コンパウンドの使い方を習得し車の浅い傷をDIYで修復する方法
どんなに注意していても、車には飛び石や接触などで傷がついてしまうものです。傷を放置すると塗装の保護機能が損なわれ、サビ(錆)の原因になることがあります。
傷が塗装の最表面にあるクリア層に留まる浅いものであれば、コンパウンド(研磨剤)を使って自分で目立たなくすることが可能です。この記事では、コンパウンドの基本知識・対応できる傷の見極め方・使用前の注意点・具体的な手順・種類の選び方まで、一連の流れを解説します。
コンパウンドとは:塗装面を磨き平滑化する研磨剤

コンパウンドとは、車体の塗装面を磨いて傷を目立たなくするための研磨剤です。非常に細かい研磨成分(粒子)と油脂性などの化学物質で構成されています。
車の塗装は一般的に、下地の上にカラーベース層があり、その上を透明なクリア層(トップコート)が保護する構造になっています。コンパウンドは、このクリア層の表面を削って傷のフチを滑らかにし、光の乱反射を防ぐことで傷を目立たなくする原理を利用しています。
研磨粒子の粗さは用途によって異なり、粒子が粗いほど研磨力が強くなります。目的に合った粗さのコンパウンドを選ぶことが仕上がりの鍵です。
コンパウンドで対処できる傷とできない傷
コンパウンドは傷を目立たなくするものであり、傷そのものを完全に消すことはできません。使用前に傷の深さを確認し、コンパウンドで対処できるかどうかを判断しましょう。
コンパウンドが有効なケースは以下の通りです。
- 塗装の最表面(クリア層)のみが削られた浅い傷
- 擦った際に相手側の塗料や樹脂が薄く付着した擦り傷
- 洗車傷やコーティング剤のムラなど、微細な傷
一方、指の爪が引っかかるほど深い傷や、カラーベース層を越えて金属面が露出している傷はコンパウンドでは対処できません。これらにはタッチアップペンやパテを使った補修が必要です。傷に指の爪を当てて引っかかりがある場合は、コンパウンドの使用を見送ってください。
コンパウンドを使う前に確認したい5つの注意点
コンパウンドには使用するに際してのいくつかの注意事項がある
1.塗装が薄くなることを理解しておく
コンパウンドは研磨剤であるため、使用するたびに傷の周囲の塗装を削ります。研磨した分だけ塗装は薄くなるため、同じ箇所に何度も使うことは避けましょう。特に古い車や再塗装された箇所は過度な研磨に注意が必要です。
2.作業は日陰か屋内で行う
炎天下での作業はボディの熱に摩擦熱が加わり、コンパウンドが乾燥しやすくなって必要以上に塗装を削るリスクがあります。必ず日陰か屋内で、ボディが熱を持っていない状態で行ってください。
3.コンパウンドは塗装面のみに使用する
コンパウンドは塗装されている金属部分への使用が適切です。ゴム製品や未塗装の樹脂素材(バンパー下部など)に付着すると変色や除去困難になる恐れがあります。作業前にマスキングテープで周辺を保護しましょう。
4.作業前に洗車して車をきれいにする
ボディに残った砂や鉄粉がコンパウンドと混ざると、かえって新たな傷をつけてしまいます。必ず事前に洗車を行い、汚れを除去した状態で作業を始めてください。
5.粒子の細かいものから順番に試す
いきなり粗い粒子のコンパウンドを使うと、磨き傷が残ります。最も粒子の細かいタイプから試し、効果が不十分な場合だけ段階的に粗いものへ切り替えるのが基本です。
コンパウンドの使い方の手順〜車の傷を目立たなくするための方法
コンパウンドに組み合わせるスポンジに文字を彫っておくと便利
1.マスキングテープで作業範囲の周りを養生する
作業範囲の周辺を傷つけてしまわぬようにマスキングテープで養生する
ドアの隙間・未塗装の樹脂パーツ・ゴムパーツなどの周辺をマスキングテープで養生し、コンパウンドの付着を防ぎます。広範囲を作業する場合はビニールシートも併用してタイヤなどを保護しましょう。
2.スポンジに水を含ませて絞る
作業時に発生する摩擦熱を抑えるためスポンジに水を含ませる
乾いたスポンジで作業すると摩擦熱が多く発生し、塗装を削り過ぎたりコンパウンドが乾いてしまったりします。スポンジに水を含ませて軽く絞り、湿らせた状態で使用することで摩擦熱を抑えコンパウンドの伸びが良くなります。
3.コンパウンドをスポンジに少量つける
用意したスポンジにコンパウンドを数滴付ける
まず最も粒子の細かい仕上げ用コンパウンドを、湿らせたスポンジに少量つけます。一度に大量につけず少しずつ使うのがコツです。コンパウンドの種類ごとに必ず別のスポンジを使い分け、粗い粒子の混入を防ぎましょう。
4.傷周辺にコンパウンドを均等に塗り拡げる
傷周辺にスポンジを軽く押しあててコンパウンドを均等に塗り拡げていく
スポンジを傷周辺に軽く押しあて、力を入れずに数回動かしてコンパウンドを均等に薄く塗り拡げます。均一に塗布することで研磨ムラを防ぎ、仕上がりがきれいになります。
5.縦または横方向に直線的に磨く
縦方向や横方向に直線的にスポンジを動かしていくのが磨き方のコツです
磨くときは、縦方向または横方向へ直線的にスポンジを動かすのが基本です。円を描くように磨くとサークル状の擦り傷(オーロラマーク)が残りやすくなります。力を入れすぎず、コンパウンドの滑りを活かして丁寧に磨きましょう。
6.コンパウンドを拭き取りながら傷の状態を確認する
クロスを使って傷の状態を確認しながら表面に付着しているコンパウンドを拭き取ります
乾いたマイクロファイバークロスでコンパウンドを拭き取り、傷の状態を確認します。拭き残しは新たな汚れやムラの原因になるため念入りに拭きましょう。クロスも直線的に動かすのがコツです。傷が残っている場合は、ワンランク粒子の粗いコンパウンドに切り替えて同じ手順で磨きます。
7.仕上げ磨きでツヤを出す
最終仕上げは粒子サイズが最も小さな研磨剤が配合されたコンパウンドを使います
粗いコンパウンドで磨き傷がついた場合は、最後に最も粒子の細かい仕上げ用コンパウンドで磨き、塗装面に深みのあるツヤを出します。この最終仕上げが完了したら、マスキングテープを剥がしてください。
最終仕上げはマスキングテープを剥がして行います
コンパウンドの種類と特性:油溶性と水溶性の違い
コーティング剤が配合され・全塗装色に対応する商品も販売されている
コンパウンドは配合成分によって「油溶性」と「水溶性」に分けられます。それぞれの特性を理解し、目的と経験に応じて選びましょう。
油溶性コンパウンド:初心者向けだが効果持続に注意
油溶性コンパウンドは石油系成分やワックスなどの艶出し成分を多く含んでいます。油分が多いため作業中の滑りが良く、初心者でも扱いやすいタイプです。

油分が傷の内部に入り込んで一時的に傷を埋める効果があり、作業直後は傷が目立たなくなります。ただし、時間が経って油分が抜けると再び傷が目立つ場合があります。作業中に脱脂剤で一時的に油分を除去し、研磨で本当に傷が消えているか確認しながら進めると仕上がりの精度が上がります。
油溶性コンパウンドを使うメリット
- 作業に慣れていない人でも使いやすい
- 作業中の摩擦が少なく、慎重に作業を進められる
油溶性コンパウンドを使うデメリット
- 油分が抜けると効果が消える場合がある
- 油分で周囲を汚したり衣服に付着する恐れがある
水溶性コンパウンド:研磨効率が高くプロも使用するタイプ
水溶性コンパウンドは油分を最低限に抑えたタイプで、水で希釈して使用できます。油分が少ないため研磨カスが飛び散りやすいですが、研磨する力を効率的に塗装面へ伝えられるため作業時間を短縮できます。プロの施工現場でも広く使われているタイプです。
水溶性コンパウンドを使うメリット
- 研磨力を効率よく伝えられる
- 溶液が飛び散っても後処理が比較的簡単
水溶性コンパウンドを使うデメリット
- 天候によっては乾燥しやすい
- 研磨カスが発生しやすい
コンパウンドに含まれる研磨粒子の大きさと用途
研磨粒子のサイズは「番手」や「μm(マイクロメートル)」で表され、サイズが大きいほど研磨力が強くなります。複数の粗さを段階的に使うのが基本です。
| 粒子のサイズ(分類) | 研磨力と使用目的 |
|---|---|
| 粗目(#1000〜#1500相当) | 深い洗車傷や塗装面の足付けに使用。研磨力が非常に強い。 |
| 細目(#1500〜#3000相当) | 中間研磨剤として使用。粗目でついた傷を消す。 |
| 極細目(#3000〜#9800相当) | 最終仕上げ前の微調整に使用。濃色車ではここから使う場合もある。 |
| 超微粒子(#10000以上) | 仕上げ磨きに使用。艶出し・オーロラマークの除去に使う。 |
愛車についた傷は自分で綺麗にしましょう
コンパウンドを使った傷消しは、正しい手順と注意点を守れば初心者でも取り組める作業です。最も大切なのは「粒子の細かいものから試す」「力を入れすぎない」「直線的に磨く」の3点です。
コンパウンドを使った研磨作業の基本手順
- 作業範囲の周りをマスキングテープで養生する
- スポンジを湿らせてコンパウンドを少量つける
- 傷周辺にコンパウンドを均等に塗り拡げる
- 縦または横方向に直線的に磨く
- コンパウンドを拭き取りながら傷の状態を確認する
- 最も粒子が細かいコンパウンドで仕上げ磨きをする
傷を見つけたときは放置せず、今回紹介した手順を参考に自分の手で対処してみましょう。ただし、爪が引っかかるほど深い傷や金属面が露出している傷はコンパウンドでは対処できないため、カーショップや板金業者への相談をおすすめします。





























