1990年代の三菱の歴代車種
1990年代はランサーエボリーションやパジェロがラリーで華々しい活躍を遂げていた時代です。バブル期にはGTOやFTOなどのスポーツカーも登場し、人気を博します。
また、三菱は1996年からガソリン直射エンジン(GasolineDirect injection engine)、通称GDIエンジンを採用したクルマ作りを行っています。当時は低燃費で環境にやさしい高性能エンジンとして高く評価されましたが、後に有害物質(カーボン)のエンジン内部への付着が問題視されます。
現在では、改善が進み、トヨタなどがガソリン直射エンジンを採用したクルマ作りをしていますが、三菱は2007年を最後にGDIエンジン搭載車の販売を中止しています。
ディアマンテ(1990~2005)
初代ディアマンテ
2代目ディアマンテ
「あのクルマとは違う」とCMで言っちゃう上級車。当時の庶民の憧れ全車3ナンバー設定。なぜなら開発段階で1989年の自動車税の改定(3ナンバー車に高額な税率が課されなくなる)を他社に先駆けて掴んだから。価格200万前半~。そりゃ売れるわ。
シグマ(1990~1996)
4ドアセダンで居住性に優れたシグマ
姉妹車ディアマンテの5カ月後に販売された高級セダン。初代ディアマンテより室内長が30mmほど高く、前期型はヘッドライトや独立したグリルで差別化するも、マイナーチェンジでしだいに顔が似ていく。公用車や警察車両として活躍。
GTO(1990~2001年)
リトラクタブルヘッドライト搭載のGTO前期型
GTO前期型リア イメージカラーは赤で1番の人気色だった
GTO中期型
スタリオンの後継として誕生した平成スポーツカー。最高出力280psと自主規制値いっぱい。国内向けは全グレード4WDだが、実は北米にはFF車も存在。計4度のビックマイナーチェンジを実施しており、リトラ採用モデルは1993年の初期型まで。
ミニカトッポ(1990~1998)
初代ミニカトッポ(1990~1993)
レトロでかわいい2代目ミニカトッポのタウンビーシリーズ
1990年の軽自動車規格の改定にあわせて販売を開始。軽ハイトワゴンの先駆け的存在で、2代目は標準車より70mm車高が高いスーパーハイルーフ仕様も存在。1997年追加のタウンビーは出目金ヘッドランプがかわいい。
ストラーダ(1991~ 1999年)
初代ストラーダ 前期型R
2代目ストラーダ
カープラザ店専売のピックアップトラック。海外ではフォルテの後継として1986年から2008年まで発売された。いくらRVブームとはいえ、パジェロ、RVR、デリカ、シャリオ、ジープ、ブラボー、ストラーダのラインナップは隙なさすぎ。
ランサーエボリューション(1992~2016)
ランサーエボリューションIII 1996WRC優勝車両
ランサーエボリューションV(1998) WRCでも華々しい活躍を遂げた
ランサーエボリューションX(2007~2015)
限定1000台販売だったランサーエボリューションファイナルエディション
WRC出場のために開発されたスポーツモデル。大雑把カウントで4世代10モデル、「ランエボ」の愛称で24年の歴史を刻んだ平成名車。盗難件数が多いため、エボVIII以降からイモビライザーが標準装備。インプレッサとは白熱バトルを繰り広げた仲。
エメロード(1992~1996)
エメロード バブル期に流行した4ドアハードトップ
車名はエメラルドを意味するフランス語。7代目ギャランをベースにしたバブル期らしいラグジュアリーなハードトップだが、スタイル重視のため居住性はいまひとつで販売不振。モデル末期には覆面パトカーとして全国的に大量採用された。
デリカスペースギア(1994~2007)
デリカスペースギア 前期型
デリカスペースギア 前期型リア
通称スぺギア。2代目パジェロをベースにしており、スーパーセレクト4WD仕様は悪路走破性に定評あり。燃費は街乗りで6~8キロ未満、高速でも10キロ前後と語るオーナーが多いが、視界が高いので運転しやすい。後継はデリカD5。
FTO(1994~2000)
2ドアノッチバッククーペFTO
GTOの弟に位置付けられるスポーツカー。モーターショーではAWD仕様もお披露目されたが、市販化には至らず。国産FF車としての評価は高く、スポーツモード付きのATが人気モデル。良い意味で三菱らしくない曲線デザイン。
パジェロミニ(1994~2017)
初代パジェロミニ(1994~1998)
2代目パジェロミニ(1998~2017)
2代目パジェロミニデューク
3ドア軽SUV。「パジェロの弟的クルマ」として車名を一般公募した結果、「パジェロミニ」というなんのひねりもない名前に。2代目にはデュークやリンクスといった若者向けを意識した派生車も存在し、女性にも人気。
パジェロジュニア(1995~2000)
パジェロジュニア H57A型 アニバーサリーリミテッド
パジェロジュニアリンクス 1997年発売の特別仕様車
パジェロシリーズ第3弾。1100ccエンジン搭載で、ボディは軽自動車パジェロミニがベースだが、大型バンパーやオーバーフェンダーによって、タフなSUVらしく仕上げた。ABSやエアバッグを標準装備し、安全面も強化されている。後継はパジェロイオ。
パジェロイオ(1998~2007※国内生産終了)
パジェロイオ 前期型
パジェロイオ 後期型
パジェロジュニアの後継車種だが、ジュニアと違いパジェロミニをベースにしない専用設計。発売当初はスーパーセレクト4WD-iを搭載していた。ブラジルでは現地生産するなど海外での人気も高かった。
パジェロエボリューション(1997~2008)
パジェロエボリューション E-V55W型
パジェロエボリューション MPR10
ダカールラリー参戦用のホモロゲーションモデル(同名の競技専用車両も存在)。2代目パジェロをベースに、SUVとしてはじめて自主規制値280psを達成。スーパーセレクト4WDを採用など、当時の三菱の技術を総結集して開発した。
チャレンジャー(1996年~2001※国内生産終了)
日本で販売された初代チャレンジャー
2代目パジェロのシャシをベースにした中型SUV。海外では「パジェロスポーツ」「モンテロスポーツ」などの名前で現在も生産が続く。テールゲートにスペアタイヤを積まないスタイルは当時のSUVとしては珍しいものだった。
レグナム(1996~2002)
人気モデルだったレグナムVR-4
レグナム 日本赤十字社血液運搬車仕様
8代目ギャランをベースに開発されたステーショナルワゴン。GDIエンジンを搭載した代表車種であり、スバル・レガシィツーリングワゴンに対抗すべく登場。発売当初は好調で「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するも、1代限りで生産終了。
カリスマ(1996~2001)
カリスマ 前期型
三菱・ボルボ・オランダ政府の合弁会社で生産。日本へは1.8Lの4ドアセダンのみ逆輸入したが、マイナー車の域を出ず。欧州版ランエボ「カリスマGT」との繋がりはほぼない。キャッチコピーは「カリスマってからには訳がある」。
アスパイア(1998~2003)
8代目ギャランの姉妹車アスパイア
エテルナの後継となった中級セダンで、8代目ギャランの姉妹車。エクステリアの違いはあまりないが、フロントエンブレムが赤色というわかりやすい特徴がある。GDIエンジンを全グレードに採用。カープラザ店統合の際にひっそりと終売。
トッポBJ(1998~2005年)
トッポBJ 中期型
トッポBJ 特別仕様車グッピー
ミニカトッポの後継となった軽トールワゴン。グレードによって小物が収納できるオーバヘッドコンソールがつくなど使いやすさを最重視。特別仕様車「グッピー」は、丸型のヘッドランプが特徴。前期のCMキャラクターは樹木希林と香取慎吾。
トッポBJワイド(1999~2001)
トッポBJワイド ベース車はトッポBJ
トッポBJのヒットを受けて開発された5人乗りの普通乗用車だが、「やっぱりスーパーハイトワゴンは軽自動車じゃないとね!」ということで不人気モデルとなり2年で生産終了。室内の広さがあまり変わっていないのに、税金が高いのはやはり致命的。
ミラージュディンゴ(1999~2002)
ミラージュディンゴ 前期型
ミラージュディンゴ後期型 マイナーチェンジでフロントマスクを大きく変更
ミラージュの名前がついているが、ベース車ではなく、プラットフォームは新設計。デザインは軽トールワゴン・トッポBJと類似性が見られる。前期型はヘッドライトが個性的だったが、2001年のマイチェンで「どちらさま?」というぐらい地味顔に。
タウンボックス(1999~)/タウンボックスワイド(1999~2001)
三菱自社生産時代の初代タウンボックス
タウンボックスワイド
タウンボックスはワンボックス型の軽自動車で、2014年からはスズキ・エブリイワゴンのOEM車。ワイドは派生車種の普通乗用車で、2001年まで生産。アクの強いエクステリアが不評で、短命に終わる。
ピスタチオ(1999~2000)
ピスタチオ 車体カラーはシトロンイエローとロアールグリーンの2色
生産台数50台。自治体・公益企業限定で販売。乗ったことがある人は自慢していいレベルの超希少車(ただし、周囲はミニカとしか思っていない可能性大)。GDIエンジンにアイドリングストップを組み合わせた当時の三菱が考えた最新エコカー。