イギリスの自動車メーカー・ブランド一覧
イギリスにはロールス・ロイスやベントレー、ジャガー、アストン・マーチンなどの高級車ブランドが数多く存在します。
一方で、イギリスは「バックヤードビルダー」発祥の地とも呼ばれます。バックヤードビルダーとは、もともとは自宅ガレージで車いじりをする趣味人を指しましたが、後にハンドメイドで組み立てを行う小規模の自動車工場も意味するようになりました。
こうしたバックヤードビルダーの中には、「キットカー」と呼ばれる購入者が自宅等で組み立てるレプリカの生産を専門とする会社も存在します。
ロールス・ロイス
1906、労働者階級出身の起業家フレデリック・ヘンリー・ロイスと、上流階級出身の経営者チャール・ロールズによって創業。伝統と格式あるイギリスの高級自動車メーカーであり、顧客には著名人も多い。1998年以降はBMW傘下に入る。
ロールス・ロイス・ゴースト シリーズII
Rolls-Royce ファントムVIII
ベントレー
1919年に創業し、高性能スポーツカーで名声を得たが、経営不振により1931年にロールス・ロイスによって買収。1998年のVWとBMWによる買収騒動の結果、親会社だったロールス・ロイスがBMW傘下、ベントレーはVW傘下となった。
エリザベス女王の公務専用車となったベントレー・ステートリムジン
ベントレー・ミュルザンヌ
ジャガー
1922年設立。サイドカーと呼ばれる三輪車両製造で成功し、自動車製造業に進出。1945年に現社名に名称変更。モータースポーツの世界でも名声を得て、特にアメリカで人気を博す。現在はインドのタタ・モーターズの傘下である。
「世界で最も美しい車」とも評されたジャガーEタイプ(シリーズ1½ ロードスター)
ジャガーFタイプ
ランドローバー
イギリスを代表するSUV車・オフロード車専門の自動車メーカー。現在はインドのタタ・モーターズの子会社。四輪駆動でありながら、エレガントさを併せ持つランドローバー車は英国王室の御用達でもある。
ランドローバー・初代レンジローバー(1987年モデル)
ランドローバー・レンジローバーイヴォーク
デイムラー
1896年から自動車製造を行い、英国王室の御用達に。日本の皇室も1912年に初の御料車としてデイムラーを採用している。1960年にジャガーに買収された際はブランド名を残したが、現在ブランドは休眠状態である。
皇室の初代御料車として採用されたデイムラー・ランドレー57.2HP
ミニ(MINI)
ドイツのBMW設立した自動車ブランド。MINIは元はメーカー名ではなく、イギリスのBMCが開発した小型大衆車の名前。時代によって生産母体が度々変わったが、現在も製造中心地はイギリス。日本でもおしゃれな車として人気。
ミニ・クーパー (R56)
アストンマーチン
1913年に創業した高級自動車メーカーで、映画『007』シリーズには多数の劇中車(ボンドカー)を提供。レストア事業にも熱心で、同ブランド車は創業100年以上を経ても8~9割が走行可能な状態で現存しているという話がある。
アストンマーティン・DB11
ロータス・カーズ
小型スポーツカーの製造を中心に発展したイギリスの自動車メーカー。現行車種はすべてトヨタ製のエンジンをチューニングして搭載。トヨタ側が「MR2復活させたい」と発言して以降、「ロータスと共同開発では?」と噂されている。
ロータスエランS4 1972年式
ロータスエランS4 1972年式のリヤ
ロータス・エリーゼ フェイズⅢ
マクラーレン
F1で培った技術をフィードバックした市販スポーツカーを販売するメーカー。正式名称マクラーレン・オートモーティブ。最上位モデルのハイブリッドスーパーカーP1は約1億の価格がついたが完売。今、もっとも勢いのあるスーパーカーブランド。
マクラーレンP1
2019年3月発売、主力のスーパーシリーズの720Sスパイダー
ボクスホール
ヴォクスホール、ボグゾール、ボクソール、ボックスホールなどとも表記されるVauxhall。設立当初はスポーツカーを開発。1925年に米国GMの傘下に入って以降は大衆車メーカーとなり、70年以降は同GM傘下の独オペルの姉妹車ブランド化した。
インシグニア
MG(モーリス・ガレージ)
イギリスのオックスフォードで誕生したスポーツカーブランド。現在は中国の上海汽車グループ傘下に入っている。1955年発売のMGA、1962年発売のMGBは2シーターオープンカーの名車として世界中に輸出され、今なお旧車ファンの人気が高い。
MG-TC 1945年式 MG初の戦後モデル 車体は旧式だが優れた運動性能で人気を博した
アメリカでスポーツカーブームを巻き起こした1台
アメリカにスポーツカーが大量に入ってくるきかっけにもなったMG-TC
アメリカでも高い人気を誇ったMGA 1600
全世界で52万台以上製造されたオープンカーのベストセラーカーMGB Mk.1
ケーターハム
1973年創業の小規模な自動車メーカーであり、現在の従業員数も100名以下。創立者は元はロータスのディーラーだったグラハム・ニアーン。ロータス・セブンの生産中止を残念に思ったがゆえに生産権を引き継ぎ「ケーターハム・セブン」を販売。
ケーターハム・セブン(通称スーパー・セブン)
ウエストフィールド
1982年創業。ロータス・イレブンやロータス・セブンをモデルにしたキットカーやレプリカを生産・販売していた会社。しかし、ロータスから権利を買い取っていたケーターハムから訴訟を起こされる。後に和解し、現在は独自車種も販売している。
ウェストフィールドセブン
アリエル(エリアル)
イギリス国内で「最も小さい」とも言われる自動車メーカー。イングランド・サマセット州に工場を構えており、従業員数は10名未満、製造台数は年間100台未満。エンジンなどは、ホンダのシビックタイプRから流用することが多い。
Ariel社が製造するライトウェイトスポーツカーのアトム
AC CARS
1901年創業。イギリス国内最古の自動車メーカーだったが、1970年代後半に倒産。1950年代にはACエースで人気を博し、60年代にはAC CARSのボディにフォード製のV8エンジン600馬力を搭載したACコブラが話題となる。
ACエース(1958年)
NG SPORTS CARS
キットカー(レプリカー)の製造メーカーとして1979年設立。イギリスでは公道走行も可能なため、1970年代にはこうした小規模のキットカーメーカーが多数創業している。後にFindhorn carsに売却された。
NG TC
ジネッタ
イギリス発祥ともされるバックヤードビルダー(少量生産の自動車工場)を代表する会社の1つ。年間製造台数は200台未満。90年代には一時ブランド休眠状態となったが、2005年にローレンス・トムリンソンが買収し、再び存在感を増している。
フォード製のV6エンジンを搭載したミッドシップのスポーツカーG60
TVR
1947年に創業したスポーツカーメーカー。日本では2000(英国1999)年に発売された2代目タスカンの人気が高い。2000年以降は買収や経営破綻などを経験したが、2017年に新型車グリフィスを発表した。
日本でも知名度の高い2代目タスカン
マーコス
1959設立のスポーツカーメーカー。小規模生産ながらレーシングカー好きのカーマニアたちに支持されたブランド。イギリスでキットカーが注目されはじめた際には「ミニ・マーコス」を発売し、キットカーのメーカーとしても存在感を示す。
日本でも人気の高いミニ・マーコスGT
モーガン
1913年創業。従業員数約150名の小規模スポーツメーカーだが、1度も買収や経営破綻を経験しておらず、純イギリス資本の自動車会社として稀有な存在。日本では2018年より「モーガンカーズ・ジャパン」が正規販売店となった。
モーガン 1963年型
ブリストル
小規模の自動車メーカーとして高級車を手掛ける。しかし、豪華絢爛な装備ではなく、「実用性が高い品のある控えめなクルマ作り」を理想としているため、イギリス国内での知名度も低い。広告も出さないため、まさに知る人ぞ知るブランド。
ブリストル・603
GTM
1967年創業のキットカーメーカー。創業者のコックスとホスカーはフェラーリ・ディーノに影響を受けており、初号車として製造したのはミニベース・MR式のディーノ風キットカーだった。後にウエストフィールド社に買収される。
GTM コックス
アスカリ
1995年創業の新興自動車メーカーだが、生産は2010年までの15年程度。イタリア人F1レーサーだったアルベルト・アスカリを社名の由来とし、MR式のスーパーカーEcosseやKZ1を販売。スペインではアスカリ・レースリゾートを経営。
アスカリKZ1
ノーブル
1999年の新興自動車メーカー。スーパーカーのみを生産し、設立当初はフォード製のエンジンを採用していたが、2009年発売のフラグシップモデルM600はボルボXC90に搭載されていたヤマハ製のエンジンをチューンして使用。
NOBLE M600 価格は約2400万円~
ウルティマ
1992年創業のスーパーカー専門の自動車ブランド。ウルティマGTRを進化させた2015年発売のエボリューションはGM製のV8 LEエンジンを搭載し、車重950kgの1034ps、0-100km/hは2.3秒の究極マシン。
ULTIMA Evolution
インヴィクタ
1925年創業のイギリスの自動車メーカー。1930年代後半に1度生産を終了するが、1920年代~1930年代に製造されたモデルはクラシックカーファンに人気が高く、「スポーツカーのロールス・ロイス」とも評される。
Invicta 4.5litre Sタイプ(1931年製)
ガードナー・ダグラス
少量生産&製造はほぼハンドメイドの小規模自動車メーカー。60年代の名車ACコブラやローラT70のレプリカも販売している。
GD Mk3
ラディカル
正式名称Radical Sportscars
1997年設立のアマチュア向けレーシングカーブランド。初号車はオリジナルボディに、カワサキ製のエンジンを搭載。現在はフォード製などのエンジンもラインアップ。サーキット以外に公道走行が許可されているSR3SLやRXCなども存在。
公道走行可能なSR3SL
リスター
1954年設立。レーシングカーを中心に製造する自動車メーカー。創業者のブライアン・リスターは友人であり、生まれつき右腕がないため「隻腕の名手」と呼ばれたアーチー・スコット=ブラウンをドライバーに起用。数々のレースで勝利を重ねた。
リスター・シボレー
ストラスキャロン
登記上は1998年~2001年まで稼働していた自動車メーカー。1996年に軽量オープンカーSC-5Aのプロトタイプが公開されるも、実際に市販化されたのは2000年。わずか20台で生産終了したとされる。
Strathcarron SC-5A
ホーク
1986年創業。イギリスが誇る名車ランチア・ストラトスのレプリカ(キットカー)を製造販売していることで知られている。エンジンはランチア製、アルファロメオ製、フェラーリ製などから選択可能。
グリナール
イギリスの三輪自動車メーカー。「三輪」と言っても代表車種グリナールスコーピオンは「前二輪、後一輪」という変則的な設計。BMW製のオートバイエンジンを搭載。日本でも公道走行が可能!
グリナールスコーピオンIII
MAN ERF
1993年創業、2007年に廃業したイギリスのトラックメーカー。働くクルマとして活躍し、昔のミニカーなどにその姿を残している。
1947製ERF社のトラック
ギブス・テクノロジー
水陸両用車を開発している自動車メーカー。アクアダは地上は時速160km/h、水上は50km/hの高速走行が可能で、タイヤは5秒で格納完了。ジェームズ・ボンドごっこが捗りそうだが、レジャーだけでなく災害時の利用も視野に入れて開発中。
2007年に発売されたギブス・アクアダ 日本では約3000万円
ダットン
1970年から1989年までの約20年間に世界最大のキットカーメーカーとして成長。現在は水陸両用車を開発しており、スズキ・サムライ(=ジムニー)をベースとしたダットン・サーフを販売。
2005年に発売されたジムニーベースのダットン・サーフ
水上でのDUTTON・SURF