可能)
パワートレーン EV
航続距離 約10〜20km
タイプ 立ち乗り3輪モビリティ
操作方式 ステア操舵機能(体重移動不要で誰でも操作可能)
サイズ感 全長は歩幅以下・全幅は肩幅以下。歩行者と並走可能
想定用途 観光地の周遊・ラストワンマイル・他交通手段との乗り継ぎ
安全機能 ハンドルセンサーによる危険検知・自動回避システム

未来のモビリティ社会を提示したConcept-愛iシリーズの意義

トヨタがConcept-愛iシリーズで提示したのは、「クルマは愛がつく工業製品である」という思想を出発点に、AIがドライバーを深く理解し、人とクルマがコミュニケーションしながら互いに成長していくという未来のモビリティのあるべき姿です。四輪モデルの「Concept-愛i」、ユニバーサルモビリティの「RIDE」、歩行領域モビリティの「WALK」という3つのラインアップで、個人の移動からシェアリング、高齢者・障害者の社会参加まで幅広いシーンに対応する次世代モビリティ社会の全体像を描いています。

Concept-愛iシリーズで培われた「人を理解するAI」の思想は、2019年の東京モーターショーで公開された後継コンセプトカー「LQ」へと引き継がれ、トヨタのAI・自動運転技術開発における重要なマイルストーンとして位置づけられています。