フォルクスワーゲン パサートのモデルチェンジ

VWパサート現行9代目まとめ|ワゴン専用化と限定車プレミアムサウンドエディション

フォルクスワーゲン・パサートは今どうなっているのか。セダン廃止でステーションワゴンに一本化された現行型の内容、最大1,920Lの荷室やDCC Proといった装備、EV航続142kmのPHEV、価格改定後の最新価格帯、1973年の初代から続く歴史を詳しく紹介します。

パサート(Passat)の現在地 現行9代目はワゴン専用のプレミアムモデル 限定車「プレミアムサウンドエディション」も登場

フォルクスワーゲン「パサート(Passat)」は、1973年の初代登場以来、半世紀にわたってブランドの中核を担ってきた上級モデルです。日本では2代目が「サンタナ」の名で知られ、3代目以降はセダンとステーションワゴンの2本立てで親しまれてきました。

そして現在、パサートは2023年に登場した9代目(B9)へと世代交代し、日本でも2024年11月25日から販売されています。最大の変化は、長年続いたセダンが廃止され、ステーションワゴン専用のプレミアムモデルへと一本化されたことです。パワートレインは1.5L eTSIマイルドハイブリッド、2.0L TDIクリーンディーゼル+4MOTION、そしてEV航続142kmのプラグインハイブリッド「eHybrid」という3本立てになりました。

直近では2026年8月4日に限定車「Premium Sound Edition」が設定されています。ここでは最新の動きから順に、現行モデルの内容、8代目までの歩み、そしてパサートの歴史までを整理します。

パサートに限定160台の「プレミアムサウンドエディション」が2026年8月4日に登場 599万9,000円

フォルクスワーゲン ジャパンは2026年8月4日、限定車「Premium Sound Edition(プレミアムサウンドエディション)」を発売しました。設定されたのはパサートのほか、T-Cross、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアントの計4モデルです。

パサート プレミアムサウンドエディションの価格は599万9,000円で、限定台数は160台。ベースはeTSI Eleganceです。ほかはゴルフが499万9,000円/500台、ゴルフ ヴァリアントが513万9,000円/300台、T-Crossが432万4,000円/300台となっています。

名前のとおり、最大の特徴はプレミアムサウンドシステムの標準装備です。クリアで臨場感のあるサウンドによって、車内をより上質な音響空間へと引き上げる狙いがあります。加えてパサートでは初採用となる専用内装色「ミストラルグレー」を設定し、室内に明るさと開放感をもたらしました。なお専用ホイールは4モデル共通ですが、ブラックパーツの採用はパサートを除く3モデルとなります。

フォルクスワーゲンによれば、各モデルの量販グレードに限定車を設定するのは今回が初めてとのこと。コンパクトSUVからハッチバック、ステーションワゴンまでボディタイプを横断して同じ価値を載せる、シリーズ的な展開になっています。パサートはもともと上級グレードにハーマンカードン製サウンドシステムをオプション設定するなど「音」に力を入れてきたモデルであり、その延長線上にある限定車と言えるでしょう。移動時間の質を重視する層には響く一台です。

Premium Sound Edition 4モデルの価格・限定台数(2026年8月4日発売)
モデル 価格(税込) 限定台数
パサート プレミアムサウンドエディション 5,999,000円 160台
ゴルフ プレミアムサウンドエディション 4,999,000円 500台
ゴルフ ヴァリアント プレミアムサウンドエディション 5,139,000円 300台
T-Cross プレミアムサウンドエディション 4,324,000円 300台

パサートが2026年1月1日に価格改定 現在の価格帯は約540万円から

フォルクスワーゲン ジャパンは2025年12月19日、2026年1月1日からの価格改定を発表しました。対象はポロ、Tクロス、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアント、ティグアン、パサートの6モデルで、原材料費の高騰などを理由に平均約1.5%の引き上げとなっています。

これにより、パサートの価格帯はおよそ539万9,000円~694万4,000円へと移行しました。2024年11月の発売時が524万8,000円~679万4,000円だったことを踏まえると、1年あまりで下限が15万円ほど上がった計算です。ボディサイズも装備内容もひとクラス上に踏み込んだ現行型だけに、価格の立ち位置も明確に上級移行していると言えます。

パサートが2025年9月9日に一部仕様変更 発光VWエンブレムと電動シートを追加

フォルクスワーゲン ジャパンは2025年9月9日、ティグアンとパサートの仕様変更にともなう価格改定を発表しました。パサートでは全グレード共通でリアのVWエンブレムを発光タイプへ変更。「eTSI エレガンス ベーシック」と「eTSI エレガンス」には電動シートとベンチレーション機能が、R-Lineには電動シートが標準装備化されました。

あわせて人気のオプションパッケージを統合するなど、オプション体系も整理されています。ボディカラーは一部のメタリックカラーが有償オプションへ変更されました。価格は各グレードで4万5,000円~8万1,000円の上昇となり、この時点でeTSI エレガンス ベーシックが532万9,000円、eHybrid R-Lineが683万9,000円という設定です。

現行9代目パサート(B9)は2024年11月25日に日本発売 セダン廃止でワゴン専用へ

パサートは2023年に本国で9代目(B9)へフルモデルチェンジし、日本では2024年11月25日に販売が始まりました。発売時の価格は524万8,000円からです。

最大のトピックは、これまで併売されてきたセダンが廃止され、ステーションワゴン専用モデルへ一本化されたこと。しかも車名は「パサート ヴァリアント」ではなく、単に「パサート」となりました。世界的にもパサートのセダンは中国市場向けのマゴタンを除いて姿を消しており、ワゴンを主体とする体制へ移行しています。長くセダン/ワゴンの2本立てで親しまれてきたモデルにとって、これは大きな転換点です。

プラットフォームは改良版の「MQB evo」で、姉妹車のシュコダ・スーパーブとともにスロバキアのブラチスラヴァ工場で生産されます。ボディサイズは全長4,915mm×全幅1,850mm×全高1,500mm、ホイールベースは先代比50mm延長の2,840mm。全長は先代から約145mm伸び、4.9m級という「ひとクラス上」のサイズ感を獲得しました。延長されたホイールベースはリヤシートの居住性向上に効いており、荷室容量は最大1,920Lと日本で買えるステーションワゴンとして最大級です。

パサート(9代目B9・日本仕様)の主要スペック
ボディタイプ ステーションワゴン(5人乗り)
全長×全幅×全高 4,915×1,850×1,500mm
ホイールベース 2,840mm
荷室容量 最大1,920L
プラットフォーム MQB evo
パワートレイン 1.5L eTSI(48Vマイルドハイブリッド)/2.0L TDI+4MOTION/1.5L eHybrid(PHEV)
トランスミッション 7速DSG(eHybridは6速DSG)
発売時価格 5,248,000円~6,794,000円(2024年11月25日時点)
現在の価格帯 約5,399,000円~6,944,000円(2026年1月1日価格改定後)

現行パサートのパワートレインは3種類 eTSI・TDI 4MOTION・eHybrid

日本仕様のラインアップは、1.5L eTSIマイルドハイブリッド(FWD)の「eTSI エレガンス ベーシック/エレガンス/R-Line」、2.0L TDIクリーンディーゼルに4WDを組み合わせた「TDI 4MOTION エレガンス/R-Line」、プラグインハイブリッドの「eHybrid エレガンス/R-Line」という7グレード構成です。

1.5L直列4気筒ガソリンターボのeTSIは、燃焼プロセスに高効率なミラーサイクルを採用し、ガソリン用可変ジオメトリターボを組み合わせた最新ユニット。48Vベルトスタータージェネレーターによるマイルドハイブリッド化に加え、気筒休止を行うアクティブシリンダーマネジメント(ACT)も備え、省燃費とトルクレスポンスを両立します。最高出力は150ps。

2.0L直列4気筒ターボディーゼルのTDIは、2,200barのコモンレールと2連式SCR噴射(ツインドージング)を採用した最新世代で、高いNOx除去能力と優れたレスポンスを持ちます。最高出力193ps、最大トルク400N・m。日本仕様ではフルタイム4WDの4MOTIONと組み合わされ、8代目までの「経済的なディーゼルワゴン」という性格が、より上質な形で受け継がれています。雪の多い地域や長距離移動が多い人には有力な選択肢でしょう。

eHybridは1.5L eTSIをベースにPHEV向けのチューニングを施したもので、システム総合出力は150kW/350N・m。総容量25.7kWh(EV走行時最大使用容量19.7kWh)の大容量リチウムイオンバッテリーにより、EV航続距離142km(等価EVレンジ、WLTCモード、国土交通省審査値)を実現しました。日常の市街地移動はEVとして、遠出はハイブリッドとして使える設計です。8代目の「GTEヴァリアント」が独立車種扱いだったのに対し、現行型ではパサートのグレードのひとつとして統合されています。

現行パサートの装備 DCC ProとPark Assist Plusを採用

アダプティブシャシーコントロール「DCC」は、ボリュームセグメント初となる2バルブ独立制御式の「DCC Pro」へと進化しました。伸び側と縮み側で独立したオイル回路を持ち、それぞれの減衰力を個別に制御できるのが特徴です。これにより、本来相反するダイナミックな走りと快適な乗り心地を高い次元で両立。スポーツモードでは軽快なハンドリングを、コンフォートモードではフラットな乗り味を実現します。

駐車支援システムは「Park Assist Plus」へ進化し、安全性能はEuro NCAPで最高評価の5つ星を獲得。オプションではハーマンカードン製サウンドシステムと大型パノラミックルーフを組み合わせたラグジュアリーパッケージも用意され、上級ワゴンらしい仕立てが選べます。

一方で、シフト操作がステアリングコラム脇のスイッチ式へ変更された点は、従来型から乗り換える人にとって慣れが必要な部分かもしれません。操作系をステアリングまわりへ集約した結果ですが、こうした変化も含めて実車で確かめておきたいところです。

8代目パサート(B8)を振り返る TDIとAlltrackが加わった世代

ここからは、日本で2015年から2023年まで販売された8代目B8の歩みを振り返ります。セダンとワゴンが選べた最後の世代であり、クリーンディーゼルTDIやクロスオーバーのAlltrack、PHEVのGTEなど、バリエーションがもっとも豊かだった時期でもあります。

2021年4月のマイナーチェンジで最新の運転支援を標準化

8代目パサートは2021年4月にマイナーチェンジを受け、フロント・リヤまわりの意匠を刷新しました。最新の運転支援システムを全車標準とし、価格は429万9,000円からに設定。TDIでは「TDI Elegance」「TDI Elegance Advance」「TDI R-Line」などが用意され、同一車線内全車速運転支援「Travel Assist」やLEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」、7速DSGといった装備で快適性と安全性を高めました。

PHEV「パサートGTEヴァリアント」は2022年にバッテリーを増強

電動化の流れのなか、8代目にはプラグインハイブリッドの「パサートGTEヴァリアント」も設定されていました。2022年4月には改良(B8.5)を受け、バッテリー容量を13kWhへ増強してEV走行可能距離を延長。あわせて外観デザインが刷新され、Travel AssistやIQ.LIGHTも採用されました。ただし当時は半導体不足の影響で供給が絞られ、年内の供給は50台程度にとどまる見込みとされています。この系譜が、現行型のeHybridへとつながっていきました。

2018年10月31日にクロスオーバー4WD「Alltrack」を追加

パサートオールトラックは雪の多い地域にうれしい4WDだった

2018年10月31日には、パサート ヴァリアントTDIをベースとする4WDモデル「Alltrack」が設定されました。同年2月に追加されたTDIの4WD版という位置づけで、車高を30mm高め、オールトラック専用の制御が与えられています。

フェンダーアーチをブラックの樹脂で覆うことでSUVらしい力強さを増し、アンダーガード付きバンパーやAlltrackエンブレムなどの専用エクステリアも装備。ホイールロックのインターバルを制御するABSの調整、時速30km以下で急な下り坂に差し掛かった際に4輪のブレーキを自動制御する「ヒルディセントアシスト」、アクセルペダル特性を変更するオフロードモードなども備わりました。グレードは標準の「TDI 4MOTION」と上級の「TDI 4MOTION Advance」の2種類です。

ボディサイズは全長4,780mm・全幅1,855mm・全高1,535mmの3ナンバーサイズで、ホイールベースは2,790mm、最低地上高は160mm。標準のヴァリアントと比べ、全長・全幅・全高のすべてで拡大しています。

パサートオールトラックとヴァリアントのボディサイズ比較
オールトラック ヴァリアント
全長 4,780mm 4,775mm
全幅 1,855mm 1,830mm
全高 1,535mm 1,485mm
ホイールベース 2,790mm 2,790mm
最低地上高 160mm 130mm

最低地上高が30mm高いため、雪道でもよほど深い場所でなければ底を擦りにくく、安心して走れる仕立てでした。価格はTDI 4MOTIONが509万9,000円、TDI 4MOTION Advanceが569万9,000円。上級のAdvanceにはメモリー付きパワーシート、運転席・助手席のベンチレーション、18インチアルミホイールなどが加わります。

Advanceで追加される主な標準装備・メーカーオプション

  • ダイナミックコーナリングライト
  • ダイナミックライトアシスト
  • ヘッドライトウォッシャー
  • Active Info Display
  • 電動パノラマスライディングルーフ(オプション)
  • ナパレザーシート/トップコンフォートシート
  • パワーシート(運転席メモリー付き)
  • シートベンチレーション(運転席・助手席)
  • アダプティブシャシーコントロール
  • 電子制御式ディファレンシャルロック
  • 245/45R18タイヤ・18インチアルミホイール

2018年2月14日にクリーンディーゼル「TDI」を追加 燃費20.6km/Lを実現

8代目パサートの転機となったのが、2018年2月14日のディーゼル追加です。搭載されたのは直列4気筒ターボの2.0L TDIで、最高出力140kW、最大トルク400N・m。1.4Lガソリンターボに比べ最高出力では及ばないものの、トルクは1.5倍以上を誇りました。低回転から分厚いトルクを発揮する特性は、余裕のある巡航を得意とします。

8代目パサート搭載エンジン比較表
2.0TDI 1.4TSI 2.0R-Line
種類 直列4気筒ターボ 直列4気筒ターボ 直列4気筒ターボ
使用燃料 軽油 ハイオク ハイオク
排気量 1,968cc 1,394cc 1,984cc
最高出力 140kW 110kW 162kW
最大トルク 400Nm 250Nm 350Nm
燃費 20.6km/L 20.4km/L 15.8km/L

燃費は20.6km/Lで、1.4Lガソリンモデルの20.4km/Lをわずかに上回り、当時のラインアップでは最も優れた数値でした。燃料も軽油のためハイオク仕様のガソリンモデルより単価が安く、経済性の面で大きな強みがありました。グレードは標準の「TDI Elegance line」と上級の「TDI High line」の2種類で、ワゴンのヴァリアントはセダンより約20万円高い設定です。

パサートTDIの価格帯(2018年2月14日発売時)
パサート(セダン) ヴァリアント(ワゴン)
TDI Elegance line 4,229,000円 4,429,000円
TDI High line 4,899,000円 5,099,000円

ガソリンの「TSI Elegance line」「TSI High line」と比べると、いずれも35万円ずつ高い価格でした。とはいえ走行距離を重ねるほど燃料代で差を取り戻しやすく、ロングドライブが多い人や1台を長く乗る人に向いた選択肢だったと言えます。

8代目パサートのエクステリアとインテリア

セダン(パサート)

ワゴン(パサート ヴァリアント)

8代目にはセダンとワゴンの2ボディが設定され、セダンは「パサート」、ワゴンは「パサート ヴァリアント」と呼ばれていました。2018年2月のディーゼル追加時にエクステリアの変更は行われていません。

リアビューはクーペ気味のスタイリッシュな造形で、テールランプにはLEDを採用。アンテナはシャークフィンタイプです。ボディカラーは全8色で、イメージカラーの「アトランティックブルーメタリック」などをそろえ、セダン・ヴァリアントで設定色は共通でした。

  • アトランティックブルーメタリック
  • パイライトシルバーメタリック
  • ピュアホワイト
  • ディープブラックパールエフェクト
  • ハーバードブルーメタリック
  • ブラックオークブラウンメタリック
  • マンガングレーメタリック
  • オリックスホワイト マザーオブパールエフェクト
8代目パサートのボディサイズ
パサート ヴァリアント
全長 4,785mm 4,775mm
全幅 1,830mm 1,830mm
全高 1,465mm(High line:1,470mm) 1,485mm(High line:1,510mm)
ホイールベース 2,790mm 2,790mm

インテリアは5人乗りで、グレードによってシート素材が異なりました。ファブリックやフリントグレーのナパレザーはガソリン(TSI)のTrend lineやR-Lineに設定され、ディーゼルのTDIには非設定。TDIではElegance lineにアルカンターラとレザー、High lineにチタンブラックのナパレザーが与えられます。

8代目パサートに設定されていたシート素材

  • チタンブラック/アルカンターラ&レザー(Elegance line)
  • チタンブラック/ファブリック(Trend line)
  • フリントグレー&チタンブラック/ナパレザー(R-Line)
  • チタンブラック/ナパレザー(High line)

コックピットは木目調加飾を用いた落ち着いたデザインで、センタークラスターにはアナログ時計を配置。その下にインフォメーションディスプレイやエアコンコントローラーが並びます。メーターにはデジタルの「Active Info Display」が用意され、TDI High lineにオプションで装着できました。

8代目パサートの安全装備 「オールイン・セーフティ」を全車標準

8代目パサートには、プリクラッシュブレーキの「Front Assist」、駐車を支援する「Park Assist」、後方視界を確保する「Rear View Camera」など、多彩な機能が搭載されていました。

8代目パサートに搭載された安全装備

  • ACC(アダプティブクルーズコントロール)
  • Traffic Assist(渋滞追従支援システム)
  • Lane Assist
  • Side Assist Plus
  • リヤトラフィックアラート
  • パークディスタンスコントロール
  • Front Assist(プリクラッシュブレーキシステム)
  • 9つのエアバッグ
  • ポストコリジョンブレーキシステムなど

これらは、事故を未然に防ぐ「予防安全」、万一の際に被害を抑える「衝突安全」、事故後の二次被害を防ぐ「二次被害軽減」を柱とする「フォルクスワーゲン オールイン・セーフティ」として、全車に標準装備されていました。

パサートの歴史 1973年の初代から日本では「サンタナ」としても親しまれた

パサートは1973年、フォルクスワーゲンが空冷リヤエンジンから水冷フロントエンジン・前輪駆動へと舵を切る過程で生まれたモデルです。ゴルフに先んじて登場し、その後のフォルクスワーゲンの方向性を決定づけた一台と言えます。

日本では2代目にあたるモデルが「サンタナ」の名で知られ、日産自動車によるノックダウン生産も行われました。3代目(B3)以降は「パサート」の名でセダンとステーションワゴンが並行して展開され、5代目(B5)ではW8エンジンを積む4MOTIONモデルなども設定。以降も世代を重ねながら、フォルクスワーゲンにおける上級実用車という立ち位置を保ち続けてきました。

そして9代目でワゴン専用となり、さらに電動化を進めたのが現在の姿です。半世紀にわたってボディ形状もパワートレインも変えながら、「実用性と快適性を高い水準で両立する大人のクルマ」という性格だけは一貫しているのが、パサートというモデルの面白さでしょう。

パサートのモデルチェンジ遍歴
世代 販売年表
初代(B1) 1973年~
2代目(B2)※日本ではサンタナ 1980年~
3代目(B3) 1988年~
4代目(B4) 1993年~
5代目(B5) 1996年~
6代目(B6) 2005年~
7代目(B7) 2010年~
8代目(B8) 2014年~(日本は2015年~2023年)
9代目(B9・現行/ワゴン専用) 2023年~(日本は2024年11月~)

現行9代目(B9)日本市場での動き

2024年11月25日、日本発売。価格は524万8,000円~679万4,000円で、eTSI/TDI 4MOTION/eHybridの7グレード構成。
2025年9月9日、一部仕様変更と価格改定。リアの発光VWエンブレム、電動シートやベンチレーションの標準装備化などを実施。
2025年12月19日、価格改定を発表(2026年1月1日実施)。原材料費高騰などを背景に、ポロやゴルフなどと合わせて平均約1.5%引き上げ。
2026年8月4日、限定車「Premium Sound Edition」を発売。プレミアムサウンドシステムと専用ホイール、専用内装色ミストラルグレーを備え、価格は599万9,000円、限定160台。

パサートは実用ワゴンの完成形 選び方のポイントは3つのパワートレイン

現行パサートは、セダンを廃してワゴンに一本化したことでキャラクターが明確になりました。4.9m級のボディと最大1,920Lの荷室、そしてDCC Proがもたらす快適な乗り味は、まさに「実用ワゴンの完成形」と呼べる水準です。国産ワゴンの選択肢が減り続けるなか、この領域で新車が選べること自体に価値があります。

選び方のポイントは、やはり3つのパワートレインです。価格を抑えつつ扱いやすさを取るならeTSI、長距離移動が多く雪道も走るなら4WDのTDI 4MOTION、自宅で充電できて日常の移動距離が短いなら実質EVとして使えるeHybrid、という整理がわかりやすいでしょう。ディーゼルの経済性という8代目からの魅力も、形を変えてしっかり残されています。

一方で価格帯は約540万円からと、8代目時代の429万9,000円からという水準と比べれば確実に上がりました。ボディもクラスも上がった以上は当然とも言えますが、購入検討時には装備の充実したグレードやパッケージまで含めた総額で比較したいところです。2026年8月に登場した限定車「Premium Sound Edition」のように、量販グレードをベースに付加価値を載せたモデルも選択肢に入るようになりました。ステーションワゴンを本気で探しているなら、いま最も完成度の高い一台のひとつと言えます。