サビ転換剤を使ったフレームの小さなサビ落としDIY!フレームのサビを効果的に処理できます
車の下回りにあるフレームは、想像以上にサビが発生しやすい部分です。新車から1~2年経過すると、角の部分や接合部に赤いサビ(赤錆)が浮いてくることがあります。この赤錆は空気中の水分や酸素と反応して鉄を浸食し、放置するとどんどん広がり、フレームの強度低下にもつながります。そのため、サビを早めに発見して対処することが重要です。
フレームのサビ落としDIYに必要な道具は、まずワイヤーブラシで浮いたサビを物理的に削り落とすこと、次にサビを不活性な黒錆に変えて進行を防ぐ赤錆転換剤、油汚れや旧塗膜の残りを除去するシリコンオフ(脱脂剤)、そして最後に保護塗装を行うためのシャーシブラック(防錆塗料)です。これらを揃えることで、フレームの初期の小さなサビであれば、家庭でも効率よく処理できます。
作業手順は、まずワイヤーブラシでフレームの浮いたサビをしっかり削り落とします。その後、シリコンオフで脱脂を行い、赤錆転換剤を塗布して化学反応を促し、サビを黒錆に変化させます。最後にシャーシブラックを塗装して防錆効果を高めます。この手順を守ることで、DIYでも安全かつ確実に愛車のフレームのサビを防ぐことが可能です。さらに、定期的にフレームの状態をチェックすることで、長期間にわたりフレームを保護できます。
まずは全体的にサビが発生している場所を確認
フレームの継ぎ目に発生したサビ
サビが発生している場所を見つけたら、まずは全体的に下回りを確認して、どの程度サビが広がっているかチェックしましょう。特にフレームの角や水が溜まりやすい部分はサビやすく、1か所錆びている場合は他の部分にもサビが発生している可能性があります。そのため、下回り全体をしっかり確認しておくことが重要です。
溶接部分付近に発生したサビ
フレーム周りは下から覗くことで確認できますが、ジャッキアップした車体の下に潜る作業は非常に危険です。ジャッキが外れると車体が落下し、大けがをする恐れがあります。車体の下に潜る際は、必ずリジットラック(ジャッキスタンド・馬)を適切な箇所に設置し、安全を確保してから整備してください。
フレームの角に発生したサビ
全体的にチェックしておく理由は、1回の施工で気になる部分のサビをまとめて処理できるためです。少しずつ見つけるたびにDIYしても構いませんが、まとめて行ったほうが作業効率がよく、手間も省けます。
タイヤ周りのフレームに発生したサビ
特にサビやすいのは角や溶接部分です。初期の小さなサビでも放置するとフレーム全体に広がり、強度低下の原因となります。そのため、赤サビを早めに除去しておくことが大切です。全体のサビ箇所を確認したら、次に作業をスムーズに行うためにフレームの洗車を行い、汚れや油分をしっかり落としましょう。
洗車場で下回りに水をかけてキレイにしておく
高圧洗浄機で洗車をして汚れを吹き飛ばしておく
フレームのサビ落とし作業を行う前に、洗車場などで高圧洗浄機を使いフレームや下回りの汚れをしっかり落としておきましょう。併せてボディの洗車も行うと、拭き上げの際に傷や異常箇所の早期発見につながります。
フレームは拭きにくいため、洗浄後は自然乾燥させるのが安全です。日陰で1日程度置くと、水分が切れて乾燥状態になります。この段階でフレーム表面に残った汚れや油膜も確認しておくと、後の作業がスムーズになります。
フレームに乗っている赤サビをワイヤーブラシなどで擦って落とす
左が柔らかいワイヤーブラシ、右が硬いワイヤーブラシ
ラダーフレームの角や溶接部分などに発生する赤サビは、放置すると金属を浸食し広範囲にサビが広がります。そのため早めに対処することが大切です。車の下回りは普段意識しなければ見えにくい部分ですが、洗車後の拭き上げの際にチェックすると発見しやすくなります。
歯ブラシとウエスで細かい場所の汚れを落とし、拭いておく
サビのある箇所を洗浄やウエスで拭いて汚れを落としたら、ワイヤーブラシで浮いた赤サビを削り取り、可能な限り除去します。作業中は金属粉が飛散するため、軍手を着用し、目に入らないよう保護メガネを着けるなど安全対策を必ず行いましょう。また、細かい溝や隙間は歯ブラシを使うと効率よく清掃できます。
次にシリコンオフで脱脂し赤錆転換剤を塗りこみ反応を待つ
赤サビ転換剤を塗る前にシリコンリムーバーで脱脂しておくと仕上がりが良くなる
ワイヤーブラシで赤サビを削り落としたら、サビ転換剤を塗布する前にシリコンリムーバー(脱脂剤)で脱脂を行います。油分や汚れを取り除くことで、転換剤が金属表面に均一に密着し、より確実に赤錆を不活性な黒錆へ変換できます。
シリコンリムーバーはウレタン樹脂バンパーにも使用可能ですが、古い塗装面にかかると白くなることがあります。塗装がある箇所に使用する場合は、塗装を保護するためにマスキングするか、直接スプレーせずウエスに吹き付けて拭き取る方法が安全です。フレーム周りはシャーシブラックなどの下回り塗装箇所があるため、狭い範囲での使用ではこの方法が推奨されます。
ホルツのサビ転換剤。右側がスプレータイプで左側が筆で塗るタイプ
脱脂後、いよいよサビ転換剤を塗布します。スプレータイプと筆塗りタイプがありますが、下回りの広範囲にはスプレータイプが扱いやすいです。塗布後は黒錆への化学反応を待ちます。商品によって必要な放置時間は異なるため、パッケージの説明書を必ず確認しましょう。
ホルツのサビ転換剤スプレータイプにおける乾燥時間
- 表面乾燥:40分
- 完全乾燥:6時間
- 耐熱温度:160℃
ホルツのサビ転換剤筆タイプにおける乾燥時間
- 表面乾燥:1時間
- 完全乾燥:8時間
- 耐熱温度:150℃
スプレータイプのサビ転換剤を塗ったあと。濡れている部分が塗った所
表面が乾燥したら、必要に応じて2度塗りを行います。2度塗りすることで塗り残しを防ぎ、より強固な黒錆皮膜を形成できます。なお、商品によっては転換後に塗装ができないタイプもあるため、説明書を確認して対応してください。
ホルツ赤サビ転換剤のスプレーと筆の違い
- スプレータイプ:下回りなど広範囲に使いやすいが飛び散りやすく、乾燥時間は短め
- 筆タイプ:ドラムブレーキや細かい部分に使いやすいが、下回りの広い範囲には塗りにくく、乾燥時間は長め
黒サビに転換した後、塗装可能なタイプの商品であれば、完全に乾燥させてからシャーシブラックなどで上塗りし、保護します。これによりフレームの耐久性と防錆効果を高めることができます。
黒サビだけでは心配な時はシャーシブラックを塗装するとより強固に仕上がる
車の下回りに使うシャーシブラック。ボディペイントに比べて塗膜が厚い特徴がある
黒サビへの転換が完了したら、より長期的な防錆効果を高めるためにシャーシブラック(防錆塗料)を塗布します。塗料の密着性を高めるため、再度シリコンオフで下地処理を行い、その後シャーシブラックを均一に吹き付けます。これによりフレーム表面が二重に保護され、錆の再発を強力に抑えることができます。
シャシーブラックが余計な部分にかからないよう簡易的に段ボールを盾として使う方法もある
シャーシブラックは塗布部分が黒くなるため、バンパー周辺や塗装面に付着しないように、新聞紙やマスキングテープで養生するか、段ボールを盾にして塗布すると安心です。狭い範囲や細かい場所も、この方法で効率的に保護できます。
マスキングが面倒でシャーシブラックスプレーのボディーへの飛び散りが気になる人にはシャシーコートクリア
冬期に撒かれる融雪剤の塩化カルシウムによる錆防止にはシャーシブラックが有効ですが、マスキングが必要で手間がかかることもあります。そんな場合はクリアタイプのシャシーコートクリアを使用すると便利です。
シャシーコートクリア
シャシーコートクリアはクリア色のため扱いやすい
シャシーコートクリアはマフラーなど高温になる部分には使用できない
クリアタイプのメリットは、マスキングの手間が少なく、下回り塗装としても扱いやすい点です。黒色のチッピングよりも仕上がりが綺麗で、錆の進行状況を視認できるため、定期的な点検や補修がしやすくなります。デメリットはシャーシブラックに比べ耐久性がやや低く、価格がやや高めな点ですが、コスト差は大きくなく、手軽に防錆処理を行いたい場合には十分実用的です。
ランドクルーザープラドの前輪付近のフレーム錆び取りレビュー
Holts サビチェンジャーでランクルプラドのサビをとる
ランドクルーザープラドの前輪付近のフレーム部分の錆び取りを行いました。使用する道具は、赤錆を黒サビに転換して浸食を防ぐ「Holts サビチェンジャー」の筆塗タイプです。塗膜が十分に厚いため、今回は上塗りのシャーシブラックは使用しませんでした。
車以外にもバイクや自転車、家の門扉のサビにも使える万能商品
Holts サビチェンジャーは、面倒なサビ取り作業を行わず、赤錆の上に直接塗布するだけで黒サビ(不活性な酸化鉄)に転換してくれる商品です。スプレータイプもありますが、今回は狙った箇所に塗りやすい筆タイプを使用しました。
錆び取りの前にサビの箇所の汚れを中性洗剤で落とす
中性洗剤を入れた霧吹きで濡らし、サビの箇所の汚れをウエスで拭きます
サビチェンジャーを塗る前に、錆びている部分の汚れを落とします。中性洗剤を霧吹きに入れ、サビ箇所にかけてウエスで拭き取り、しっかり除去してからサビチェンジャーを塗布します。
ホルツ サビチェンジャーは液の入れ物と筆もセットになっている
Holts サビチェンジャーのキャップは液の計量カップになっており、付属の筆で必要な量を取ってサビ箇所に塗布できます。
サビている箇所にぬりぬり。30分経過後に二度塗りすると強いサビも転換できてムラなく仕上がる
フレーム部分も筆で丁寧に作業
スプレータイプでは奥まで届かないサビも筆タイプなら届く
表面乾燥は1時間後なので慌てず丁寧に作業する
サビ箇所にサビチェンジャーを塗布していきます。表面乾燥は約1時間なので慌てず丁寧に作業することがコツです。サビが強い場合は30分経過後に二度塗りすると塗膜が厚くなり、ムラなく仕上がります。
1時間後、赤サビが黒サビに転換された
二度塗りしたので塗膜も厚く見た目もカッコイイ
表面乾燥後、赤錆は黒錆に転換されます。二度塗りすることで塗膜が厚くなり、シャーシブラックを塗ったような見た目になります。完全乾燥は塗布後8時間後なので、水濡れに注意して乾燥を待ちましょう。
そのほかの錆転換剤のおすすめ
おすすめ錆転換剤
車の使用年数が数年経過すると、錆は部分的だけでなく広範囲に広がる可能性があります。そのため、小さな錆でもフレーム全体や細かい箇所に対策が必要です。塗るタイプの錆転換剤では細かい部分の処理が手間になるため、広範囲にはスプレータイプが扱いやすくおすすめです。特に容量が大きいスプレー缶を選ぶと、広範囲施工でも途中で足りなくなる心配が少なくなります。また、作業のしやすさや塗布の均一性を考えると、100mlサイズよりも300ml前後の缶を選ぶと効率的です。
錆止め&転換剤 サビチェンジャー スプレータイプ 300ml
錆止め&転換剤 サビチェンジャー スプレータイプ 300ml
錆が多いと1回の施工で300ml一本使い切りでも足りない
車以外の錆にも使えるので数本ストックすると便利
おすすめの錆転換剤は、300ml~400mlタイプのスプレー缶で、広範囲の施工では1回で1本使い切ることもあります。自転車や門扉、フェンスなど鉄製品の錆対策にも使えるため、数本ストックしておくと便利です。塗るタイプは錆が目立つ箇所に集中的に塗布する場合に有効ですが、手の届きにくい下回りやフレーム全体の施工にはスプレー缶タイプが必須です。
広範囲を効率よく処理したい場合は、300ml~400mlサイズのスプレー缶を選び、複数本用意しておくことをおすすめします。作業効率が上がるだけでなく、余った錆転換剤を他の錆箇所に使うことも可能です。
ENDOX 錆転換剤刷毛塗用 500ml
ENDOX 錆転換剤刷毛塗用 500ml
ENDOX 錆転換剤刷毛塗用は黒色塗料が含まれた錆転換剤
ENDOXは水溶性で無臭の錆転換剤
刷毛塗りタイプなので広い範囲の錆転換に最適
黒色の塗料が含まれた錆転換剤で、ジャッキアップしてフレーム下を広範囲に処理する場合に特におすすめです。水溶性で無臭のため作業環境への負担も少なく、刷毛塗りタイプなので広い範囲の施工に適しています。ただし、黒色塗料が含まれているため、白色などの目立つ塗装面に直接使う場合は上塗り前提でなければ使用できません。
施工中は塗った箇所が黒色で分かりやすく、塗り残しを確認しながら作業できるのが利点です。一方で、フレームとボディの境目など細かい箇所には塗りにくい面もあります。上塗りなしで錆の再発を防ぎたい場合は、黒色塗料の被膜がしっかりしているため、他の錆転換剤より耐久性に優れる点が特徴です。
ENDOX 錆転換剤RSスプレー 400ml
ENDOX 錆転換剤RSスプレー 400ml
ENDOX 錆転換剤RSスプレーは手の届かない場所用に1本は用意したい
ENDOX 錆転換剤RSスプレーは黒色塗料が含まれている
広範囲の錆転換には刷毛塗りタイプの「ENDOX 錆転換剤刷毛塗用」が作業しやすいですが、手の届きにくい細かい場所や隙間にはスプレータイプを併用するのが効果的です。「ENDOX 錆転換剤RSスプレー」も黒色塗料入りのため、フレーム以外の目立つ塗装面には注意が必要です。刷毛塗りタイプを使う際に、手の届かない箇所用としてRSスプレーを1本用意しておくと作業効率が上がります。
使用時はフレームの下側や溶接部分など、スプレーが届きにくい場所を重点的に塗布することで、錆の再発防止効果を高めることができます。耐久性も高く、乾燥後は黒錆皮膜が形成されてフレームをしっかり保護します。
レノバスプレー 錆転換剤 300ml
レノバスプレー 錆転換剤 300ml
レノバスプレーは無色スプレータイプの錆転換剤
赤錆を黒錆に変換するので黒く変色する
レノバスプレーは、赤錆を黒錆に転換するスプレータイプの錆転換剤です。無色透明に近い液体ですが、赤錆を化学反応で黒錆に変えるため、塗布箇所は黒く変色します。そのため、白や明るい塗装面に使う場合は上塗り塗装を行うと仕上がりが美しくなります。
リーズナブルでスプレータイプのみを希望する場合や、広範囲に手軽に錆転換をしたい場合に最適です。刷毛塗りタイプはないため、刷毛塗りとの併用を希望する場合は、透明タイプならHolts(ホルツ)、黒色タイプならENDOXとの組み合わせがおすすめです。
車のフレームやボディのちょっとしたサビ落としは自分ですぐに出来ます!放っておくとサビが広がるため早めの対処が必要です
車のフレームをはじめとする下回りは地面に近く、水分や飛び石によってサビが発生しやすい場所です。「どうせやってもすぐにまたサビる」と放置すると、サビはどんどん進行し、転換剤だけでは対応できないほどボロボロになる可能性があります。
手遅れになる前にサビ処理を行っておけば、フレームやボディへの被害は最小限に抑えられます。サビが浮いている部分だけを削り、脱脂してから転換剤を塗布するだけなので、処理も比較的簡単です。
サビ転換剤を塗った部分は、塗布していない部分と比べると黒く変色して目立ちますが、そのままにしておく方が防錆効果には良い環境です。塗っていない部分との色合わせのためにサンドペーパーで削ることもできますが、皮膜が薄くなり防錆効果が弱まるので注意が必要です。上塗り塗装を行うことで、防錆効果を維持しつつ見た目を整えることができます。
シャーシの防錆処理でムラがあっても、車を売る際の買取査定にはほとんど影響しません。むしろ、何も処理せずサビだらけの状態よりも、適切に処理されている方が車のメンテナンス状況が良好と判断され、プラスに評価されることがあります。普段は覗かない下回りですが、しっかりと処理されていると安心感があります。