タイヤのインチアップでカスタム

タイヤのインチアップを行う時にチェックしたいメリット・デメリットとサイズ選び

タイヤのインチアップを検討する際に確認しておきたいポイントを解説します。標準タイヤサイズやホイールのボルト穴数・PCD、適切なインチアップ幅、さらにホイールインチアップによるメリットとデメリットをまとめました。

タイヤのインチアップを行う時にチェックしたいメリット・デメリットとサイズ選び

タイヤのインチアップで愛車をドレスアップ

「おしゃれは足元から」と言われますが、愛車のドレスアップもタイヤやホイールから始めるのがおすすめです。ただし、「自分の車に合うタイヤやホイールサイズが分からない」という方も少なくありません。

そこで、タイヤのインチアップを検討する際にチェックしておきたい「タイヤサイズの選び方」「ホイールサイズの選び方」「インチアップ時のメリット・デメリット」を紹介します。

車種の標準タイヤサイズを確認

車種ごとに「適正タイヤサイズ」が指定されていますので、まずはその数値を確認することから始めましょう。標準のタイヤサイズは、現在履いているタイヤのサイドウォール(タイヤブランドなどが刻印されている部分)に記載されている数値(例:175/65R14)や、運転席のドア付近に貼られているシール(標準タイヤサイズや適正空気圧が記載されている)で確認できます。

タイヤサイズ(規格)の確認方法

タイヤサイズの規格表

タイヤをインチアップする際に確認しておきたいポイントは基本的に以下の4項目を押さえておけば問題ありません。「タイヤの幅」「偏平率」「インチサイズ(リム径)」「ロードインデックス」をチェックします。

例えば「175/65R14 82」の場合、タイヤ幅が175mm、偏平率が65%、リム径が14インチ、ロードインデックスが82であることを示しています。

タイヤ幅について

「175/65R14 82」の175の数値がタイヤ幅です

「タイヤ幅」とはタイヤの横幅を示す数値で、数値が大きくなるほど見た目が太いタイヤになります。標準サイズより1インチアップする場合は、10mm程度太いタイヤを選ぶことが多いです。

偏平率について

「175/65R14 82」の65の数値が偏平率です

「偏平率」とはタイヤの高さと幅の比率を示す数値で、数値が小さいほど見た目が薄いタイヤになります。標準サイズより1インチアップする場合は、10%程度薄いタイヤを選ぶことが多いです。

インチサイズについて

「175/65R14 82」のR14の数値がインチサイズです

「インチサイズ」とはホイールの直径に合わせて選ぶ数値です。例えば15インチのホイールを装着する場合は、「R15」と表記されたタイヤを選ぶ必要があります。

ロードインデックス(LI)について

「175/65R14 82」の82の数値がロードインデックス(LI)です

「ロードインデックス」とはタイヤが支えられる最大荷重を示す数値です。標準タイヤサイズの数値より低いタイヤを選ぶと車体を支える能力が不足し危険です。そのため、標準と同じか、標準より高いロードインデックスのタイヤを選ぶようにしましょう。

項目 説明 例(175/65R14 82の場合)
タイヤ幅 タイヤの横幅を示す数値で、大きいほど見た目が太い。1インチアップ時は標準より約10mm太めを選ぶことが多い。 175mm
偏平率 タイヤの高さと幅の比率を示す数値で、小さいほど見た目が薄い。1インチアップ時は標準より約10%薄めを選ぶことが多い。 65%
インチサイズ(リム径) ホイールの直径に合わせて選ぶ数値。装着するホイールのインチに合わせて選択する。 R14
ロードインデックス(LI) タイヤが支えられる最大荷重を示す数値。標準サイズと同じかそれ以上の値を選ぶ必要がある。 82

車種に合うホイール規格を確認

タイヤサイズを確認したら、次はホイールサイズをチェックしましょう。自分の車に合うホイールを選ぶには、どの項目を確認すればよいのでしょうか。

ボルト穴数とPCD(ピッチ)を確認

「ボルト数」とはホイールに空いている穴の数のことで、例えば「4穴(コンパクトカーや軽自動車に多い)」「5穴(大型セダンやミニバンに多い)」「6穴(ハイエースなど)」があります。たとえ16インチのホイールを選んでも、ボルト数が異なれば装着できませんので、自分の車のボルト数を必ず確認してください。

ボルト数が5つあるアルミホイール5穴のホイール

ボルト数が4つあるアルミホイール4穴のホイール

「PCD(ピッチ)」とは、ホイールのボルト穴同士の間隔を示す数値で、「100mm」がよく採用されています。自分の車と合わないPCDのホイールは装着できないため、必ず確認してください。

基本的に1インチアップでも問題なし

ホイールをインチアップする場合、標準サイズより1インチ大きくしても基本的には問題ありません。自動車メーカーでも上位グレードやオプションで、1インチアップしたタイヤ・ホイールを装着して販売している車種が多くあります。

項目 説明 注意点・例
ボルト穴数 ホイールに空いている穴の数で、車種ごとに異なる。4穴は軽・コンパクトカー、5穴は大型セダンやミニバン、6穴はハイエースなどで多い。 4穴、5穴、6穴など
PCD(ピッチ) ホイールのボルト穴同士の間隔を示す数値。車と合わないPCDのホイールは装着不可。 100mmなど
インチアップ 標準ホイールより1インチ大きくしても基本的には問題なし。メーカーでもオプションで装着例が多い。 標準サイズ+1インチ

車体に合うタイヤサイズを決める

インチアップされたホイールを付ける高級車

タイヤ・ホイールをインチアップする際に注意したいポイントは「タイヤの外径」です。車種ごとに設定されている標準タイヤサイズの外径から大きく外れると、さまざまなデメリットが生じるため注意が必要です。

例えば「175/65 R14」が標準サイズの車をインチアップする場合は、「185/55 R15」→「195/45 R16」→「195/40 R17」と、タイヤ幅を広くしつつ偏平率を低くしたタイヤを選ぶのが基本です。タイヤ・ホイール専門店やカー用品店のスタッフと相談しながら決めることをおすすめします。

インチアップするとスピードメーターと実速度に誤差が出る

車のスピードメーターは、標準タイヤ外径に合わせて設計されています。タイヤの外径が大きくなると、1周する距離が長くなるため、設計より大きなタイヤを履くとスピードメーターの表示と実際の速度に誤差が生じます。

そのため、なるべく標準タイヤサイズの外径に近いサイズを選ぶことが重要です。目安として、タイヤ外径が10mm大きくなると実際の速度は約1km/h速く、小さくなると約1km/h遅くなる傾向があります。

タイヤが車体に干渉しないように注意

タイヤ幅や偏平率をそのままにインチだけアップさせると、タイヤの外径が大きくなり、タイヤハウス内でハンドルを全て切った際に車体に干渉する場合があります。

走行中にUターンなどでタイヤが車体に当たると、タイヤに傷がつきパンクの原因になることもあります。インチアップする場合は、必ず車体に干渉しないサイズを選ぶことが大切です。

項目 説明 注意点・例
タイヤ外径 タイヤ・ホイールの外径は車体設計に影響する重要な数値。標準サイズから大きく外れるとスピード表示の誤差や車体干渉などの問題が生じる。 標準サイズから±10mm以内が目安
インチアップ時のサイズ調整 タイヤ幅を広くし、偏平率を低くすることで外径を調整しつつインチアップが可能。専門店と相談しながら選ぶことが望ましい。 175/65 R14 → 185/55 R15 → 195/45 R16 → 195/40 R17
スピードメーター誤差 標準タイヤ外径に合わせて設計されているため、外径が変わると実速度とメーター表示に差が出る。10mm変化で約1km/hの差が生じる。 外径大きい → 速度表示遅れる、外径小さい → 速度表示速くなる
車体干渉 タイヤ幅や偏平率を変えずにインチアップするとタイヤハウス内で干渉する場合がある。Uターンや全切り時に注意。 干渉防止のためサイズ選定必須

タイヤをインチアップさせた場合の車検対応

車検では「タイヤが車体からはみ出していないこと」が検査項目に含まれます。真上から見た際にタイヤが車体からはみ出ていると車検に通りません。ホイールのデザインによってははみ出る場合もあるため、購入前にカー用品店のスタッフと十分に相談してください。

タイヤをインチアップするメリット

足元を彩るインチアップホイール

タイヤをインチアップしたときに得られる、車体や乗り心地へのメリットを紹介します。

見た目がカッコよくなる

好みのデザインのホイールを選び、ホイールが大きくタイヤが薄くなることで、見た目が引き締まり愛着が湧きます。同じ車種でもホイールやタイヤが異なると印象が大きく変わるため、個性を出しやすくなります。

車体が安定しやすくなる

標準タイヤより幅広のタイヤを装着すると、地面と接する面積が広くなり、グリップ力(路面を捉える力)が増します。直線はもちろんカーブでも車体がブレにくくなり、走行が安定しやすくなります。

運転に気をつけるようになる

自分好みのホイールを装着すると愛着が湧き、「キレイに保ちたい」と思うようになり、汚れたらすぐに洗車するなどメンテナンス意識が高まります。

また、タイヤが薄くなることで地面とホイールの距離が近くなり、段差を不注意に超えるとホイールを擦って「ガリ傷」がつきやすくなります。これを防ぐため、自然と運転が丁寧になり、安全運転を心がけるようになります。

項目 説明 注意点・メリット
車検対応 タイヤが車体からはみ出していないことが車検の条件。ホイールのデザインによってははみ出る場合もあるため注意が必要。 購入前にスタッフと相談
見た目の向上 インチアップでホイールが大きく、タイヤが薄くなると車の見た目が引き締まり、個性を出しやすくなる。 好みのデザインを選択可能
車体安定性 幅広タイヤを装着すると地面との接地面積が増え、直線・カーブともにブレにくく走行が安定する。 グリップ力向上、安定走行
運転意識向上 薄いタイヤによりホイールと地面の距離が近くなるため、段差で傷つきやすくなる。その結果、自然と運転やメンテナンスに注意を払うようになる。 安全運転・丁寧な運転の促進

タイヤをインチアップするデメリット

専門店にあるインチアップのためのホイール

タイヤをインチアップすることで生じる、車体や乗り心地へのデメリットを紹介します。

走行中の突き上げ感が強くなる

タイヤをインチアップすると偏平率(タイヤの薄さ)が低くなるため、マンホールを踏んだり段差を超えたりした際の衝撃を感じやすくなり、ゴツゴツとした乗り心地になります。

ハンドルが重くなる

インチアップによってタイヤ幅が太くなることが多く、グリップ力が増すためハンドル操作に多少力が必要になります。しかし、現在の車にはパワステ(電動または油圧でハンドルを軽くする機能)が搭載されていることが多いため、ほとんど気になりません。

走行音が大きくなる

タイヤが薄くなることで平地走行時でも床から伝わる「ガーッ」というロードノイズが大きく感じられることがあります。気になる場合は、フロアマット下に吸音材を敷くなどして、騒音対策を行うことで軽減できます。

燃費が変わる

標準サイズのエコタイヤからインチアップしたタイヤ・ホイールに変更した場合や、タイヤ幅が広くなりグリップ力が増すことで発進時に力が必要となり、アクセルを踏み気味になりやすくなります。そのため、燃費が悪化する傾向があります。

「静かな発進を心がける」「急加速を避ける」など運転の工夫で燃費を改善できるため、インチアップ後は落ち着いた運転を意識してください。

項目 説明 デメリット・対策
突き上げ感 タイヤの偏平率が低くなるため、段差やマンホールでの衝撃を感じやすくなる。 乗り心地がゴツゴツする
ハンドルの重さ タイヤ幅が広くなりグリップ力が増すため、ハンドル操作に力が必要になる場合がある。 パワステ装備車ではほとんど影響なし
走行音 薄いタイヤにより床から伝わるロードノイズが大きく感じられることがある。 フロアマット下に吸音材を敷くなどで軽減可能
燃費への影響 タイヤ幅拡大やグリップ増加により発進時に力が必要となり、アクセルを踏みやすくなるため燃費が悪化しやすい。 静かな発進・急加速回避で改善可能

タイヤのインチアップでおしゃれを楽しもう

新車や中古車を購入した際、まずカスタマイズする場所として「タイヤのインチアップ」を選ぶ人も多く、見た目や印象が大きく変わるため、ドレスアップの満足感が非常に高くなります。

しかし、正しいサイズでインチアップを行わないと、「ハンドルを全て切ると車体に干渉して半分までしか切れない」などのデメリットが生じます。そのため、カー用品店やタイヤ・ホイール専門店のスタッフと十分に相談してから購入することをおすすめします。