ベンツ CLSのモデルチェンジ

メルセデス・ベンツCLS 2023年に生産終了で後継なし 3代目C257型の歴史と2021年一部改良

CLSはどうなった?後継はある?結論として3代目C257型限りで2023年に生産終了し、直接の後継車はありません。電動EQEが実質的な受け皿とされ、2ドアクーペはCLEへ集約されました。生産終了の理由や2021年改良の内容、AMGモデルの推移までまとめて解説します。

メルセデス・ベンツCLS 2023年に生産終了で後継なし 3代目C257型の歴史と2021年一部改良

メルセデス・ベンツCLSは2023年に生産終了 3世代19年の歴史に幕

4ドアクーペというジャンルを切り開いたメルセデス・ベンツ「CLSクラス」は、2023年8月31日をもって生産を終了しました。3代目(C257型)を最後にモデルそのものが姿を消し、直接の後継車も用意されないため、「CLS」という車名はラインナップから退くことになりました。ここでは2018年に登場した3代目の内容を軸にしつつ、その後の一部改良から生産終了までの流れを、新しい動きから順に整理してお伝えします。

2023年8月 CLSが生産終了、後継モデルは設定されず

メルセデス・ベンツは2023年5月に生産終了を公表し、同年8月末に3代目CLS(C257型)の生産を打ち切りました。初代の登場から数えて約19年、3世代にわたる歴史に幕を下ろした格好です。C257型の累計生産台数は約14万台とされています。

終了の主な理由は、ドイツ・ジンデルフィンゲン工場で新世代(6代目)Eクラスの生産能力を確保することにあります。CLSはもともとEクラスと機構を共有しており、両車の技術的な近さも背景にあると見られます。直接後継は開発されず、電動セダンのEQEが実質的な受け皿と位置づけられました。2ドアクーペの需要は新型「CLE」に集約され、走りを求める層にはメルセデスAMG GT 4ドアクーペが用意されます。

日本市場でも生産終了に合わせて受注を終え、以降は在庫車の対応が中心となりました。カタログ上は2024年ごろまで登録が確認できるものの、実質的にはこの世代でCLSの歴史は完結しています。

2022年 頂点のメルセデスAMG CLS 53系が先行して終了

本国では2022年後半に、AMGが手がける「CLS 53 4MATIC+」系が先行して整理・終了しました。直列6気筒ターボに電動スーパーチャージャーとISG(マイルドハイブリッド)を組み合わせた意欲的なパワートレインでしたが、同じ4ドアクーペの上位に位置するメルセデスAMG GT 4ドアクーペと客層が重なっていたことも、早い段階での退場につながったという見方があります。

2021年9月 フロントデザインを刷新する一部改良を実施

日本では2021年9月に一部改良が行われ、グリルを中心としたフロントまわりのデザインが変更されました。あわせて最新世代のステアリングホイールを採用し、ドアクロージングサポーターを標準化するなど、装備面もアップデートされています。CLS 220 dには外装色の選択肢を広げる「Individualizationプログラム」が新設されました。パワートレインには48Vのマイルドハイブリッドが組み合わされ、電動化の流れに沿った内容となっています。

振り返り 当時の「V8 AMG」予想はどうなったか

3代目の登場前には、AMGモデルにV型8気筒ツインターボが載るのではないかという声もありました。しかし実際に頂点を務めたのは直列6気筒の「CLS 53 4MATIC+」で、V8モデルは設定されないまま生産を終えています。パワートレインを直6中心に絞り込んだ流れは、その後のダウンサイジングと電動化の方向性を先取りしていたとも言え、CLSがEクラスやCLE、そして電動モデルへと役割を譲っていった経緯とも重なります。

2018年に登場した3代目CLS(C257型)フルモデルチェンジの内容

ここからは、2018年に3代目へと生まれ変わった当時のCLSを振り返ります。上級クーペとして人気を集めたCLSは、ロサンゼルスモーターショー2017でワールドプレミアされ、欧州では2018年3月、日本では2018年6月25日に販売が始まりました。

エクステリアは全体をブラッシュアップし、ヘッドライトには当時最新のLEDを採用。安全装備や自動駐車機能なども盛り込まれていました。以下では、日本仕様として発売された3代目CLSのデザインや装備、スペックを当時の内容として紹介します。

3代目CLSのエクステリア

日本で発売した新型CLSのエクステリア流れるようなクーペスタイルとヘッドライトが特徴的

日本で発売した新型CLSのリヤビュー剛性の高い曲面で表現されたボディラインや透明感のあるテールライトが美しい

2018年6月25日に発売された3代目CLSは、メルセデス・ベンツの上級セダンであるEクラスをベースに仕立てられています。
このフルモデルチェンジで、それまで設定されていたスポーツワゴンのシューティングブレークは廃止され、「4ドアクーペ」のみのラインナップとなりました。

日本で発売した新型CLSのフロントグリル「これぞメルセデス・ベンツ」押し出しの強い顔にはダイヤモンドグリルとスリーポインテッドスターが輝く

3代目CLSの流れるようなクーペスタイルは、クラスでも屈指の美しさを備えていました。ヘッドライトのデザインも一新され、内向きに傾斜した細く長い形状によって奥行き感と先進性を表現しています。
メルセデス・ベンツの象徴であるスリーポインテッドスターやダイヤモンドグリルも、このスタイルによくなじんでいました。

また、それまで4人乗りだった4ドアクーペのCLSは、このフルモデルチェンジで5人乗りへと改められました。扱いにくさも指摘されがちだったCLSに、家族でも使える実用性が加わった形です。

先進のドライビング環境をもつ3代目CLSのコクピット

日本で発売した新型CLSのコクピット12.3インチの大型ディスプレイにドライビング情報を表示

7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた3代目CLSのコクピットは、先進的な装備で満たされていました。
運転席正面のドライビングモニターには12.3インチの大型ディスプレイを採用し、速度計やタコメーター、燃費情報など走行中のデータをリアルタイムで表示します。

日本で発売した新型CLSの送風口温度により色が変わるエアコンの吹き出し口

エアコンの吹き出し口には、メルセデス・ベンツ伝統のジェットエンジンのタービンをモチーフにしたデザインを採用。温度を上げると赤く、下げると青く光るLEDイルミネーションが気分を盛り上げます。

日本で発売した新型CLSのドアトリムドアトリムはクローム仕上げのウェーブデザイン

メルセデス・ベンツは内装の評価がとても高いメーカーです。それはドアトリムを見れば一目瞭然で、細部まで作り込まれたデザインの美しさが際立ちます。
日本車ではあまり見られない、統一感のある車内空間に仕上げられていました。

日本で発売した新型CLSのHUD視線を外さずに確認できるヘッドアップディスプレイ

ヘッドアップディスプレイは、前方2mの位置に映像を映し出します。
本国ドイツには速度無制限区間のあるアウトバーンが存在するため、視線移動を抑えて安全に走れる仕組みが重視されます。そのため3代目CLSのヘッドアップディスプレイも、視線を外さずに情報を読み取れるよう工夫されていました。

4ドアクーペに相応しいスタイリッシュなインテリア

  • 日本で発売した新型CLSのベルガレッドの内装情熱的なベルガレッドの内装
  • 日本で発売した新型CLSのマキアートグレーの内装爽やかなイメージのあるマキアートグレーの内装
  • 日本で発売した新型CLSのリヤシート5人乗りになった3代目CLSのリアシート

メルセデス・ベンツの中でも、とりわけスタイルの良さで知られるのがCLSです。3代目になってもその魅力は変わらず、内装の質感もさらに高められていました。
内装色はベルガレッドやマキアートグレーをはじめ、全6色が用意されていました。

  • 日本で発売した新型CLSのスカッフプレートメルセデス・ベンツのイニシャルが刻印されたスカッフプレート
  • 日本で発売した新型CLSのベンチレーション夏のドライブも快適に過ごせるベンチレーション
  • 日本で発売した新型CLSのガラス・スライディングルーフ全自動のガラス・スライディングルーフはオプション装備

CLSに乗り込むとき目に入る足元のスカッフプレートには、「メルセデス・ベンツ」のイニシャルが刻まれていました。
前席には暑い日に便利なシートベンチレーションを装備し、自動でチルトポジションになるガラス・スライディングルーフがオプション設定されていました。

日本で発売した新型CLSのアンビエントライト夜のドライブが楽しくなる64色のアンビエントライト

3代目CLSには、近未来的な室内空間を演出する全64色の間接照明「アンビエントライト」が備わっていました。ドアやダッシュボードなど前席まわりを中心に彩るこのイルミネーションシステムはメルセデス・ベンツならではの装備で、満足度の高い室内空間を体験できました。

3代目CLSのスペック・パワートレイン・価格

2018年6月25日に発売された3代目CLSのパワートレインは、2.0Lの直列4気筒ターボディーゼルと、新開発の3.0L直列6気筒ガソリン+マイルドハイブリッドの2本立てでした。前者は「CLS 220dスポーツ」に、後者は「CLS 450 4マチック スポーツ」に搭載されます。それぞれのスペックと価格を紹介します。

日本仕様の3代目CLS(発売当初)のスペック
グレード 220d スポーツ 450 4マチック スポーツ
全長 5,000mm
全幅 1,895mm
全高 1,430mm 1,425mm
ホイールベース 2,940mm
最低地上高 120mm
トランクスペース 490L
車両重量 1,820kg 1,950kg
最小回転半径 5.4m 5.5m
総排気量 1,949cc 2,996cc
エンジン型式 OM654 M256
エンジン最高出力 194ps/3800rpm 365ps/5500-6100rpm
エンジン最大トルク 40.8kgm/1600-2800rpm 51.0kgm/1600-4000rpm
モーター型式 EM0014
モーター最高出力 10kW/16kW
モーター最大トルク 250Nm(25.5kgm)
使用燃料 軽油 無鉛プレミアムガソリン
JC08モード燃費 18.6km/L 11.9km/L
乗車定員 5名
価格 7,990,000円~ 10,380,000円~

なお表の価格は発売当初のもので、後述する一覧はAMGモデル追加後のラインナップに基づく数値です。CLSはその後も複数回の価格改定を受けており、時期によって金額が異なる点にご注意ください。

ロサンゼルスモーターショー2017で公開された3代目CLSのインテリア

新型CLSの内装

ワールドプレミアされた3代目CLSのインテリアは、自発光式の見やすいメーターとワイド画面のモニターが先進的で、ダッシュボードがバイザーの役割も兼ねるため、日差しの強い日でも表示が見えにくくなりにくいデザインでした。

ステアリング左奥のエアコンベゼルと同様のデザインがモニター下に4つ並び、これらも吹き出し口として機能します。その下にはボタン類がシームレスに配され、手元にはドライブモードコマンダーなどが置かれていました。

発売前に噂されたパワートレインと、実際に採用されたエンジン

新型CLSのエンジン

先代(2代目)CLSでは、直列4気筒ターボのディーゼルと、V型6気筒ツインターボの2種類が搭載されていました。参考として、そのスペックを以下にまとめます。

先代(2代目)CLSのパワートレイン
エンジン型式 276型 651型
種類 V型6気筒 直列4気筒
過給機 ツインターボ ターボ
排気量 3,497cc 2,142cc
最高出力 333PS/5,250~6,000rpm 177PS/3,200~3,800rpm
最大トルク 480Nm/1,200~4,000rpm 400Nm/1,400~2,800rpm

3代目には、刷新されたEクラス系の新エンジンが載ると考えられていました。当時は「3LのV型6気筒ディーゼル」「3LのV型6気筒ガソリン」のいずれか、さらにAMGには「4LのV型8気筒ツインターボ」が搭載されるのではという見方もありました。しかし実際に採用されたのは、2.0Lディーゼルの「OM654型」と、3.0Lガソリン+マイルドハイブリッドの「M256型」です。AMGについても、噂されたV8ではなく直列6気筒の「CLS 53 4MATIC+」が頂点となり、最後までV8モデルは設定されませんでした。

3代目CLSに搭載された先進装備

新型CLSを運転する男性

3代目CLSのヘッドライトには、上級仕様として「デジタルライト」も用意されました。200万を超えるマイクロミラー制御のLEDチップを用い、プロジェクターのように明るく前方を照らします。ナビの案内を路面に投影するといった高度な機能も備えていました。

赤いボディカラーの新型CLS

また、先代(X218型など)でも標準化されていた「インテリジェント・ドライブ」が、3代目CLSでも標準装備とされました。

CLSに搭載されているインテリジェント・ドライブ機能

  • レーダーセーフティパッケージ
  • マルチビームLEDヘッドライト
  • アダプティブハイビームアシスト・プラス
  • LEDインテリジェントライトシステム
  • アテンションアシスト
  • アダプティブブレーキライトなど

このほかにも、車両や歩行者、路上の障害物などの危険を察知して衝突回避を支援する「アクティブブレーキアシスト」や「PRE-SAFEブレーキ」、後方衝突警報の「リアCPA」、後方死角の車両を知らせる「アクティブブラインドスポットアシスト」、シフトとアクセルだけの操作で駐車できる「アクティブパーキングアシスト」など、数多くの支援システムが備わっていました。

3代目CLSの当時の販売価格は815万円から

3代目CLSは2018年に発売され、価格帯はおおむね8,150,000円からスタートしました。新しいLEDヘッドライトなどを備えつつ価格を抑えており、購入層にとってうれしい設定でした。AMGモデル追加後の一覧は以下のとおりです。

CLS(2018年モデル・AMG追加後)の販売価格一覧
CLS 220 d Sports 8,150,000円~
CLS 450 4MATIC Sports 10,590,000円~
Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+ 12,990,000円~

セダンなのにクーペのような佇まいのメルセデス・ベンツ・CLSクラスのモデルチェンジ遍歴

メルセデス・ベンツ・CLSクラスは、ドイツのメルセデス・ベンツが展開してきた高級乗用車で、Eクラスをベースとしています。セダンでありながらクーペのような伸びやかなスタイルが最大の魅力でした。

初代 C219型/2005年~2010年

2005年2月、日本でCLSの販売が始まりました。導入されたのは「CLS350」「CLS500」「CLS55 AMG」の3モデルです。
2006年9月にはマイナーチェンジを実施し、「CLS500」「CLS55 AMG」に代わって「CLS550」「CLS63 AMG」が設定されました。

2代目 C218/X218型/2011年~2018年

2011年2月、日本で2代目CLSの販売が始まりました。「CLS350 ブルーエフィシェンシー」「CLS63 AMG」が導入され、10月には「CLS550 ブルーエフィシェンシー」が追加されています。
2012年1月には、日本発売1周年記念の特別仕様車「CLS350 ブルーエフィシェンシー design Limited」を発売。6月にはシリーズ初のステーションワゴン「CLSシューティングブレーク」を追加し、「CLS350」「CLS550 4MATIC」「CLS63 AMG」の各シューティングブレークを設定しました。あわせて限定50台の特別仕様車「CLS63 AMG シューティングブレーク Edition 1」も発売しています。

2013年5月の一部改良では、「CLS63 AMG 4MATIC」やそのシューティングブレーク、さらに「CLS63 AMG S」系のモデルが追加されました。

2014年には「CLS350 Sport」を追加。10月のマイナーチェンジではグレード体系を整理し、クーペは「CLS 550」「CLS 63 AMG S」「CLS 63 AMG S 4MATIC」の3モデル、シューティングブレークは「CLS 550 4MATIC」「CLS 63 AMG S 4MATIC」となりました。

2015年2月には「CLS 400」を、3月にはクリーンディーゼルの「CLS 220」を追加しています。

3代目 C257型/2018年~2023年

2018年6月、日本仕様がフルモデルチェンジを受け、「CLS 220 d Sports」「CLS 450 4MATIC Sports」が設定されました。9月には「Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+」の追加が発表され、受注が始まっています。
2021年9月には一部改良を実施し、フロントデザインを刷新するとともに装備を充実。特別仕様車「Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+ Edition 1」も設定されました(世界限定300台、日本への割り当ては50台とされます)。
2022年後半にはAMGの53系が整理・終了し、2023年8月末には3代目をもってCLSそのものが生産を終了しました。直接の後継車はなく、CLSの名称はここで幕を下ろしています。

ベンツ・CLSのモデルチェンジ遍歴
ベンツ・CLSのモデル 販売年表
初代 C219型 2005年~2010年
2代目 C218/X218型 2011年~2018年
3代目 C257型 2018年~2023年(生産終了)

CLSはクーペに集約し、そして一代の役割を終えた

ベンツCLS

2代目までのCLSは「クーペ」と「シューティングブレーク」の2本立てでした。3代目ではスポーツワゴンのシューティングブレークが廃止され、クーペのみへと集約されています。そしてその3代目を最後に、4ドアクーペの草分けであったCLSは2023年に生産を終えました。役割はEクラスやCLE、電動モデルへと引き継がれ、ひとつの時代に区切りが付いた形です。