1970年代の三菱の歴代車種
1970年、三菱重工業は、クライスラー社と資本提携を結び、自動車部門を「三菱自動車工業」として独立させます。
1974年には第22回サファリラリーで優勝し、国内外で「ラリーの三菱」として知られるように!ミニカスキッパーなど、ユニークな軽自動車の開発にも成功したのもこの70年代です。
ギャランGTO(1970~1977)
ギャランGTO1600MR 排ガス規制のため生産台数は835台のみ。
ギャランGTO GTOは「Gran Turismo Omologato」の略
コルトギャランを基本としつつ、アメリカのマッスルカーの影響を受けた独特のフォルムが特徴的で、「ヒップアップクーペ」のキャッチコピーがついた。トップグレードMRは三菱初のDOHCエンジンを搭載するも、排ガス規制のため2年で生産中止に。
車種 | ギャランGTO |
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製造期間 | 1970年~1977年 |
特徴 | コルトギャランをベースにした「ヒップアップクーペ」スタイル、アメリカのマッスルカー影響 |
トップグレード | MRは三菱初のDOHCエンジン搭載 |
生産台数 | 排ガス規制で生産は835台のみ、2年で中止 |
名称由来 | GTOは「Gran Turismo Omologato」の略 |
ギャランクーペFTO(1971~1975)
ギャランGTOの弟分ギャランクーペFTO
ギャランクーペFTO 全長3765mm×全幅1580mm×全高1330mm
1.4~1.6Lクラスに位置し、ギャランGTOのやんちゃな弟的存在。ギャランシリーズとの共通部品が多く、車体に対してドアが長く見える特徴的な外観となった。人気は兄貴分のギャランGTOに隠れていまひとつ。後継はランサーセレステ。
車種 | ギャランクーペFTO |
---|---|
製造期間 | 1971年~1975年 |
車格 | 1.4~1.6Lクラスのコンパクトクーペ |
特徴 | ギャランGTOの弟分で共通部品が多く、ドアが長く見えるデザイン |
サイズ | 全長3765mm×全幅1580mm×全高1330mm |
人気 | 兄貴分ギャランGTOに比べやや控えめな人気 |
後継車種 | ランサーセレステ |
ギャランΛ(1976~1984)
初代ギャランΛ 2000スーパーツーリング
2代目ギャランΛ(1980~1984)2000GSRターボ
ギャランGTOや2代目ギャランΣハードトップの後継。「Λ(ラムダ)」はアルファベットのLを意味し、ラグジュアリーの意味で命名。角形四灯ヘッドライトを日本車で初採用し、ハードトップでもクーペでもない斬新デザインが好評。
車名 | ギャランΛ(ラムダ) |
販売期間 | 1976~1984年 |
特徴 | ギャランGTOや2代目ギャランΣハードトップの後継モデル |
名前の由来 | アルファベットのLを意味し、「ラグジュアリー」を示す |
デザイン | 日本車初の角形四灯ヘッドライト採用。ハードトップでもクーペでもない斬新なデザイン |
評価 | 斬新なデザインが好評を博した |
ミニカスキッパー(1971~1974)
ミニカスキッパー カットオフテールがギャランGTOを彷彿させる
ミニカスキッパーIV L/L リア
水中眼鏡と呼ばれたホンダの軽自動車Zに対抗すべく誕生した軽クーペ。「こしゃくにも…クーペです!」のキャッチコピーの通り、全高1295mmとかなり背が低い。ミニギャランGTOと呼ばれても納得の大胆デザイン。
車名 | ミニカスキッパー |
販売期間 | 1971~1974年 |
特徴 | ホンダの軽自動車Zに対抗して誕生した軽クーペ |
キャッチコピー | 「こしゃくにも…クーペです!」 |
全高 | 1295mmと非常に低い |
デザイン | 大胆でミニギャランGTOを思わせる外観 |
ランサー(1973~1979)
ファミリーユースを満たせる4ドアのランサー(後期型)
「槍騎士」の名前を持つ小型乗用車。1.2L/1.4L/1.6Lの低公害エンジンが国際的にも評価され、ファミリーユースも多かった。ホットモデルの1600GSRは初出場のサファリラリーで優勝・3位まで独占と国際ラリー界を席巻していく。
車名 | ランサー |
販売期間 | 1973~1979年 |
特徴 | 「槍騎士」の名を持つ小型乗用車 |
エンジン | 1.2L、1.4L、1.6Lの低公害エンジンを搭載 |
用途 | ファミリーユースに適したモデル |
スポーツモデル | 1600GSRは初出場のサファリラリーで優勝し、3位まで独占した実績あり |
ランサーEX(1979~1987)
ランサーEX 1400GL
曲線基調から直線デザインに生まれ変わり、車名を変更した2代目ランサー。1.8Lと2.0L(海外向け)に存在するターボモデルは「ランタボ」の愛称で知られる。外観に反した強力トルクで、ターボモデルはゼロヨン16秒前半の俊足!
車名 | ランサーEX |
販売期間 | 1979~1987年 |
デザイン | 曲線基調から直線的なデザインに変更 |
エンジン | 1.8Lおよび海外向け2.0Lターボモデルを搭載 |
特徴 | ターボモデルは「ランタボ」と呼ばれ、強力なトルクを持つ |
性能 | ゼロヨン16秒前半の俊足を誇る |
ランサーセレステ(1975~1982)
「セレステ」は青い空を意味するラテン語 車名を体現するブルーは人気色だった
オレンジカラーのランサーセレステ(中期型)
クーペ版ランサー。単に「セレステ」とも呼ばれる。第一次オイルショックのなか発売ということで、青・黄色・オレンジなど明るいボディカラーで爽やかさをアピール!北米ではプリムス・アローの名前で販売し、若い女性に人気のクルマだった。
車名 | ランサーセレステ |
販売期間 | 1975~1982年 |
タイプ | クーペ版ランサー。単に「セレステ」とも呼ばれる |
特徴 | 第一次オイルショック下で明るい青・黄色・オレンジなどのボディカラーで爽やかさを演出 |
北米展開 | プリムス・アローとして販売され、若い女性に人気を博す |
ギャランΣエテルナ/エテルナ(1978~1996)
初代ギャランΣエテルナ
ギャランの名前が外れた2代目エテルナΣ
1978年に設立されたカープラザ店のラインナップを揃えるために用意されたギャラン(3代目~)の姉妹車。初代ギャランΣエテルナは、ギャランが丸型4灯シールドビーム式なのに対し、異形角型2灯式ヘッドランプを採用。
車名 | ギャランΣエテルナ/エテルナ |
販売期間 | 1978~1996年 |
概要 | 1978年設立のカープラザ店向けラインナップ用に用意されたギャランの姉妹車 |
初代特徴 | 丸型4灯シールドビーム式のギャランと異なり、異形角型2灯式ヘッドランプを採用 |
2代目特徴 | ギャランの名前を外し「エテルナΣ」として展開 |
フォルテ(1978~1986※国内販売終了)
フォルテ(輸出仕様)前期型
小型ピックアップトラック。提携先のクライスラーからはダッジ・ラム50、プリムス・アロートラックなどの名前でリバッジして販売。北米ではティーンエイジャーや若い女性が通勤や通学に用いていた。
車名 | フォルテ |
販売期間 | 1978~1986年(国内販売終了) |
車種 | 小型ピックアップトラック |
特徴 | 提携先クライスラーからダッジ・ラム50やプリムス・アロートラック名義でリバッジ販売 |
利用者 | 北米ではティーンエイジャーや若い女性が通勤・通学に使用 |
デリカスターワゴン(1979~1999※日本生産終了)
デリカスターワゴン(オーストラリア仕様L300)
スターワゴン4WD アクティブワールド エアロルーフ
1982年に本格的な4WD仕様が追加。4WDワンボックスワゴンの先駆け的存在となり、アウトドア好きの心をがっちりつかむ。1986年発売の2代目(デリカコーチから数えて3代目)はRVブームもあり人気モデルに!
車名 | デリカスターワゴン |
販売期間 | 1979~1999年(日本生産終了) |
特徴 | 1982年に本格的4WD仕様を追加。4WDワンボックスワゴンの先駆けとなった |
人気 | 1986年発売の2代目はRVブームで人気モデルに成長 |
ターゲット層 | アウトドア好きに支持される |
1980年代の三菱の歴代車種
1978年にカープラザ店を設立した三菱自動車。1980年代は本格的に、ギャラン店とカープラザ店の2チャンネル体制での販売を開始します。
米国市場を意識したスタリオンもサーキットで活躍し、後に映画『ワイルド・スピード』の劇中車として世界的な人気を博すエクリプスも登場します!
コルディア(1982~1987)
コルディア 姉妹車はFF4ドアセダンのトレディア
ギャラン店で販売された3ドアハッチバッククーペで、姉妹車はカープラザ店販売のトレディア。ミラージュをベースにした三菱ターボ車のミドルクラス担当。当初はFF車だったが、85年の車種整理で1.8Lターボの4WDのみを残す。海外で高評価。
車名 | コルディア |
販売期間 | 1982~1987年 |
車種 | 3ドアハッチバッククーペ |
販売店 | ギャラン店 |
姉妹車 | カープラザ店のトレディア(FF4ドアセダン) |
ベース車 | ミラージュをベースにした三菱ターボ車のミドルクラス |
駆動方式 | 当初はFF、1985年から1.8Lターボ4WDのみに変更 |
特徴 | 海外で高評価を得たターボモデル |
トレディア(1982~1988)
トレディア 1.6 GLS
カープラザ店販売のコルディアの姉妹車。ミラージュとギャランΣ/エテルナΣの中間を埋めるために投入されたセダン。後にミニバン・シャリオのベース車になった。当初は「スーパーシフト」と呼ばれる副変速機つき4速MTが存在したが、後に5速MTに変更。
車名 | トレディア |
販売期間 | 1982~1988年 |
車種 | セダン |
販売店 | カープラザ店 |
姉妹車 | コルディア |
位置づけ | ミラージュとギャランΣ/エテルナΣの中間モデル |
後継車 | ミニバン・シャリオのベース車 |
変速機 | 当初は副変速機付き4速MT(スーパーシフト)、後に5速MTに変更 |
ランサーフィオーレ(1982~1988)
初代ランサーフィオーレ(1982~1983)
2代目ランサーフィオーレ(1983~1988)
ミラージュ2の双子車として登場したFF車。特徴的な3BOXセダン。4気筒と2気筒に自動で切り替わる「可変排気量」エンジンを搭載。「10モード燃費20km/L」という当時としてはかなりの低燃費を実現していた。
車名 | ランサーフィオーレ |
販売期間 | 1982~1988年 |
ベース車 | ミラージュ2の双子車 |
駆動方式 | FF(前輪駆動) |
ボディタイプ | 特徴的な3BOXセダン |
エンジン特徴 | 4気筒と2気筒に自動切替可能な可変排気量エンジン搭載 |
燃費性能 | 10モード燃費で20km/Lを達成(当時としては高燃費) |
スタリオン(1982~1990)
1987年のEscort Endurance Series選手権 優勝車両スタリオンESI-R
スタリオン4WDラリー
軽カーを除き三菱最後のFR車となったスペシャリティクーペ。リトラクタブルヘッドライトを採用し、後にランエボにも継承される「ガンダムっぽいエクステリア」が特徴。全日本ツーリングカー選手権をはじめ、海外のサーキットレースでも活躍。
車名 | スタリオン |
販売期間 | 1982~1990年 |
駆動方式 | FR(後輪駆動)※軽自動車を除く三菱最後のFR車 |
特徴 | リトラクタブルヘッドライト採用、ガンダム風のエクステリアデザイン |
レース実績 | 全日本ツーリングカー選手権、海外サーキットレースで活躍 |
特筆モデル | 1987年Escort Endurance Series優勝のスタリオンESI-R、4WDラリー仕様も存在 |
シャリオ/シャリオグランディス(1983~2003)
「ミニバンの嚆矢」と呼ばれる初代シャリオ
2代目シャリオ(1991~1997年)
サブネームがついた3代目シャリオグランディス(1997~2003)
1977年に開発スタート。世界的にみてもミニバンの先駆けと呼べるクルマ。初代の販売は1983年からで、同時期に日産・プレーリーや、クライスラー・ボイジャーが発売されている。ベースとなったのはトレディア。
またアライアンスパートナーのルノーからOEM提供を受けたグランディスが、コンパクトSUVとして欧州市場で2025年に復活。
車名 | シャリオ / シャリオグランディス |
販売期間 | 1983~2003年 |
特徴 | ミニバンの先駆け。1977年に開発開始し、初代は1983年発売。トレディアがベース。 |
モデル展開 | 初代シャリオ、1991~1997年の2代目、1997~2003年の3代目シャリオグランディス(サブネーム付き) |
競合車種 | 同時期の日産・プレーリーやクライスラー・ボイジャー |
欧州市場 | ルノーからOEM提供を受けたグランディスが2025年にコンパクトSUVとして復活予定 |
ランサーワゴン(1985~1992)
ランサーワゴン
ランサーフィオーレをベースにしたステーションワゴン。ミラージュワゴンは双子車にあたる。上級グレード1500 CXには、前席は固定式、後部座席は電動開閉のガラスルーフが装備された。1992年のモデルチェンジで「リベロ」に車名を変更。
車名 | ランサーワゴン |
販売期間 | 1985~1992年 |
ベース車 | ランサーフィオーレ |
双子車 | ミラージュワゴン |
特徴 | 上級グレード1500 CXは前席固定式・後部座席は電動開閉ガラスルーフ装備 |
後継モデル | 1992年モデルチェンジで車名を「リベロ」に変更 |
リベロ(1992~2000)
5ドアステーションワゴン リベロ
浦和レッズとコラボした特別仕様車「浦和レッド」を埼玉で限定販売。湘南ナンバー誕生と同時にサーファー向け仕様車を発売など、ワゴンブームのなかがんばって売ろうとしたモデル。商用ライトバンのリベロカーゴ(1992~2002)も併売。
車名 | リベロ |
販売期間 | 1992~2000年 |
特徴 | 浦和レッズとコラボした特別仕様車「浦和レッド」を埼玉限定販売 |
特別仕様車 | 湘南ナンバー誕生と同時にサーファー向け仕様車も発売 |
関連車種 | 商用ライトバンのリベロカーゴ(1992~2002年)も併売 |
マグナ(1988~1993)
マグナ ステーションワゴン
初代は1985年からミツビシ・モーターズ・オーストラリアで生産が開始され、日本へは1988~93年までステーションワゴンのみ輸入されていた。ベースはギャランΣ。3ナンバーで余裕たっぷりの室内空間が売りだが、かなりのマイナー車。
車名 | マグナ |
販売期間 | 1988~1993年(日本輸入) |
生産開始 | 1985年(ミツビシ・モーターズ・オーストラリア) |
車種 | ステーションワゴンのみ輸入 |
ベース車 | ギャランΣ |
特徴 | 3ナンバーで広い室内空間が魅力だが、マイナー車 |
エクリプス(海外販売1989~2012)
北米を中心に高い人気を誇った初代エクリプス
1989~2012年まで北米を中心に販売したクーペ&オープンカー。初代モデルの北米のヒットを受け、日本でも販売したが、人気はいまひとつ。2代目がワイルドスピード劇中車となったことで、世界中で日本の「スポーツコンパクト」として人気急上昇。
車名 | エクリプス |
販売期間 | 1989~2012年(海外、主に北米) |
車種 | クーペ&オープンカー |
特徴 | 初代は北米で人気。日本販売もあったが人気は控えめ。2代目はワイルドスピード劇中車となり、世界的に注目を集めた。 |