カローラ歴代モデルまとめ!世界で1番売れた車になるまでに辿った軌跡
カローラといえば、世界的な知名度を誇る国産車であることはご存じの通り。2017年、世界でもっとも売れた車は実はカローラでした。年間製造台数116万495台、今までの世界累計販売台数は4600万台に上り、10秒に1台カローラがユーザーの手に渡っていることになります。
自家用車でなくても、カローラに乗った機会のある方も多いはず。歴代カローラを振り返ると、過去の記憶がよみがえったり、カローラアクシオがどのような経緯・歴史を経て誕生したか分かります。大衆車であるがゆえに、好景気・不景気によってPRポイントが変わるのもカローラの面白いところです!
歴代カローラを画像付き解説!人気で評価の高いモデルは?
カローラ(carolla)は、英語で「花の冠」を意味する言葉です。初代販売時から2000年頃まで用いられた花冠のエンブレムはカローラの特徴でもありました。
現在は大衆車として世界各国で売れているカローラですが、1960年代はまだ自家用車はサラリーマンにとって夢の車。庶民にとって、マイカーを持つということは、非常に特別な出来事です。カローラはそんな時代に、華やかな高級大衆車として登場します。
初代カローラ E10系(1966~1970年)…「80点主義+α」の設計で自家用車に夢を抱く日本人の心を掴む
カローラ KE10型 前期型
トヨタ カローラ KE10D型
トヨタ カローラ KE10D型
大衆車パブリカが自家用車に夢を抱く勤労者に魅力的に映らなかった反省を踏まえ、カローラは車に乗る楽しさと特別感を重視した高級大衆車として登場。主査の長谷川龍雄氏の掲げた「80点+α」は平均的に素晴らしく、かつ90点以上が2~3つ必要という意味。
また当時は日産がカローラと同じ1000ccクラスの大衆車サニーを設計中だったが、この情報を聞き入れた販売の神様・神谷正太郎は、排気量は1100ccに拡大するように要望。販売時に「プラス100CCの余裕」と宣伝した結果、商業的に大成功を収めた。
車両型式 | KE10-D |
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全長 | 3,845mm |
全幅 | 1,485mm |
全高 | 1,380mm |
ホイールベース | 2,285mm |
車両重量 | 710kg |
エンジン型式 | K |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒頭上弁式 |
総排気量 | 1077cc |
最高出力 | 60PS |
全ボディタイプ | 2/4ドアセダン 2ドアクーペ 3ドアバン 3ドアステーションワゴン |
2代目カローラ E20系(1970~1977年)…長距離走行を意識した設計!日産サニーとの闘いは続く
カローラ TE20型 前期型
通称「カローラ20(ニーマル)」。小型大衆車市場の中心的存在になった初代カローラより、ボディは一回り大きく、燃料タンクも拡大し、長距離を走るハイウェイ時代に備えた。セダンをベースにしたスポーツクーペ「カローラ レビン」も派生車種として登場。
1970年に2代目サニーが1,2Lエンジン、ボディサイズを拡大して「隣りの車が小さく見えます」挑発したところ、数ヶ月後にカローラは1.4Lシリーズを追加するなど、トヨタと日産が本気で競い合っていた時代のモデルでもある。
※先に挑発したのは初代カローラ発売時に「プラス100CCの余裕」(他は1000ccなのね~。うちは余裕ありますので!)と宣伝したトヨタであることを付け加えたい。
車両型式 | KE20-S |
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全長 | 3,945mm |
全幅 | 1,505mm |
全高 | 1,375mm |
ホイールベース | 2,335mm |
車両重量 | 765kg |
エンジン型式 | K |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒頭上弁式 |
総排気量 | 1166cc |
最高出力 | 77PS |
全ボディタイプ | 2/4ドアセダン 2ドアクーペ 3/5ドアバン 3/5ドアステーションワゴン |
3代目カローラ E30系/50系(1974~1979年)…排ガス規制に対応しながら大衆車としての地位を揺るぎないものに!
カローラ TE30型 前期型
3代目前期型の愛称は「さんまる」。歴代最多の生産台数を誇り、車名別生産台数で世界第1位も獲得した。排ガス規制へ3度対応し、1977年のマイナーチェンジで型式がバン以外E50系に変更された。
車両型式 | TE31-MN |
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全長 | 3,995mm |
全幅 | 1,570mm |
全高 | 1,375mm |
ホイールベース | 2,370mm |
車両重量 | 880kg |
エンジン型式 | 2T |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒OHV |
総排気量 | 1588cc |
最高出力 | 100PS |
全ボディタイプ | 2/4ドアセダン 3/5ドアワゴン 3/5ドアバン 2ドアハードトップ 2ドアクーペ 3ドアリフトバック |
4代目カローラ E70系(1979~1983年)…直線デザインでイメージチェンジ!
カローラ AE70型 前期型
カローラ TE71型 後期型
歴代の中で最もバリエーションが多い4代目カローラ。直線を駆使した角ばったボディデザインに変更し、初のディーゼル仕様車も登場。新型エンジン搭載、全車フロントディスクブレーキを装備など、更なる進化を遂げる。累計販売台数1000万台を突破!
車両型式 | E-TE71-EEMQF |
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全長 | 4,225mm |
全幅 | 1,610mm |
全高 | 1,385mm |
ホイールベース | 2,400mm |
車両重量 | 955kg |
エンジン型式 | 2T-GEU |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒DOHV |
総排気量 | 1588cc |
最高出力 | 115PS |
全ボディタイプ | 2/4ドアセダン 3/5ドアステーションワゴン 3/5ドアバン 2ドアハードトップ 2/3ドアクーペ 3ドアリフトバック |
5代目カローラ E80系(1983~1987年)…初のFF式採用!レビンとの違いを明確に打ち出す
カローラ AE82L型 前期型
カローラ AE81型 後期型
前輪駆動方式(FF)式に変更し、室内空間を拡大し、よりファミリーカーとしての充実を図る志向に。クーペの派生車種カローラレビンはFR式を維持してスポーティーな走りをアピールして棲み分けを図った。
車両型式 | E-AE81-EEMES |
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全長 | 4,135mm |
全幅 | 1,635mm |
全高 | 1,385mm |
ホイールベース | 2,430mm |
車両重量 | 870kg |
エンジン型式 | 3A-LU |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒OHC |
総排気量 | 1452cc |
最高出力 | 83PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン 5ドアバン 5ドアステーションワゴン |
6代目カローラ E90系(1987~1991年)…バブル景気もあり年間販売台数30万以上という記録を樹立
カローラ AE95型 後期型
カローラ AE95型 後期型
5ドアリフトバックを廃止(後継スプリンターシエロ)。全体的にシルエットが丸くなった6代目。バブル期らしく、エアコン標準装着、パワーウインドウやデジタルメーターなど内装が充実している。
車両型式 | E-AE92-AEMVF |
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全長 | 4,195mm |
全幅 | 1,655mm |
全高 | 1,360mm |
ホイールベース | 2,430mm |
車両重量 | 1020kg |
エンジン型式 | 4A-GE |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒DOHC |
総排気量 | 1587cc |
最高出力 | 120PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン 5ドアバン 5ドアステーションワゴン |
7代目カローラ E100系(1991~1995年)…歴代で「もっとも高級」と言われるハイクオリティ車
カローラ AE101型 前期型
カローラ AE101型 前期型
ホイールベースを延長し、カローラの中でもっとも高級路線を突き詰めた7代目。エンジンは1.5リッターを基本に5種類が存在。ボディには亜鉛メッキ合金を用いた高品質車であり、長く乗れた人も多い。バンは以降モデルチェンジなく、2002年に後継プロボックスに。
車両型式 | E-AE101-AEMVF |
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全長 | 4,270mm |
全幅 | 1,685mm |
全高 | 1,370mm |
ホイールベース | 2,465mm |
車両重量 | 1070kg |
エンジン型式 | 4A-GE |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒DOHC |
総排気量 | 1587cc |
最高出力 | 160PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン 5ドアステーションワゴン 5ドアバン |
8代目カローラ E110系(1995~2000年)…バブル崩壊によりコストダウンが求められ、高級路線から方針転換
カローラ AE110型 前期型
カローラ AE110型 後期型
プラットフォームは先代とほぼ同じながら、エアバック標準装備、マイナーチェンジでは衝突安全性の高いボディを採用するなど安全性にこだわった8代目。バブル崩壊によりコストダウンは必須だったものの、国内向けと海外販売車でデザインを変えるなど、市場への理解が進んだ。
車両型式 | E-AE110-AEMBK |
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全長 | 4,285mm |
全幅 | 1,690mm |
全高 | 1,385mm |
ホイールベース | 2,465mm |
車両重量 | 940kg |
エンジン型式 | 5A-FE |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブ |
総排気量 | 1498cc |
最高出力 | 100PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン 3ドアハッチバック(欧州専売) 5ドアリフトバック(欧州専売) |
9代目カローラ E120系/130系(2000年~2006)…新デザインで若者にもアピール!
カローラ NZE121型
カローラ フィールダー
カローラの購買層の年齢が高いため、若年層へのアピールを意識した9代目。エクステリアを一新し、ボディサイズ・ホイールベースを5ナンバーの上限ギリギリまで拡大。レビンは消滅したが、ワゴンタイプはカローラフィールダーの名前がついた。
車両型式 | TA-ZZE122-AEPGK |
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全長 | 4,365mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,470mm |
ホイールベース | 2,600mm |
車両重量 | 1080kg |
エンジン型式 | 1ZZ-FE |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブ |
総排気量 | 1794cc |
最高出力 | 136PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン |
10代目カローラ アクシオ E140系(2006~2012)…「アクシオ」のサブネームが与えられる
カローラ アクシオ NZE144型
国内ではセダンタイプにも「アクシオ」のサブネームがついた10代目。スタイリッシュで若者にも好評だった先代をさらにブラッシュアップ。1.8Lエンジンは新開発の2ZR-FE型。法人向け以外はバックモニター付き液晶ディスプレイが全車標準装備。
車両型式 | DBA-ZRE142-AEXGK |
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全長 | 4,410mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,460mm |
ホイールベース | 2,600mm |
車両重量 | 1190kg |
エンジン型式 | 2ZR-FE |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC |
総排気量 | 1797cc |
最高出力 | 136PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン |
11代目カローラ アクシオ E160系(2012~)…コンパクトで運転しやすい車へ!
カローラ アクシオ NKE165型
「大人4人が快適に長距離乗れる車」と大衆車の原点に戻り、プラットフォームはヴィッツ系を採用、ボディサイズを小さくするという決断を下した。ほぼ日本専売車と言ってよく、日本の道路事情にあわせて最小回転半径を小さくするなど、コンパクトで運転のしやすさに注力した。
車両型式 | DBA-NZE161-AEXGK |
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全長 | 4,360mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,460mm |
ホイールベース | 2,600mm |
車両重量 | 1090kg |
エンジン型式 | 1NZ-FE |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC |
総排気量 | 1496cc |
最高出力 | 109PS |
全ボディタイプ | 4ドアセダン |
12代目カローラE210系(2019~)…国産セダンの人気復活を目指す国内専用設計ボディ
2019年9月17日発売 12代目カローラ
2019年9月に発売された新型カローラ(セダン)。「アクシオ」のサブネームが外れ(アクシオも併売)、ついに3ナンバーに。ただし、グローバルモデルとデザインは統一するも、サイズを縮小した国内専用設計である。TNGAプラットフォーム採用。
カローラツーリング(2019~)…若者にも人気のワゴンモデル
2019年9月17日発売 カローラツーリング
2019年9月、ワゴンは「カローラツーリング」の新車名に(カローラフィールダーも併売)。セダンやカローラスポーツ同様、「TNGAプラットフォーム」を採用し、と取り回しに配慮した日本専用ボディが与えられた。
カローラスポーツ(2018~)…TNGAを初採用したハッチバックモデル
カローラスポーツG Z
2018年6月に発売されたカローラスポーツ
12 代目カローラシリーズの先駆けとして2018年に発売されたハッチバック。TNGAプラットフォームを採用し、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備。2019年9月のカローラ&カローラツーリング発売時に一部改良を実施。
なお、12代目カローラ発売前の予想については、記事下に記載しています。
新型カローラ、カローラツーリングの発売に伴い、カローラアクシオ(セダン)、カローラフィルダー(ワゴン)は生産終了するものと考えられていましたが、2019年9月現在、トヨタはアクシオとフィールダーについてグレードを整理したうえでの継続販売の意向を示しています。
カローラクロス(2020~)…ちょうど良いサイズ感のカローラシリーズ初のクロスオーバーSUV
SUVブームに販売台数を伸ばすカローラクロス
今までセダンやステーションワゴンタイプが大多数だったカローラシリーズへ、初めてのクロスオーバーSUVとしてカローラクロスが2020年にラインナップ。
ヤリスクロス以上、RAV4・ハリアー未満という絶妙なサイズ感と、Cセグメントを超える質感をもちながら販売価格を抑えた戦略が成功し、カローラシリーズを支える大ヒットモデルに。
2024年タイでマイナーチェンジモデルを発表、メッシュパターンのボディ同色グリルを採用し都会的なイメージを強めています。
歴代シリーズが積み上げてきた信頼をもとにカローラは更に進化する!
トヨタを代表する車は数多くありますが、カローラの登場によってトヨタは日産とのシェア競争に打ち勝ち、本格的な米国販売も成功するに至ります。カローラの成功なくして、今のトヨタはなかったと言ってもいいでしょう。
2018年まで50年以上の歴史を持ちますが、今でもカローラシリーズは国内でも安定した売り上げを見せています。
カローラはあまりに売れすぎているために、「面白みのない車」という言い方をされることもありますが、それだけ運転がしやすく、乗り心地も良いと感じる人が多いということ。「大衆的」というのは悪いことばかりではありません。
世界150か国以上で販売されており、日本未発売車も多くなりますが、トヨタは今後もカローラの名前を冠する人気車種のモデルチェンジや新型の開発を続けるでしょう。