縦列駐車の「苦手意識」を克服!都会の街中で役立つ手順と運転のコツ
地方にお住まいの方にとって縦列駐車は、運転免許を取得する際の技能教習で必死に練習したものの、それ以降は滅多に実践の場で試す機会がないかもしれません。しかし、都市部で運転される方にとって、縦列駐車は日常的に求められるスキルです。例えば、上司を駅や空港に送迎する際や、ビジネスでの訪問先周辺で一時的に停車する際など、スムーズに行える方が断然便利です。
また、プライベートでも、助手席にいる方が立ち寄りたいお店が道路沿いにある場合などに、落ち着いて車を停められると、同乗者を待たせずに済みます。
今回は、縦列駐車に苦手意識を感じている方に向けて、停める前に確認したい道路のルールから、失敗しにくい5つの手順、そしてうまくいかなかったときの立て直し方までを順に紹介します。
縦列駐車のコツは一つ一つの動作を確実に行うこと

縦列駐車に慣れていない方は、「いったい何から手をつけたらいいのかわからない」という状況に陥りがちです。まず、後方や周囲の状況を確認して安全を確保しましょう。その後、一つ一つの動作を焦らず、冷静にこなしていくことが成功の鍵となります。
ハンドル操作は車を停止した状態で行います
苦手意識のある動作を上達させるためには、複数のことを同時に行うのではなく、個別に分けて一つ一つの動作を着実にこなしていく方が、結果的に上達が早まります。縦列駐車が得意ではない方や、久しぶりに行う方は、ハンドル操作とシフト操作、アクセルペダルを踏む動作を同時には行わないことをお勧めします。
具体的には、車を止める、ハンドルを回し切る、ブレーキを緩めて動かす、という3つを完全に分離します。据え切り(車が停止した状態でハンドルを回す操作)は、タイヤや電動パワーステアリングに負担をかけますが、縦列駐車のように数回だけ行う場面であれば、確実さを優先する価値があります。
うまくいかない人の多くは、動かしながら回すことで車の向きが読めなくなっています。止めてから回すだけで、次に車がどちらへ向かうかがはっきりします。
周囲の道路状況に注意しながら、リラックスした状態で行います
交通量が多い場所で縦列駐車をしなければならない時もあります。その際、後ろから接近してくる車にせかされて、自分のペースを乱し、冷静さを欠いた状況で縦列駐車をしてしまうと、接触事故につながる危険性が高まります。
後ろから接近してくる車のことばかりを意識するのではなく、自分の車の前後、特に車を停めようとしているスペースの前後に止まっている車との接触を避けることに意識を集中します。深呼吸をしてリラックスした状態で、自分の決めた手順を確実に行っていきましょう。
後続車には、ハザードランプを点灯させて駐車の意思を伝えます。これだけで、後ろの車は追い越すか待つかを判断でき、無言の圧力を感じる場面が減ります。それでも流れが途切れないときは、一度通過して、落ち着いて入れる時間帯に戻るという判断も選択肢です。
車に搭載されている運転サポートシステムを利用します

縦列駐車の運転技術は、バック駐車に比べて経験する機会が少なく、初心者にとっては最難関とも言われています。そのため、経験不足から苦手とするドライバーは少なくありません。しかし、街中で運転していると、縦列駐車の機会は必ずといっていいほど訪れます。その際、停車している車や縁石に自分の車をこすってしまうドライバーは後を絶ちません。
そういった状況を改善するため、各自動車メーカーは、ハンドル操作や車庫入れ操作をアシストする運転サポートシステムを搭載した車を多数ラインナップしています。トヨタの高度駐車支援システム「アドバンスト パーク」(旧インテリジェントパーキングアシスト)は、ハンドル操作だけでなくアクセルとブレーキまで制御します。日産の「プロパイロット パーキング」は、ハンドル、アクセル、ブレーキ、シフト、パーキングブレーキまでの一連の動作を自動化します。ダイハツの「スマートパノラマパーキングアシスト」のように、ハンドル操作を担当し、前進と後退はドライバーが行う方式もあります。
注意したいのは、同じ名称のシステムでも、車種やグレードによって対応する駐車方法が異なる点です。並列駐車のみに対応するものと、縦列駐車まで対応するものがあります。自分の車が何に対応しているかは、取扱説明書で確認してから使い始めてください。
また、システムが作動している間も、周囲の安全確認はドライバーの責任です。歩行者や自転車が近づいたときに自分でブレーキを踏めるよう、ペダルの上に足を置いたまま見守る姿勢が必要になります。
同乗者がいれば縦列駐車をサポートしてもらいます
縦列駐車が苦手な方は、車に乗っているのが自分一人でなければ、同乗者にサポートしてもらいましょう。カッコ悪い姿を見せたくないからとためらう気持ちが強いかもしれません。しかし、自分一人で何とかしようとして、周囲の車や物に接触事故を起こした方が、はるかに後味の悪い結果になります。
バックする際に、後ろから接近している車がいないかの状況確認や、縁石や街路樹と自分の車がぶつからないかの確認を同乗者にサポートしてもらうだけで、精神的な負担が格段に軽減されます。
車外から誘導してもらう場合は、立つ位置を決めておくことが大切です。車の真後ろに立つと、ドライバーからは死角に入ってしまいます。車体の斜め後方、ドライバーからミラー越しに見える位置に立ってもらい、「あと1メートル」のように残りの距離を数字で伝えてもらうと、感覚のずれが起きにくくなります。
縦列駐車の動画を観てイメージトレーニングを行います
駐車操作の上手い下手は、車体の四隅が今どこにあるかを頭の中で描けるかどうかに左右されます。スポーツの分野において、イメージトレーニングが高い学習効果を持つことが指摘されていますが、これは運転テクニックにも当てはまります。
動画を観るときは、車の動きだけでなく、ドライバーがどのタイミングで車を止めているかに注目してください。慣れた人ほど、ハンドルを回す前に一度きちんと停止しています。この間の取り方こそが、真似すべき部分です。
実車で練習するなら、空いている時間帯の広い駐車場が適しています。空いている区画を2つ使い、間の1区画に縦列で入れる練習をすると、白線が目印になるため上達が早まります。
停める前に確認したい駐停車のルール
縦列駐車は路上駐車そのものです。操作が完璧でも、停めてはいけない場所に停めれば違反になります。技術の前に、道路のルールを押さえておきましょう。
停めてはいけない場所を距離で覚える
道路交通法では、駐車も停車も禁止される場所と、駐車だけが禁止される場所が定められています。距離で整理すると覚えやすくなります。
駐車も停車もできない場所(道路交通法第44条)
- 交差点、道路の曲がり角、横断歩道、自転車横断帯とその端から5m以内
- 踏切とその前後10m以内
- バス停の標示柱から10m以内(運行時間中)
- 安全地帯の左側と、その前後10m以内
- 坂の頂上付近、勾配の急な坂、トンネル内、軌道敷内
駐車ができない場所(道路交通法第45条)
- 駐車場や車庫、修理工場などの出入口から3m以内
- 道路工事の区域の端から5m以内
- 消防用機械器具置場、消火栓、指定消防水利の標識から5m以内
- 火災報知機から1m以内
- 駐車したときに、車の右側に3.5m以上の余地ができない場所
縦列駐車で見落としやすいのが、最後の項目です。片側1車線の狭い道では、車を停めると対向車が通れる幅が残らないことがあります。また、消火栓は赤い標識で示されますが、歩道の縁に埋設されたマンホール型のものは見落としがちです。停める位置を決める前に、周囲を一度見渡す習慣をつけてください。
白線の種類で駐車の仕方が変わります
道路の左端にある白線は、どれも同じではありません。線の種類によって、その内側に入って停めてよいかどうかが変わります。
路側帯の種類と駐車方法
- 白の実線1本で、幅0.75m以下:路側帯に入らず、車道の左端に沿って停める
- 白の実線1本で、幅0.75m超:路側帯に入り、左端に0.75m以上の余地を空けて停める
- 白の実線2本(歩行者用路側帯):路側帯に入らず、車道の左端に沿って停める
- 実線と破線の組み合わせ(駐停車禁止路側帯):路側帯に入らず、車道の左端に沿って停める
歩行者が通る幅を残すという考え方が共通しています。線を目の前にすると判断に迷いますが、線が2本あるときと破線が混ざっているときは中に入らない、と覚えておけば大きく外しません。
いよいよ縦列駐車!手順をしっかり確認して確実に車を操作

縦列駐車をするときの具体的な手順を紹介します。前後の車と距離が近くなるため、接触しないよう慎重に車を操作することも大切ですが、同時に思い切りよく適切なタイミングでハンドルを切らなければ、いつまでも車線と平行にならず、縦列駐車を完了できない状況になることもあります。
1.前方の車と1m程度横の間隔をあけて車を平行に停止させます
縦列駐車ができそうなスペースを見つけたら、まず前方に止めてある車と横に並ぶ位置で自分の車を停車させます。停車している車との横幅は、車体の側面がおよそ1mくらいの間隔が適切です。距離が近すぎると、後でハンドルを切り込む際に前方の車に接触する危険性が増し、離れすぎると、車道側にはみ出しやすくなります。
前後の位置は、自分の車と前の車のBピラー(運転席と後席の間の柱)が並ぶあたりが目安です。車の大きさが違っても、この柱を基準にすると位置を合わせやすくなります。
前方に止めてある車と、後方に止めてある車との間のスペースが、自分の車の全長の1.5倍ほどあれば、余裕を持って駐車できます。全長4.5mの車なら、7mほどのスペースです。それより狭い場合は、無理に入れようとせず別の場所を探すほうが結果的に早く済みます。
2.左に縦列駐車する場合は左いっぱいにハンドルを切ります

日本の道路では、基本的に左側に縦列駐車をすることになります。その場合は、後部を道路の左端へ向けるため、左いっぱいの方向にハンドルを思いきり切ります。ここでハンドルを中途半端に切ってしまうと、後で切り返しが多くなり、駐車に時間がかかってしまうため、停車した状態でしっかり回し切ることがコツです。
回し切ったかどうかは、ハンドルが止まる感触で確認できます。途中で手を離さず、最後まで回してから足をブレーキに戻してください。
3.目印となる場所を確認しながら車体を斜めにバックさせます
ハンドルを切ったら、シフトレバーをR(リバース)に切り替えて、ブレーキをゆるめながら車をゆっくりバックさせます。バックする際には、車をスムーズなラインで寄せるための目印を決めておくと、操作が簡単になります。
目印として使いやすいのは、後方に止まっている車の右前の角です。右のサイドミラーにその車が完全に映り込んだ時点で、いったんストップします。この段階で、車体が道路に対しておよそ45度の角度になっていれば理想的です。
角度が浅すぎると後ろの車に寄りきれず、深すぎると前の車に近づきすぎます。鏡の中の見え方を毎回同じにすることが、再現性を上げるコツです。
4.タイヤが真っすぐになるようにハンドルを戻しながらバックします

車をいったん止めた後は、ハンドルをセンター(定位置)に戻し、タイヤが真っすぐになる状態にしてから、そのままゆっくりとバックしていきます。この操作で、斜めになった車体をスペースの奥へ送り込みます。
車をバックさせる際には、どうしてもリア部分の方に意識が向いてしまいますが、同時に気を付けるべきはフロントの方です。後退時は前輪が後輪よりも外側のラインを通るうえ、前輪より前に張り出したフロント部分(オーバーハング)が外側へ大きく振り出します。前に停まっている車に接触しないよう、左のミラーで自分の左前の角を確認しながら下がってください。
自分の車の左前の角が、前の車の右後ろの角を通過したところが、次の操作に移る合図です。
5.ハンドルを右いっぱいに切ってバックし、車体を平行に整えます
ここが縦列駐車の仕上げにあたる操作です。再び車を止め、今度はハンドルを右いっぱいに切ります。そのうえで、さらにゆっくりとバックします。
この操作により、斜めを向いていた車体の後部が左へ、前部が右へ動き、道路と平行な向きに戻ります。ハンドルを右に切ったまま前進してしまうと、車体は平行にならず斜めのまま前へ出てしまうため、必ずバックで行ってください。
バックしながら、ルームミラーとバックモニターで後ろの車との距離を確認します。平行になったと感じたところで停止し、ハンドルを真っすぐに戻します。
6.前進して前後の間隔を微調整します
最後に、ハンドルを真っすぐにしたまま少しだけ前進し、前の車と後ろの車との間隔を均等に整えます。前後それぞれ50cmから1mほど空いていれば、相手の車も自分の車も問題なく出入りできます。
縦列駐車はスペースが限られているため、あまり神経質になって縁石に寄せすぎると、タイヤやホイールをこすってしまう恐れがあります。縁石との間隔は、こぶし1つ分から2つ分を目安に、乗り降りや交通の妨げにならない範囲でほどほどに留めるのが賢明です。
うまくいかないときに見直したいポイント
手順どおりにやってもきれいに収まらないことはあります。そのときに確認したいのは、技術より先に準備の部分です。
ミラーの角度と目線の置き方
ドアミラーが上向きに調整されていると、縁石やタイヤの位置がまったく見えません。縦列駐車をする前に、左のドアミラーを少し下に向けると、後輪と縁石の間隔が映るようになります。ミラーの角度を変えられるスイッチがある車なら、駐車時だけ下げて、走り出す前に戻すという使い方ができます。
バックモニターは便利な装備ですが、画面だけを見ていると車体の横方向の位置がつかめません。画面と左右のミラー、そして直接の目視を順番に使い分けることが、接触を防ぐ基本になります。
切り返しは失敗ではありません
一度で収まらなかったときに慌てて角度をつけ直すと、かえって状況が悪くなります。角度が足りないと感じたら、前進してハンドルを切り直し、手順3からやり直してください。
切り返しの回数が多いこと自体は問題になりません。交通の流れを止めてしまうことを気にするより、周囲を確認しながら一つずつ操作を進めるほうが、結果として早く安全に終わります。
出庫のときこそ前の車に注意する
縦列駐車は、出るときのほうが接触しやすいという特徴があります。前へ出ようとしてハンドルを右に切ると、車体の左前が左へ張り出し、前の車の右後ろに接近するためです。
出庫するときは、まず後ろの車に当たらない範囲でできるだけ下がり、前方に余裕を作ってからハンドルを切り始めます。前の車の右後ろの角を左のミラーで見ながら、少しずつ前へ出るのが安全な手順です。
縦列駐車が得意になると、都会の街中での運転が楽しくなる

交通網が発達している都会では、電車に乗る方が車で移動するよりも便利なことも多くあります。また、都会で車を運転すると、駐車スペースが限られている上に、駐車料金が高いといった不便さも感じるかもしれません。
けれども、都会の街中を車で運転していると、電車に乗っている時には見えない景色や、その土地ならではの雰囲気を、より臨場感を持って楽しむことができます。
縦列駐車でつまずく原因の多くは、技術そのものではなく、動かしながら考えてしまうことにあります。止める、回す、動かすを分けて行い、仕上げの場面では必ずバックでハンドルを右に切る。この2点を押さえるだけで、収まり方がはっきり変わります。そのうえで、停めてよい場所かどうかを先に確かめる習慣があれば、都会での運転はずいぶん気楽なものになります。




























