パッシングの意味や方法

パッシングの意味や使い方!人により考えが違うことに注意

パッシングは、ウィンカーやライトのスイッチを運転手側に倒すことで使うことができる。道を譲っている場合、無灯火だと教えている場合、ハイビームだと教えている場合など、様々な意味を持つので確認しておくと便利。

パッシングの意味や使い方!人により考えが違うことに注意

使い方によりトラブルに?ヘッドライトの「パッシング」が持つ本当の意味と適切な使い方

一瞬だけヘッドライトがハイビームになり、すぐにロービームまたは消灯状態に戻る操作を「パッシング」と呼びます。このパッシングは、ドライバー間でさまざまな意味や使い方で利用されています。しかし、人によってその使い方や、メッセージの受け取り方が異なるため、パッシング行為が思わぬトラブルを引き起こす可能性もあります。

この記事では、「パッシング 意味」「パッシング 使い方」「パッシング トラブル」といった、ドライバーが日常的に疑問に思う点に焦点を当てて解説します。安全にパッシングを使いこなすための正しい操作方法、関連する道路交通法、パッシングの多様な意味、そして同様の意味を持つライトカットなど、ドライバー間のコミュニケーションとしてのパッシングを適切に使うための知識をまとめました。

トラブルにならないための正しいパッシングの操作方法

パッシングの操作方法は、一般的にヘッドライトやウィンカーの操作に使うターンシグナルスイッチで行います。国産車の場合、通常は運転席の右側にあるレバーを内側(運転者側)に倒すとハイビームが点灯し、レバーから手を離すと消灯(ヘッドライトをつけている時はロービーム)に戻ります。輸入車の場合は、レバーが左側に配置されていることが多いので、ご自身の車両の説明書で確認してください。

レバーを倒している間はハイビームが点灯し続けている状態なので、パッシングとして一瞬だけ光らせたい時は、レバーを倒してすぐに離すことで操作します。この操作を、ヘッドライトが点灯していない状態でも行うことができます。パッシングは、対向車や後続車に注意を喚起する、あるいは意思を伝えるための重要なコミュニケーション手段です。

バルブ類は、特に消灯状態から点灯状態になる瞬間に最も電気的な負荷がかかり、電気を消耗します。そのため、パッシングを頻繁に多用していると、通常のハイビームやロービームの使用時と比べて、ヘッドライトのバルブ(電球)の寿命が短くなる可能性があるため注意が必要です。特にLEDライトではないハロゲンやHIDのバルブを使っている場合は、無意味なパッシングは控えましょう。

パッシングに関する法令違反と罰則を確認

パッシングを取り締まる警察車両

パッシングという行為自体が直接的に禁止されているわけではありませんが、その使い方によっては道路交通法違反となり、処分される可能性があります。特に問題となるのが、他の車両に迷惑や危険を及ぼすような方法での使用です。以下の道路交通法に違反する可能性があります。

道路交通法 第4章 第1節 第70条(安全運転の義務)(注1)

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。 (罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項)

例えば、パッシングを連続して行いながら、前方の車との車間距離をむやみに詰めて、威圧的な「煽り運転」をしている時などに、この安全運転義務違反として取り締まられ、処分される可能性があります。この場合の違反点数は2点、反則金は普通車・軽自動車の場合9,000円です。パッシングは、あくまで安全で友好的なコミュニケーション手段として使うように心がけましょう。「パッシング 法律」は、安全運転義務違反に問われる可能性があることを示しています。

対向車や後続車からのパッシングが持つ多様な意味

パッシングは日常的に多用する操作ではありませんが、対向車や後続車からパッシングを受ける場面は多くあります。これらのパッシングがそれぞれどのような意味を持っているのかを理解しておくことは、円滑な交通と事故防止のために非常に重要です。

対向車からのパッシングは「道を譲っている」という意思表示

道を譲る自動車

交差点や狭い道などで、対向車または交差する車線の車両からパッシングを受けた場合、最も一般的な意味は「お先にどうぞ」「道を譲ります」という友好的な意思表示です。これは特に日本国内で広く浸透している使い方です。しかし、まれに「自分が先に行くから、動かないでほしい」という、進行の意思を主張するために使う人もいるため、パッシングを受けたからといって急いで進行しようとせず、必ず周りの状況をよく確認しながら安全に進行してください。

また、交差点で道を譲られた時に特に注意したいのが「右直事故」、通称「サンキュー事故」です。道を譲ってくれた車の陰から、その車の背後をすり抜けるようにして直進してくるバイクや小型車と、道を譲られた右折車が衝突する事故が頻繁に発生します。道を譲られた交差点で右折する際は、譲ってくれた車の陰に隠れているかもしれない対向直進車がいないか、十分に気をつけてください。

対向車からのパッシングはこの先に「危険がある」ことを知らせてくれている

危険を示す車両

信号が少なく、比較的スピードを出しやすい峠道や郊外の幹線道路で、対向車からパッシングを受けた時は、「この先で事故が発生していたから気をつけてほしい」など、自分が向かう進行方向の先に危険や異常があることを教えてくれている場合があります。また、大半の場合は、「この先でスピード違反の取り締まり(ネズミ捕り)を行っています」という警告の意味であることも多いです。「パッシング 危険」や「パッシング 警察」といった文脈で使われます。

スピードが出ている時に、対向車からパッシングを受けたら、この先に何らかの異常や危険がある可能性を考慮して、すぐに少しスピードを緩めながら走行しましょう。これにより、急な事故現場へ追突するなどの二次災害を防ぐことができ、取り締まりによる違反のリスクも回避できます。

後続車や対向車からのパッシングは自車が「無灯火運転をしている」ことを知らせている

無灯火で先頭を走る車

夜間走行中や、暗いトンネル内を走行中に後続車や対向車からパッシングを受けた場合は、「ヘッドライトやテールランプが点いていないよ」と、ドライバーに無灯火運転を教えてくれている場合があります。「パッシング ライト」は、ライトの点け忘れを指摘する際に使われます。

夜間やトンネル内にて無灯火で走っていると、自分からは周りの状況が見えにくいだけでなく、他の車からも自車が発見されにくくなるため、重大な事故を誘発する可能性が非常に高いです。また、夜間に無灯火で走行することは道路交通法違反となりますので、すぐにヘッドライトを点灯させましょう。

道路交通法第52条(車両等の灯火)(注2)

車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。

この法律により、前照灯(ロービーム)、車幅灯(ポジションランプ)、尾灯(テールランプ)を点灯しなければならないと明確に決められています。したがって、ヘッドライトを消してフォグランプだけで走行するのも違反となります。この違反の場合、反則金は普通車・軽自動車で6,000円、違反点数は1点が科されます。

特に自発光式メーター(オプティトロンメーターなど)を装備している車は、周囲が暗くてもメーターパネル自体は光っているため、ヘッドライトを点灯しているとドライバーが錯覚しやすい傾向があるため、夜間の発進時は細心の注意が必要です。

対向車からのパッシングは「ハイビームが眩しい」という知らせ

ハイビームで走る車

車両は、本来は遠くまで見渡せるハイビーム(走行用前照灯)で走行することが推奨されていますが、道路交通法上、対向車や歩行者がいる時はロービーム(すれ違い用前照灯)に切り替えなければならないと定められています。ハイビームは100メートル先まで見渡せるようにライトが上向きになっているため、対向車にとっては非常に眩しく、一瞬前が見えなくなるなど、大変危険な状態を引き起こします。

対向車へハイビームになっていることで眩しいことを知らせ、ロービームへの切り替えを促すためにパッシングをして教える場合があります。夜間走行時に、対向車からパッシングを受けることが多い時は、ご自身のヘッドライトがハイビームに切り替わっていないか、すぐに確認するようにしてください。「パッシング 眩しい」は、この状況でよく使われる言葉です。

後続車からのパッシングは「道を譲って欲しい」という意思表示

先頭車両に向けてパッシングする後続車

高速道路では、道路交通法第75条の4により最低速度50km/h以上を出さなければ違反となります。最低速度違反の反則金は普通車・軽自動車で6,000円、違反点数は1点です。安全運転の観点からも、必要以上に遅い速度で走行することは避けるべきです。

道路交通法第75条の4(最低速度)(注3)

自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。

また、最低速度をあらわす標識は、数字の下にアンダーバーが引いてある標識であり、制限速度標識と見間違えやすいので気をつけてください。

最低速度を示す道路標識最低速度標識

高速道路では、多くの車が80km/hから100km/h付近で走行しているため、時速50kmを出していても違反にはなりませんが、後続車から「周りの車の速度に合わせて走行してほしい」「追い越したいので道を譲ってほしい」という気持ちを込めてパッシングを受ける可能性があります。「パッシング 道を譲る」は、この状況でよく使われます。

一般道でも同じく、極端に遅い速度で走行していると、同様に後続車から距離を詰められたりパッシングを受けたりすることがあります。これはお互いにとってストレスの多い状況ですので、道を譲れるタイミングが来たら安全に追い越させてあげることで、余計なトラブルを招かずに済み、円滑な交通に貢献します。

交差点でのパッシングは歩行者の存在を対向車に気づかせるために行われている

横断歩道に歩行者がいるのに、対向車からはその存在が見えにくい状況下である場合や、対向車が不注意によって歩行者の存在に気付かずに交差点に進入しようとしているのを見つけた場合には、事故を未然に回避させるという意味で、注意喚起のパッシングが行われることがあります。この場合のパッシングは、安全を守るための非常に重要な行為です。

交差点に進入するタイミングで対向車からパッシングを行われた際には、その重要なメッセージを受け取ったと理解し、横断歩道にいる歩行者の存在や、その他の危険がないかを最優先できちんと確認しましょう。この確認が、事故を回避するための最後のチャンスになることがあります。

パッシングの「お先にどうぞ」をライトカットで意思表示する場合もある

ライトで対向車に合図をおくる車

信号のない4方向とも一時停止の交差点などで、他の車と停止タイミングが重なり、お互いが「お先にどうぞ」と譲り合ってしまって双方動きにくい状況になることがあります。このような時に、パッシングではなく、一瞬ヘッドライトを消して再び点灯させる「ライトカット」で「お先にどうぞ」の合図をする人もいます。特に夜間はパッシングよりもライトカットで意思表示をするドライバーが多いので、この合図も覚えておきましょう。

ライトカットで譲られた時も、相手は道を譲ってくれていますが、「譲られているから早く行かなきゃ!」と焦る必要は一切ありません。必ず周りの状況(特に右直事故の可能性など)をよく見て、安全にゆっくりと交差点などに進入するようにしてください。

パッシングされたら落ち着いて意味を判断し対処する

パッシング

ヘッドライトが一瞬ハイビームになってすぐにロービームや消灯するパッシングは、「相手が道を譲っている」「無灯火だと教えている」「この先に危険があることを知らせている」「ハイビームになっていて眩しい」など、多様な意味を持つことがあります。この多様性が、パッシングをめぐるトラブルの原因にもなります。

対向車や後続車からパッシングを受けたら、まずは落ち着いてご自身の車の状況(ライトの点灯状態や速度など)を確認し、次に周りの交通状況や道路状況をよく見て、パッシングが持つメッセージを判断するようにしてください。特に交差点を進入する際や、高速道路で道を譲る際は、安全を最優先に行動しましょう。「パッシング 意味 対処法」を理解することで、より安全で円滑な運転が可能になります。