パワーウィンドウの故障

パワーウィンドウが故障する原因とモーター等の修理費用

パワーウィンドウが故障する原因に、動力源であるモーターの異常や操作スイッチの不具合など6つが考えられる。レギュレーター等のパーツを組み合わせてサイドガラスを開け閉めする仕組み、破損している部分を修理・交換する際にかかる費用も紹介。

パワーウィンドウが故障する原因とモーター等の修理費用

パワーウィンドウが故障する6つの原因や修理するのにかかる費用

パワーウィンドウは、室内に新鮮な空気を取り込みたい場合や、ゲート式駐車場の駐車券を取るときなどに利用することが多いでしょう。簡単スイッチ操作でサイドガラスを開け閉めできる利便性は、クルクルとハンドルを回してサイドガラスを開閉する手動式を知っていれば、利便性を強く感じる事ができます。

パワーウィンドウは、電子制御によるモーターの力を利用してサイドガラスを開け閉めします。そのため、内部パーツに不具合が生じていれば、窓を開け閉めする際に異音が発生して、サイドガラスが突然上がらなくなってしまいます。

ここでは、パワーウィンドウの故障を招く6つの原因、修理するさいにかかる費用などについて取り上げます。

パワーウィンドウが故障したときに考えられるデメリット

パワーウィンドウパワーウィンドウが故障しても走行には影響はないが、空気の入れ替え等は不便になる

パワーウィンドウが故障して、サイドガラスを完全に開け閉めできなくなってしまえば、以下のデメリットが生じます。

  • 走行中に空気の入れ替えが出来ない
  • ドライブスルーの利用が不便
  • ゲート式駐車場の利用がスムーズにできない

パワーウィンドウが故障しても車の走行にはさほど問題がなく、そのまま乗り続けることが出来るため、デメリットを気にしない方もいます。

パワーウィンドウの仕組みや特徴

サイドガラスを開け閉め仕組みが電気制御され、スイッチ操作で簡単に車の窓の開閉ができるのが、パワーウィンドウの最大の特徴です。

パワーウィンドウはクルクルとハンドルを回してサイドガラスを上げ下げする手動式と比較すれば、労力はかかりませんが故障した時の費用は膨らみます。

パワーウィンドウは、モーターの動力をレギュレーターを介してサイドガラスに伝える事でドアを開閉する方式を採用します。

パワーウィンドウの故障が疑われたら車のプロにチェックしてもらおう

腕組みしている自動車整備士

パワーウィンドウを利用できない時には、まずはチャイルドロック等のロック機能を解除し忘れてはいないかを確認しましょう。利用できない理由がロック機能であれば、解除することで窓の開け閉めをスイッチ操作で行えます。

ロック機能を解除しているにもかかわらず、異音が生じる・動作不良が起きていれば、パワーウィンドウに何かしらの故障が起きている事を疑います。

以前は、パワーウィンドウの故障はモーターやレギュレーターが故障するケースが多かったですが、近年ではモーターやギア部の製造技術が向上したため、故障原因の比率は低下しています。

故障の原因がガラスランチャンネル等である場合には、シリコンスプレーをサイドガラスに照射したり、窓ガラスを綺麗にすることで動作不良は改善されます。

自分で出来る対処法をとってもパワーウィンドウの不具合が改善されない場合には、原因を車のプロに探ってもらいましょう。

パワーウィンドウの故障を招く6つの原因

車のパワーウインドウはいきなり故障するわけではありません。故障する前には必ず原因があるため、その原因を知ることでパワーウインドウが故障する確率を低くすることができます。

1. バッテリーの劣化でモーターに送る電力が弱まっている

車のバッテリーバッテリーが劣化すると窓を開閉する力も弱まる

サイドガラスをスイッチ操作で開け閉めするためには、モーターをバッテリーから送られる電気の力で動かす必要があります。もしも、バッテリーが劣化して電気の力が弱まっていればモーターの動力は弱まり、ドアを開け閉めする力も弱まってしまいます。

パワーウィンドウの不調の原因がバッテリーであれば、バッテリーを交換することで動作不良はおさまります。バッテリーの交換をディーラーに依頼した時の費用の相場は、技術料(作業工賃)を含め2万円前後となります。

2. 窓を開閉するためのモーターの異常

パワーウィンドウの動力源であるモーターに異常が起きていれば、サイドガラスを開け閉めする際の動きに不具合が生じます。

以前と比較すればモーターは故障しにくくなったとはいえ、そのケースがゼロになる事はありません。モーター故障の原因は、経年劣化やレギュレーターの不具合の影響を受ける等です。

モーターの異常を放置すれば、パワーウィンドウが全く作動しなくなる事態も起きてしまいます。パワーウィンドウの不調の原因がモーターの動作不良であれば、モーターを早めに交換する事をお勧めします。パワーウィンドウのユニットに搭載されるモーターの交換費用の相場は4万円以下です。

3. モーターの力を伝えるレギュレーターの故障

モーターの動力を、サイドガラスを開閉するための力に変換するパーツであるレギュレーターには、アーム式とワイヤー式の2種類があります。

アームが故障していれば、サイドガラスが上下する際にガクガクという異音が発生し、正常と比較すれば軌道が乱れます。

ワイヤーの故障でよくあるワイヤーが切れているケースでは、サイドガラスを突然開け閉めできなくなる事態が起こります。

レギュレーターの不具合が、潤滑性を高まるために塗るグリスが固まってしまっているケースであれば、グリスを塗り直すことでパワーウィンドウの不具合が改善されます。

もしも、対処法で試してみても不具合が改善されなければ、アームあるいはワイヤー交換する必要があり、交換費用として1万円~2万円がかかります。

4. 窓の左右を挟むゴム「ガラスランチャンネル」の異常

雨の道路で窓を閉めている車

パワーウィンドウの可動部の境界部に設置される、窓ガラスを挟みこむように保護するゴム製パーツは「ガラスランチャンネル」と呼びます。

パワーウィンドウが正常に作動するように、ガイダンス的な役割を果たしているガラスランチャンネルが、経年劣化や摩擦熱によって変形、周辺部にゴミがたまってしまう事もサイドガラスの開け閉めに影響を与えます。

ガラスチャンネルの異常を放置すれば、モーター等への抵抗値が強まり、他の内部パーツの故障を招く原因ともなってしまいます。ガラスランチャンネルの交換費用の相場は1万5千円ほどです。

5. 挟み込み防止機能の誤作動

挟み込み挟み込み防止機能に生じているトラブルもパワーウィンドウが正常に機能しない原因

最近、パワーウィンドウが故障するケースで割合的に増えているのが、挟み込み防止機能等の安全装置の異常です。

サイドガラスに体が挟まれてしまうトラブルを避けるために、導入される挟み込み防止機能が、正常に作動しなくなる原因は次の通りです。

  • システムエラー
  • 窓の隙間にゴミが溜まっている
  • 窓ガラスが汚れている

デリケートさを要する挟み込み防止機能には、窓ガラスに付着する汚れ物質が動作に影響を与えてしまう事もあります。

6. パワーウインドを操作するスイッチの故障

パワーウインドの故障スイッチ系統が故障していればパワーウィンドウを開閉できなくなる

パワーウィンドウを作動させるために操作するスイッチの故障も、サイドガラスの開け閉めがスムーズにいかなくなる原因です。

スイッチの故障は、内部パーツが劣化・摩耗することで起こります。スイッチに問題があれば、分解して問題箇所を修理するよりもスイッチ系統を一式交換したほうがリーズナブルです。

スイッチを交換する際の費用は、車種により異なりますが1万5千円~3万円がその価格帯です。

故障ではなく凍結かも?無理やり窓を開けると本当に壊れるので注意!

寒冷地の冬の朝などにパワーウィンドウが思うように動かない場合、故障ではなく、凍結の可能性が高いです。車内が暖まれば元通りとなるケースも多いので、まずは様子をみましょう。
凍結しているパワーウィンドウを無理やり作動させると、モーターに負荷がかかりすぎて故障の原因になります。

極寒の中で、パワーウィンドウが閉まらないというのは絶対に避けたい事態。パワーウィンドウは車内が十分暖まってからスイッチを押すようにしましょう。

パワーウィンドウの故障で車検に落ちることは?運転席以外なら問題ないケースが大半

パワーウィンドウが故障している場合、車検はクリアできるケースとできないケースがあります。パワーウィンドウが故障している箇所が特に重要です。

運転席側のパワーウィンドウの故障は車検不合格となるので修理必須

運転席側の窓ガラスは、緊急時の脱出ルートです。安全確保の観点から、パワーウィンドウにはスムーズな開閉が求められるので、開閉できない場合は車検に通りません。

助手席や後部座席のパワーウィンドウが開閉しなくても違反ではない

助手席や後部座席のパワーウィンドウが自動開閉しなくても、車検には問題なく通るケースが多いです。
指摘する検査官もいますが、運転席側は緊急時の安全確保の観点から開閉が必要ですが、それ以外の箇所には明確な保安基準が設けられていません。

助手席側の「窓が閉じない」場合は別の検査項目で落とされる可能性あり

助手席のウィンドウが閉じない場合は要注意。車検は窓ガラスにスモークフィルムが貼ってあるかどうかも検査項目です。
フロントガラス・運転席側面・助手席側面の3面で可視光線透過率70%以上が求められていますので、窓が閉まらない車はスモークの確認ができず、パワーウィンドウとは別の理由で不合格となる可能性もあります。

結論:運転席以外が「開かないだけ」なら車検は通る!

助手席や後部座席のパワーウィンドウが開かないだけなら、車検には影響しません。
窓が閉まらないのは問題ですが、開かない場合は緊急ではないケースが多いでしょうから、金銭的に余裕ができてから修理に出すと良いでしょう。

パワーウィンドウが故障したら他の箇所のメンテナンスチェック

パワーウィンドウは、運転席・助手席・リアの各ドアに搭載されそれぞれ独立して作動します。

もしも、パワーウィンドウに1ヶ所でも不具合が起きていれば、時期的にいって他のドアでも経年劣化等の理由により故障が起こる可能性は高くなりますので、正常に作動が行われているかを確認するためのメンテナンスチェックをお勧めします。

パワーウィンドウの修理代が高い場合には車の乗り換えも検討

パワーウィンドウ

車の走行距離が増えるほど、車の使用期間が長引くほど、パワーウィンドウは故障しやすくなります。パワーウィンドウは滅多に故障するパーツではありません。そのため、パワーウィンドウが故障する時期は車の走行距離が何十万kmにも達する時であり、その時期は他のパーツも故障しやすいタイミングです。

パワーウィンドウの故障を車の乗り換えの時期だと考えるドライバーは多くいます。ディーラー等で修理代を見積もってもらった際に、高いと感じたら車の乗り換えも検討しましょう。愛着のある車でまだ同じ車に乗り続けたいと思うなら、修理をお勧めします。
パワーウィンドウが正常に作動する車に乗って、心地よいドライブを楽しみましょう!