車の窓ガラスが曇る原因と効果的な曇り止め対策・便利グッズ
運転中に車の窓ガラスが曇ってしまうと、視界が大幅に遮られ、運転の継続が困難になり、交通事故のリスクが高まります。
特に湿度の高い梅雨時や、外気温との差が大きい冬の季節に再確認しておきたい、デフロスターなどの基本的な操作方法から、手軽に使える便利な曇り予防アイテムまで、視界をクリアに保つための情報をお届けします。
窓ガラスが曇る原因は「結露」の発生です
車の窓ガラスが曇る現象は、車内で発生する「結露」が原因です。結露は、「境界面の温度差」と「水蒸気の量(湿度)」が関係して発生する自然現象です。
下記のグラフは、空気の温度に対する「飽和水蒸気量」の変化を示しています。飽和水蒸気量(g/㎥)とは、1㎥の空間に最大で何グラムの水蒸気を含むことができるかを示す数値で、温度が上昇するほど、より多くの水蒸気(気体の水)を含むことが可能です。
(注1 国立国会図書館 温湿度管理のグラフより抜粋)

例えば、車内の温度が25℃、外の気温が5℃だとします。外気と接している窓ガラスの表面温度は、外気温に近い5℃程度に冷やされます。温度25℃の車内空気は、窓ガラス付近で急激に冷やされると、その温度(5℃)での飽和水蒸気量を超えてしまいます。
その結果、気体として存在できなくなった過剰な水蒸気が、窓ガラスの冷たい表面で液体(水滴)へと状態変化を起こし、これが結露(曇り)となって窓を覆います。
車の曇り止めに有効な6つの方法

運転中に窓ガラスが曇り始めた際に慌てないよう、空調を操作するなど、窓ガラスの曇り止めに有効な具体的な対策方法を知っておきましょう。
1.デフロスターとエアコン(AC)を併用する
デフロスターをONにして温かい風の流れを調整すれば、窓ガラスの曇りは除去できる
フロントガラスが曇ってしまったら、空調パネル付近にある扇形の中に波打つ矢印が描かれたスイッチ(デフロスター)をONにしてください。デフロスターは、温風の流れをフロントガラス内側に向けて集中的に調整し、ガラス表面の温度を上げるとともに、湿気を取り除きます。
さらに、曇りを短時間で確実に解消するためには、エアコンのACスイッチも同時にONにすることが重要です。ACを作動させると、車内の空気が除湿(乾燥)されます。温風と除湿効果を組み合わせることで、ガラスの温度を上げつつ、結露の原因である車内の水蒸気量を減らすことができ、曇り止めに最も有効です。

2.外気導入モードに切り替える
エアコンをつけると室内の空気が循環して、温度のムラがなくなるので窓は曇りにくくなる
曇りが発生した場合、内気循環モードから外気導入モードに切り替えることも有効です。外の乾燥した空気を取り入れることで、結露の原因である車内の湿気を外部に排出しやすくなります。
特に湿度が低い冬場などは、外気を取り入れることで、ガラスの温度差を縮め、車内の水蒸気量を減らす両方の効果が得られ、短時間で曇りを解消できます。

3.窓を開けて内外の温度差を縮める
サイドガラスを少し開けて、外の気温と車の中の気温差を縮めると窓は曇りにくくなる
エアコン操作がすぐに難しい場合や、曇りが軽度な場合は、車の窓を少し開けるだけでも効果があります。窓を開けると、外の環境(気温と湿度)を車内に取り入れることができ、外の気温と車内の気温差、および湿度の差が縮まるため、窓ガラスが曇りにくくなります。
雨の日や寒い冬でも、ドアバイザーが装着されていれば雨の侵入を防げますし、短時間であれば窓を開けて新鮮な空気を取り入れることが、視界確保に役立ちます。
4.リアガラスの曇りは熱線デフォッガーを使う

リアガラスが曇ると、バックミラー越しや駐車時の視界が悪化します。リアガラスの曇り止めには、熱線デフォッガー(リアデフォッガー)が有効です。
リアガラスに埋め込まれている薄い電熱線を作動させるには、空調パネル付近にある、長方形の枠の中に波打った矢印が描かれたスイッチ(「REAR」などと表記されていることもあります)をONにします。
熱線デフォッガーは、熱を発生させてリアガラスに付着した水滴を蒸発させ、曇りを解消します。電力を多く消費するため、曇りが取れたらすぐにスイッチをOFFにするようにしましょう。
5.車内の窓ガラスを定期的に磨く
マイクロファイバークロスで窓ガラスの内側を定期的に磨けば曇りにくくなる
車内の窓ガラスを定期的に清掃し、キレイに磨くことは、曇り止め対策として非常に効果的です。車の内側の窓には、想像以上に汚れが付着しています。
特に喫煙者の場合はタバコのヤニが、非喫煙者の方でも手垢や内装材から発生する揮発成分(ケミカルガス)などが付着します。これらの汚れは、車内に存在する水蒸気(水の粒子)と結びつきやすいため、汚れがたまっていると、その部分を核にして窓ガラスが曇りやすくなります。
車内の窓ガラスを清掃する際には、専用のガラスクリーナーやマイクロファイバークロス、または後述する曇り止めスプレーなどを活用すると、より効果的に汚れを除去できます。
6.シリカゲルなどの乾燥剤を利用する
車内の水蒸気量を物理的に減らす方法として、乾燥剤を活用することも有効です。例えば、乾燥剤の一種であるシリカゲルが配合されている猫砂は、車内の水分を強力に吸い取る性質があり、曇り止めに役立つ裏ワザとして知られています。
猫砂を靴下や通気性の良い袋の中に入れ、車内の目立たない場所に置いておくと、車内の湿度を下げ、曇りの発生を予防できます。
車の窓ガラスの曇り止め対策に使えるおすすめ便利グッズ5選
ここでは、事前に窓ガラスの内側に施工しておくことで、曇りを未然に防げるシート・ジェル・スプレー状のおすすめ商品をご紹介します。
クリーニング効果と高い曇り止め予防効果を併せ持つジェル状アイテム
SOFT99 窓フクピカジェル くもり止め
「窓フクピカジェル くもり止め」は窓ガラスに照射しても液ダレしにくいジェル状タイプなので効果が持続する
| メーカー | ソフト99 |
|---|---|
| 内容量 | 80ml |
| 価格(値段) | 773円~(2025年調べ) |
2019年3月に発売された「窓フクピカジェル くもり止め」は、寒くなる冬の時期や湿気の多い時期にフロントガラスなどに塗布しておくことで、高い曇り止め予防効果を発揮する人気商品です。
紫外線などをカットする特殊加工を施した窓にも対応し、さらに、曇りの原因となるガラス内側に付着したタバコのヤニなどの汚れをクリーニングする効果も備わっています。液ダレしにくいジェル状で、効果が持続しやすいのが特徴です。
ウェットティッシュ感覚で手軽に使えるシートタイプの曇り止め
SOFT99 窓フクピカ くもり止め強化タイプ
「窓フクピカ くもり止め」には手のひらサイズで使いやすいシートが10枚入っている
| メーカー | ソフト99 |
|---|---|
| 内容量 | 10枚入り |
| 価格(値段) | 317円~(2025年調べ) |
SOFT99(ソフト99)の「窓フクピカ くもり止め強化タイプ」は、ウェットティッシュ感覚で手軽に使えるシート状の曇り止めです。シートを1枚取り出して車の窓の内側を拭き上げるだけで、窓ガラスの曇り予防ができ、手アカなどの軽い汚れも同時に除去できます。ベタつきが少なく、窓の清掃と曇り止め予防を同時に行いたい場合に便利です。
内窓の曇り止めに加え、外窓の油膜除去にも使えるマルチタイプ
イチネン ケミカルズ クリンビュー EX
「クリンビュー EX」は利用後の白残の原因となるコンパウンドやアルコールなどを配合していないので安心して使える
| メーカー | イチネン ケミカルズ |
|---|---|
| 内容量 | 170ml |
| 価格(値段) | 584円~(2025年調べ) |
「クリンビュー EX」は、内窓の曇りを未然に防ぐ予防効果だけでなく、汚れやすい外窓に対する油膜除去効果も備わっています。LPG(液化石油ガス)などを配合し、寒い時期にもパワフルな噴射力を維持します。一本で内窓・外窓の両方のクリアな視界確保をサポートできるのが特徴です。
曇り止めコーティング被膜が長持ちするスプレータイプの商品
WILLSON ガラスのくもり止め
「ガラスのくもり止め」を利用すれば短時間で窓ガラスの曇り止め対策が行える
| メーカー | ウィルソン |
|---|---|
| 内容量 | 180ml |
| 価格(値段) | 808円~(2025年調べ) |
ウィルソンの「ガラスのくもり止め」は、事前にスプレーを噴射しておくことで、エアコンを作動させない状況下でも窓ガラスの曇りを抑制すると評判の商品です。曇り止め被膜を形成する成分に加え、乱反射防止剤も配合されているため、適量を噴射し拭き上げることで、視界のテカリを抑え、運転しやすいクリアな視界を維持できます。
界面活性剤をブレンドし、コストパフォーマンスに優れた曇り止めクロス
Prestige くもり止めクロス
「くもり止めクロス」の商品シートは大判サイズなのでミニバンなどが採用するワイドな窓の曇りも効果的に取り除ける
| メーカー | プレステージ |
|---|---|
| 内容量 | 10枚入り |
| 価格(値段) | 324円~(2025年調べ) |
「くもり止めクロス」は、曇り止めに有効な界面活性剤をシートに染み込ませた商品です。大判サイズで使いやすく、窓ガラス内側の曇りを効果的に取り除きます。拭き跡が残りにくいとユーザーから評価されており、ドライブ前に窓ガラスを拭いておけば、曇りを未然に防ぐことが可能です。
曇り止めの原理を知っていれば、運転中の急な曇りにも落ち着いて対応できます
結露が発生しやすいのは、空気中に水蒸気(湿気)を含みやすい雨の日や、車内と外気の温度差が大きくなりやすい真夏や真冬、そして湿度の高い梅雨時です。これらの季節を迎える前に、車の曇り止め対策を行う必要性が高まります。
運転中に予期せず窓ガラスが曇り出すと焦ってしまいがちですが、今回ご紹介した曇り止めの原因と原理、そして対処方法を知っていれば安心です。急な曇りに対しても、落ち着いて空調やデフロスターを操作し、すぐに視界をクリアにすることができます。
参考文献





























