トランスミッションとは?マニュアルとオートマの違いやステップAT・CVTについて
車のトランスミッションとは、変速機やマニュアル・オートマとも呼ばれるギアボックスのことです。ATとも呼ばれるオートマチックトランスミッションは車が自動的にギアを変えてくれますが、マニュアルはドライバーが速度に合わせて適切なギアに変える必要があります。
自転車のギア(変速機)を想像すると自動車のトランスミッションもイメージしやすいと思いますが、自転車はスピードがある時に軽いギアでペダルを踏んでも進みにくいですが、重いギアに変速するとスピードに合ったペダルの重さになり進みやすくなります。
自動車も同様にエンジンの回転数と合ったギアに変えていくことで加速していくことができ、その役割を担っているのが様々な歯車を組み合わせて構成しているトランスミッションです。
それでは、自動車のトランスミッションとはどのようなもので、どんな種類があるのか、マニュアルトランスミッションの仕組み、ステップATやCVTの仕組みをチェックしていきましょう。
トランスミッションとは変速機のことで速度に合わせたギアに入れ加速していくための装置
2019年現在で主流となっているのがオートマチックトランスミッションで、割合は新車の9割にもなる
自動車のトランスミッションは複数のギアとシャフトから構成される変速機のことで、自分でギアを切り替えながら加速していくのがマニュアルトランスミッションと呼ばれ、車が自動的に変速してくれるのがオートマチックトランスミッションと呼ばれます。
マニュアルトランスミッションの醍醐味はなんといっても、車を自分で操っている感覚にあります。運転席のペダルもアクセルとブレーキのほかにクラッチが追加されていて、パーキングブレーキも操作しやすいようセンターコンソールに設置されていることが多いです。
ですが、クラッチを切ってギアを切り替え半クラッチで繋ぎつつアクセルを調整して加速していくギア操作は、マニュアルトランスミッションの面白さでもあり難しさにもなっていて、マニュアル免許取得の難関ともなっている坂道発進は人によって得意・不得意があります。
マニュアルトランスミッションの特徴
- 変速ギア操作はドライバーが行う
- 乱暴にギアやクラッチ操作を行うとギア鳴きやエンストが起こる
- 坂道発進時にはハンドブレーキを使わないとずり下がるので注意する
オートマチックトランスミッションは、ギア操作をドライバーが行っていたマニュアルとは違い車が速度に合わせて変速してくれるトランスミッションです。古い車ではATだと3速までしか搭載されていないものが多かったですが、最近では6速ATや8速ATが登場するなど多段化が進んでいます。
運転席の足元にはブレーキペダルとアクセルペダルが設置されていて、クラッチペダルはありません。アクセルペダルを踏んで加速していくと変速を車が行ってくれるため運転手はアクセル操作やブレーキ、ハンドル操作に集中できて楽なドライブが可能です。搭載している機械により運転フィーリングが違うためステップATやCVTなどもチェックしておきたい項目です。
オートマチックトランスミッションの特徴
- ギアの変速は車が自動的に行ってくれる
- 坂道発進もブレーキからアクセルに踏みかえるだけなので楽
- ステップATはマニュアルのように変速するので違和感がない
- CVTは変速ショックが限りなく少なく乗り心地がいいが独特のフィーリングがある
マニュアルトランスミッションはドライバーがギアを変速していくもので車を操る感覚を楽しめる
マニュアルトランスミッションはシフトレバーで接続するギアを変えて速度に合ったギアに接続する必要がある
マニュアルトランスミッションは、車の速度に合わせたギアをドライバーが選び変速させていくことで、スピードに乗っていきます。自分でシフトレバーを動かしアクセルを踏み込むと加速してくれる体験は、車と一体になった気分にさせてくれてマニュアル車ならではのフィーリングです。
マニュアルトランスミッションを構成しているものは、1速や2速などの各ギア・クラッチ板とフライホイール・シャフト、スリーブとシンクロナイザーを組み合わせて作られています。
マニュアルトランスミッションを構成する主な部品
- クラッチ板とフライホイール
- スリーブとシンクロナイザー
- 各ギア(1速~6速・後退ギア)
- カウンターシャフト・アウトプットシャフト・インプットシャフト
トランスミッションに搭載されているギア数は車によって異なり、ほとんどのマニュアル車では5速と後退ギアですが、一部のスポーツカーなどに6速や7速と後退ギアの組み合わせで取りつけられている車種もあります。
クラッチペダルを踏み込んでフロアやインパネに取りつけられているシフトノブを操作するとスリーブが動きギアが噛み合います、そこでクラッチペダルを段々と戻すとフライホイールとクラッチが徐々にくっつき、エンジンの動力をタイヤまで伝えることで車は動きだします。
MTもここまで進化!トヨタが開発したエンストの心配がない「iMT」
iMTとは、インテリジェント・マニュアル・トランスミッション略で、トヨタが新開発したMTの一種です。2018年8月に国内発売されたカローラスポーツの6速MT車がこの「iMT」を採用していたため、話題を呼びました。
通常MT車では、ドライバーが車の速度に合わせてクラッチやシフト操作をする必要がありますが、iMTはコンピュータがドライバーのクラッチ操作・シフト操作に合わせて、エンジン回転数を調整してくれます。
これにより、シフトチェンジに失敗したときのギクシャクした動きが低減され、いつでもスムーズな走りが可能。発進時にエンストする心配もほとんどありません。
iMTは、もともとMT車のシェアが大きい欧州向けに開発したトランスミッションです。国産市場に導入したのには「初心者でも扱いやすいMT車」を設定することで、市場を活性化させたい狙いがあるのでしょう。
オートマチックトランスミッションは車が速度に合わせてギアを変速してくれるものでステップATやCVTなど色々な種類がある
マニュアルモードを備えたATのシフトレバー。Mレンジに入れることで任意にギアを変えることができる。
オートマチックトランスミッションは、車が自動的に変速を行ってくれるもので、ドライバーはアクセルペダルを踏むだけで停止状態から加速していくことができます。ですので、マニュアルミッションの操作が苦手な人でも運転を簡単に行うことができます。
オートマチック車の特徴として、Dレンジの時にブレーキを離すだけで車が少しずつ前に進むクリープ現象があります。渋滞時や駐車時の低速で動く時に便利ですが、ブレーキとアクセルを踏み間違えると急発進するため注意が必要です。
オートマチックトランスミッションの特徴
- 運転席にはアクセルとブレーキペダルしかない
- クラッチ操作やシフト操作を必要としないため運転が楽
- クリープ現象によりDやRレンジでブレーキを離すだけで車が動く
- ステップATやCVTでは運転フィーリングが異なるため慣れが必要
オートマチックトランスミッションには、ステップATやCVTなどの種類があり、それぞれ運転フィーリングが異なります。ステップATは、マニュアルのように変速が行われたら一旦エンジン回転数は落ちますが、CVTはエンジン回転数が落ちずに加速していくため、マニュアル車やステップAT車からCVTに乗り換えた時は気持ち悪いと感じることもあります。
ステップATは遊星歯車を使ったギアで構成されていてマニュアル車に近い運転フィーリングがある
ステップATの中身。1組の遊星歯車により前進2速・後退1速を組むことができ、組数を増やすことで多段化できる。
日本で販売されているオートマチックトランスミッションの車には、かつて主流だったステップATと呼ばれるものがあり、2019年では一部の車種に採用されています。ダイレクト感のある運転フィーリングが魅力的で、レスポンスのいいスムーズな加速ができます。
マニュアルのように変速するごとエンジン回転数が下がり、加速の時は回転数の上昇と共にスピードもついてくるため、マニュアルからの乗り換えでも違和感なく乗れます。
ステップATの車は古くなってくると変速した際に車体がガクンとするショックが大きくなってくることがありますが、新車から2年毎などの周期で動作油となっているATフルードを交換しておくとスムーズに変速してくれるでしょう。ですが、6年以上など長い期間交換していないATフルードを交換すると不具合が発生することが多いため、止めておいたほうが無難です。
ステップATの特徴
- CVTと比べて発進時のトルクがある
- ダイレクト感のある運転フィーリングがある
- マニュアルからの乗り換えでも違和感なく乗れる
- 古くなってくると変速ショックが大きくなってくる場合がある
CVTは2つのプーリーが動いて減速比を変えていて無段階変速機とも呼ばれている
無段階変速機とも呼ばれるCVTは変速ショックが限りなく少なく快適な乗り心地がある
無段階変速機とも呼ばれるCVTは、ステップATに変わり主流になってきているオートマチックトランスミッションの種類で、日本車の多くに搭載されているオートマチックトランスミッションの方式です。無段階で減速比を変えて加速していくためステップATのように変速のたびにエンジン回転数は落ちることがありません。
変速ショックも少なくスムーズな運転が可能なCVTですが、マニュアルやステップATと比べると運転フィーリングが独特で、特に加速時には先にエンジン回転数が上がり、あとから車体が加速していくラグがあるため慣れるまで違和感を覚えることがあります。
CVTの特徴
- ステップATと比べて変速ショックが限りなく少ない
- マニュアルからの乗り換えには違和感を覚えることがある
- アクセルを踏み続けてもエンジン回転数が落ちずに加速するフィーリングがある
DCTは「ツインクラッチ」とも呼ばれる変速の速さが特長のトランスミッション
DCTは、デュアルクラッチトランスミッションの略で、デュアル (dual)とは「二重」を意味する英語ですから「2つのクラッチを持つトランスミッション」という意味です。日本では、「ダブルクラッチ」「ツインクラッチ」などとも表現されます。
構造としては、1.3.5.7速の奇数ギアと2.4.6の偶数ギアの2つが存在し、それぞれにクラッチが存在しているのが特徴です。それゆえ、変速時にあらかじめ次のギアのスタンバイができ、変速元のクラッチを切ると同時にスムーズに次のギアへ切り替えができます。
コンピュータ制御によって自動で切り替わるため、操作性はATと同じで、AT免許で運転可能です。
DCTは、瞬時に変速が可能なため、スポーツ走行にも向いたトランスミッションです。世界的には、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどで多くの採用例があり、国産車では日産GT-Rに採用されています。
DCTの特徴
- 変速スピードが非常に速い
- 動力ロスが少なく、燃費が良い
- スポーツ走行が楽しめるがAT限定免許でも運転可能
トランスミッションは変速機のことで車が進むために必要な部品のことである
トランスミッションとは、エンジンからのパワーをスピードに合ったトルクや回転数に変換する部品郡のことで、自分でギアを変えることができるマニュアルトランスミッションと、車が自動的に変えてくれるオートマチックトランスミッションの2種類があります。
マニュアルトランスミッションはドライバーがギア操作をして変速していく方式で、オートマチックトランスミッションは車が自動的に変速を行ってくれるものです。マニュアルは車を操っている感覚が楽しいものですが、坂道発進などは人によって得意・苦手がありオートマチック車のほうが運転も楽ですのでマニュアル車の独特な操作が苦手な人はオートマチック車がピッタリでしょう。
オートマにも種類があって主に普及しているのは、ダイレクト感のある走りのステップATと変速ショックが少なく快適なCVTの2種類です。日本メーカーのほとんどのオートマ車はCVTを搭載していますが、一部車種にはステップATが積まれているため、オートマの機構にもこだわる人には必須のチェック項目です。