タイヤのパンクはどう直す?応急修理キットかスペアタイヤで対応しましょう
車の走行に欠かせないものの一つがタイヤです。しかし、パンクして空気が抜けると十分な空気圧が保てず、安定した走行ができません。いくら空気を補充しても、穴が開いているためすぐに抜けてしまいます。
パンクしたタイヤで走行すると走りが不安定になり、事故のリスクも高まります。また、タイヤやホイールに大きなダメージを与え、本来なら修理だけで済むはずが、タイヤ交換やホイール交換が必要になる場合があります。その結果、修理費用がどんどん高額になる可能性があります。
そのため、タイヤのパンクに気が付いたら、すぐに対応することが重要です。ここでは、外出先での応急処置や、その後の本格修理方法を確認しておきましょう。
出先でのタイヤパンクは「応急修理キット」か「応急用タイヤ(スペアタイヤ)への交換」で対応します
外出先でパンクに気付いたら、応急修理キットを使うかスペアタイヤに交換して対応します
外出先でタイヤのパンクに気付いた場合、自分で対応するには、新車購入時に車に積まれている「パンク応急修理キット」や「応急用タイヤ(テンパータイヤを含むスペアタイヤ)」を使用する方法があります。
新車には必ず積載されていますが、中古車の場合は応急修理キットがなかったり、スペアタイヤが積まれていないこともあるため、事前に確認しておくと安心です。
外出先でパンクを応急処置して走行するには?
- パンク応急修理キットを使う
- 車載の応急用タイヤやスペアタイヤに交換する
- 自分での作業が難しい場合は、JAFなどのロードサービスを利用する
自分で応急処置キットを使ったりタイヤ交換を行うのが難しい場合は、JAFなどのロードサービスを利用するほうが安全です。ロードサービスは会員であれば無料で対応してもらえることがありますが、非会員の場合は費用がかかります。
料金を節約しようと、無理に空気圧の低い状態で走行するのは避けましょう。走行すると、修理できたはずのタイヤが使えなくなったり、ホイールが歪んで交換が必要になることがあります。結果的に修理費用が高くなり、ロードサービスを呼んだほうが安く済んだ、というケースになりかねません。
無理な走行による修理費高額化のリスク(参考情報)
- JAF会員:無料(年会費などが必要)
- JAF パンク(スペアタイヤとの交換作業):2万円台(非会員・昼間・一般道など条件による)
- 無理に走行してパンク修理できなくなった場合:タイヤ1本または4本分の費用
- 無理に走行してホイールまで歪んだ場合:タイヤ代に加え、ホイール1本分の費用
応急用タイヤ(テンパータイヤ)とは、トランク下などに積まれている細めのタイヤで、通常のタイヤ交換と同じ要領で取り付けることで自走が可能です。ただし、通常のタイヤより性能が低く、走行速度や走行距離に制限があること、取り付け位置が決まっているなどの制限があります。
ランドクルーザープラドの後部バンパー下に設置されているスペアタイヤ
一方、フルサイズスペアタイヤ(普段のタイヤと同じサイズのもの)は、ジムニーやパジェロでは後部に背負っていたり、ランドクルーザープラドなどではマフラー付近に吊り下げられています。普段のタイヤと同じため、交換すればそのまま通常通りに走行できますが、応急用タイヤに比べて重いのがデメリットです。
車載のパンク応急修理キットを使う場合はホイール内側の洗浄とタイヤ交換が必要です
SX4 Sクロスに搭載されているコンチネンタルのパンク応急修理キット
スペアタイヤの代わりに、近年の多くの車には、シーラント(修理剤)をコンプレッサーで注入して修理できるパンク応急修理キットが搭載されています。ただし、応急用タイヤと同様に一時的な応急処置であるため、速やかに新しいタイヤに交換するか、本格的な修理を行う必要があります。
また、車載の応急修理キットを使用したタイヤは、修理剤(シーラント)がタイヤ内部全体に広がるため、カー用品店で行える外面処理のパンク修理ができず、必ずホイールから外して内面処理を行う必要があります。さらに、シーラントがホイールにも付着するため洗浄が大変で、場合によってはホイールも使用できなくなる可能性があります。
車載のパンク応急修理キットを使うとどうなりますか?
- 修理剤(シーラント)がタイヤ内部に広がるため、外面修理ができなくなります。
- 必ずタイヤをホイールから外して内面処理(本格修理)を行う必要があります。
- シーラントがホイールにも付着するため、洗浄が必要になり、費用や手間がかかります。
- 応急処置のため、早めにタイヤの本格的な修理や交換を行う必要があります。
車載のパンク応急修理キットを使う場合、タイヤの内側やホイールにシーラントが付着し、その後の修理や洗浄に手間がかかります。状況に応じて、応急修理キットを使うかどうかを判断しましょう。
駐車中にタイヤのパンクを発見!応急用タイヤに交換
駐車中にパンクが見つかったレガシィツーリングワゴン。後輪がしっかりパンクしています
駐車場でパンクに気付いたため、車載の応急用タイヤ(テンパータイヤ)に交換しました。応急用タイヤのため、早めにパンクしたタイヤの本格修理や交換を行う必要があります。まずは、トランクからスペアタイヤやジャッキなどの交換工具を取り出しましょう。
バックドアを開けたラゲッジスペース。ラゲッジマットとトノカバーが見えます
ラゲッジマットをめくるとトランク下のリングが見え、開ける準備ができます
トランク下にあるジャッキやスペアタイヤを取り出すため、ラゲッジマットをめくります。するとトランクボードが見え、ボードを上げるためのリングが付いています。リングを起こして引き上げましょう。
スペアタイヤやジャッキの設置場所はほとんどがトランク下ですが、車種によって異なることもあります。分からない場合は車両取扱説明書を確認しましょう。索引は後ろのページにまとめられていることが多く、「スペアタイヤ」や「タイヤ交換」の項目を探すとスムーズです。
トランクボードをめくるとツールを収納している場所があります。交換用ワイパーも入れておくと安心です
ボードをめくるとジャッキとスペアタイヤが見えます。取り出してタイヤ交換作業に取りかかります
トランクボードをめくるとツールボックスが見えます。中央部分をさらにめくるとジャッキとスペアタイヤが現れ、取り出してタイヤ交換作業を始めます。今回は応急用タイヤを使用しましたが、取り出したらまず空気圧をチェックすることが大切です。
普段アクセスしない場所にあるため、スペアタイヤや応急用タイヤは空気が抜けていることがあります。応急用タイヤの適正空気圧は420kPa(4.2kgf/cm²)などと通常のタイヤより高めに設定されているため、まず調整しましょう。
車載エアコンプレッサーでは420kPaまで充填できない場合もあります。その場合は、近くのガソリンスタンドやカー用品店、ディーラーで適正空気圧まで充填してもらえます。
ジャッキを取り出してテンパータイヤを固定している皿ワッシャーとボルトを外します
ボルトを外したらテンパータイヤを取り出し、パンクしていないか確認します
ジャッキを取り出すと、応急用タイヤを固定している長めのボルトが見えます。疲れた場合は休みながら緩めましょう。すべて外したら応急用タイヤを取り出し、パンクの有無を確認します。
車載道具をすべて取り出したところ。軍手を用意して手を保護します
ジャッキアップポイントが分からなければ、説明書を確認します
次に車体を持ち上げるためジャッキを使用します。ジャッキは決められたジャッキアップポイントにかける必要があるため、説明書で確認しましょう。また、車体が動かないようにサイドブレーキをかけておくことも重要です。
ジャッキをジャッキアップポイントにかけ、切れ込みをしっかり噛ませて落下を防止します
ジャッキの丸い部分にハンドルを取り付け、回して車体を持ち上げます
手でネジを回して切れ込みをかませたら、車体を持ち上げます。パンダジャッキは車体と水平になるよう設置し、斜めにならないよう注意しましょう。丸い部分にハンドルを取り付け、右回りに回すと車体が上がります。
右利きの場合のコツは、左手をハンドルの軸に固定し、右手で先端を回すことです。左手を動かさず右手だけで回すことでスムーズに持ち上がります。滑り止めのない軍手を着用すると、手が滑らず作業が楽になります。
車体を持ち上げる前にナットを緩めます。5穴なので星型の順番で外します
どうしても固くてナットが緩まない場合は、レンチをしっかりはめてから足で体重をかけます
車体を持ち上げる前にナットを緩めておきます。基本的には手で緩めますが、固くて手では緩まない場合はレンチをしっかりかけ、足で体重をかけて緩めます。この方法はナットを緩める時のみ行います。締める際に体重をかけると規定以上のトルクがかかりすぎ、ホイールやボルトを破損する原因になるため厳禁です。
レンチに足をかけてナットを締めてもいいですか?
- 規定トルク以上の力がかかり、ホイールやボルトを破損するためNGです。
- レンチに足をかけるのは、固着したナットが手で緩まない場合のみに留めます。
- レンチはしっかりはめないと、体重をかけた時に外れて怪我をする可能性があります。
ホイールを浮かせたら、ハンドルに足をかけず外して作業を行います
ナットを外すとホイールが浮くため、下側を足で押さえると作業しやすいです
ナットは一度に外さず、均等に少しずつ緩めます。レガシィツーリングワゴンは5穴なので、星型の順番で緩めるとスムーズです。ある程度緩めるとホイールが浮くため、下側を足で押さえると安定して作業できます。
無事にパンクしたタイヤを外せました。スリップサインも見えているため交換時期でもあります
応急用タイヤを装着。穴とボルトの位置を合わせて持ち上げて取り付けます
パンクタイヤを外したら、応急用タイヤを装着します。外した時の逆手順でナットを星型の順序で締めます。締める際は必ず手だけで行い、緩める時のように足を使わないよう注意してください。足で締めるとホイールを破損する可能性があります。
ナットを締めたら、ハンドルをジャッキに装着して左回しで車体を下ろします
パンクの原因はトレッド面に刺さったネジでした
ナットを締め終えたら、ハンドルをジャッキに装着して左回しで車体を下ろします。完全に下ろしたら再度ナットを規定トルクで増し締めし、作業完了です。ジャッキやハンドルはトランクに戻して片付けます。パンクタイヤを見るとトレッド面にネジが刺さっており、これが原因の可能性が高いです。
トレッド面の穴なので、後日、外面処理または内面処理のパンク修理が可能です。ひとまずパンクタイヤをトランクに積んで保管します。
後日、パンク修理キットで外面処理してパンク穴を直してもらいました
茶色く見える部分がパンク修理した箇所です。
修理後はパンクの跡はほとんどわかりません。スリップサインも出ていたため、できれば4本交換したいところです。
パンク修理キットを使って外面処理で修理してもらいました。パンク穴を埋めた茶色いラバーが見えます。今回はサイドウォール(側壁)に裂けがなく、トレッド面(接地面)にネジが刺さったことが原因のパンクのため、外面修理で対応できました。空気圧も調整済みで、タイヤはしっかり車体を支えています。
ロードサービスはJAFだけではありません!任意保険やクレジットカード付帯もチェックしましょう
ロードサービスといえばJAFのイメージがありますが、非会員でも利用できます。しかし、1万円以上の料金がかかる場合もあり、パンク程度では少し躊躇してしまうこともあります。
ロードサービスはJAFだけでなく、自動車任意保険やクレジットカードにも付帯されていることがあります。契約内容を事前に確認しておくと安心です。
任意保険の証書には、ロードアシスタンスサービスの概要が記載されている場合があります
自動車任意保険の契約内容によっては、レッカーや修理サービスが無料で利用できる場合もあります。多くのドライバーが加入している保険ですので、ロードサービスの有無を確認しておきましょう。
さらに、ガソリンスタンド系列のクレジットカードにもロードサービスが付帯していることがあります。エネオスや出光のカード、またガソリンスタンド以外ではトヨタファイナンスのクレジットカードなども対応していますので、チェックしてみてください。
タイヤのパンク修理方法は「DIYでの応急処置」か「カーディーラー・カー用品店に頼む」の2種類です
パンクしたタイヤを修理する方法は大きく分けて2つあります。サイドウォール(側壁)に裂けがある場合や、タイヤの縁に近い部分(ショルダー部)の損傷は修復が難しく、新品交換が必要です。一方、トレッド面(接地面)に釘やネジが刺さった場合は、修理可能なことが多いです。
また、カー用品店やカーディーラー、ガソリンスタンドでもパンク修理サービスを提供していることが多く、修理できる状態であれば対応してもらえます。修理できないほど損傷がある場合は、新品交換も検討しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 修理方法の分類 | DIYで修理する方法(応急処置)、またはカーディーラー・カー用品店に依頼する方法(本格修理)の2種類です |
| 修理可能な状態 | トレッド面(接地面)に釘やネジが刺さった場合は修理可能なことが多いです |
| 修理が困難な状態 | サイドウォールに裂けがある、タイヤの縁に近い部分(ショルダー部)が損傷している場合は、修復が難しく新品交換が必要です |
| サービス提供場所 | カー用品店、カーディーラー、ガソリンスタンドなどでパンク修理が可能です |
| 交換の検討 | 修理できないほど損傷がある場合や、修理箇所が複数ある場合は新品交換を検討します |
DIYでタイヤのパンクを直すにはパンク修理キットを使いますが、あくまで応急処置です
タイヤのパンク修理は、キリで穴を広げて補修ラバーを入れ、余分な部分を切り取れば完了します。
トレッド面でのパンクであれば、市販のパンク修理キットでDIY修理できる可能性が高いです。使用するのは、トレッド面のパンクを修理できるキットで、エーモンやメルテックなどのメーカーから販売されています。手順は、まずパンク箇所を特定して異物を取り除き、キリで穴を拡げ、補修ラバーを差し込んで塞ぐという流れです。
パンク修理キットの主な使い方(外面修理)
- 石鹸水や薄めた洗剤液でパンク箇所を特定します
- 釘やネジなどの異物を除去します
- 穴をキリで拡げます
- 補修ラバーを入れて穴を塞ぎます
- 20分ほど置いて馴染ませた後、適正空気圧に調整します
- 再び石鹸水などで空気漏れがないか確認します
- はみ出たラバーをカットして完了です
石鹸水などを使うことで、空気漏れの箇所が気泡でわかるため、パンク箇所の特定に役立ちます。異物を除去したらキリで穴を広げ、補修ラバーを差し込んで隙間を塞ぎます。その後20分ほど馴染ませ、空気圧を適正に調整して再度漏れがないか確認し、余分なラバーをカットすれば作業は完了です。DIYでの修理はあくまで応急処置であるため、速やかに専門店で内面修理などの本格的な点検を受けてください。
カー用品店に頼む場合は新品交換かパンク修理の2択です
カー用品店やディーラー、ガソリンスタンドでもパンク修理サービスを行っています。まずは店舗で料金を確認しましょう。
カー用品店のパンク修理工賃の目安(参考料金)
- オートバックス:3,300円~
- イエローハット:2,200円~
- ジェームス:2,700円~
パンク修理には、DIYと同じ方法の外面修理と、タイヤをホイールから外して内側から修理する内面修理があります。内面修理はホイール組み直しなどの作業も伴うため料金は高めですが、修理の確実性が高いです。
また、サイドウォールが裂けている場合、修理箇所の近くが再度パンクした場合、すでに2ヶ所以上修理している場合などは、安全性や耐久性が確保できないため、パンク修理が不可能です。その場合は新品交換を検討しましょう。
パンクしたタイヤを交換した場合は2本または4本すべて交換がおすすめです
パンクしたタイヤを組み替えで交換する場合は、タイヤの減り具合を均等にするため、4本すべて交換するのが理想です。一見パンクしたタイヤだけ交換すれば経済的に思えますが、新品タイヤ1本とすり減った3本のタイヤでは外径が微妙に異なるため、乗り心地や安定性が悪くなる可能性があります。
なぜパンクしていないタイヤも交換するのですか?
- 新品タイヤとすり減ったタイヤでは外径差が生じ、乗り心地や安定性に影響が出ます。
- 特に4WD車の場合、微妙な外径差はデフ(差動装置)に負担をかけ、故障リスクを高める可能性があります。
- タイヤの摩耗度合いを均一にするため、4本交換が推奨されます。
ただし、ディーラーやカー用品店によっては4本交換ではなく、新しいタイヤを駆動輪以外に履かせ、古いタイヤを駆動輪に回す2本交換を勧める場合もあります。スタッフとよく相談し、車の駆動方式やタイヤの摩耗度合いを考慮した上で、4本交換か2本交換かを判断しましょう。
パンクしたまま走行するのは非常に危険です!駐車時や発進前にタイヤチェックを習慣にしましょう
偏平率が高いタイヤ(タイヤの厚みが厚いタイヤ)はパンクに気づきやすいですが、偏平率が低いタイヤ(タイヤの厚みが薄いタイヤ)は薄く、パンクに気づきにくいことがあります。駐車時や発進前にタイヤのへこみ具合をチェックして普段の様子を把握することで、パンクを早期に発見できます。
さらに、ガソリンスタンドに寄った際には月に1回程度、空気圧をチェックしておくとより発見しやすくなります。普段より空気圧が低いタイヤがあれば、パンクを疑いましょう。
早めにパンクに気づけば修理だけで済みますが、放置するとタイヤ購入やホイール交換など修理費用が増大します。また、パンクしたままの走行は車体が不安定になり事故のリスクも高まるため、発見したらすぐに対応することが重要です。





























